JP2020194888A - 低誘電材料用ガラスクロス、該ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線基板 - Google Patents

低誘電材料用ガラスクロス、該ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線基板 Download PDF

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晋士 阿部
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Abstract

【課題】ガラスクロスの表面がポリシラザンで処理され、ガラスクロス表面に存在するシラノール基を低減させて誘電特性を向上させたガラスクロスを提供する。【解決手段】低誘電材料用ガラスクロスが、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の0〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であるポリシラザンを含有する組成物で表面処理され、5G/IoT向けおよび高周波用プリント配線基板に用いられる。【選択図】なし

Description

本発明は、低誘電材料用ガラスクロス、該ガラスクロスを用いたプリプレグ及びプリント配線基板に関する。
デジタル技術の目覚しい発展に伴い、タブレット端末やスマートフォンに代表される電子機器の軽薄短小化、高機能化が進んでいる。例えば、これらの機器の重要部品の1つであるプリント配線基板に対して、高密度実装、軽薄短小化が必要とされている。これに対応するため、プリント配線基板の補強材として必須部品であるガラスクロスの特性向上が強く求められている。
また、コンピュータ、モバイル、通信インフラ等の高速・高周波化が進み、プリント配線基板に用いられるガラスクロスに要求される特性として、伝送損失を改善するための誘電特性の向上や、低熱膨張特性、高引張剛性特性の改善要求もある。さらに、軽薄短小化及び多層化の要求から、ガラスクロスの薄物化の要求も高まっている。
薄物ガラスクロスの製造方法として、よりフィラメント径がコントロールし易いシリカガラスの系での検討が進んでいる。例えば、特許文献1には厚さが27μmのシリカガラスクロスを製造する方法を開示している。特許文献2には、厚さが6μm〜45μmの薄物シリカガラスクロスが紹介されている。
一方、基板の製造にはガラスクロスとエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との密着性、接着性が重要であり、ガラスクロスとマトリックス樹脂との濡れ性が悪いと接着が劣り、界面に水分の混入やガラスクロスに存在するシラノール基の影響で、誘電特性が低下する要因となる。そのため、ガラスクロスの表面にはシランカップリング剤が処理される。
シランカップリング剤使用の一例として、特許文献3に、B配合の低誘電ガラスクロスに表面処理用としてシランカップリング剤が記載されている。しかし、シランカップリング剤のアルコキシ基から発生し残存するメタノールやエタノールは、誘電特性を低下させる。
特許文献4〜6には、ガラス繊維フィルムやガラスクロスの表面処理剤としてポリシラザンの記載がある。特許文献4〜6には、ガラスクロスを処理する有機ケイ素化合物の一例としてポリシラザンが挙げられているが、その具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどのケイ素−窒素結合を1〜3個程度しか持たない低分子シラザン化合物が例示されているに過ぎない。これらの化合物は、ガラスクロス含有シラノール基の低減効果も不十分であり、前記低分子シラザン化合物ではポリシラザン由来の硬化被膜特有のシリカガラス(SiO)構造は取り得ない。
更に、プリント配線基板に使用されるマトリックス樹脂との密着性、接着性、配線基板の強度、信頼性の更なる向上が求められ、特に誘電特性の改良からもガラスクロス含有シラノール基の低減が求められる。
特開2006−282401号公報 特開2009−263824号公報 国際公開第2016/175248号パンフレット 特開2015−174937号公報 特開2015−155196号公報 特開2011−017113号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ガラスクロスとマトリックス樹脂を含むプリプレグにおいて、ガラスクロスとマトリックス樹脂との密着性、接着性を向上させ、強度が向上され、信頼性のより優れた配線基板、特に誘電特性に優れたプリント配線基板とするために、ガラスクロスの表面がポリシラザンで処理された低誘電材料用ガラスクロスであって、ガラスクロス表面に存在するシラノール基を低減させて誘電特性を向上させたガラスクロス、該ガラスクロスを用いたプリプレグ、及びプリント配線基板を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、ガラスクロスの表面がポリシラザン含有組成物で処理された低誘電材料用ガラスクロスであって、前記ポリシラザン含有組成物に含まれるポリシラザンにおいて、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の0〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、5G/IoT向けおよび高周波用プリント配線基板に用いる低誘電材料用ガラスクロスを提供する。
