JP2020188100A - シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法 - Google Patents

シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学気相成長法を用い、500℃未満の成膜温度で良質なシリコン含有薄膜を形成可能であり、副生成物の生成量が少ないシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物を提供する。【解決手段】化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する際、特定の構造を有するクロロアミノシラン化合物をシリコン含有化合物として用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法に関する。
半導体デバイスの製作においては、シリコン窒化(SiN)膜やシリコン炭窒化膜のような化学的に不活性な誘電材料の薄い不動態層が必須である。例えば、シリコン窒化膜は、薄膜トランジスタを形成する際、ゲート絶縁膜やサイドウォールスペーサー等に用いられる。
一般的なシリコン窒化膜の製造方法として、ジクロロシラン(DCS:Dichlorosilane)とアンモニア(NH)とを用いるホットウォール型低圧化学気相成長法(LPCVD:Low pressure chemical Vapor deposition)により、600〜750℃の成膜温度で形成する方法が知られている。一方、Fin−FETなどの3次元トランジスタでは、チャネル材料をシリコンからシリコンゲルマニウム、ゲルマニウムへと変更することが求められており、上記ゲルマニウムの性質上、チャネル形成後のシリコン窒化膜の成膜温度は、500℃未満にすることが不可欠である。しかしながら、従来のシリコン窒化膜形成技術では、500℃未満の成膜温度で良質な膜質のシリコン窒化膜が得られていないのが実状である。
ところで、近年、微細化や高集積化が進み、集積回路の水平寸法、垂直寸法が縮小し続ける中で、Åオーダーの膜厚制御、ならびに良好なカバレッジ特性を有する薄膜形成技術が求められている。
一般的に、シリコン窒化膜の製造は、原料ガスのシリコン材料と反応ガスの窒化材料とを、それぞれ交互にチャンバへ供給して行う。チャンバ内では、基板表面に吸着した原料化合物が、熱エネルギーによって窒化反応ガスと化学反応を生じて薄膜が形成される。このように、原料ガスと反応ガスとを交互に供給して薄膜を形成する方法は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)と呼ばれている。
ALD法には、反応ガスをプラズマ活性化させて状態で供給する、プラズマ援用方式がある。このプラズマ援用方式では、シリコン含有膜形成する際に成膜温度を低くできるメリットがあるが、下地基板へのダメージの影響が避けられない点、ステップカバレッジ良好でない点、といった大きなデメリットが存在する。そのため、熱プロセスに着目した、低温シリコン窒化膜形成可能な成膜材料、半導体製造装置およびプロセスの開発が行われている。
非特許文献1及び特許文献1には、ヘキサクロロジシラン(HCDS、SiCl)とアンモニア(NH)とを用いた、成膜温度400℃以下のシリコン窒化膜形成技術が開示されている。
一方、塩素フリーなシリコン材料として、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS)のようなアミノシラン化合物が知られている。
特開2002−343793号公報
M.Tanaka et al.,J.Electrochem.Soc.147,2284(2000)
しかしながら、非特許文献1および特許文献1に記載の発明では、HCDSとNHを用いた場合、500℃未満の成膜温度では、HCDS由来の塩素が膜中に多く残留し、粗な膜が形成されるという課題がある。さらに、副生成物としてアンモニウム塩、具体的には塩化アンモニウム(NHCl)が生成しやすいことが知られおり、プロセス中の基板を汚染するだけでなく、排気配管の閉塞の要因となる。
また、アミノシラン化合物は、塩化アンモニウムが発生せず、膜中に塩素が残留しない材料として有望であるが、500℃未満の成膜温度ではシリコン窒化膜を形成できないという課題がある。
このように、化学気相成長法を用いたシリコン含有薄膜の形成において、従来の原料では、排気配管が閉塞する危険性が生じるだけでなく、優れたシリコン含有薄膜が得られず、種々の要求に対して充分に応えることができていないのが実情であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、化学気相成長法を用い、500℃未満の成膜温度で良質なシリコン含有薄膜を形成可能であり、副生成物の生成量が少ないシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
[1] 化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する際、シリコン含有原料として用いるシリコン含有化合物であって、
下式1及び下式2で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含む、シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物。
Figure 2020188100
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ただし、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基であり、
x、yおよびzは、x+y+z=4となるように、xが1〜3の中から、yが1〜2の中から、zが0〜2の中からそれぞれ選択される整数である。
[2] 下式11〜13及び下式21〜22で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含む、[1]に記載のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物。
Figure 2020188100
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ただし、xは1〜3の中から選択される整数である。
[3] 化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する、シリコン含有薄膜の形成方法であって、
シリコン含有原料として、[1]又は[2]に記載のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物を用いる、シリコン含有薄膜の形成方法。
[4] 処理室内の被処理基材の表面温度を所要の温度に制御し、
前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料を供給するステップと、
前記処理室内の前記被処理基材に、窒素含有原料を供給するステップと、を含む、[3]に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[5] 処理室内の被処理基材の表面温度を所要の温度に制御し、
前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料を供給するステップと、
前記シリコン含有原料の供給を停止するステップと、
前記処理室内の前記被処理基材に、窒素含有原料を供給するステップと、
前記窒素含有原料ガスの供給を停止するステップと、を含むサイクルを繰り返す、[3]に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[6] 前記サイクルが、前記処理室内に残留する前記シリコン含有原料を前記処理室内から除去するステップをさらに含む、[4]又は[5]に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[7] 前記サイクルが、前記処理室内に残留する前記窒素含有原料を前記処理室内から除去するステップをさらに含む、[4]乃至[6]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[8] 前記サイクルが、前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料とは異なる他のシリコン含有原料を供給するステップをさらに含む、[4]乃至[7]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[9] 前記サイクルが、前記処理室内の前記被処理基材に、前記窒素含有原料とは異なる他の窒素含有原料を供給するステップをさらに含む、[4]乃至[8]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[10] 前記窒素含有原料が、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、及びターシャリーブチルアミンからなる群から選択される1つ以上の窒素含有化合物を含む、[4]乃至[9]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[11] 前記シリコン含有薄膜は、シリコン窒化膜又はシリコン炭窒化膜である、[3]乃至[10]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
[12] 処理室内の被処理基材の表面温度を、500℃未満の温度に制御する、[3]乃至[11]のいずれかに記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法によれば、化学気相成長法を用い、500℃未満の成膜温度で良質なシリコン含有薄膜を形成可能であり、副生成物の生成量が少ない。
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法に適用可能な成膜装置の構成を模式的に示す系統図である。
本明細書において、式1で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「シリコン含有原料」とは、シリコン原子を1以上有するシリコン含有化合物を主成分とするものを意味する。また、シリコン含有原料は、適切な範囲内で2種以上のシリコン含有化合物を含んでいてもよい。また、シリコン含有原料は、精製前の粗原料、シリコン含有化合物を合成する際に発生した副生成物、保管中に発生した副生成物を適切な範囲内で不純物として含んでいてもよい。
