JP2020190434A - 燃料装荷手順変更システムおよび方法並びに燃料装荷手順変更プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料装荷手順変更システムおよび方法並びに燃料装荷手順変更プログラムにおいて、燃料装荷作業の作業効率の向上を図る。【解決手段】燃料装荷手順変更の指示を検出する検出部(燃料装荷手順変更指示検出部)81と、検出部81が燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と燃料集合体の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する手順変更案作成部(燃料装荷手順変更案作成部)82と、手順変更案作成部82が作成した燃料装荷手順変更案を出力する出力部(燃料装荷手順変更案出力部)84とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、燃料を炉心に装荷する作業を実施するときに燃料を装荷する手順を変更するための燃料装荷手順変更システムおよび方法、並びに、燃料装荷手順変更プログラムに関するものである。
例えば、加圧水型原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って給水と熱交換することで蒸気を生成するものである。
原子炉容器は、内部に燃料からなる炉心が収容される。炉心は、多数の燃料集合体が配置されて構成され、一部の燃料集合体の内部に制御棒が配置される。燃料集合体は、作業者が燃料装荷クレーンを操作することで、原子炉容器における所定の位置に装荷される。原子炉容器の内部に燃料を装荷するとき、事前に所定の燃料装荷手順を設定し、この燃料装荷手順に基づいて燃料装荷作業が実施される。このような炉心作業管理システムとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
特許第2975664号公報
ところで、原子炉容器の内部に装荷する燃料は、初めて使用する新しい燃料だけではなく、既に使用された燃料が含まれる。一度使用された燃料は、燃料棒などが照射成長に伴って変形していく。すると、燃料を原子炉容器に装荷するとき、燃料が既に装荷された燃料の変形部に干渉しやすい。作業員が干渉を解消する操作を数回試行しても干渉を解消することができない場合、熟練の作業者が燃料降下位置の微調整等を実施して再装荷を試みるが、どうしても装荷できないことがある。この場合、燃料装荷手順を変更する必要がある。従来、この燃料装荷手順を変更するとき、熟練の作業者が作業現場で燃料の形状データなどに基づいて燃料装荷手順案を再考して作成し、変更した燃料装荷手順案を作業者が覚書として転記し、作業現場から退出し、帳票を作成して発電事業者の承認をとる必要がある。そのため、燃料装荷作業の停止時間が長くなり、燃料装荷作業に長時間を要してしまうという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、燃料装荷作業の作業効率の向上を図る燃料装荷手順変更システムおよび方法並びに燃料装荷手順変更プログラムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の燃料装荷手順変更システムは、原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更システムにおいて、燃料装荷手順変更の指示を検出する燃料装荷手順変更指示検出部と、燃料装荷手順変更指示検出部が前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する燃料装荷手順変更案作成部と、前記燃料装荷手順変更案作成部が作成した前記燃料装荷手順変更案を出力する燃料装荷手順変更案出力部と、を備えることを特徴とする。
そのため、燃料装荷手順変更の指示を検出すると、燃料装荷の禁止条件と燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成し、作成した燃料装荷手順変更案を出力することとなり、予め設定された燃料装荷手順では装荷することができない燃料が発生しても、燃料装荷手順を直ちに変更し、燃料装荷手順変更案により燃料を早期に装荷することができる。その結果、燃料装荷作業の停止時間を短縮することで燃料装荷作業の長時間化を抑制し、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料の形状データは、前記燃料の変形方向データを有し、前記燃料装荷手順変更案作成部は、前記燃料の変形方向データに基づいて目標位置に装荷する前記燃料を案内する第1ガイド部材の挿入位置を設定することを特徴とする。
そのため、燃料の変形方向データに基づいて目標位置に装荷する燃料を案内する第1ガイド部材の挿入位置を設定することから、燃料が変形していることで燃料装荷できないとき、燃料の変形方向に応じた挿入位置に第1ガイド部材を挿入することで、装荷済の燃料および第1ガイド部材の案内により燃料を適正に目標位置に装荷することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案作成部は、前記燃料の変形方向データに応じて前記第1ガイド部材の挿入位置を1つ以上設定することを特徴とする。
そのため、第1ガイド部材の挿入位置を1つ以上設定することから、複数の装荷済の燃料が目標位置に向けて変形しているとき、目標位置の周囲に複数の第1ガイド部材を挿入することで、複数の装荷済の燃料および第1ガイド部材の案内により燃料を適正に目標位置に装荷することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案作成部は、装荷済の前記燃料と前記第1ガイド部材の挿入位置との間に第2ガイド部材の挿入位置を設定することを特徴とする。
そのため、装荷済の燃料と第1ガイド部材の挿入位置との間に第2ガイド部材の挿入位置を設定することから、第1ガイド部材が孤立状態になることはなく、燃料装荷の禁止条件を維持することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案作成部は、複数の前記燃料装荷手順変更案を作成することを特徴とする。
そのため、複数の燃料装荷手順変更案を作成することから、作業者は、複数の燃料装荷手順変更案から現状に合わせて最適な燃料装荷手順変更案を選択することができ、燃料装荷作業の作業性を向上することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された複数の前記燃料装荷手順変更案から作業者が1つの前記燃料装荷手順変更案を選択する選択部を有することを特徴とする。