この低誘電材料用ガラスクロスは、マトリックス樹脂との濡れ性が改善され、マトリックス樹脂との密着性、接着性が優れたプリプレグ、及び、強度が向上され信頼性が優れたプリント配線基板を与えるものであり、特にガラスクロス表面に存在するシラノール基の量を低減させて誘電特性を向上させ、5G/IoT向けおよび高周波用プリント配線基板用のものとなる。
前記ポリシラザンは下記一般式(1)
Figure 2020194888
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、aは5以上の正数であり、b、c、dはそれぞれ0以上の整数であり、b/(a+b+c+d)=0〜0.9であり、かつ、a+b+c+d=5〜22,200の正数であり、括弧で括られたそれぞれの繰り返し単位は、ブロックであってもランダムであっても良い。)
で示すポリシラザン(共)重合体を含むものであることが好ましい。
前記ポリシラザンが前記特定のポリシラザン(共)重合体を含むものであると、ポリシラザンが短時間でガラスクロス表面のシラノール基と高効率で反応し、前記低誘電材料用ガラスクロスはマトリックス樹脂との密着性、接着性がより優れたプリプレグ、及びより誘電特性が向上したプリント配線基板を与えるものとなる。
前記式(1)において、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の1〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であることが好ましい。
前記ポリシラザンがケイ素原子に結合する前記特定の炭素含有置換基を有するポリシラザン(共)重合体を含むものであると、ポリシラザンが短時間でガラスクロス表面のシラノール基と高効率で反応し、前記低誘電材料用ガラスクロスはマトリックス樹脂との密着性、接着性がより優れたプリプレグ、及びより誘電特性が向上したプリント配線基板を与えるものとなる。
前記ポリシラザン含有組成物はさらに硬化触媒を含むものであることが好ましい。
前記ポリシラザン含有組成物が硬化触媒を含むものであると、前記低誘電材料用ガラスクロスは耐熱性に劣るガラスクロスに熱をかけずに表面処理を施して製造されたものとできる。
前記硬化触媒は1分子中に1個以上のアルコキシシリル基及び1個以上のアミノ基を有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。
前記硬化触媒が前記特定の有機ケイ素化合物であると、前記低誘電材料用ガラスクロスは、低い温度、速い硬化速度で前記ポリシラザン含有組成物とマトリックス樹脂の硬化反応を進めて製造されたものとなる。
前記ガラスクロスは、10GHzにおける誘電正接が1×10−4〜1×10−2となるガラスからなるガラスクロスであることが好ましい。
前記ガラスクロスが前記範囲の低い誘電正接を有するものであると、前記低誘電材料用ガラスクロスはより誘電特性が向上したプリント配線基板を与えるものとなる。
また、本発明では、前記低誘電材料用ガラスクロスと、該ガラスクロスに含浸されたマトリックス樹脂とを含むプリプレグを提供する。
このプリプレグは、前記低誘電材料用ガラスクロスとマトリックス樹脂との密着性、接着性に優れ、強度が向上され信頼性が優れたプリント配線基板を与えるものである。
前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリテトラフルオロエチレン樹脂の中から選択される1種以上の樹脂であることが好ましい。
前記マトリックス樹脂が低誘電特性を有する前記特定の樹脂であると、前記プリプレグはより誘電特性が向上したプリント配線基板を与えるものとなる。
さらに、本発明では、前記プリプレグを備えるプリント配線基板を提供する。
このプリント配線基板は優れた誘電特性を有し、10GHz以上の電気信号を伝送する回路を有する電子部品に用いることができるものである。
本発明によれば、ガラスクロスの表面がポリシラザンで処理された低誘電材料用ガラスクロスは、マトリックス樹脂との濡れ性が改善され、マトリックス樹脂との密着性、接着性に優れ、強度が向上され信頼性のより優れたプリプレグ及びプリント配線基板を与えるものである。特にガラスクロス表面に存在するシラノール基の量が低減されて誘電特性が向上され、10GHz以上の電気信号を伝送する回路を有する電子部品に用いる高周波用プリント配線基板用のガラスクロスとなる。
