JPH0647625U - 電熱式触媒コンバータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、電熱式触媒コンバータに関し、排
気ガス流による絶縁材のずれや金属触媒担体のフィルム
アウトを防止しつつ、金属触媒担体の熱劣化を防いだ電
熱式触媒コンバータを提供することを目的とする。 【構成】 金属製の触媒ケーシング３内に金属触媒担体
１を収容し、当該金属触媒担体１の両側に、触媒ケーシ
ング３外に突出する棒状電極７を固設してなる電熱式触
媒コンバータに於て、上記金属触媒担体１の上流側と下
流側に、セラミック触媒担体９，１１を密接して配置す
ると共に、上流側に配設したセラミック触媒担体９の上
流側端部９ａと、下流側に配設したセラミック触媒担体
１１の下流側端部１１ａに、触媒担体１，９，１１の軸
方向の移動を規制する保持部材１３を配置した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両排気系に装着される電熱式触媒コンバータに関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に車両排気系には、排気ガス中の有害物質を酸化反応によって浄化する触 媒コンバータが装着されており、従来、触媒コンバータの触媒担体として金属触 媒担体が広く用いられている。

【０００３】 然し、触媒コンバータは酸化反応によって有害物質を浄化するため、エンジン 始動時の如く排気ガス温度が低いと、排気ガスの充分な浄化が行えないという問 題がある。

【０００４】 そこで、昨今では、金属触媒担体の温度が低いエンジン始動時等に、電気によ って金属触媒担体を加熱するようにした電熱式触媒コンバータが知られている。 而して、従来、この種の電熱式触媒コンバータの構造としては、例えばＦｅ− Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板の平板と波板とを積層した積層ハニカム体を絶縁材 を介してつづら折りして、全体として楕円筒形のハニカム状金属触媒担体を形成 し、そして、その両端に棒状電極を設けてこれらに通電することにより、金属触 媒担体を発熱させる構造となっている。

【０００５】 そして、上記金属触媒担体は、熱膨張性無機質綿からなるインタラムマットで 被覆されて金属製の触媒ケーシング内に収容されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

然し乍ら、従来の絶縁材は硬質のものではないため、車両走行時の振動や触媒 コンバータ内を通過する排気ガス流によって絶縁材が次第にずれ、長期に亘る使 用によって絶縁材が積層ハニカム体から抜け落ちてしまう虞があった。そして、 斯様に絶縁材が抜け落ちると、金属触媒担体にガタつきが生じ、電気が短絡して しまう。又、触媒コンバータ内を通過する排気ガス流によって金属触媒担体にフ ィルムアウトが発生する虞もある。

【０００７】 加えて、金属触媒担体の中でも、流入した排気ガスが直接衝突するその上流側 端部側は特に触媒の活性が大きくなるため、長期に亘る使用によって当該部位の 熱劣化が進んでしまう欠点があった。

【０００８】 ところで、実開昭６３−６７６０９号公報には、上述の如き金属触媒担体の下 流側にセラミック触媒担体を近接させて配設した電熱式触媒コンバータが開示さ れており、斯かる構造によれば、絶縁材の飛散や金属触媒担体のフィルムアウト を防止することが可能である。

【０００９】 然し、斯かる構造によっても、依然として金属触媒担体の上流側端部の熱劣化 を防止することはできなかった。 本考案は斯かる実情に鑑み案出されたもので、排気ガス流による絶縁材のずれ や金属触媒担体のフィルムアウトを防止しつつ、金属触媒担体の熱劣化を防いだ 電熱式触媒コンバータを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

斯かる目的を達成するため、本考案は、金属製の触媒ケーシング内に金属触媒 担体を収容し、当該金属触媒担体の両側に、触媒ケーシング外に突出する棒状電 極を固設してなる電熱式触媒コンバータに於て、上記金属触媒担体の上流側と下 流側に、セラミック触媒担体を密接して配置すると共に、上流側に配設したセラ ミック触媒担体の上流側端部と、下流側に配設したセラミック触媒担体の下流側 端部に、触媒担体の軸方向の移動を規制する保持部材を配置したものである。

【００１１】

【作用】

本考案によれば、エンジンから吐出された排気ガスが排気管を介して触媒ケー シング内に流入すると、排気ガス中の有害物質は各金属触媒担体とセラミック触 媒担体によって浄化されるが、金属触媒担体の下流側に配置したセラミック触媒 担体が、車両走行時の振動や排気ガス流による絶縁材のずれを防止すると共に、 金属触媒担体のフィルムアウトを防止する。

【００１２】 又、エンジンの始動時に棒状電極間に通電すると、金属触媒担体は発熱するの で、この発熱に伴いエンジン始動時の低温の排気ガス温度が上昇し、触媒活性が 高められて効率良く排気ガスの浄化が行われるが、金属触媒担体は両セラミック 触媒担体によってその上流側と下流側が被覆されているので熱が籠もり易く、そ のため、従来に比し金属触媒担体が速やかに昇温して触媒の活性化が図られるこ ととなる。そして、この時、セラミック触媒担体が触媒ケーシングと金属触媒担 体との絶縁を図り、電気の短絡を防止する。

