JP2020192807A - 繊維強化樹脂基材の製造方法、繊維強化樹脂基材、およびその一体化成形品 - Google Patents

繊維強化樹脂基材の製造方法、繊維強化樹脂基材、およびその一体化成形品 Download PDF

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光太郎 篠原
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義文 中山
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Abstract

【課題】接合性、力学特性、生産性の3点を同時に満たす繊維強化樹脂基材を提供する。【解決手段】構成要素として、[A]強化繊維、[B]熱可塑性樹脂、及び[C]熱硬化性樹脂を含む繊維強化樹脂基材の製造方法であって、構成要素[A]を含む連続強化繊維シートを引き出す工程、連続強化繊維シートの一方の面から構成要素[B]を含浸させて第1の表面に構成要素[B]が配置された繊維強化樹脂中間体を得る第1の含浸工程、前記第1の表面とは反対の第2の表面から構成要素[C]を含浸させて繊維強化樹脂基材を得る第2の含浸工程、および繊維強化樹脂基材を引き取る引取工程を、構成要素[A]を走行させながら連続で順に実施する繊維強化樹脂基材の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含む繊維強化樹脂基材を製造する方法、繊維強化樹脂基材、およびその一体化成形品に関するものである。
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維と組み合わせた繊維強化樹脂は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性や耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。しかしながら、製造工程において、強化繊維由来の繊維毛羽の発生や、熱硬化性樹脂のべたつきによる工程安定性の改善に課題があった。さらに、これらの繊維強化樹脂は、複雑な形状を有する部品や構造体を単一の成形工程で製造するには不向きであり、上記用途においては、繊維強化樹脂からなる部材を作製し、次いで、他の部材と一体化することが必要である。
熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂に用いた繊維強化樹脂は、他の熱可塑性樹脂部材と溶着接合により一体化することができるため、部材間の接合に要する時間を短縮できる可能性がある。一方で、航空機用構造部材のように、高温での力学特性や薬品への優れた耐性が求められる場合は、熱硬化性樹脂と強化繊維からなる繊維強化樹脂に比べて、耐熱性、耐薬品性が十分ではないという課題があった。
ここで、特許文献1には、熱可塑性樹脂と強化繊維とを含む繊維強化樹脂基材(プリプレグ)およびその製法が記載されている。特許文献2には、熱硬化性樹脂と強化繊維からなる複合材料(プリプレグ)の表面に、熱可塑性樹脂層を形成した積層体の製造方法が示されており、熱可塑性樹脂を介して他の熱可塑性樹脂部材との二次溶着性を示すことが述べられている。特許文献3には、一方の表面に熱可塑性樹脂が、もう一方の表面に接着剤樹脂が含浸されている、不連続繊維強化樹脂基材(シート)が記載されている。特許文献4には、強化繊維基材の表面に熱可塑性樹脂を配して、同時または後から熱硬化性樹脂を注入、硬化させた、二次溶着性を有する繊維強化樹脂基材(繊維強化複合材料)が記載されている。
国際公開第2013/8720号パンフレット 国際公開第2004/60658号パンフレット 国際公開第2014/103658号パンフレット 特開2006−44261号公報
しかし、特許文献1に示される繊維強化樹脂基材およびその製造方法では、マトリックス樹脂がすべて熱可塑性樹脂であり、強化繊維が連続かつ一方向であるため、該文献に記載の繊維強化樹脂基材と他の熱可塑性樹脂部材との溶着接合工程において、熱可塑性樹脂の溶融に伴い、強化繊維が乱れてしまい、繊維強化樹脂の物性が低下してしまう可能性がある。そのため、溶着接合条件を調整する必要があった。
特許文献2には、連続した強化繊維と熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂とを有した繊維強化複合材料およびその製造方法が示されている。この繊維強化複合材料は、強化繊維の多くが熱硬化性樹脂層にあり、溶着工程において強化繊維の乱れが少なく、また、熱可塑性樹脂を介して別の部材と一体化を行うことができ、優れた接合強度を示す。しかしながら、熱可塑性樹脂が高耐熱樹脂の場合、繊維強化樹脂製造工程において、熱可塑性樹脂を溶融させる際に、熱硬化性樹脂が熱に耐え切れずに熱分解、暴走反応を起こしてしまう可能性があった。
特許文献3に記載の繊維強化樹脂シートは、熱可塑性樹脂層、接着剤層ともに接合性を有するが、強化繊維が不連続で不織布状であるため、繊維強化樹脂シート自体の力学物性が産業分野の要求を必ずしも満たさないものであった。
特許文献4に記載の繊維強化複合材料は、任意の熱可塑性樹脂に対して、接合性を有するが、RTM成形用の繊維強化複合材料であり、バッチ単位でしか成形することが出来ず、さらに、熱可塑性樹脂層を片表面に有する強化繊維基材を用意し、金型に配置し、熱硬化性樹脂を注入するという煩雑な工程が必要であり、生産性を満足しないものであった。
以上のことから、接合性や力学特性とともに取り扱い性や生産性を同時に満たす、繊維強化樹脂基材またはその製造方法を提供することが急務となっていた。
上記課題を解決するための本発明は、主に、以下の(1)、(2)のいずれかの構成を有する。
(1) 次の構成要素[A]、[B]、及び[C]を含む繊維強化樹脂基材の製造方法であって、少なくとも以下の引出工程、第1の含浸工程、第2の含浸工程、および引取工程を、構成要素[A]を走行させながら連続で順に実施する繊維強化樹脂基材の製造方法。
[A]強化繊維
[B]熱可塑性樹脂
[C]熱硬化性樹脂
<引出工程>構成要素[A]を含む連続強化繊維シートを引き出す工程
<第1の含浸工程>連続強化繊維シートの一方の面から構成要素[B]を含浸させ、第1の表面に構成要素[B]が配された繊維強化樹脂中間体を得る工程
<第2の含浸工程>前記第1の表面とは反対の第2の表面から構成要素[C]を含浸させ、繊維強化樹脂基材を得る工程
<引取工程>繊維強化樹脂基材を引き取る工程
(2) 次の構成要素[A]、[B]、及び[C]を含む繊維強化樹脂基材であって、一方の面である第1の表面側から構成要素[B]が構成要素[A]に含浸してなり、第1の表面とは反対の第2の表面側から構成要素[C]が構成要素[A]に含浸してなり、構成要素[C]についてDSCにより得られる硬化度が50%以下である繊維強化樹脂基材。
[A]強化繊維
[B]熱可塑性樹脂
[C]熱硬化性樹脂
本発明によれば、引き出された連続強化繊維シートに対して熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を順序は問わないものの連続的に含浸せしめて引き取ることにより、接合性や力学特性とともに取り扱い性や生産性を同時に満たす繊維強化樹脂基材を提供することができる。
本発明に係る繊維強化樹脂基材の模式図である。 本発明に係る繊維強化樹脂基材の観察断面の模式図である。 本発明に係る繊維強化樹脂基材の製造方法の一例の模式図である。 本発明に係る連続強化繊維シートの模式図である。 本発明に係る繊維強化樹脂中間体の模式図である。 本発明に係る繊維強化樹脂基材の模式図である。
以下、本発明について説明する。
<構成要素[A]>
本発明で用いる構成要素[A]の強化繊維としては、ガラス繊維、PAN系、ピッチ系、レーヨン系の炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維などがある。これらは、単独で用いてもよいし、適宜2種以上併用してもよい。これらの強化繊維は、表面処理が施されているものであっても良い。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などがある。これらの強化繊維の中には、導電性を有する強化繊維も含まれている。強化繊維としては、比重が小さく、高強度、高弾性率である炭素繊維、中でもPAN系の炭素繊維が、好ましく使用される。炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T700S−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T1100G−24K(以上、東レ(株)製)などが挙げられる。
構成要素[A]の強化繊維について、JIS R7608(2007)に記載の「炭素繊維−樹脂含浸ヤーン試料を用いた引張特性試験方法」に準拠して測定したストランド引張強度が5.5GPa以上であると、引張強度に加え、優れた接合強度を有する積層体繊維強化複合材料が得られるため、好ましい。当該ストランド引張強度が5.8GPaであると、さらに好ましい。ここで言う接合強度とは、ISO 4587(1995)に準拠して求められる、引張せん断接着強度を指す。
<構成要素[B]>
