JP2020186183A - 歯科用根管充填材組成物 - Google Patents

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兼欣 横田
恵美 坂野
Emi SAKANO
恵美 坂野
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Abstract

【課題】 従来の根管充填材組成物より優れた治癒促進作用を有し、かつ均一で滑らかな根管充填材組成物を提供する。【解決手段】 リチウム塩、水酸化カルシウム、水、及び多価アルコールを含む根管充填材組成物。この組成物において、リチウム塩の濃度は0.001〜20重量%であることが好ましい。また、水の含有量は、重量比で、リチウム塩の1〜2倍であることが好ましい。この組成物は、さらに、粒子径が1nm〜1μmである、酸化アルミニウム超微粒子及び/又は酸化チタン超微粒子を含むことができる。【選択図】なし

Description

本発明は、水酸化カルシウムを含む歯科用の根管充填材組成物に関する。
歯の根管内には、神経や血管などを含む歯髄がある。深いう蝕、歯冠の破折などにより歯髄が感染、炎症を起こした場合、放置すると、根管先端の根尖に膿が溜まったり、根尖周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたり、場合によってはリンパ節の腫れや発熱といった全身症状が現れることもある。従って、歯髄が感染、炎症を起こした場合は、必要に応じて歯髄を除去した後に、根管内を消毒し、歯髄腔を根管充填材で封鎖して根尖周囲組織への刺激を遮断することが行われている。
従来、根管消毒剤の有効成分としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、パラクロロフェノール、グアヤコール、水酸化カルシウムなどが用いられている。
ホルマリン、パラホルムアルデヒドは、タンパク質を凝固壊死させることで内部組織を保護する作用を有すると共に、非常に強い殺菌作用ないしは消毒作用を有する。また、パラクロロフェノール、グアヤコールは、消毒作用と共に、強い鎮痛作用を有する。しかし、これらの成分は、根管−根尖歯周組織の治癒を促進する作用は有しない。
一方、水酸化カルシウムは、消毒作用、鎮痛作用を有し、さらに根管−根尖歯周組織の治癒を促進する作用を有すると言われている。このため、水酸化カルシウムは、欧米では感染根管治療薬の有効成分として多用されており、日本でも、水酸化カルシウムを含む歯科治療用製剤が開発、改良されている。
水酸カルシウムの歯科治療用製剤への応用の進展について詳述すると、水酸化カルシウムは、白色粉末で、その水溶液はpH 12.6の強アルカリ性を示すため、強い消毒作用を有する。また、エナメル質、象牙質、セメント質の硬組織の形成促進作用を有するため、覆髄材、生活歯髄断髄材、根管充填材などに配合されてきた(歯界展望72(1),63−74,1988、日本歯内療法学会誌16(1),47−51,1995、小児歯科学雑誌26(3),611−620,1988)。
また、水酸化カルシウムは、根管未完成歯の根尖封鎖(アペキシフィケーション)や穿孔部の封鎖などにも広く応用されるようになった(日本歯内療法学会誌14(2),89−95,1993、同16(1),70−73,1995、小児歯科学雑誌24(3),459−467,1986)。
さらに、水酸化カルシウムは、感染根管治療時の短期間の消毒薬(仮根管充填材)としても積極的に採用されている(日本歯科保存学雑誌34(3),986−992,1991、International Endodontic Journal 24,119−125,1991)。
水酸化カルシウムを根管治療薬に配合した場合、組織剌激性が少ない他に、強アルカリによる殺菌作用、軟組織溶解作用、鎮痛作用、治癒促進作用、浸出液停止作用、歯根吸収抑制作用、硬組織形成誘導作用などがあると言われている。このように、水酸化カルシウムは単なる殺菌剤でなく、根管−根尖歯周組織の治癒改善をもたらす薬剤と考えられている。
根管充填材の有効成分として水酸化カルシウムを使用する場合、一般に、使用時に、水酸化カルシウムは、精製水、生理的食塩水、プロピレングリコール、濃グリセリンなどと共に練和してペースト状にして、患部に適用されている。また、市販根管充填材の中には、予め、ペースト状に製剤化され、シリンジ容器に入っている根管充填材もある。また、欧米では、メチルセルロースを添加して粘稠性を付与したものが広く用いられるようになった。
水酸化カルシウムを含む根管充填材は、一般に、使用し易いペースト状に調製するのが難しい。この点に関して、特許文献1は、水酸化カルシウム2〜70重量%と、水分0.1〜60重量%と、多価アルコール5〜90重量%を含む根管充填材組成物に、酸化アルミニウム又は酸化チタンからなる粒子径1nm〜1μmの超微粒子を0.1〜20重量%配合すると共に、この組成物を特定の稠度に調整したペースト状の根管充填材組成物が、容器内に充填して長期保存しても固液分離せず安定したペースト稠度を維持し、また、シリンジ容器に充填した場合にもペースト状のままスムースに押し出すことができ、さらに適用部位から簡単に除去できることを教えている。
