JP2020189941A - オルガノアルコキシシラン含有組成物及び吸水防止剤 - Google Patents

オルガノアルコキシシラン含有組成物及び吸水防止剤 Download PDF

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Abstract

【課題】孔質材料表面に優れた吸水防止性を与えることができる吸水防止剤となり得る組成物を提供すること。【解決手段】(A)式(1)で示されるオルガノアルコキシシラン及び/又は該オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:100質量部、R1aSi(OR2)4-a(1)(式中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、R2は互いに独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、aは1、2又は3である。)(B)式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム:0.5〜2.3質量部、(R3COO)2Al(OH)(2)(式中、R3は互いに独立に、炭素数1〜25の1価炭化水素基である。)(C)炭素数6〜24の脂肪酸:0.3〜20質量部、を含有するオルガノアルコキシシラン含有組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、オルガノアルコキシシランを含有する組成物に関する。また、本発明は、該組成物から得られる吸水防止剤に関する。
建築用材、土木構造材として用いられる無機質の多孔質材料は、屋外の構造物に使用されると、降雨にさらされ吸水することによる劣化、低温下での凍害や海岸付近での塩害などによるひび割れ、カビ・藻類の付着などによる外観の低下が生じる。そこで、構造物の寿命を延ばすための対策が求められている。
無機質の多孔質材料としては、コンクリート、軽量コンクリート、軽量気泡コンクリート(ALC)、モルタル、種々のセメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、レンガ、瓦、タイル、及び石などがある。これら多孔質材料の劣化を抑制するために、吸水防止剤を基材表面に塗布及び含浸させて基材の表層を疎水化し、水分や塩分が基材表面に浸透するのを抑制することが行われている。該吸水防止剤としてシリコーン系の組成物が知られている。
従来、シリコーン系の吸水防止剤としては、アルキルアルコキシシラン化合物を有機溶剤に希釈した溶剤型吸水防止剤があった。しかし、該吸水防止剤は、アルキルアルコキシシランの濃度が低く、また粘度が低いため、一回の塗布で十分な量のアルキルアルコキシシランを基材表面に含浸させることができず、また、基材表面に十分な厚みの疎水層を形成することができなかった。また、溶剤型吸水防止剤は、塗布時に有機溶剤からVOC(揮発性有機物)を発生し、作業環境の低下や環境問題を生じていた。従って、近年は非溶剤系の吸水防止剤が望まれている。
例えば、特許文献1〜4(特開昭62−197369号公報、特開平6−313167号公報、特開平9−208938号公報、特開2004−315631号公報)には、アルキルアルコキシシラン、界面活性剤(乳化剤)、水からなる水性エマルション組成物を吸水防止剤として使用することが記載されている。しかし、該水性エマルション組成物は、界面活性剤が塗布後の基材表面に残留するため、基材の表面を十分に疎水化できない。そのため、降雨時に基材の表面が部分的に濡れ色となって外観が劣化するという問題や、十分な撥水性が得られないという問題がある。
また、水性エマルションを基材表面に厚く塗布する場合や垂直面に塗布する場合、水性エマルションが流れ出てしまうという問題がある。そこで、特許文献5(特開平10−81824号公報)には、アルキルアルコキシシラン、乳化剤、及び水からなる水性クリーム(ペースト状の含水組成物)を吸水防止剤として使用することが記載されている。しかし、該吸水防止剤はクリーム状であるため、基材表面に厚く塗布することは可能であるが、塗布後まもなくエマルションが破壊され低粘度であるアルキルアルコキシシランが分離してしまう。このため、傾斜面、垂直面、又は下向き面に塗布した場合には、液だれが生じて有効成分(アルキルアルコキシシラン)が流失し、基材の表面に十分に含浸させることができない。
さらに、特許文献6(特開2009−155641号公報)には、アルキルアルコキシシランとシクロデキストリンを水中に分散してなる吸水防止剤が記載されている。該吸水防止剤は、塗布後の基材表面に水溶性高分子であるシクロデキストリンが残留するため、基材の外観を損ねる、十分な撥水性が得られない等の問題点がある。
特許文献7(特開2009−35704号公報)には、アルキルアルコキシシランとシリカからなる吸水防止剤が記載されている。該吸水防止剤は、塗布後の表面に白色のシリカが残留し外観を損ねるため、ブラシなどでそれを除去する必要があり、広い面積に塗布した場合、その除去作業に要する負担は大きなものであった。
特許文献8(特開2012−241100号公報)には、アルキルアルコキシシランと揺変剤からなる吸水防止剤が記載されている。通常、市販されている揺変剤はキシレン、ミネラルスピリット(ミネラルターペン)、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロパノールなどの有機溶剤に溶解されているため、これを用いた吸水防止剤は有機溶剤を含有することになる。有機溶剤を含有しない揺変剤そのものは粉体であるためアルキルアルコキシシランに分散させることは困難であった。
特許文献9、10、11(特開2014−234398号公報、特開2015−78305号公報、特開2017−200967号公報)には、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムと炭素数6〜24の脂肪酸とアルミニウムオキサイドオルガノキサイド及びアルミニウムオキサイドアシレートから選ばれるアルミニウムオリゴマー類及び/又はアルミニウムアルコキサイド類を併用し、オルガノアルコキシシランをゲル化させた組成物及び該組成物を含む吸水防止剤が記載されている。しかし、特許文献9、10、11に記載のゲル状組成物は、ちぎれやすいゲルであるためコテやヘラを用いた施工法には有効なのだが、ゲルの粘度が高すぎてローラーに付着しないことからローラー施工には不適であった。コテやヘラでの施工は作業効率が悪いことや、大面積を施工する際は人件費がかかるなどの問題からもローラー施工が可能な吸水防止剤の開発が求められていた。
特開昭62−197369号公報 特開平6−313167号公報 特開平9−208938号公報 特開2004−315631号公報 特開平10−81824号公報 特開2009−155641号公報 特開2009−35704号公報 特開2012−241100号公報 特開2014−234398号公報 特開2015−78305号公報 特開2017−200967号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、多孔質材料表面に優れた吸水防止性を与えることができる吸水防止剤となり得る組成物を提供することを目的とする。特には、オルガノアルコキシシランを含有する組成物であって、ローラー施工が容易であり、塗布時に液だれを生じず、多孔質材料表面から有効成分(オルガノアルコキシシラン)を深く浸透させることができ、また外観を損なうことなく吸水防止性を付与することができ、且つ、ちぎれやすく、塗布時の作業性がよく、さらに保存安定性に優れており、長期間高温保管した場合にもその性状を保つことが可能であるオルガノアルコキシシラン含有組成物を提供することを目的とする。更には、該組成物からなる吸水防止剤、該吸水防止剤を多孔質材料表面に塗布して吸水防止性を付与する方法、並びに該吸水防止剤で表面処理された多孔質材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムと炭素数6〜24の脂肪酸の併用が、オルガノアルコキシシランを良好にゲル化できることを見出した(特許文献9)。しかし、これにより得られたゲルはちぎれにくく、容器からすくい取るときに長く伸びてしまう。