そのため、作業者は、選択部により燃料装荷手順変更案出力部から出力された複数の燃料装荷手順変更案から1つの燃料装荷手順変更案を選択することができ、現状に合った燃料装荷手順変更案を選択することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された前記燃料装荷手順変更案に対して作業者が変更可能な修正指示部を有することを特徴とする。
そのため、作業者は、修正指示部により燃料装荷手順変更案出力部から出力された燃料装荷手順変更案を変更することができ、燃料装荷手順変更案を現状に合ったより良いものに変更することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された前記燃料装荷手順変更案を表示する表示部を有することを特徴とする。
そのため、表示部は、燃料装荷手順変更案出力部から出力された燃料装荷手順変更案を表示することから、作業者は、燃料装荷手順変更案の詳細を確認することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、前記燃料装荷手順変更案作成部により作成された前記燃料装荷手順変更案が前記禁止条件に適合しているかどうかをチェックするチェック部を有することを特徴とする。
そのため、チェック部は、作成された燃料装荷手順変更案が禁止条件に適合しているかどうかをチェックすることから、燃料装荷手順変更案の高い信頼性を確保することができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムでは、決定した前記燃料装荷手順変更案の帳票を作成する帳票作成部を有することを特徴とする。
そのため、帳票作成部は、決定した燃料装荷手順変更案の帳票を作成することから、燃料装荷手順変更案の帳票により早期に燃料装荷作業を継続することができる。
また、本発明の燃料装荷手順変更方法は、原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更方法において、燃料装荷手順変更の指示を検出する工程と、前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する工程と、前記燃料装荷手順変更案を出力する工程と、を有することを特徴とする。
そのため、予め設定された燃料装荷手順では装荷することができない燃料が発生しても、燃料装荷手順を直ちに変更し、燃料装荷手順変更案により燃料を早期に装荷することができる。その結果、燃料装荷作業の停止時間を短縮することで燃料装荷作業の長時間化を抑制し、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
また、本発明の燃料装荷手順変更プログラムは、原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更方法において、燃料装荷手順変更の指示を検出する工程と、前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する工程と、前記燃料装荷手順変更案を出力する工程と、を有することを特徴とする。
そのため、予め設定された燃料装荷手順では装荷することができない燃料が発生しても、燃料装荷手順を直ちに変更し、燃料装荷手順変更案により燃料を早期に装荷することができる。その結果、燃料装荷作業の停止時間を短縮することで燃料装荷作業の長時間化を抑制し、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
本発明の燃料装荷手順変更システムおよび方法並びに燃料装荷手順変更プログラムによれば、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
図1は、燃料装荷システムを表すブロック構成図である。 図2は、燃料装荷装置を表す概略図である。 図3は、燃料装荷時における燃料集合体の装荷位置を表示する表示画面の概略図である。 図4は、燃料装荷作業を表すフローチャートである。 図5は、燃料装荷手順変更システムブロック構成図である。 図6は、燃料装荷手順変更方法を表すフローチャートである。 図7は、燃料装荷手順変更時における燃料装荷手順変更案を表示する表示画面の概略図である。 図8は、燃料装荷の禁止条件を説明するための概略図である。 図9は、燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。 図10は、複数の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。 図11は、別の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。 図12は、別の複数の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。 図13は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。 図14は、燃料集合体の概略構成図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
原子力発電プラントは、図示しないが、原子炉格納容器内に配置される原子炉及び蒸気発生器と、蒸気タービン発電設備とを有する。本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させる加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
図13は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。
図13に示すように、加圧水型原子炉10において、原子炉容器11は、内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体12とその上部に装着される原子炉容器蓋13により構成され、原子炉容器本体12に対して原子炉容器蓋13が複数のスタッドボルト14およびナット15により開閉可能に固定される。
原子炉容器本体12は、上部が開口し、下部が半球形状をなして閉塞された円筒形状をなし、上部に一次冷却材としての軽水を供給する入口ノズル16と、軽水を排出する出口ノズル17が形成される。原子炉容器本体12は、内部に炉心槽18が配置され、上部が原子炉容器本体12の内壁面に支持される。上部炉心支持板19は、原子炉容器本体12の内部に配置され、上部が炉心槽18の上部に支持される。上部炉心板20は、複数の炉心支持ロッド21により上部炉心支持板19に吊下げ支持される。
