JP2020190236A - 電気加熱式触媒装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にて製造することが可能な電気加熱式触媒装置(EHC)を提供する。【解決手段】本発明に係るEHCは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を収容する筒状の容器である第1ケースと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、を備える。第1マットは発熱体と第1ケースとの間に挟持されている。一対の電極の各々は、発熱体の外周面に形成された面状の表面電極と、第1ケース及び第1マットを貫通して当該表面電極に当接する外部電極と、によって構成される。これによれば、第1マットを発熱体の外周面に巻回して圧入又はサイジングにより第1ケースの内部に収容した後に、第1ケースの外周面に形成された貫通孔に外部電極を挿通して表面電極に当接させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、電気加熱式触媒装置に関する。より具体的には、本発明は、電極への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にて製造することが可能な電気加熱式触媒装置に関する。
ガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気には、例えば煤等からなる粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、未燃焼炭化水素(HC:HydroCarbon)及び窒素酸化物(NOx)等の特定物質が含まれる。そこで、地球環境保護等の観点から、例えばPMを捕集するガソリンパティキュレートフィルタ(GPF:Gasoline Particulate Filter)及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)等のフィルタ並びに酸化触媒(OC:Oxidation Catalyst)、三元触媒(TWC:Three−Way Catalyst)及び選択触媒還元脱硝装置(SCR:Selective Catalytic Reduction)等の排気浄化触媒等の排気処理ユニットを含む排気処理装置を内燃機関の排気流路に介装して、これらの特定物質を除去することが広く行われている。
ところで、排気浄化触媒が所定の活性化温度に到達していない場合、当該排気浄化触媒は十分な触媒作用を発揮することができず、排気浄化機能が低下する。従って、例えば、冷間時における内燃機関の始動(冷間始動)を行った場合及びハイブリッド車両等において内燃機関の稼働頻度が低い場合等、排気浄化触媒の温度が十分に高まっていない場合においては、排気浄化触媒の温度が活性化温度に到達していないために所期の排気浄化機能を発揮することが困難となる虞がある。
そこで、当該技術分野においては、一対の電極を介して通電することによって発熱して排気浄化触媒を加熱する発熱体を備える排気処理装置である電気加熱式触媒装置(EHC:Electrically Heated Catalyst)が知られている。このようなEHCは、例えば、排気浄化触媒を担持する担体の上流側に配設された別個の発熱体によって排気を加熱し、このようにして加熱された排気によって排気浄化触媒を加熱するように構成することができる。或いは、このようなEHCは、例えば、排気浄化触媒を発熱体に担持させて(即ち、通電によって発熱する担体に排気浄化触媒を担持させて)排気浄化触媒と発熱体とを一体的に構成することもできる。何れの構成においても、EHCによれば、発熱体によって排気浄化触媒を加熱して排気浄化触媒の温度の活性化温度への到達を早め、結果として内燃機関の温度が低い場合における当該内燃機関からの上述した特定物質の放出(コールドエミッション)を低減することができる。
ところで、上記のように発熱体に通電するための電極は、例えば図13に示すように、発熱体3の外周表面に貼り付けられた表面電極7aと電源との電気的接続のために表面電極7aに突設された電極端子7bとによって一体的に構成されることが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。このような構成を有する電極を備える発熱体においては、表面電極から電極端子が突出しているため、例えば圧入又はサイジング等の方法によって当該発熱体を筒状のケース内に収めようとしても、筒状のケースの端部から当該発熱体をケース内に挿入することができない。従って、このような発熱体をケース内に収めるためには、例えば、プレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルに発熱体を挟み込んだ後に当該シェルを溶接等によって接合する必要があり、生産性が低い。
一方、当該技術分野においては、発熱体と、ケースと、発熱体とケースとの間に設けられる絶縁部材と、発熱体よりも上流側から下流側へと延在して発熱体の外周面に接続される電極と、を備えるEHCが知られている(例えば、特許文献2を参照)。このような構成を有するEHCは、例えば図14に示すように、軸方向に延びる電極端子5aを発熱体4の外周面に形成された電極膜8に接触させ且つ発熱体4の外周面に絶縁部材9を巻き付けた状態にて圧入又はサイジング等の方法により筒状のケース6の内部に発熱体4を収めた後にケース6の上流側から外部電極5を挿入して電極端子5aに接触させることにより構成することができる。
しかしながら、上記のような構成を有するEHCにおいては、ケースの上流側から挿入される外部電極を電極端子に押し当てることによって外部電極と電極端子とが電気的に接続される。このため、外部電極と電極端子との位置合わせが困難であったり、ケース内における排気浄化触媒の位置及び/又は角度が組付誤差等に起因してずれることにより外部電極と電極端子との接触面積にバラツキが生じたりする場合がある。その結果、上記のような構成を有するEHCにおいては、確実な通電を確保することが困難となる虞がある。
特許第5733419号公報 特許第5625796号公報
上述したように、当該技術分野においては、電極への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にて製造することが可能な電気加熱式触媒装置(EHC)が求められている。
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、面状の表面電極が外周面に形成された発熱体を筒状のケースの内部に収容した後に、当該ケースの外周面に形成された貫通孔に外部電極を挿通して当該外部電極を上記表面電極に当接させることにより、電極への確実な通電を確保しつつEHCを高い生産効率にて製造することができることを見出した。
具体的には、本発明に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「本発明EHC」と称呼される場合がある。)は、通電により発熱する発熱体と、発熱体を収容する筒状の容器である第1ケースと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、を備える。第1マットは発熱体と第1ケースとの間に挟持されている。換言すれば、第1マットは、第1ケースと発熱体との間に介在して第1ケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持している。