構成要素[B]を構成する熱可塑性樹脂としては特に制限はなく、例えば、(i)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂、(ii)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系樹脂、(iii)スチレン系樹脂やウレタン系樹脂の他や、(iv)ポリオキシメチレン、ポリアミド6やポリアミド66等のポリアミド、(v)ポリカーボネート、(vi)ポリメチルメタクリレート、(vii)ポリ塩化ビニル、(ix)ポリフェニレンスルフィド等のポリアリーレンスルフィド、(x)ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、(xi)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、(xii)ポリスルホン、変性ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、(xiii)ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等のポリアリーレンエーテルケトン、(ixx)ポリアリレート、(xx)ポリエーテルニトリル、(xxi)フェノール系樹脂、(xxii)フェノキシ樹脂などが挙げられる。また、これら熱可塑性樹脂は、上述の樹脂の共重合体や変性体、および/または2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。
これらの中でも、成形加工性と耐熱性や力学特性とのバランスから、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。他、汎用性の観点からポリオレフィン、ポリアミドが好ましい。ポリオレフィンでは、接着性の観点から反応性官能基を含むことが好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボジイミド基から選択される少なくとも1種で変性されてなるポリオレフィンであることが好ましい。とりわけ好ましくは、酸無水物基で変性されたポリオレフィンである。ポリアミドでは、構成要素[C]や他の熱可塑性樹脂との接着性の観点から共重合体を好ましく用いることができる。共重合体の中でも、3元共重合ポリアミドが好ましい。前記、ポリアミドの共重合体としては、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド6/66/610、が挙げられる。とりわけ好ましくは、メインとなる構成要素[B]との接着性の観点から、3元共重合体ポリアミド6/66/610である。構成要素[B]中に60重量%以上含まれることが好ましく、経済性の観点からは、ポリプロピレンが好ましく、表面外観の観点からポリカーボネートやスチレン系樹脂のような非晶性樹脂が好ましく、強度および生産性の観点からはポリアミドが好ましい。耐衝撃性向上のために、エラストマーもしくはゴム成分が添加されていても良い。
さらに、用途等に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、他の充填材や添加剤を含有しても良い。例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。
<構成要素[C]>
構成要素[C]に使用される熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、またはこれらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂がある。耐衝撃性向上のために、熱硬化性樹脂には、エラストマーもしくはゴム成分が添加されていても良い。中でも、エポキシ樹脂は、力学特性、耐熱性および強化繊維との接着性に優れるため、好ましい。エポキシ樹脂の主剤としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンなどが挙げられる。
<繊維強化樹脂基材>
[構成要素[A]の量]
本発明の繊維強化樹脂基材は、単位面積あたりの強化繊維量が30〜2,000g/mであることが好ましい。かかる強化繊維量が30g/m以上であると、例えば繊維強化樹脂積層体を成形する際に所定の厚みを得るため繊維強化樹脂基材を積層するが、その積層枚数を少なくすることができ、作業が簡便となりやすい。一方で、強化繊維量が2,000g/m以下であると、繊維強化樹脂基材のドレープ性が向上しやすくなる。また、好ましくは300g/m以下である。かかる範囲とすることで、後述の第2の含浸工程において構成要素[C]が含浸しやすくなり、製造速度を高速にすることができる。
本発明の繊維強化樹脂基材における構成要素[A]の質量含有率は、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、更に好ましくは40〜80質量%である。上記の上限のいずれかと下限のいずれかとの組み合わせによる範囲であってもよい。構成要素[A]の質量含有率が30質量%以上であると、樹脂の量が繊維対比多くなりすぎず、比強度と比弾性率に優れる積層体の利点が得られやすくなり、また、積層体の成形の際、硬化時の発熱量が過度に高くなりにくい。また、構成要素[A]の質量含有率が90質量%以下であると、樹脂の含浸不良が生じにくく、得られる積層体のボイドが少なくなりやすい。
[構成要素[B]の目付]
本発明の繊維強化樹脂基材における構成要素[B]の目付は、10g/m以上であると好ましい。10g/m以上であると、後述の別の部材との溶着接合において、充分な厚みの溶着接合層が得られ、優れた接合強度を発現する。より好ましくは20g/mである。上限値は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の量が強化繊維対比多くなりすぎず、比強度と比弾性率に優れる繊維強化樹脂基材を得るためには、好ましくは500g/m以下である。ここで目付とは、繊維強化樹脂基材1mあたりに含まれる構成要素[B]の質量(g)を指す。
また、本発明において構成要素[B]は繊維強化樹脂基材の第1の表面および第2の表面の一方または両方の全面を覆っていることが好ましい。全面を覆っていることで、繊維強化樹脂基材に接合性を付与できるだけでなく、構成要素[C]が構成要素[B]が覆っている表面に染み出すことを防ぐことが出来る。ここで、全面を覆っているとは、繊維強化樹脂基材の厚み方向への投影面において実質的に全面であればよく、構成要素[B]を連続強化繊維シートに含浸させるに際して、該連続強化繊維シートをその厚み方向へ投影したときの面積を100%とすると、構成要素[B]の非存在領域を0〜20%の範囲内とすることをいう。より好ましくは同様の観点から0〜10%の範囲内である。係る割合は、連続強化繊維シートをレーザー顕微鏡にて100倍の倍率に拡大し、観察される視野から構成要素[B]の面積を求め、観察視野から差分を得ることで求めることができる。
[構成要素[C]中の構成要素[A]の量]
本発明の繊維強化樹脂基材においては、構成要素[C]に含浸している構成要素[A]の体積が、繊維強化樹脂基材に含まれる構成要素[A]の総体積の50〜99%であることが好ましく、より好ましくは75〜95%である。構成要素[C]に含浸している構成要素[A]とは、本発明による繊維強化樹脂基材が、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の層と、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域の層とを有することが好ましいところ、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域内に存在する構成要素[A]を意味する。ここで、「主成分とする」とは構成する樹脂成分を100質量%とした際に、50質量%〜100質量%含有することを意味する。構成要素[C]に含浸している構成要素[A]の量の好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい。かかる範囲とすることで、後述の別の部材と繊維強化樹脂基材とを構成要素[B]を溶融させて溶着接合する際に、溶着界面近傍にある強化繊維が乱れることを抑制できるとともに、本発明の繊維強化樹脂基材が、構成要素[A]および構成要素[C]を含む複合材料固有の力学特性、熱特性、耐薬品性などの特徴を発現しやすくなる。
構成要素[C]に含浸している構成要素[A]の量の測定方法としては、例えば、構成要素[C]を硬化させた本発明の繊維強化樹脂基材の小片のX線CT画像を用いて、セグメンテーション解析を行い、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域中に存在する構成要素[A]の体積を、上記小片中に含まれる構成要素[A]の総体積で除して割合[%]を求める方法、あるいは、構成要素[C]を硬化させた本発明の繊維強化樹脂基材の小片の、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)により得られた断面観察写真から、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域中に存在する構成要素[A]の面積を、小片全体に含まれる構成要素[A]の面積で除して割合[%]を求める方法が例示される。測定に用いる繊維強化樹脂基材は、観察において構成要素[B]を主成分とする樹脂領域と構成要素[C]を主成分とする樹脂領域とのコントラストを調整するために、染色しても良い。中でも、含有量を精密に計測できるという観点からは、セグメンテーション解析にて測定されることが好ましい。
[厚み割合]