炉心槽18は、下方に下部炉心支持板22が支持され、下部炉心支持板22は、外周部が位置決め部材23により原子炉容器本体12の内壁面に位置決め支持される。炉心槽18は、下部に下部炉心板24が支持されている。炉心25は、多数の燃料集合体26が配置されて構成され、内部に多数の制御棒27が配置され、この制御棒27は、燃料集合体26に挿入可能である。上部炉心支持板19は、多数の制御棒クラスタ案内管28が固定され、内部に制御棒27が挿通可能である。原子炉容器蓋13は、半球形状をなし、制御棒駆動装置29が配置され、複数の制御棒クラスタ駆動軸30が制御棒クラスタ案内管28内に挿通され、下端部に制御棒27が連結される。制御棒駆動装置29は、各制御棒27を炉心25に対して抜き差しすることで、原子炉出力を制御する。
図14は、燃料集合体の概略構成図である。
図14に示すように、燃料集合体26は、多数の燃料棒41が支持格子42により格子状に束ねられて構成される。燃料集合体26は、上端部に上部ノズル43が固定される一方、下端部に下部ノズル44が固定される。なお、図14では、煩雑になるため、燃料棒41間の格子部分を省略し、外周部のみ模式的に図示している。燃料棒41は、燃料被覆管内に複数の燃料ペレットが収容されて構成される。燃料ペレットは、核分裂性物質を焼き固め、ペレット状に形成したものである。燃料被覆管は、内部に所定数の燃料ペレットが充填され、ヘリウムガスが充填される。
まず、燃料装荷システムについて説明する。燃料装荷システムは、燃料集合体26を原子炉容器11に装荷する作業を実施するものである。図1は、燃料装荷システムを表すブロック構成図である。
図1に示すように、燃料装荷システム50は、操作装置51と、制御装置52と、表示装置53と、スピーカ54と、記録装置55とを備える。そして、制御装置52は、ロードセル56と、エンコーダ57と、カメラ58とが接続される。また、制御装置52は、燃料装荷装置60を制御することができる。
ここで、燃料装荷装置60について説明する。図2は、燃料装荷装置を表す概略図である。
図2に示すように、燃料装荷装置60は、ブリッジ61と、ホイスト62と、グリッパ装置63と、トロリ64とを備える。原子炉容器11(図5参照)が配置される空間部の両側に架台71が設けられ、架台71上にブリッジ61が架け渡され、ブリッジ61は、水平方向(図2の紙面直交方向)に移動自在に支持される。また、ブリッジ61上にトロリ64が配置され、トロリ64は、水平方向(図2の左右方向)に移動自在に支持される。
ホイスト62は、トロリ64上に配置される。ホイスト62は、所定長さのワイヤロープ74が巻き取られており、駆動装置(図示略)により、ワイヤロープ74の繰り出しと巻き取りを行うことができる。ブリッジ61およびトロリ64は、中央部の貫通孔72,73が設けられる。筒形状をなすマストチューブ75は、ブリッジ61およびトロリ64の貫通孔72,73内に配置され、上端部がトロリ64に固定される。ホイスト62から繰り出されたワイヤロープ74は、滑車76を介してマストチューブ75内に導かれる。
グリッパ装置63は、マストチューブ75内に配置され、ワイヤロープ74の先端部が連結される。グリッパ装置63は、下端部にグリッパ63aを有し、グリッパ63aにより燃料集合体26の上端部を把持することができる。そして、滑車76にロードセル56が設けられ、ホイスト62にエンコーダ57が設けられる。ロードセル56は、ワイヤロープ74およびグリッパ装置63を介して燃料集合体26の荷重を検出する。エンコーダ57は、ホイスト62からのワイヤロープ74の繰り出し量を検出することで、燃料集合体26における装荷方向の位置(高さ)を検出する。
マストチューブ75は、外側にマスト77の上端部が支持され、マスト77は、下端部にカメラ58が装着される。カメラ58は、装荷状態にある燃料集合体26を撮影することができる。カメラ58は、マストチューブ75に対して昇降自在であると共に、マストチューブ75の周囲を旋回することができる。
そのため、グリッパ装置63のグリッパ63aが燃料集合体26を把持した状態で、ブリッジ61およびトロリ64を移動することで、燃料集合体26を原子炉容器11(図5参照)における所定の燃料装荷位置に位置決めする。ここで、ホイスト62を駆動することでワイヤロープ74を繰り出すと、グリッパ装置63に把持された燃料集合体26を下降することができる。そして、燃料集合体26が原子炉容器11に着底すると、グリッパ装置63による燃料集合体26の把持を解除し、ホイスト62を駆動することでワイヤロープ74を巻き取り、グリッパ装置63を上昇させる。
操作装置51は、作業者が操作するものであり、制御装置52に操作信号を入力することで、燃料装荷装置60のホイスト62とグリッパ装置63を作動させることができる。表示装置53は、作業者が視認することができる画面を有する。スピーカ54は、作業者に対して指示や警報を発することができる。記録装置55は、加圧水型原子炉10(図13参照)を構成する部材(例えば、燃料集合体26など)の設計データなどが格納される。ロードセル56は、燃料集合体26の荷重を検出する。エンコーダ57は、燃料集合体26における装荷方向の位置(高さ)を検出する。カメラ58は、装荷状態にある燃料集合体26を撮影する。
燃料装荷装置60による燃料集合体26の装荷作業について説明する。図3は、燃料装荷時における燃料集合体の装荷位置を表示する表示画面の概略図、図4は、燃料装荷作業を表すフローチャートである。
図4に示すように、加圧水型原子炉10を定期点検するとき、加圧水型原子炉10を解体して燃料集合体26を取り出し、加圧水型原子炉10や燃料集合体26などのメンテナンス作業を実施する。すなわち、ステップS11にて、加圧水型原子炉10を解体して燃料集合体26を取り出す。ステップS12にて、取り出した燃料集合体26の形状を計測する。燃料集合体26は、加熱されることで支持格子などが熱変形している。そのため、燃料集合体26を吊り下げた状態で、上端に対して下端が、鉛直方向に直交する水平方向にどれだけ変形しているかを計測する。ステップS13にて、形状を計測した燃料集合体26を、例えば、燃料プールに保管する。この間に加圧水型原子炉10や燃料集合体26などのメンテナンス作業を実施する。
一方、ステップS14にて、燃料装荷手順を作成する。すなわち、メンテナンス作業の終了後に、燃料集合体26を加圧水型原子炉10に戻すが、どの燃料集合体26を炉心のどの位置に入れるか、その手順書を作成する。このとき、予め設定された禁止条件を考慮して燃料装荷手順を決定する。禁止条件とは、自立防止、臨界管理、孤立禁止、不安定対角、曲り考慮、横ずらしである。
[自立防止]炉内に装荷する燃料、ガイドアセンブリ、ダミー燃料は、転倒防止のために他の燃料、ガイドアセンブリ、ダミー燃料およびバッフル板と1面以上接触させなければならない。このとき、燃料とダミー燃料は、隣接させてはならない。
[臨界管理]燃料の本体(内挿物SSを含む2列以上の集合体)から1面接触の燃料がある場合、その先に装荷できる数は、1面接触の燃料を含めて3本までとしなければならない。これ以上の数が装荷された場合、中性子検出器で正確に測定できなくなる。
[孤立禁止]臨界管理を行う上で、本体に接触していない燃料も中性子検出器で測定できないため、原則として装荷を禁止する。
