JP2656410B2 - 中性子源の据付方法およびこの方法に用いられる中性子源ホルダラック - Google Patents

中性子源の据付方法およびこの方法に用いられる中性子源ホルダラック

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JP2656410B2
JP2656410B2 JP3273813A JP27381391A JP2656410B2 JP 2656410 B2 JP2656410 B2 JP 2656410B2 JP 3273813 A JP3273813 A JP 3273813A JP 27381391 A JP27381391 A JP 27381391A JP 2656410 B2 JP2656410 B2 JP 2656410B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子炉の炉心に中性子源
を装荷する技術に係り、特に沸騰水型原子炉等の軽水炉
の初装架炉心に中性子源を装荷する中性子源の据付方法
およびこの方法に用いられる中性子源ホルダラックに関
する。
【0002】
【従来の技術】軽水炉としての沸騰水型原子炉は原子炉
圧力容器内に炉心が収容され、この炉心に4体一組の燃
料集合体が多数組装荷される。各組の燃料集合体間に横
断面十字状の制御棒が挿入され、この制御棒を炉心に出
し入れさせることにより原子炉の起動・停止や炉出力が
コントロールされるようになっている。
【0003】図7は1100MWe級の沸騰水型原子炉
における燃料集合体初装架前の炉心構造を示す平面図で
ある。図中符号1は原子炉炉心を示すもので、この炉心
1に表示された正方形の四角形は制御棒セル2である。
制御棒セル2内に4体一組の燃料集合体(図示せず)が
装荷される。
【0004】原子炉炉心1には、低レベルの中性子線を
検出するモニタ(×印)3が設けられており、このモニ
タ3で制御棒全挿入時にも中性子線量を測定し、未臨界
状態が確認できるようになっている。
【0005】初装架炉心1の場合、燃料集合体の燃料自
体から中性子が自動的に放射されないので、中性子源
(中性子線源)4を炉心1に予め装荷しておく必要があ
る。1100MWe級の原子炉の場合、中性子源4は例
えば7本あり、この7本の中性子源4が燃料集合体を炉
心1に装荷する前に、炉心上部から炉心1内に装荷され
る。中性子源4は全炉心1の燃料にある程度の中性子線
量を与えるため、非常に強い中性子放射強度となってい
る。
【0006】この中性子放射強度を考慮し、原子炉の初
装架炉心1への中性子源4の据付作業は、全て水中で行
なわれる作業であった。この据付作業を完全に水中で進
めるためには、図8に示すように燃料プール(使用済燃
料プール)5、原子炉ウェル6、ドライヤ・セパレータ
プール(蒸気乾燥器・気水分離器ピット:以下、DSプ
ールという。)7に水を張らねばならず、約3500m
3 と多量の純水が必要となる。約3500m3 の純水の
水張り・浄化・水抜きを行なうためには、これらの水処
理だけで約5日の作業日数を要していた。
【0007】一方、中性子源4を初装架炉心1に装荷す
る中性子源の据付作業全体の作業日数は約8日であるた
め、中性子源の据付作業工程の半分以上を水張り・浄化
・水抜きの準備作業が占めることになる。
【0008】また、近年の原子力発電プラントにおいて
は、原子炉の建設工期の短縮が重要な課題の1つになっ
ているが、中性子源の据付作業に関しては、全作業工程
のうち水処理である水張り・浄化・水抜きの準備作業が
大半を占めているため、準備期間を短かくしない限り、
建設工期の短縮は不可能であった。
【0009】従来の中性子源の据付作業は被曝の観点か
ら、中性子源の移動作業を全て水中で行なっている。し
かし、中性子源の水中移動距離は、例えば中性子源の収
納ブロックでは1個当たり数十メートル、中性子源ピン
(NSピン)では1本当たり5〜10メートルであり、
水中移動距離が長い。水中移動の途中で中性子源を誤っ
て落下させるおそれがあるリスクを考慮し、図9に示す
ように、中性子源つかみ具8の下方にタモ10等を設置
し、中性子源4の水中移動作業を行なっている。この場
合には、中性子源つかみ具8で中性子源4を掴んで水中
移動させている間、別の作業員がタモ10等を共同して
追従操作させなければならず、作業性が著しく悪かっ
た。
【0010】作業性の問題を解決する方法として中性子