構成要素[B]を主成分とする樹脂領域と構成要素[C]を主成分とする樹脂領域とを有する本発明の繊維強化樹脂基材においては、最終的に得られた繊維強化樹脂基材の厚みを100%としたとき、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の厚み割合が2〜54%、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域の厚み割合が98〜46%の範囲内であることが好ましい。構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の厚み割合が、2〜54%の範囲内であることにより、表面に配置される構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の厚みにより、繊維強化樹脂基材のドレープが悪化するのを防ぐことができる。さらに、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の厚みが本発明の範囲内であることにより、構成要素[B]を含浸させる時に構成要素[B]の破れや裂けなどを防ぐことができる。好ましくは、5〜30%の範囲内である。かかる厚み割合の測定の方法は、例えば、構成要素[C]を硬化させた本発明の繊維強化樹脂基材の小片のX線CT画像を用いて、セグメンテーション解析を行い、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の体積と構成要素[C]を主成分とする樹脂領域の体積をそれぞれ算出して体積割合から算出する方法、あるいは、構成要素[C]を硬化させた本発明の繊維強化樹脂基材の小片の光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)により得られた断面観察写真から、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域の面積と構成要素[C]を主成分とする樹脂領域の面積とを求めて面積割合から算出する方法が例示される。中でも、含有量を精密に計測できるという観点からは、セグメンテーション解析にて測定されることが好ましい。
[含浸率]
本発明の繊維強化樹脂基材においては、含浸率が80%以上であることが好ましい。かかる含浸率は、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。ここでの含浸率とは、繊維強化樹脂基材に樹脂がどの程度含浸しているかの割合を直接測定するのではなく、樹脂が含浸しない箇所を特定の方法で測定し、繊維強化樹脂基材の外形形状から定まる総断面積との差から求めるものである。含浸率が大きいほど、繊維強化樹脂基材中に含まれる空隙が少ないことを意味し、両外観、高力学特性の繊維強化樹脂基材を得ることが出来る。
測定方法としては、得られた繊維強化樹脂基材の長尺方向と直交する断面観察において、繊維強化樹脂基材中の空隙部を含む繊維強化樹脂基材の総断面積をA0、空隙の断面積A1としたときに以下の式(1)によって求められる値である。
含浸率=(A0−A1)/A0・・・(1)
[接着強度]
本発明の繊維強化樹脂基材においては、構成要素[B]を主成分とする樹脂領域と構成要素[C]を主成分とする樹脂領域との接着強度が1N/10mm以上であることが好ましい。かかる構成によれば、得られた繊維強化樹脂基材を取り扱う際に、構成要素[C]を主成分とする樹脂領域から構成要素[B]を主成分とする樹脂領域がはがれることを防ぐことができる。同様の観点からより好ましくは10N/10mm以上である。上限に特に制限はないが、実用上100N/10mmもあれば十分である。
かかる接着強度は、次の様に求めることができる。JIS Z0237(2009)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に記載の「10.4 引き剥がし粘着力の測定」に従い、繊維強化樹脂基材を幅10mm、長さ100mmでカットし、SUS材からなる平板に固定して試験片とする。この試験片について1000mm/分の速度にて構成要素[B]を主成分とする樹脂領域を180度方向にピール剥離し、そのときの荷重の単純平均値をもって接着強度とする。
[粗さ平均長さ、粗さ平均高さ]
本発明の繊維強化樹脂基材においては、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との境界面をまたいで両樹脂領域に含まれる構成要素[A]が存在している。そして、繊維強化樹脂基材を平面視したとき、かかる両樹脂領域に含まれる任意の構成要素[A]の繊維方向に対し、時計回りか反時計回りかを問わず45度異なる角度の方向から、上記両樹脂領域をまたいで存在する構成要素[A]の繊維が含まれる繊維強化樹脂基材平面に垂直な断面、すなわち、繊維強化樹脂基材平面方向に対し垂直にカットして得られる断面において、両樹脂の境界面が形成する曲線の、JIS B0601(2001)で定義される粗さ平均長さRSmが100μm以下であり、粗さ平均高さRcが3.5μm以上であることが好ましい。粗さ平均高さRcは10μm以上であることがより好ましい。
なお、樹脂領域の境界面をまたいで両樹脂領域に含まれるということについて、図2を用いて示す。図2の観察画像9において、構成要素[B]を含む樹脂領域7は構成要素[C]を含む樹脂領域8と密着しており、観察画像9において境界面10として図示されている。また、境界面10上には複数の構成要素[A]6が存在している。このように強化繊維の周囲に構成要素[B]および構成要素[C]が接している状態は、強化繊維が「境界面をまたいで両樹脂領域に含まれる」状態といえる。かかる[A]の強化繊維が存在することで、構成要素[C]を含む樹脂領域の強度が向上し、接合強度が向上する。
構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との境界面をまたいで両樹脂領域に含まれる強化繊維が存在することで、構成要素[B]を含む樹脂領域の強度が向上し、接合強度が向上する。構成要素[A]が境界面をまたいで構成要素[B]および構成要素[C]と化学的または/および物理的に結合することにより、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との密着力が向上する。境界面をまたいで存在する構成要素[A]の本数は1本以上あれば良く、上限本数は、特に限定されないが、後述の観察範囲においては200本である。
構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との境界面は、繊維強化樹脂基材の平面視において、前記両樹脂領域に含まれる構成要素[A]の任意の繊維方向に対し、時計回りか反時計回りかを問わず45度異なる角度の方向から、上記両樹脂領域をまたいで存在する構成要素[A]が含まれる繊維強化樹脂基材平面に垂直な断面において観察される。かかる断面で、当該境界面における樹脂領域の態様を観察することで、繊維方向およびこれと直交する方向の密着力を同時に評価することが出来る。
かかる断面観察において、当該境界面が形成する曲線(以下、断面曲線という)の、JIS B0601(2001)で定義される粗さ平均長さRSmが100μm以下であると、化学的または/および物理的な結合力のみならず、交絡という機械的な結合力(すなわちアンカー効果)も加わり、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域とが剥離しにくくなる。下限値は、特に限定されないが、応力集中による機械的な結合力の低下を忌避するという観点から、好ましくは15μm以上である。また、断面曲線の粗さ平均高さRcが3.5μm以上であると、交絡による機械的な結合力の発現のみならず、境界面をまたいで存在する構成要素[A]が構成要素[B]および構成要素[C]と化学的または/および物理的に結合し、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との密着力が向上する。断面曲線の粗さ平均高さRcの好ましい範囲としては、構成要素[A]が両樹脂領域に含まれやすくなり密着力がより向上する10μm以上であり、特に好ましくは20μm以上である。上限値は、特に限定されないが、応力集中による機械的な結合力の低下を忌避するという観点から、好ましくは100μm以下である。
ここで、断面曲線の粗さ平均高さRcおよび粗さ平均長さRSmの測定方法としては、公知の手法を用いることが出来る。例えば、構成要素[C]を硬化させた後、X線CTを用いて取得した断面画像から測定する方法、エネルギー分散型X線分光器(EDS)による元素分析マッピング画像から測定する方法、光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察画像から測定する方法などが挙げられる。観察において、構成要素[B]および/または構成要素[C]はコントラストを調整するために、染色されても良い。上記のいずれかの手法により得られる画像において、500μm四方の範囲において、粗さ平均高さRcおよび粗さ平均長さRSmを測定する。中でも、含有量を精密に計測できるという観点からは、セグメンテーション解析にて測定されることが好ましい。
断面曲線の粗さ平均高さRcおよび粗さ平均長さRSmの測定方法の一例を、図2を用いて示す。図2に示される観察画像9において、構成要素[B]を含む樹脂領域7は構成要素[C]を含む樹脂領域8と密着しており、それらの境界面は観察画像9において境界面10として図示されている。また、境界面10上には複数の構成要素[A]6が存在している。そして、この長方形型の観察画像9の、構成要素[C]を含む樹脂領域側の端部11を基準線として、構成要素[C]を含む樹脂領域8から構成要素[B]を含む樹脂領域7に向かって複数本の垂基線12を描く。このとき複数本の垂基線12は、基準線方向に5μm間隔となるように描く。基準線から描かれる垂基線が初めて構成要素[B]と交わる点をプロットし、プロットされた点を結んだ線を断面曲線13とする。得られた断面曲線13につき、JIS B0601(2001)に基づくフィルタリング処理を行い、断面曲線13の粗さ平均高さRcおよび粗さ平均長さRSmを算出する(以下、これを「断面曲線要素の測定方法1」と称する)。
<繊維強化樹脂基材の製造方法>
本発明に係る繊維強化樹脂基材の製造方法では、引出工程、第1の含浸工程、第2の含浸工程、および引取工程を、構成要素[A]を走行させながら連続で実施する。
ここで、構成要素[A]を走行させながら連続で実施するとは、ロールまたはベルトにより、構成要素[A]を止めることなく走行させて各工程に供することであり、引出工程、第1の含浸工程、第2の含浸工程、および引取工程がこの順で連続で実施されることで、基材の製造コストを下げることが出来、経済性に優れるものとなる。