[不安定対角]燃料を装荷する際に、装荷アドレスの斜めに位置するアドレスに燃料が装荷されている場合、燃料(グリッド)損傷の原因となる場合がある。そのため、装荷アドレスの斜め位置に燃料が装荷済みの場合、該当する燃料と装荷アドレスの両方に隣接するアドレスに燃料またはガイドアセンブリが装荷済みの必要がある。
[曲がり考慮]装荷対象の燃料集合体およびそれに面する4面の燃料との変位差から、装荷荷対象の燃料集合体を装荷するために、何面囲む必要があるか判断する。
[横ずらし]装荷対象のアドレスが「1/2面接触」の場合、低速動作ではなく通常速度でホイストを昇降可する。この場合、低速で動かすよりも作業時間が短くなる。
また、加圧水型原子炉10から取り出した燃料集合体26の形状を計測しており、燃料装荷手順を作成するとき、燃料集合体26の形状データを考慮する。すなわち、燃料を原子炉容器に装荷するとき、燃料同士が干渉しないように、燃料の装荷方向や順番を決定する。そして、燃料装荷手順が作成されると、ステップS15にて、燃料装荷作業を実施する。
作業者は、操作装置51により燃料装荷装置60を用いて、燃料プール(図示略)にある燃料集合体26を吊り上げて原子炉容器11まで移動する。作業者は、操作装置51により燃料装荷装置60を用いて、燃料集合体26を水平移動し、炉心に対して燃料集合体26を装荷する位置に位置決めする。作業者は、操作装置51により燃料装荷装置60を用いて、燃料集合体26を下降させる。このとき、制御装置52は、炉心に対する燃料集合体26の装荷状況を表示装置53に表示する。
図3に示すように、表示装置53の画面にて、左側には、装荷を行う燃料集合体26Aが表示されると共に、燃料集合体26Aの周囲の区画にある燃料集合体26B,26C,26Dが表示されると共に、その他の区画には燃料集合体26が装荷されていないことが表示される。表示装置53の画面では、燃料集合体26における中間部での状態と、下部での状態が表示される。この場合、燃料集合体26の有無は、例えば、表示色により区別される。また、表示装置53の画面にて、右側には、装荷を行っている燃料集合体26Aと、既に装荷された隣接する燃料集合体26Bとの位置関係が表示される。また、制御装置52は、カメラ58を下降し、カメラ58が撮像した燃料集合体26の画像を表示装置53に表示する。
燃料集合体26の下降時、制御装置52は、ロードセル56の検出結果に基づいて荷重変動が発生したかどうかを判定する。燃料集合体26が下降するとき、既に装荷されている燃料集合体26に接触すると、ロードセル56が検出する燃料集合体26の荷重が低下するように変動するため、制御装置52は、この荷重変動を燃料装荷の異常と判定する。ここで、制御装置52は、燃料装荷が正常であると判定すると、燃料集合体26を炉心の底部まで下降させる。一方、制御装置52は、燃料装荷が異常であると判定すると、燃料集合体26の下降を停止する。このとき、例えば、燃料集合体26の位置を水平方向に所定距離だけ移動させた後、再度、燃料集合体26を下降させる。
このように下降させた燃料集合体26が炉心に装荷されている燃料集合体26に接触したとき、燃料集合体26を水平方向にずらして再度下降させる作業を実施する。ところが、このような処理を何度か実施しても、燃料集合体26との接触を回避できないことがある。この場合、既に作成されている燃料装荷手順を変更する必要が生じる。図4に戻り、ステップS16にて、燃料装荷手順の変更が必要でないと判定(No)されれば、ステップS17にて、燃料装荷作業が終了する。一方、燃料装荷手順の変更が必要であると判定(Yes)されれば、ステップS18にて、燃料装荷手順変更案を作成し、ステップS15に戻り、この燃料装荷手順変更案に基づいて燃料装荷作業を実施する。
次に、本実施形態の燃料装荷手順変更システムについて説明する。燃料装荷手順変更システムは、燃料集合体26を原子炉容器11に装荷する手順を変更するものである。図5は、燃料装荷手順変更システムブロック構成図である。
図5に示すように、燃料装荷手順変更システム80は、検出部(燃料装荷手順変更指示検出部)81と、手順変更案作成部(燃料装荷手順変更案作成部)82と、チェック部83と、出力部(燃料装荷手順変更案出力部)84と、表示部85と、修正指示部86と、選択部87と、記憶部88と、帳票作成部89とを備える。
検出部81は、燃料装荷手順変更の指示を検出するものである。前述したように、予め作成した燃料装荷手順では、燃料装荷を行うことができずに、燃料装荷手順の変更が必要であると判定されたとき、作業者は、操作装置51(図1参照)に設けられた燃料装荷手順変更スイッチ90を操作する。すると、燃料装荷手順変更スイッチ90の操作信号が燃料装荷手順変更システム80に入力され、検出部81は、この操作信号を検出する。
手順変更案作成部82は、検出部81が燃料装荷手順変更の指示を検出したとき、予め設定された燃料装荷の禁止条件と燃料集合体26の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する。ここで、燃料装荷の禁止条件とは、前述した自立防止、臨界管理、孤立禁止、不安定対角、曲り考慮、横ずらしである。また、燃料集合体26の形状データとは、燃料集合体26の変形方向データであり、燃料集合体26の変形量を含んでいる。手順変更案作成部82は、燃料集合体26の変形方向データに基づいて目標位置に装荷する燃料集合体26を案内する第1ガイド部材の挿入位置を設定する。このとき、手順変更案作成部82は、第1ガイド部材の挿入位置を1つ以上設定する。また、手順変更案作成部82は、装荷済の燃料集合体26と第1ガイド部材の挿入位置との間に第2ガイド部材の挿入位置を設定する。そして、手順変更案作成部82は、複数の手順変更案を作成する。なお、燃料装荷手順変更案の具体的な作成方法については、後述する。
チェック部83は、手順変更案作成部82により作成された燃料装荷手順変更案が禁止条件に適合しているかどうかをチェックする。出力部84は、手順変更案作成部82が作成してチェック部83がチェックした燃料装荷手順変更案を出力する。表示部85は、出力部84が出力した燃料装荷手順変更案を、例えば、ディスプレイに表示する。
修正指示部86は、出力部84により出力された燃料装荷手順変更案に対して、作業者により変更可能とするものである。選択部87は、出力部84により出力された複数の燃料装荷手順変更案から作業者が1つの燃料装荷手順変更案を選択するものである。記憶部88は、予め設計された燃料装荷手順、燃料装荷の禁止条件、燃料集合体26の形状データ、炉心に対する燃料集合体26の装荷状態などが記憶されている。帳票作成部89は、選択部87により決定された燃料装荷手順変更案の帳票を作成するものである。
