JP2020186305A - トリアジン環含有ポリマーを含む有機無機複合組成物、ならびに当該有機無機複合組成物を含む成形品および光学部品 - Google Patents

トリアジン環含有ポリマーを含む有機無機複合組成物、ならびに当該有機無機複合組成物を含む成形品および光学部品 Download PDF

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好行 大石
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Tomoyuki Kikuchi
智幸 菊地
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Abstract

【課題】高い屈折率および透明性を有し、ヘーズが抑制された有機無機複合組成物を提供する。【解決手段】トリアジン環を含む繰り返し単位を有するトリアジン環含有ポリマー;無機微粒子;および表面処理剤;を含む、有機無機複合組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、トリアジン環含有ポリマーを含む有機無機複合組成物、ならびに当該有機無機複合組成物を含む成形品および光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われている。カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラや、スマートフォン用レンズ等の光学系に使用される光学レンズ用の材料として、高い屈折率を有し、かつ耐熱性、光透過性(透明性)、易成形性にも優れた材料の開発が求められている。樹脂製レンズはガラス製レンズに比べて軽量で割れにくく、材料コストが安く、レンズ成形に適した射出成形により様々な形状に加工できるという利点を持つ。しかしながら、近年、製品の薄型化やカメラの高画素化へのニーズにこたえるため、素材自体を高屈折率化することが求められている。
樹脂素材であるポリマーを高屈折率化する方法として、芳香族環、ハロゲン原子、硫黄原子を導入する試みがなされている。中でも、硫黄原子を導入したエピスルフィド樹脂及びチオウレタン樹脂は、屈折率1.7以上となるが、可塑性がないため、実用化範囲が限定されている。
可塑性を有する高屈折な樹脂としてトリアジン環を有するポリマーが多く検討されている。例えば、特許文献1および2には、トリアジン環を有する繰り返し単位構造を含み、屈折率1.7以上のトリアジン環含有ポリマーが開示されている。
特開2014−162829号公報 特開2014−162830号公報
ポリマーと屈折率の高い金属酸化物などの無機微粒子とをナノサイズレベルで複合化させたナノコンポジット材料が、高屈折率な光学材料として注目されている。しかしながら、ナノサイズの無機微粒子は、ポリマーへの分散性が低い。そのため、特許文献1および2に記載されるようなトリアジン環含有ポリマーと無機微粒子とを混合しただけではポリマーと無機微粒子とが相分離を起こしやすい。高屈折率化のためには無機微粒子の含有量を増加させることが効果的であるが、含有量を増加させるとその複合体が濁り光学材料として適さないという課題があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高い屈折率および透明性を有し、ヘーズが抑制された有機無機複合組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、トリアジン環含有ポリマーと無機微粒子とを含む有機無機複合組成物において、表面処理剤を添加することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一実施形態は、トリアジン環を含む繰り返し単位を有するトリアジン環含有ポリマー;無機微粒子;および表面処理剤;を含む、有機無機複合組成物である。
本発明によれば、高い屈折率および透明性を有し、ヘーズが抑制された有機無機複合組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。本明細書では、「トリアジン環含有ポリマー」を単に「ポリマー」とも称し、「熱可塑性成形品」を単に「成形品」とも称する。また、本明細書では、「2価の芳香族炭化水素基または2以上の芳香族炭化水素基がアルキレン基、酸素原子(O)、硫黄原子(S)もしくはセレン原子(Se)で連結されてなる2価の芳香族炭化水素連結基」を単に「2価の芳香族炭化水素基等」とも称する。
<有機無機複合組成物>
本発明の一実施形態は、トリアジン環を含む繰り返し単位を有するトリアジン環含有ポリマー;無機微粒子;および表面処理剤;を含む、有機無機複合組成物である。
本発明に係る有機無機複合組成物は、高い屈折率を有するとともに、透明性に優れ、ヘーズが低い。本発明の技術的範囲を制限するものではないが、かような効果が得られ得るメカニズムは、以下のように推測される。
本発明に係る有機無機複合組成物は、トリアジン環を含む繰り返し単位を有するトリアジン環含有ポリマー(トリアジン環含有ポリマーともいう)を含む。光学材料に使われるポリマーは無色透明で高屈折率であることが求められるが、トリアジン環含有ポリマーは、1.70以上の高い屈折率を有する。したがって、無機微粒子と複合化した有機無機複合組成物は優れた屈折率を有する。
さらに、無機微粒子を用いることで、トリアジン環含有ポリマーと無機微粒子とをナノサイズレベルで複合化させたナノコンポジット材料としての有機無機複合組成物を得ることができる。これにより、ポリマーのみでは実現が困難な高い屈折率が得られうる。さらに、ポリマーのみを用いた場合、ポリマーそのものの屈折率をより高くしようとすると、屈折率の上昇に伴いガラス転移温度が上昇して射出成型に適さなくなる場合がある。しかしながら、無機微粒子を用いることでより一層屈折率が高く、射出成形に適した有機無機複合組成物を得ることができる。
この際、無機微粒子をポリマー中に透明に分散させるためにはレイリー散乱による透過光の減衰を抑制する必要があり、ポリマー中に一次粒子の状態で均一に分散させる必要がある。しかしながら、粒子サイズが小さくなるにつれて凝集しやすくなり、均一に分散させることは非常に難しい。そのため、無機微粒子とポリマーとが相分離を生じやすい。高屈折率化のために無機微粒子の含有量を増加させて複合化させると、有機無機複合組成物が濁り、光学材料として適さなくなる。
本発明によれば、表面処理剤を用いることによって、無機微粒子の表面が修飾される。これによって、水分散体として調製されることの多い上記無機微粒子の表面の水酸基などが表面処理剤で被覆されるため、ポリマーへの分散性が向上しうる。その結果、無機微粒子がポリマー中に均一に分散されてポリマーと無機微粒子との相分離が生じにくくなる。その結果、高い透明性が得られ、ヘーズが低減されると同時に、トリアジン環含有ポリマーおよび無機微粒子の屈折率に応じた高い屈折率が得られうる。
<トリアジン環含有ポリマー>
本発明の有機無機複合組成物は、トリアジン環含有ポリマーを含む。トリアジン環含有ポリマーとしては特に限定されないが、主鎖にトリアジン環構造を有するポリマーであることが好ましい。主鎖にトリアジン環に結合したチオエーテル構造を有していることがより好ましい。また、ガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態においては、前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
式(1)中、A(以下、「構成単位A」とも称する)は、それぞれ独立して、下記式(2)で表され、および
B(以下、「構成単位B」とも称する)は、それぞれ独立して、下記式(3)で表される。
式(2)中、Lは、それぞれ独立して、単結合または連結基を表し、および
は、それぞれ独立して、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)およびセレン原子(Se)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する基を表す;
式(3)中、Rは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基、または、2以上の芳香族炭化水素基がアルキレン基、酸素原子(O)、硫黄原子(S)もしくはセレン原子(Se)で連結されてなる芳香族炭化水素連結基を表し、および
は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、または芳香族炭化水素基を表し、
yは、それぞれ独立して、0または1である。
上記式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーは、トリアジン環を有する構成単位Aと、2価の芳香族炭化水素基等を有する構成単位Bとがチオエーテル結合(−S−)により連結して主鎖を構成する。主鎖にトリアジン環を有するポリマーは高い屈折率を有するが、主鎖にさらに2価の芳香族炭化水素基等を導入することにより、ポリマーの屈折率をさらに向上できると考えられる。また、主鎖に2価の芳香族炭化水素基等を導入したトリアジン環含有ポリマーは、高いガラス転移温度を有するため、環境信頼性が高い。
好ましくは、前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(2)で表される構成単位Aを有する。
式(2)中、Lは、それぞれ独立して、単結合または連結基を表す。ここで、Lが単結合であるとは、トリアジンと置換基Rが直接連結することを意味する。また、Lが連結基である場合の連結基としては、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されないが、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基等)、炭素原子数6以上14以下の2価の芳香族炭化水素基(例えばフェニレン、ナフチレン等)などが挙げられる。これらのうち、屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、Lは、単結合、フェニレン、メチレンであることが好ましく、単結合、フェニレンであることがより好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