「窒素含有原料」とは、窒素原子を1以上有する窒素含有化合物を主成分とするものを意味する。また、窒素含有原料は、適切な範囲内で2種以上の窒素含有化合物を含んでいてもよい。また、窒素含有原料は、精製前の素原料、窒素含有化合物を合成する際に発生した副生成物、保管中に発生した副生成物を適切な範囲内で不純物として含んでいてもよい。
「シリコン含有薄膜」とは、Si原子を主成分として含み、膜中Si含有量が20atm%以上の被膜を意味する。また、シリコン含有薄膜は、適切な範囲内で膜中にN原子、O原子、C原子を含んでいてもよい。
「シリコン窒化膜」とは、Si原子とN原子とを主成分として含む被膜を意味する。また、シリコン窒化膜は、適切な範囲内で膜中にO原子やC原子を含んでいてもよい。具体的には、シリコン窒化膜は、膜中にO原子を0〜30atm%含んでいてもよいし、C原子を0〜30atm%含んでいてもよい。
「シリコン炭窒化膜」とは、Si原子とN原子とC原子とを主成分として含む被膜を意味する。また、シリコン炭窒化膜は、適切な範囲内で膜中にO原子を含んでいてもよい。具体的には、シリコン炭窒化膜は、膜中にO原子を0〜30atm%含んでいてもよい。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物>
本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物(以下、「本化合物」とも記す)は、下式1及び下式2で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種である。
Figure 2020188100
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ただし、式1及び式2中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基である。
また、式1及び式2中、x、yおよびzは、x+y+z=4となるように、xが1〜3の中から、yが1〜2の中から、zが0〜2の中からそれぞれ選択される整数である。
化合物1は、下式11〜16で表されるクロロアミノシラン化合物であることが好ましい。
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ただし、式11〜16中、xは1〜3の中から選択される整数である。
化合物1は、下式111,112,121,122,131,132,141,142,151,152,161,162で表されるクロロアミノシラン化合物であることがさらに好ましい。
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化合物2は、下式21〜22で表されるクロロアミノシラン化合物であることが好ましい。
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ただし、式21,22中、xは1〜3の中から選択される整数である。
化合物2は、下式211,212,221,222で表されるクロロアミノシラン化合物であることがさらに好ましい。
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本化合物は、化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する際、シリコン含有原料の主成分として用いることができる。
なお、シリコン含有原料は、式1及び式2で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本発明のクロロアミノシラン化合物は、式1及び式2に示すように、R1、R2およびR3が、それぞれ独立して選択される炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基である。したがって、本発明のクロロアミノシラン化合物は、蒸気圧が高く、液体材料であるため、化学気相成長法によるシリコン薄膜を形成する上で有効である。
一方、式1及び式2中に示すR1、R2およびR3が、炭素数が6以上である直鎖又は分枝の飽和アルキル基や環状飽和アルキル、環状不飽和アルキルなどの場合、その分子の大きさから固体であることが多く、液体であったとしても蒸気圧が低いため、気化供給などのハンドリングが難しいため、化学気相成長法に用いる原料に適さない。
(シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物の合成方法)
次に、本化合物の合成方法について、以下に説明する。
化合物1及び化合物2は、クロロシラン化合物とアミン化合物とを原料として用い、下式3又は下式4に示す反応によって、それぞれ合成できる。
Figure 2020188100
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ただし、式3及び式4中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基である。
また、式3及び式4中、x、yおよびzは、x+y+z=4となるように、xが1〜3の中から、yが1〜2の中から、zが0〜2の中からそれぞれ選択される整数である。
式3又は式4に示す反応に用いるクロロシラン化合物は、特に限定されるものではない。このようなクロロシラン化合物としては、例えば、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、およびテトラクロロシラン(SiCl)等が挙げられる。
なお、式3又は式4に示す反応に用いるクロロシラン化合物としては、例示したクロロシラン化合物のうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
式3に示す反応に用いるアミン化合物は、特に限定されるものではない。このようなアミン化合物としては、R1NHが挙げられる。なお、R1は、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基である。具体的には、tBuNH、(CHCHNH、CH(C)NH、CHNH、CNH、(CH(C)CNH、(CCHNH、(CH)(C)CHNH等が挙げられる。なお、アミン化合物としては、例示したもののうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
また、式4に示す反応に用いるアミン化合物は、特に限定されるものではない。このようなアミン化合物としては、R2R3NHが挙げられる。なお、R2及びR3は、それぞれ独立した、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基である。具体的には、((CHCH)NH、(CHNH、(CHNH、(CNH、CHNHC、(tBu)NH、tBuNHC、(CHCHNHC、CHNHC、tBuNHCH、(CHCHNHCH、CHNHCH等が挙げられる。なお、アミン化合物としては、例示したもののうち、いずれか1つを用いてもよいし、2以上の混合物を用いてもよい。
<成膜装置>
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法に適用可能な成膜装置1は、化学気相成長法に適用可能であれば、特に限定されない。成膜装置1としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置やALD(Atomic Layer Deposition)装置を用いることができる。
図1は、本発明のシリコン含有薄膜の形成方法に適用可能な成膜装置の構成を模式的に示す系統図である。図1に示すように、成膜装置1は、反応場となる処理室2、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を制御する温度制御装置3、処理室2にパージガスを供給するパージガス供給経路L1、処理室2内の雰囲気を排気する排気経路L2、シリコン含有原料ガスを供給する原料ガス供給経路L3、及び窒素含有原料ガスを供給する反応ガス供給経路L4を備える。
被処理基材Pは、表面の少なくとも一部にシリコン含有薄膜(以下、単に「薄膜」ともいう)を形成可能であれば、特に限定されない。被処理基材Pとしては、特に限定されないが、半導体ウエハ、樹脂、ガラスなどが挙げられる。具体的には、結晶シリコン(Si<100>またはSi<111>など)、酸化シリコン、歪みシリコン、SOI、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、窒化シリコン、炭化シリコン、炭窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭酸化シリコン、炭酸窒化シリコン、Cu、Al、Ru、Ta、W、Ti、Co、Zr、Hfなどの金属、TiN、TaN、WNなどの窒化金属、ZrO、HfO、TiO、TaO、WOなどの酸化金属、パターン形成された又はパターン形成されていないウエハなど、上記少なくとも1以上含まれる半導体ウエハ等を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂を用いることができる。
シリコン含有薄膜は、シリコンを含むものであれば、特に限定されない。シリコン含有薄膜としては、シリコン窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン膜、シリコン酸炭窒化膜が好ましく、シリコン窒化膜、及びシリコン炭窒化膜がより好ましく、シリコン窒化膜がさらに好ましい。
温度制御装置3は、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を所要の温度に制御可能なものであれば、特に限定されない。温度制御装置3としては、ヒーターと、その制御装置とを用いることができる。
温度制御装置3は、処理室2内の被処理基材Pの表面温度を500℃未満に制御することができ、450℃以下に制御することがより好ましい。
パージガス供給経路L1は、処理室2内にパージガスを供給する。
パージガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
排気経路L2は、処理室2内のパージガス、原料ガス、及び反応ガス等を含む雰囲気ガスを処理室2内から排出して、処理室2内を減圧する。排気経路L2には、減圧ポンプ等の減圧装置4が配置されている。
原料ガス供給経路L3は、パージガス供給経路L1を介して処理室2内に原料ガスとしてシリコン含有原料を供給する。原料ガス供給経路L3には、液体のシリコン含有原料を貯留する原料容器5、気化器6及びキャリアガスの加熱器7が配置されている。
