JP2020186851A - バーナ - Google Patents
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例えば特許文献1には、燃料電池システムにおいて、燃料として都市ガスやLPG(高カロリーガス)と、燃料電池から排出されるオフガス(低カロリーガス)とを混合させて利用する燃焼装置を用いることが開示されている。
すなわち、ガス混合部において低カロリーガスと高カロリーガスとを混合して用いることを前提としている特許文献1の燃焼装置は、保炎に影響を与える燃料ガスの噴出速度を如何にして最適化するのかについては検討がなされていない。
発熱量の低い低カロリーガスとしての水素ガスあるいは水素ガスを含むオフガスは、発熱量の高い高カロリーガスとしての都市ガスと比べて、単位体積あたりの発熱量が数分の1程度である。したがって、仮にオフガスが噴出する開口部面積と都市ガスが噴出する開口部面積が同じ場合、オフガスのみを使用して都市ガスと同じ燃焼量を得るためには、都市ガスの数倍の噴出速度が必要となる。そして、燃料ガスの噴出速度が極端に速くなると、安定燃焼範囲が狭くなり、燃焼性能も悪化してしまう。
以下、本発明の第1実施形態に係るバーナ1について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のバーナ1は、都市ガスやプロパンガスなどの高カロリーガスと、苛性ソーダ製造の副生ガスとして発生する水素ガスあるいは、燃料電池システムや水素製造システムから排出されるオフガスなどの低カロリーガスとを、燃料ガスとして利用するバーナである。
このような燃焼装置のバーナでは、都市ガスやプロパンガスなどの高カロリーガスに加えて、水素ガスの製造装置および燃料電池システムで発生する低カロリーのオフガスが燃料ガスとして用いられる。
但し、改質器の運転開始時にはオフガスをバーナの燃料ガスとすることはできないため、この時は都市ガスやプロパンガス等の高カロリーガスが用いられる。その後、改質器が立ち上がり、オフガスが発生する状況となったところで、燃料ガスを高カロリーガスから低カロリーのオフガスに切り替える。また、第1ガスおよび第2ガスを同時に供給して燃焼させてもよい。
本実施形態のバーナ1は、燃料ガスとして、第1ガスとしての高カロリーガスに加えて、第2ガスとしての水素ガスあるいは水素ガスを含むオフガス(低カロリーガス)を用いることが可能なバーナである。
図1に示すように、本実施形態のバーナ1は、基端ブロック55に取り付けられている。基端ブロック55の空気導入口56には、送風機(図示省略)から燃焼用空気が送り込まれる。
第2ガス流通管20の内周面と第1ガス流通管10の外周面の間に形成された環状の隙間部からなる第2ガス流通路L2の出口部分(後述の保炎器22の基端部付近)は、第2ガスG2を前方に向けて噴出する第2ガス噴出部26を形成している。
保炎器22の先端側は、第2ガスG2の流れの下流側(先端側)に向かって拡開する円錐台状となっている。
複数の貫通孔24は、拡開方向に間隔をおいた多列で構成されており、本実施形態においては、図2A、図2Bに示すように3列で構成されている。具体的には、保炎器22には、1列目の貫通孔24Aが6個、2列目の貫通孔24Bが6個、3列目の貫通孔24Cが6個形成されている。この複数の貫通孔24を総合したものが、第1燃焼用空気(図2AにおけるA1)を噴出する第1燃焼用空気噴出部24Tとなる。
バーナ外筒30は、耐熱性を有する金属からなる板状部材を筒状に成形することで形成される。あるいは、パイプ材により形成されてもよい。
なお、燃焼を安定化させることおよび、バーナ外筒30の赤熱を防ぐことを考慮して、図1、図2Aに示すように、バーナ外筒30の先端部から、保炎器22の先端部までのバーナ軸方向距離Lは、バーナ外筒の内径Hの0.7倍〜1.3倍の範囲内とすることが好ましい。
ここで、本実施形態の保炎器22の貫通孔24は、その貫通軸方向が、第2ガス流通管の管軸方向と一致するように形成されている。よって、本実施形態のバーナ1は、貫通孔24の貫通軸方向に、火炎検知部70が配置される態様となる。