上述のように、ガラスクロスの表面がポリシラザンで処理され、ガラスクロス表面に存在するシラノール基を低減させて誘電特性を向上させたガラスクロスの開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、表面がポリシラザン含有組成物で処理されたガラスクロスが10GHz以上の電気信号を伝送する回路を有する電子部品に用いる高周波用プリント配線基板用のものとできることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ガラスクロスの表面がポリシラザン含有組成物で処理された低誘電材料用ガラスクロスであって、前記ポリシラザン含有組成物に含まれるポリシラザンにおいて、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の0〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であることを特徴とする5G/IoT向けおよび高周波用プリント配線基板に用いる低誘電材料用ガラスクロスである。
なお、ここで「5G/IoT」とは、第5世代移動通信システム(5G)、またそれを活用した物のインターネット(IoT)のことを指し、「5G/IoT向け」とは、高速大容量通信などに必要な特性を有する材料であることを指す。具体的に必要な特性としては、低誘電、低伝送損失などが挙げられ、具体的な用途としてはコンピュータ、モバイル、通信インフラの高周波用プリント配線基板などが挙げられる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
<ポリシラザン>
本発明の低誘電材料用ガラスクロスは、ガラスクロス表面をポリシラザン含有組成物で処理することでガラスクロスとマトリックス樹脂との濡れ性を改善し、後述するプリプレグを作製する際に、ガラスクロスとマトリックス樹脂との密着性、接着性を向上させ、強度が向上されたプリント配線基板を与えるという効果を有する。また、ポリシラザンは反応性が高く、短時間でガラスクロス表面のシラノール基と高効率で反応し、該シラノール基の量を低減することから、本発明の低誘電材料用ガラスクロスは誘電特性が向上され信頼性が高められたプリント配線基板を与えるという効果を有する。本発明の低誘電材料用ガラスクロスは特に10GHz以上の電気信号を伝送する回路を有する電子部品に用いる高周波プリント配線基板用に最適なガラスクロスとなる。
本発明のポリシラザン含有組成物の主成分であるポリシラザンは、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の0〜90モル%、好ましくは1〜90モル%、より好ましくは1〜50モル%、更に好ましくは10〜30モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基のポリシラザン(共)重合体である。
また、本発明のポリシラザンは、下記一般式(1)
Figure 2020194888
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、aは5以上の正数であり、b、c、dはそれぞれ0以上の整数であり、b/(a+b+c+d)=0〜0.9であり、かつ、a+b+c+d=5〜22,200の正数であり、括弧で括られたそれぞれの繰り返し単位は、ブロックであってもランダムであっても良い。)
で示すポリシラザン(共)重合体であることが好ましい。
ここで、R及びRで挙げられる炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、トリフルオルプロピル基などが挙げられ、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基の例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基等が挙げられ、炭素数1〜6のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。中でも合成の容易さや誘電特性の観点などからメチル基、フェニル基が好ましい。
また、1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基の例としては、ビニル基、アリル基、4−ビニルブチル基、8−ビニルオクチル基などのアルケニル基、3−シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの脂環式不飽和炭化水素基、エチニル基、2−プロピニル基などのアルキニル基、スチリル基などの芳香族不飽和炭化水素基、アクリル基、メタクリル基などの不飽和エステル基、N−プロピルマレイミド基などの不飽和環状イミドなどが挙げられる。
また、R及び/またはRが1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基である場合は、少なくとも1分子中に1個以上前記有機基を含有していることが好ましい。
炭素−炭素不飽和結合を有する有機基を含有することで、不飽和基含有熱硬化性樹脂との反応性が向上し、接着強度の向上や濡れ性、密着性の向上により誘電特性が改良される。