シリコン含有原料の供給方法は、特に限定されない。シリコン含有原料は、原料容器5の液相5Aから液体のシリコン含有原料を気化器6によって気化して供給することができる。また、気化器6を用いずに、原料容器5の気相5Bからシリコン含有原料の蒸気を供給することができる。なお、シリコン含有原料は、不活性ガス等のキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
また、キャリアガスによって原料容器5内をバブリングして、シリコン含有原料の蒸気をキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
なお、シリコン含有原料を供給する際、原料容器5を適宜加熱して、シリコン含有原料の蒸気圧を高くして供給してもよい。
シリコン含有原料としては、本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物を用いることができる。
キャリアガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
反応ガス供給経路L4は、パージガス供給経路L1を介して処理室2内に反応ガスとして窒素含有原料を供給する。なお、窒素含有原料は、不活性ガス等のキャリアガスとともに処理室2内に供給してもよい。
窒素含有原料としては、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、及びターシャリーブチルアミン等の窒素含有化合物を用いることができる。
キャリアガスは、特に限定されないが、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガス、窒素(N)、水素(H)等を1つ以上用いることができる。
なお、本発明に適用可能な成膜装置1の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、原料ガス供給経路L3は、処理室2内に複数種のシリコン含有原料を供給するため、複数の分岐経路を有する構成としてもよい。また、反応ガス供給経路L4は、処理室2内に複数種の窒素含有原料を供給するため、複数の分岐経路を有する構成としてもよい。
<シリコン含有薄膜の形成方法>
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法は、シリコン含有原料として本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物を用いて、化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する方法である。
化学気相成長法としては、特に限定されないが、例えば、CVD、プラズマCVD、MOCVD、及びALD、プラズマALDが挙げられる。これらの中でも、CVD、ALDが好ましく、ALDがより好ましい。
シリコン含有薄膜としては、上述したように、シリコン窒化膜、シリコン炭窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン膜、シリコン酸炭窒化膜が好ましく、シリコン窒化膜、及びシリコン炭窒化膜がより好ましく、シリコン窒化膜がさらに好ましい。
上述した成膜装置1を用いたシリコン含有薄膜の形成方法として、以下の方法1〜方法5について、具体的に説明する。
(方法1)
先ず、処理室2内に搬送された基板(被処理基材)Pの表面温度を所要の温度に制御する。具体的には、温度制御装置3を用いて、基板Pの表面温度を500℃未満に制御する。制御温度としては、450℃以下がより好ましい。
次に、以下のステップを行う。
・ステップ1A:処理室2内の基板Pに、シリコン含有原料を含む原料ガスを供給する。
・ステップ1B:処理室2内の基板Pに、窒素含有原料を含む反応ガスを供給する。
ステップ1Aでは、上述した本発明の化合物1及び化合物2からなる群のうち、いずれか1種、又は2種以上のクロロアミノシラン化合物をシリコン含有原料として用いる。
原料ガスは、シリコン含有原料以外に、上述したキャリアガスを共存ガスとして含んでもよい。
ステップ1Bでは、上述した窒素含有化合物からなる群のうち、いずれか1種、又は2種以上を窒素含有原料として用いる。
反応ガスは、窒素含有原料以外に、上述したキャリアガスを共存ガスとして含んでもよい。
方法1では、基板P上の薄膜が所要の膜厚となるまでステップ1A及びステップ1Bを行う。
ステップ1Aとステップ1Bは、同時に行ってもよいし(CVD法)、交互に行ってもよい(ALD法)。
(方法2)
方法2は、ALD法によるシリコン窒化膜の形成方法である。
先ず、方法1と同様に、処理室2内に搬送された基板Pの表面温度を所要の温度に制御する。
次に、以下のステップを含むサイクルを行う。
・ステップ2A:処理室2内の基板Pに、シリコン含有原料を含む原料ガスを供給する。
・ステップ2B:原料ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する原料ガスを除去する。
・ステップ2C:処理室2内の基板Pに、窒素含有原料を含む反応ガスを供給する。
・ステップ2D:反応ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する反応ガスを除去する。
ステップ2Aでは、処理室2内の基板Pに対して、真空下で原料ガスを供給する。原料ガスとしては、上述した方法1のステップ1Aで示した原料ガスを適用できる。これにより、基板Pの表面とクロロアミノシラン化合物との化学吸着反応が生じる。
ステップ2Bでは、上述した化学吸着反応後に原料ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する未反応のクロロアミノシラン化合物を除去するためにパージを行う。
ステップ2Cでは、処理室2内の基板Pに対して、真空下で反応ガスを供給する。反応ガスとしては、上述した方法1のステップ1Bで示した反応ガスを適用できる。これにより、ステップ2Aにおいて基板Pの表面に吸着したクロロアミノシラン化合物を窒化させる。
ステップ2Dでは、上述したクロロアミノシラン化合物の窒化反応後に反応ガスの供給を停止し、処理室2内に残留する未反応の窒素含有化合物を除去するためにパージを行う。
なお、ステップ2B及びステップ2Dでは、ヘリウム(He)、窒素(N)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスをパージガスとして適用できる。
方法2では、上述したサイクルを複数回(例えば、300サイクル)繰り返すことで、基板P上に所望の膜厚のシリコン窒化膜を形成できる。
なお、方法2では、上述したサイクルにおいてステップ2A〜2Dをこの順に行うが、直前のステップの完了後に次のステップを開始してもよいし、直前のステップが完了する前に次のステップを開始してもよいし、ステップ2B、2Dのステップを省略してもよい。このように、一部のステップをオーバーラップさせたり、一部のステップを省略したりすることで、1サイクル当たりの時間を短縮できる。さらに、成膜速度が所要の速度となるように制御することができる。
(方法3)
先ず、方法1と同様に、処理室2内に搬送された基板Pの表面温度を所要の温度に制御する。
次に、以下のステップを含むサイクルを複数回繰り返して行う。
・ステップ3A:処理室2内に、シリコン含有原料を含む第1原料ガスを供給する。
・ステップ3B:第1原料ガスの供給を停止し、残留する第1原料ガスを除去する。
・ステップ3C:処理室2内に、窒素含有原料を含む第1反応ガスを供給する。
・ステップ3D:第1反応ガスの供給を停止し、残留する第1反応ガスを除去する。
・ステップ3E:処理室2内に、第1反応ガスとは異なる第2反応ガスを供給する。
・ステップ3F:第2反応ガスの供給を停止し、残留する第2反応ガスを除去する。
(方法4)
先ず、方法1と同様に、処理室2内に搬送された基板Pの表面温度を所要の温度に制御する。
次に、以下のステップを含むサイクルを複数回繰り返して行う。
・ステップ4A:処理室2内に、シリコン含有原料を含む第1原料ガスを供給する。
・ステップ4B:第1原料ガスの供給を停止し、残留する第1原料ガスを除去する。
・ステップ4C:処理室2内に、第1原料ガスとは異なる第2原料ガスを供給する。
・ステップ4D:第2原料ガスの供給を停止し、残留する第2原料ガスを除去する。
・ステップ4E:処理室2内に、窒素含有原料を含む第1反応ガスを供給する。
・ステップ4F:第1反応ガスの供給を停止し、残留する第1反応ガスを除去する。
(方法5)
先ず、方法1と同様に、処理室2内に搬送された基板Pの表面温度を所要の温度に制御する。
次に、以下のステップを含むサイクルを複数回繰り返して行う。
・ステップ5A:処理室2内に、シリコン含有原料を含む第1原料ガスを供給する。
・ステップ5B:第1原料ガスの供給を停止し、残留する第1原料ガスを除去する。
・ステップ5C:処理室2内に、窒素含有原料を含む第1反応ガスを供給する。
・ステップ5D:第1反応ガスの供給を停止し、残留する第1反応ガスを除去する。
・ステップ5E:処理室2内に、第1原料ガスとは異なる第2原料ガスを供給する。
・ステップ5F:第2原料ガスの供給を停止し、残留する第2原料ガスを除去する。
方法3〜5では、第1原料ガスとして、上述した方法1のステップ1Aで示した原料ガスを適用できる。また、第1反応ガスとして、上述した方法1のステップ1Bで示した反応ガスを適用できる。
方法3では、第1反応ガスの窒素含有原料として用いたものとは異なるいずれか1種、又は2種以上の窒素含有化合物を窒素含有原料として含む第2反応ガスを用いる。
第2反応ガスの窒素含有原料として用いる窒素含有化合物は、上述したアンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、及びターシャリーブチルアミンからなる群から選択してもよいし、これらの群以外から選択してもよい。
第2反応ガスは、第1反応ガスと同様に、窒素含有原料以外に共存ガスを含んでもよい。
方法4及び方法5では、第1原料ガスのシリコン含有原料として用いたクロロアミノシラン化合物とは異なるいずれか1種、又は2種以上のシリコン含有化合物をシリコン含有原料として含む第2原料ガスを用いる。
第2原料ガスのシリコン含有原料として用いるシリコン含有化合物は、上述した本発明の化合物1及び化合物2からなる群から選択してもよいし、本発明のクロロアミノシラン化合物以外から選択してもよい。例えば、DCS、HCDS、BTBAS、SiHCl、SiCl、SiHCl、その他アルキルアミノシラン、アルキルシランおよび、その他クロロシラン化合物等、従来のシリコン含有薄膜形成用のシリコン含有化合物を用いてもよい。