水酸化カルシウムを含む根管充填材は、水酸化カルシウムの優れた殺菌作用、根管−根尖歯周組織の治癒促進作用により有用なものであるが、排除し難い細菌感染や、根管外又は根尖部病変にまで侵入した細菌が治癒を阻害するなどにより難治性となった歯髄炎や根尖性歯周炎に対しては、十分な治癒促進効果を奏しない。従って、水酸化カルシウムの優れた作用を有し、さらに難治性の歯髄炎・根尖性歯周炎の治癒も促進できる根管充填材が求められている。
特許第3473879号
本発明者は、水酸化カルシウムと共にリチウム塩を含む根管充填材組成物は、優れた殺菌作用、抗炎症作用、根管−根尖歯周組織の治癒促進作用を有し、難治性の歯髄炎・根尖性歯周炎の治癒を促進できることを見出した。
ところが、本発明者は、水酸化カルシウムを含む根管充填材組成物にリチウム塩を配合すると、ペーストが硬くなり、製剤をシリンジ容器などからスムースに吐出させることができず、貼薬し難いことを見出した。
そこで、本発明は、従来の根管充填材組成物より優れた治癒促進作用を有し、かつ均一で滑らかな根管充填材組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、根管充填材組成物に水酸化カルシウム及びリチウム塩に加えて、水と多価アルコールを配合することにより、ペーストが硬くならないことを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の根管充填材組成物を提供する。
〔1〕 リチウム塩、水酸化カルシウム、水、及び多価アルコールを含む根管充填材組成物。
〔2〕 リチウム塩の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜20重量%である〔1〕に記載の根管充填材組成物。
〔3〕 水の含有量が、重量比で、リチウム塩の1〜2倍である〔1〕又は〔2〕に記載の根管充填材組成物。
〔4〕 水の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜70重量%である〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の根管充填材組成物。
〔5〕 水酸化カルシウムの濃度が、組成物の全量に対して、2〜70重量%である〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の根管充填材組成物。
〔6〕 多価アルコールの濃度が、組成物の全量に対して、1〜90重量%である〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の根管充填材組成物。
〔7〕 さらに、粒子径が1nm〜1μmである、酸化アルミニウム超微粒子及び/又は酸化チタン超微粒子を含む〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の根管充填材組成物。
〔8〕 酸化アルミニウム超微粒子及び/又は酸化チタン超微粒子の総含有量が、組成物の全量に対して、0.1〜20重量%である〔7〕に記載の根管充填材組成物。
歯髄から排除し難い細菌感染や、根管外又は根尖部病変にまで侵入した細菌が治癒を阻害するなどにより、難治性となった歯髄炎や根尖性歯周炎は、治癒促進作用を有するとされている水酸化カルシウムを含む根管充填材でも治癒が難しい。この点、本発明の根管充填材組成物は、水酸化カルシウムに加えてリチウム塩を含むことにより、このような難治性となった歯髄炎や根尖性歯周炎であっても、歯髄や根尖周囲の膿疱などの病変の炎症を抑え、効果的に治癒促進する。
また、本発明の根管充填材組成物は、水酸化カルシウム及びリチウム塩に加えて水と多価アルコールを含むためペーストが硬くならず、かつ、長期保存しても乾燥し難い。従って、シリンジ容器などからスムースに吐出させることができ、操作性に優れる。また、乾燥し難いため、容器やパッケージの設計に特別の工夫を要さず、製品化し易い。
本発明により、従来の根管充填材組成物よりも治癒効果が非常に高い根管充填材組成物であって、現実に製剤として使用できる組成物が提供された。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の根管充填材組成物は、リチウム塩、水酸化カルシウム、水、及び多価アルコールを含む組成物である。
リチウム塩
リチウム塩は、無機酸塩、有機酸塩の何れも使用できる。無機酸塩としては、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、オチロン酸(「オロト酸」又は「ウラシル6−カルボン酸」とも称される)塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等の多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩などが挙げられる。
中でも、無機酸塩が好ましく、塩酸塩、炭酸塩がより好ましい。
リチウム塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リチウム塩の濃度は、組成物の全量に対して、例えば0.001重量%以上、又は0.005重量%以上とすることができ、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、歯髄炎、根尖性歯周炎の治癒を十分に促進できる。また、リチウム塩の濃度は、組成物の全量に対して、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、12重量%以下がさらにより好ましく、10重量%以下がさらにより好ましく、6重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、食欲不振や嘔吐といったリチウム中毒症状を起こさない。
水酸化カルシウム
水酸化カルシウムの濃度は、組成物の全量に対して、2重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらにより好ましく、20重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、水酸化カルシウムの薬効が十分に得られる。また、水酸カルシウムの濃度は、組成物の全量に対して、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、組成物が硬くなりすぎず、シリンジ容器からでも容易に吐出させることができる。

水の濃度は、リチウム塩の濃度(重量%)の1倍以上が好ましく、1.1倍以上がより好ましく、1.2倍以上がさらにより好ましく、1.3倍以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、ペーストが硬くならない。また、水の濃度は、リチウム塩の濃度(重量%)の2倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましく、1.7倍以下がさらにより好ましく、1.6倍以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、乾燥して扱い難い性状になることがない。
また、水の濃度は、組成物の全量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましく、0.1重量%以上がさらにより好ましく、1重量%以上がさらにより好ましい。また、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらにより好ましい。
多価アルコール
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールのような2価アルコール、グリセリンのような3価アルコールなどが挙げられる。中でも、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリンが好ましい。
ポリプロピレングリコールは、重合度が100〜1000のものが好ましく、200〜600のものがより好ましく、300〜400のものがさらにより好ましい。
また、ポリエチレングリコールは、重合度が100〜1000のものが好ましく、200〜600のものがより好ましく、300〜400のものがさらにより好ましい。
多価アルコールは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。「2種以上」は、化合物の種類が異なる2種以上の多価アルコールを含む場合の他、例えば、重合度が異なる2種以上のポリプロピレングリコールや、重合度が異なる2種以上のポリエチレングリコールを含む場合も包含する。
多価アルコールの濃度は、組成物の全量に対して、1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらにより好ましく、20重量%以上がさらにより好ましく、30重量%以上がさらにより好ましい。また、多価アルコールの濃度は、組成物の全量に対して、90重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらにより好ましく、50重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、組成物を扱い易い粘稠なペースト状に調製することができる。
酸化アルミニウム・酸化チタンの超微粒子
本発明の組成物は、さらに、粒子径1nm〜1μmの酸化アルミニウム超微粒子、及び/又は酸化チタン超微粒子を含むことができる。
水酸化カルシウムを含む根管充填材組成物は、保管中に容器内で、水酸化カルシウムと液体成分とが分離し易く、シリンジ容器などから押し出し難くなる傾向にあるが、本発明の組成物が上記の酸化アルミニウム超微粒子、及び/又は酸化チタン超微粒子を含む場合は、組成物の保管による固液分離が抑制される。