源の炉心内据付作業時に燃料プール5、原子炉ウェル
6、DSプール7への水張りを行なわず、中性子源4を
気中移動させることが考えられる。
【0011】しかし、中性子源を気中移動させる際、作
業員への被曝が新たな問題となる。中性子源据付作業を
気中で行なう場合、中性子源の取扱作業全般に亘って一
様に被曝するのではなく、例えばクレーンを使用した気
中移動作業などは遠隔操作作業であり、作業時間も短か
いことから気中移動作業であっても被曝は問題にならな
い。一方、中性子源の位置合せ等の慎重な作業は、作業
時間を要し、そのままでは高い被曝量を受けるおそれが
ある。
【0012】中性子源4の炉心内据付作業の場合、中性
子源4の取扱いに時間を有する作業は3箇所あり、1つ
は図9に示すように中性子源4を複数個収納した収納ブ
ロック11から中性子源4を取り出して中性子源ホルダ
12に装荷する作業、2つ目は、中性子源4を収納した
中性子源ホルダ12を炉心1内へ移動させる中性子源ホ
ルダ移動治具へ結合させる作業、3つ目は、中性子源ホ
ルダ12を炉心1内に据え付ける作業である。
【0013】3番目の炉心内据付作業は、原子炉圧力容
器内に通常水位まで水を張れば水中作業となり、被曝量
は皆無と考えてよく、問題にならない。問題になるの
は、1番目の中性子源4を中性子源ホルダ12に装荷す
る作業、および2番目の中性子源ホルダ12を中性子源
ホルダ移動用治具へ結合させる作業である。
【0014】このうち、中性子源4を中性子源ホルダ1
2に装荷する作業は図9に示すように行なわれる。
【0015】中性子源4は収納ブロック11に複数本収
納されており、収納ブロック11は図示しないクレーン
等で作業台13上の仮置スタンド14に予め移動してお
く。
【0016】作業員15は長いオペレーションポール1
6の先に中性子源つかみ具8を備えたつかみ治具を使用
し、オペレーションフロア面17から手で操作して中性
子源4をそのつかみ具8に把持し、装着させる。
【0017】中性子源4をそのつかみ具8に装着したこ
とを確認した後、引き上げて中性子源ホルダ12の上方
位置まで移動させる。
【0018】このとき、中性子源4を装着した中性子源
つかみ具8は燃料プール5内を移動するが、万一中性子
源4が落下しても、燃料プール5の底面まで見損うこと
がないように、中性子源4の下方をタモ10等のメッシ
ュ状容器で得けながら水中移動される。
【0019】一方、中性子源ホルダ12の上方には中性
子源のソースガイド20が置いてあり、搬送された中性
子源4が中性子源ホルダ12内に装荷し易いように案内
している。
【0020】中性子源つかみ具8は、放し用ワイヤ(図
2の符号38参照)を引張ると、中性子源4を保持状態
から解放するようになっている。解放された中性子源4
はソースガイド20に案内され、自重により中性子源ホ
ルダ12内に落下して装荷される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】中性子源ホルダ12に
中性子源4を装荷する一連の作業は、中性子源4の個数
分を反復して実施されるが、この中性子源ホルダ12へ
の装荷作業には細心の注意が必要で、この装荷作業に要
する時間も多い。
【0022】また、前述した2番目の中性子源ホルダ1
2を中性子源ホルダ移動治具へ結合させる作業の場合に
も、各中性子源ホルダ毎に反復して行なわれて細心の注
意が必要となり、かつ作業時間も掛る。
【0023】このため、中性子源ホルダ12への装荷作
業や中性子源ホルダ移動治具への結合作業を気中で実施
すると被曝の問題を考慮する必要がある。
【0024】例えば中性子源ホルダ12への装荷作業
で、中性子計装管4を中性子源ホルダ12に装荷させる
場合、従来中性子源4、1個の線量率は4mの距離で1
mSv(ミリシーベルト)/hrのオーダであるため、全
て(7個)の中性子源ホルダ12への装荷作業では、仮
に装荷作業時間の合計が1時間であったとしても10m
Sv近くの被曝量となり、許容できないので被曝量を減
らす工夫が必要である。
【0025】被曝量の低減策には遮蔽材を用いる方法を
遠隔操作による方法とに大別される。
【0026】遮蔽材を用いる方法は、中性子源4がカリ
ホルニウム252(Cf−252)等の線源を用い、放
射される放射線の中にはγ線を多く含んでいるため、完
全な被曝量レベルまで下げるためには、数10ton の遮蔽
材を必要とし、大掛りとなる。
【0027】また、遠隔操作による方法は中性子源4を
