JP2020185689A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一律に打ち込み量で乾燥条件を制御する手法を採用した場合、メディアの特性により変化する加熱の際に必要となる熱容量は考慮されず、たとえば想定よりも厚みのあるメディアを使用した場合には加熱不足の為、インクの定着が不十分となる場合が生じる可能性がある。特に樹脂を含むインクを記録メディアに付与して乾燥・加熱により樹脂膜を形成するようなシステムにおいては、樹脂膜の溶融が不十分となり所望の膜強度が得られない可能性が生じる。【解決工程】 吐出ヘッドから記録メディアにインクを付与して記録を行い後に乾燥、加熱により定着を行うシステムにおいて、初めに記録を行わないメディアを通常の記録動作と同様の工程を通過させその際の加熱領域または加熱直後のメディアの温度を測定する。これにより記録メディアの温度特性やヒーターの特性を含めた加熱の状態を把握することができる。加えて、記録を行った。【選択図】図1

Description

本発明は、記録ヘッドを走査させながら記録媒体にインク等の記録液体を吐出して画像を記録するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、紙などの浸透性の記録媒体(以下、メディアとも言う)への印刷だけではなく、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタラートなどのプラスチックを用いた非浸透性の記録媒体への印刷といった応用展開がなされている。また、近年、環境に対する安全性が高い、非浸透性の記録媒体用の水性インクが製品化されている。
一方で浸透系メディア・非浸透系メディアにかかわらず、メディアのインク受容量を超過するインクを付与するとインクのあふれ、境界でのにじみ、線の太り等の画像弊害を生じる。また非吸収メディアでは一般に加熱乾燥が行われるが、インク量過多により乾燥不足が発生しメディアが排紙される際の本体内部へのインクの転写、巻取りの際のメディアへの転写等が発生する。
特許文献1には、インク打ち込み量によりメディアの乾燥手段を制御する手法が開示されている。
特許第2962781号公報
上記の特許文献1のように一律に打ち込み量で乾燥条件を制御する手法を採用した場合、メディアの特性により変化する加熱の際に必要となる熱容量は考慮されず、たとえば想定よりも厚みのあるメディアを使用した場合には加熱不足の為、インクの定着が不十分となる場合が生じる可能性がある。
特に樹脂を含むインクを記録メディアに付与して乾燥・加熱により樹脂膜を形成するようなシステムにおいては、樹脂膜の溶融が不十分となり所望の膜強度が得られない可能性が生じる。
上記の課題を解決するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、
加熱により溶融する樹脂成分を少なくとも1つのインクに含むことを特徴とするインクセット、インクを吐出する記録ヘッドと前期記録ヘッドから吐出されたインクを加熱乾燥させる乾燥装置、前記乾燥装置により加熱される記録メディアの温度を取得する温度取得手段と、インクの乾燥が不十分と想定される場合にユーザーに警告を与える警告手段と、
を備え、所定の記録パッチを前記温度測定手が通過する部分に対して記録を行い、記録を行った部分の温度を前記温度取得手段により測定し、前記メディア上のインク温度から乾燥状態を判定する第1の判定手段により乾燥状態を判定し、実際の記録動作を行う際に画像濃度や記録条件等と前記判定手段の判定結果から乾燥状態を推定し乾燥が不十分になると予測される場合にはユーザーに警告を与えることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、メディアの特性が想定されたものと異なる場合にも十分な乾燥状態、定着強度を得ることができる。
記録装置の全体図 記録装置の側面図 ヘッド概略図 回路図 実施例1で用いた記録パターン 実施例1の温度読み取りフローチャート 実施例2の擦過結果読み取りフローチャート 実施例2で用いた記録パターン 実施例2で用いた接触部材を用いた記録装置の全体図 実施例2で用いた判定の為のサブフローチャート
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
<本体構成>
図1は、インクジェット記録装置の主要部の構成を示す斜視図であり、図2は、インクジェット記録装置の主要部の構成を示す側面図である。
インクジェット記録装置の内部には筐体1が設けられており、この筐体上にプラテン2が配置されている。また筐体内にはシート状の記録媒体3をプラテン2に吸着させるための吸引装置4が設けられている。さらに筐体1の長手方向に設置されたメインレール5に、主走査方向に往復移動するキャリッジ6が支持されている。キャリッジ6は、インクジェット方式の記録ヘッド7を搭載しており、記録ヘッド7は、発熱体を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式など、さまざまなインクジェット方式を用いることができる。
キャリッジモータ8は、キャリッジ6を主走査方向に移動させるための駆動源であり、その回転駆動力はベルト9でキャリッジ6に伝達する。キャリッジ6の主走査方向における位置は、リニアエンコーダで検出してモニターする。リニアエンコーダは、筐体1に取り付けた直線状のエンコーダパターン10と、それを光学的、磁気的あるいは機械的に読み取る、キャリッジ6に搭載された読取部(不図示)からなる。記録媒体3は、給紙スプール18に備えられたロール状の給紙媒体23から給紙される。給紙スプール18は記録媒体3にブレーキ力を作用させるためのトルクリミッタ19を備える。
記録媒体3はプラテン2上で、キャリッジ6の主走査方向と直交する副走査方向(図中の矢印方向)に搬送される。この搬送は、搬送ローラ11、ピンチローラ16、ベルト12、搬送モータ13からなる駆動機構により行う。搬送ローラ11の駆動状態(回転量、回転速度)は、ロータリーエンコーダで検出してモニターする。ロータリーエンコーダは、搬送ローラ11と共に回転する円周状のエンコーダパターン14と、それを光学的、磁気的あるいは機械的に読み取る読取部15からなる。記録媒体3は記録ヘッド7により記録された後、巻取りスプール20により巻取られ、ロール状の巻取り媒体24を形作る。巻取りスプール20は巻取りモータ21により回転し、記録媒体3に巻取りテンションを作用させるためのトルクリミッタ19を備える。プラテン2と対向する位置に位置し、図示しないフレームに支えられたヒーター25からの熱により液体状のインクの記録媒体への定着を図る。