基板素材の熱硬化性樹脂との反応性、接着性、信頼性から各種不飽和基が使用可能であるが、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂に含まれる不飽和基との類似化合物が好ましく、反応性、接着性に優れるN−プロピルマレイミド基がより好ましい。
また、aは5以上の正数であり、好ましくは10〜220であり、b、c、dはそれぞれ0以上の整数であり、好ましくはbは1〜30であり、cは1〜30であり、dは1〜30である。さらに、b/(a+b+c+d)=0〜0.9であり、好ましくは0.01〜0.3であり、かつ、a+b+c+d=5〜22,200の正数であり、好ましくは30〜300である。
また、前記式(1)で示されるポリシラザンにおいて、下記式(2)
Figure 2020194888
(式中、Rは前記と同じであり、nは0以上の整数である。)
で示されるようなシラザン単位を含んでいてもよく、分岐構造や環状構造を含有しているポリシラザンを用いることもできる。
前記式(1)で示されるポリシラザンは、構造の異なる2種類以上を併用して使うことができる。複数のポリシラザンを併用すると、基板用樹脂との密着性や柔軟性が向上し、加工性に優れるため好ましい。
前記式(1)で示される構造の異なるポリシラザン2種類以上を併用して用いるガラスクロスの処理方法としては、前記式(1)の2種類以上の構造の異なるポリシラザンを順不同で複数回表面処理をしてもよく、あらかじめ2種類以上の前記式(1)の構造の異なるポリシラザンを混合して、同時に表面処理してもよい。
同時に表面処理する場合の前記式(1)の2種類の構造の異なるポリシラザンの混合比は、質量比で99/1〜10/90の範囲であり、好ましくは95/5〜50/50であり、より好ましくは90/10〜70/30の範囲である。
本発明のポリシラザンは、有機溶媒への溶解性やガラスクロス表面処理時の作業性の観点から、重量平均分子量が200〜1,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは500〜100,000、更に好ましくは1,000〜20,000の範囲である。重量平均分子量が200以上であれば、揮発性も高くなく、有機溶媒の乾燥及び表面処理時に揮発することもほとんどないので、ガラスクロスへの均一塗布が可能となり好ましい。重量平均分子量が1,000,000以下であれば、有機溶媒に対する溶解性が良好であり、溶解粘度も高くないので、ガラスクロスへの均一塗布が可能となるため好ましい。
なお、本明細書中で言及する重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指す。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:UV検出器
カラム:TSK Guardcolumn SuperH−L
TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4.6mmI.D.×15cm×4)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5質量%のTHF溶液)
<硬化触媒>
本発明のポリシラザン含有組成物には、硬化触媒を添加することができる。硬化触媒を添加することにより、ガラスクロスがガラス繊維とポリオレフィン系繊維等との混織繊維であるような耐熱性に劣るガラスクロスである場合であっても、熱をかけずに表面処理ができるため好ましい。
本発明で用いる硬化触媒は、例えば1分子中に1個以上のアルコキシシリル基及び1個以上のアミノ基を有する有機ケイ素化合物である。前記有機ケイ素化合物の具体例としては、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシランなどのアミノシラン類が挙げられ、3−アミノプロピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリエトキシシランは硬化速度が速く、触媒作用温度も低い上にマトリックス樹脂との密着性、接着性の向上にも寄与することができるため好ましい。
これらの触媒は単独で、あるいは2種又は3種以上を任意の割合で添加してもよい。
硬化触媒の添加量は、ポリシラザン100質量部当たり0.1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
本発明で用いるポリシラザン含有組成物には、前記ポリシラザンの取扱い性や保存安定性、前記ガラスクロスへの塗工性等を改善する目的で、有機溶媒を添加しても良い。前記有機溶媒としては、ポリシラザンを溶解する有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン(イソドデカン)などの飽和鎖状脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレンなどの飽和環状脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼンやテトラヒドロナフタレンなどの芳香族炭化水素、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ブトキシエチルエーテルなどのアルキルエーテル類やアニソール、ジフェニルエーテルなどのアリールエーテル類、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチルなどのエステル化合物などが例示される。中でも、ポリシラザンに対する溶解性の観点では、芳香族炭化水素やアルキルエーテル類が好ましく、また、作業性の観点では、比較的低臭気である飽和脂肪族炭化水素系有機溶媒、特に炭素数4〜20の範囲にある飽和脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。