ここで、上述した本実施形態の燃料装荷手順変更システム80による燃料装荷手順変更方法について説明する。図6は、燃料装荷手順変更方法を表すフローチャート、図7は、燃料装荷手順変更時における燃料装荷手順変更案を表示する表示画面の概略図である。
図5および図6に示すように、ステップS21にて、燃料装荷手順変更の指示があったかどうか、つまり、検出部81が燃料装荷手順変更の操作信号を検出したかどうかを判定する。ここで、検出部81が燃料装荷手順変更の操作信号を検出していないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、検出部81が燃料装荷手順変更の操作信号を検出したと判定(Yes)されると、ステップS22にて、手順変更案作成部82は、記憶部88から各種のデータとして、燃料装荷手順、燃料装荷の禁止条件、燃料集合体26の形状データ、炉心に対する燃料集合体26の装荷状態などを取得する。
そして、ステップS23にて、複数の燃料装荷手順変更案を作成する。図7に示すように、手順変更案作成部82は、表示部85に炉心における燃料集合体26の装荷状況と燃料装荷手順変更案を表示する。表示部85の右側は、燃料集合体26の装荷状況であり、燃料集合体26の装荷位置、燃料集合体26の変形方向および変形量が表示される。表示部85の左側は、複数の燃料装荷手順変更案が表示される。このとき、表示部85の右側に表示された燃料集合体26の装荷状況に燃料装荷手順変更案の1例が追加表示される。例えば、燃料装荷手順変更案の1例は、◎は次の燃料集合体26の装荷目標位置であり、○は次の燃料集合体26の装荷目標位置に燃料集合体26を装荷するために必要なガイド部材の装荷位置である。
ステップS24にて、手順変更案作成部82は、特定の燃料装荷手順変更案に対して修正指示部86から修正指示があるかどうかを判定する。ここで、修正指示部86から修正指示がないと判定(No)されると、ステップS26に移行し、修正指示部86から修正指示があると判定(Yes)されると、ステップS25にて、燃料装荷手順変更案を修正してからステップS26に移行する。ステップS26にて、選択部87から選択指令が入力されたかどうかを判定する。ここで、選択部87から選択指令が入力されていないと判定(No)されると、ステップS24に戻って処理を繰り返す。一方、選択部87から選択指令が入力されたと判定(Yes)されると、選択された燃料装荷手順変更案をチェック部83がチェックする。ステップS27にて、帳票作成部89が燃料装荷手順変更案の帳票を作成した後、ステップS28にて、責任者の承認をとる。そして、ステップS29にて、出力部84が決定した燃料装荷手順変更書を出力し、表示部85が表示する。
図7は、燃料装荷手順変更システム80における表示部85の画面である。図7に示すように、画面の左側には、複数(本実施形態では、4案)の燃料装荷手順変更案(1)(2)(3)(4)が表示される。作業者が所定の燃料装荷手順変更案(1)を選択すると、選択した燃料装荷手順変更案の詳細が下側に表示されると共に、右側に燃料集合体26の装荷状況に加えて燃料装荷手順変更案(1)が表示される。ここでは、処理ステップごとに装荷する燃料集合体26やガイド部材の種類と、処理ステップごとに移動前および移動後の燃料装荷位置のアドレスとが表示される。また、画面の右側には、炉心における燃料集合体26の装荷状態と、各燃料集合体26の形状データ(変形方向と変形量)とが表示される。また、図示しないが、修正指示部86における出性スイッチ、選択部87における選択スイッチ、帳票作成部89における帳票作成スイッチおよび作成された帳票が表示される。
ここで、燃料装荷手順変更案の作成方法について説明する。図8は、燃料装荷の禁止条件を説明するための概略図である。
図8に示すように、例えば、「0」の位置が燃料集合体26を装荷する目標位置であのとき、燃料装荷の禁止条件における自立防止や孤立禁止を考慮して「0」の目標位置だけに燃料集合体26を装荷することはできない。このとき、目標位置「0」を囲む4カ所の装荷位置「1」の少なくとも2カ所に燃料集合体26が装荷されていることが必要となる。そして、装荷位置「1」に燃料集合体26を装荷するためには、装荷位置「1」に隣接する装荷位置「2」に燃料集合体26が装荷されていることが必要となる。この装荷位置「2」に燃料集合体26を装荷する場合、燃料装荷の禁止条件における臨界管理や不安定対角を考慮する必要があり、装荷位置「3」への燃料集合体26の装荷状態を考慮する。このような燃料装荷の禁止条件の概念に基づいて燃料装荷手順変更案を作成する。
続いて、燃料装荷手順変更案の具体的な作成方法について説明する。図9は、燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図、図10は、複数の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。以下の説明では、空の装荷位置を装荷状態とするとき、第1ガイド部材または第2ガイド部材として、燃料集合体26とほぼ同形状をなすガイドアセンブリやダミー燃料を空の装荷位置に挿入して仮の装荷状態としたり、第1ガイド部材または第2ガイド部材として、燃料集合体26を空の装荷位置に挿入して装荷状態としたりする。ここで、ガイドアセンブリは、炉心の周囲に4本配置され、ダミー燃料や燃料集合体26は、燃料プールに配置されている。
図9に示すように、アドレスB−1,C−1,C−2,D−1に燃料集合体26が装荷済であり、次に、アドレスB−2の目標位置◎に燃料集合体26が装荷する。このとき、アドレスB−1に装荷されている燃料集合体26が目標位置◎側に変形し、アドレスC−2に装荷されている燃料集合体26が目標位置◎側に変形している。そのため、目標位置◎に装荷する燃料集合体26は、アドレスB−1の変形する燃料集合体26とアドレスC−2の変形する燃料集合体26に接触するため、目標位置◎に装荷することが困難となる。
このとき、目標位置◎に対して、変形する燃料集合体26のアドレスB−1とは反対側のアドレスB−3の装荷位置○を燃料装荷状態とする。また、目標位置◎に対して、変形する燃料集合体26のアドレスC−2とは反対側のアドレスA−2の装荷位置○を燃料装荷状態とする。しかし、アドレスB−3の装荷位置○と、アドレスA−2の装荷位置○は、孤立位置である。そのため、燃料集合体26が装荷済であるアドレスC−2の装荷位置およびアドレスB−3の装荷位置○に隣接するアドレスC−3の装荷位置を燃料装荷状態とする。また、燃料集合体26が装荷済であるアドレスB−1の装荷位置およびアドレスA−2の装荷位置○に隣接するアドレスA−1の装荷位置を燃料装荷状態とする。つまり、アドレスC−3の装荷位置(1)に第2ガイド部材を入れ、アドレスB−3の装荷位置(2)に第1ガイド部材を入れ、アドレスA−1の装荷位置(3)に第2ガイド部材を入れ、アドレスA−2の装荷位置(4)に第1ガイド部材を入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷する燃料装荷手順変更案を提示することができる。