更に、一対の電極の各々は、表面電極と外部電極とによって構成されている。表面電極は、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である。外部電極は、表面電極に当接するように配設された導電性部材である。
上記に加えて、本発明EHCにおいては、第1ケースの第1マットを介して表面電極に対向する領域には第1ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第1ケース孔が形成されている。また、第1マットの少なくとも第1ケース孔に対向する領域には電気絶縁材料が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されている。更に、外部電極は、第1ケース孔及び第1マット間隙に挿通されて表面電極に当接している。
本発明の1つの好ましい態様において、第1マット間隙は、第1マットの第1ケース孔に対向する領域において第1マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1マット孔である。また、本発明のもう1つの好ましい態様において、表面電極の外部電極が当接する領域である当接領域は、少なくとも外部電極が当接する方向において可撓性を有するように構成されており、且つ、外部電極に当接されて撓んだ当接領域は、外周面と当接領域との間に形成された間隙に収容されている。
本発明によれは、電極への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にて製造することが可能な電気加熱式触媒装置(EHC)を提供することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施態様に係る電気加熱式触媒装置(第1EHC)の構成の一例を示す模式図である。 本発明の第2実施態様に係る電気加熱式触媒装置(第2EHC)の構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。 第2EHCが備える表面電極の構成の一例を示す模式的な平面図である。 第2EHCから第1ケース及び第1マットを除いた状態を示す模式的な斜視図である。 第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の幾つかの例を示す模式的な断面図である。 第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の更なる例を示す模式的な断面図である。 第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の更なる例を示す模式的な断面図である。 第2EHCが備える当接領域及び当接領域を収容する間隙の構成の更なる例を示す模式的な断面図である。 本発明の第3実施態様に係る電気加熱式触媒装置(第3EHC)の構成の一例を示す模式的な(a)斜視図及び(b)外部電極近傍の拡大断面図である。 本発明の第4実施態様に係る電気加熱式触媒装置(第4EHC)の構成の一例を示す模式的な斜視図である。 図10に示した第4EHCの構成部材を示す模式的な分解斜視図である。 図10及び図11に示した第4EHCの構成を示す模式的な拡大断面図である。 従来技術に係る電気加熱式触媒装置が備える発熱体に通電するための電極の構成の一例を示す模式的な断面図である。 従来技術に係る他の電気加熱式触媒装置が備える発熱体に通電するための電極の構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第1EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、本明細書において使用される「上流側」及び「下流側」なる用語は、EHCに流れる排気等の流体の流れにおける「上流側」及び「下流側」をそれぞれ意味する。
〈構成〉
第1EHCは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を収容する筒状の容器である第1ケースと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、を備えるEHCである。EHCは、例えば自動車等に搭載される内燃機関の排気経路上に設けられるため、EHCの構成要素は、例えば、高い耐熱性、耐酸化性、及び耐腐食性等を備える材料によって形成されることが望ましい。
発熱体の構成及び材料は、通電により発熱することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。発熱体を形成する材料の具体例としては、例えば、SiC(炭化珪素)等のセラミック材料を挙げることができる。
尚、第1EHCは、例えば、排気浄化触媒を担持する担体の上流側に配設された別個の発熱体によって排気を加熱し、このようにして加熱された排気によって排気浄化触媒を加熱するように構成されていてもよい。或いは、第1EHCにおいて、例えば、通電によって発熱する担体に排気浄化触媒が担持されていてもよい(即ち、排気浄化触媒が発熱体に担持されていてもよい)。
第1ケースの形状及び材料は、筒状の形状を有し、その内部に発熱体を収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第1ケースは、例えば円筒状又は角筒状の形状を有していてもよく、その内部に発熱体を収容する部分の横断面よりも上流側及び/又は下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されていてもよい。典型的には、第1ケースを形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属であり、第1ケースの形状は円筒形である。また、第1ケースは、例えば鋼管等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第1マットの形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、第1ケースと発熱体との間に介在して第1ケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。即ち、第1マットは発熱体と第1ケースとの間に挟持されている。第1マットを形成する材料の具体例としては、例えば、アルミナ−シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。
一対の電極を構成する材料は、発熱体に通電可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。当該電極を構成する材料の具体例としては、例えば、Ni−Cr合金やMCrAlY合金(但し、MはFe、Co、Niのうち少なくとも一種)等の金属材料が用いられる。
更に、(発熱体に通電可能に構成された)一対の電極の各々は、表面電極と外部電極とによって構成されている。表面電極は、第1ケースの軸方向である第1方向に平行な発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である。このような表面電極は、例えば、溶射等の周知の手法により、発熱体の外周面上に形成することができる。外部電極は、表面電極に当接するように配設された導電性部材である。