この場合、本実施形態における貫通孔24は、第2ガス流通管の管軸方向から見たときの透過面積(貫通孔の投影面積)が最大化される。
よって、貫通孔24の貫通面積(貫通孔を通過する空気量)を変えることなく、第2ガス流通管の管軸方向の基端側に配置されている火炎検知部70に到達する光量を増やすことができ、火炎検知レベルを高めることができる。なお、貫通孔24の貫通軸方向とは、貫通孔24の中心軸が延びる方向を意味する。
このように、火炎を検知するための透過面積および通過する空気量を調整する貫通面積を考慮した設計的な自由度を高める上で、保炎器22に形成されている貫通孔24の貫通軸方向は、上述のように第2ガス流通管の管軸方向と一致するように形成されていることが好ましい。但し、それ以外の構成を採用してもよく、例えば、貫通孔24の貫通軸方向が、保炎器の円錐台状の周面の法線ベクトル方向と一致している構成を採用してもよい。
例えばオフガス等の低カロリーガスは、都市ガス等の高カロリーガスと比べて、単位体積あたりの発熱量が数分の1である。したがって、仮にオフガスが噴出する開口部面積と都市ガスが噴出する開口部面積が同じ場合、オフガスのみを使用して都市ガスと同じ燃焼量を得るためには、都市ガスの数倍の噴出速度が必要となる。そして、燃料ガスの噴出速度が極端に速くなると、安定燃焼範囲が狭くなり、燃焼性能も悪化してしまう。
そして、第1ガス使用時における最大燃焼量(MJ/h)と第2ガス使用時における最大燃焼量(MJ/h)が同じである場合、第2ガス噴出部26の開口面積を、第1ガス噴出部13Tの開口面積の3.8倍程度とすれば、其々の噴出部からの噴出速度(m/s)が略同等となる。すなわち、第1ガス噴出部13Tの開口面積と、第2ガス噴出部26の開口面積との面積比は、第1ガスの発熱量と、第2ガスの発熱量との比に応じて設定される。
よって、其々のガス使用時の最大燃焼量を同じとし、第2ガス噴出部26の開口面積を、第1ガス噴出部13Tの開口面積の6倍程度とすれば、其々の噴出部からの噴出速度(m/s)が略同等となる。
この場合は、第2ガス噴出部26の開口面積を、第1ガス噴出部13Tの開口面積の4.6倍〜7.8倍とする。これにより、第1ガス噴出部13Tにおける第1ガスの噴出速度と、第2ガス噴出部26における第2ガスの噴出速度が、第1ガスと第2ガスの其々の最大燃焼量において、1:1.3から1.3:1の範囲内となる。より好ましくは、第2ガス噴出部26の開口面積を、第1ガス噴出部13Tの開口面積の5倍〜7.2倍とする。これにより、第1ガス噴出部13Tにおける第1ガスの噴出速度と、第2ガス噴出部26における第2ガスの噴出速度が、第1ガスと第2ガスの其々の最大燃焼量において、1:1.2から1.2:1の範囲内となる。
本実施形態の構成、すなわち、第1ガス流通管10を包囲し、第1ガス流通管10の外周面との間に第1ガスよりも発熱量の低い第2ガスが流通する第2ガス流通路L2を形成する第2ガス流通管20を設ける構成であれば、第2ガスが流通する断面環状の第2ガス流通路L2の流路幅をある程度確保することが可能となり、燃焼を安定化することができる。
また、第1ガス流通管10を包囲し、第1ガス流通管10の外周面との間に第1ガスよりも発熱量の低い第2ガスが流通する第2ガス流通路L2を形成する第2ガス流通管20を設ける構成を採用することにより、第2ガスが流通する断面環状の第2ガス流通路L2の流路幅をある程度確保することが可能となり、その結果、広い流量範囲で流れが安定し、ターンダウン比(最低燃焼量と定格燃焼量の比)を大きくすることもできる。
なお、第1燃焼用空気噴出部24Tとは、保炎器22の複数の貫通孔24を総合したものであり、第1燃焼用空気噴出部24Tの開口面積とは、複数の貫通孔24の開口面積の合計値である。
これにより、第2燃焼用空気噴出部32からの第2燃焼用空気A2と燃料ガスとが混合する領域を確保し燃焼を安定化させると共に、バーナ外筒30が燃焼用空気により適切に冷却されるため、バーナ外筒30の赤熱を防ぐことができる。