ポリシラザンと有機溶媒との混合比は、質量比で好ましくは0.1/99.9〜50/50の範囲であり、より好ましくは0.5/99.5〜30/70であり、更に好ましくは1/99〜20/80の範囲である。この範囲内であれば、保存安定性や塗工性等が良好となるため好ましい。
<その他添加剤>
本発明のポリシラザン含有組成物には、上記硬化触媒以外のアルコキシ基含有有機ケイ素化合物やシラザン構造含有化合物を、マトリックス樹脂との密着性、接着性向上のために添加することができる。
前記アルコキシ基含有有機ケイ素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランなどの不飽和基及びアルコキシ基含有有機ケイ素化合物などが挙げられる。
前記シラザン構造含有化合物としては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−トリメチルトリビニルシクロトリシラザンなどの低分子シラザン化合物などが挙げられる。
アルコキシ基含有有機ケイ素化合物やシラザン構造含有化合物の添加量は、ポリシラザンの基本構造(式(1))の1分子を1モルとして、0.01〜0.2モルが好ましい。
<ガラスクロス>
本発明の低誘電材料用ガラスクロスは、前記ポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスである。
前記ガラスクロスは、10GHzにおける誘電正接が1×10−4〜1×10−2となるガラスからなるガラスクロスであることが好ましい。表面処理される前の基材となるガラスクロスは、Eガラス、Lガラス、L2ガラス、NEガラス、NE2ガラス、Sガラス、Tガラス、UTガラス、LUガラス、Dガラス、シリカガラスからなる群から選択される1種以上のガラスクロスであり、誘電特性からLガラス、L2ガラス、NEガラス、NE2ガラス、LUガラス、シリカガラスから選ばれるガラスクロスであることが好ましい。特に10GHzにおける誘電正接が5×10−3以下、好ましくは2×10−4〜2×10−3であるシリカガラスからなるガラスクロスがより好ましい。なお、本発明において10GHzにおける誘電正接は、JIS R 1641:2007(ファインセラミックス基板のマイクロ波誘電特性の測定方法)に記載の方法で測定した値を指すものとする。
また、前記ガラスクロスは、前記ポリシラザン含有組成物で表面処理する前に、表面に付着した集束剤などの有機物を予め除去しておくと、前記ポリシラザン含有組成物でガラスクロス表面をむらなく処理できるため好ましい。前記有機物の除去方法としては、ヒートクリーニング処理やコロナ処理、湯洗い処理などが挙げられる。
また、前記ガラスクロスの厚さは好ましくは6μm〜200μm、より好ましくは10μm〜100μmであり、単位面積当たりの質量が好ましくは5g/m〜200g/mであり、10g/m〜100g/mのガラスクロスであることがより好ましい。
<マトリックス樹脂>
本発明のポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスは、該ガラスクロスにマトリックス樹脂を含浸しプリプレグを製造するのに好適に用いられる。優れた誘電特性を有する高周波基板用のプリプレグを製造するには、マトリックス樹脂の誘電特性も優れることが好ましい。
本発明におけるマトリックス樹脂とは、前記低誘電材料用ガラスクロスに含浸され、プリプレグを形成するものであり、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れも使用することができる。特に、低誘電特性を有する樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリテトラフルオロエチレン樹脂の中から選択される1種以上の樹脂であることがより好ましい。なお、マトリックス樹脂は単独でも良いし、複数樹脂の併用でも構わない。
さらに、前記マトリックス樹脂以外の樹脂も使用することができるが、誘電特性に優れる樹脂が好ましい。
本発明におけるマトリックス樹脂には、樹脂の硬化促進や高強度化等のために、その他の成分を添加することができる。例えば、無機充填剤、難燃剤、添加剤及び反応開始剤等が挙げられる。
その他の成分の添加量は、マトリックス樹脂100質量部に対して、1〜900質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましい。
<表面処理ガラスクロス含有プリプレグの製造方法>