上記に加えて、第1EHCにおいては、第1ケースの第1マットを介して表面電極に対向する領域に、第1ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第1ケース孔が形成されている。また、第1マットの少なくとも第1ケース孔に対向する領域に、電気絶縁材料が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されている。第1ケース孔及び第1マット間隙により、第1ケースの外部と第1マットの内部とを連通する空間が画定されている。
尚、第1マット間隙は、第1マットの第1ケース孔に対向する領域において第1マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔であってもよい。或いは、第1マット間隙は、第1マットの第1ケース孔に対向する領域のみならず、第1マットの他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば、第1マットが2つの部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方が第1ケース孔よりも上流側に配設され他方が第1ケース孔よりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、第1マット間隙は、発熱体の外周面の全周に亘る環状の空間として画定される。但し、第1マット間隙の具体的な形状は、第1ケースと発熱体との間に介在して第1ケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持することが可能であり且つ第1マットの第1ケース孔に対向する領域において第1マットの外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
更に、外部電極は、第1ケース孔及び第1マット間隙に挿通されて表面電極に当接している。外部電極の形状は、第1ケース孔及び第1マット間隙に挿通され且つ表面電極に当接するように配設されることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、外部電極は、第1ケース孔及び第1マット間隙に挿通可能な断面を有する柱状の形状を有する。
尚、第1EHCは、例えば内燃機関の排気中に含まれる上述したような特定物質の除去を目的として、排気の流路等に介装される。従って、第1EHCは、筒状の容器である第1ケースの軸方向である第1方向における両端に位置する開口を除き、気密に構成される。具体的には、第1ケースに形成された貫通孔である第1ケース孔に挿通された外部電極と第1ケースとは気密に接合される。但し、例えば外部電極と第1ケースとの間に介在する電気絶縁材料等により、外部電極と第1ケースとを電気的に絶縁する必要がある。
図1は、第1EHCの構成の一例を示す模式図である。(a)は第1EHC101の模式的な斜視図であり、(b)は互いに対向する一対の外部電極42a及び42bの軸を含み且つ第1方向に直交する平面による第1EHC101の模式的な断面図であり、(c)は互いに対向する一対の外部電極42a及び42bの軸を含み且つ第1方向に平行な平面による第1EHC101の模式的な断面図である。
図1に例示する第1EHC101は、通電により発熱する発熱体10と、発熱体10を収容する筒状の容器である第1ケース20と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マット30と、発熱体に通電可能に構成された一対の電極40a及び40bと、を備える。第1マット30は発熱体10と第1ケース20との間に挟持されて、第1ケース20の内部の所定の位置に復元力によって発熱体10を保持している。
例えば、発熱体10は、SiC(炭化珪素)によって形成され且つハニカム構造を有する円柱体として構成することができる。また、第1ケース20は、ステンレス鋼管によって構成することができる。更に、第1マット30は、アルミナ−シリカ系繊維によって形成された不織布によって構成することができる。
上記に加えて、一対の電極40a及び40bの各々は、それぞれ、表面電極41aと外部電極42aとの組及び表面電極41bと外部電極42bとの組によって構成されている。表面電極41a及び41bは、第1ケース20の軸方向である第1方向に平行な発熱体10の表面である外周面にそれぞれ配設された面状の導電性部材である。外部電極42a及び42bは、それぞれ、表面電極41a及び41bに当接するように配設された導電性部材である。
また、第1ケース20の第1マット30を介して表面電極41a及び41bに対向する領域には、第1ケース20の外側と内側とを連通する貫通孔である第1ケース孔21a及び21bがそれぞれ形成されている。また、第1マット30の少なくとも第1ケース孔21a及び21bに対向する領域には電気絶縁材料が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されている。図1に例示する第1EHC101においては、第1マット30の第1ケース孔21a及び21bに対向する領域において第1マット30の外側と内側とを連通するようにそれぞれ形成された2つの貫通孔である第1マット孔31a及び31bとして第1マット間隙が形成されている。
更に、外部電極42a及び42bは、それぞれ、第1ケース孔21a及び21b及び第1マット間隙31a及び31bに挿通されて表面電極41a及び41bに当接している。これにより、図示しない電源を外部電極42a及び42bに接続して、一対の電極40a及び40bを介して発熱体10に通電し、発熱体10を発熱させて、図示しない排気浄化触媒を所定の活性化温度へと昇温させることができる。
〈効果〉
以上説明してきたように、第1EHCが備える発熱体に通電する電極は、発熱体の外周面に配設された表面電極と、第1ケース孔及び第1マット間隙に挿通され且つ表面電極に当接するように配設された外部電極とによって構成されている。従って、例えば、第1マットを発熱体の外周面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入又はサイジング等の方法により当該柱体ユニットを第1ケースの内部に収容した後に、外部電極を第1ケース孔及び第1マット間隙若しくは第1マット孔に挿通して表面電極に当接させることにより、第1EHCを高い生産効率にて製造することができる。
即ち、第1EHCは、表面電極から電極端子が突出している従来技術に係る電気加熱式触媒装置のように例えばプレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルに発熱体を挟み込んだ後に当該シェルを溶接等によって接合する必要が無く、高い生産効率にて製造することができる。また、外部電極と表面電極との位置合わせが容易であるため、確実な通電を確保することができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第2EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第2EHCは、上述した第1EHCであって、表面電極の外部電極が当接する領域である当接領域は、少なくとも外部電極が当接する方向において可撓性を有するように構成されており、且つ、外部電極に当接されて撓んだ当接領域は、発熱体の外周面と当接領域との間に形成された間隙に収容されている、電気加熱式触媒装置である。