上記式(2)中、Rは、それぞれ独立して、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)およびセレン原子(Se)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する基を表す。ここで、Rの具体例としては、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されないが、下記式(4−1)〜(4−8)で表される基が好ましく挙げられる。
前記式(4−1)、(4−5)および(4−7)中、mは、それぞれ独立して、1以上6以下の整数である。屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、mは、それぞれ独立して、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1または2である。好ましい具体例は、下記の基が挙げられる。
前記式(4−2−2)、(4−6)および(4−8)中、nは、それぞれ独立して、1以上6以下の整数である。屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、nは、それぞれ独立して、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1または2である。好ましい具体例として、下記の基が挙げられる。
前記式(4−4)中、oは、それぞれ独立して、1以上6以下の整数である。屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、oは、それぞれ独立して、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1または2である。好ましい具体例として、下記の基が挙げられる。
これらのうち、屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、Rは、それぞれ独立して、式(4−1)〜(4−4)で表される基であることがより好ましい。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、Rは、それぞれ独立して、式(4−1)〜(4−4)で表される基から選択される。より好ましくは式(4−1)、(4−2)および(4−4)で表される基より選択され、さらに好ましくは式(4−1)および(4−2)で表される基より選択され、特に好ましくは式(4−1)で表される基より選択される。
なお、Rが式(4−3)で表される基を有する場合において、当該基を有する構成単位Aの数の割合は、ポリマーに含まれる構成単位Aの総数に対して、0%を超えて100%以下であることが好ましく、0%を超えて90%以下であることがより好ましい。式(4−3)で表される基の割合を上記範囲内とすることにより、有機無機複合組成物の低ヘーズを確保することができる。
前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(3)で表される構成単位Bを有することが好ましい。
式(3)中、Rは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基、または、2以上の芳香族炭化水素基がアルキレン基、酸素原子(O)、硫黄原子(S)もしくはセレン原子(Se)で連結されてなる芳香族炭化水素連結基を表す。ここで、2価の芳香族炭化水素基としては、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されないが、下記群から選択される基が好ましく挙げられる。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される基を表す。
より好ましくは、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される。
前記式(3)中、yは、それぞれ独立して、0または1である。yがいずれも1であると、構成単位Bは、芳香族炭化水素基等の両端に−C(R−基を有することにより、溶媒への溶解性が向上できると考えられる。これにより、例えば、再沈殿による精製を容易に行うことができる。
前記式(3)においてyがいずれも1である場合、さらに好ましくは、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される。
このような芳香族炭化水素由来の基を有することにより、高い屈折率および透明性と、高いガラス転移温度とを両立することができる。
特に、トリアジン環含有ポリマーの構成単位Bがフェニレン基の場合には、ビフェニレン基と比べて構成単位の分子量が小さいため、ポリマー全体に占める構成単位Aの質量比が増加する。トリアジン環含有ポリマーにおいて、無機微粒子を保持可能な官能基をもつ構成単位Aの質量比が増加すると、有機無機複合組成物において無機微粒子を効果的に分散可能となる。その結果、有機無機複合組成物のヘーズが良好となる。
一方、前記式(3)においてyがいずれも0であると、高い屈折率と熱安定性とをより高い水準で両立できる。具体的には、屈折率nは、好ましくは1.70以上であり、より好ましくは1.74以上である。また、ガラス転移温度は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは130℃以上である。
前記式(3)においてyがいずれも0である場合、さらに好ましくは、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される。
前記式(3)においてyがいずれも0である場合、さらにより好ましくは、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される。
前記式(3)においてyがいずれも0である場合、特に好ましくは、Rは、下記構造を有する。当該形態によれば、溶融時の流動性を向上し、射出成形などの成形をより容易にできる。
なお、前記式(3)においてyがいずれも0であり、Rが下記構造:
を有する場合には、式(1)中のRは下記構造(3級アミノ基):
を有することが好ましい。当該構造をとることによって、屈折率および熱安定性をさらに向上させることができる。
前記式(3)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、または芳香族炭化水素基を表す。ここで、アルキル基および芳香族炭化水素基としては、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。アルキル基としては、例えば、炭素数1以上8以下の直鎖または分岐状のアルキル基でありうる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基などが挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、具体的には、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフタレン、フェナレン、フルオレン、アントラキノン、フェナントレン、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、キンクフェニル、セキシフェニル、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ピラントレン等由来の1価の基が挙げられる。これらのうち、屈折率、透明性、ガラス転移温度のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、Rは、水素原子、メチル基、フェニル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましい。
式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーは、上記の少なくとも1種の構成単位Aと、少なくとも1種の構成単位Bとから構成される繰り返し単位を含む。ただし、溶媒への溶解性を向上させる観点から、2種以上5種以下の構成単位Aおよび/または2種以上5種以下の構成単位Bを含むものであることが好ましい。より好ましくは、2種の構成単位Aおよび/または2種の構成単位Bを含むものである。すなわち、好ましい実施形態に係るトリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−1)で表される繰り返し単位および下記式(1−2)で表される繰り返し単位を有する。
式(1−1)および(1−2)中、A(以下、「構成単位A」とも称する)およびA(以下、「構成単位A」とも称する)は、それぞれ独立して、式(2)で表され、この際、AおよびAは異なり、ならびに
Bは、式(3)で表される。
換言すると、式(1−1)および(1−2)中、A、Aは、それぞれ独立して、上記式(1)中のAと同様の定義であるが、A、Aは異なる(Aの構造がAの構造とは異なるが、双方とも、構成単位Aに包含される)。また、Bは、上記式(1)中のBと同様の定義であり、この際、式(1−1)および(1−2)中のBは同じである(式(1−1)および(1−2)中のBは同じ構造を有する)。
また、好ましい他の実施形態に係るトリアジン環含有ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位および下記式(1’)で表される繰り返し単位を有する。
式(1−3)および(1−4)中、Aは、式(2)で表され、ならびに
(以下、「構成単位B」とも称する)およびB(以下、「構成単位B」とも称する)は、それぞれ独立して、式(3)で表され、この際、BおよびBは異なる。
換言すると、式(1−3)および(1−4)中、Aは、上記式(1)中のAと同様の定義であり、この際、式(1−3)および(1−4)中のAは同じである(式(1−3)および(1−4)中のAは同じ構造を有する)。また、B、Bは、それぞれ独立して、上記式(1)中のBと同様の定義であるが、B、Bは異なる(Bの構造がBの構造とは異なるが、双方とも、構成単位Bに包含される)。
また、さらに他の実施形態に係るトリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−5)で表される繰り返し単位、下記式(1−6)で表される繰り返し単位、下記式(1−7)で表される繰り返し単位および下記式(1−8)で表される繰り返し単位を有する。
式(1−5)、(1−6)、(1−7)および(1−8)中、AおよびAは、それぞれ独立して、式(2)で表され、この際、AおよびAは異なり、ならびに
