JP6383572B2 - 表面含浸材及び構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、土木及び建築分野の各種工事に用いられる表面含浸材、及び構造物に関する。
各種構造物に用いられるコンクリートやモルタル等は、本来耐久性に優れたものであるが、細孔を有することから構造や使用環境によって、水分、塩分又は二酸化炭素等が細孔より内部に浸透し、一部が劣化する場合がある。このような劣化は、構造物の強度低下や欠損等の原因となる。
このような細孔を有する構造物の表面に塗布して、水分、塩分又は二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止するために、アルコキシシランを有する吸水防止材が開示されている。
特開2003−221576号公報 特開2009−280716号公報
しかしながら、細孔を有する構造物の施工面が壁や天井の場合、塗布した材料が下方向へ流れて(タレて)しまうので、適正量塗布するためには、数回繰り返し塗布する作業工程が必要であった。また、塗布間隔が長くなってしまうと、材料が反応して撥水層を形成し始め、それ以上深く材料が浸透することを阻害してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、施工面が壁や天井であっても、一回の塗布作業で適正量塗布することが可能であり、且つ浸透性に優れた表面含浸材を提供することを目的とする。また、本発明は、耐久性に優れた構造物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らは、特定のアルコキシシランと、石油ナフサと、高級脂肪酸アミドと、溶剤と、を用いることによって、表面含浸材の浸透性及び初期硬化特性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アルコキシシランと、石油ナフサと、高級脂肪酸アミドと、溶剤と、を有し、アルコキシシランが下記式(1)で表される、表面含浸材を提供する。
Si(OR4−n (1)
(式中、Rは炭素数5〜12のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示し、nは1又は2を示す。nが2のとき、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の表面含浸材は、施工面が壁や天井であっても、一回の塗布作業で適正量塗布することが可能であり、且つ浸透性に優れている。つまり、本発明の表面含浸材をコンクリートやモルタル等の細孔を有する構造物の表面に塗布することにより、特定のアルコキシシランが構造物の内部に深く浸透し、コンクリートやモルタル等に含まれるセメント成分等と反応して構造物表面近傍に撥水層を形成し、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止できる。このような作用が得られる原因としては、石油ナフサがアルコキシシランの加水分解反応を抑制しながら、表面からのアルコキシシランの浸透の促進に寄与していることが考えられる。また、高級脂肪酸アミドを含有することにより表面含浸材のタレを抑制することが可能である。このため、施工面が壁や天井であっても一回の塗布作業で適正量塗布することができ、優れた浸透性を十分に維持することができる。
本発明の表面含浸材の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることがより好ましい。
本発明の表面含浸材は、上記アルコキシシラン100質量部に対して、上記石油ナフサが20〜120質量部であり、且つ上記アルコキシシラン及び上記石油ナフサの合計100質量部に対して、上記高級脂肪酸アミドが0.1〜5質量部であることが好ましい。このような範囲とすることにより、表面含浸材のタレを一層十分に抑制し、浸透性を一層十分に向上することができる。
本発明では、上記表面含浸材を構造物表面に塗布することによって得られる構造物を提供する。本発明の構造物は、上記表面含浸材と反応して形成される撥水層を有することから、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止し、長期にわたり耐久性に優れた構造を維持することができる。
本発明によれば、施工面が壁や天井であっても、一回の塗布作業で適正量塗布することが可能であり、浸透性やタレの抑制に優れた表面含浸材を提供することができる。
本発明の構造物は、上記表面含浸材と反応して構造物表面近傍に撥水層を形成することから、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止し、長期にわたり耐久性に優れた構造を維持することができる。したがって、本発明の構造物は、ライフサイクルコストの低減などに寄与することができる。
図1は、表面含浸材1〜11におけるアルコキシシランの塗布量と、含浸深さとの関係を表すグラフである。
<表面含浸材>
本発明の表面含浸材の好適な実施形態について以下に説明する。本実施形態の表面含浸材は、コンクリートやモルタル等の細孔を有する構造物の表面に塗布するために用いられる表面含浸材であり、アルコキシシランと、石油ナフサと、高級脂肪酸アミドと、溶剤と、を含有する。