図3を用いてより詳細に説明する。本発明に係る繊維強化樹脂基材19は、構成要素[A]14と、構成要素[B]15と、構成要素[C]16とを含んでおり、少なくとも引出工程22と第1の含浸工程23と第2の含浸工程24と引取工程26とを連続的に含む工程により製造される。引出工程22では、構成要素[A]14を含む連続強化繊維シート17が得られ、第1の含浸工程23では、繊維強化樹脂中間体18が得られ、第2の含浸工程24では、繊維強化樹脂基材19が得られる。また、第2の含浸工程24と引取工程26との間に、硬化工程25をさらに含むことが好ましい。すなわち、図3に一例が例示される工程22〜26までが一連の流れで行われることにより、高い生産性で繊維強化樹脂基材を得ることができる。ただし、本発明の範囲は図3に例示される工程に限定されるものではない。
<引出工程>
本発明において引出工程は、構成要素[A]を含む連続強化繊維シートを引き出す工程であり、例として、クリール等に配置された構成要素[A]のボビンから糸条を解舒して引き揃え、シート状の連続強化繊維シートを得て導く工程である。その際、構成要素[A]の目付や幅を調整するために、糸条を引き揃える前または/および後に開繊工程を含んでいても良い。また、糸条を引き揃えた後に織機を通して、横糸に補助繊維糸条を用いて織物としたものを連続強化繊維シートとして導いてもよい。この時の補助繊維は、構成要素[A]と同一の繊維でも、別の繊維でもよい。連続強化繊維シートは、糸条から得て直接次工程へ供することで、整経または部分整経(ビーミング)される場合よりも製造コストが抑えられるため好ましい。さらに、予め構成要素[A]を用いて織物とされたものを引き出しても良い。連続強化繊維シートに含まれる構成要素[A]は、一方向に配置または織物状に交差するように配置することで、構成要素[A]の繊維方向において優れた比強度を有する繊維強化樹脂基材が得られる。比強度およびコストの観点からは、連続強化繊維シートに含まれる構成要素[A]が一方向に配置されることがより好ましい。
本発明の引出工程で得られる連続強化繊維シートについて図4を用いて説明する。図4に示される連続強化繊維シート17は、構成要素[A]14を含んでおり、その断面は断面αに示される。連続強化繊維シートは第1の表面20と第2の表面21という相対する2つの表面を有しており、後述の第1の含浸工程および第2の含浸工程において、これらの面から構成要素[B]および構成要素[C]のそれぞれが含浸される。ただし、本発明の範囲は図4に例示される工程に限定されるものではない。
構成要素[A]の糸条は、同一の形態の複数本の繊維から構成されていても、あるいは、異なる形態の複数本の繊維から構成されていても良い。一つの構成要素[A]の糸条を構成する強化繊維数は、通常、300〜60,000であるが、基材の製造を考慮すると、好ましくは、300〜48,000であり、より好ましくは、1,000〜24,000である。上記の上限のいずれかと下限のいずれかとの組み合わせによる範囲であってもよい。
<第1の含浸工程>
本発明に係る製造方法では、引出工程の後に、連続強化繊維シートの一方の面から構成要素[B]を含浸させ、第1の表面に、構成要素[B]が配置された繊維強化樹脂中間体を得る工程を含む。第1の含浸工程において得られる繊維強化樹脂中間体について、図4および図5を用いて説明する。構成要素[B]15は、図4の断面αにおける第1の表面20から連続強化繊維シート17に含浸される。その結果、図5の断面βのような断面を有する繊維強化樹脂中間体18が得られる。ここで、繊維強化樹脂中間体18の第1の表面20は、前述の構成要素[B]15が覆っている。ただし、本発明の範囲は図4、図5に例示される工程に限定されるものではない。また、構成要素[B]が配置されているとは、第1の表面の80%以上が覆われていることを意味している。
本発明の製造方法においては、第1の含浸工程において構成要素[B]が含浸されることで、後述の第2の含浸工程において構成要素[C]が含浸する際に第1の表面に構成要素[C]が露出するまたは/および回り込むことを防ぐことが出来るため好ましい。
[含浸]
構成要素[B]を連続強化繊維シートの一方の面に配置し、加圧して含浸せしめ繊維強化樹脂中間体を得る。かかる方法について特に限定はないが、構成要素[B]をフィルムや不織布といったシート形状で連続強化繊維シートの第1の表面に積層し、続いて加熱して溶融状態とし、連続強化繊維シートに含浸させた上で冷却することにより繊維強化樹脂中間体を得る方法、構成要素[B]を溶融状態で連続強化繊維シートの第1の表面に付着させ、続いて連続強化繊維シートに含浸させたうえで冷却することにより繊維強化樹脂中間体を得る方法が挙げられる。構成要素[B]をシート形状とする方法は、構成要素[B]の目付を安定させることが出来るため好ましく、一方、構成要素[B]を溶融した状態で連続強化繊維シートに付与する方法は、製造コストの面から好ましい。
シート形状とした構成要素[B]を第1の表面に積層した後、加熱する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、遠赤外線ヒータ、高温オーブン、誘導加熱による非接触の予熱方法、または、加熱したロールまたはベルトに接触させることにより予熱する方法などである。中でも、遠赤外線ヒータあるいは高温オーブンの槽の中を通す方法が、温度コントロールの観点からは好ましい。
溶融した構成要素[B]を第1の表面に付着させる方法について特に限定は無いが、公知の方法を用いることができる。中でも、ディッピングもしくはコーティングが好ましい。ここで、ディッピングとは、例えば、ポンプにて構成要素[B]を溶融バスに供給し、該溶融バス内に連続強化繊維シートを通過させる方法をいう。連続強化繊維シートを溶融バスに浸すことで、確実に構成要素[B]を連続強繊維化シートに付着させることができる。また、コーティングとは、例えば、リバースロール、正回転ロール、キスロール、アプリケータ、スプレイ、カーテンなどのコーティング手段を用いて、連続強化繊維シートに構成要素[B]を塗布する方法をいう。
リバースロール、正回転ロール、キスロールとは、ポンプで溶融させた構成要素[B]をロールに供給し、連続強化繊維シートに構成要素[B]の溶融物を塗布する方法をいう。さらに、リバースロールは、2本のロールが互いに逆方向に回転し、ロール上に溶融した構成要素[B]を塗布する方法であり、正回転ロールは、2本のロールが同じ方向に回転し、ロール上に溶融した構成要素[B]を塗布する方法である。通常、リバースロール、正回転ロールでは、連続強化繊維シートを挟んで、該連続強化繊維シート上に構成要素[B]を転写させ、さらに別のロールで挟むことにより、構成要素[B]を確実に付着させる方法が用いられる。一方で、キスロールは、連続強化繊維シートとロールとを接触せしめるだけで、構成要素[B]を付着させる方法である。そのため、キスロールは比較的樹脂の粘度の低い場合に使用することが好ましい。しかしながら、いずれのロール方法を用いても、加熱溶融した構成要素[B]の所定量を塗布させ、前記連続強化繊維シートに接着させながら走らせることで、連続強化繊維シートの単位長さ当たりに所定量の構成要素[B]を付着させることができる。
また、スプレイは、霧吹きの原理を利用したもので、溶融した構成要素[B]を霧状にして連続強化繊維シートに吹き付ける方法であり、カーテンは、溶融した構成要素[B]を小孔から自然落下させ塗布する方法、または溶融槽からオーバーフローさせ塗布する方法である。塗布に必要な量を調節しやすいため、構成要素[B]の損失を少なくできる。アプリケータは、溶融した構成要素[B]を小孔から吐出し、連続強化繊維シートを接触させながら走らせることで、連続強化繊維シートの単位長さ当たりに所定量の構成要素[B]を付着させることができる。構成要素[B]の粘度の影響を受けにくく、製造速度を上げられるという観点からは、アプリケータが好ましく用いられる。
ここで、本発明においては、繊維強化樹脂基材の厚み方向への投影面において、含浸される前の構成要素[B]の投影面積に対する構成要素[B]の貫通孔の投影面積の割合が0〜20%の範囲内であることが好ましい。すなわち、構成要素[B]を連続強化繊維シートに含浸させるに際して、該連続強化繊維シートをその厚み方向へ投影したときの面積を100%とすると、構成要素[B]の非存在領域を0〜20%の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは同様の観点から0〜10%の範囲内である。このような構成とすることで、繊維強化樹脂基材において構成要素[C]が構成要素[B]の側の外表面にまでしみ出すことを防ぐことでき、繊維強化樹脂基材の表面べたつきを低減させることができることから好ましい。かかる割合は、連続強化繊維シートをレーザー顕微鏡にて100倍の倍率に拡大し、観察される視野から構成要素[B]の面積を求め、観察視野から差分を得ることで求めることができる。
また、構成要素[B]の非存在領域を0〜20%の範囲内にするということは、換言すれば第1の表面の80%以上を構成要素[B]で覆うということである。このようにすることで、繊維強化樹脂基材に優れた接合性を付与することが出来る。そして、第1の表面を完全に構成要素[B]で覆う場合、すなわち構成要素[B]の非存在領域を0%とする場合には、後述の第2の含浸工程にて構成要素[C]を含浸する際に、第1の表面に構成要素[C]が露出するまたは/および回り込むことを防ぐことが出来るため好ましい。
構成要素[B]は、連続強化繊維シートへの付着・溶融と同時または/および後に、適宜加圧される。加圧する方法について特に限定は無いが、リバースロール、正回転ロール、キスロール、アプリケータ、ベルトによって構成要素[B]を加熱する場合には、加熱と同時に圧力を加える方法が挙げられる。または、構成要素[B]の連続強化繊維シートへの付着・溶融後に、ロールやベルトからなる加圧部を設ける方法が挙げられる。なお、構成要素[B]の粘度が低い場合には加圧は必ずしも必要としない。