図2は、第2EHCの構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。より具体的には、図2は、第2EHC102が備える一対の電極のうちの一方の電極40aの近傍の部分の外部電極42aの軸を含み且つ第1方向に平行な平面による模式的な断面図である。尚、以下の説明においては第2EHC102が備える一対の電極のうちの一方の電極40aの近傍の部分についてのみ述べるが、図示しない他方の電極の近傍の部分の構成も図2に示す構成と同様である。従って、他方の電極の近傍の部分についての説明は省略する。また、図2には、電極固定部51a、取付部52a及び絶縁部53aが描かれているが、これらの構成要素については本発明の他の実施形態に関する説明において後述する。
図2に示すように、当接領域43aは、第1ケース孔21a及び第1マット間隙(又は第1マット孔)31aに挿通された外部電極42aが当接する表面電極41aの領域である。即ち、当接領域43aは、第1マット間隙(又は第1マット孔)31aを介して、第1ケース孔21aに対向する表面電極41aの部分である。また、当接領域43aは、少なくとも外部電極42aが当接する方向において可撓性を有するように構成されている。換言すれば、当接領域43aは、表面電極41aに当接する外部電極42aによって押圧されて押圧方向に撓むことが可能であるように構成されている。
当接領域43aの具体的な構成は、表面電極41aに当接する外部電極42aによって押圧されて押圧方向に撓むことが可能である限り、特に限定されない。当接領域43aは、例えば図3に示すように、当接領域43aの外縁部から中心部に向かって延在する導電性部材によって形成された複数(図3に示す例においては8つ)の突起44aによって構成されていてもよい。図3に例示する当接領域43aにおいては、各々の突起44aが当接領域43aの外縁部を支点として撓むことが可能であるように構成されている。このような当接領域は、例えば、表面電極の当接領域に該当する領域の中心から周縁部へと放射状に延びる複数の切り込みを入れることによって構成することができる。
図4は、第2EHC102から第1ケース及び第1マットを除いた状態を示す模式的な斜視図である。尚、図4においては、第2EHC102が備える一対の電極のうちの一方の電極40aのみが描かれており、他方の電極(40b)及びその近傍の部材については省略されているが、図示しない他方の電極及びその近傍の部材の構成は電極40a及びその近傍の部材の構成と同様である。従って、他方の電極及びその近傍の部材の構成についての説明は省略する。
図4に例示する第2EHC102においては、図3に示した表面電極41aが発熱体10の外周面に図示しない脚部を介して導通可能に接合されている。表面電極41aの当接領域43aと発熱体10の外周面との間には間隙が形成されており、これにより表面電極41aに当接する外部電極42aによって押圧されて押圧方向(発熱体10側)に撓むことができるように構成されている。尚、図4には、取付部52a及び絶縁部53aが描かれているが、これらの構成要素については本発明の他の実施形態に関する説明において後述する。
外部電極に当接される前の当接領域は、表面電極の当接領域以外の領域と面一になっていてもよく、表面電極の当接領域以外の領域である非当接領域よりも外側(第1ケースの軸に対する径方向における発熱体とは反対側)に突出していてもよく、或いは表面電極の非当接領域よりも内側(第1ケースの軸に対する径方向における発熱体側)に凹んでいてもよい。尚、当接領域と非当接領域とは上述したように一体的に形成されて表面電極が構成されていてもよく、或いは、それぞれ個別に形成された当接領域と非当接領域とが通電可能に接続されることによって表面電極が構成されていてもよい。
そして、外部電極に当接されて撓んだ当接領域は、外周面と当接領域との間に形成された間隙に収容されている。当該間隙の具体的な構成は、外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容することが可能である限り、特に限定されない。
尚、非当接領域よりも外側に当接領域が突出している場合であっても、第1マットを発熱体の外周面に巻回してなる柱体ユニットにおいて当接領域が第1マットよりも外側に突出しなければ、例えば圧入又はサイジング等の方法により当該柱体ユニットを第1ケースの内部に収容することができる。また、柱体ユニットにおいて当接領域が第1マットよりも外側に突出している場合であっても、柱体ユニットの最大径が第1ケースの内径よりも小さければ、例えばサイジング等の方法により当該柱体ユニットを第1ケースの内部に収容することができる。従って、例えば、第1マットを発熱体の外周面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入又はサイジング等の方法により当該柱体ユニットを第1ケースの内部に収容した後に、外部電極を第1ケース孔及び第1マット間隙若しくは第1マット孔に挿通して表面電極に当接させることにより、第1EHCを高い生産効率にて製造することができる。
図5は、第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の幾つかの例を示す模式的な断面図である。但し、図5においては、外部電極による押圧方向に当接領域は撓むことを可能にするための構成(例えば、図3に示したように突起等)は省略されている。
外部電極に当接される前の当接領域が表面電極の非当接領域と面一になっている場合は、例えば図5の(a)に示すように、発熱体10の外周面の当接領域43aに対向する領域に形成された窪みとして間隙10aが構成されていてもよい。或いは、例えば図5の(b)に示すように、発熱体10の外周面と表面電極41aとが例えば脚部等を介して接続されていて、発熱体10の外周面と当接領域43aとの間に形成された空間として間隙10aが構成されていてもよい。或いは、例えば図5の(c)に示すように、表面電極41aが例えば脚部等によって互いに間隔を空けて接続された2枚の面状の導電性部材によって構成され、これら2枚の導電性部材の間に形成された空間として間隙10aが構成されていてもよい。
また、上述したように、外部電極に当接される前の当接領域が表面電極の当接領域以外の領域である非当接領域よりも外側に突出していてもよい。図6は、このような当接領域を備える第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の幾つかの例を示す模式的な断面図である。但し、図6においても、図5と同様に、外部電極による押圧方向に当接領域は撓むことを可能にするための構成は省略されている。
この場合、例えば図6の(a)に示すように、外側に突出している当接領域43aと発熱体10の外周面との間の空間として間隙10aが構成されていてもよい。或いは、図6の(b)に示すように、発熱体10の外周面の当接領域43aに対向する領域に形成された窪みと外側に突出している当接領域43aの内側の空間とによって間隙10aが構成されていてもよい。或いは、図6の(c)に示すように、例えば脚部等を介して発熱体10の外周面に接続された表面電極41aと発熱体10の外周面との間に形成された空間と当接領域43aの内側の空間とによって間隙10aが構成されていてもよい。或いは、図6の(d)に示すように、表面電極41aが例えば脚部等によって互いに間隔を空けて接続された2枚の面状の導電性部材によって構成されており、これら2枚の導電性部材の間に形成された空間と当接領域43aの内側の空間とによって間隙10aが構成されていてもよい。