アルコキシシランは、下記式(1)で表されるアルコキシシランである。このようなアルコキシシランを含有することにより、コンクリートやモルタル等に含まれるセメント成分等と反応して細孔を有する構造物表面近傍に撥水層を形成し、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止できる。
Si(OR4−n (1)
式(1)中、Rは炭素数5〜12のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示し、nは1又は2を示す。nが2のとき、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。このようなR及びRを有することにより、アルコキシシランが構造物の内部に深く浸透し易くなる。
炭素数5〜12のアルキル基としては、具体的に、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、又は環状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基とは、フェニル基、又はフェニル基上の任意の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基における炭素数1〜4のアルキル基の数は、特に制限されないが、1〜3であることが好ましく、1であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基としては、具体的に、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
式(1)で表されるアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニルトリアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシランが挙げられる。
式(1)中、nは1であることが好ましい。nが1であるアルコキシシラン、すなわち、R基が1つでOR基が3つであるアルコキシシランを用いることにより、コンクリートやモルタル等に含まれるセメント成分等との加水分解反応が起こりやすくなり、構造物表面近傍に撥水層を形成し易くなる。
式(1)中、nが1であるアルコキシシランとしては、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のフェニルトリアルコキシシランが挙げられる。
式(1)で表されるアルコキシシランの分子量は、好ましくは190〜340であり、より好ましくは200〜300である。アルコキシシランの分子量が上述の範囲であると、浸透性と反応性のバランスがより向上し、細孔を有する構造物表面近傍により良好な撥水層を形成し、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止効果の向上が期待できる。
石油ナフサは、炭素数9〜14のイソパラフィン及びノルマルパラフィンの混合物である。石油ナフサは、上述のアルコキシシランの加水分解反応を抑制しつつ、アルコキシシランを構造物の内部に深く浸透させる、浸透促進剤として作用する。
石油ナフサの沸点は、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは130℃以上であり、さらに好ましくは140℃以上である。沸点がこのような範囲にある石油ナフサを用いると、揮発を十分抑制することができ、アルコキシシランを構造物の内部に深く浸透させることができる。また、石油ナフサの沸点は、好ましくは220℃以下であり、より好ましくは210℃以下であり、さらに好ましくは200℃以下である。沸点がこのような範囲にある石油ナフサを用いると、アルコキシシランの浸透性を向上することができる。
石油ナフサの含有量は、上述のアルコキシシラン100質量部に対して、石油ナフサが20〜120質量部であることが好ましく、25〜115質量部であることがより好ましく、30〜110質量部であることがさらに好ましい。石油ナフサの含有量が上述の範囲にあると、アルコキシシランの浸透性を向上させることが可能となる。
高級脂肪酸アミドは、炭素数12以上の長鎖脂肪酸を有する脂肪酸アミドを示す。脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってもよい。
高級脂肪酸アミドの炭素数は、好ましくは12〜30であり、より好ましくは16〜28であり、さらに好ましくは18〜26であり、特に好ましくは20〜24である。
高級脂肪酸アミドとしては、具体的に、例えば、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ラウリン酸アミド等が挙げられる。好適な市販品としては、ニュートロン、BMT、PNT、SNT(いずれも商品名、日本精化株式会社)、ダイヤミッド、アマイド、ニッカアマイド、メチロールアマイド(いずれも商品名、日本化成株式会社)等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドの含有量は、アルコキシシラン及び石油ナフサの合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.4〜4.5質量部であり、さらに好ましくは1.0〜4質量部であり、特に好ましくは1.5〜3.5質量部である。高級脂肪酸アミドの含有量が上述の範囲にあると、壁や天井に塗布した場合のダレ防止性がより確実に機能し、施工性が向上する。