およびBは、それぞれ独立して、式(3)で表され、この際、BおよびBは異なる。
換言すると、式(1−5)、(1−6)、(1−7)および(1−8)中、AおよびAは、それぞれ独立して、上記式(1)中のAと同様の定義であるが、AおよびAは異なる(Aの構造がAの構造とは異なるが、双方とも、構成単位Aに包含される)。また、BおよびBは、それぞれ独立して、上記式(1)中のBと同様の定義であるが、BおよびBは異なる(Bの構造がBの構造とは異なるが、双方とも、構成単位Bに包含される)。
上記式(1−1)〜(1−8)において、「−A−」および「−A−」は、AとAとが異なる構造を有する以外は上記式(2)における定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。同様にして、上記式(1−1)〜(1−8)において、「−B−」および「−B−」は、BとBとが異なる構造を有する以外は上記式(3)における定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
このように、2種以上5種以下の構成単位Aおよび/または2種以上5種以下の構成単位Bを含むポリマーは、溶媒への溶解性が優れる。そのため、例えば、無機微粒子を複合化する工程において、無機微粒子が分散し易い溶媒に合わせて溶媒を選択できるため、得られる有機無機複合組成物の透明性の確保や、再沈殿による精製を行う場合に有利である。
また、2種以上5種以下の構成単位Aを含む実施形態においては、2種以上の構成単位Aのうちの少なくとも1種は式(4−1)、(4−2)、(4−3)および(4−4)で表される基より選択されることが好ましい。より好ましくは式(4−1)、(4−2)および(4−3)で表される基より選択され、さらに好ましくは式(4−1)および(4−3)で表される基より選択される。2種以上5種以下構成単位Aのうちの少なくとも1種をこれらの基より選択することにより、さらなる屈折率の向上効果を発揮することができる。
トリアジン環含有ポリマーが構成単位Aおよび構成単位Aを有する場合の構成単位Aおよび構成単位Aの組み合わせは、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。屈折率のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
また、好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
より好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
また、より好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
−S−CHまたは−S−C
さらに好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
また、さらに好ましくは、構成単位Aは式(2)中のRが下記式で表される基である。
上記好ましい形態において、構成単位Aおよび構成単位Aの存在比は、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。屈折率のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、構成単位A(式(2)中、R=−N(フェニル基)(水素原子またはアルキル基))および構成単位A(式(2)中、R=−S(アルキル基)または−S−アルキレン基−フェニル基)の存在比は、構成単位Aおよび構成単位Aの総数を100とした場合に、好ましくは10〜90:90〜10であり、より好ましくは50〜90:50〜10である。
他の好ましい実施形態において、トリアジン環含有ポリマーが構成単位A’および構成単位A’を有する場合の構成単位A’および構成単位A’の組み合わせとしては、構成単位A’は式(2)中のRが下記式で表される基であり、かつ、
構成単位A’は式(2)中のRが下記式で表される基である。
より好ましくは、構成単位A’は式(2)中のRが下記式で表される基である。
また、より好ましくは、構成単位A’は式(2)中のRが下記式で表される基である。
上記他の好ましい形態において、構成単位A’および構成単位A’の存在比は特に制限されない。屈折率のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、構成単位A’および構成単位A’の存在比は、構成単位A’および構成単位A’の総数を100とした場合に、好ましくは10〜90:90〜10であり、より好ましくは20〜90:80〜10であり、さらに好ましくは40〜90:60〜10であり、さらにより好ましくは50〜90:50〜10である。
トリアジン環含有ポリマーが構成単位Bおよび構成単位Bを有する場合の構成単位Bおよび構成単位Bの組み合わせは、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。屈折率のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、好ましくは、構成単位Bは式(3)中のRが下記式で表される基である。
また、好ましくは、構成単位Bは式(3)中のRが下記式で表される基である。
上記好ましい形態において、構成単位Bおよび構成単位Bの存在比は、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。屈折率のさらなる向上効果、有機無機複合組成物としたときに無機微粒子含有量を増加させても高い透明性および低いヘーズを示すことなどの観点から、構成単位B(式(3)中、R=p−フェニレン基)および構成単位B(式(3)中、R=p−ビフェニレン基)の存在比は、構成単位Bおよび構成単位Bの総数を100とした場合に、好ましくは100〜0:0〜100であり、より好ましくは100〜50:0〜50である。
本発明の好ましい実施形態において、前記トリアジン環含有ポリマーは、前記式(1)で表される繰り返し単位中のAとして、前記式(2)のRが前記式(4−3)で表される基である構成単位を含有する。
すなわち、前記式(1)におけるAは、下記式(a1)で表される構成単位を含む。
上記式中、Lは、それぞれ独立して、単結合または連結基である。連結基の具体的な形態は上記式(2)について説明したものと同様である。
この際、好ましくは、上記式(a1)で表される構成単位は、前記トリアジン環含有ポリマーを構成する全構成単位100モル%に対して、例えば、2.5モル%以上47.5モル%以下、好ましくは5モル%以上45モル%以下で含有される。上記式(a1)で表される構成単位は、より好ましくは10モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは25モル%以上45モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以上45モル%以下、特に好ましくは35モル%以上45%以下の割合で含まれる。
上記(a1)で表される構成単位は、無機微粒子との相互作用が強い。そのため、上記(a1)で表される構成単位を含むトリアジン環含有ポリマーを用いると、無機微粒子と複合化させる際に無機微粒子同士の凝集が起こりにくくなる。その結果、有機無機複合組成物においてヘーズが生じにくいため、無機微粒子の含有量を高め、より優れた屈折率を実現できる。
本発明のさらに好ましい実施形態において、前記トリアジン環含有ポリマーは、前記式(1)で表される繰り返し単位中のAとして、上記(a1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位であって(a1)とは異なる構成単位と、を含む。
すなわち、前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−1)で表される繰り返し単位と、下記式(1−2)で表される繰り返し単位を有し、A、AおよびBは、それぞれ独立して、上記式(1)と同じ定義であり、この際、AおよびAは異なり、Aは、上記式(a1)で表される。
または、前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−5)で表される繰り返し単位、下記式(1−6)で表される繰り返し単位、下記式(1−7)で表される繰り返し単位および下記式(1−8)で表される繰り返し単位を有する。ここで、AおよびAは、それぞれ独立して、上記式(1)中のAと同じ定義であり、この際、AおよびAは異なり、Aは、上記式(a1)で表される。BおよびBは、それぞれ独立して、前記式(1)中のBと同様の定義であり、この際、BおよびBは異なる。
上記式(1)中のAとして、上記(a1)で表される構成単位に加えて、上記式(2)で表される構成単位であって(a1)とは異なる構成単位を含むことによって、トリアジン環含有モノマーと無機微粒子との相互作用を高くする効果に加えて、トリアジン環含有ポリマーの凝集を抑制することができる。そのため、ヘーズを抑制する効果がより高くなる。
この際、上記式(a1)で表される構成単位(構成単位A)は、前記トリアジン環含有ポリマーを構成する全構成単位(A、A、B、B、Bの合計)100モル%に対して、例えば2.5モル%以上47.5モル%以下、好ましくは5モル%以上45モル%以下で含有される。上記式(a1)で表される構成単位は、より好ましくは10モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは25モル%以上45モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以上45モル%以下、特に好ましくは35モル%以上45%以下の割合で含まれる。
上記式(a1)の好ましい一実施形態として、下記構成単位が挙げられる。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーは、式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」とも称する)を含むものであってもよい。しかしながら、本発明の効果を良好に発揮させる観点から、他の繰り返し単位を含まないことが好ましい。他の繰り返し単位を含む場合であっても、繰り返し単位の総数に対する、他の繰り返し単位の数の割合は、10%以下であることが好ましい。より好ましくは、5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは1%以下である(下限値0%)。他の繰り返し単位の割合が上記範囲内であれば、屈折率の低下や、射出成形等の成形工程が困難となるのを防ぐことができる。