更に、上述したように、外部電極に当接される前の当接領域が表面電極の非当接領域よりも内側に凹んでいてもよい。図7は、このような当接領域を備える第2EHCにおいて外部電極に当接されて撓んだ当接領域を収容する間隙の構成の幾つかの例を示す模式的な断面図である。但し、図7においても、図5及び図6と同様に、外部電極による押圧方向に当接領域は撓むことを可能にするための構成は省略されている。
例えば図7の(a)に示すように、発熱体10の外周面の当接領域43aに対向する領域に形成された窪みとして間隙10aが構成されていてもよい。或いは、例えば図7の(b)に示すように、発熱体10の外周面と表面電極41aとが例えば脚部等を介して接続されていて、発熱体10の外周面と当接領域43aとの間に形成された空間として間隙10aが構成されていてもよい。或いは、例えば図7の(c)に示すように、表面電極41aが例えば脚部等によって互いに間隔を空けて接続された2枚の面状の導電性部材によって構成され、これら2枚の導電性部材の間に形成された空間として間隙10aが構成されていてもよい。
何れの構成においても、外部電極に当接される前から内側に凹んでいる当接領域が外部電極に当接されて更に内側に撓むので、外部電極に当接される前の当接領域が表面電極の非当接領域と面一になっている場合に比べて、当接領域を収容する間隙をより大きく確保する必要がある。
尚、外部電極に当接される前に非当接領域よりも外側に突出している当接領域の構成として図6に示した例においては、非当接領域から外側に向かって連続的に突出する曲面として当接領域が形成されている。しかしながら、例えば図8に示すように非当接領域から外側に向かって階段状に当接領域が突出していてもよく、当接領域の頂面は図8の(a)乃至(c)に示すように平面によって構成されていてもよく、図8の(d)に示すように曲面によって構成されていてもよい。外部電極に当接される前の当接領域が表面電極の非当接領域よりも内側に凹んでいる場合においても同様であり、連続的な曲面として当接領域が形成されていてもよく、或いは曲面又は平面によって構成された底面を有する階段状の凹みとして当接領域が形成されていてもよい。
〈効果〉
以上説明してきたように、第2EHCにおいては、表面電極の外部電極が当接する領域である当接領域が少なくとも外部電極が当接する方向において可撓性を有するように構成されており、且つ、外部電極に当接されて撓んだ当接領域が発熱体の外周面と当接領域との間に形成された間隙に収容されている。これにより、第2EHCの集成過程において、外部電極を第1ケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通して表面電極に当接させる際に、外部電極に押圧されて当接領域が容易に撓むことができる。その結果、外部電極と表面電極の当接領域との接触面積を増大させたり、当該接触面積のバラツキを低減させたりして、外部電極と表面電極とをより確実に導通させることができる。
〈第2EHCの変形例1〉
第2EHCにおいては、上記のように少なくとも外部電極が当接する方向に当接領域が撓むことにより外部電極と表面電極とをより確実に導通させることができる。この場合、外部電極に押圧されて撓んだ当接領域が外部電極に押圧される前の状態に戻ろうとする復元力を作用させることができれば、外部電極と表面電極とをより確実に接触させて、外部電極と表面電極とをより確実に導通させることができる。
そこで、本発明の第2実施形態の変形例1に係る電気加熱式触媒装置(以降、「第2EHC(1)」と称呼される場合がある。)においては、当接領域を構成する導電性部材が弾性変形可能な材料によって構成されている。第2EHC(1)が備える表面電極の当接領域を構成する材料は、弾性変形が可能であり、導電性を有し且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。このような材料の具体例としては、例えば、所謂「ばね鋼」等を挙げることができる。
上記のように当接領域を構成する導電性部材が弾性変形可能な材料によって構成されることにより、例えば図3に示した表面電極41aの当接領域43aに形成された個々の突起44aは所謂「板ばね」と同様に構成される。従って、第2EHC(1)によれば、外部電極に押圧されて撓んだ当接領域が外部電極に押圧される前の状態に戻ろうとする復元力を作用させることができる。その結果、当該復元力によって外部電極と表面電極の当接領域とをより確実に接触させて、外部電極と表面電極との接触面積を増大させたり、当該接触面積のバラツキを低減させたりして、外部電極と表面電極とを更に確実に導通させることができる。
〈第2EHCの変形例2〉
第2EHC(上述した第2EHC(1)を含む)においては、上記のように少なくとも外部電極が当接する方向に当接領域が撓むことにより外部電極と表面電極とをより確実に導通させることができる。この場合、外部電極に押圧されて撓んだ当接領域が発熱体の外周面に接触する可能性があり、その際の衝撃及び/又は押圧力の大きさによっては、発熱体の外周面が傷付いたり、発熱体が破損したりする可能性が考えられる。
そこで、本発明の第2実施形態の変形例2に係る電気加熱式触媒装置(以降、「第2EHC(2)」と称呼される場合がある。)においては、発熱体の外周面の当接領域に対向する領域と当接領域との間に緩衝材が配設されている。当該緩衝材が配設される位置は、発熱体の外周面の当接領域に対向する領域と当接領域との間の何れかの位置である限り、特に限定されない。当該緩衝材は、例えば、図5乃至図8に示した空隙10aに配設することができる。これにより、外部電極に押圧されて撓んだ当接領域が発熱体の外周面に接触する際の衝撃及び/又は押圧力によって発熱体の外周面が傷付いたり発熱体が破損したりする可能性を低減することができる。
また、上記緩衝材を形成する材料は、発熱体の外周面の当接領域に対向する領域と当接領域との間に介在し且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。当該緩衝材を形成する材料は、上述した第1マットを形成する材料とは異なる材料であっても良く、或いは上述した第1マットを形成する材料と同様の材料であってもよい。後者の場合における緩衝材を形成する材料の具体例としては、例えば、アルミナ−シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。
より好ましくは、緩衝材は、発熱体の外周面の当接領域に対向する領域と当接領域との間に介在して、外部電極によって当接されて撓んだ当接領域に押圧・圧縮され、その復元力によって当接領域を外部電極側へ付勢することが可能な材料によって形成される。これにより、外部電極と表面電極とを更に確実に接触させて、外部電極と表面電極とを更に確実に導通させることができる。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第3EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1EHC及び第2EHCを始めとする本発明の種々の実施形態に係る電気加熱式触媒装置(本発明EHC)においては、少なくとも本発明EHCの使用期間に亘り、表面電極及び外部電極を発熱体に通電可能な状態を維持する必要がある。具体的には、外部電極が第1ケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通され且つ表面電極に当接している状態を維持する必要がある。