【００１３】 更に又、金属触媒担体の上流側に配置したセラミック触媒担体に排気ガスが直 接衝突するので、セラミック触媒担体の上流側端部が特に高温となって、金属触 媒担体の上流側端部側の熱劣化を防止する。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説明する。 図１は本考案の第一実施例に係る電熱式触媒コンバータの断面図を示し、図に 於て、１は断面楕円形状の金属製触媒ケーシング３内に収容された金属触媒担体 で、当該金属触媒担体１は、従来と同様、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合金製金属薄鋼板の 平板と波板を積層した積層ハニカム体を絶縁材を介してつづら折りして、全体と して楕円筒形に形成されている。そして、その両端には触媒ケーシング３に設け た電極取付孔５から突出する棒状電極７が取り付けられている。

【００１５】 又、上記金属触媒担体１の上流側と下流側には、楕円筒形のセラミック触媒担 体９，１１が、金属触媒担体１に密接して触媒ケーシング３内に収納，配置され ている。そして、上流側に配置されたセラミック触媒担体９の上流側端部９ａと 、下流側に配置されたセラミック触媒担体１１の下流側端部１１ａには、保持部 材１３がその周縁部に外嵌されており、これらの保持部材１３によって触媒担体 １，９，１１の軸方向の移動が規制されている。

【００１６】 更に、上記金属触媒担体１及びセラミック触媒担体９，１１と触媒ケーシング ３の間には、インタラムマット１５が配置されており、これらのインタラムマッ ト１５によって排気ガスのバイパスが防止され、又、電極取付孔５には、触媒ケ ーシング３との絶縁を図る絶縁材１７が、従来と同様に取り付けられている。

【００１７】 尚、上記触媒ケーシング７は、一対の半割れケーシングを最中合わせすること によって構成されている。 本実施例に係る電熱式触媒コンバータはこのように構成されているから、金属 触媒担体１の上，下流側に夫々セラミック触媒担体９，１１を密接させてこれら の外周をインタラムマット１５で被覆し、更に保持部材１３を上記上流側端部９ ａと下流側端部１１ａの周縁部に外嵌して、これらを一対の半割れケーシング内 に収容し両半割れケーシングを接合した後、車両排気系に装着すればよい。

【００１８】 而して、エンジンから吐出された排気ガスが排気管を介して触媒ケーシング３ 内に流入すると、排気ガス中の有害物質は触媒担体９，１，１１によって順次浄 化されるが、金属触媒担体１の下流側に配置したセラミック触媒担体１１が、車 両走行時の振動や排気ガス流による絶縁材のずれを防止すると共に、金属触媒担 体１のフィルムアウトを防止する。

【００１９】 又、エンジンの始動時に棒状電極７間に通電すると、電気抵抗の高いＦｅ−Ｃ ｒ−Ａｌ合金からなる金属触媒担体１は発熱するので、この発熱に伴いエンジン 始動時の低温の排気ガス温度が上昇し、触媒活性が高められて効率良く排気ガス の浄化が行われるが、金属触媒担体１は両セラミック触媒担体９，１１によって その上流側と下流側が被覆されているので熱が籠もり易く、そのため、従来に比 し金属触媒担体１が速やかに昇温して触媒の活性化が図られることとなる。そし て、この時、セラミック触媒担体９，１１とインタラムマット１５が触媒ケーシ ング３と金属触媒担体１との絶縁を図り、電気の短絡を確実に防止する。

【００２０】 更に又、金属触媒担体１の上流側に配置したセラミック触媒担体９に排気ガス が直接衝突するので、セラミック触媒担体９の上流側端部９ａが特に高温となっ て、金属触媒担体１の上流側端部側の熱劣化を防止する。

【００２１】 従って、本実施例によれば、排気ガス流による絶縁材のずれや金属触媒担体１ のフィルムアウトを防止しつつ、金属触媒担体１の熱劣化の防止が図れると共に 、従来に比し金属触媒担体１が速やかに昇温して触媒の活性化を図ることができ る利点を有する。

【００２２】 加えて、本実施例によれば、触媒担体９，１，１１を密接させて配置している ので、セラミック触媒担体９を通過した排気ガスが金属触媒担体１で攪拌され、 更にセラミック触媒担体１１で攪拌されるので、従来に比し浄化性能が向上する 効果を有する。

【００２３】 図２は本考案の第二実施例を示し、本実施例は、金属触媒担体全体をセラミッ ク触媒担体で被覆したものである。 以下、図面に基づきその構造を説明すると、図中、１９は上記金属触媒担体１ と同一構造からなる楕円筒形の金属触媒担体で、その両側には、触媒ケーシング ３に設けた電極取付孔５から突出する棒状電極２１が取り付けられている。そし て、当該金属触媒担体１９は、一対の楕円筒形のセラミック触媒担体２３，２５ 内に収容されている。