これに対し、本発明者らは、さらに検討した結果、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム、脂肪酸、及びオルガノアルコキシシランを含む組成物に、炭素数6〜30のジカルボン酸を添加することにより、ゲルが壊れやすくちぎれやすい性状となり、コテなどを用いて多孔質材料に塗布する際に、容器からゲルをすくい取りやすくなり、均一に塗布するための作業性が改善されることを見出した(特許文献10)。しかし、これにより得られたゲルは、長期間高温で保管した場合、ゲルの状態を保つことができず、ゲルの一部が液体となってしまう。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討を行った結果、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム、脂肪酸、オルガノアルコキシシラン、及び炭素数6〜30のジカルボン酸を含む組成物に、アルミニウムオキサイドオルガノキサイド及びアルミニウムオキサイドアシレートから選ばれるアルミニウムオリゴマー、及び/又は、アルミニウムアルコキサイドを添加することにより、ゲルの保存安定性が著しく向上し、長期間高温で保管した場合にもゲルの状態を保つことができるゲル状組成物が得られることを見出した(特許文献11)。しかし、これら特許文献9〜11に記載のゲル状組成物は粘度が高く、ちぎれやすい性状であることからコテやヘラを用いた施工には適しているが、一方でローラーに染込みにくいため、ローラー施工が困難であった。実際に施工する際はその施工面積は極めて広大な場合が多く、ヘラやコテでの施工では多大な労力と時間を要してしまう。そのためローラーのように作業効率の高い施工法に対応可能な性状の組成物の開発が急務であった。
本発明者らは、さらに鋭意検討を行った結果、下記に示す特定の配合を有する組成物が、ローラー施工に適した性状を有することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有するオルガノアルコキシシラン含有組成物、該組成物から成る吸水防止剤、吸水防止性を付与する方法、並びに多孔質材料を提供する。
(A)下記式(1)で示されるオルガノアルコキシシラン及び/又は該オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:100質量部
1 aSi(OR24-a (1)
(式中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、R2は互いに独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、aは1、2又は3である)、
(B)下記式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム:0.5〜2.3質量部
(R3COO)2Al(OH) (2)
(式中、R3は互いに独立に、炭素数1〜25の1価炭化水素基である)、及び
(C)炭素数6〜24の脂肪酸:0.3〜20質量部
を含有するオルガノアルコキシシラン含有組成物。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物を多孔質材料の表面に塗布すると、有効成分(オルガノアルコキシシラン)が基材表面から深く浸透することができ、外観を損ねることなく多孔質材料表面に吸水防止性(撥水性)を付与することができる。従って、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、吸水防止剤として良好に使用することができる。さらに、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、水及び有機溶剤を含有しない無溶剤型の形態とすることができる。無溶剤型のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、塗布時にVOC(揮発性有機物)が揮発しない。そのため、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、特に建築用又は土木用の無機質多孔質材料のための吸水防止剤として有用である。さらに本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、長期間高温で保管してもオルガノアルコキシシラン含有組成物から液体が遊離することなく、保存安定性に優れている。さらに本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、ローラー施工に適した性状であることから、作業効率を著しく向上させることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、
(A)下記式(1)で示されるオルガノアルコキシシラン及び/又は該オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:100質量部
1 aSi(OR24-a (1)
(式中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、R2は互いに独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、aは1、2又は3である)、
(B)下記式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム:0.5〜2.3質量部
(R3COO)2Al(OH) (2)
(式中、R3は互いに独立に、炭素数1〜25の1価炭化水素基である)、及び
(C)炭素数6〜24の脂肪酸:0.3〜20質量部
を含有してなる組成物である。
(A)成分は、下記式(1)で示されるオルガノアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
1 aSi(OR24-a (1)
上記式(1)中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは3〜20、さらに好ましくは6〜10の、アミノ基、エポキシ基又はハロゲン原子を含んでいてもよい1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基(2,4,4−トリメチルペンチル基を含む炭素数8のアルキル基)、デシル基、ドデシル基、ノルボルニル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などのアルケニル基、フェニル基などのアリール基、スチリル基などのアラルキル基が挙げられる。上記R1で示される基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。さらに、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基などのアミノ基含有アルキル基、3−グリシドキシプロピル基などのエポキシ基含有アルキル基、トリフロロメチル基、3,3,3−トリフロロプロピル基などのフッ素含有基などが例示できる。中でも、炭素数3以上のアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のアルキル基がさらに好ましい。
2は互いに独立に、炭素数1〜8、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基が例示できる。中でも、メチル基、エチル基が特に好ましい。
aは1、2又は3であり、特には1であることが好ましい。
上記オルガノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、トリフロロメチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。これらのうち、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、及びプロピルトリエトキシシランが好適である。上記オルガノアルコキシシランは、1種単独でも2種以上の混合物でもよい。