トリアジン環含有ポリマーが2種以上の繰り返し単位を含む場合、すなわち共重合体である場合、繰り返し単位の配列形態は特に制限されない。当該配列形態は、ブロック状(ブロックコポリマー)であっても、ランダム状(ランダムコポリマー)であっても、または交互に配列して(交互コポリマー)もよい。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーの屈折率nは、例えば1.68以上である。前記屈折率nは、好ましくは1.7以上であり、より好ましくは1.72以上であり、さらに好ましくは1.74以上である。トリアジン環含有ポリマーのアッベ数νは、例えば15以上であり、好ましくは17以上であり、より好ましくは18以上であり、さらに好ましくは19以上である。トリアジン環含有ポリマーのヘーズは、例えば5%以下であり、好ましくは3.7%以下であり、より好ましくは3%以下である。屈折率n、アッベ数νおよびヘーズ上記範囲内であれば、光学部品に好適な高屈折率の成形品が得られうる。なお、本明細書において、屈折率n、およびヘーズは、後述の実施例に記載の方法により測定された値を採用する。アッベ数νは、後述の実施例に記載の方法により屈折率を測定し、これに基づいて求めることができる。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーは、ガラス転移温度を有することが好ましい。すなわち、示差走査熱量測定により得られる示差熱量曲線において変曲点が観察されることが好ましい。このようにガラス転移温度を有する樹脂は、熱可塑性を有し、射出成形により加工することができる。トリアジン環含有ポリマーのガラス転移温度は、好ましくは80℃以上である。前記ガラス転移温度は、より好ましくは80℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上160℃以下である。ガラス転移温度は、構成単位Aおよび/または構成単位Bの構造を制御することで調整することができる。例えば、式(2)中のRおよび/または式(3)中のRもしくはRに嵩高い構造や剛直な構造を導入することで、ガラス転移温度を高くすることができる。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。この際、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して10分間保持したサンプルを、降温速度10℃/分で25℃まで冷却して10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温して測定を行う。測定終了後は10℃/分で室温(25℃)まで冷却する。
このうち、上記式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーにおいて、式(3)のyがいずれも0であるポリマーは、高い屈折率を有すると同時に耐熱性に優れる。当該ポリマーは、屈折率nが、例えば1.70以上であり、好ましくは1.74以上である。また、上記式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーにおいて、式(3)のyがいずれも0であるポリマーは、ガラス転移温度が、例えば100℃以上であり、好ましくは110℃を超えて190℃以下であり、特に好ましくは130℃以上160℃以下である。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは10000以上100000以下であり、より好ましくは15000以上80000以下であり、さらに好ましくは20000以上60000以下であり、特に好ましくは25000以上50000以下である。数平均分子量が上記範囲内であると、溶融状態の粘度が適度な値となり、射出成形等の成形加工性が低下する。また、数平均分子量が上記範囲内であると、成形品の透過率(透明性)や耐熱性が特に優れたものとなり、また、得られた成形品の機械的強度が優れるという利点がある。数平均分子量を上記範囲内に制御する方法は、特に制限されないが、重合反応時間を10分以上40時間以下の間でコントロールすることにより値を調整することができる。なお、本明細書において、数平均分子量は、後述の実施例に記載された方法により測定された値を採用する。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10000を超えて1000000以下であり、より好ましくは20000以上500000以下であり、さらに好ましくは50000以上150000以下である。重量平均分子量が上記範囲内であると、溶融状態の粘度が適度な値となり、射出成形等の成形加工性が低下する。また、重量平均分子量が上記範囲内であると、成形品の透過率(透明性)や耐熱性が特に優れたものとなり、また、得られた成形品の機械的強度が優れるという利点がある。数平均分子量を上記範囲内に制御する方法は、特に制限されないが、重合反応時間を10分以上40時間以下の間でコントロールすることにより値を調整することができる。なお、本明細書において、重量平均分子量は、後述の実施例に記載された方法により測定された値を採用する。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーの溶融状態の粘度は、好ましくは100Pa・s以上100000Pa・s以下である。当該粘度は、より好ましくは5000Pa・s以上80000Pa・s以下であり、さらに好ましくは10000Pa・s以上60000Pa・s以下であり、特に好ましくは15000Pa・s以上50000Pa・s以下である。溶融状態での粘度が上記範囲内であると、射出成形等の成形加工性に優れる。なお、ポリマーの溶融状態の粘度は、レオメーター(MCR302、アントンパール社製)を用いて、窒素雰囲気下、250℃、せん断速度0.1(1/s)で測定された値を採用する。
本発明に用いられるトリアジン環含有ポリマーは、溶媒への溶解性に優れ、例えば、2種類以上の溶媒に、それぞれ1質量%以上の濃度で溶解することが好ましい。この際の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、シクロヘキサノン等が挙げられる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、およびシクロヘキサノンから選択される2種類の溶媒にそれぞれ1質量%以上の濃度で溶解することが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびテトラヒドロフラン(THF)にそれぞれ1質量%以上の濃度で溶解することがより好ましい。
上記式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーは、公知の方法を用いて合成することができる。例えば、下記式に示されるように、トリアジンジチオール化合物と、脱離基を有する芳香族化合物とを、相間移動触媒の存在下に反応させることにより、製造することができる。
式中、Rは式(2)中の定義と同じであり、R、Rおよびyは式(3)中の定義と同じであり、Yはハロゲン原子等の脱離基を表す。
Yの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基(p−トルエンスルホニル基)、トリフラート基(トリフルオロメチルスルホニル基)、ニトロ基が挙げられる。
トリアジンジチオール化合物としては、例えば、特に制限されないが、例えば2−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−エチルチオ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−ベンジルチオ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−(2’−フェニルエチルチオ)−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−アニリノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、2−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール等が例示できる。脱離基を有する芳香族化合物としては、例えば、α,α’−ジブロモ−p−キシレン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、α,α’−ジブロモ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジブロモ−m−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、α,α’−ジトシル−p−キシレン等を用いることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
トリアジンジチオール化合物と脱離基を有する芳香族化合物との反応に用いる相間移動触媒としては、界面重縮合に用いることができる長鎖アルキル第四級アンモニウム塩、クラウンエーテル等が好ましく、例えば、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等をより好ましく用いることができる。
反応系は、水と有機溶媒との二相系を用いることができ、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン等の有機溶媒と水との二相系とするのが好ましい。反応に際しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を添加して、−10℃以上100℃以下で1時間以上120時間以下反応させることが好ましい。
上記によって得られたトリアジン環含有ポリマーは、再沈澱法、透析法、限外濾過法、抽出法等の一般的な精製法により精製してもよい。
<無機微粒子>
無機微粒子としては、特に制限されないが、金属酸化物、金属硫化物、金属リン化物、金属セレン化物、金属テルル化物等が挙げられる。本実施形態の有機無機複合組成物において、無機微粒子は、その表面の少なくとも一部が、表面処理剤によって被覆されていることが好ましい。