構成要素[B]が連続強化繊維シートへ含浸されることで得られる繊維強化樹脂中間体は、冷却されることが好ましい。冷却する方法について特に限定は無いが、公知の方法を用いることができる。例えば、温調槽、送風機による非接触冷却、または温調されたロールまたはベルトに接触させることによる接触冷却を利用出来る。中でも、温調されたロールまたはベルトに接触させる方法が、温度コントロールの観点から好ましく、構成要素[B]の溶融後の加圧工程を兼ねることが出来るため、好ましい。
[繊維強化樹脂中間体の温度]
第1の含浸工程直後の繊維強化樹脂中間体の温度は、70〜180℃であることが好ましい。加えて、第2の含浸工程直前の上記中間体の温度も上記範囲であることがより好ましい。かかる範囲とすることで、後述の第2の含浸工程における構成要素[C]の繊維強化樹脂中間体の熱による熱分解または反応暴走が起きにくく、同時に構成要素[C]が加熱されるため、繊維強化樹脂中間体への含浸性が向上する。熱分解または反応暴走を確実に起こさないという観点から、上記中間体の温度はより好ましくは150℃以下である。また、含浸性を向上させる観点から、下限は90℃以上であることがより好ましい。
<第2の含浸工程>
本発明に係る製造方法では、第1の含浸工程の後に、第1の表面とは反対の第2の表面から構成要素[C]を含浸させ、繊維強化樹脂基材を得る工程を含む。本発明の第1の含浸工程において得られる繊維強化樹脂中間体について、図5および図6を用いて説明する。前述の第1の含浸工程において得られる繊維強化樹脂中間体18に対し、前記構成要素[C]が、第2の表面21より繊維強化樹脂中間体18に含浸されることで、図6の断面γのような断面を有する繊維強化樹脂基材19が得られる。一般に熱可塑性樹脂の溶融温度は熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高いものが多いため、構成要素[B]を溶融・含浸させるための加熱に伴う構成要素[C]の熱分解のリスクを低下させることができる。ただし、本発明の範囲は図5または/および図6に例示される工程に限定されるものではない。
[含浸]
構成要素[C]を前記繊維強化樹脂中間体の第1の表面とは反対の第2の表面から含浸させる方法は、構成要素[C]をシート形状で連続強化繊維シートに含浸させる方法、構成要素[C]を溶融状態で連続強化繊維シートに含浸させる方法(ディッピング又はコーティング)などが挙げられる。
構成要素[C]をシート形状として含浸させる方法としては、フィルムや不織布などのシート形状とした構成要素[C]を第2の表面に積層した後、加熱することで含浸させることが出来るが、例えば、遠赤外線ヒータ、高温オーブン、誘導加熱による非接触の予熱方法、または加熱したロールまたはベルトに接触させることにより予熱することが出来る。中でも、遠赤外線ヒータあるいは高温オーブンの槽の中を通す方法が、温度コントロールの観点からは好ましい。構成要素[C]をシート形状とすることで、連続強化繊維シートに含浸させる構成要素[C]の目付を安定させることが出来る。
一方、構成要素[C]を溶融状態で連続強化繊維シートに含浸させる方法としては、ディッピング又はコーティングを例示できる。構成要素[C]を溶融した状態で前記繊維強化樹脂中間体に付与することで、製造コストを抑えることが出来る。
繊維強化樹脂中間体に構成要素[C]を付着させる方法はディッピングまたはコーティングであることが好ましい。中でも、コーティングがより好ましく、前述の通り例示したコーティングの中でも、製造速度を上げられるという観点からは、スプレイ、カーテン、アプリケータが好ましく用いられる。また、ディッピングにより構成要素[C]を付与する際、構成要素[B]が含浸している第1の表面上に構成要素[C]が付着した場合には、構成要素[B]上に付着した構成要素[C]を拭き取る工程をさらに有することが好ましい。構成要素[B]が表面に存在することで発現する繊維強化樹脂基材の接合性を担保することが出来る。
また、製造コストの観点からは、粘度5Pa・s未満で溶融状態の構成要素[C]を、ディッピング又はコーティングにより、繊維強化樹脂中間体の前記第2の表面に付与し、含浸させることがより好ましい。より好ましくは、1Pa・s以下である。かかる範囲とすることで、含浸性を向上させることが出来るだけでなく、ロールやアプリケータなどを接触しながら構成要素[C]付与する場合または/および加圧を行う場合、ロールやアプリケータなどのツールへの抵抗が減ることにより繊維強化樹脂中間体の張力を低下させることが出来、製造速度を上げることが出来る。下限値は特に限定されないが、0.001Pa・s以上であることで、構成要素[C]の大幅な熱分解を避け、含浸させることができる。
繊維強化樹脂中間体に構成要素[C]を付着させる際においては、繊維強化樹脂基材の走行方向へ投影したときの構成要素[C]の投影面積が、前記構成要素[A]の繊維方向への投影面積に対し80〜120%の範囲内となるよう構成要素[C]を付与することが好ましい。かかる範囲で付与することで、繊維強化樹脂中間体への構成要素[C]の含浸が容易となる。そのため、構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させるに際しては、得られる繊維強化樹脂基材において、その走行方向へ投影したときの構成要素[C]の投影面積が、構成要素[A]の投影面積に対し80〜120%の範囲内となるよう構成要素[C]を付与する。係る投影面積が80%以上であると、繊維強化樹脂基材において構成要素[C]が存在していない、すなわち含浸していない箇所を少なくすることができるため好ましい。また、120%以下であることにより、繊維強化樹脂基材の投影面積から外れた構成要素[C]の脱落が顕著となることによって引き起こされる装置周辺の汚染を低減したり、繊維強化樹脂基材に使用されず脱落する構成要素[C]の量を少なくすることができることから、歩留まりが良好となり経済性に優れる。より好ましくは、90〜110%の範囲内である。
また、第2の含浸工程としては、構成要素[C]を付着した繊維強化樹脂中間体を、該構成要素[C]の溶融と同時または後に、ロールまたはベルト、プレートなどにより擦過、ニップ又は張力付与し、構成要素[C]を構成要素[A]の糸束内部方向へ加圧し、含浸させることが好ましい。かかる方法により、走行速度を低下させることなく、繊維強化樹脂中間体への構成要素[C]の含浸性を高めることが出来る。含浸機構の簡便さの観点から擦過やロールを用いた機構を好ましく用いることができる。
なお、上述のようにして構成要素[C]を含浸せしめた後に、該構成要素[C]を含む樹脂領域の層の表面に、前述と同様の構成要素[B]を含む樹脂領域の層をさらに設けてもよい。両表面に構成要素[B]を設けることで、繊維強化樹脂基材のソリを低減することが出来る。
[構成要素[C]の硬化度]
本発明において得られる繊維強化樹脂基材においては、後述の硬化工程を経る前における構成要素[C]のDSCにより得られる硬化度が50%以下であることが好ましい。ここで硬化度は、樹脂を調製した直後の構成要素[C]の硬化発熱量(H0)および引取工程直後の繊維強化樹脂基材の残発熱量(H1)を、不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分にて、示差走査熱量分析で評価し、発熱反応として現れるピークの面積をそれぞれの発熱量として算出し、以下の式(2)によって求められる値である。
硬化度(%)=[(H0−H1÷Wr)×100/H0]・・・(2)
なお、Wrは繊維強化樹脂基材中に含まれる構成要素[C]の質量含有率を示している。質量含有率Wrの測定方法は特に限定されないが、例えば、繊維強化樹脂基材の構成要素[C]を硬化させた後の繊維強化樹脂基材の質量W1、該繊維強化樹脂基材中の構成要素[B]を溶媒等により取り除いた後の質量W2、続いて空気中500℃で1時間加熱して樹脂成分を焼き飛ばした後の質量W3を測定し、以下の式(3)によって求められる。
Wr(%)=(W3−W2)/W1・・・(3)
かかる範囲とすることで、本発明の繊維強化樹脂基材にタック性を付与することが出来る。繊維強化樹脂基材にタック性があると、積層した際に本発明の繊維強化樹脂基材とその他のプリプレグなどの繊維強化樹脂基材とが貼り付くことで、繊維方向がずれにくく、優れた力学特性を持つ積層体が得られる。
<硬化工程>
[硬化]
本発明に係る製造方法では、第2の含浸工程の後に、繊維強化樹脂基材を加熱することで、構成要素[C]を硬化する工程を含んでも良い。かかる硬化工程を含むことで、本発明に係る製造方法により得られる繊維強化樹脂基材を用いて、射出樹脂等との一体化成形品を成形する際に、繊維強化樹脂基材の構成要素[C]を硬化するために、一体化成形の前後に繊維強化樹脂基材を加熱する必要がなくなる。さらに、繊維強化樹脂基材のハンドリング性も向上するため好ましい。
硬化工程は、第2の含浸工程と引取工程との間に含まれていても、引取工程の後に含まれていても良い。好ましくは、第2の含浸工程と引取工程との間である。
構成要素[C]を硬化するため加熱する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、遠赤外線ヒータ、高温オーブン、誘導加熱による非接触の予熱方法、または加熱したロールまたはベルトに接触させることにより予熱することが出来る。中でも、遠赤外線ヒータあるいは高温オーブンの槽の中を通す方法が、温度コントロールの観点からは好ましい。
さらに、硬化工程においては加圧をしながら繊維強化樹脂基材を加熱および硬化してもよい。これによって、繊維強化樹脂基材中のボイドを減らすことが出来るため好ましい。加圧する手法としては特に限定は無いが、例えば、ロールやベルトによる加圧が挙げられる。
[構成要素[C]の硬化度(硬化工程後)]