【００２４】 即ち、両セラミック触媒担体２３，２５の接合面２３ａ，２５ａには、夫々、 金属触媒担体１９を収容するための凹部２７，２９が形成されている。そして、 当該凹部２７，２９内に金属触媒担体１９を装着して両接合面２３ａ，２５ａを 当接することにより、棒状電極２１を除く金属触媒担体１９全体がセラミック触 媒担体２３，２５で被覆されて、触媒ケーシング３との絶縁が図られている。

【００２５】 そして、セラミック触媒担体２３，２５の外周に、排気ガスのバイパスを防止 するインタラムマット１５が巻回されて、触媒ケーシング３内に金属触媒担体１ ９とセラミック触媒担体２３，２５が収容された構造となっている。

【００２６】 又、本実施例に於ても、セラミック触媒担体２３，２５の上流側端部２３ｂと 下流側端部２５ｂには保持部材１３がその周縁部に外嵌されており、これらの保 持部材１３によって各触媒担体１９，２３，２５の軸方向の移動が規制されてい る。

【００２７】 その他、図中、３１，３３はセラミック触媒担体２３，２５に設けた電極取付 孔、３５は棒状電極２１と触媒ケーシング３との絶縁を行う絶縁材である。 本実施例に係る電熱式触媒コンバータはこのように構成されているから、本実 施例によっても、エンジンから吐出された排気ガスが排気管を介して触媒ケーシ ング３内に流入すると、排気ガス中の有害物質は各触媒担体２３，１９，２５に よって浄化され、そして、金属触媒担体１９の下流側に配置したセラミック触媒 担体２５が、車両走行時の振動や排気ガス流による絶縁材のずれを防止する共に 、金属触媒担体１９のフィルムアウトを防止する。

【００２８】 又、エンジンの始動時に棒状電極２１間に通電すると、金属触媒担体１９は発 熱するので、この発熱に伴ってエンジン始動時の低温の排気ガス温度が上昇し、 触媒活性が高められて効率良く排気ガスの浄化が行われるが、金属触媒担体１９ 全体がセラミック触媒担体２３，２５により被覆されているので、第一実施例に 比し更に熱が籠もり易く、その結果、従来に比し金属触媒担体１９がより速やか に昇温して触媒の活性化が図られることとなる。そして、このとき、セラミック 触媒担体２１，２３とインタラムマット１５が、触媒ケーシング３と金属触媒担 体１９との絶縁を図り、電気の短絡を確実に防止する。

【００２９】 又、本実施例に於ても、金属触媒担体１９の上流側に配置したセラミック触媒 担体２３が、金属触媒担体１９の上流側端部側の熱劣化を防止し、更に又、触媒 担体１９，２３，２５を密接させて配置しているので、セラミック触媒担体２３ を通過した排気ガスが金属触媒担体１９で攪拌され、更にセラミック触媒担体２ ５で攪拌されて浄化性能が向上することとなる。

【００３０】 従って、本実施例によっても、上記第一実施例と同様、所期の目的を達成する ことが可能である。 尚、上記各実施例では、平板と波板とを積層した積層ハニカム体を楕円筒形に つづら折りして金属触媒担体１，１９を形成したが、本考案は、積層ハニカム体 を巻回して金属触媒担体を形成した電熱式触媒コンバータに適用できることは勿 論である。

【００３１】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案によれば、排気ガス流による絶縁材のずれや金属触 媒担体のフィルムアウトを防止しつつ、併せて金属触媒担体の熱劣化の防止が可 能となった。

【００３２】 又、本考案によれば、従来に比し金属触媒担体が速やかに昇温して触媒の活性 化を図ることができると共に、金属触媒担体とセラミック触媒担体を密接させて 配置しているため、排気ガスが攪拌されて浄化性能が従来より向上する効果を有 する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一実施例に係る電熱式触媒コンバー
タの断面図である。

【図２】本考案の第二実施例に係る電熱式触媒コンバー
タの断面図である。

【符号の説明】

１，１９ 金属触媒担体 ３ 触媒ケーシング ９，１１，２３，２５ セラミック触媒担体 １３ 保持部材 １５ インタラムマット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製の触媒ケーシング（３）内に金属
   触媒担体（１，１９）を収容し、当該金属触媒担体
   （１，１９）の両側に、触媒ケーシング（３）外に突出
   する棒状電極（７，２１）を固設してなる電熱式触媒コ
   ンバータに於て、上記金属触媒担体（１，１９）の上流
   側と下流側に、セラミック触媒担体（９，１１，２３，
   ２５）を密接して配置すると共に、上流側に配設したセ
   ラミック触媒担体（９，２３）の上流側端部（９ａ，２
   ３ｂ）と、下流側に配設したセラミック触媒担体（１
   １，２５）の下流側端部（１１ａ，２５ｂ）に、触媒担
   体（１，９，１１，１９，２３，２５）の軸方向の移動
   を規制する保持部材（１３）を配置したことを特徴とす
   る電熱式触媒コンバータ。