この超微粒子の粒子径は、1nm以上であり、また、5nm以上、又は10nm以上とすることもできる。また、この超微粒子の粒子径は、1μm以下であり、また、500nm以下、300nm以下、50nm以下、又は20nm以下とすることもできる。この範囲であれば、水酸化カルシウムと液体成分との分離が十分に抑制される。
本発明において、超微粒子の粒子径は、一次粒子の平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡で観察して求めた値である。
酸化アルミニウム超微粒子、及び/又は酸化チタン超微粒子を含む場合のこの超微粒子の濃度は、組成物の全量に対して、総量で、例えば0.1重量%以上とすることができ、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、十分な増粘効果が得られ、固液分離が抑制される。また、この超微粒子の濃度は、組成物の全量に対して、例えば20重量%以下とすることができ、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、4重量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、組成物が硬くなりすぎず、シリンジ容器から吐出させ易い。
その他の成分
本発明の根管充填材組成物は、ペースト稠度の調整のために、さらに、流動パラフィン、ワセリン、油分、ロウ、樹脂、シロップのような軟膏基剤を配合することができる。但し、軟膏基剤を配合するときは界面活性剤を併用することが望ましい。
また、本発明の根管充填材組成物は、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、次硝酸ビスマス、三酸化ビスマス、炭酸ビスマス、酸化亜鉛のようなレントゲン造影剤や、抗菌剤なども配合することができる。この他、根管充填材に使用され得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。
稠度
本発明の根管充填材組成物は、その75μLをガラス板に挟み、その上に重さ2.5kgの荷重を7分間かけ、広がったペーストの平行接線間の最大部と最少部の寸法を測定した際、その稠度(広がり平均値)が25〜50mmであることが好ましく、25〜40mmであることがさらにより好ましい。稠度がこの範囲であれば、組成物の保管による固液分離が一層効果的に抑制されるとともに、貼薬に適した流動性が得られる。
調製方法
本発明の根管充填材組成物は、液体成分(例えば、水、多価アルコールを含む)と、固体成分(リチウム塩と、例えば水酸化カルシウムを含む)とを混合し、混練することにより調製できる。
使用方法
本発明の根管充填材組成物は、例えば、シリンジ容器に充填し、18〜25ゲージの鈍針を装着して、根管内に充填することができる。
また、根管内から除去するときは、5〜20重量%(特に、約10重量%)の次亜塩素酸と1〜5重量%(特に、約3重量%)の過酸化水素水とで交互に洗浄するか、精製水と超音波チップを使用した超音波洗浄により除去することができる。本発明の根管充填材組成物が酸化アルミニウム超微粒子、及び/又は酸化チタン超微粒子を含む場合、数日から数週間充填してもペーストが硬化しないため簡単に除去することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)根管充填材組成物の調製
表1〜4に示す組成のペースト状の根管充填剤材組成物を、予め混合した液体成分と予め混合した固体成分とを混合し、磁製乳鉢にて混練することにより調製した。
(2)評価方法
表1〜4に示す組成物(ペースト)1mLをプラスチックシリンジ容器に充填し、下記試験を行った。
<稠度>
75μLのペーストをガラス板(厚さ5mm,70×70mm)に挟み、2.5kgの荷重を7分間かけ、広がったペーストの平行接線間の最大部と最少部の寸法を測定し、その稠度(広がり平均値)が25〜50mmのものを合格(○判定)とし、この稠度範囲を逸脱したものを不合格(×判定)とした。
<皮膜厚さ(JIS−T6522)>
ペーストの硬さの指標として、歯科用根管充填シーラーのJIS−T6522に規定される試験方法を参考とした。すなわち、約0.07gのペーストをガラス板(厚さ5mm以上, 接触表面積200±25mm)に挟み、小型卓上精密万能試験機を用いて150±3Nの荷重を7分間かけ、ガラス板2枚とペースト皮膜の合計厚さを計測し、ペースト皮膜の有無による厚さの差(皮膜厚さ)を求め、皮膜厚さが50μm以下のものを合格(○判定)とし、皮膜厚さが50μmを超えるものを不合格(×判定)とした。
<シリンジ容器からの押し出し試験>
ペースト1mLをプラスチックシリンジ容器に充填して3日後にプラスチックシリンジ容器の先端に21ゲージの鈍針を装着して、小型卓上精密万能試験機を用いてクロスヘッドスピード20mm/minで10mmまで変位させることで、ペーストがシリンジ容器から容易に出るかどうか確認し、抵抗値が40N以下のものを合格(○判定)、40Nを超えるものを不合格(×判定)とした。