本発明の(A)成分として、上記オルガノアルコキシシランが有するアルコキシ基の一部を加水分解させ、分子間で縮合反応させて得られたオリゴマーやポリマー(以下、部分加水分解縮合物という)を使用してもよい。また、上記オルガノアルコキシシランと、該オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合して使用してもよい。オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、酸触媒又はアルカリ触媒の存在下でオルガノアルコキシシランを加水分解及び縮合反応させて合成することができる。
(B)成分は、下記式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムである。
(R3COO)2Al(OH) (2)
上記式(2)中、R3は互いに独立に、炭素数1〜25、好ましくは3〜19の1価炭化水素基である。該1価炭化水素基として、特にはアルキル基又はアルケニル基であり、詳細には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基などのアルキル基、これらの基の一部に不飽和結合を有するアルケニル基などを例示できる。該R3で示される基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。中でも、1−エチルペンチル基が好ましい。尚、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムはジカルボン酸アルミニウムとも表記される。
上記式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムとしては、例えば、ジオクチル酸(ヒドロキシ)アルミニウム、ジステアリン酸(ヒドロキシ)アルミニウム、ジラウリン酸(ヒドロキシ)アルミニウム、及びジカプリン酸(ヒドロキシ)アルミニウムなどのアルミニウム石けん類が挙げられる。特には、上記式(2)においてR3が1−エチルペンチル基であるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム(すなわち、ジオクチル酸(ヒドロキシ)アルミニウム)であるのが好ましい。本発明においてジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムは1種単独であっても2種以上の混合物でもよい。
(B)成分の量は(A)成分100質量部に対して0.5〜2.3質量部、好ましくは0.6〜2.0質量部、特に好ましくは0.7〜1.5質量部である。本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は(B)成分を上記特定範囲にて有することを特徴とする。これにより組成物は適度な流動性を有し、液だれしにくくローラーに染み込みやすく、ローラー施工に適した性状を有することができる。(B)成分の量が上記下限値未満では得られる組成物が経時で分離することがある。また、(B)成分の量が上記上限値超では、得られる組成物が硬くなりローラーでの施工が困難になるため好ましくない。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物には、(B)成分であるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム、即ち式(R3COO)2Al(OH)で示されるジソープ以外にも、トリカルボン酸アルミニウム、即ち式(R3COO)3Alで示されるトリソープ、及びモノカルボン酸アルミニウム、即ち式(R3COO)Al(OH)2で示されるモノソープを含んでいてもよい(上記式中、R3は上記と同じ)。その場合、上記トリソープ及びモノソープの含有量は、(B)成分100質量部に対して上記トリソープ及びモノソープの合計で2.3質量部までとするのがよい。
(C)成分は、炭素数6〜24の脂肪酸であり、好ましくは炭素数6〜22の脂肪酸である。炭素数が6未満では得られる組成物が増粘しなかったり、液状のままで粘度が不足したり、液相が分離することがある。また、炭素数が24を超えると脂肪酸の融点が高くなり、配合時に高温で溶解させる必要があるなどの不都合がある。炭素鎖の形状は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、該脂肪酸は、飽和カルボン酸であっても不飽和カルボン酸であってもよい。
該脂肪酸としては、例えば、カプロン酸(炭素数6)、カプリル酸(炭素数8)、2−エチルヘキサン酸(炭素数8)、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、イソパルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)、イソステアリン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、α−リノレン酸(炭素数18)、アラキジン酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、及びリグノセリン酸(炭素数24)を挙げることができる。上記脂肪酸は1種単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
上記のうち、特には直鎖のものが好適であり、カプロン酸(炭素数6)、カプリル酸(炭素数8)、カプリン酸(炭素数10)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)、α−リノレン酸(炭素数18)、アラキジン酸(炭素数20)、及びベヘン酸(炭素数22)がより好ましい。
(C)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.3〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜8質量部である。(C)成分の量が上記下限値未満では、得られる組成物が増粘しなかったり、増粘するまでに長時間を要するため好ましくない。また、(C)成分の量が上記上限値を超えると、得られる組成物が増粘しなかったりするため好ましくない。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は上記(A)〜(C)成分に加え、さらに(D)炭素数4〜30のジカルボン酸、及び(E)アルミニウムオキサイドオルガノキサイド及びアルミニウムオキサイドアシレートから選ばれるアルミニウムオリゴマー類及び/又はアルミニウムアルコキサイド類を含有することができる。
(D)成分は、炭素数4〜30のジカルボン酸であり、好ましくは炭素数4〜24のジカルボン酸である。炭素数が上記下限値未満では、得られる組成物が増粘せず粘度が不足したり、液相が分離したり、オルガノアルコキシシラン含有組成物中にジカルボン酸が溶解せずに残留したり、組成物をすくった際に糸引きが顕著になり取り扱いが難しくなる場合がある。また、炭素数が上記上限値を超えるとジカルボン酸の融点が高くなり、配合時に高温で溶解させる必要があるという不都合がある。炭素鎖の形状は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、該ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸であっても、芳香族ジカルボン酸であってもよい。好ましくは脂肪族ジカルボン酸である。また、脂肪族ジカルボン酸は、飽和脂肪族ジカルボン酸であっても、不飽和結合を有する脂肪族ジカルボン酸であってもよい。上記ジカルボン酸は1種単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸(炭素数6)、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(炭素数6)、ピメリン酸(炭素数7)、スベリン酸(炭素数8)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ドデカン二酸(炭素数12)、テトラデカン二酸(炭素数14)、ヘキサデカン二酸(炭素数16)、エイコサン二酸(炭素数20)、8,13−ジメチルエイコサン二酸(炭素数22)、及び8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸(炭素数22)を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸(炭素数8)、イソフタル酸(炭素数8)、及びテレフタル酸(炭素数8)を挙げることができる。