すると、目標位置◎は、4方が燃料装荷状態となる。そのため、燃料集合体26を目標位置◎に装荷するとき、燃料集合体26は、アドレスB−1に装荷された燃料集合体26、アドレスB−3に装荷された第1ガイド部材、アドレスC−2,B−1に装荷された燃料集合体26、アドレスA−2に装荷された第1ガイド部材にガイドされることとなり、目標位置◎に燃料集合体26を適正に装荷することができる。
上述の説明では、アドレスC−3の装荷位置(1)、アドレスB−3の装荷位置(2)、アドレスA−1の装荷位置(3)、アドレスA−2の装荷位置(4)、目標位置◎の順に燃料装荷状態とする燃料装荷手順変更案を提示したが、その他の燃料装荷手順変更案を提示することができる。図10に示すように、アドレスB−2が燃料集合体26を装荷する目標位置◎、アドレスA−2,B−3が第1ガイド部材を装荷する位置○、アドレスA−1,C−3が第2ガイド部材を装荷する位置△である。第1燃料装荷手順変更案は、上述したアドレスC−3の装荷位置(1)、アドレスB−3の装荷位置(2)、アドレスA−1の装荷位置(3)、アドレスA−2の装荷位置(4)、目標位置◎の順に燃料装荷状態とするものである。第2燃料装荷手順変更案は、アドレスA−1の装荷位置(1)、アドレスA−2の装荷位置(2)、アドレスA−3の装荷位置(3)、アドレスB−3の装荷位置(4)、目標位置◎の順に燃料装荷状態とするものである。また、第3燃料装荷手順変更案は、アドレスC−3の装荷位置(1)、アドレスB−3の装荷位置(2)、アドレスA−3の装荷位置(3)、アドレスA−2の装荷位置(4)、目標位置◎の順に燃料装荷状態とするものである。
作業者は、3つの燃料装荷手順変更案の中から、1つの燃料装荷手順変更案を選択する。所定の燃料装荷手順変更案を選択する場合、作業者は、処理ステップが少ない変更案、処理時間が短い変更案、炉心に近いガイドアセンブリ(ガイド部材)を適用する変更案などを優先的に選択する。
図11は、別の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図、図12は、別の複数の燃料装荷手順変更案の作成方法を表す説明図である。
図11に示すように、アドレスB−1,C−1,D−1に燃料集合体26が装荷済であり、次に、アドレスB−2の目標位置◎に燃料集合体26が装荷する。このとき、アドレスB−1に装荷されている燃料集合体26が目標位置◎側に変形している。そのため、目標位置◎に装荷する燃料集合体26は、アドレスB−1の変形する燃料集合体26に接触するため、目標位置◎に装荷することが困難となる。
このとき、目標位置◎に対して、変形する燃料集合体26のアドレスB−1とは反対側のアドレスB−3の装荷位置○を燃料装荷状態とする。しかし、アドレスB−3の装荷位置○は、孤立位置である。そのため、アドレスC−2の装荷位置、アドレスC−3の装荷位置、アドレスB−3の装荷位置を燃料装荷状態とする。つまり、アドレスC−2の装荷位置(1)に第2ガイド部材を入れ、アドレスC−3の装荷位置(2)に第2ガイド部材を入れ、アドレスB−3の装荷位置(3)に第1ガイド部材を入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷する燃料装荷手順変更案を提示することができる。
すると、目標位置◎は、アドレスB−1に装荷されて燃料集合体26が変形する側の2方が燃料装荷状態となる。そのため、燃料集合体26を目標位置◎に装荷するとき、燃料集合体26は、アドレスB−1に装荷された燃料集合体26とアドレスB−3に装荷されたガイド部材にガイドされることとなり、目標位置◎に燃料集合体26を適正に装荷することができる。
また、上述した燃料装荷手順変更案以外の燃料装荷手順変更案を提示することができる。図12に示すように、アドレスB−2が燃料集合体26を装荷する目標位置◎、アドレスB−3が第1ガイド部材を装荷する位置○である。第1燃料装荷手順変更案は、アドレスC−2の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスC−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスB−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第1ガイド部材)Gを入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷するものである。ここで、ガイドアセンブリGは、異なる位置に配置された3本を使用することから、各アドレスに入れるガイドアセンブリGを異ならせることで、更に6種類の燃料装荷手順変更案を提示することができる。
第2燃料装荷手順変更案は、アドレスC−2の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスC−3の装荷位置にダミー燃料(第2ガイド部材)Dを入れ、アドレスB−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第1ガイド部材)Gを入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷するものである。ここで、ガイドアセンブリGは、異なる位置に配置された3本のうちの2本を使用することから、各アドレスに入れるガイドアセンブリGを異ならせることで、更に6種類の燃料装荷手順変更案を提示することができる。
第3燃料装荷手順変更案は、アドレスA−1の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスA−2の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスA−3の装荷位置にダミー燃料(第2ガイド部材)Dを入れ、アドレスB−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第1ガイド部材)Gを入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷するものである。ここで、ガイドアセンブリGは、異なる位置に配置された3本を使用することから、各アドレスに入れるガイドアセンブリGを異ならせることで、更に6種類の燃料装荷手順変更案を提示することができる。
第4燃料装荷手順変更案は、アドレスA−1の装荷位置に燃料集合体26を装荷し、アドレスA−2の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスA−3の装荷位置にダミー燃料(第2ガイド部材)Dを入れ、アドレスB−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第1ガイド部材)Gを入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷するものである。ここで、ガイドアセンブリGは、異なる位置に配置された3本のうちの2本を使用することから、各アドレスに入れるガイドアセンブリGを異ならせることで、更に6種類の燃料装荷手順変更案を提示することができる。