前記硬化工程を経た構成要素[C]は、上記式(2)により得られる硬化度が50%よりも大きいことが好ましい。もしくは、式(2)によらずとも、既知の方法で実質的に完全な硬化物であるか否かを確認して明らかに硬化度50%よりも大きいかを判定してもよい。本来、繊維強化樹脂基材の表面には離型フィルムや保護フィルムを別途被せることが好ましいが、硬化工程を経て構成要素[C]の硬化度をかかる範囲とすることで、構成要素[B]や構成要素[C]の上に離型フィルムや保護フィルムを別途被せる必要がなくなり、ハンドリング性が向上する。なお、例えば異なる理由により離型フィルムや保護フィルムをそのまま被せても、もちろんよい。該硬化度は、より好ましくは80%以上の範囲である。かかる範囲とすることで、繊維強化樹脂基材を用いて射出樹脂等との一体化成形品を成形する際、繊維強化樹脂基材の構成要素[C]を硬化するために、一体化成形の前後に繊維強化樹脂基材を加熱する時間を減らすことが出来る。
<引取工程>
本発明に係る製造方法では、第2の含浸工程の後に、繊維強化樹脂基材を引き取る工程を含む。なお、第2の含浸工程と引取工程との間に上述の硬化工程があってもよい。
引取工程では、巻取部に繊維強化樹脂基材を巻き取っても良く、巻き取らずにATP装置やAFP装置、スリット装置、カット装置などの装置に導入し、別の工程に連続的に供しても良い。巻き取る場合には、繊維強化樹脂基材の第1の表面や第2の表面に離型紙や保護フィルムを供給しても良い。離型紙や保護フィルムを供給することで、第2の表面に存在する構成要素[C]が巻き取り時の内層にある繊維強化樹脂基材の第1の表面と粘着することを防ぐことが出来るため、好ましい。
引取時の速度は、0.1m/min以上であることが好ましい。かかる範囲とすることで、連続的に繊維強化樹脂基材を得ることが出来る。生産性の観点からより好ましくは、1m/min以上であり、構造部材のプロセス要求の観点からより好ましくは5m/min以上である。
<一体化成形品>
本発明の一体化成形品は、前記繊維強化樹脂基材に別の部材、すなわち前記繊維強化樹脂基材を構成する部材と同種および/または異種の部材(被着材)を、該繊維強化樹脂基材の表面に存在する構成要素[B]に接合させて、該構成要素[B]を通して前記繊維強化樹脂基材と一体化(溶着)することで得られる。異種の部材(被着材)としては、熱可塑性樹脂からなる部材、金属材料からなる部材などが挙げられる。熱可塑性樹脂からなる部材には、強化繊維やフィラー等が含まれていても良い。一体化手法は特に制限はなく、例えば、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、抵抗溶着、誘導溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形などを挙げることができる。
<用途>
本発明の一体化成形品は、航空機構造部材、風車羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピューター用途さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどスポーツ用途に好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
(1)硬化度
硬化度は、示差走査熱量計(DSC)(RCS(機械式冷凍冷却システム)付きQ2000、ティー・エイ・インスツルメンツ社製)を用いて、前記式(2)により測定した。
(2)構成要素[C]の樹脂領域中の構成要素[A]の量
繊維強化樹脂基材を2枚の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の表面の間に挟み、10日間40℃で徐々に繊維強化樹脂基材内の熱硬化性樹脂を硬化させる。硬化後、繊維強化樹脂基材から、10mm×1mmの小片を切り出し、X線CT装置でFOV500μmにて撮影し、セグメンテーション解析を行う。なお、測定装置としてはX線顕微鏡“nano3DX(登録商標)”((株)リガク製)を使用した。解析結果より、構成要素[A]の総体積に対する、構成要素[C]の樹脂領域中に存在する構成要素[A]の割合[%]を算出した。測定数はn=3とし、平均値を構成要素[C]の樹脂領域中の構成要素[A]の量[%]とした。
(3)含浸率
繊維強化樹脂基材の、構成要素[A]の繊維軸方向と直交する断面において、光学顕微鏡を用いて500倍の断面画像を撮影し、前記式(1)に基づき、含浸率を測定した。測定数はn=5とし、平均値を含浸率とした。
(4)生産性
製造時の引き取り速度、構成要素[A]の破断回数、工程数などから、単位時間当たりの生産可能な数量を総合的に判断し、10分あたりに得られる繊維強化樹脂基材の量が250g以上であるものをA(特に良好)、100g〜250gであるものをB(良好)、50g〜100gであるものをC(普通)、それ未満をD(劣る)として、4段階で相対的に評価した。
(5)比強度
比強度は以下の式により求めた。
比強度[MPa/(g/cm)]=引張強さ[MPa]/密度[g/cm
引張強さは、後述の繊維強化複合材料から試験片を切り出し、ISO527−3法(1995)に従い測定した。本発明の製造方法における構成要素[A]の繊維方向について切り出した試験片を作製し、測定数はn=5とし、平均値を引張強さとした。測定装置としては“インストロン(登録商標)”5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
密度は、JIS K7112:A法(1999)に従い、測定した。
(6)粗さ平均長さRSmおよび粗さ平均高さRc
繊維強化樹脂基材を用い、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域の両方に含まれる[A]の任意の繊維方向に対し、プリプレグ(繊維強化樹脂基材)の平面視における45度の角度にて、プリプレグ平面方向に対し垂直にカットした断面において、光学顕微鏡を用いて、1000倍の画像を撮影した。得られた画像中の任意の500μm四方の観察範囲において、前記断面曲線要素の測定方法1により得られる断面曲線要素のJIS B0601(2001)で定義される、粗さ平均長さRSmおよび粗さ平均高さRcを測定した測定数はn=5とし、平均値を粗さ平均長さRSmおよび粗さ平均高さRcとした。
(7)曲げ弾性率、曲げ強度
一体化成形品および射出成形品の曲げ弾性率および曲げ強度は、室温(25℃)において、ISO178法(2001)に従い測定した。試験片としては、構成要素[A]の繊維方向について切り出した試験片を作製し、測定数はn=5とし、平均値を曲げ弾性率[GPa]および曲げ強度[MPa]とした。
(8)使用した材料、器具
[炭素繊維(1)]
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、及び表面酸化処理を行い、総単糸数12,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
密度:1.8g/cm
引張強度:4600MPa
引張弾性率:220GPa
[ガラス繊維(1)]
集束処理を施した総単糸数1,600本の連続した連続E−ガラス繊維を使用した。この連続E−ガラス繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:13μm
引張強度:3400MPa
引張弾性率:72GPa
引張伸度:3%
密度:2.6g/cm
[織物(1)]
織物として、炭素繊維織物“トレカ(登録商標)”C06343(東レ(株)製)を使用した。この織物の特性は次に示す通りであった。なお、この織物(1)に用いられている炭素繊維を、炭素繊維(2)とする。
単繊維径:7.0μm
組織:平織
目付:200g/m
[強化繊維マット(1)]
炭素繊維(1)をカートリッジカッターで5mmにカットし、チョップド炭素繊維を得た。水と界面活性剤(ナカライテクス(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))とからなる濃度0.1質量%の分散液を作製し、この分散液とチョップド炭素繊維とから、強化繊維マットの製造装置を用いて、強化繊維マット(1)を製造した。製造装置は、分散槽としての容器下部に開口コックを有する直径1000mmの円筒形状の容器と、分散槽と抄紙槽とを接続する直線状の輸送部(傾斜角30°)を備えている。分散槽の上面の開口部には撹拌機が付属し、開口部からチョップド炭素繊維及び分散液(分散媒体)を投入可能である。抄紙槽が、底部に幅500mmの抄紙面を有するメッシュコンベアを備える槽であり、炭素繊維基材(抄紙基材)を運搬可能なコンベアをメッシュコンベアに接続している。抄紙は分散液中の炭素繊維濃度を0.05質量%として行った。抄紙した炭素繊維基材は200℃の乾燥炉で30分間乾燥し、強化繊維マット(1)を得た。得られたマットの目付は200g/mであった。
[PA6樹脂]
PA6樹脂として、“アミラン(登録商標)”CM1001(東レ(株)製)を使用した。
[PA6射出樹脂]
PA6射出樹脂として、“アミラン(登録商標)”CM1011G−45(東レ(株)製)を使用した。
[PEEK樹脂]
PEEK樹脂として、“KEPSTAN(登録商標)”7002(アルケマ(株)製)を使用した。
[PP樹脂]
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製“プライムポリプロ”(登録商標)J105G)80質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製“アドマー”QB510)20質量%とからなる樹脂を使用した。
[PC樹脂]
PC樹脂として、“レキサン(登録商標)”141R(日本GEP(株)製)を使用した。
[EP樹脂]
以下の化合物を用いてEP樹脂を作製した。
(1)エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER”(登録商標)825、三菱ケミカル(株)製)エポキシ当量:175(g/eq.))