第2原料ガスは、第1原料ガスと同様に、シリコン含有原料以外に共存ガスを含んでもよい。
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法としてALD法を適用する場合、上記方法2に示したように、1サイクル中に原料ガスを供給するステップ(以下、「第1ステップ」ともいう)と、反応ガスを供給するステップ(以下、「第2ステップ」ともいう)とを1つずつ含む、2ステップ反応によって成膜してもよいし、上記方法3〜5に示したように、1サイクル中に第1ステップ及び第2ステップのいずれか一方又は両方を2つ以上含む、3ステップ以上の反応によって成膜してもよい。
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法は、2ステップ反応及び3ステップ以上の反応によって薄膜を成膜する際、少なくとも最初の第1ステップにおいて本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物(すなわち、式1又は下式2で表されるクロロアミノシラン化合物)を用いるため、良質なシリコン含有薄膜を形成できる。
また、本発明のシリコン含有薄膜の形成方法では、3ステップ以上の反応による成膜とすることで、基板表面構造を改質しながら薄膜を形成するため、2ステップ反応による一般的な成膜よりも良質なシリコン含有薄膜を形成できる場合もある。
なお、3ステップ以上の反応による成膜とする際、第1ステップで用いるシリコン含有化合物は、立体障害が小さい化合物から順に供給することが好ましい。
また、方法3〜5のように、原料ガスとして単体で供給した場合、500℃以上の成膜温度が必要となるシリコン含有化合物であっても、基板表面に吸着させる際に必要な温度が500℃未満であれば、2サイクル目以降の第1ステップ、1サイクルまたは2サイクル目以降の3ステップであれば適用できる場合がある。
なお、方法1〜5は、本発明のシリコン含有薄膜の形成方法の一例であり、これらに限定されない。例えば、上記方法1〜5の他、様々な方法によって、クロロアミノシラン化合物および窒素含有化合物を供給してもよい。
<シリコン含有薄膜の評価方法>
本発明のシリコン含有薄膜の形成方法によって得られた薄膜は、以下の方法により、膜質、成膜量、及び膜の緻密性を評価できる。
(膜質の評価)
薄膜の膜質は、市販の分光エリプソメトリー(例えば、SOPRA社製分光エリプソメーター)を用いた膜厚及び屈折率の測定値から評価できる。
例えば、シリコン含有薄膜がシリコン窒化膜の場合、屈折率が1.8〜2.1の範囲内であるとき、一般的に良質なシリコン窒化膜であると評価できる。
一方、屈折率が1.8未満であるとき、シリコン窒化膜は粗な膜構造であると評価できる。なお、屈折率の数値が小さいほど、膜中に酸素成分が混入していることを意味する。
また、屈折率が1.6以下の場合には、一般的にシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜の性質を示す。
なお、屈折率が1.8を超えている場合、膜中に炭素成分が含まれている場合があり、炭素成分の含有量が多いほど、屈折率の数値が大きくなる傾向がある。
(成膜量)
得られた膜厚から、1サイクルあたりの成膜量であるGPC(Growth per cycle)を算出できる。
(膜の緻密性)
膜の緻密性は、市販のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR;例えば、パーキンエルマー社製フーリエ赤外分光光度計装置等)を用いた赤外吸収スペクトル測定の結果から評価できる。
赤外吸収スペクトル測定の結果、一般的に「Si−N」結合由来の振動が800〜900cm−1付近に観測され、「Si−O」結合由来の振動が1000〜1100cm−1付近に観測される。「Si−O」結合由来の振動が観測されないこと、そしてSiNの強度を測定することにより、膜の緻密性を評価できる。
ところで、シリコン含有化合物として既知の材料であるヘキサクロロジシラン(HCDS、SiCl)と、窒素含有化合物としてアンモニア(NH)とを用いてシリコン含有薄膜を形成した場合、500℃未満の成膜温度では、HCDS由来の塩素が膜中に多く残留して粗な膜が形成される。
以下に、その理由について説明する。
シリコン含有化合物及び窒素含有化合物として、HCDS及びNHを用いた場合、第1ステップにおける化学吸着反応(以下、「第1反応」ともいう)、及び第2ステップにおける窒化反応(以下、「第2反応」ともいう)ともに、以下に示す反応で薄膜を形成する。
なお、以下のΔHfは反応の生成熱、ΔEaは反応の活性化エネルギーをそれぞれ示す。
(第1反応)
=N−H(基板表面)+SiCl → =N−SiCl+HCl
ΔHf=+18kJ/mol、ΔEa=57kJ/mol
(第2反応)
=N−SiCl+5NH → =N−Si(NH+5HCl
ΔHf=+105kJ/mol、ΔEa=65kJ/mol
上記第1反応及び第2反応はいずれも吸熱反応であり、これらの吸熱反応が所定の膜厚となるまで繰り返される。
一方、上記第1反応及び第2反応の際に副生する塩化水素(HCl)は、以下に示すように、HCDSが吸着した基板表面(第1’反応)、及びNHが窒化した基板表面(第2’反応)とそれぞれ反応する場合がある。
(第1’反応)
=N−SiCl+HCl → =N−H+SiCl
ΔHf=−18kJ/mol、ΔEa=39kJ/mol
(第2’反応)
=N−Si(NH+HCl → =N−SiCl(NH+NH
ΔHf=−44kJ/mol、ΔEa=56kJ/mol
上記第1’反応及び第2’反応の活性化エネルギーΔEaは、上記第1反応及び第2反応の活性化エネルギーと比べて低いだけでなく、発熱反応を示す。
このため、上記第1反応及び第2反応の際に副生したHClが基板表面に衝突した場合、容易に第1’反応及び第2’反応が進行する。その結果、成膜された膜中には塩素が残留し、粗な膜が形成される。
特に、500℃未満の成膜温度では、上記第1反応及び第2反応が吸熱反応であるため、副生したHClと基板表面との反応が顕著に起こる。
また、上記第2反応は大きな吸熱反応であるため、500℃未満の低い熱エネルギーである場合、窒化反応が全て進行しないことがある。これによって、膜中に塩素が残留し、粗な膜を形成する一因となる。
一方、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS)のようなアミノシラン化合物は、Si−Cl結合を含有しないため、膜中に塩素が残留しない。しかしながら、アミノシラン化合物は、基板表面に対する化学吸着反応の活性化エネルギー(ΔEa=130kJ/mol)が高いため、500℃未満の成膜温度では薄膜を形成できない。
上述したHCDSやBTBAS等の既知のシリコン含有化合物に対して、本発明のクロロアミノシラン化合物は、基板表面への吸着特性が良好であり、かつ大きな吸熱反応を生じないため、500℃未満の成膜温度であっても良質なシリコン窒化膜を形成できる。
例えば、本発明のクロロアミノシラン化合物である、SiHCl(NHtBu)(化合物111)の場合、以下の反応が生じる。
(第1反応)
=N−H(基板表面)+SiHCl(NHtBu)
→ =N−SiH(NHtBu)+HCl
ΔHf=+28kJ/mol、ΔEa=70kJ/mol
(第2反応)
=N−SiH(NHtBu)+NH
→ =N−SiH(NH)+NH(tBu)
ΔHf=−9kJ/mol、ΔEa=115kJ/mol
上記第1反応ではHCDS/NHの場合の反応エネルギーと同等であり、第2反応では発熱反応であることから、本発明の化合物111がシリコン含有薄膜形成用のシリコン含有化合物として有望であることが示される。
なお、本発明の化合物1及び化合物2が有するアルキルアミノ基(以下、単に「置換基」と称することがある)は、上記第2反応において全て発熱反応を示す。したがって、本発明の化合物1及び化合物2のうち、化合物11〜13及び化合物21,22が、蒸気圧が高く、材料供給に優れるため、好ましい。
さらに、本発明のクロロアミノシラン化合物は、HCDSと比べて1モル当たりのHCl生成量が少ない。したがって、本発明のクロロアミノシラン化合物は、配管閉塞の要因となるNHCl等の副生成物の生成量が少ないため、シリコン含有薄膜形成用のシリコン含有化合物として有望な材料である。
更にまた、本発明の化合物1及び化合物2のうち、Si−Cl結合を1個含有するクロロアミノシラン化合物(y=1)が、1モルあたりのHClの生成量が少ないため、より好ましい。
以上説明したように、本発明のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物、及びシリコン含有薄膜の形成方法によれば、化学気相成長法を用い、500℃未満の成膜温度で良質なシリコン含有薄膜を形成可能であり、副生成物の生成量が少ない。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1に示す成膜装置1を用い、ALD法により、下表1に示す原料及び成膜条件を用いて、例1〜例13のシリコン窒化膜を成膜した。なお、以下に示す例1〜例13のうち、例1及び例2が比較例であり、例3〜例13が実施例である。
<測定方法・評価方法>
[膜厚]
分光エリプソメトリー(SOPRA社製分光エリプソメーター、GES5E)を用いて、測定した。
[屈折率]
分光エリプソメトリー(SOPRA社製分光エリプソメーター、GES5E)を用いて、測定した。結果を下表1〜3に示す。
[赤外吸収スペクトル]
フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:パーキンエルマー社製フーリエ赤外分光光度計装置)、及びspectrum400を用い、検出器:TGS、分解能:4cm−1の条件によって、赤外吸収スペクトルを測定した。
[膜質の評価]
屈折率の測定値が1.8〜2.1の範囲内であるとき、良質なシリコン窒化膜であると評価した。
一方、屈折率の測定値が1.8未満であるとき、シリコン窒化膜は粗な膜構造であると評価した。
[成膜量]
膜厚の測定値から、1サイクルあたりの成膜量であるGPC(Growth per cycle)を算出した。結果を下表1〜3に示す。
[膜の緻密性]
測定した赤外吸収スペクトルの結果から、1000〜1100cm−1付近の「Si−O」結合由来の振動、及び800〜900cm−1付近の「Si−N」の結合由来の振動を確認した。
また、赤外吸収スペクトルから得られた「Si−N」結合由来のピーク強度を用い、例1に対する例2〜例13のSi−Nピーク強度比を算出して、膜の緻密性を評価した。結果を下表1〜3に示す。
<クロロアミノシラン化合物の合成>