金属酸化物としては、特に限定されず、例えば、酸化ジルコニウム、イットリア添加酸化ジルコニウム、ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸スズ、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タンタル、タンタル酸カリウム、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ガリウム、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、有機無機複合組成物を光学用途に用いる場合には、無機微粒子は、屈折率が高いことが好ましく、屈折率が1.8以上3.0以下である無機微粒子を用いることが好ましい。
具体的には、無機微粒子は、酸化ジルコニウム(屈折率=約2.1)、酸化チタン、チタン酸バリウム(屈折率=約2.4)、チタン酸ストロンチウム、または酸化亜鉛であることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態は、無機微粒子として、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含む。本発明のより好ましい一実施形態においては、無機微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、およびチタン酸バリウムからなる群から選択される。酸化チタンは、主にルチル型(屈折率=約2.7)とアナターゼ型(屈折率=約2.5)の2種類の結晶構造を有するが、アナターゼ型の酸化チタンは光触媒活性が高く、光学的な用途への使用にはあまり適さない。よって、ルチル型の酸化チタンであることが好ましい。また、酸化チタンの光触媒活性を低下させるために表面がシリカなどでコーティングされた酸化チタン粒子を用いてもよい。
無機微粒子は一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
無機微粒子の個数基準のメジアン径(Dn50)は、1nm以上20nm以下であることが好ましい。無機微粒子の個数基準のメジアン径が20nm以下であれば、得られる組成物の透明性に優れるため好ましい。一方、無機微粒子の個数基準のメジアン径が1nm以上であると、無機微粒子の二次凝集が生じにくくなるため好ましい。無機微粒子の個数基準のメジアン径は、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。なお、無機微粒子の個数基準のメジアン径(Dn50)は、動的光散乱法による個数基準のメジアン径である。
無機微粒子は、特開2011−213505号公報、特開2012−180241号公報等に記載の公知の方法を用いて製造することができる。
また、無機微粒子は市販品を用いてもよく、この際、溶媒分散体であってもよい。かような市販品としては、SZR−W、SZR−CW、SZR−M、SZR−CM(酸化ジルコニウム分散液、堺化学工業社製);タイノック(登録商標)RA−6、NRA−10M(酸化チタン分散液、多木化学社製)などが挙げられる。
<表面処理剤>
表面処理剤(表面修飾剤)は、無機微粒子を表面修飾するために用いられる。表面修飾剤としては、無機微粒子の分散性を向上させうるものであれば特に限定されるものではない。例えばシランカップリング剤または下記式(6)で表される構造を有する表面処理剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては特に限定されるものではないが、例えば、アミノ基を有するもの、チオール基を有するものなどを用いることができる。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジイソプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チオール基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
前記表面処理剤は、特に制限されないが、トリアジン環構造を有する化合物、特には、下記式(6)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。トリアジン環構造を有する表面処理剤を用いる場合、その重量平均分子量は、10000以下である。好ましくは、前記表面処理剤の重量平均分子量は100以上5000以下である。本発明の好ましい実施形態において、前記表面処理剤は、下記式(6)で表される構造を有し、前記表面処理剤の重量平均分子量は100以上5000以下である。
前記式(6)中、Rは、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、あるいは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアラルキル基、または置換もしくは非置換のアミノ基を示す。
式(6)で表される表面処理剤を用いると、無機微粒子の表面がトリアジン環を有する表面処理剤で被覆される。そのため、有機無機複合組成物において同じトリアジン環構造を有するトリアジン環含有ポリマーとの親和性が高くなる。そのため、光学特性がより向上しうる。
式(6)において、好ましくは、Rは、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、置換または非置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数2以上10以下のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2以上10以下のアルキニル基、置換または非置換の炭素数6以上14以下のアリール基、置換または非置換の炭素数7以上20以下のアラルキル基、および置換または非置換のアミノ基からなる群から選択される基である。
が置換基を有するアルキル基、置換基を有するアルケニル基、置換基を有するアルキニル基、置換基を有するアリール基、置換基を有するアラルキル基、または置換基を有するアミノ基である場合、かような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1以上6以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基)、炭素数2以上6以下のアルケニル基、炭素数2以上6以下のアルキニル基、炭素数6以上14以下のアリール基、カルボキシル基、スルホ基[−SOH]、スルフィノ基、スルフィニル基、ホスホン酸基[−PO(OH)]、ホスホリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、チオール基、ホスホニル基、およびスルホニル基等が例示できる。なお、場合によって存在する置換基は、置換される基と同じになることはない。例えば、アルキル基がアルキル基で置換されることはない。
がアミノ基である場合は、アミノ基の水素原子の少なくとも1つが置換されていることが好ましい。特には、アミノ基の水素原子の少なくとも1つは、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数2以上6以下のアルケニル基、炭素数2以上6以下のアルキニル基、および炭素数6以上14以下のアリール基から選択される置換基で置換されていることが好ましい。
表面処理剤は、酸性官能基を含んでもよい。表面処理剤中の酸性官能基は、例えば、カルボキシル基、スルホ基[−SOH]、スルフィノ基、ホスホン酸基[−PO(OH)]、ホスフィン酸基、リン酸基などの官能基;ならびにこれらの塩の基などが挙げられる。
中でも、表面処理剤は、トリアジン環含有ポリマーを構成する繰り返し単位のうち少なくとも1つに由来する構造を含む化合物であることが好ましい。
また、表面処理剤は、上記式(1)で表されるトリアジン環含有ポリマーを構成する繰り返し単位のうち少なくとも1つを繰り返し単位に有するオリゴマーであることが好ましい。このようにすることで高屈折率が得られると同時にトリアジン環含有ポリマーとの混和性がより向上し、屈折率が高くヘーズが抑制された有機無機複合組成物を得ることができる。特には、表面処理剤は、下記式で表される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が10000以下であるオリゴマーである。当該オリゴマーの調製方法は特に制限されない。例えば、上記トリアジン環含有ポリマーの調製と同様の手順で、反応時間および/またはモノマー濃度を適宜調節することで調製することができる。
トリアジン環構造を有する表面処理剤としては、上記のオリゴマー以外にも、2−アニリノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、6−(ジメチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(ジブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−(メチルフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン(アセトグアナミン)、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、トルグアナミン、キシログアナミン、フェニルベンゾグアナミン、ナフトグアナミンなどを用いることができる。
なお、表面処理剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、表面処理剤の数平均分子量は、トリアジン環構造を有する表面処理剤の場合、10000以下であれば特に制限されない。好ましくは100以上5000以下である。上記範囲とすることで、無機微粒子を相分離することなくより均一にトリアジン環含有ポリマーに分散させることができる。そのため、本発明の効果がより顕著に得られうる。
好ましくは、表面処理剤の屈折率は、1.6以上2.0以下であり、より好ましくは1.7以上2.0以下である。このような表面処理剤を用いることにより、屈折率が高い有機無機複合組成物を得ることができる。例えば、トリアジン環に連結する硫黄原子を有する構造、またはトリアジン環に連結する窒素原子を有する構造を導入することで表面処理剤の屈折率を高くすることができる。なお、2種類以上の表面処理剤が用いられる場合、少なくとも1つの表面処理剤の屈折率が上記範囲であることが好ましく、すべての表面処理剤の屈折率が上記範囲であることがより好ましい。なお、表面処理剤の屈折率は、後述の実施例の方法に準じた方法で測定することができる。