炉心内に装荷できるように中性子源ホルダ12内に挿入
する必要があるため、小型マニビュレータのような正確
で精密な遠隔操作ロボットを開発する必要がある。
【0028】一方、炉心1に中性子源4を装荷するの
は、初装架炉心時のみであり、中性子源4の据付作業用
だけに遠隔操作可能なマニピュレータ装置を開発するの
は、非常に面倒かつ高価でコストアップの要因となり望
ましくない。
【0029】このため、中性子源の炉心内据付作業にお
いて、マニピュレータ装置などの開発を行なわずに、被
曝の心配もなく、作業工期の短縮やコストダウンを図る
ようにするには、如何に構成したらよいか問題になって
いた。
【0030】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、マニピュレータ装置の新たな開発を必要とせ
ず、中性子源の据付機器のマイナーチェンジだけで、被
曝量を充分に安全なレベルまで抑制でき、中性子源の炉
心据付作業の工期短縮やコストダウンを図ることができ
る中性子源の据付方法およびこの方法に用いられる中性
子源ホルダラックを提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために、請求項1に記載したように、中性子
源ホルダを着脱可能に収容した中性子源ホルダラックを
燃料交換機用マスト調整ピット内に挿入して固定する一
方、このマスト調整ピット内に水を入れて上記マスト調
整ピット内に中性子源を収納した収納ブロックを案内
し、この収納ブロックから中性子源を、前記燃料交換機
用マスト調整ピット内の水中作業により、取り出して中
性子源ホルダ内に収容し、続いて中性子源を収容した中
性子源ホルダを中性子源ホルダ移動治具に結合させ、こ
の中性子源ホルダ移動治具により中性子源ホルダラック
から中性子源ホルダを取り出して、原子炉圧力容器内に
気中移動させ、その後中性子源ホルダを初装荷炉心に装
荷する中性子源の据付方法にある。
【0032】また、本発明に係る中性子源ホルダラック
は、上述した課題を解決するために、請求項2に記載し
たように、燃料交換機用マスト調整ピットの上縁に着座
可能なフランジを形成した上部固定板と、収納ブロック
を支持可能な仮置スタンドを設けた中間の仮置スタンド
支持板と、中性子源ホルダを支持する下部のホルダ支持
板とを、複数本の支柱で相互に連結して籠形構造にホル
ダラックを構成し、このホルダラック内に中性子源ホル
ダを着脱可能に装着する一方、上記ホルダラックを前記
燃料交換機用マスト調整ピット内に出し入れ可能に挿入
し固定したものである。
【0033】
【作用】本発明は、燃料交換機用マスト調整ピットを積
極的に利用することにより、原子炉ウェルやDSプール
に水を張って仮設プールを形成する必要がない。仮設プ
ールを用いなくても、仮置スタンドや中性子源ホルダを
中性子源ホルダラックに支持させて従来と同様水中に設
置することができ、中性子源ホルダに中性子源を装荷す
る作業や中性子源入りの中性子源ホルダを中性子源ホル
ダ移動治具に結合させる作業を燃料交換機用マスト調整
ピット内の水中で行なうことができ、被曝量は従来と同
様皆無に等しくなる。
【0034】また、燃料交換機用マスト調整ピットは限
られた直径の縦穴空間であるので、例えば予め適当な深
度に落下防止板を設置しておけば、従来のように中性子
源の装荷作業や中性子源ホルダ移動治具への結合作業
に、タモ等を用いる必要がなく、作業性が向上する。
【0035】さらに、燃料交換機用マスト調整ピットを
利用すれば、特別な仮設物を用いることなく水中作業が
可能であり、また、中性子源気中移動作業での被曝量を
低減させることができ、中性子源気中移動作業のメリッ
トを最大限引き出すことができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例について添付図面を
参照して説明する。
【0037】図1は沸騰水型原子炉の原子炉建屋内上部
を示す略示断面図であり、図中符号20は原子炉建屋2
1内に収容された原子炉圧力容器である。この原子炉圧
力容器20内に炉心22が収容される。
【0038】炉心22は炉心シュラウド23により囲ま
れる一方、炉心シュラウド23下部に炉心下部支持板2
4が、その上部に炉心上部格子板25がそれぞれ設けら
れる。炉心下部支持板24と上部格子板25との間に4
体一組の燃料集合体(図示せず)が多数組装荷されるよ
うになっている。