例3〜例13のシリコン含有原料として用いるクロロアミノシラン化合物は、以下に示す手順により、合成した。なお、合成したクロロアミノシラン化合物は、以下の手法によって同定した。
(NMR測定)
NMR測定は、核磁気共鳴装置(日本電子社製JNM−ECS400)を用いて行った。サンプル調整は、重水素化ベンゼン溶液を用いた。
(GC分析)
GC分析は、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製GC−2014)を用いて行った。検出器はFIDを用いた。保持時間により、目的生成物および、その純度を確認した。
[合成例1]
「SiHCl(NHtBu)」(化合物111)の合成
テトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かしたターシャリーブチルアミン(30g、0.410mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHtBu)(化合物111)6gを得た。収率は15%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例2]
「HSiCl(NHtBu)」(化合物112)の合成
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、ジエチルエーテル100mLに溶かしたターシャリーブチルアミン(63g、0.861mol)をゆっくり滴下した。滴下後、53℃で2時間半還流させ、室温まで冷却した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるHSiCl(NHtBu)(化合物112)12gを得た。収率は26%であった。なお、目的物は、NMR及びGC分析によって確認した。
[合成例3:化合物11]
「SiCl(NHtBu)」(化合物11)の合成
SiCl(30g、0.177mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、ジエチルエーテル100mLに溶かしたターシャリーブチルアミン(52g、0.711mol)をゆっくり滴下した。滴下後、一晩撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、SiCl(NHtBu)を35g得た。SiCl(NHtBu)(30g、0.297mol)とベンゼン50mLを、250mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、ベンゼン30mLに溶かしたターシャリーブチルアミン(21g、0.861mol)をゆっくり滴下した。滴下後、90℃で6時間半還流させ、室温まで冷却した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiCl(NHtBu)(化合物11)10gを得た。収率は22%であった。なお、目的物は、NMR及びGC分析によって確認した。
[合成例4]
「SiHCl(NHCH(CH)」(化合物121)の合成
テトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かした(CHCHNH(24g、0.406mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(CH)(化合物121)8gを得た。収率は22%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例5]
「SiHCl(NHCH(CH」(化合物122)の合成
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした(CHCHNH(51g、0.862mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(CH(化合物122)8gを得た。収率は21%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例6]
「SiHCl(NH(C)CH)」(化合物131)の合成
テトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かしたCNH(24g、0.406mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NH(C)CH)(化合物131)8gを得た。収率は22%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例7]
「SiHCl(NH(C)CH」(化合物132)の合成
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かしたCNH(51g、0.863mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NH(C)CH(化合物132)8gを得た。収率は21%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例8]
「SiHCl(N(CH(CH)」(化合物211)の合成
THF200mLに溶かした((CHCH)NH(41g、0.405mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(N(CH(CH)(化合物211)8gを得た。収率は24%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例9]
「SiHCl(N(CH(CH」(化合物212)の合成
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした((CHCH)NH(81g、0.800mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(N(CH(CH(化合物212)10gを得た。収率は18%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例10]
「SiHCl(N((C)CH)」(化合物221)の合成
THF200mLに溶かした(CNH(41g、0.405mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(N((C)CH)(化合物221)6gを得た。収率は18%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例11]
「SiHCl(N((C)CH」(化合物222)の合成
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした(CNH(81g、0.800mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(N((C)CH(化合物222)9gを得た。収率は16%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例12]
「SiHCl(NHC(CH(C))(化合物141)の合成」
THF200mLに溶かした(C)(CHCNH(35g、0.402mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHC(CH(C))(化合物141)6gを得た。収率は20%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例13]
「SiHCl(NHC(CH(C))(化合物142)の合成」
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした(C)(CHCNH(72g、0.827mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHC(CH(C))(化合物142)8gを得た。収率は16%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例14]
「SiHCl(NHCH(C)(化合物151)の合成」
THF200mLに溶かした(CCHNH(36g、0.413mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(C)(化合物151)5gを得た。収率は17%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例15]
「SiHCl(NHCH(C(化合物152)の合成」
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした(CCHNH(73g、0.838mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(C(化合物152)9gを得た。収率は18%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例16]
「SiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物161)の合成」
THF200mLに溶かした(C)(CH)CHNH(30g、0.411mol)を、500mLフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、SiHCl(20g、0.198mol)を供給した。供給後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物161)6gを得た。収率は22%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[合成例17]
「SiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物162)の合成」
SiHCl(29g、0.214mol)とジエチルエーテル100mLを、500mLのフラスコに添加した。フラスコ内を窒素雰囲気下とし、フラスコを水で冷却しながら、THF100mLに溶かした(C)(CH)CHNH(59g、0.807mol)をゆっくり滴下した。滴下後、3時間撹拌した。なお、生成した塩酸塩沈殿物は、吸引ろ過によって取り除いた。また、減圧蒸留により、目的物であるSiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物162)8gを得た。収率は18%であった。なお、目的物は、NMRによって確認した。
[例1]
(成膜条件)
・成膜温度(基板の表面温度):450℃