〈構成〉
そこで、第3EHCは、上述した第1EHC又は第2EHC(上述した第2EHC(1)及び第2EHC(2)を含む)であって、第1ケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通され且つ表面電極に当接している状態において外部電極を固定するように構成された部材又は機構を備える電気加熱式触媒装置である。上述した状態において外部電極を固定するための部材又は機構の具体的な構成については特に限定されず、当業者に周知の種々の構成の中から適宜選択することができる。また、上述した状態において外部電極を固定するための部材又は機構は、第1ケースが備えていてもよく、第1ケース以外の第3EHCの構成要素が備えていてもよく、或いは第3EHC以外の装置等が備えていてもよい。
典型的には、第3EHCにおいては、外部電極を表面電極に当接させた状態において外部電極を固定するように構成された電極固定部を第1ケースが備える。より好ましくは、第3EHCにおいて、外部電極と電極固定部との間に介在して電極固定部に外部電極を取り付けるための部分である取付部を外部電極が備え、且つ、取付部の外周面に刻設された雄ねじと電極固定部に形成された貫通孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより外部電極が電極固定部に固定されている。
図9は、第3EHCの構成の一例を示す模式図である。(a)は第3EHC103の模式的な斜視図であり、(b)は互いに対向する一対の外部電極42a及び42bの軸を含み且つ第1方向に直交する平面による第3EHC103の外部電極42a近傍の模式的な拡大断面図である。以下の説明においては第3EHC103が備える一対の電極のうちの一方の電極40aの近傍の部分についてのみ述べるが、図示しない他方の電極の近傍の部分の構成も同様である。従って、他方の電極の近傍の部分についての説明は省略する。
第3EHC103においては、外部電極42aを表面電極41aに当接させた状態において外部電極42aを固定するように構成された電極固定部51aを第1ケース20が備える。より詳しくは、第3EHC103において、外部電極42aと電極固定部51aとの間に介在して電極固定部51aに外部電極42aを取り付けるための部分である取付部52aを外部電極42aが備える。尚、上述した第1EHCに関する説明において述べたように、外部電極42a(及び42b)と第1ケース20とは電気的に絶縁されている必要がある。そこで、図9に示す例においては、電気絶縁材料からなる絶縁部53aが外部電極42aと取付部52aとの間に介在している。
尚、図示しないが、取付部52aの外周面に雄ねじを刻設し、電極固定部51aに形成された貫通孔に雌ねじを刻設し、これらを螺合することにより外部電極42aを電極固定部51aに固定してもよい。この場合、取付部52aと電極固定部51aとの螺合により、表面電極41aの当接領域43aに外部電極42aを所望の押圧力にて所望の位置に固定することができる。また、例えば第1ケース20の気密性を維持すること等を目的として、電極固定部51aと取付部52aとの間にガスケット等を介在させてもよい。
〈効果〉
以上説明してきたように、第3EHCは、第1ケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通され且つ表面電極に当接している状態において外部電極を固定するように構成された部材又は機構を備える。典型的には、第3EHCにおいては、外部電極を表面電極に当接させた状態において外部電極を固定するように構成された電極固定部を第1ケースが備える。これにより、外部電極が第1ケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通され且つ表面電極に当接している状態を確実に維持することができる。その結果、外部電極と表面電極とを確実に接触させて、外部電極と表面電極とを確実に導通させることができる。
また、より好ましい態様に係る第3EHCにおいて、外部電極と電極固定部との間に介在して電極固定部に外部電極を取り付けるための部分である取付部を外部電極が備え、且つ、取付部の外周面に刻設された雄ねじと電極固定部に形成された貫通孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより外部電極が電極固定部に固定されている。従って、取付部と電極固定部との螺合により、表面電極の当接領域に外部電極を所望の押圧力にて所望の位置に固定することができる。その結果、外部電極と表面電極とを更に確実に接触させて、外部電極と表面電極とを更に確実に導通させることができる。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第4EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1EHC乃至第3EHCを始めとする本発明の種々の実施形態に係る電気加熱式触媒装置(本発明EHC)は、通電により発熱する発熱体と、発熱体を収容する筒状の容器である第1ケースと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、を備える。そして、第1マットは発熱体と第1ケースとの間に挟持されている。
ところで、当該技術分野においては、例えば絶縁性の更なる向上及び保温性の向上等を目的として、電気加熱式触媒装置(EHC)を構成する発熱体を収容する筒状の容器を二重構造とすることが知られている。本発明に係る電気加熱式触媒装置(本発明EHC)もまた、このような二重構造を有する筒状の容器を採用することができる。
〈構成〉
そこで、第4EHCは、上述した第1EHC乃至第3EHCの何れかであって、発熱体を収容する筒状の容器である第2ケースと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マットと、を更に備える。第4EHCにおいて、第1マットは第1ケースと第2ケースとの間に挟持されており、第2マットは発熱体と第2ケースとの間に挟持されている。また、第2ケースの少なくとも第1ケース孔に対向する領域には第2ケースを構成する材料が存在しない間隙である第2ケース間隙が形成されている。更に、第2マットの少なくとも第1ケース孔に対向する領域には電気絶縁材料が存在しない間隙である第2マット間隙が形成されている。加えて、外部電極は、第1ケース孔、第1マット間隙、第2ケース間隙及び第2マット間隙に挿通され且つ表面電極に当接するように配設されている。
換言すれば、第4EHCにおいては、第1ケースと発熱体との間に第2ケースが介装されており、第1ケースと第2ケースとの間に第1マットが挟持されており、第2ケースと発熱体との間に第2マットが挟持されており、第1ケース孔、第1マット間隙、第2ケース間隙及び第2マット間隙に挿通された外部電極が表面電極に当接している。