【0039】一方、原子炉圧力容器20の上方には原子
炉ウェル26が形成され、この原子炉ウェル26の一側
にドライヤセパレータプール(DSプール)27が形成
される。原子炉ウェル26の他側には、図示しない使用
済燃料プールが設けられる。
【0040】DSプール27の一部に燃料交換機用マス
ト調整ピット28が一般的に設けられる。このマスト調
整ピット28は例えば直径約1m、深さ約10mの円筒
形縦穴で、マスト調整ピット28の周壁面はDSプール
27の内壁面と同様、ステンレス鋼板で内張りされ、滑
かに形成される。
【0041】既存の原子炉プラントのDSプール27に
形成される燃料交換機用マスト調整ピット28を中性子
源30の据付作業に積極的に利用する。このため、燃料
交換機用マスト調整ピット28に中性子源ホルダラック
31を着脱可能に収容させる。
【0042】中性子源ホルダラック31にはほぼ中央部
に仮置スタンド32が設置され、この仮置スタンド32
に中性子源30を収納した収納ブロック33が設置さ
れ、仮置きされる。収納ブロック33は天井クレーンの
ホイスト(図示せず)により輸送コンテナ34から取り
出され、気中移動により移動され、仮置スタンド32ま
で運ばれるようになっている。
【0043】収納ブロック33には例えば8個のカリホ
ルニウム252等の中性子源(NSピン)30が出入れ
可能に収容される。中性子源30は図2に示すようにオ
ペレーションポール35の先端に取り付けられた中性子
源つかみ具36に把持されて収納ブロック33から取り
出され、中性子源ホルダ37の上方まで運ばれる。
【0044】中性子源ホルダ37の上方まで運ばれた中
性子源(NSピン)30は、この上方位置で放し用ワイ
ヤ38を操作することにより解放され、自重により落下
する。このとき、中性子源(NSピン)30の落下はテ
ーパガイド面を有するソースガイド39に案内されて中
性子源ホルダ37内に導かれ、この中性子源ホルダ37
内に収容される。ソースガイド39はオペレーションポ
ール35の先端に取り付けられている。
【0045】また、中性子源ホルダ37は円筒状の中性
子源ホルダラック31に複数本立設状態で予め収納さ
れ、この中性子源ホルダラック31から取外し自在とさ
れる。
【0046】しかして、中性子源30を収納した中性子
源ホルダ37は、中性子源ホルダ移動治具40に結合さ
れて中性子源ホルダ31から取り出される。この中性子
源ホルダ移動治具40は燃料交換機41の補助ホイスト
42に昇降自在に吊設され、燃料交換機用マスト調整ピ
ット28と原子炉圧力容器20の炉心部22との間を移
動自在となっている。燃料交換機41はオペレーション
フロア面43上を走行自在に設けられている。
【0047】一方、燃料交換機用マスト調整ピット28
に着脱可能に据え付けられる中性子源ホルダラック31
は、図3に示すように籠形構造に構成され、例えば8本
までの中性子源ホルダ37を着脱自在に立設状態で装荷
できるようになっている。
【0048】中性子源ホルダラック31は、着座用外周
フランジを兼ねるリング状の上部固定板44と、中間の
仮置スタンド支持板45と下部のホルダ支持板46とを
複数本、例えば8本の支柱47で連結する一方、上部固
定板44や各支持板45,46の間に各支柱47を固定
する中間固定リング48が設けられ、この中間固定リン
グ48で中性子源ホルダラック31の剛性を高めてい
る。
【0049】中性子源ホルダラック31の全長は約7m
であり、収納ブロック33の仮置スタンド32はラック
上端から約2mの所に設置される。
【0050】しかして、中性子源ホルダラック31は図
5に示すように、燃料交換機用マスト調整ピット28内
に挿入され、マスト調整ピット28の上縁に上部固定板
44を着座させることにより固定され、マスト調整ピッ
ト28内に吊設される。燃料交換機用マスト調整ピット
28内の水が満水状態のとき、仮置スタンド32や中性
子源ホルダ37の上端は、被曝の影響を受けない充分に
深い位置、例えば自由液面から1.5m以上の位置とな
っている。
【0051】また、中性子源ホルダラック31の上部固
定板44と仮置スタンド支持板45との間に位置する中
間固定リング48に着座用フランジを備えた固定枠50
を図6に示すように嵌め込むと、この固定枠50の位置
で中性子源ホルダラック31を固定させることができ
る。
【0052】中性子源ホルダラック31には、枠状の中
性子源ホルダ37が予め着脱自在に装荷され、中性子源