・シリコン含有原料:ヘキサクロロジシラン(HCDS)
・窒素含有原料:アンモニア(NH
・サイクルの繰り返し回数:300回
(サイクル)
・ステップ1:シリコン含有原料を処理室内に10秒間供給し、基板表面に吸着させる。
・ステップ2:Nによるパージを10秒間行い、未反応のシリコン含有原料を除去する。
・ステップ3:窒素含有原料を処理室内に10秒間供給し、基板表面を窒化させる。
・ステップ4:Nによるパージを10秒間行い、未反応の窒素含有原料を除去する。
(評価結果)
・GPC:0.10(Å/cycle)
・屈折率:1.48
・FT−IR:
Si−N振動のほかにSi−O振動が確認された。
数日間経過後のサンプルを測定した結果、Si−Nピーク強度が減少し、Si−Oピーク強度が増加した。これは、粗なシリコン窒化膜が形成されたことを示しており、さらに経時変化したことを示している。
[例2]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
例2では、薄膜を形成せず、シリコン窒化膜を得ることができなかった。
[例3]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NHtBu)(化合物111)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.53(Å/cycle)
・屈折率:2.01
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例3/例1):1.93
例3では、Si−Nピーク強度比が1.93であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例4]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NHtBu)(化合物112)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.38(Å/cycle)
・屈折率:1.88
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例4/例1):1.70
例4では、Si−Nピーク強度比が1.70であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例5]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiCl(NHtBu)(化合物11)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.29(Å/cycle)
・屈折率:1.78
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例5/例1):1.52
例5では、Si−Nピーク強度比が1.52であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例6]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NHCH(CH)(化合物121)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.48(Å/cycle)
・屈折率:1.95
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例6/例1):1.82
例6では、Si−Nピーク強度比が1.82であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例7]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NHCH(CH(化合物122)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.35(Å/cycle)
・屈折率:1.82
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例7/例1):1.59
例7では、Si−Nピーク強度比が1.59であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例8]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NH(C)CH)(化合物131)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.47(Å/cycle)
・屈折率:1.90
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例8/例1):1.73
例8では、Si−Nピーク強度比が1.73であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例9]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NH(C)CH(化合物132)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.37(Å/cycle)
・屈折率:1.83
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例9/例1):1.61
例9では、Si−Nピーク強度比が1.61であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例10]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(N(CH(CH)(化合物211)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.43(Å/cycle)
・屈折率:1.85
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例10/例1):1.65
例10では、Si−Nピーク強度比が1.65であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例11]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(N(CH(CH(化合物212)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.29(Å/cycle)
・屈折率:1.80
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例11/例1):1.56
例11では、Si−Nピーク強度比が1.56であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例12]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(N((C)CH)(化合物221)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.15(Å/cycle)
・屈折率:1.83
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例12/例1):1.61
例12では、Si−Nピーク強度比が1.61であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例13]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(N((C)CH(化合物222)を用いた以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.10(Å/cycle)
・屈折率:1.79
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例13/例1):1.54
例13では、Si−Nピーク強度比が1.54であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
Figure 2020188100
<比較評価1>
実施例である例3〜13では、赤外吸収スペクトルを測定した結果、いずれもSi−O振動は検出されず、きれいなSi−N振動を確認できた。したがって、例3〜13では、いずれも良質なSiN膜が形成されたことを確認した。
<比較評価2>
例3〜5の比較によって、「−NH(tBu)」基の置換基数と膜質との関係を評価した。
いずれも良質なシリコン窒化膜が形成されたが、置換基の数が1〜3個と増加するにつれて、GPC、屈折率、及びSi−N強度比が減少した。これらは、「−NH(tBu)」基の分子構造が大きく、上述した化学吸着反応(第1反応)及び窒化反応(第2反応)において立体障害の影響があったことが原因と考えられる。
また、「−NH(tBu)」基とは異なる置換基を用いた場合も、同様の傾向であった。
以上の結果から、成膜温度500℃未満で良質なシリコン窒化膜を形成する上で、シリコン含有原料として、置換基による立体障害の影響が少ないクロロクロロアミノシラン化合物(化合物111,化合物112,化合物121,化合物122,化合物131,化合物132,化合物211,化合物212,化合物221,化合物222)を用いることが好ましいことを確認した。
<比較評価3>
例3,6,8,10,12の比較によって、本発明のクロロアミノシラン化合物が有する置換基の影響を評価した。
その結果、「−NH(tBu)」基>「−NHCH(CH」基>「−NH(CHCH」基>「−N(CH(CH」基>「−N((C)CH」基の順で、良質なシリコン窒素化膜が形成されることを確認した。これは、置換基の各分子構造による立体障害の影響が原因と考えられる。
以上の結果より、式2で表されるクロロアミノシラン化合物(化合物2)と比べて、式1で表されるクロロアミノシラン化合物(化合物1)の方が分子構造による立体障害の影響が少なく、良質なシリコン窒化膜が形成される点で好ましいことを確認した。
<比較評価4>
シリコン含有原料としてHCDSを、窒素含有原料としてNHをそれぞれ用いて、450〜700℃の範囲の成膜温度で数十回のALD法による成膜実験を行った。成膜実験後、成膜装置1の排出経路L2における減圧装置(減圧ポンプ)4の後段側の排気配管を開放したところ、塩化アンモニウムによる配管閉塞を確認した。
一方、例3〜13の成膜条件により、数十回のALD法による成膜実験を行った後、減圧装置(減圧ポンプ)4の後段側の排気配管を開放したところ、塩化アンモニウムが堆積していないことを確認した。