本発明のポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスを含有するプリプレグの製造方法としては、特に限定されない。一般的なガラスクロス含有基板やフィルム、プリプレグなどの製造方法を適用することができる。例えば、一般的なガラスクロス繊維への硬化性樹脂組成物の塗布方法(コーティング方式)に準じて製造することができる。
代表的なコーティング方式としては、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、スロッタダイ、エアードクターコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター、MBコーター、MBリバースコーターなどがある。
塗布性を向上、確保するためにマトリックス樹脂を溶媒で希釈してもよい。マトリックス樹脂の溶解特性から有機溶媒を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのアルキルエーテル類などが挙げられる。
本発明のポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスに対するマトリックス樹脂の付着量としては、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。この範囲内であれば、本発明のポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスへのマトリックス樹脂の付着量が適切であり、マトリックス樹脂との密着性、接着性、配線基板の強度向上の効果がある。前記付着量が10質量%以上であれば、銅箔と密着しているマトリックス樹脂量が少なすぎることもなく、銅箔とのピール強度も十分な強度が得られる。また、前記付着量が80質量%以下であれば、マトリックス樹脂量が多すぎることもなく、プレス時の樹脂流れが起こりにくいため好ましい。なお、ここで言う付着量とはプリプレグ全体の質量に対するマトリックス樹脂の質量%の事を示す。
使用するマトリックス樹脂により条件は異なるが、例えば、塗布後に乾燥させ、硬化目的で50℃〜300℃で1分間〜24時間加熱する方法を挙げることができる。
<ガラスクロス含有プリント配線基板の製造方法>
本発明のガラスクロス含有プリント配線基板は、前記ガラスクロス含有プリプレグを1枚以上、好ましくは2〜20枚積層したものを加熱硬化することで製造する。加熱硬化条件としては、100〜250℃/1〜600分間加熱し、必要に応じて加熱と同時に0.1〜20MPa加圧しても良い。
本発明のポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスは、マトリックス樹脂との密着性、接着性に優れ、強度が向上され信頼性のより優れたプリプレグ及びプリント配線基板を与えるものであることから、高速サーバー等の10GHz以上の電気信号、特にミリ波を伝送する回路を有する電子部品の絶縁層等の素材として好適に用いることができるものである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例で部は質量部を示す。
<ポリシラザンの調製例>
[ポリシラザン調製−1(PS−1)]
純度99%以上のジクロロシラン0.19モルを、窒素ガスとともに−10℃の脱水ピリジン300mlに撹拌しながら吹き込んだ。その後、純度99%以上のアンモニアを0.57モル吹き込み、生成した塩を加圧濾過により取り除くことで下記構造式(3)のポリシラザン溶液を得た。得られたポリシラザンの重量平均分子量は3,800であった。
このポリシラザン溶液を150℃に加熱しピリジンを150ml溜去した。次にジブチルエーテルを300ml加え、共沸蒸留によりピリジンを取り除き、溶液全体を100部としたときにポリシラザンが5部となるようにジブチルエーテルを添加した(PS−1)。
Figure 2020194888
(式中、a=55、c=10、d=22)
[ポリシラザン調製−2(PS−2)]
メチルジクロロシラン0.19モルを、窒素雰囲気下において−10℃の脱水ピリジン300mlに撹拌しながら滴下した。その後、純度99%以上のアンモニアを0.57モル吹き込み、生成した塩を加圧濾過により取り除くことで下記構造式(4)のポリシラザン溶液を得た。得られたポリシラザンの重量平均分子量は2,100であった。
このポリシラザン溶液を150℃に加熱しピリジンを150ml溜去した。次にジブチルエーテルを300ml加え、共沸蒸留によりピリジンを取り除き、溶液全体を100部としたときにポリシラザンが5部となるようにジブチルエーテルを添加した(PS−2)。
Figure 2020194888
(式中、a=23、c=4、d=10)
[ポリシラザン調製−3(PS−3)]
ビニルトリクロロシラン0.02モルを、窒素雰囲気下において−10℃の脱水ピリジン300mlに撹拌しながら滴下後、純度99%以上のジクロロシラン0.18モルを、窒素ガスとともに前記ピリジン中に撹拌しながら吹き込んだ。その後、純度99%以上のアンモニアを0.60モル吹き込み、生成した塩を加圧濾過により取り除くことで下記構造式(5)のポリシラザン共重合体溶液を得た。得られたポリシラザン共重合体の重量平均分子量は4,000であった。