高級脂肪酸アミドは、粉末状の高級脂肪酸アミドと後述の溶剤とを混合して、ペースト状、すなわち、流動性及び粘性を有する状態にして用いることが好ましい。ペースト状の高級脂肪酸アミドを用いることにより、施工面が壁や天井であっても、表面含浸材のタレをより一層十分に抑制することが可能となる。なお、ペースト状の高級脂肪酸アミドは、溶液であっても、懸濁液(分散液)であってもよい。
溶剤は、粉末状の高級脂肪酸アミドを溶解することができるものが好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;キシレン等の芳香族炭化水素類;水などが挙げられ、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。なお、溶剤は、上述の石油ナフサとは異なる成分である。
ペースト状の高級脂肪酸アミドにおける高級脂肪酸アミドの含有量は、高級脂肪酸アミド及び溶剤の全質量を基準として、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%であり、さらに好ましくは8〜32質量%である。
ペースト状の高級脂肪酸アミドは、市販品を用いることができる。好適な市販品としては、ターレン、フローノン(いずれも商品名、共栄社化学株式会社)等が挙げられる。
本実施形態の表面含浸材は、アルコキシシラン、石油ナフサ、高級脂肪酸アミド、及び溶剤以外に、本発明の効果が大きく損なわれない範囲で、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、染料等を挙げることができる。
本実施形態の表面含浸材の温度20℃における回転数20rpmの粘度は、好ましくは100〜1200mPa・sであり、より好ましくは120〜1150mPa・sであり、さらに好ましくは135〜1100mPa・sであり、特に好ましくは150〜1050mPa・sである。この粘度は、BH型粘度計にて、回転数20rpm、ローターNo.2を用いて測定される。表面含浸材の温度20℃における回転数20rpmの粘度が上述の範囲であると、施工面が壁や天井であっても、ダレ防止性がより確実に機能し、施工性が向上する。
本実施形態の表面含浸材の温度20℃における回転数0.5rpmの粘度は、好ましくは1000mPa・s以上であり、より好ましくは1200mPa・s以上であり、さらに好ましくは1500mPa・s以上であり、特に好ましくは1800mPa・s以上である。この粘度は、BH型粘度計にて、回転数0.5rpm、ローターNo.2を用いて測定される。表面含浸材の温度20℃における回転数0.5rpmの粘度が上述の範囲であると、施工面が壁や天井であっても、ダレ防止性がより確実に機能する。表面含浸材の温度20℃における回転数0.5rpmの粘度の上限は、特に制限されないが、例えば、30000mPa・s以下であり、好ましくは25000mPa・s以下であり、より好ましくは22000mPa・s以下であり、さらに好ましくは20000mPa・s以下である。
本実施形態の表面含浸材の温度20℃における回転数100rpmの粘度は、好ましくは500mPa・s以下であり、より好ましくは450mPa・s以下であり、さらに好ましくは400mPa・s以下であり、特に好ましくは350mPa・s以下である。この粘度は、BH型粘度計にて、回転数100rpm、ローターNo.2を用いて測定される。表面含浸材の温度20℃における回転数100rpmの粘度が上述の範囲であると、施工性や作業性が向上する。表面含浸材の温度20℃における回転数100rpmの粘度の下限は、特に制限されないが、例えば、10mPa・s以上であり、好ましくは20mPa・s以上であり、より好ましくは30mPa・s以上であり、さらに好ましくは40mPa・s以上である。
表面含浸材の温度20℃におけるTI値(RPM0.5/RPM100)は、好ましくは20〜90であり、より好ましくは25〜80であり、さらに好ましくは30〜75である。ここで、TI値とは、上述の粘度測定において、回転数0.5rpmにて得られる粘度を回転数100rpmにて得られる粘度で除した値(比)であり、チキソトロピー係数を表す。表面含浸材の温度20℃におけるTI値が上述の範囲であると、ダレ防止性がより確実に機能し、施工性が向上する。
構造物表面における表面含浸材の塗布量は、好ましくは100〜500g/mであり、より好ましくは150〜400g/mであり、さらに好ましくは175〜375g/mであり、特に好ましくは200〜350g/mである。本実施形態の表面含浸材は、構造物への1回の塗布によって上述の塗布量で塗布することができる。表面含浸材の塗布量が上述の範囲であると、上述のアルコキシシランの浸透性とダレ防止性のバランスが良好となり、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制する十分な構造物表面近傍に撥水層を形成することができる。また、施工性にも優れる。