これにより、第1ガスG1、第2ガスG2の、いずれか一方のみの燃料ガスを供給することが可能となり、いずれの供給状態であっても、広い安定燃焼範囲を得ることができる。また、第1ガスおよび第2ガスを同時に供給して燃焼させてもよい。
送風機(図示省略)より、基端ブロック55の空気導入口56から燃焼用空気A(図1参照)が供給される。空気導入口56から供給された燃焼用空気Aは、バーナ外筒30の内部に流入する。
また、それ以外の燃焼用空気Aは、第2燃焼用空気A2(図2A参照)として、バーナ外筒30の内周面31と保炎器22先端部との間に形成された環状の隙間部から保炎器22の先端側に噴出する。
ここで、保炎器22の複数の貫通孔24を総合したものである第1燃焼用空気噴出部24Tの開口面積と、環状の隙間部からなる第2燃焼用空気噴出部32の開口面積との面積比が、2:3から3:2の範囲内となるように設定されているため、燃焼量が変動しても、燃焼域(燃料と空気の混合域)の空気比が適切に保たれ、燃焼が安定化する。
このとき、高カロリーガスである第1ガスG1は、第1ガス流通路L1を通過して、第1ガス流通管10の先端部付近に形成された第1ガス噴出部13Tを構成する複数の第1ガス噴出孔から径方向外側に向けて噴出する。これにより、第1ガスG1と燃焼用空気Aとの混合が促進される。そして、この混合された気体が、保炎器22内おいてスパークロッド61により着火されて燃焼する。
なお、第1ガス流通路L1はバーナ1の中心部分にあるため、第1ガスG1は、保炎器の内壁に沿って噴出する第2ガスG2に比べて燃焼用空気Aの流れと混合するまでの距離が長い。よって、第1ガスを径方向外側に向けて噴出することで、燃焼用空気Aとの混合を促進することができる。
これにより、第1ガスと燃焼用空気との混合が促進され、燃焼を安定化させることができる。
また、図2Bに示すように、保炎器22の第1列目の貫通孔24Aの数と、第1ガス噴出孔13の数は好ましくは同数とし、貫通孔24Aと第1ガス噴出孔13の角度位置は一致させておくことが好ましい。すなわち、図2Bにおいて、第1ガス流通管10の中心軸と、第1ガス噴出孔13の中心軸とを線で結んだ場合に、その結んだ線の延長線上に、貫通孔24Aが存在するように、貫通孔24Aと、第1ガス噴出孔13を配置することが好ましい。
これにより、第1ガスと燃焼用空気との混合が促進され、燃焼を安定化させることができる。
これにより、オフガス(低カロリーガス)である第2ガスG2は、第2ガス流通路L2を通過して、第2ガス噴出部26から前方に向けて噴出し、第2ガスG2と燃焼用空気Aとの混合が促進され、引き続き燃焼状態を継続する。
このように、第1ガス噴出部13Tの噴出速度と、第2ガス噴出部26の噴出速度が、第1ガスと第2ガスの其々の最大燃焼量において1:1.3から1.3:1の範囲内になるようにすることにより、発熱量の高い第1ガス、発熱量の低い第2ガス、いずれの燃料ガスを用いても、広い安定燃焼範囲を得ることができる。
これにより、第1ガスと燃焼用空気との混合が促進され、燃焼を安定化させることができる。
これにより、燃焼量が変動しても、燃焼域(燃料と空気の混合域)の空気比が適切に保たれ、燃焼を安定化させることができる。例えば、空気比が大きい(過剰空気量が多い)場合は、第2燃焼用空気噴出部から噴出する空気の流速は速くなり、燃焼領域の外側(バーナ外筒30の内側近傍)を通過する空気は燃焼反応に寄与しない割合が増加する。言い換えれば、燃料ガスはまず第1燃焼用空気と混合して相対的に低い空気比で燃焼し、その燃焼領域に第2燃焼用空気が混合して燃焼するため、保炎器22の中央付近では外周付近に比べて等量比に近い燃焼が維持されることで、燃焼域の空気比が過剰に高まることを避けることができ、燃焼を安定化させることができる。
これにより、第2燃焼用空気噴出部32からの第2燃焼用空気と燃料ガスとが混合する領域を確保し燃焼を安定化させると共に、バーナ外筒30が燃焼用空気により適切に冷却されるため、バーナ外筒30の赤熱を防ぐことができる。