このポリシラザン共重合体溶液を150℃に加熱しピリジンを150ml溜去した。次にジブチルエーテルを300ml加え、共沸蒸留によりピリジンを取り除き、溶液全体を100部としたときにポリシラザン共重合体が5部となるようにジブチルエーテルを添加した(PS−3)。
Figure 2020194888
(式中、a=48、c=10、c′=14、d=10)
[ポリシラザン調製−4(PS−4)]
ビニルトリクロロシラン0.06モルを、窒素雰囲気下において−10℃の脱水ピリジン300mlに撹拌しながら滴下後、純度99%以上のジクロロシラン0.14モルを、窒素ガスとともに前記ピリジン中に撹拌しながら吹き込んだ。その後、純度99%以上のアンモニアを0.60モル吹き込み、生成した塩を加圧濾過により取り除くことで下記構造式(6)のポリシラザン共重合体溶液を得た。得られたポリシラザン共重合体の重量平均分子量は4,500であった。
このポリシラザン共重合体溶液を150℃に加熱しピリジンを150ml溜去した。次にジブチルエーテルを300ml加え、共沸蒸留によりピリジンを取り除き、溶液全体を100部としたときにポリシラザン共重合体が5部となるようにジブチルエーテルを添加した(PS−4)。
Figure 2020194888
(式中、a=42、c=5、c′=7、d=25)
[ポリシラザン調製−5(PS−5)]
メチルビニルジクロロシラン0.06モルを、窒素雰囲気下において−10℃の脱水ピリジン300mlに撹拌しながら滴下後、純度99%以上のジクロロシラン0.14モルを、窒素ガスとともに前記ピリジン中に撹拌しながら吹き込んだ。その後、純度99%以上のアンモニアを0.60モル吹き込み、生成した塩を加圧濾過により取り除くことで下記構造式(7)のポリシラザン共重合体溶液を得た。得られたポリシラザン共重合体の重量平均分子量は1,500であった。
このポリシラザン共重合体溶液を150℃に加熱しピリジンを150ml溜去した。次にジブチルエーテルを300ml加え、共沸蒸留によりピリジンを取り除き、溶液全体を100部としたときにポリシラザン共重合体が5部となるようにジブチルエーテルを添加した(PS−5)。
Figure 2020194888
(式中、a=12、b=2、c=3、d=9)
[マトリックス樹脂(M−1)]
ビスマレイミド化合物(BMI−5000P(Designer Molecules Inc.製))100部にトルエン122部を添加し、樹脂濃度が45質量%になるように調製した。次いで硬化触媒としてジクミルパーオキサイド2部を添加し、マトリックス樹脂(M−1)を調製した。
[実施例1〜7]
表1に示す質量%比で混合したポリシラザンの0.5質量%溶液(ジブチルエーテル2質量%+キシレン98質量%の混合溶媒)に、硬化触媒として3−アミノプロピルトリエトキシシランをポリシラザン100部当たり10部添加し、ポリシラザン含有組成物を調製した。
ポリシラザン含有組成物にシリカガラスクロス(厚さ:95μm、単位面積当たりの質量:93g/m)を浸漬し、150℃/6時間加熱乾燥して表面処理した。
前記表面処理ガラスクロスに、マトリックス樹脂(M−1)を含浸し、100℃/10分間加熱乾燥させて溶媒を除去しプリプレグとした。次いでプリプレグ1枚を、真空プレス機を用いて圧力5MPaの条件で180℃/60分間加熱硬化させてプリント配線基板を作製した。
[比較例1]
未処理のシリカガラスクロスに、実施例1〜7と同様にマトリックス樹脂(M−1)を含浸し、100℃/10分間加熱乾燥させて溶媒を除去しプリプレグとした。次いでプリプレグ1枚を、真空プレス機を用いて圧力5MPaの条件で180℃/60分間加熱硬化させてプリント配線基板を作製した。
[比較例2〜4]
表1に示すシランカップリング剤又は硬化触媒の0.5質量%溶液(水96質量%+メタノール1質量%+酢酸3質量%の混合溶媒)を調製した。
シランカップリング剤含有ガラスクロス表面処理剤にシリカガラスクロスを浸漬し、100℃/10分間加熱乾燥して表面処理した。
前記表面処理ガラスクロスに実施例1〜7と同様にマトリックス樹脂(M−1)を含浸し、100℃/10分間加熱乾燥させて溶媒を除去しプリプレグとした。次いでプリプレグ1枚を、真空プレス機を用いて圧力5MPaの条件で180℃/60分間加熱硬化させてプリント配線基板を作製した。
<誘電特性>
各実施例及び比較例のプリント配線基板の誘電特性は下記方法により測定した。
厚さ0.15mmで、3cm×4cmの長方形の成型片を作製した。ネットワークアナライザ(キーサイト社製:E5063−2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記成型片の周波数10GHzにおける誘電率と誘電正接を測定した。結果を表1に示す。
<慣用曲げ剛性>
各実施例及び比較例のガラスクロスの慣用曲げ剛性は下記方法により測定した。