第5燃料装荷手順変更案は、アドレスA−1の装荷位置に燃料集合体26を装荷し、アドレスA−2の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスA−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第2ガイド部材)Gを入れ、アドレスB−3の装荷位置にガイドアセンブリ(第1ガイド部材)Gを入れて順に燃料装荷状態とし、目標位置◎に燃料集合体26を装荷するものである。ここで、ガイドアセンブリGは、異なる位置に配置された3本を使用することから、各アドレスに入れるガイドアセンブリGを異ならせることで、更に6種類の燃料装荷手順変更案を提示することができる。
作業者は、5つの燃料装荷手順変更案の中から、1つの燃料装荷手順変更案を選択する。所定の燃料装荷手順変更案を選択する場合、処理ステップが少ない変更案、処理時間が短い変更案、炉心に近いガイドアセンブリGを適用する変更案などが優先的に選択される。また、装荷位置に入れるガイド部材として、ガイドアセンブリG、ダミー燃料D、燃料集合体26がある。ダミー燃料DよりガイドアセンブリGの方が炉心に近い位置に配置されていることから、ガイドアセンブリGを使用した変更案が優先的に選択される。また、ガイド部材として燃料集合体26を使用する場合、燃料の装荷順序が変更されてしまうことから、ガイド部材としてガイドアセンブリGやダミー燃料Dを使用した変更案が優先的に選択される。なお、ガイド部材として使用されたガイドアセンブリGやダミー燃料Dは、目標位置に燃料集合体26を装荷した後に取り出される。
なお、ここで、燃料装荷手順変更案の作成方法について2種類説明したが、燃料装荷手順変更案の作成方法は、装荷済の燃料集合体26の状態やこれから装荷する燃料集合体26の目標位置に応じて異なるものであり、上述したものだけではない。また、これから装荷する燃料集合体26の目標位置に対して周囲の装荷済の燃料集合体26の形状、つまり、曲り方向に応じて、目標位置の2方向を囲う必要があるか、4方向を囲う必要があるかはさまざまであり、上述したものだけではない。燃料装荷手順変更案は、これらの情報に応じて最適なものが作成される。
このように本実施形態の燃料装荷手順変更システムにあっては、燃料装荷手順変更の指示を検出する検出部(燃料装荷手順変更指示検出部)81と、検出部81が燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と燃料集合体26の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する手順変更案作成部(燃料装荷手順変更案作成部)82と、手順変更案作成部82が作成した燃料装荷手順変更案を出力する出力部(燃料装荷手順変更案出力部)84とを備える。
そのため、予め設定された燃料装荷手順では装荷することができない燃料集合体26が発生しても、燃料装荷手順を直ちに変更し、燃料装荷手順変更案により燃料集合体26を早期に装荷することができる。その結果、燃料装荷作業の停止時間を短縮することで燃料装荷作業の長時間化を抑制し、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、燃料集合体26の形状データは、燃料集合体26の変形方向データを有し、手順変更案作成部82は、燃料集合体26の変形方向データに基づいて目標位置に装荷する燃料集合体26を案内する第1ガイド部材の挿入位置を設定する。そのため、燃料集合体26が変形していることで燃料装荷できないとき、燃料集合体26の変形方向に応じた挿入位置に第1ガイド部材を挿入することで、装荷済の燃料集合体26および第1ガイド部材の案内により燃料集合体26を適正に目標位置に装荷することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、手順変更案作成部82は、燃料集合体26の変形方向データに応じて第1ガイド部材の挿入位置を1つ以上設定する。そのため、複数の装荷済の燃料集合体26が目標位置に向けて変形しているとき、目標位置の周囲に複数の第1ガイド部材を挿入することで、複数の装荷済の装荷済の燃料集合体26および第1ガイド部材の案内により燃料集合体26を適正に目標位置に装荷することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、手順変更案作成部82は、装荷済の燃料集合体26と第1ガイド部材の挿入位置との間に第2ガイド部材の挿入位置を設定する。そのため、第1ガイド部材が孤立状態になることはなく、燃料装荷の禁止条件を維持することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、手順変更案作成部82は、複数の燃料装荷手順変更案を作成する。そのため、作業者は、複数の燃料装荷手順変更案から現状に合わせて最適な燃料装荷手順変更案を選択することができ、燃料装荷作業の作業性を向上することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、出力部84により出力された複数の燃料装荷手順変更案から作業者が1つの燃料装荷手順変更案を選択する選択部87を有する。そのため、作業者は、選択部87により複数の燃料装荷手順変更案から1つの燃料装荷手順変更案を選択することができ、現状に合った燃料装荷手順変更案を選択することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、出力部84により出力された燃料装荷手順変更案に対して作業者が変更可能な修正指示部86を有する。そのため、作業者は、修正指示部86により燃料装荷手順変更案を変更することができ、燃料装荷手順変更案を現状に合ったより良いものに変更することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、出力部84により出力された燃料装荷手順変更案を表示する表示部85を有する。そのため、表示部85は、燃料装荷手順変更案を表示することから、作業者は、燃料装荷手順変更案の詳細を確認することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、手順変更案作成部82により作成された燃料装荷手順変更案が禁止条件に適合しているかどうかをチェックするチェック部83を有する。そのため、チェック部83は、作成された燃料装荷手順変更案が禁止条件に適合しているかどうかをチェックすることから、燃料装荷手順変更案の高い信頼性を確保することができる。
