JP2020191193A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属リチウムの析出耐性に優れた、非水電解質二次電池を提供する。【解決手段】非水電解質二次電池において、正極活物質層は端部にテーパ部を有し、該テーパ部は、正極活物質層のセパレータとの接触部の端部Aと、正極活物質層の正極集電体との接触部の端部Bとの間に傾斜面を有する。正極は耐熱層をさらに有する。耐熱層は外表面側にテーパ部を有し、該テーパ部は、耐熱層とセパレータとの接触部の端部Cと、耐熱層と正極集電体との接触部の端部Dとの間に傾斜面を有する。正極活物質層と耐熱層とが並ぶ方向をX方向とし、端部Aと端部Bとの間のX方向における距離をa、端部Aと端部Cとの間のX方向における距離をb、端部Aと負極活物質層の端部との間のX方向における距離をc、端部Aと端部Dとの間のX方向における距離をdとしたときに、a≦b、a≦c、c≦dを満たし、0.3kN以上14kN以下の拘束荷重で拘束されている。【選択図】図3

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
非水電解質二次電池の正極は、一般的に、正極集電体上に正極活物質層が設けられた構成を有する。正極と負極との短絡を抑制するために、正極活物質層の端部に隣接するように、無機フィラー含有層(「絶縁層」あるいは「耐熱層」とも呼ばれる)を正極集電体上にさらに設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。正極活物質層および無機フィラー含有層は、ペーストやスラリー状の塗工液を用いて形成されるために、一般に、端部がテーパ形状を備える。
特開2017−143004号公報
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、上記従来技術の非水電解質二次電池においては、正極活物質層に対向する負極活物質層の端部において、金属リチウムの析出が起こり、このため、金属リチウムの析出耐性が不十分であるという問題があることを見出した。
そこで本発明は、金属リチウムの析出耐性に優れた、非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
ここに開示される非水電解質二次電池は、正極集電体および正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、非水電解質と、を備える。前記正極活物質層は、その端部にテーパ部を有する。前記正極活物質層のテーパ部は、前記正極活物質層の前記セパレータとの接触部の端部Aと、前記正極活物質層の前記正極集電体との接触部の端部Bとの間に傾斜面を有する。前記正極活物質層は、前記テーパ部を含めて、前記負極活物質層と、前記セパレータを介して対向している。前記正極は、前記正極活物質層のテーパ部と前記セパレータとの間の空間に、無機フィラーを含む耐熱層をさらに有する。前記耐熱層は、その外表面側にテーパ部を有する。前記耐熱層のテーパ部は、前記耐熱層と前記セパレータとの接触部の端部Cと、前記耐熱層と前記正極集電体との接触部の端部Dとの間に傾斜面を有する。前記正極活物質層の厚さ方向に垂直であって、前記正極活物質層と前記耐熱層とが並ぶ方向をX方向とし、前記端部Aと、前記端部Bとの間の前記X方向における距離をa、前記端部Aと、前記端部Cとの間の前記X方向における距離をb、前記端部Aと、前記負極活物質層の端部との間の前記X方向における距離をc、および前記端部Aと、前記端部Dとの間の前記X方向における距離をd、としたときに、a≦b、a≦c、およびc≦dを満たす。前記非水電解質二次電池は、0.3kN以上14kN以下の拘束荷重で拘束されている。
このような構成によれば、金属リチウムの析出耐性に優れた、非水電解質二次電池が提供される。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の捲回電極体の端部の電極の積層構造を示す模式断面図である。
以下、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解質二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。
また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、扁平角型のリチウムイオン二次電池を例にして、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解質80とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。また、電池ケース30には、非水電解質80を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、長尺状の正極シート50と、長尺状の負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。
正極シート50は、図2および図3に示すように、長尺状の正極集電体52と、正極集電体52上に形成された正極活物質層54と、を有する。正極活物質層54は、正極集電体52の片面上に設けられていてもよく、両面上に設けられていてもよいが、両面上に設けられることが好ましい。
正極集電体52は、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分(正極集電体露出部)52aを有する。図2に示すように、正極集電体露出部52aは捲回電極体20の捲回軸方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の一端から外方にはみ出すように形成されている。正極集電体露出部52aには、正極集電板42aが接合されている。
正極活物質層54は、図3に示すように、その端部に、厚みが徐々に減少するテーパ部を有する。
正極シート50は、正極集電体52上の正極活物質層54の端部に隣接する耐熱層56をさらに有する。耐熱層56は、その外表面側(すなわち、捲回電極体20の端面側)に、厚みが徐々に減少するテーパ部を有する。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。
正極活物質層54は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材、バインダ、リン酸リチウム等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
耐熱層56は、無機フィラーを含有し、典型的にはバインダをさらに含有する。