ホルダ37を予め装荷した状態で中性子源ホルダラック
31は燃料交換機用マスト調整ピット28内に設置され
る。一方、中性子源30を収納した中性子源ホルダ37
は初装架炉心22の炉心下部支持板24と炉上部格子板
25の間に装荷されるようになっている。
【0053】次に、中性子源を炉心内に据え付ける作業
を説明する。
【0054】この実施例では、原子炉のDSプール27
に予め設けられた燃料交換機用マスト調整ピット28を
積極的に利用することにより、従来の中性子源(NSピ
ン)30の炉心内据付作業とほぼ同様な安全な方法で中
性子源30を原子炉の初装架炉心22に短時間で装荷す
ることが可能となる。
【0055】この中性子源30の炉心内据付作業に当た
り、この作業前に次の準備・点検事項がチェックされ
る。
【0056】(1)燃料交換機41や天井クレーン(図
示せず)が使用可能であること。
【0057】(2)燃料交換機41の補助ホイスト42
に中性子源ホルダ移動治具40が装着されていること。
【0058】(3)燃料交換機用マスト調整ピット28
が満水状態になっていること。
【0059】(4)中性子源ホルダ37や収納ブロック
33の仮置スタンド32を予め設置した中性子源ホルダ
ラック31を燃料交換機用マスト調整ピット28内に挿
入し、固定する。
【0060】中性子源30の炉心内据付作業の準備が完
了したら、次の作業手順で炉心内据付作業が進められ
る。
【0061】(1)天井クレーンのホイスト51を、輸
送コンテナ34内に収容された収納ブロック33に結合
させる。
【0062】(2)収納ブロック33からかなり離れた
位置にクレーン誘導員を残して作業員を退避させる。
【0063】(3)クレーン誘導員の指示で、輸送コン
テナ34から収納ブロック33を取り出して気中移動さ
せ、燃料交換機用マスト調整ピット28内の水中まで移
動させる。
【0064】(4)作業員の退避を解除する。
【0065】(5)天井クレーンのホイスト51を操作
して収納ブロック33をゆっくり降ろし、仮置スタンド
32に着座させ、天井クレーンとの結合を外す。
【0066】(6)収納ブロック33に収納されている
中性子源(NSピン)30を中性子源つかみ具36で把
持し、図2に示す操作で中性子源ホルダ37に装荷す
る。
【0067】(7)残りの中性子源(NSピン)30も
同様の手順で中性子源ホルダ37に順次装荷する。
【0068】(8)天井クレーンを用いて中性子源ホル
ダラック31を少し吊り上げ、図6に示す中間固定リン
グ48の位置に固定させる。
【0069】(9)燃料交換機41の補助ホイスト42
を降ろし、中性子源ホルダ移動治具40を中性子源ホル
ダ37に水中で結合させ、確実に結合されているか否か
を確認する。
【0070】(10)作業員を退避させる。
【0071】(11)中性子源ホルダ37を引き上げて
炉心22上方まで気中移動させ、原子炉圧力容器20内
の水中まで降ろす。
【0072】(12)作業員の退避を解除する。
【0073】(13)中性子源ホルダ37を初装架炉心
22に装荷する。
【0074】(14)他の中性子源ホルダ37について
も(9)〜(13)の手順を繰り返して炉心22に装荷
する。
【0075】このように、燃料交換機用マスト調整ピッ
ト28を積極的に利用することにより、中性子源30の
取扱いに時間を要する作業は、全て水中で行なうことが
できる。また、中性子源30を炉心内に据え付ける作業
において、(5)〜(9)の手順は燃料交換機用マスト
調整ピット28内の作業であり、この炉心内据付作業で
は、原子炉ウェル26やDSプール27内に水を張る必
要はない。
【0076】この中性子源30の炉心内据付作業では、
作業全体で許容値以下の約0.7mSv・人の被曝を受
けるが、燃料交換機用マスト調整ピット28内の作業は
水中作業であり、被曝量は殆どゼロである。
【0077】また、炉心内据付作業に、特別な準備項目
もなく、短時間で準備作業が完了し、準備日は作業日を
合せても作業日数は2日間で実施可能であり、8日間を
要した従来より作業日数を大幅しに短縮することができ
る。
【0078】さらに、原子炉ウェル26やDSプール2
7に水を張る必要がないから、炉心内据付作業に要する
水量は、燃料交換機用マスト調整ピット28内容量の約
10m3 でよく、3500m3 必要とした従来より使用
水量を大幅に節約できる。
【0079】したがって、この中性子源30の炉心内据