また、本発明のジカルボン酸は、下記式で示されるような、ポリオルガノシロキサン鎖を有するジカルボン酸を包含する。
HOOC−X−(R4 2SiO)t−R4 2Si−X−COOH
上記式中、tは0以上の整数である。該tの値は、上記ポリオルガノシロキサン含有ジカルボン酸の重量平均分子量が5,000以下、好ましくは200以上3,000以下となるような数であればよい。重量平均分子量が上記上限値を超えると、吸水防止剤の基材への含浸性が低下する場合や、基材表面が濡れ色に着色してしまう場合がある。なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均分子量である(以下、同じ)。
上記式中、Xは炭素数1〜10の2価のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基などが挙げられる。
上記式中、R4は互いに独立に、水素原子、又は非置換もしくは置換の、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の、酸素原子あるいは窒素原子を有していてもよい1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、キシリル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換1価炭化水素基等を挙げることができる。また、アルキル基の水素原子の一部が、ポリエーテル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基又はこれらの基を含有する有機基で置換された基でもよい。
上記ジカルボン酸としては、市販品を使用することができる。市販されているジカルボン酸としては、例えば新日本理化株式会社製や岡村製油株式会社製のものが挙げられる。例えば、環状二塩基酸であるリカシッドCHDA(炭素数6)及び直鎖二塩基酸であるSL−12(炭素数12)、SL−20(炭素数20)、分岐二塩基酸であるIPU−22(炭素数22)、IPS−22(炭素数22)、及びSB−20(炭素数12〜22の混合物)、直鎖二塩基酸と分岐二塩基酸の混合物であるULB−20(炭素数20)などが挙げられる。
(D)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜5質量部、さらに好ましくは0.03〜3質量部である。(D)成分の量が上記下限値未満では、得られるオルガノアルコキシシラン含有組成物が増粘せずかつ伸びやすくなるため、すくった際に糸引きが顕著になり、作業性が悪くなる場合がある。また、(D)成分の量が上記上限値を超えると、組成物が硬くなりすぎてローラーに付着しなくなりローラー施工が困難になったり、またコテやヘラですくい上げにくくなる場合がある。
(E)成分は、アルミニウムオキサイドオルガノキサイド及びアルミニウムオキサイドアシレートから選ばれるアルミニウムオリゴマー、及び/又は、アルミニウムアルコキサイドである。
アルミニウムアルコキサイドとしては、例えば、アルミニウムトリメトキサイド、アルミニウムトリエトキサイド、アルミニウムトリn−プロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキサイド、アルミニウムトリn−ブトキサイド、アルミニウムトリsec−ブトキサイド、アルミニウムトリイソ−ブトキサイド、アルミニウムトリヘキシルオキシド、アルミニウムトリ(2−エチルヘキシルオキシド)、アルミニウムブトキシジイソプロポキサイド、アルミニウムジブトキシイソプロポキサイド、アルミニウムジイソプロポキシ2−エチルヘキシルオキサイド、アルミニウムトリオクチルオキサイドなどの、炭素数1〜24のアルコキシル基を有するアルミニウムトリアルコキサイド等が挙げられる。上記アルミニウムアルコキサイドは1種単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
アルミニウムオリゴマーとしては、アルミニウムオキサイドオルガノキサイドの繰り返し単位を2〜10個有する直鎖状又は環状の化合物が挙げられ、好ましくは下記式(3)で表される。なお、直鎖状の化合物である場合、末端はOR5である。
Figure 2020189941
(式中、R5は、互いに独立に、炭素数1〜24の非置換又は置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基又はアシル基である。nは2〜10の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜4の整数である)
上記式(3)中、R5のアルキル基としては、炭素数1〜24のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数2〜24のアルケニル基が挙げられ、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜24のアリール基が挙げられ、フェニル基、トリル基、4−シアノフェニル基、ビフェニル基、o,m,p−テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、9−フェニルアントラニル基、9,10−ジフェニルアントラニル基、ピレニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜24のシクロアルキル基が挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボナン基、アダマンタン基、4−メチルシクロヘキシル基、4−シアノシクロヘキシル基等が挙げられる。
複素環基としては、例えば、炭素数3〜24の複素環基が挙げられ、ピロール基、ピロリン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、インドール基、ベンズイミダゾール基、プリン基、キノリン基、イソキノリン基、シノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノリン基、フルオレノン基、ジシアノフルオレノン基、カルバゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ビスベンゾオキサゾール基、ビスベンゾチアゾール基、ビスベンゾイミダゾール基等が挙げられる。
アシル基としては、例えば、炭素数2〜24のアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラコノイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、タルトロノイル基、マロイル基、タルタロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基、グリオキシロイル基、ピルボイル基、アセトアセチル基、メソオキサリル基、メソオキサロ基、オキサルアセチル基、オキサルアセト基、レブリノイル基等が挙げられる。これらのアシル基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などで置換されていてもよい。
本発明で使用するアルミニウムオリゴマーは、例えばアルミニウムトリアルコキサイドの環状縮合物(アルミニウム環状オリゴマー)であり、例えば、「INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY Vol.56,No.5,p42〜50、1964」や、米国特許第2979497号(1961)等に記載されている製造方法によって製造することができる。