本実施形態の表面含浸材の製造方法は、粉末状の高級脂肪酸アミド及び溶剤を混合してペースト状の高級脂肪酸アミドを得る工程と、アルコキシシラン、石油ナフサ、及びペースト状の高級脂肪酸アミドを混合する工程と、を備えることが好ましい。
粉末状の高級脂肪酸アミド及び溶剤を混合してペースト状の高級脂肪酸アミドを得る工程において、混合は40℃以上に加温しながら行うことが好ましい。
アルコキシシラン、石油ナフサ及びペースト状の高級脂肪酸アミドを混合する工程で用いる攪拌機は、均一に混合、分散できるものであれば、特に限定されず、例えば、ディソルバーやディスパー等の高いせん断力のかかる攪拌機を使用することが好ましい。また、分散時間は、高級脂肪酸アミドの凝集体が目視で確認されなくなる時間を設定することが好ましい。
<構造物>
本実施形態の構造物は、上述の表面含浸材を、各種構造物に用いられるコンクリートやモルタル等の表面に塗布することによって得られる。本実施形態の構造物は、上記表面含浸材と反応して形成される撥水層を有することから、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止し、長期にわたり耐久性に優れた構造を維持することができる。
本実施形態の構造物における表面含浸材の含浸深さは、2.2mm以上であることが好ましく、3.0mm以上であることがより好ましく、4.0mm以上であることがさらに好ましく、5.0mm以上であることが特に好ましい。このため、アルコキシシラン単独の含浸深さは、2.1mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがより好ましく、3.3mm以上であることがさらに好ましく、4.1mm以上であることが特に好ましい。なお、ここで、含浸深さは、JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.2含浸深さ試験」に準拠して行った値を示す。
本実施形態の構造物の透水抑制比は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。なお、ここで、透水抑制比は、JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.3透水量試験」に準拠して透水比(%)を算出し、100%から透水比(%)を差し引いた値を示す。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
[使用材料]
表1に示すアルコキシシラン1〜19を準備した。表1には、アルコキシシランの疎水基(R)、該疎水基(R)の炭素数、及び、分子量を併せて示す。
Figure 0006383572
表1のアルコキシシランを、表2に示す塗布量でモルタル基板表面に刷毛を用いて塗布し、含浸深さ及び透水抑制比を測定した。モルタル基板の作製方法、並びに、含浸深さ及び透水抑制比の測定方法は以下のとおりである。
[モルタル基板の作製]
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「5.1.1モルタル基板の作製」に準拠して作製した。
[アルコキシシランの評価方法]
(1)含浸深さ
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.2含浸深さ試験」に準拠して行った。
(2)透水抑制比
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.3透水量試験」に準拠して透水比(%)を算出し、100%から透水比(%)を差し引いた値を「透水抑制比」とした。
Figure 0006383572
表2より、Rを有しないアルコキシシラン1、2は、含浸深さが2.2mm以上及び透水抑制比が80%以上の両方又は一方を満たしていなかった。また、Rが炭素数1〜4のアルキル基又はビニル基であるアルコキシシラン3〜9も、含浸深さが2.2mm以上及び透水抑制比が80%以上の両方又は一方を満たしていなかった。また、Rがグリシドキシ基又はメタクリロキシ基を有するアルコキシシラン16〜19は、含浸深さが2.2mm以上の条件を満たさなかった。さらに、アルコキシシラン19は、透水抑制比が80%以上の条件を満たさなかった。
表2より、Rが炭素数5〜12のアルキル基又はフェニル基であるアルコキシシラン10〜15は、含浸深さが2.2mm以上及び透水抑制比が80%以上の両方の条件を満たしていた。
(実施例1、比較例1、参考例1)
[使用材料]
下記(1)〜(4)に示す原材料を準備した。
(1)高級脂肪酸アミド
A:炭素数26、形状(ペースト状)、高級脂肪酸アミドの含有率:10質量%、酢酸ブチルの含有率:70質量%、エタノール及びメタノールの合計含有率:20質量%
B:炭素数22、形状(ペースト状)、高級脂肪酸アミドの含有率:30質量%、ベンジルアルコールを主成分とする溶剤の含有率:70質量%
(2)石油ナフサ、沸点170℃
(3)トルエン、沸点110℃
(4)メチルイソブチルケトン、沸点116.2℃