付作業により、新たに特別な装置を必要とせず、被曝量
を低く抑え、かつ作業日数を大幅に短縮し、しかも使用
水量を削減できるメリットがある。
【0080】
【発明の効果】本発明は上述したように構成したので、
燃料交換機用マスト調整ピットの限られた縦穴空間内に
水を張ることにより、水中作業が必要な中性子源の中性
子源ホルダへの装荷作業や中性子源ホルダの移動治具へ
の結合作業を水中で行なうことができ、特別な水槽や中
性子源装荷用機械を開発する必要がない。また、新しい
機械を開発することなく、中性子源の据付作業で、慎重
で時間を要する作業を燃料交換機用マスト調整ピットや
原子炉圧力容器内の水中で行なうことができ、それ以外
の中性子源の移動作業は気中で行なうことが可能とな
り、中性子源の気中移動のメリットを最大限引き出しつ
つ中性子源の据付作業を進めることができるので、被曝
量の低減や据付作業工程日数の短縮、使用水量の削減を
同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中性子源の据付方法に用いられる
作業手順の説明図。
【図2】燃料交換機用マスト調整ピット内で収納ブロッ
クから中性子源を取り出して中性子源ホルダに装荷する
作業を示す説明図。
【図3】本発明に係る中性子源ホルダラックを略示的に
示す側面図。
【図4】(A)は図3のA−A線に沿う平面図、(B)
は図3のB−B線に沿う平断面図、(C)は図3のC−
C線に沿う平断面図。
【図5】本発明に係る中性子源ホルダラックを燃料交換
機用マスト調整ピット内に挿入し着座させた状態を示す
図。
【図6】中性子源ホルダラックを燃料交換機用マスト調
整ピットから少し引き出して固定した状態を示す図。
【図7】沸騰水型原子炉の初装架炉心を示す図。
【図8】原子炉建屋の上部に設けられる原子炉ウェルと
ドライヤセパレータプールと使用済燃料プールとの関係
を示す平面図。
【図9】燃料プール内で行なわれる作業のうち、収納ブ
ロックから中性子源を取り出して中性子源ホルダに装荷
する作業を示す説明図。
【符号の説明】
20 原子炉圧力容器 21 原子炉建屋 22 炉心(初装架炉心) 23 炉心シュラウド 24 炉心下部支持板 25 炉心上部格子板 26 原子炉ウェル 27 ドライヤセパレータウェル 28 燃料交換機用マスト調整ピット 30 中性子源(NSピン) 31 中性子源ホルダラック 32 仮置スタンド 33 収納ブロック 34 輸送コンテナ 35 オペレーションポール 36 中性子源つかみ具 37 中性子源ホルダ 40 中性子源ホルダ移動治具 41 燃料交換機 42 補助ホイスト 43 オペレーションフロア 44 上部固定板 45 仮置スタンド支持板 46 ホルダ支持板 47 支柱 48 中間固定リング 50 固定枠

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性子源ホルダを着脱可能に収容した中
    性子源ホルダラックを燃料交換機用マスト調整ピット内
    に挿入して固定する一方、このマスト調整ピット内に水
    を入れて上記マスト調整ピット内に中性子源を収納した
    収納ブロックを案内し、この収納ブロックから中性子源
    を、前記燃料交換機用マスト調整ピット内の水中作業に
    より、取り出して中性子源ホルダ内に収容し、続いて中
    性子源を収容した中性子源ホルダを中性子源ホルダ移動
    治具に結合させ、この中性子源ホルダ移動治具により中
    性子源ホルダラックから中性子源ホルダを取り出して、
    原子炉圧力容器内に気中移動させ、その後中性子源ホル
    ダを初装荷炉心に装荷することを特徴とする中性子源の
    据付方法。
  2. 【請求項2】 燃料交換機用マスト調整ピットの上縁に
    着座可能なフランジを形成した上部固定板と、収納ブロ
    ックを支持可能な仮置スタンドを設けた中間の仮置スタ
    ンド支持板と、中性子源ホルダを支持する下部のホルダ
    支持板とを、複数本の支柱で相互に連結して籠形構造に
    ホルダラックを構成し、このホルダラック内に中性子源
    ホルダを着脱可能に装着する一方、上記ホルダラックを
    前記燃料交換機用マスト調整ピット内に出し入れ可能に
    挿入し固定したことを特徴とする中性子源ホルダラッ
    ク。
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