前記アルミニウム環状オリゴマーとしては、例えば、炭素数1〜24のアルコキシル基を有するアルミニウムトリアルコキサイド等のアルミニウムトリオルガノキサイドを、炭化水素溶媒又はアルコール溶媒中で強撹拌下に水を添加して反応させ、生成するアルコールと使用溶媒とを蒸留によって除くことによって製造される環状トリマーであるアルミニウムオキサイドオルガノキサイド、又は、該アルミニウムオキサイドオルガノキサイドを一塩基性有機酸と反応させてアルコキシル基を一塩基性有機酸由来のアシル基で置換して得られるアルミニウムオキサイドアシレート環状オリゴマーが挙げられる。
上記、アルミニウムトリアルコキサイドとしては、例えば、アルミニウムトリメトキサイド、アルミニウムトリエトキサイド、アルミニウムトリn−プロポキサイド、アルミニウムトリイソプロポキサイド、アルミニウムトリn−ブトキサイド、アルミニウムトリsec−ブトキサイド、アルミニウムトリイソ−ブトキサイド、アルミニウムトリヘキシルオキシド、アルミニウムトリ(2−エチルヘキシルオキシド)、アルミニウムブトキシジイソプロポキサイド、アルミニウムジブトキシイソプロポキサイド、アルミニウムジイソプロポキシ2−エチルヘキシルオキサイド、アルミニウムトリオクチルオキサイド等が挙げられる。
前記アルミニウムオキサイドアシレート環状オリゴマーの製造に使用される一塩基性有機酸としては、例えば、n−オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びその混合物等が挙げられるが上記のものに制限されない。
前記アルミニウムオリゴマーとしては、中でも、アルミニウムオキサイド2−エチルヘキサノエート、アルミニウムオキサイドイソプロピレート、アルミニウムオキサイドステアレート、アルミニウムオキサイドオクチレート、アルミニウムブトキシジイソプロポキサイド、及びアルミニウムオキサイドラウレートが特に好ましい。とりわけこれらにおいて、上記式(3)で表される構造におけるnの値が3であるものを主成分とし、n=2〜6、特にn=2〜4の範囲を有するものが好ましい。
上記アルミニウムオリゴマーは1種単独でも2種以上を混合して使用してもよい。上記アルミニウムオリゴマー及びアルミニウムアルコキサイドとしては、市販品を使用することができる。市販されているアルミニウムオリゴマー及びアルミニウムアルコキサイドとしては、ホープ製薬株式会社製のものが挙げられる。例えば、液状オリープAOO(アルミニウムオキサイドオクチレート)、及び液状オリープAOS−SAF(アルミニウムオキサイドステアレート)等が挙げられる。
(E)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。(E)成分の量が上記下限値未満では、保存安定性が十分でなく、高温保管時にオルガノアルコキシシラン含有組成物の一部又は全体が液化または低粘度化してしまう。また、(E)成分の量が上記上限値超では、得られるオルガノアルコキシシラン含有組成物が硬くなりすぎて、取扱いが困難になるため好ましくない。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、上記(A)〜(E)成分に加え、さらに(F)シロキサン単位の合計数に対するジメチルシロキサン単位の個数が20%以上、好ましくは40%以上であるポリオルガノシロキサンを含有することができる。該(F)成分は、オルガノアルコキシシラン含有組成物の撥水性を向上させる働きをする。
該ポリオルガノシロキサンとしては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(R6 3SiO0.5p(R6 2SiO)q(R6SiO1.5r(SiO2s (4)
上記式(4)中、p、r及びsは0以上の整数であり、好ましくはpは1〜10の整数、rは0〜10の整数、sは0〜10の整数である。qは1以上の整数であり、好ましくは10〜1,000の整数、より好ましくは20〜300の整数である。p+q+r+sの値は、上記ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量が500以上5,000以下、好ましくは1,000以上3,000以下となるような数であればよい。重量平均分子量が上記上限値を超えると、吸水防止剤の基材への含浸性が低下したり、基材表面が濡れ色に着色してしまう場合がある。上記ポリオルガノシロキサンは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
上記式(4)中、R6は互いに独立に、水素原子、水酸基、又は非置換もしくは置換の、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の、酸素原子を有していてもよい1価炭化水素基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。ここで、該1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換1価炭化水素基等を挙げることができる。また、アルキル基の水素原子の一部が、ポリエーテル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基又はこれらの基を含有する有機基で置換された基でもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基などが挙げられる。
また、上記式(4)で示される化合物中、R6で示される基の一部が、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、又は水素原子であってもよい。特には、上記ポリオルガノシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルコキシ基又は水酸基を含有していることが好ましい。なお、上記式(4)において、R6で示される基の合計個数のうち40%以上がメチル基であることが好ましい。
但し、上記式(4)で示されるポリオルガノシロキサンは、R6 mSiO(4-m)/2(mは0〜3の整数)で示されるシロキサン単位の合計数に対しジメチルシロキサン単位((CH32SiO)の個数が20%以上、好ましくは40%以上である。
上記の通り、上記式(4)で示されるポリオルガノシロキサンは、その分子中にケイ素原子に結合した水酸基又はアルコキシ基を有するシロキサン単位を有していてもよい。水酸基又はアルコキシ基を有するシロキサン単位としては、例えば、(R7O)R8 2SiO0.5単位、(R7O)R8SiO単位、(R7O)SiO1.5単位が挙げられる。また、水酸基又はアルコキシ基を有さないシロキサン単位としては、例えば、R8 3SiO0.5単位、R8 2SiO単位、R8SiO1.5単位、SiO2単位が挙げられる。ここで、R7は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子であり、R8は、水素原子、又は非置換もしくは置換の、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基である。ポリオルガノシロキサンが水酸基又はアルコキシ基を有する場合、その含有量は、ポリオルガノシロキサンの質量に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下であるのがよい。水酸基又はアルコキシ基の含有量の下限は特に限定されない。ポリオルガノシロキサン中の水酸基又はアルコキシ基の含有量が上記上限値を超えると、増粘しにくくなるため、好ましくない。
(F)成分を配合する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量部である。(F)成分の量が上記上限値を超えると、得られる吸水防止剤の基材への含浸性が低下したり、基材表面が濡れ色に着色してしまう場合がある。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、さらにその他の添加剤を含有することができる。該添加剤としては、吸水防止剤に使用される公知の添加剤を使用することができ、例えば、防カビ剤、防藻剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、顔料、染料、増粘剤、溶剤、ワックス、及び上述したアルミニウム石けん以外の金属石けんなどが挙げられる。さらに、シリカ、アルミナ、チタニア、マイカ、タルクなどの無機充填剤、モンモリロナイト、ベントナイトなどの無機増粘剤などを配合することもできる。また、本発明の組成物は触媒を必要とするものではないが、本発明の効果を損ねない限りにおいて含有していていもよい。含有することができる触媒としては、例えば有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機鉄化合物、有機チタン化合物、有機ビスマス化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機セリウム化合物、有機インジウム化合物、有機イットリウム化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。該添加剤の配合量は、従来の方法に従い、本発明の効果を損ねない範囲で適宜調整すればよい。