[表面含浸材の調製]
上述の(1)〜(4)及び表1のアルコキシシラン14を、表3に示す配合で表面含浸材が500gになるように、表面含浸材1〜11を調製した。表3の高級脂肪酸アミドA及びBにおける数値は溶剤を除いた質量部を示す。また、表3の高級脂肪酸アミドA及びBにおける括弧内の数値は、アルコキシシラン14及び石油ナフサの合計100質量部に対する高級脂肪酸アミドA又はBの質量部を示す。
Figure 0006383572
例えば、表面含浸材1では、高級脂肪酸アミドBを用いている。高級脂肪酸アミドBに含まれる高級脂肪酸アミドは30質量%であるので、高級脂肪酸アミドBをアルコキシシラン100質量部に対し、7.527質量部加えることになる。表面含浸材1を500g調整する場合、アルコキシシランは348.75g、浸透促進剤としての石油ナフサは125.00g、高級脂肪酸アミドBは26.25gとなる。
表面含浸材1の具体的な調製方法は以下のとおりである。まず、アルコキシシラン200gに、高級脂肪酸アミドB26.25gを加え、攪拌機でペースト状の塊が無くなるまで攪拌し、分散液を得た。分散液は、目視で均質に分散していることを確認した。次いで、残りのアルコキシシラン148.75gと石油ナフサ125.00gを分散液に加えて10分間程度攪拌して表面含浸材1を500g得た。浸透促進剤としての石油ナフサ、トルエン又はメチルイソブチルケトン、高級脂肪酸アミドA又は高級脂肪酸アミドBを用いた表面含浸材2〜11についても同様に調製を行った。
[表面含浸材の評価]
表3の表面含浸材1〜11を、それぞれ表4に示す塗布量でモルタル基板表面に塗布し、含浸深さを測定した。なお、表4におけるアルコキシシランの塗布量は、塗布される表面含浸材に含まれるアルコキシシランの塗布量を表すものである。
[モルタル基板の作製]
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「5.1.1モルタル基板の作製」に準拠して作製した。
[表面含浸材の評価方法]
(1)含浸深さ
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.2含浸深さ試験」に準拠して行った。
Figure 0006383572
表面含浸材1〜11におけるアルコキシシランの塗布量と、含浸深さとの関係を図1に示す。図1中、黒丸のプロットは石油ナフサを用いた表面含浸材の含浸深さを示し、Aはその線形近似直線である。黒四角のプロットはトルエンを用いた表面含浸材の含浸深さを示し、Bはその線形近似直線である。黒三角のプロットはメチルイソブチルケトンを用いた表面含浸材の含浸深さを示し、Cはその線形近似直線である。黒菱形のプロットは浸透促進剤を添加しなかった表面含浸材の含浸深さを示し、Dはその線形近似直線である。アルコキシシランの塗布量50〜200g/mの範囲において、アルコキシシランの塗布量を同量として比較したとき、石油ナフサを用いた表面含浸材は、トルエン又はメチルイソブチルケトンを用いた表面含浸材よりも含浸深さが大きかった。これは石油ナフサの浸透促進作用が大きいことを示している。
(実施例2、参考例2)
[表面含浸材の調製]
実施例1の使用材料(1)〜(4)及び表1のアルコキシシラン14を、表5に示す配合比で配合して、表面含浸材12〜20を各々500g調製した。表5の高級脂肪酸アミドA及びBにおける数値は溶剤を除いた質量部を示す。また、表5の高級脂肪酸アミドA及びBにおける括弧内の数値は、アルコキシシラン14及び石油ナフサの合計100質量部に対する高級脂肪酸アミドA又はBの質量部を示す。
Figure 0006383572
例えば、表面含浸材12では高級脂肪酸アミドAを用いている。高級脂肪酸アミドAに含まれる高級脂肪酸アミドは10質量%であるので、高級脂肪酸アミドAをアルコキシシラン100質量部に対し、5.08質量部加えることになる。表面含浸材12を500g調整する場合、アルコキシシラン460.32g、石油ナフサ16.30g、高級脂肪酸アミドA23.38gとなる。
表面含浸材12の具体的な調製方法は以下のとおりである。まず、アルコキシシラン200gに、高級脂肪酸アミドA23.38gを加え、攪拌機でペースト状の塊が無くなるまで攪拌し、分散液を得た。分散液は、目視で均質に分散していることを確認した。次いで、残りのアルコキシシラン260.32gと石油ナフサ16.30gを分散液に加えて10分間程度攪拌して表面含浸材1を500g得た。高級脂肪酸アミドA又はBを用いた表面含浸材13〜20についても同様に、調製を行った。
[表面含浸材の評価方法]
調製した表面含浸材12〜20の各配合の粘度、TI値(チキソトロピー係数)、タレ性及び貯蔵性を評価した。評価結果は表6に示すとおりであった。また、各評価は以下に示す方法で行った。
(1)粘度
温度20℃の条件下にて、BH型粘度計(ローターNo.2)(東機産業株式会社製 B型粘度計BH)を用いて回転数0.5rpm、20rpm、100rpmにおける粘度を測定した。rpmは1分間あたりの回転数を表す。
(2)TI値(RPM0.5/RPM100)
上述の回転数0.5rpmにおける粘度を回転数100rpmにおける粘度で除して求めた。
(3)タレ性