JIS R 3420:2013(ガラス繊維一般試験方法)に記載の方法で測定を行い、縦糸方向での測定値を用いた。未処理のガラスクロス(比較例1)の慣用曲げ剛性の値を1として、表面処理ガラスクロスの慣用曲げ剛性の値を、倍数換算し表記した。結果を表1に示す。
Figure 2020194888
KBE903:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
KBM903:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
KBM1003:ビニルトリメトキシシラン
KBM503:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
表1において、○はプリント配線基板の材料として使用されたことを示す。例えば、実施例3では、90質量%のPS−1と10質量%のPS−2からなるポリシラザンと硬化触媒としてKBE903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を含むポリシラザン含有組成物で表面処理されたシリカガラスクロスにマトリックス樹脂(M−1)を含浸したプリプレグを用いてプリント配線基板を作製したことが分かる。
ポリシラザン含有組成物で表面処理されたガラスクロスを用いて作製された実施例1〜7のプリント配線基板の10GHzにおける誘電正接は、表面処理されていないガラスクロスを用いて作製された比較例1のプリント配線基板、シランカップリング剤又は硬化触媒で表面処理されたガラスクロスを用いて作製された比較例2〜4のプリント配線基板のものに比べて小さく、誘電特性に優れるものであり、高周波プリント配線基板として好適なものであることが分かる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (9)

  1. ガラスクロスの表面がポリシラザン含有組成物で処理された低誘電材料用ガラスクロスであって、前記ポリシラザン含有組成物に含まれるポリシラザンにおいて、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の0〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であることを特徴とする5G/IoT向けおよび高周波用プリント配線基板に用いる低誘電材料用ガラスクロス。
  2. 前記ポリシラザンが、下記一般式(1)
    Figure 2020194888
    (式中、Rは水素原子、または炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であり、aは5以上の正数であり、b、c、dはそれぞれ0以上の整数であり、b/(a+b+c+d)=0〜0.9であり、かつ、a+b+c+d=5〜22,200の正数であり、括弧で括られたそれぞれの繰り返し単位は、ブロックであってもランダムであっても良い。)
    で示すポリシラザン(共)重合体を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の低誘電材料用ガラスクロス。
  3. 前記式(1)において、1分子中のケイ素原子に結合する置換基の1〜90モル%が炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び1分子中に1個の炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜12の1価の有機基から選ばれる基であることを特徴とする請求項2に記載の低誘電材料用ガラスクロス。
  4. 前記ポリシラザン含有組成物が、さらに硬化触媒を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低誘電材料用ガラスクロス。
  5. 前記硬化触媒が、1分子中に1個以上のアルコキシシリル基及び1個以上のアミノ基を有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項4に記載の低誘電材料用ガラスクロス。
  6. 前記ガラスクロスが、10GHzにおける誘電正接が1×10−4〜1×10−2となるガラスからなるガラスクロスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低誘電材料用ガラスクロス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の低誘電材料用ガラスクロスと、該ガラスクロスに含浸されたマトリックス樹脂とを含むプリプレグ。
  8. 前記マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリテトラフルオロエチレン樹脂の中から選択される1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項7に記載のプリプレグ。
  9. 請求項7または8に記載のプリプレグを備えるプリント配線基板。
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