表面処理剤の無機微粒子への表面修飾方法は、特に限定されず、例えば、湿式法で修飾してもよいし、乾式法で修飾してもよい。無機微粒子をより効率よく修飾し、さらに、無機微粒子の二次凝集を防止する観点からは、湿式法を用いることが好ましい。無機微粒子を湿式法で修飾する場合には、例えば、無機微粒子の分散液に表面処理剤を添加・攪拌することにより、無機微粒子の表面を修飾することができる。かような手法により調製した表面処理剤と無機微粒子との混合物を、トリアジン環含有ポリマーと混合することが好ましい。
表面処理剤の添加量は表面修飾が適切に行われるように適宜設定される。例えば、表面処理剤:無機微粒子の比が、表面処理剤1質量部に対して無機微粒子が1質量部以上100質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。なお、2種類以上の表面処理剤が用いられる場合、その合計量が上記範囲であることが好ましい。
無機微粒子の分散液に用いる溶媒は特に限定されないが、無機微粒子を良好に分散させる観点からは、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール;およびこれらの混合物が好ましく用いられる。
また、分散液には、pH調整剤を添加することが好ましい。pH調整剤としては特に限定されないが、分散液を酸性に維持させることができるものであることが好ましい。具体的には、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、安息香酸、ジメチルホスフィン酸、ビフェニル4−カルボン酸、4−メチル安息香酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、チオフェンカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、4−tert−ブチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、4−メチル安息香酸などが挙げられる。pH調整剤の添加量は特に制限されない。
無機微粒子を表面処理剤を用いて表面修飾するための反応時間は、特に限定されず、通常、15分以上12時間以下、好ましくは、30分以上5時間以下である。また、反応温度も特に限定されず、通常、10℃以上100℃以下、好ましくは10℃以上60℃以下、より好ましくは10℃以上40℃以下である。
上記反応後、得られた分散液を濃縮してもよい。溶媒を留去してもよい。また、洗浄や濾過により、過剰な表面処理剤や他の成分を除去してもよい。
<有機無機複合組成物中の各成分の含有量>
本発明の有機無機複合組成物中における各成分の含有量は特に制限されない。
好ましくは、前記トリアジン環含有ポリマーの含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して20質量%以上96.4質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。トリアジン環含有ポリマーの含有量が20質量%以上であれば、無機微粒子が十分に分散されるため、ヘーズを低減する効果に優れる。96質量%以下であれば、無機微粒子の添加量が相対的に高くなり、屈折率がより向上する。
前記無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して4質量%以上73質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下である。無機微粒子の含有量が4質量%以上であれば、屈折率がより向上する。73質量%以下であれば、ヘーズを低減する効果に優れるため好ましい。
前記表面処理剤の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して0.4質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上6質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上5質量%以下である。上記範囲であれば無機微粒子の表面をポリマーが十分に被覆するため、無機微粒子の分散性を向上させる効果に優れる。そのため、高い屈折率と低いヘーズを両立させる効果に優れる。
好ましい実施形態においては、前記トリアジン環含有ポリマーの含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して20質量%以上95.6質量%以下であり、前記無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して4質量%以上73質量%以下であり、前記表面処理剤の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して0.4質量%以上7質量%以下である。
<有機無機複合組成物の調製方法>
本実施形態に係る有機無機複合組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、上記のトリアジン環含有ポリマー、無機微粒子、および表面処理剤を同時に混合してもよい。しかしながら、無機微粒子の表面を表面処理剤により修飾した後、トリアジン環含有ポリマーと混合することが好ましい。これにより、表面処理剤により無機微粒子がより効果的に修飾される。無機微粒子の表面を表面処理剤により修飾する手順は上述の通りである。
有機無機複合組成物の調製には、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒を用いてもよい。
各成分の添加量は特に制限されないが、得られる有機無機複合組成物中の各成分の含有量が上述した範囲になるように調整することが好ましい。
有機無機複合組成物を得るために各成分を混合する際の混合条件は特に制限されない。混合時間は、例えば、15分以上12時間以下、好ましくは、30分以上5時間以下である。また、混合する際の温度も特に限定されず、通常、10℃以上100℃以下、好ましくは10℃以上60℃以下、より好ましくは10℃以上40℃以下である。
本実施形態に係る組成物は、任意に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、可塑剤、着色剤、ブルーイング剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、その他の樹脂、エラストマー等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の有機無機複合組成物の屈折率n(587.6nm)は、好ましくは1.71以上であり、より好ましくは1.75以上である。有機無機複合組成物の屈折率は、トリアジン環含有ポリマー、無機微粒子、および表面処理剤の屈折率を選択することで調整することができる。また、トリアジン環含有高分子、無機微粒子、および表面処理剤の含有量を調節することで調整することができる。有機無機複合組成物の屈折率は、実施例に記載の手法により測定された値である。
本実施形態の有機無機複合組成物の全光線透過率は、好ましくは80%以上である。また、本実施形態の有機無機複合組成物のヘーズは、好ましくは5%以下である。有機無機複合組成物の全光線透過率およびヘーズは、トリアジン環含有ポリマー、無機微粒子、および表面処理剤の屈折率および混合比を選択することで調整することができる。有機無機複合組成物のヘーズは、実施例に記載の手法により測定された値である。本発明の好ましい実施形態によれば、上記有機無機複合組成物は、屈折率n(587.6nm)が1.71以上であり、かつ、ヘーズが5%以下である。
<成形品、光学部品>
本発明の一実施形態は、上記の有機無機複合組成物を含む、熱可塑性成形品に関する。本発明の別の実施形態は、上記の有機無機複合組成物を含む、光学部品に関する。成形品の形状は、特に制限されず、例えば、レンズ状(球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ等)、フィルム状、シート状、板状、棒状、繊維状、プリズム状など任意の形態であってよい。成形品の製造に際しては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、塗布法(スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、キャスティング成形法等)などの公知の成形方法を利用できる。本実施形態に係る有機無機複合組成物は、射出成形に特に適している。成形前に、ヘンシェルミキサー、ニーダ、バンバリーミキサー、押出機などの混練機を用いて原料を混合してもよい。射出成形により成形を行う場合は、例えば、射出成型機のシリンダー温度が150℃以上300℃以下であり、金型温度が50℃以上100℃以下であることが好ましい。
上記の光学部品は、ディスプレイ(例えば、スマートフォン用ディスプレイ、液晶ディスプレイおよびプラズマディスプレイ等)、撮影装置(例えば、カメラおよびビデオ等)、光ピックアップ、プロジェクタ、光ファイバー通信装置(例えば、光増幅器等)、自動車用ヘッドランプなどにおける、光を透過する光学部品(パッシブ光学部品)として好適に利用することができる。かようなパッシブ光学部品としては、例えば、レンズ、フィルム、光導波路、プリズム、プリズムシート、パネル、光ディスク、LEDの封止材等を挙げることができる。かような光学部品は、必要に応じて、反射防止層、光線吸収層、ハードコート層、アンチグレア層等の各種の機能層を有していてもよい。
以下、実施例により詳細に本発明を説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
<物性値の測定方法>
(数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw))
ポリマーの濃度が0.1質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させ、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターでろ過したものを測定試料とした。数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、テトラヒドロフランを移動相とし、示差屈折計を検出器とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により行った。分子量の標準物質としては、単分散ポリスチレンを使用した。