水平に静置したケイ酸カルシウム板に、アプリケーターを用いて表面含浸材を水平方向に厚さ225μmになるように塗布し、直後にケイ酸カルシウム板を垂直にし、タレ(下方向への流れ)の有無を目視で確認した。
A…タレなし
B…タレあり
(4)貯蔵性
表面含浸材をガラス製容器に入れて1週間静置し、分離の有無を目視で確認した。
A…分離なし
B…分離あり
Figure 0006383572
表6に示すとおり、表面含浸材15〜20を用いた実施例2−1〜2−6では、回転数20rpmの粘度(20℃)やTI値も良好であり、タレ性や貯蔵性についても良好な結果を示した。一方、表面含浸材12〜14を用いた参考例2−1〜2−3では、回転数20rpmの粘度(20℃)やTI値が良好であったが、タレが発生した。
(実施例3)
表3の表面含浸材2を用いてコンクリート基板に対する含浸深さ及び透水抑制比を評価した。実施例3では、表面含浸材2を表7に示す塗布量でローラー1回塗りにてコンクリート基板に塗布し、試験体を調製した。コンクリート基板の作製方法、及び試験体の評価方法は以下のとおりである。
[コンクリート基板の作製]
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「5.1.2コンクリート基板の作製」に準拠して作製した。
[評価方法]
(1)含浸深さ
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.2含浸深さ試験」に準拠して、実施例3−1における試験体の含浸深さの評価を行った。
(2)透水抑制比
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.3透水量試験」に準拠して、試験体の透水比(%)を算出し、100%から透水比(%)を差し引いた値を実施例3−1における「透水抑制比」とした。
Figure 0006383572
表7に示すとおり、表面含浸材2をコンクリート基板に塗布した実施例3−1では、含浸深さが2.2mm以上、且つ透水抑制比が80%以上であり、良好な結果が得られた。
(実施例4)
表3の表面含浸材4を用いてモルタル基板に対する含浸深さ及び透水抑制比を評価した結果を表8に示す。実施例4では、モルタル基板をそれぞれ床面(下面)、壁面(垂直面)及び天井面(上面)となるように設置し、表面含浸材を表8に示す塗布量でローラー1回塗りにてそれぞれのモルタル基板に塗布し、各試験体を調製した。モルタル基板の作製方法、及び各試験体の評価方法は以下のとおりである。
[モルタル基板の作製]
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「5.1.1モルタル基板の作製」に準拠して作製した。
[評価方法]
(1)含浸深さ
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.2含浸深さ試験」に準拠して、各実施例における試験体の含浸深さの評価を行った。
(2)透水抑制比
JSCE K−571−2010「17.表面含浸材の試験方法(案)」の「6.3透水量試験」に準拠して、各試験体の透水比(%)を算出し、100%から透水比(%)を差し引いた値を各実施例における「透水抑制比」とした。
Figure 0006383572
表8に示すとおり、表面含浸材4をモルタル基板に各塗布量で塗布した実施例4−1〜実施例4−3では、すべての塗布面において、含浸深さが2.2mm以上、透水抑制比が80%以上であり、良好な結果が得られた。
以上のように、各実施例の表面含浸材は、施工面が壁や天井であっても、一回の塗布作業で適正量塗布することが可能であり、且つ浸透性に優れることが確認された。
本発明によれば、施工面が壁や天井であっても、一回の塗布作業で適正量塗布することが可能であり、浸透性やタレの抑制に優れた表面含浸材を提供することができる。また、本発明の構造物は、上記表面含浸材と反応して構造物表面近傍に撥水層を形成することから、水分、塩分及び二酸化炭素等の浸透を抑制又は防止し、長期にわたり耐久性に優れた構造を維持することができ、ライフサイクルコストの低減などに寄与することができる。

Claims (3)

  1. アルコキシシランと、石油ナフサと、高級脂肪酸アミドと、溶剤と、を含有し、
    前記アルコキシシランが下記式(1)で表されるアルコキシシランであり、
    前記アルコキシシラン100質量部に対して、前記石油ナフサが30〜120質量部である、表面含浸材。
    Si(OR4−n (1)
    (式中、Rは炭素数5〜12のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示し、nは1又は2を示す。nが2のとき、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 記アルコキシシラン及び前記石油ナフサの合計100質量部に対して、前記高級脂肪酸アミドが0.1〜5質量部である、請求項1に記載の表面含浸材。
  3. 請求項1又は2に記載の表面含浸材を構造物表面に塗布することによって得られる構造物。
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