第2ケースの形状及び材料は、筒状の形状を有し、その内部に発熱体を収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、第2ケースは、例えば円筒状又は角筒状の形状を有していてもよい。典型的には、第2ケースを形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属であり、第2ケースの形状は円筒形である。また、第2ケースは、例えば鋼管等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。但し、第2ケースは、例えば非金属材料等の絶縁材料によって形成されていてもよい。
また、第2マットの形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、第2ケースと発熱体との間に介在して第2ケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。即ち、第2マットは第2ケースと発熱体との間に挟持されている。第2マットを形成する材料は、上述した第1マットを形成する材料とは異なる材料であっても良く、或いは上述した第1マットを形成する材料と同様の材料であってもよい。
図10は、第4EHCの構成の一例を示す模式的な斜視図である。また、図11は、図10に示した第4EHC104の構成部材を示す模式的な分解斜視図である。更に、図12は、図10及び図11に示した第4EHC104の構成を示す模式的な拡大断面図である。より具体的には、図12は、第4EHC104が備える一対の電極のうちの一方の電極40aの近傍の部分の外部電極42aの軸を含み且つ第1ケース20の軸方向である第1方向に平行な平面による模式的な断面図である。
尚、図10乃至図12においては、第4EHC104が備える一対の電極のうちの一方の電極40aのみが描かれており、他方の電極(40b)及びその近傍の部材については省略されているが、図示しない他方の電極及びその近傍の部材の構成は電極40a及びその近傍の部材の構成と同様である。従って、他方の電極及びその近傍の部材の構成についての説明は省略する。また、図10においては、第4EHC104を例えば排気管等に接続するためのフランジ20fが第1ケース20の両端に設けられているが、図11及び図12においてはフランジ20fが省略されている。更に、図11においては、第1ケース20及び第2ケース22が、それらの軸を含む平面によってそれぞれ2つの部分に切断されているが、これは第4EHC104の構成を判り易く示すことを目的とするものであり、このような例示に第1ケース20及び第2ケース22の具体的な構成は限定されない。
第4EHC104は、発熱体10を収容する筒状の容器である第2ケース22と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マット32と、を更に備える。第4EHC104において、第1マット30は第1ケース20と第2ケース22との間に挟持されており、第2マット32は第2ケース22と発熱体10との間に挟持されている。また、第2ケース22の少なくとも第1ケース孔21aに対向する領域には第2ケース22を構成する材料が存在しない間隙である第2ケース間隙23aが形成されている。更に、第2マット32の少なくとも第1ケース孔21aに対向する領域には電気絶縁材料が存在しない間隙である第2マット間隙33aが形成されている。加えて、外部電極42aは、第1ケース孔21a、第1マット間隙31a、第2ケース間隙23a及び第2マット間隙33aに挿通され且つ表面電極41aに当接するように配設されている。
尚、図11に示す例においては、第2ケース間隙23aは、第2ケース22の第1ケース孔21aに対向する領域において第2ケース22の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2ケース孔23aとして形成されている。
しかしながら、第2ケース間隙23aは、第2ケース22の第1ケース孔21aに対向する領域のみならず、第2ケース22の他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば第2ケース22が2つの部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方が第1ケース孔21aよりも上流側に配設され他方が第1ケース孔21aよりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、第2ケース間隙23aは、発熱体10の外周面の全周に亘る環状の空間として画定される。但し、第2ケース間隙23aの具体的な形状は、第2ケース22の第1ケース孔21aに対向する領域において第2ケース22の外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
また、図11に示す例においては、第2マット間隙33aは、第2マット32の第1ケース孔21aに対向する領域において第2マット32の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2マット孔33aとして形成されている。
しかしながら、第2マット間隙33aは、第2マット32の第1ケース孔21aに対向する領域のみならず、第2マット32の他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば、第2マット32が2つの部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方が第1ケース孔21aよりも上流側に配設され他方が第1ケース孔21aよりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、第2マット間隙33aは、発熱体10の外周面の全周に亘る環状の空間として画定される。但し、第2マット間隙33aの具体的な形状は、第2ケース22と発熱体10との間に介在して第2ケース22の内部の所定の位置に復元力によって発熱体10を保持することが可能であり且つ第2マット32の第1ケース孔21aに対向する領域において第2マット32の外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
ところで、図10乃至図12に例示する第4EHC104においては、第1ケース20が電極固定部51aを備え、外部電極42aが備える取付部52aと電極固定部51aとを螺合することにより、外部電極42aが電極固定部51aに固定されている。また、電気絶縁材料からなる絶縁部53aを外部電極42aと取付部52aとの間に介在させることにより、外部電極42aと第1ケース20とが電気的に絶縁されている。更に、電極固定部51aと取付部52aとの間にガスケット54aを介在させることにより、第1ケース20の気密性が維持されている。
〈効果〉
以上説明してきたように、第4EHCは、発熱体を収容する筒状の容器である第2ケースと電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マットとを更に備え、第1マットは第1ケースと第2ケースとの間に挟持されており、第2マットは発熱体と第2ケースとの間に挟持されている。即ち、第4EHCを構成する発熱体は、二重構造を有する筒状の容器の中に収容されている。従って、第4EHCによれば、例えば絶縁性の更なる向上及び保温性の向上等の効果が達成される。