(屈折率n
重合反応後、再沈殿によりポリマーを精製し、これを試料(固体)として使用した。この試料2gを、200℃、3MPaの条件で圧縮成形し、縦3cm×横3cm、厚さ0.5mmの成形板を作製した。得られた成形板を用いてプリズムカプラ(Model2010、メトリコン社製)で波長473nm、594nm、657nmでの屈折率を測定した。測定した値からC線(656.3nm)、d線(587.6nm)、F線(486.1nm)での屈折率を計算により算出した。d線(587.6nm)での屈折率を屈折率nとした。有機無機複合組成物の屈折率についても、ポリマーの場合に準じて測定および算出した。
(全光線透過率およびヘーズの測定)
全光線透過率およびヘーズは、上記の屈折率nの測定と同様の手法で作製したフィルムを用いて、スガ試験機株式会社製Haze Meter NDH5000を用いて測定した。
(無機微粒子の含有量の測定)
有機無機複合組成物中に含まれる無機微粒子の含有量は、有機無機複合組成物を、熱重量示差熱分析装置(TG/DTA6200、セイコーインスツル株式会社製)を用いて、室温(25℃)から700℃まで10℃/分の速度で昇温し、残量分を測定することにより求めた。
なお、後述のように、トリアジン環含有ポリマーおよび表面処理剤の含有量についても、同様にTG/DTA測定により求めた。
<合成例1:トリアジン環含有ポリマー(P−1)の合成>
50mLフラスコに2−アニリノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール(モノマー(1−1))(0.437g、2.25mmol)と、2−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール(モノマー(1−2))(0.063g、0.25mmol)と、を入れ、純水4.5mLを添加後、10M NaOH水溶液0.51mLを添加した。α,α’−ジクロロ−p−キシレン(モノマー(2−1))(438mg、2.5mmol)をニトロベンゼン9mLに溶解後、前記水溶液に添加した。臭化テトラブチルアンモニウム40mgを添加し、50℃で24時間激しく攪拌した。反応液をメタノール中に滴下し、再沈殿させることで白色のトリアジン環含有ポリマー(P−1)を得た。得られたポリマーは数平均分子量46500、重量平均分子量101,370であった。
<合成例2〜27:トリアジン環含有ポリマー(P−2)〜(P−27)の合成>
上記合成例1において、モノマーの種類またはモノマーのモル比を下記表1のように変更し、上記合成例1と同様の方法により、トリアジン環含有ポリマー(P−2)〜(P−27)を得た。ここで、モノマー(1−3)として、2−(N−メチルアニリノ)−1,3,5トリアジン−4,6−ジチオールを用い、モノマー(2−2)として、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルを用いた。
表1に、合成例1〜27で調製したトリアジン環含有ポリマーのモノマー組成、数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量Mwを示す。
<合成例28>
(表面処理剤の合成)
100mLのフラスコに、2−アニリノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール(2.00g、8.46mmol)を入れ、純水を14mL添加後、10MのNaOH水溶液1.69mLを添加し70℃に加熱した。α,α’−ジブロモ−p−キシレン(2.23g、8.46mmol)をニトロベンゼン15mLに溶解後、前記水溶液に添加した。臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム123mgを添加し、70℃で3時間激しく攪拌した。反応液をメタノール中に滴下し、沈殿させることで白色のトリアジン環含有オリゴマー(7)を得た。得られたトリアジン環含有オリゴマー(7)は数平均分子量が1400、重量平均分子量は3000であった。
<合成例29>
(酸化ジルコニウム微粒子(Dn50=3nm)/トリアジン環含有オリゴマー(7)/ジメチルアセトアミド分散液の調製)
500mLのナスフラスコに、酸化ジルコニウム/メタノール分散液(堺化学工業株式会社製、SZR−M、一次粒子の個数基準のメジアン径(Dn50)3nm、酸化ジルコニウムの屈折率:2.1、固形分(酸化ジルコニウムとして)30質量%)10gと、pH調整剤としてジフェニルホスフィン酸0.3gと、メタノール10gとを加え、25℃で1時間攪拌した。その後、分散液をエバポレーターにより濃縮し、メタノールを留去して白色の粉末を得た。
次に、得られた粉末をジメチルアセトアミド(DMAc)34gに分散させ、表面処理剤として上記で調製したトリアジン環含有オリゴマー(7)0.1gを加え、25℃で30分攪拌し、固形分合計量が10質量%である粒子分散液1を作製した。TG/DTA分析結果の残差量から、上記粒子分散液1中に含まれる酸化ジルコニウムは9.1質量%であった。上記固形分量との差から表面処理剤は0.9質量%と算出された。
[実施例1]
50mLフラスコに、合成例1で得たポリマー(P−1)0.5gをDMAc5.5gに溶解させた。次いで、合成例29で合成した粒子分散液1(固形分10質量%)2.1gを加え、室温(25℃)で1時間攪拌し有機無機複合組成物(C−1)のゾル(ゾル中に含まれる固形分量:酸化ジルコニウム0.19g、ポリマー0.5g、表面処理剤0.019g、無機微粒子:高分子:表面処理剤の質量比=27:70.5:2.5)を得た。ゾルのキャスト膜を乾燥させて得られたフィルムの屈折率nは1.767であり、全光線透過率は83%であり、ヘーズは2.5%であった。
TG/DTA分析結果より、有機無機複合組成物中に含まれる酸化ジルコニウムは27質量であり、上記に記載のゾル中に含まれる酸化ジルコニウムの組成比と同じでありポリマーおよび表面処理剤の組成比も同じであった。表2に各構成成分の組成比を示す。
[実施例2〜6]
実施例1において、ポリマー(P−1)の代わりにポリマー(P−2)、(P−3)、(P−4)、(P−5)、および(P−9)を用いた。上記以外は実施例1と同様の操作を行って有機無機複合組成物(C−2)〜(C−6)を得た。これらを実施例1と同様の操作によりフィルムを作製し、屈折率、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表2に示した。
[実施例7]
実施例1においてポリマー(P−1)の代わりにポリマー(P−12)を用いた。酸化ジルコニウム微粒子/トリアジン環含有オリゴマー(7)/ジメチルアセトアミド分散液の添加量を変更して各成分の組成比を表2のように変更した。上記以外は実施例1と同様にして有機無機複合組成物(C−7)を得た。実施例1と同様にしてフィルムを作製し、屈折率、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表2に示した。
[実施例8]
合成例29において、トリアジン環含有オリゴマー(7)を、トリアジンを含まないN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランに変更したこと以外は同様の方法で粒子分散液2を得た。実施例5において、粒子分散液1の代わりに、上記で調製した粒子分散液2を用いたことを除いては実施例5と同様の操作を行って有機無機複合組成物(C−8)を得た。実施例1と同様にしてフィルムを作製し、屈折率、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表2に示した。
[実施例9〜14]
実施例1において、ポリマー(P−1)の代わりに下記表2に記載のポリマーを用いた。酸化ジルコニウム微粒子/トリアジン環含有オリゴマー(7)/ジメチルアセトアミド分散液の添加量を変更して各成分の組成比を表2のように変更した。上記以外は実施例1と同様にして有機無機複合組成物(C−9)〜(C−14)を得た。実施例1と同様にしてフィルムを作製し、屈折率、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表2に示した。
[比較例1]
上記実施例5において、粒子分散液1を加えず、代わりに表面処理剤のみを添加し、ポリマーと表面処理剤との組成比を下記表2の通りに変更した。上記以外は実施例5と同様の操作により、組成物(C−15)を得た。実施例1と同様にしてフィルムを作製し、屈折率、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表2に示した。
[比較例2]
上記実施例5において、粒子分散液1の代わりに、表面処理剤を含まない酸化ジルコニウム/メタノール分散液(堺化学工業株式会社製、SZR−M)を用いて、ポリマーと無機微粒子との組成比を下記表2の通りに変更した。上記以外は実施例5と同様の操作により、組成物(C−16)を得た。実施例1と同様にしてフィルムを作製したが、フィルムが白濁し、屈折率、全光線透過率、ヘーズを測定することができなかった。
各実施例、比較例で作製した有機無機複合組成物の構成材料、その組成比、ならびに上記有機無機複合組成物を用いて得られたフィルムの屈折率、全光線透過率およびヘーズを下記表2に示す。表2中、ポリマー、無機微粒子、および表面処理剤の組成比は、フィルム全体を100質量%としたときの含有量を質量%として表している。
表2に示されるように、実施例1〜14で得られた有機無機複合組成物は、いずれも屈折率が1.71以上であり、全光線透過率が80%以上であり、ヘーズは5%以下であった。したがって本発明によれば、屈折率および透過率が高く、ヘーズが抑制された有機無機複合組成物が得られる。
一方、無機微粒子が含まれない比較例1では屈折率が1.700と低い値となった。また、比較例2のように表面処理剤が含まれない場合は、組成物が白濁し、光がフィルムを透過せず光学測定ができなかった。表面処理剤が含まれない場合、無機微粒子が高分子中に均一に分散せずに凝集し、その結果として光散乱が大きくなったものと考えられる。
実施例1、4、5の結果から、モノマー(1−1)とモノマー(1−2)とを用いたトリアジン環含有ポリマーを含む有機無機複合組成物では、モノマー(1−1)の比率が高いほど、ヘーズが低くなる傾向がある。