また、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物には強度を調整する目的で、炭化水素化合物、パラフィン類などを添加してもよい。但し、沸点又は引火点がオルガノアルコキシシランより高い化合物を添加することは好ましいが、沸点又は引火点がオルガノアルコキシシランより低い溶剤類を添加することは好ましくない。
しかしながら、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、水及び有機溶剤を含有しない無溶剤型の形態であることが好ましい。無溶剤型のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、塗布時にVOC(揮発性有機物)が揮発しない。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、上記各成分を混合することにより調製することができる。混合方法及び使用する装置は従来公知の方法に従えばよく、特に限定されるものでない。例えば、パドル型やプロペラ型の撹拌翼を備えたミキサー、アンカーミキサー、ディスパーミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダーなどの回分式混合装置で用いられるミキサーや、スタチックミキサー、ラインミキサー、コロイドミルなどの連続式混合装置で用いられるミキサーを使用することができる。
上記調製時の混合温度は特に限定されないが、−10℃以上、使用するオルガノアルコキシシランの沸点以下であるのがよい。通常は、0〜100℃、特に10〜85℃とすればよい。必要に応じて30〜90℃に加熱して、さらに増粘させることができる。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、吸水防止剤として使用できる。該吸水防止剤を多孔質材料表面に塗布することにより、基材表面に吸水防止性を付与することができる。該吸水防止剤を塗布する対象となる基材としては、コンクリート、軽量コンクリート、軽量気泡コンクリート(ALC)、モルタル、種々のセメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、レンガ、瓦、タイル、石などの無機質の多孔質材料が挙げられる。また、珪藻土、粘土、漆喰などを主材料とする壁や、紙、木、皮革などの有機質の多孔質材料にも使用することができる。
本発明の吸水防止剤を基材に塗布する量は特に制限されないが、例えば5〜1,000g/m2とすることができ、好ましくは10〜300g/m2である。5g/m2未満では吸水防止性が十分に発揮できないおそれがある。1,000g/m2より多くしても含浸深さが一定以上深くならず、乾燥に必要以上の時間を要してしまうおそれがある。
本発明の吸水防止剤を基材に塗布する方法は特に制限されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、ローラー、ハケ、ヘラ、コテ、スプレー、吹付けなどが使用できる。通常、一度で所定量を塗布できるが、必要に応じて重ね塗りしてもよい。塗布後の乾燥は常温で放置すればよいが、40〜80℃程度に加温してもよい。特には、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物はローラー染み込み性に優れるため、ローラー施工のために好適に用いることができる。
本発明者らは、本発明において上記オルガノアルコキシシラン含有組成物が増粘する機構を次のように考えている。例えば、種々の低極性の有機溶剤に、ジ(2−エチルヘキサン酸)アルミニウムを添加すると、ジ(2−エチルヘキサン酸)アルミニウムが有機溶媒中で高分子量の直鎖状の会合体を形成し、会合体どうしが絡み合い、その間隙に有機溶剤を取り込んで増粘することができる。同様に、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物においては、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムが、オルガノアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(以下、オルガノアルコキシシランと略記する。)中で会合体を形成し、その間隙にオルガノアルコキシシランが取り込まれていると考えられる。また、脂肪酸は、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムから形成される長鎖の会合体がオルガノアルコキシシランへ溶解することを助長する働きをしていると考えられる。さらにジカルボン酸は、長鎖の会合体を部分的に架橋させる働きをしていると考えられる。このため、該組成物を引っ張ったときの伸びが抑えられ、壊れやすくちぎれやすくなる。そのため、容器からすくい取りやすく、塗布するときには潰して薄く均一に塗布しやすくなる。一方、ジカルボン酸を使用しない該組成物は壊れにくく、引っ張ると長く伸びてしまい、取扱いにくい。また、本発明は、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムと脂肪酸とを併せてオルガノアルコキシシランに配合することにより、組成物を良好に増粘することができる。本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物において、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム及び脂肪酸のいずれか一方を含まないと、オルガノアルコキシシランを増粘することができない。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物を多孔質材料に塗布すると、その性状を保ったままオルガノアルコキシシランが細孔に吸収され基材表面から深く含浸することができる。そのため、塗布時に液だれを起こすことなく、優れた吸水防止性(撥水性)を多孔質表面に付与することができる。ここで、ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムは極性が低く水に対する親和性がないため、水に全く溶解せず、さらに分散もしない。また、脂肪酸も同様に極性が低いため、水に溶解しないか、ほとんど溶解しない。そのため、オルガノアルコキシシランが基材中に含浸したのちも、水に親和性のある成分が基材表面に全く残留しないため、極めて良好な吸水防止性(撥水性)が得られる。
本発明者らは、本オルガノアルコキシシラン含有組成物を長期間高温で保管した場合に生じる液化または分離は水分が原因であると推定し、捕水剤として(E)成分を添加するのが好ましい。(E)成分の作用機構については、次のように考えている。
(E)成分を、例えば、下記式(5)に示すように、アルミニウムトリアルコキサイドの3分子環状化合物であるとする。
Figure 2020189941
(式中、R9は炭素数1〜24のアルキル基であり、R5で例示したアルキル基と同様のものが例示できる。)
式(5)の化合物は、下記式(6)に示すように水分子と反応し、組成物中の水分を捕えるものと考えられる。
Figure 2020189941
(式中、R9は上記と同じである。)