本実施形態の燃料装荷手順変更システムでは、決定した燃料装荷手順変更案の帳票を作成する帳票作成部89を有する。そのため、燃料装荷手順変更案の帳票により早期に燃料装荷作業を継続することができる。
また、本実施形態の燃料装荷手順変更方法およびプログラムにあっては、燃料装荷手順変更の指示を検出する工程と、燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と燃料集合体26の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する工程と、燃料装荷手順変更案を出力する工程とを有する。
そのため、予め設定された燃料装荷手順では装荷することができない燃料集合体26が発生しても、燃料装荷手順を直ちに変更し、燃料装荷手順変更案により燃料集合体26を早期に装荷することができる。その結果、燃料装荷作業の停止時間を短縮することで燃料装荷作業の長時間化を抑制し、燃料装荷作業の作業効率の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、原子炉容器を加圧水型原子炉で使用されるものとして説明したが、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)や高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)に使用される原子炉容器に適用してもよい。
10 加圧水型原子炉
11 原子炉容器
12 原子炉容器本体
13 原子炉容器蓋
18 炉心槽
25 炉心
26 燃料集合体
27 制御棒
41 燃料棒
42 支持格子
43 上部ノズル
44 下部ノズル
51 操作装置
52 制御装置
53 表示装置
54 スピーカ
55 記録装置
56 ロードセル
57 エンコーダ
58 カメラ
60 燃料装荷装置
61 ブリッジ
62 ホイスト
63 グリッパ装置
64 トロリ
71 架台
74 ワイヤロープ
75 マストチューブ
76 滑車
77 マスト
80 燃料装荷手順変更システム
81 検出部(燃料装荷手順変更指示検出部)
82 手順変更案作成部(燃料装荷手順変更案作成部)
83 チェック部
84 出力部(燃料装荷手順変更案出力部)
85 表示部
86 修正指示部
87 選択部
88 記憶部
89 帳票作成部
90 燃料装荷手順変更スイッチ
G ガイドアセンブリ(第1ガイド部材、第2ガイド部材)
D ダミー燃料(第1ガイド部材、第2ガイド部材)

Claims (12)

  1. 原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更システムにおいて、
    燃料装荷手順変更の指示を検出する燃料装荷手順変更指示検出部と、
    燃料装荷手順変更指示検出部が前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する燃料装荷手順変更案作成部と、
    前記燃料装荷手順変更案作成部が作成した前記燃料装荷手順変更案を出力する燃料装荷手順変更案出力部と、
    を備えることを特徴とする燃料装荷手順変更システム。
  2. 前記燃料の形状データは、前記燃料の変形方向データを有し、前記燃料装荷手順変更案作成部は、前記燃料の変形方向データに基づいて目標位置に装荷する前記燃料を案内する第1ガイド部材の挿入位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料装荷手順変更システム。
  3. 前記燃料装荷手順変更案作成部は、前記燃料の変形方向データに応じて前記第1ガイド部材の挿入位置を1つ以上設定することを特徴とする請求項2に記載の燃料装荷手順変更システム。
  4. 前記燃料装荷手順変更案作成部は、装荷済の前記燃料と前記第1ガイド部材の挿入位置との間に第2ガイド部材の挿入位置を設定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料装荷手順変更システム。
  5. 前記燃料装荷手順変更案作成部は、複数の前記燃料装荷手順変更案を作成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料装荷手順変更システム。
  6. 前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された複数の前記燃料装荷手順変更案から作業者が1つの前記燃料装荷手順変更案を選択する選択部を有することを特徴とする請求項5に記載の燃料装荷手順変更システム。
  7. 前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された前記燃料装荷手順変更案に対して作業者が変更可能な修正指示部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料装荷手順変更システム。
  8. 前記燃料装荷手順変更案出力部により出力された前記燃料装荷手順変更案を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の燃料装荷手順変更システム。
  9. 前記燃料装荷手順変更案作成部により作成された前記燃料装荷手順変更案が前記禁止条件に適合しているかどうかをチェックするチェック部を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の燃料装荷手順変更システム。
  10. 決定した前記燃料装荷手順変更案の帳票を作成する帳票作成部を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の燃料装荷手順変更システム。
  11. 原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更方法において、
    燃料装荷手順変更の指示を検出する工程と、
    前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する工程と、
    前記燃料装荷手順変更案を出力する工程と、
    を有することを特徴とする燃料装荷手順変更方法。
  12. 原子炉容器に燃料を装荷する手順を変更する燃料装荷手順変更方法において、
    燃料装荷手順変更の指示を検出する工程と、
    前記燃料装荷手順変更の指示を検出したときに予め設定された燃料装荷の禁止条件と前記燃料の形状データに基づいて燃料装荷手順変更案を作成する工程と、
    前記燃料装荷手順変更案を出力する工程と、
    を有することを特徴とする燃料装荷手順変更プログラム。
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