同様に、実施例9〜11の結果から、モノマー(1−1)とモノマー(1−3)とを用いたトリアジン環含有ポリマーを含む有機無機複合組成物では、モノマー(1−1)の比率が高いほど、ヘーズが低くなる傾向がある。
一方、実施例7、13のように、モノマー(1−1)を含まないトリアジン環含有ポリマーを用いた有機無機複合組成物では、モノマー(1−1)を含む場合と比較すると、無機微粒子との複合化によりヘーズが高くなりやすい。そのため、低ヘーズ、高透過率を確保するためには無機微粒子の添加量を抑える必要がある。
モノマー(1−1)は無機微粒子との相互作用が強いことから、モノマー(1−1)を構成単位として含むトリアジン環含有ポリマーを無機微粒子と複合化させる際に無機微粒子同士の凝集が起こりにくくなるものと考えられる。その結果、有機無機複合組成物においてヘーズが低減される効果がより高くなるものと考えられる。
また、実施例1〜5、実施例9〜12の比較から、トリアジン環含有ポリマーは、モノマー(1−1)の他に、モノマー(1−1)以外のトリアジン環含有モノマーを含む(実施例1〜5、実施例9〜11)と、有機無機複合組成物のヘーズがより低減される。実施例12のように、上記式(1)のAを構成するトリアジン環含有モノマーがモノマー(1−1)のみであると、トリアジン環含有モノマーと無機微粒子との相互作用は十分に高いものの、複合化の際にトリアジン環含有ポリマーが凝集しやすくなり、ヘーズが生じやすくなるものと考えられる。
また、実施例3、4の比較から、B構造がフェニレン基であると、ビフェニレンの場合よりもヘーズおよび透過率に優れる。フェニレン基の場合には、ビフェニレン基と比べて構成単位の分子量が小さいため、トリアジン環含有ポリマーにおいて構成単位Aの質量比が増加し、有機無機複合組成物において無機微粒子を効果的に分散可能となる。その結果、有機無機複合組成物のヘーズが良好となったものと考えられる。
また、実施例5と実施例6との比較から、表面処理剤の種類に関わらず有機無機複合組成物は全光線透過率80%以上、ヘーズ5%以下と優れた光学特性を示す。しかしながら、上記式(6)のトリアジン環構造を含む表面処理剤を用いた実施例5では、全光線透過率およびヘーズにおいてより優れた特性を示す。これは、トリアジン環構造を有する表面処理剤により、無機微粒子のトリアジン環含有ポリマーへの分散性がより高められるためと考えられる。
特に、実施例1〜6、9〜11のように、モノマー(1−1)がトリアジン環含有ポリマーを構成する全モノマー100モル%に対して5モル%以上45モル%以下であるとヘーズを抑制する効果に優れる。なかでも、モノマー(1−1)がトリアジン環含有ポリマーを構成する全モノマー100モル%に対して25モル%以上〜45モル%以下である実施例3〜5、9〜11、14が好ましく、特には、実施例5、11、14が好ましい。このような範囲であれば、無機微粒子の含有量を27質量%以上と高くした場合であっても低ヘーズ、高透明性を有する有機無機複合組成物が得られうる。そして、高い無機微粒子含有量とすることで屈折率をより一層高めることができる。中でも、無機微粒子の添含有量が73質量%である実施例12の有機無機複合組成物では、1.847と非常に高い屈折率が得られ、無機微粒子による顕著な屈折率向上効果が得られ、同時に5%以下のヘーズを達成できた。したがって、本発明によれば、高い屈折率、高い透明性、低いヘーズを高い水準で両立できる有機無機複合組成物複合組成物が得られることが確認された。
上記のように、本発明に係る有機無機複合組成物によれば、トリアジン環含有ポリマーと無機微粒子とを混合した場合であってもヘーズが生じにくく、透過性に優れる。さらに、より高い屈折率が得られうる。すなわち、本発明の有機無機複合組成物によれば、屈折率n(587.6nm)が1.71以上、全光線透過率が80%以上、ヘーズが5%以下と従来にはない光学特性を達成することができる。このように高い屈折率と低いヘーズを両立できることから、より高性能の光学材料が得られうる。さらに成形性に優れるため、スマートフォン用レンズ等の用途に特に適している。

Claims (15)

  1. トリアジン環を含む繰り返し単位を有するトリアジン環含有ポリマー;
    無機微粒子;および
    表面処理剤;
    を含む、有機無機複合組成物。
  2. 前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載の有機無機複合組成物:

    前記式(1)中、Aは、それぞれ独立して、下記式(2)で表され、および
    Bは、それぞれ独立して、下記式(3)で表される;

    前記式(2)中、Lは、それぞれ独立して、単結合または連結基を表し、および
    は、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)およびセレン原子(Se)からなる群より選択される少なくとも1種の原子を有する基を表す;

    前記式(3)中、Rは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基、または、2以上の芳香族炭化水素基がアルキレン基、酸素原子(O)、硫黄原子(S)もしくはセレン原子(Se)で連結されてなる芳香族炭化水素連結基を表し、および
    は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、または芳香族炭化水素基を表し、
    yは、それぞれ独立して、0または1である。
  3. 前記式(3)中、Rは、それぞれ独立して、下記群から選択される基を表す、請求項2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記式(2)中、Lは、単結合を表す、請求項2または3に記載の有機無機複合組成物。
  5. 前記式(2)中、Rは、それぞれ独立して、下記式(4−1)〜(4−4)で表される基から選択される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物;

    前記式(4−1)中、mは、1以上6以下の整数であり、
    前記式(4−2−2)中、nは、1以上6以下の整数であり、および
    前記式(4−4)中、oは、1以上6以下の整数である。
  6. 前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−1)で表される繰り返し単位および下記式(1−2)で表される繰り返し単位を有する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物:

    上記式(1−1)および(1−2)中、A、Aは、それぞれ独立して、上記式(1)中のAと同様の定義であり、この際、A、Aは異なり、
    Bは、上記式(1)中のBと同様の定義であり、この際、式(1−1)および(1−2)中のBは同じである。
  7. 前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−3)で表される繰り返し単位および下記式(1−4)で表される繰り返し単位を有する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物;

    上記式(1−3)および(1−4)中、Aは、上記式(1)中のAと同様の定義であり、この際、式(1−3)および(1−4)中のAは同じであり、
    、Bは、それぞれ独立して、前記式(1)中のBと同様の定義であり、この際、B、Bは異なる。
  8. 前記トリアジン環含有ポリマーは、下記式(1−5)で表される繰り返し単位、下記式(1−6)で表される繰り返し単位、下記式(1−7)で表される繰り返し単位および下記式(1−8)で表される繰り返し単位を有する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物;

    前記式(1−5)、(1−6)、(1−7)および(1−8)中、A、Aは、それぞれ独立して、上記式(1)中のAと同様の定義であり、この際、A、Aは異なり、
    、Bは、それぞれ独立して、前記式(1)中のBと同様の定義であり、この際、B、Bは異なる。
  9. 前記トリアジン含有ポリマーは、前記式(1)で表される繰り返し単位を有し、
    前記Aとして、前記式(2)のRが前記式(4−3)で表される基である構成単位を前記トリアジン環含有ポリマーの全構成単位100モル%に対して、5モル%以上45モル%以下の割合で含む、請求項5に記載の有機無機複合組成物。
  10. 前記表面処理剤は、下記式(5)で表される構造を有し、前記表面処理剤の重量平均分子量は100以上5000以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物:

    前記式(5)中、Rは、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、あるいは置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアラルキル基、または置換もしくは非置換のアミノ基を示す。
  11. 前記無機微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の粒子を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物。
  12. 前記トリアジン環含有ポリマーの含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して20質量%以上95.6質量%以下であり、
    前記無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して4質量%以上73質量%以下であり、
    前記表面処理剤の含有量は、前記無機微粒子、前記トリアジン環含有ポリマー、および前記表面処理剤の総質量に対して0.4質量%以上7質量%以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物。
  13. 屈折率n(587.6nm)が1.71以上であり、ヘーズが5%以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物を含む、熱可塑性成形品。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機無機複合組成物を含む、光学部品。
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