・フェノールノボラック型エポキシ樹脂(“jER”(登録商標)154、三菱ケミカル(株)製)エポキシ当量:178(g/eq.))
(2)アミン化合物
・ジシアンジアミド(DICY7、三菱ケミカル(株)製)
(3)硬化触媒
・トルエンビス(ジメチルウレア)(“オミキュア”(登録商標)U−24M、CVC Thermoset Specialties社製)
(4)粘度調整剤
・ポリビニルホルマール(“ビニレック”(登録商標)K JNC(株)製)
(5)エポキシ樹脂(構成要素[C])の調製方法
混練装置中に、50質量部の“jER”825と50質量部の“jER”154と3質量部のポリビニルホルマールを投入し、加熱混練を行うことでポリビニルホルマールを溶解させた。次いで、混練を続けたまま100℃以下の温度まで降温させ、5質量部のDICY7と2質量部のオミキュアU−24Mを加えて撹拌し、EP樹脂を得た。
[PA6樹脂シート(1)]
PA6樹脂からなる目付40g/mのシートを作製した。
[EP樹脂シート(1)]
EP樹脂からなる目付100g/mのシートを作製した。
[EP樹脂シート(2)]
EP樹脂からなる目付50g/mのシートを作製した。
(9)工程
引出、含浸の各工程については、以下のいずれかを選択して行った。
[引出工程(1)]
織物(1)を連続強化繊維シートとして用い、該織物(1)の縦糸方向を本発明の製造方法における構成要素[A]の繊維方向として幅20mmにトリムし、引き出す。
[引出工程(2)]
構成要素[A]を単位面積当たりの繊維質量が200g/m、および幅が20mmとなるようにシート状に一方向に整列させた連続強化繊維シートを、繊維方向を走行方向として引き出す。
[第1の含浸工程(1)]
走行する連続強化繊維シート上に、構成要素[B]としてのPA6樹脂シート(1)を配置する。その後、該PA6樹脂シート(1)を、IRヒータで融点以上に加熱して溶融させ、連続強化繊維シート片面全面に付着させ、さらに、表面温度を構成要素[B]の融点より100℃低く設定したニップロールで加圧して、含浸、冷却させて、繊維強化樹脂中間体を得る。
[第1の含浸工程(2)]
連続強化繊維シートをクロスヘッドダイに通して引きながら、押出機からダイ内で融点+50℃にて加熱して溶融させた構成要素[B]を目付40g/mとなるように吐出して、連続強化繊維シート片面全面に付着させ、さらに表面温度を構成要素[B]の融点より100℃低く設定したニップロールで加圧して、構成要素[B]を含浸、冷却させて、繊維強化樹脂中間体を得る。
[第2の含浸工程(1)]
繊維強化樹脂中間体の、構成要素[B]からなる樹脂シートを含浸させた面の反対の面に、EP樹脂シート(1)を積層し、最表層に離型フィルムを配置して連続積層体を得る。IRヒータを用いて、連続積層体を、構成要素[C]であるEP樹脂の粘度が1Pa・sとなるように加熱しながら、一直線に並べられた3対のニップロールで加圧して、構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させて繊維強化樹脂基材を得る。
[第2の含浸工程(2)]
繊維強化樹脂中間体の、構成要素[B]からなる樹脂シートを含浸させた面の反対の面に、粘度が1Pa・sとなるように加熱した構成要素[C]をその目付が100g/mとなるよう滴下して、該繊維強化樹脂中間体に付着させて、3対のニップロールで加圧して、構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させて繊維強化樹脂基材を得る。
[硬化工程]
130℃に温調された硬化槽の中に繊維強化樹脂基材を導入し走行させて、構成要素[C]を硬化させる。
[引取工程]
繊維強化樹脂基材をドラムワインダーで巻き取る。
(参考例1):引張強さ評価用プリプレグ
引出工程(2)により引き出された連続強化繊維シートの両面にEP樹脂シート(2)をそれぞれ重ね合わせて、ヒートロールを行い、加熱加圧しながら熱硬化性樹脂組成物を強化繊維(後述の実施例・比較例で使用したのと同じ炭素繊維またはガラス繊維)に含浸させ一方向プリプレグを得た。
(参考例2):引張強さ評価用積層体
参考例1で作製した20mm幅の一方向プリプレグを、繊維方向に200mmの長さでカットし、幅200mmとなるよう隙間なく引き並べ、同様の手順で繊維方向が揃うよう、4ply積層した。次に、後述の実施例・比較例によって得られる幅20mmの繊維強化樹脂基材を長さ200mmにカットして、その第2の表面を、繊維軸方向が上記積層されたプリプレグの繊維方向と一致するように隙間なく引き並べ、積層体を得た。得られた積層体を閉断面金型に入れ、160℃・0.6MPa・120min加熱・加圧して、繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料に対して、前述の引張強さの評価を実施した。
(実施例1−1)
引出工程(1)、第1の含浸工程(1)、第2の含浸工程(1)、引取工程からなるロールツーロールの連続製造装置により繊維強化樹脂基材を製造した。その他材料、製造条件および参考例2に示される手法より得られる特性等は表1に示す。
(実施例1−2)
引出工程を引出工程(1)から引出工程(2)とした以外は、実施例1−1と同様のプロセスにて繊維強化樹脂基材を製造した。参考例2により得られる特性等を表1に示す。
(実施例1−3)
第1の含浸工程を第1の含浸工程(1)から第1の含浸工程(2)とした以外は、実施例1−2と同様のプロセスにて繊維強化樹脂基材を製造した。参考例2により得られる特性等を表1に示す。
(実施例1−4)
第2の含浸工程を第2の含浸工程(1)から第2の含浸工程(2)とした以外は、実施例1−3と同様のプロセスにて繊維強化樹脂基材を製造した。参考例2により得られる特性等を表1に示す。
(実施例1−5)
第2の含浸工程と引取工程の間に硬化工程を追加した以外は、実施例1−4と同様のプロセスにて繊維強化樹脂基材を製造した。参考例2により得られる特性等を表1に示す。
(実施例1−6)
第1の含浸工程における冷却条件を調整し、第2の含浸工程に供される前の繊維強化樹脂中間体の温度をコントロールした。この時の繊維強化樹脂中間体の温度を非接触型温度計で測定したところ、114℃であった。それ以外は実施例1−5と同様のプロセスにて繊維強化樹脂基材を製造した。参考例2により得られる特性等を表1に示す。
(実施例1−7)〜(実施例1−10)
実施例1−6と同様のプロセスにて、表2に示されるそれぞれの材料、製造条件を用いて繊維強化樹脂基材を製造した。なお、表に示していない点は、実施例1−6と同様にした。参考例2により得られる特性等を表2に示す。
(比較例1−1)
織物(1)およびPA6樹脂シート(1)を、いずれも繊維方向の長さ200mm×幅200mmの四角形状にカットし、織物(1)/織物(1)/織物(1)/織物(1)/織物(1)/PA6樹脂シート(1)となるよう積層した。それを平板金型に挟み、240℃・0.6MPa・10min加熱・加圧して、冷却後、取り出して繊維強化複合材料(A)を得た。得られた繊維強化複合材料(A)を、樹脂注入口を有する閉断面金型に配置し、PA6樹脂シート(1)が含浸した面の反対の面に対して、樹脂注入装置を用いて、90℃に予熱したEP樹脂を注入し、160℃・120分で保持して、繊維強化複合材料(B)を得た。得られた繊維強化複合材料(B)の特性を表2に示す。
(比較例1−2)
PA6樹脂シート(1)/強化繊維マット(1)/EP樹脂シート(1)をこの順に積層し、ダブルベルトを用いて、240℃にて加熱・加圧後、冷却して基材(A)を得た。一方、強化繊維マット(1)/EP樹脂シート(1)をこの順に積層し、ダブルベルトにて130℃にて加熱・加圧して基材(B)を得た。基材(A)および基材(B)を200mm×200mmにカットし、基材(A)のPA6樹脂シート(1)および基材(B)のEP樹脂シート(1)が最外層となるように、基材(A)/基材(B)/基材(B)/基材(B)と積層したものを平板金型に挟み、160℃・1MPa・120minで加熱・加圧して繊維強化複合材料(C)を得た。得られた繊維強化複合材料(C)の特性を表2に示す。
(実施例2−1)
実施例1−6で得られた20mm幅の繊維強化樹脂基材を、繊維軸方向を長さ方向として長さ160mmにカットし、幅方向に8本並べて160mm四方として、金型に挟み、プレス機で0.6MPaの圧力をかけ、180℃で120分間加温することで、長さ160mm×幅160mmの繊維強化樹脂平板を得た。得られた繊維強化樹脂平板を長さ160mm×幅160mm×厚さ1.5mmの射出金型にインサートし、射出樹脂をPA6射出樹脂として、繊維強化樹脂平板の第1の表面を覆っている構成要素[B]が射出樹脂と溶着するように射出して一体成形を行った。得られた一体成形品の特性を表3に示す。
(比較例2−1)
前記実施例2−1において繊維強化樹脂平板をインサートせずに、射出樹脂をPA6射出樹脂として、長さ160mm×幅160mm×厚さ1.5mmの射出部材を得た。得られた射出成形品の特性を表3に示す。
<検討1>