これにより、第2燃焼用空気噴出部32からの第2燃焼用空気の流れが適切に整流され、保炎性が高まる。
例えば、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスを燃料ガスとして用いるバーナであれば、水素製造装置および燃料電池システム等に限らず適用可能である。その他、第1ガスと、第1ガスよりも燃焼量の低い第2ガスとを使用する各種のバーナにも適用可能である。また、第1ガスおよび第2ガスを同時に供給して燃焼させてもよい。
10 第1ガス流通管
13 第1ガス噴出孔
13T 第1ガス噴出部
20 第2ガス流通管
22 保炎器
23 平行周面
24(24A、24B、24C) 貫通孔
24T 第1燃焼用空気噴出部
26 第2ガス噴出部
30 バーナ外筒
32 第2燃焼用空気噴出部
L1 第1ガス流通路
L2 第2ガス流通路
L3 燃焼用ガス流路
A 燃焼用空気
A1 第1燃焼用空気
A2 第2燃焼用空気
G1 第1ガス
G2 第2ガス
Claims (5)
- 第1ガスが流通する第1ガス流通路を形成する第1ガス流通管と、
前記第1ガス流通管を包囲し、前記第1ガス流通管の外周面との間に前記第1ガスよりも発熱量の低い第2ガスが流通する第2ガス流通路を形成する第2ガス流通管と、
前記第2ガス流通管を包囲し、前記第2ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒と、
前記第1ガス流通路を流れる第1ガスを噴出する第1ガス噴出部と、
前記第2ガス流通路を流れる第2ガスを噴出し、前記第1ガス噴出部の開口面積より大きな開口面積である第2ガス噴出部と、を備え、
前記第1ガス噴出部は径方向外側に向けて前記第1ガスを噴出し、
前記第1ガス噴出部の噴出速度と、前記第2ガス噴出部の噴出速度が、第1ガスと第2ガスの其々の最大燃焼量において1:1.3から1.3:1の範囲内になるように、前記第1ガス噴出部の開口面積と、前記第2ガス噴出部の開口面積が設定されている、バーナ。 - 基端部が前記第2ガス流通管と接続されると共に、先端部がガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器を備え、
前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する複数の貫通孔が形成されており、
前記複数の貫通孔は、前記拡開方向に間隔をおいた多列で形成され、
前記第1ガス噴出部は、前記多列に形成された複数の貫通孔のうち、最も基端側の第1列目の貫通孔の近傍に向けて、前記第1ガスを噴出する、請求項1に記載のバーナ。 - 基端部が前記第2ガス流通管と接続されると共に、先端部がガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器を備え、
前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する複数の貫通孔が形成されており、
前記保炎器の複数の貫通孔により第1燃焼用空気噴出部が形成され、
前記保炎器を包囲する前記バーナ外筒の内周面と、前記保炎器の先端部との間に形成される環状の隙間部により第2燃焼用空気噴出部が形成され、
前記第1燃焼用空気噴出部の開口面積と、前記第2燃焼用空気噴出部の開口面積との面積比が、2:3から3:2の範囲内である、請求項1または請求項2に記載のバーナ。 - 前記保炎器の先端部から前記バーナ外筒の先端部までのバーナ軸方向距離は、前記バーナ外筒の内径の0.7倍〜1.3倍の範囲内である、請求項3に記載のバーナ。
- 前記バーナ外筒に包囲されている前記保炎器の先端部は、前記バーナ外筒の内周面と平行な面を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のバーナ。
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