上記式(6)に示すように(E)成分が組成物中の水分を捕えることにより、オルガノアルコキシシラン含有組成物の液化または分離を抑制し、保存安定性が向上するものと考えられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)0.5質量部、及び、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例2]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、及び、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例3]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.5質量部、及び、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例4]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)2.0質量部、及び、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例5]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、及び、オレイン酸0.5質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例6]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、及び、オレイン酸15.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例7]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、オレイン酸1.0質量部、及び、ジカルボン酸(リカシッドCHDA、新日本理化株式会社製環状二塩基酸、炭素数6)0.05質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例8]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、オレイン酸1.0質量部、及び、液状オリープAOO(アルミニウムオキサイドオクチレート(アルミニウムオキサイドオクチレート分48質量%ナフサ溶解品)、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例9]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、オレイン酸1.0質量部、ジカルボン酸(リカシッドCHDA、新日本理化株式会社製環状二塩基酸、炭素数6)0.05質量部、及び、液状オリープAOO(アルミニウムオキサイドオクチレート(アルミニウムオキサイドオクチレート分48質量%ナフサ溶解品)、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[実施例10]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、下記式(7)
(CH32(HO)SiO[(CH32SiO]10Si(CH32(OH) (7)
で示されるポリジメチルシロキサン10質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、オレイン酸1.0質量部、ジカルボン酸(リカシッドCHDA、新日本理化株式会社製環状二塩基酸、炭素数6)0.05質量部、及び、液状オリープAOO(アルミニウムオキサイドオクチレート(アルミニウムオキサイドオクチレート分48質量%ナフサ溶解品)、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[比較例1]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)0.4質量部、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、組成物は増粘せず、また、混合停止後すぐに分離した。
[比較例2]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)2.5質量部、オレイン酸1.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[比較例3]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)2.5質量部、オレイン酸1.0質量部、及び、ジカルボン酸(リカシッドCHDA、新日本理化株式会社製環状二塩基酸、炭素数6)0.05質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、無色透明のオルガノアルコキシシラン含有組成物が得られた。
[比較例4]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、及び、オレイン酸0.1質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、組成物は増粘せず、また、混合停止後すぐに分離した。
[比較例5]
オクチルトリエトキシシラン100質量部、オクトープアルミT((CH3(CH23CH(C25)COO)2Al(OH)で示されるジ(2−エチルヘキサン酸)ヒドロキシアルミニウム、ホープ製薬株式会社製)1.0質量部、及び、オレイン酸25.0質量部を、プラネタリーミキサーを用いて50℃で約4時間混合したところ、組成物は増粘せず、また、混合停止後すぐに分離した。
(1)液だれ
試験体としてJIS R5201に準じて作製したモルタルテストピース(縦70mm×横70mm×高さ25mm)を使用した。該テストピースの縦70mm×横70mmの面上に、各オルガノアルコキシシラン含有組成物を200g/m2となる量で搭載し、ローラーを用いてなるべく均一になるように塗布した。塗布後すぐに、塗布面が垂直となるようにテストピースを静置し、塗布したオルガノアルコキシシラン含有組成物が流延するか否かを目視で観察した。
(2)外観
上記(1)と同様にしてモルタルテストピースに各オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した。該テストピースを25℃、50%RHで7日間放置し、養生した。その後、オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した面に残る濡れ色の割合を目視で観察し、以下の指標により評価した。
5:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が5%以下(即ち、オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布していないテストピースと同程度の外観を有する)。
4:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が5%超25%未満。
3:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が25%以上75%未満。
2:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が75%以上95%未満。
1:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が95%以上。
(3)撥水性
上記(1)と同様にしてモルタルテストピースに各オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した。該テストピースを25℃、50%RHで7日間放置し、養生した。オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した面にシャワーを用いて5分間流水をかけたのち、オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した面の水のはじき度合及び濡れ色の割合を目視で観察し、以下の指標により評価した。
〈はじき〉
5:塗布面の全面積のうち、水をはじいた部分の面積が95%以上。