実施例1―1〜1−10および比較例1−1〜1−2の比較により、一般的にバッチ生産しかできなかった、あるいは樹脂分解や強度不十分などの問題を抱えていた熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含む繊維強化樹脂基材を、本発明によれば低コスト、高強度に製造できることが示された。実施例1−1においては熱可塑性樹脂がフィルム(シート)の場合でも本発明の製造方法が適用できることが示された。また、実施例1−2においては、強化繊維を一方向とすることで、製造速度を上昇させることができるだけでなく、得られる繊維強化樹脂基材の比強度が向上することが示された。実施例1−3においては、熱可塑性樹脂をフィルムや不織布などのシート形状にせず、ペレットを溶融させて直接連続強化繊維シートに付与することで、生産性を向上させることが出来ることが示された。実施例1−4においては、熱硬化性樹脂についても、シート形状とせずに溶融させて直接付与することで、生産性を向上させることが出来ることが示された。実施例1−5においては、硬化工程を追加することで、取り扱い性に優れる基材を得ることが出来た。また、実施例1−6においては、第1の含浸工程のあとの繊維強化樹脂中間体の温度をコントロールすることで、第2の含浸工程をより効率的に行うことができ、生産性が向上した。実施例1−7〜9においては、構成要素[B]の種類に関わらず、本発明の製造方法が適用できることが示された。また、実施例1−10においては、構成要素[A]を炭素繊維からガラス繊維に変更しても、本発明の製造方法が有効であることが示された。
実施例1−6の繊維強化樹脂基材を用いた一体化成形品を示した実施例2−1によれば、本発明により得られる繊維強化樹脂基材の補強材としての能力は高く、他の成形部材と溶着接合した一体化成形品は、比較例2−1記載の補強しない場合と比べて、非常に高い力学特性を発現することが示されている。
本発明に係る製造方法によれば、熱可塑性樹脂溶着層を有し、高力学特性を有する繊維強化樹脂基材を提供できる。さらに従来の繊維強化樹脂基材の製造時に見られる、強化繊維の毛羽立ちなどにより製造が止まるということを抑制でき、また、簡便な機構の装置で繊維強化樹脂基材を製造することが可能である。また、取り扱い性に優れた繊維強化樹脂基材を得ることが可能であるため、航空機構造部材、風車の羽根、自動車構造部材およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピューター用途等へ適用することで、構造体としての総合的なコストを大きく低減させることが可能である。
α:連続強化繊維シートの断面
β:繊維強化樹脂中間体の断面
γ:繊維強化樹脂基材の断面
1:繊維強化樹脂基材
2:構成要素[A]
3:構成要素[B]および構成要素[C]
4:任意の繊維束の軸方向
5:観察断面
6:構成要素[A]
7:構成要素[B]を主成分とする樹脂領域
8:構成要素[C]を主成分とする樹脂領域
9:観察画像
10:境界面
11:基準線
12:垂基線
13:断面曲線
14:構成要素[A]
15:構成要素[B]
16:構成要素[C]
17:連続強化繊維シート
18:繊維強化樹脂中間体
19:繊維強化樹脂基材
20:第1の表面
21:第2の表面
22:引出工程
23:第1の含浸工程
24:第2の含浸工程
25:硬化工程
26:引取工程

Claims (17)

  1. 次の構成要素[A]、[B]、及び[C]を含む繊維強化樹脂基材の製造方法であって、少なくとも以下の引出工程、第1の含浸工程、第2の含浸工程、および引取工程を、構成要素[A]を走行させながら連続で順に実施する繊維強化樹脂基材の製造方法。
    [A]強化繊維
    [B]熱可塑性樹脂
    [C]熱硬化性樹脂
    <引出工程>構成要素[A]を含む連続強化繊維シートを引き出す工程
    <第1の含浸工程>連続強化繊維シートの一方の面から構成要素[B]を含浸させ、第1の表面に構成要素[B]が配置された繊維強化樹脂中間体を得る工程
    <第2の含浸工程>前記第1の表面とは反対の第2の表面から構成要素[C]を含浸させ、繊維強化樹脂基材を得る工程
    <引取工程>繊維強化樹脂基材を引き取る工程
  2. 構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させるに際しては、ディッピング又はコーティングにより粘度5Pa・s未満の構成要素[C]を含浸させる、請求項1に記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  3. 構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させるに際しては、得られる繊維強化樹脂基材において、その走行方向へ投影したときの構成要素[C]の投影面積が、構成要素[A]の投影面積に対し80〜120%の範囲内となるよう構成要素[C]を付与する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  4. 構成要素[C]の繊維強化樹脂中間体への含浸は、ロールまたはベルトを用いた加圧により行う、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  5. 連続強化繊維シートが一方向強化繊維束である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  6. 構成要素[B]を連続強化繊維シートに含浸させるに際しては、該連続強化繊維シートをその厚み方向へ投影したときの面積を100%とすると、構成要素[B]の非存在領域を0〜20%の範囲内とする、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  7. 繊維強化樹脂基材において、構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との接着強度が1N/10mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  8. 第2の含浸工程の後に、さらに以下の硬化工程を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
    <硬化工程>繊維強化樹脂基材を加熱することで、構成要素[C]を硬化する工程
  9. 構成要素[C]を繊維強化樹脂中間体に含浸させるに際しては、DSCにより得られる硬化度が50%以下の構成要素[C]を用い、かつ、硬化工程を経た構成要素[C]はDSCにより得られる硬化度が50%よりも大きい、請求項8に記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  10. 引取工程における引取速度が0.1m/min以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  11. 構成要素[B]を強化繊維シートに含浸させるに際しては、構成要素[B]を溶融状態で付与し、含浸させ、続いて冷却する、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  12. 構成要素[B]を連続強化繊維シートに含浸させるに際しては、構成要素[B]をシート形状で配置し、続いて加熱して溶融状態とし、連続強化繊維シートに含浸させたうえで冷却する、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  13. 第1の含浸工程によって得られた繊維強化樹脂中間体の温度が70〜180℃である、請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材の製造方法。
  14. 次の構成要素[A]、[B]、及び[C]を含む繊維強化樹脂基材であって、一方の面である第1の表面側から構成要素[B]が構成要素[A]に含浸してなり、第1の表面とは反対の第2の表面側から構成要素[C]が構成要素[A]に含浸してなり、構成要素[C]についてDSCにより得られる硬化度が50%以下である繊維強化樹脂基材。
    [A]強化繊維
    [B]熱可塑性樹脂
    [C]熱硬化性樹脂
  15. 構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との接着強度が1N/10mm以上である、請求項14に記載の繊維強化樹脂基材。
  16. 構成要素[B]を含む樹脂領域と構成要素[C]を含む樹脂領域との境界面をまたいで両樹脂領域に含まれる構成要素[A]が存在し、繊維強化樹脂基材の平面視において、前記両樹脂領域に含まれる任意の構成要素[A]の繊維方向に対し45°異なる角度の方向から、前記両樹脂領域に含まれる構成要素[A]を含む、繊維強化樹脂基材平面に垂直な断面を得た場合に、前記断面において、両樹脂領域の境界面が形成する曲線の、JIS B0601:2001で定義される粗さ平均長さRSmが100μm以下であり、粗さ平均高さRcが3.5μm以上である、請求項14または15に記載の繊維強化樹脂基材。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の繊維強化樹脂基材に、別の部材が接合してなる一体化成形品。
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