また、第4EHCにおいては、外部電極が、上述した第1ケース孔及び第1マット間隙、第2ケースの少なくとも第1ケース孔に対向する領域に形成された第2ケース間隙、並びに第2マットの少なくとも第1ケース孔に対向する領域に形成された第2マット間隙に挿通され且つ表面電極に当接するように配設されている。従って、第4EHCによれば、例えば、第2マットを発熱体の外周面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入又はサイジング等の方法により当該柱体ユニットを第2ケースの内部に収容し、更に、第1マットを第2ケースの外周面に巻回して新たな柱体ユニットを形成し、例えば圧入又はサイジング等の方法により当該新たな柱体ユニットを第1ケースの内部に収容した後に、外部電極を第1ケース孔、第1マット間隙、第2ケース間隙(若しくは第2ケース孔)及び第2マット間隙(若しくは第2マット孔)に挿通して表面電極に当接させることにより、第4EHCを高い生産効率にて製造することができる。
即ち、第4EHCもまた、上述した第1EHCと同様に、表面電極から電極端子が突出している従来技術に係る電気加熱式触媒装置のように例えばプレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルに発熱体を挟み込んだ後に当該シェルを溶接等によって接合する必要が無く、高い生産効率にて製造することができる。また、外部電極と表面電極との位置合わせが容易であるため、確実な通電を確保することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
10…発熱体、10a…間隙、20…第1ケース、20f…フランジ、21a,21b…第1ケース孔、22…第2ケース、23a…第2ケース間隙(第2ケース孔)、30…第1マット、31a,31b…第1マット間隙(第1マット孔)、32…第2マット、33a…第2マット間隙(第2マット孔)、34a…緩衝材、40a,40b…電極、41a,41b…表面電極、42a,42b…外部電極、51a…電極固定部、52a…取付部、53a…絶縁部、及び54a…ガスケット。

Claims (10)

  1. 通電により発熱する発熱体と、
    前記発熱体を収容する筒状の容器である第1ケースと、
    電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、
    前記発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、
    を備え、
    前記第1マットは、前記発熱体と前記第1ケースとの間に挟持されている、
    電気加熱式触媒装置であって、
    一対の前記電極の各々は、前記第1ケースの軸方向である第1方向に平行な前記発熱体の表面である外周面に配設された面状の導電性部材である表面電極と、前記表面電極に当接するように配設された導電性部材である外部電極とによって構成されており、
    前記第1ケースの前記第1マットを介して前記表面電極に対向する領域には前記第1ケースの外側と内側とを連通する貫通孔である第1ケース孔が形成されており、
    前記第1マットの少なくとも前記第1ケース孔に対向する領域には前記電気絶縁材料が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されており、
    前記外部電極は、前記第1ケース孔及び前記第1マット間隙に挿通されて前記表面電極に当接している、
    電気加熱式触媒装置。
  2. 請求項1に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記第1マット間隙は、前記第1マットの前記第1ケース孔に対向する領域において前記第1マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1マット孔である、
    電気加熱式触媒装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記表面電極の前記外部電極が当接する領域である当接領域は、少なくとも前記外部電極が当接する方向において可撓性を有するように構成されており、
    前記外部電極に当接されて撓んだ前記当接領域は、前記外周面と前記当接領域との間に形成された間隙に収容されている、
    電気加熱式触媒装置。
  4. 請求項3に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記当接領域を構成する前記導電性部材は、弾性変形可能な材料によって構成されている、
    電気加熱式触媒装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記外周面の前記当接領域に対向する領域と前記当接領域との間に緩衝材が配設されている、
    電気加熱式触媒装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記第1ケースは、前記外部電極を前記表面電極に当接させた状態において前記外部電極を固定するように構成された電極固定部を備える、
    電気加熱式触媒装置。
  7. 請求項6に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記外部電極は、前記外部電極と前記電極固定部との間に介在して前記電極固定部に前記外部電極を取り付けるための部分である取付部を備え、
    前記取付部の外周面に刻設された雄ねじと前記電極固定部に形成された貫通孔に刻設された雌ねじとを螺合することにより前記外部電極が前記電極固定部に固定されている、
    電気加熱式触媒装置。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記発熱体を収容する筒状の容器である第2ケースと、
    電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マットと、
    を更に備え、
    前記第1マットは、前記第1ケースと前記第2ケースとの間に挟持されており、
    前記第2マットは、前記発熱体と前記第2ケースとの間に挟持されており、
    前記第2ケースの少なくとも前記第1ケース孔に対向する領域には前記第2ケースを構成する材料が存在しない間隙である第2ケース間隙が形成されており、
    前記第2マットの少なくとも前記第1ケース孔に対向する領域には前記電気絶縁材料が存在しない間隙である第2マット間隙が形成されており、
    前記外部電極は、前記第1ケース孔、前記第1マット間隙、前記第2ケース間隙及び前記第2マット間隙に挿通され且つ前記表面電極に当接するように配設されている、
    電気加熱式触媒装置。
  9. 請求項8に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記第2ケース間隙は、前記第2ケースの前記第1ケース孔に対向する領域において前記第2ケースの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2ケース孔である、
    電気加熱式触媒装置。
  10. 請求項8又は請求項9に記載された電気加熱式触媒装置であって、
    前記第2マット間隙は、前記第2マットの前記第1ケース孔に対向する領域において前記第2マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2マット孔である、
    電気加熱式触媒装置。
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