<操作性>
約0.1gのペーストを練板紙上に採取し、室内(室温23±1℃, 相対湿度50±5%)に10分間放置した後、レンツロに絡めて採取可能か目視で確認した。採取可能なものを合格(○判定)とし、採取不可能なものを不合格(×判定)とした。
<ペーストの安定性試験>
約1gのペーストを2mLガラススクリュー管に入れ、1週間室温放置した後、分離の有無を確認した。分離がないものを合格(○判定)とし、分離したものを不合格(×判定)とした。
(3)結果
結果を、表1〜4に併せて示す。
Figure 2020186183
Figure 2020186183
Figure 2020186183
Figure 2020186183
実施例1〜5は、リチウム塩の濃度を変化させたものである。
実施例1〜5の組成物は、シリンジ容器から直接根管内に貼薬しやすい稠度であり、被膜厚さ、シリンジ容器からの押し出し、及び操作性についても満足できるものであった。また、室温下で1週間保存しても、分離は認められなかった。
実施例6〜10は、水/リチウム塩の比率を変化させたものである。
実施例7〜9の組成物は、シリンジ容器から直接根管内に貼薬しやすい稠度であり、被膜厚さ、シリンジ容器からの押し出し、及び操作性についても満足できるものであった。また、室温下で1週間保存しても、分離は認められなかった。実施例6の組成物は、稠度が悪いが、薄い皮膜を形成することができ、シリンジから押し出し易く、分離もなく、実用できるものであった。実施例10の組成物は、稠度が悪く、10分間放置によりパテ状になったが、迅速に操作すれば実用できるものであった。
実施例11の組成物は、実施例2の組成物の炭酸リチウムを塩化リチウムに変えた他は、実施例2と同じである。塩の種類によらず、稠度、皮膜厚さ、シリンジ容器からの押出し抵抗性、操作性、及び分離の有無の全ての試験で良好な特性が得られた。
実施例12〜15は、多価アルコール濃度を変化させたものである。
実施例13〜15の組成物は、シリンジ容器から直接根管内に貼薬しやすい稠度であり、被膜厚さ、シリンジ容器からの押し出し、及び操作性についても満足できるものであった。また、室温下で1週間保存しても、分離は認められなかった。実施例12の組成物は、被膜がやや厚かったが、シリンジ容器から直接根管内に貼薬しやすい稠度であり、シリンジから押し出し易く、分離もなく、実用できるものであった。
実施例16及び17の組成物は、実施例6の組成物のポリエチレングリコールを、それぞれプロピレングリコール及びグリセリンに変えた他は、実施例6と同じである。多価アルコールの種類によらず、稠度、皮膜厚さ、シリンジ容器からの押出し抵抗性、操作性、及び分離の有無の全ての試験で良好な特性が得られた。
実施例18の組成物は酸化アルミニウム超微粒子を多量含み、実施例19の組成物は酸化アルミニウム超微粒子を含まない。酸化アルミニウム超微粒子の含有量によらず、稠度、皮膜厚さ、シリンジ容器からの押出し抵抗性、操作性、及び分離の有無の全ての試験で良好な特性が得られた。
比較例1は、水を配合していないため、硬く、シリンジ容器から押し出すことがやや困難であった。比較例2は、多価アルコールを配合していないため、ペースト状態に調製できなかった。
本発明の根管充填材組成物は、根管−根尖歯周組織の治癒促進作用を有する水酸化カルシウムに加えて、リチウム塩を含むため、難治性の歯髄炎や根尖性歯周炎をも効果的に治癒促進することができる。また、水と多価アルコールを含むため、ペーストが硬くならず、操作性に優れる。

Claims (8)

  1. リチウム塩、水酸化カルシウム、水、及び多価アルコールを含む根管充填材組成物。
  2. リチウム塩の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜20重量%である請求項1に記載の根管充填材組成物。
  3. 水の含有量が、重量比で、リチウム塩の1〜2倍である請求項1又は2に記載の根管充填材組成物。
  4. 水の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜70重量%である請求項1〜3の何れかに記載の根管充填材組成物。
  5. 水酸化カルシウムの濃度が、組成物の全量に対して、2〜70重量%である請求項1〜4の何れかに記載の根管充填材組成物。
  6. 多価アルコールの濃度が、組成物の全量に対して、1〜90重量%である請求項1〜5の何れかに記載の根管充填材組成物。
  7. さらに、粒子径が1nm〜1μmである、酸化アルミニウム超微粒子及び/又は酸化チタン超微粒子を含む請求項1〜6の何れかに記載の根管充填材組成物。
  8. 酸化アルミニウム超微粒子及び/又は酸化チタン超微粒子の総含有量が、組成物の全量に対して、0.1〜20重量%である請求項7に記載の根管充填材組成物。
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