[例14]
(成膜条件)
窒素含有原料として、ヒドラジン(NHNH)を用いた以外は、上述した例3(シリコン含有原料として、SiHCl(NHtBu)「化合物111」を使用)と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.71(Å/cycle)
・屈折率:2.05
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例14/例1):2.00
例14では、Si−Nピーク強度比が2.00であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例15]
(成膜条件)
窒素含有原料として、モノメチルヒドラジン(NHNH(CH))を用いた以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.58(Å/cycle)
・屈折率:2.12
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例15/例1):1.86
例15では、Si−Nピーク強度比が1.86であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例16]
(成膜条件)
窒素含有原料として、ヒドラジン(NHNH)とアンモニア(NH)との混合原料を用いた以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.65(Å/cycle)
・屈折率:2.03
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例16/例1):1.96
例16では、Si−Nピーク強度比が1.96であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例17]
(成膜条件)
窒素含有原料として、モノメチルヒドラジン(NHNH(CH))とアンモニア(NH)との混合原料を用いた以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.55(Å/cycle)
・屈折率:2.01
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例17/例1):1.91
例17では、Si−Nピーク強度比が1.91であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
<比較評価5>
下表2に示すように、例14〜17は、用いた窒素含有原料が例3とはそれぞれ異なる。例3と、例14〜17との比較によって、異なる窒素含有化合物を含む窒素含有原料を用いた場合の成膜量および膜質を評価した。
例14に示すように、窒素含有原料としてヒドラジン(NHNH)を用いた場合、アンモニア(NH)と比較して、GPCが大きく向上し、緻密性も向上した。これは、ヒドラジン類化合物の高い反応性が寄与したと考えられる。
また、例15に示すように、窒素含有原料としてモノメチルヒドラジン(NHNH(CH))を用いた場合、アンモニア(NH)と比較して、GPCおよび屈折率が向上し、緻密性がわずかに減少した。これは、モノメチルヒドラジン中のメチル基により、緻密な膜構造形成がわずかに阻害されることが原因と考えられる。しかしながら、モノメチルヒドラジンは、メチル基を含有するため、膜中の炭素量を適宜制御できる利点がある。
また、例16及び例17に示すように、窒素含有原料として2以上の窒素含有化合物の混合物を用いた場合も、例14及び例15と同様な効果が得られることを確認した。特に、NHとヒドラジン類化合物との混合物は、危険性の高いヒドラジン類化合物の濃度を下げる点で有効である。
以上説明したように、シリコン窒化膜を成膜する際の窒素含有原料としてヒドラジン類化合物を用いた場合、アンモニアと比較して緻密性、成膜量、及び屈折率のいずれか1つ以上が向上するため、有効であることを確認した。
また、シリコン含有化合物として化合物111以外の本発明のクロロアミノシラン化合物を用いた場合も、例3、及び例14〜17と同様の傾向であることを確認した。
また、窒素含有化合物として、その他のヒドラジン類化合物、及びアミン類化合物を用いた場合も、窒素含有原料としてアンモニアを単独で用いた場合と比較して、成膜量が向上することを確認した。
[例18]
(成膜条件)
成膜温度を400℃に変更した以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.42(Å/cycle)
・屈折率:1.91
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例18/例1):1.75
例18では、Si−Nピーク強度比が1.75であり、例1と比較して、50℃低温になっているのにも関わらず、シリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例19]
(成膜条件)
成膜温度を350℃に変更した以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.30(Å/cycle)
・屈折率:1.83
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例19/例1):1.61
例19では、Si−Nピーク強度比が1.61であり、例1と比較して、100℃低温になっているのにも関わらず、シリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
<比較評価6>
例3、18,19は、用いたシリコン含有化合物が例1とは異なる。
また、例18,19は、成膜温度が例1及び例3とは異なる。
例1、3、18、19の比較によって、本発明のクロロアミノシラン化合物とアンモニア(NH)とを用いた成膜の温度依存性を評価した。
下表2に示すように、例3、18,19を比較すると、成膜温度が低温になるにつれて、GPC、屈折率、緻密性が減少する傾向にある。しかしながら、例1との比較では、いずれも良好な成膜量、膜質、緻密性が得られることを確認した。本結果より、本発明のクロロアミノシラン化合物は、350℃の低温領域においても、シリコン含有薄膜形成用のシリコン含有化合物として有望な材料であることを確認した。
なお、350℃よりも低い成膜温度で成膜した場合において、例1と比較した結果、良質なシリコン窒化膜が形成されたことを確認した。
また、化合物111以外の本発明のクロロアミノシラン化合物を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。
さらに、窒素含有原料としてアンモニア以外のその他の窒素含有化合物を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。特にヒドラジン類化合物を用いた場合、アンモニアと比較し、GPC、緻密性が向上することを確認した。
[例20]
(成膜条件)
・成膜温度(基板の表面温度):450℃
・シリコン含有原料:SiHCl(NHtBu)(化合物111)
・窒素含有原料:NH、NHNH
・サイクルの繰り返し回数:300回
(サイクル)
・ステップ1:シリコン含有原料を処理室内に10秒間供給する。
・ステップ2:Nによるパージを10秒間行い、未反応のシリコン含有原料を除去する。
・ステップ3:NH(第1反応ガス)を処理室内に10秒間供給する。
・ステップ4:Nによるパージを10秒間行い、未反応のNHを除去する。
・ステップ5:NHNH(第2反応ガス)を処理室内に10秒間供給する。
・ステップ6:Nによるパージを10秒間行い、未反応のNHNHを除去する。
(評価結果)
・GPC:0.63(Å/cycle)
・屈折率:2.06
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例20/例1):2.07
例20では、Si−Nピーク強度比が2.07であり、例1と比較して大幅にシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
<比較評価7>
例3は、窒素含有原料に含まれる窒素含有化合物として、アンモニア(NH)を単独で用いた例(2ステップ反応)である。
例14は、窒素含有原料に含まれる窒素含有化合物として、ヒドラジン(NHNH)を単独で用いた例(2ステップ反応)である。
例20は、反応ガスとして、アンモニア(NH)を含む窒素含有原料からなる第1反応ガスと、ヒドラジンを含む窒素含有原料からなる第2反応ガスとを交互に供給する例(3ステップ反応)である。
例3、14、20の比較によって、3ステップ反応(第2反応ガスの供給)について評価した。
下表2に示すように、例20に示す3ステップ反応は、例3及び例14に示す2ステップ反応と比較して、同等以上の良好なシリコン窒化膜が形成されることを確認した。特に、シリコン窒化膜の緻密性は2ステップ反応と比較して向上したため、第2反応ガスの供給による効果を確認した。
なお、化合物111以外の本発明のクロロアミノシラン化合物を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。さらに、第2反応ガスとして、その他窒素含有原料を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。その中でも、特にヒドラジン類化合物を用いた場合、GPC、緻密性が良好であることを確認した。
[例21]
(成膜条件)
・成膜温度(基板の表面温度):450℃
・シリコン含有原料:SiHCl(NHtBu)(化合物112)、DCS
・窒素含有原料:NH
・サイクルの繰り返し回数:300回
(サイクル)
・ステップ1:SiHCl(NHtBu)(第1原料ガス)を処理室内に10秒間供給する。
・ステップ2:Nによるパージを10秒間行い、未反応のシリコン含有原料を除去する。
・ステップ3:DCS(第2原料ガス)を処理室内に10秒間供給する。
・ステップ4:Nによるパージを10秒間行い、未反応のDCSを除去する。
・ステップ5:NHを処理室内に10秒間供給する。
・ステップ6:Nによるパージを10秒間行い、未反応のNHを除去する。
(評価結果)
・GPC:0.45(Å/cycle)
・屈折率:1.95
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例21/例1):1.82
例21では、Si−Nピーク強度比が1.82であり、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