無機フィラーの形状は、特に制限はなく、粒子状、繊維状、板状、フレーク状等であってよい。
無機フィラーの平均粒子径は、特に制限はなく、例えば0.1μm以上10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。なお、無機フィラーの平均粒子径は、例えば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
無機フィラーとしては、絶縁性を有するものが用いられ、具体的に例えば、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等の無機酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、マイカ、タルク、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン等の粘土鉱物、ガラス繊維等が挙げられ、これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アルミナ、ベーマイト、およびマグネシアが好ましい。
バインダとしては、例えば、アクリル系バインダ、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリオレフィン系バインダ等が挙げられ、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマーを用いることもできる。
耐熱層56中のバインダの含有量には、特に制限はないが、例えば、1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは3質量以上25質量%以下である。
負極シート60は、図2および図3に示すように、長尺状の負極集電体62と、負極集電体62上に形成された負極活物質層64と、を有する。負極活物質層64は、負極集電体62の片面上に設けられていてもよく、両面上に設けられていてもよいが、両面上に設けられることが好ましい。また負極集電体62は、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分(負極集電体露出部)62aを有する。負極集電体露出部62aは捲回電極体20の捲回軸方向(即ち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の他方の端から外方にはみ出すように形成されている。負極集電体露出部62aには、負極集電板44aが接合されている。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。
負極活物質層64は負極活物質を含有する。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
本実施形態では、非水電解質80として、非水電解液が用いられている。非水電解質80は、典型的には非水溶媒および支持塩を含有する。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましく、その具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩(好ましくはLiPF)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解質80は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;ホウ素原子および/またはリン原子を含むオキサラト錯体化合物、ビニレンカーボネート(VC)等の被膜形成剤;分散剤;増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
次に、捲回電極体20の端部の構造について詳細に説明する。
図3に示すように、正極活物質層54は、その端部にテーパ部を有している。
前記正極活物質層54は、当該テーパ部を含め、負極活物質層64と、セパレータ70を介して対向している。
正極活物質層54のテーパ部は、正極活物質層54のセパレータ70との接触部の端部Aと、正極活物質層54の正極集電体52との接触部の端部Bとの間に傾斜面54tを有する。図示例では傾斜面54tは、平面であるが、曲面であってもよい。
正極シート50は、正極活物質層54のテーパ部と、セパレータ70との間の空間に、耐熱層56をさらに有する。耐熱層56は、その外表面側にテーパ部を有する。
耐熱層56のテーパ部は、耐熱層56とセパレータ70との接触部の端部Cと、耐熱層56と正極集電体52との接触部の端部Dとの間に傾斜面56tを有する。図示例では傾斜面56tは、平面であるが、曲面であってもよい。
本実施形態においては、図3に示すように、正極活物質層54の厚さ方向Yに垂直であって、正極活物質層54と耐熱層56とが並ぶ方向をX方向とし、端部Aと、端部Bとの間のX方向における距離をa、端部Aと、端部Cとの間のX方向における距離をb、端部Aと、負極活物質層64の端部Eとの間のX方向における距離をc、および端部Aと、端部Dとの間のX方向における距離をdとしたときに、以下の関係を満たす。なお、X方向における距離であるために、端部Aからの距離は、端部Aから正極活物質層54の厚さ方向Yに下ろした垂線と、正極集電体52との交点からの距離となる。端部Cについても同様である。
a≦b
a≦c
c≦d
本実施形態においては、リチウムイオン二次電池100は、0.3kN以上14kN以下の拘束荷重で拘束されている。リチウムイオン二次電池100の拘束方法は、公知の拘束方法(例、拘束部材を用いる方法)と同様であってよい。リチウムイオン二次電池100は、個別に拘束されていてもよいし、組電池等の形態で複数のリチウムイオン二次電池100が、一まとめに拘束されていてもよい。
上述の距離a、距離b、距離c、および距離dについての関係を満たし、さらに、拘束荷重が上記範囲内にあることにより、リチウムイオン二次電池100の金属リチウム析出耐性を向上させることができる。すなわち、セパレータ70と正極活物質層54との隙間を、上記の長さ関係を有する耐熱層56で埋め、かつ所定の拘束荷重をかけることにより、対向する負極との間に拘束荷重がかかりやすくなり、その結果、イオン導通性が向上し、負極活物質の利用率の向上および抵抗減少を図ることができ、金属リチウムの析出が起こりにくくなる。特に、a>bの場合には、正極活物質層54とセパレータ70との間に隙間が存在して、抵抗が増加する。a>cの場合には、負極集電体が露出した部分に正極活物質から脱離したリチウムの析出が起こりやすくなる。c>dの場合には、正極集電体52が露出した部分と負極活物質層64とが対向するため、これらの間で異物による短絡や負極60のエッジ部のバリにより短絡した際に発熱量が増加することも起こり得る。
リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、リチウムイオン二次電池は、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、リチウムイオン二次電池は、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等として構成することもできる。また、ここに開示される技術は、リチウムイオン二次電池以外の非水電解質二次電池にも適用可能である。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例および比較例のリチウムイオン二次電池の作製>
正極活物質粉末としての表1に示す粒子径D50を有するLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、LNCM:AB:PVdF=90:8:2の質量比でN−メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。
無機フィラーとしての表1に示す粒子径D90を有するベーマイトまたはアルミナと、バインダとしてのPVdFと、NMPとを分散機を用いて混合して、耐熱層スラリーを調製した。
実施例2以外は、正極活物質形成用スラリーと、耐熱層スラリーとを、同一のダイヘッドを用いて長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布した後乾燥して、正極シートを作製した。実施例2では、正極活物質形成用スラリーを長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布し、乾燥した後、マイクログラビアにて耐熱層を形成した。なお、得られた正極シートの正極活物質層の厚みは、表1の通りである。
負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより負極シートを作製した。
セパレータとして、PP/PE/PPの三層構造を有する多孔性ポリオレフィンシートを用意した。
上記で作製した正極シートと、負極シートと、2枚の上記用意したセパレータシートとを積層し、捲回した後、側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体を作製した。
次に、捲回電極体に正極端子および負極端子を接続し、電解液注入口を有する角型の電池ケースに収容した。
続いて、電池ケースの電解液注入口から非水電解質を注入し、当該注入口を気密に封止した。なお、非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
このようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。
<距離a〜dの評価>
上記作製したリチウムイオン二次電池の捲回電極体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて観察し、上記で説明した距離a〜d(図3参照)をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
<金属リチウム析出評価>
上記作製したリチウムイオン二次電池を、表1に示す拘束荷重で拘束した。これをSOC80%に調整した後、25℃の環境下に置いた。このリチウムイオン二次電池に対し、100秒間の16Cでの定電流充電および100秒間の16Cでの定電流放電を1サイクルとする充放電サイクルを、1000サイクル繰り返した。その後、リチウムイオン二次電池を解体し、負極を取り出し、正極に耐熱層がある側の負極活物質層の端部の一部を切り出し、電子スピン共鳴法(ESR)により分析した。そして、3445G付近のピーク強度から析出したリチウム量を定量した。結果を表1に示す。
Figure 2020191193
表1の結果より、距離a〜dが、a≦b、a≦cおよびc≦dの関係を満たし、0.3kN以上14kN以下の拘束荷重で拘束されている場合に、金属リチウムの析出が抑制されていることが確認できた。
したがって、以上のことから、ここに開示される非水電解質二次電池によれば、金属リチウムの析出耐性に優れることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極集電体露出部
54 正極活物質層
56 耐熱層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極集電体露出部
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
80 非水電解質
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 正極集電体および正極活物質層を有する正極と、
    負極活物質層を有する負極と、
    前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、
    非水電解質と、
    を備える非水電解質二次電池であって、
    前記正極活物質層は、その端部にテーパ部を有し、
    前記正極活物質層のテーパ部は、前記正極活物質層の前記セパレータとの接触部の端部Aと、前記正極活物質層の前記正極集電体との接触部の端部Bとの間に傾斜面を有し、
    前記正極活物質層は、前記テーパ部を含めて、前記負極活物質層と、前記セパレータを介して対向しており、
    前記正極は、前記正極活物質層のテーパ部と前記セパレータとの間の空間に、無機フィラーを含む耐熱層をさらに有し、
    前記耐熱層は、その外表面側にテーパ部を有し、
    前記耐熱層のテーパ部は、前記耐熱層と前記セパレータとの接触部の端部Cと、前記耐熱層と前記正極集電体との接触部の端部Dとの間に傾斜面を有し、
    前記正極活物質層の厚さ方向に垂直であって、前記正極活物質層と前記耐熱層とが並ぶ方向をX方向とし、
    前記端部Aと、前記端部Bとの間の前記X方向における距離をa、
    前記端部Aと、前記端部Cとの間の前記X方向における距離をb、
    前記端部Aと、前記負極活物質層の端部との間の前記X方向における距離をc、および
    前記端部Aと、前記端部Dとの間の前記X方向における距離をd、
    としたときに、
    a≦b、
    a≦c、および
    c≦d、
    を満たし、
    0.3kN以上14kN以下の拘束荷重で拘束されている、
    非水電解質二次電池。
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