4:塗布面の全面積のうち、水をはじいた部分の面積が75%以上95%未満。
3:塗布面の全面積のうち、水をはじいた部分の面積が25%以上75%未満。
2:塗布面の全面積のうち、水をはじいた部分の面積が5%以上25%未満。
1:塗布面の全面積のうち、水をはじいた部分の面積が5%未満。
〈濡れ色〉
5:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が5%以下。
4:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が5%超25%未満。
3:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が25%以上75%未満。
2:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が75%以上95%未満。
1:塗布面の全面積のうち、濡れ色が残る部分の面積が95%以上。
(4)含浸深さ
上記(1)と同様にしてモルタルテストピースに各オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した。該テストピースを25℃、50%RHで7日間放置し、養生した。オルガノアルコキシシラン含有組成物を塗布した面を2分割するようにテストピースを垂直に割裂し、割裂面に水を噴霧した。水を吸収せず濡れ色に着色しない部分の深さを測定し、含浸深さとした。
(5)ちぎれ性
容器からヘラを用いてオルガノアルコキシシラン含有組成物をすくい上げた時に、オルガノアルコキシシラン含有組成物が伸びない(糸引きしない)ものを良好とした。一方、オルガノアルコキシシラン含有組成物が伸びる(糸引きする)ものを不良とした。
(6)ローラー付着性
各オルガノアルコキシシラン含有組成物20gをステンレス製トレイ(21cm×15cm)に秤量し、各オルガノアルコキシシラン含有組成物上でスモールローラー(寸法:6インチ、全長:155mm、TWPR-13S-6、トラスコ中山製)を5往復させて付着できるか(ローラー内部まで染込むか)観察し、各オルガノアルコキシシラン含有組成物20gのうち付着した割合を算出した。なお、付着した割合が75%以上の場合、付着性は良好と判断できる。
(7)ローラー施工性
スモールローラーを用いて各オルガノアルコキシシラン含有組成物をモルタルテストピース(縦70mm×横70mm×高さ25mm)に200g/m塗布した際の施工性を以下の指標により評価した。なお、評価結果が4又は5であれば施工性は良好と判断できる。
5:均一な厚みにムラなく施工可能。
4:僅かに筋やダマがあるが均一な厚みに施工可能。
3:筋やダマがあるが均一な厚みに施工可能。
2:筋やダマがあり均一な厚みに施工できない。
1:各オルガノアルコキシシラン含有組成物がローラーに付着しない、又は、しにくいためローラー施工が困難。
(8)保存安定性(25℃/2カ月)
各オルガノアルコキシシラン含有組成物50gを容量100mLの容器に入れて密栓し、25℃の恒温器にて2カ月保管した。保管後、1カ月毎に計6カ月間、性状を確認し、各オルガノアルコキシシラン含有組成物の一部、又はすべてが分離するまでの期間を評価した。
(9)保存安定性(40℃/2カ月)
各オルガノアルコキシシラン含有組成物50gを容量100mLの容器に入れて密栓し、40℃の恒温器にて2カ月保管した。保管後、1カ月毎に計6カ月間、性状を確認し、各オルガノアルコキシシラン含有組成物の一部、又はすべてが分離するまでの期間を評価した。
Figure 2020189941
Figure 2020189941
表2に示す通り、(C)オレイン酸の量が少なすぎる又は多すぎる比較例4及び5の組成物、及び(B)ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムの量が少なすぎる比較例1の組成物は、増粘せずすぐに分離してしまった。また(B)ジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウムの量が多すぎる比較例2及び3の組成物は、ローラーへの染込みが不十分であり、施工性が悪い、又は、ちぎれ性が不良であり塗布時に糸引きをしてしまいダマができてしまったり、外観不良となった。
これに対し、表1に示す通り、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物はちぎれやすく、また、ローラーへの付着性(染込みやすさ)及び施工性が良好である。従って、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、垂直面に塗布した場合でも液だれを生じず、外観を損ねることなく、多孔質材料表面から深く含浸することができ、優れた吸水防止性(撥水性)を多孔質材料表面に付与することができる。
本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物から得られる吸水防止剤は、垂直面に塗布した場合でも液だれを生じることなく、オルガノアルコキシシランが多孔質材料の表面から深く浸透することができ、また外観を損ねることなく、基材表面に吸水防止性を付与することができる。また、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、ローラーで施工する際に均一に塗布することが容易であり、作業性に優れる。さらに、本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、水及び有機溶剤を含有しない無溶剤型の形態とすることができる。無溶剤型のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、塗布時に有機溶剤によるVOC(揮発性有機物)が発生しない。そのため本発明のオルガノアルコキシシラン含有組成物は、建築用又は土木用の無機質多孔質材料のための吸水防止剤として特に有用である。

Claims (8)

  1. (A)下記式(1)で示されるオルガノアルコキシシラン及び/又は該オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物:100質量部
    1 aSi(OR24-a (1)
    (式中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、R2は互いに独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、aは1、2又は3である)、
    (B)下記式(2)で示されるジカルボン酸(ヒドロキシ)アルミニウム:0.5〜2.3質量部
    (R3COO)2Al(OH) (2)
    (式中、R3は互いに独立に、炭素数1〜25の1価炭化水素基である)、及び
    (C)炭素数6〜24の脂肪酸:0.3〜20質量部
    を含有するオルガノアルコキシシラン含有組成物。
  2. さらに、(D)炭素数4〜30のジカルボン酸:0.01〜10質量部、及び
    (E)アルミニウムオキサイドオルガノキサイド及びアルミニウムオキサイドアシレートから選ばれるアルミニウムオリゴマー、及び/又は、アルミニウムアルコキサイド:0.01〜10質量部
    を含有する、請求項1に記載のオルガノアルコキシシラン含有組成物。
  3. さらに、(F)シロキサン単位の合計数に対するジメチルシロキサン単位の個数が20%以上であるポリオルガノシロキサンを0.1〜50質量部含有する、請求項1又は2に記載のオルガノアルコキシシラン含有組成物。
  4. 水及び有機溶剤を含有しない、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオルガノアルコキシシラン含有組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物からなる吸水防止剤。
  6. 請求項5に記載の吸水防止剤を多孔質材料の表面に塗布して吸水防止性を付与する方法 。
  7. 多孔質材料が無機質の多孔質材料である請求項6に記載の方法。
  8. 請求項5に記載の吸水防止剤で表面処理された多孔質材料。
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