<比較評価8>
例4は、シリコン含有原料に含まれるシリコン含有化合物として、化合物112を単独で用いた例(2ステップ反応)である。
例21は、原料ガスとして、化合物112を含むシリコン含有原料からなる第1原料ガスと、ジクロロシラン(DCS)を含むシリコン含有原料からなる第2原料ガスとを交互に供給する例(3ステップ反応)である。
例4、21の比較によって、3ステップ反応(第2原料ガスの供給)について評価した。
下表2に示すように、例21に示す3ステップ反応は、第2原料ガスを供給することで、より良質なシリコン窒化膜が形成されることを確認した。これは、「−NH(tBu)」基の立体障害が大きいため、第1原料ガスの供給時において、基板表面に吸着されていないサイトが存在するためと考えられる。すなわち、第1原料ガスの供給に続いて、第2原料ガスを供給することにより、より小さい分子であるジクロロシラン(DCS)が空いたサイトに吸着されることで、より緻密な膜を形成すると推察される。
なお、化合物112以外の本発明のクロロアミノシラン化合物、あるいはジクロロシラン(DCS)以外のシリコン含有化合物を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。
Figure 2020188100
[例22]
(成膜条件)
成膜温度を550℃に変更した以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.15(Å/cycle)
・屈折率:1.90
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例22/例1):1.64
例22では、Si−Nピーク強度比が1.64であり、例1(成膜温度450℃)と比較して、成膜温度100℃上げることで、シリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
[例23]
(成膜条件)
成膜温度を550℃に変更した以外は、例3と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
・GPC:0.80(Å/cycle)
・屈折率:1.99
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例23/例1):2.08
例23では、Si−Nピーク強度比が2.08であり、例3(成膜温度450℃)と比較して、成膜温度100℃上げることで、シリコン窒化膜の緻密性が向上することを確認した。
<比較評価9>
例1、3、22、23の比較によって、成膜温度500℃以上における成膜量および膜質を評価した。成膜温度は、450℃と比較して550℃の方が、GPC、屈折率、緻密性が向上することを確認した。
例1と例22とを比較すると、原料ガスに含まれるシリコン含有化合物がHCDSの場合、成膜温度を550℃とすることにより、大きく膜質が改善されることを確認した。
また、下表3に示すように、例22と例23とを比較すると、原料ガスに含まれるシリコン含有化合物が化合物111の場合のほうが、より良質なシリコン窒化膜が形成されることを確認した。
なお、化合物111以外の本発明のクロロアミノシラン化合物を用いた場合も、同様の傾向が得られることを確認した。
以上説明したように、本発明のクロロアミノシラン化合物は、成膜温度500℃以上の高温領域においても、シリコン含有薄膜形成用のシリコン含有化合物として有望な材料であることを確認した。
Figure 2020188100
[例24]
(成膜条件)
・成膜温度(基板の表面温度):450℃
・シリコン含有原料:SiHCl(NHtBu)(化合物111)
・窒素含有原料:NH
・処理時間:30分間
(成膜方法)
下記のようにシリコン含有原料および窒素含有原料を供給し、CVD法により成膜した。
・ステップ1:SiHCl(NHtBu)を処理室内に供給する。
・ステップ2:NHを処理室内に供給する。
(評価結果)
・成膜量:15(Å/min)
・屈折率:1.98
・膜厚30nmにおけるSi−Nピーク強度比(例24/例1):1.88
例24では、Si−Nピーク強度比が1.88であり、CVD法による成膜においても、良質なシリコン窒化膜を得ることを確認した。
なお、化合物111以外の本発明のクロロアミノシラン化合物を用いた場合も同様に、良質なシリコン窒化膜が形成されることを確認した。
[例25〜30]
(成膜条件)
シリコン含有原料として、SiHCl(NHC(CH(C))(化合物141)、SiHCl(NHC(CH(C))(化合物142)、SiHCl(NHCH(C)(化合物151)、SiHCl(NHCH(C(化合物152)、SiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物161)、SiHCl(NHCH(CH)(C))(化合物162)をそれぞれ用いて、成膜実験を行った。各シリコン含有原料以外は、例1と同じ成膜条件を用いて成膜を行った。
(評価結果)
結果を下表4に示す。表4に示すように、例25〜30で用いた、いずれのシリコン含有原料においても、屈折率は1.9以上を示した。また、Si−Nピーク強度比の結果より、例1と比較してシリコン窒化膜の緻密性が大幅に向上することを確認した。
Figure 2020188100
1・・・成膜装置
2・・・処理室
3・・・温度制御装置
4・・・減圧装置
5・・・原料容器
6・・・気化器
7・・・加熱器
P・・・被処理基材(基板)
L1・・・パージガス供給経路
L2・・・排気経路
L3・・・原料ガス供給経路
L4・・・反応ガス供給経路

Claims (12)

  1. 化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する際、シリコン含有原料として用いるシリコン含有化合物であって、
    下式1及び下式2で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含む、シリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物。
    Figure 2020188100
    Figure 2020188100
    ただし、
    R1、R2およびR3は、それぞれ独立して選択される、炭素数1〜5の直鎖又は分枝の飽和アルキル基であり、
    x、yおよびzは、x+y+z=4となるように、xが1〜3の中から、yが1〜2の中から、zが0〜2の中からそれぞれ選択される整数である。
  2. 下式11〜13及び下式21〜22で表されるクロロアミノシラン化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含む、請求項1に記載のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物。
    Figure 2020188100
    Figure 2020188100
    Figure 2020188100
    Figure 2020188100
    Figure 2020188100
    ただし、xは1〜3の中から選択される整数である。
  3. 化学気相成長法によってシリコン含有薄膜を形成する、シリコン含有薄膜の形成方法であって、
    シリコン含有原料として、請求項1又は2に記載のシリコン含有薄膜形成用シリコン含有化合物を用いる、シリコン含有薄膜の形成方法。
  4. 処理室内の被処理基材の表面温度を所要の温度に制御し、
    前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料を供給するステップと、
    前記処理室内の前記被処理基材に、窒素含有原料を供給するステップと、を含む、請求項3に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  5. 処理室内の被処理基材の表面温度を所要の温度に制御し、
    前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料を供給するステップと、
    前記シリコン含有原料の供給を停止するステップと、
    前記処理室内の前記被処理基材に、窒素含有原料を供給するステップと、
    前記窒素含有原料ガスの供給を停止するステップと、を含むサイクルを繰り返す、請求項3に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  6. 前記サイクルが、前記処理室内に残留する前記シリコン含有原料を前記処理室内から除去するステップをさらに含む、請求項4又は5に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  7. 前記サイクルが、前記処理室内に残留する前記窒素含有原料を前記処理室内から除去するステップをさらに含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  8. 前記サイクルが、前記処理室内の前記被処理基材に、前記シリコン含有原料とは異なる他のシリコン含有原料を供給するステップをさらに含む、請求項4乃至7のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  9. 前記サイクルが、前記処理室内の前記被処理基材に、前記窒素含有原料とは異なる他の窒素含有原料を供給するステップをさらに含む、請求項4乃至8のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  10. 前記窒素含有原料が、アンモニア、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、ターシャリーブチルヒドラジン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、及びターシャリーブチルアミンからなる群から選択される1つ以上の窒素含有化合物を含む、請求項4乃至9のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  11. 前記シリコン含有薄膜は、シリコン窒化膜又はシリコン炭窒化膜である、請求項3乃至10のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
  12. 処理室内の被処理基材の表面温度を、500℃未満の温度に制御する、請求項3乃至11のいずれか一項に記載のシリコン含有薄膜の形成方法。
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