ヒーター25はヒーターカバー26に覆われており、ヒーターカバー26はそれぞれのヒーターの熱を紙面に効率よく照射する機能と、ヒーターの保護の機能を担っている。吐出ヘッド7から吐出された液体の一例としてのインクは記録面に着弾した後にヒーター25からの熱と加熱された記録媒体3からの熱により定着が行われる。
<ヘッド構成>
図3は本発明の実施形態に用いる記録ヘッド(図1の7に図示)の吐出口の配列を模式的に示す平面図である。
ここに示す記録ヘッドには、インクを吐出するノズルが複数備えられている。このノズルは、インクを吐出する吐出口nと、これに連通する不図示のインク流路からなり、各ノズルのインク流路内には、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その発泡エネルギーでインクを吐出させる電気熱変換体が設けられている。記録ヘッドには、使用する複数色のインクそれぞれに対応した吐出口列が配列されている。本実施形態の各吐出口列は、記録媒体の搬送方向である副走査方向に沿って、1200dpiの密度で配列された1280個の吐出口から構成されている。
本実施形態における記録ヘッドは、フルカラー画像の記録を可能とするため、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクおよび水性樹脂微粒子インクを吐出する吐出口列をX方向に沿って順次配置した、いわゆる横並びヘッドとなっている。
このように構成されたインクジェット記録装置において、記録媒体は不図示の搬送ユニットから副走査方向に搬送される。記録ヘッドは、不図示の記録制御部から記録信号を受け取り、キャリッジ6と共に主走査方向に移動しつつ、記録媒体の記録領域に向かってインクを吐出する。このような記録動作と、所定量だけ記録媒体を副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことにより記録を行う。すなわち、記録ヘッドを走査させることによって画像の記録を行う。
<インク組成>
次に、本実施形態で用いるインクについて説明する。以下、「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り、質量基準である。
本実施形態で使用する顔料を含むカラーインク及び、顔料を含まない又は微量にしか含まないクリアインクは、いずれも水溶性有機溶剤を含有している。水溶性有機溶剤はヘッドフェイス面の湿潤性、保湿性の理由から、沸点が150℃以上300℃以下のものが好ましい。また、樹脂微粒子に対する造膜助剤の機能と樹脂の層が形成された記録媒体への膨潤溶解性の観点から、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系化合物、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体、N−メチル−ピロリドン、2−ピロリドンに代表されるラクタム構造を有する複素環化合物などが特に好ましい。吐出性能の観点から、水溶性有機溶剤の含有量は3wt%以上、30wt%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤とは、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール。又は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類。トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。また、水としては脱イオン水を使用することが望ましい。本発明で使用する反応液中に含有される水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されない。しかしながら、本発明で使用するカラーインク及びクリアインクは、必要に応じて所望の物性値を持たせるために、上記の成分のほかに、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤などを適宜に添加することができる。
上記の点を鑑み、本実施形態ではカラーインクとしてマゼンタインク、クリアインクとして水性樹脂微粒子インクの作成方法を記載する。
(カラーインク)
(マゼンタインク)
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸とを原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gと混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 40部
2−ピロリドン 5部
2−メチル1,3プロパンジオール 15部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
FS−3100 0.5部
(川研ファインケミカル株式会社製)イオン交換水 残部
(水性樹脂微粒子インク)
(樹脂微粒子)
本発明において「樹脂微粒子」とは、樹脂からなり、水性媒体中に分散させることが可能な粒径の微粒子を意味する。樹脂微粒子は、加熱により溶融し、記録媒体の表面に膜を形成(造膜)することによって、記録媒体の表面に顔料を定着させる機能を有するものである。樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移点Tgが、30℃超80℃未満であることを特徴とする。30℃以下の場合、樹脂のTgと室温との差が小さく、インク中でも樹脂微粒子が溶融状態に近い状態にあるため、インクの粘度が上昇し、インクの吐出不良により画像の発色性が低下する場合がある。80℃以上の場合は、樹脂微粒子を溶融させるために多くの熱が必要になり、インク中の水分の蒸発に伴う顔料の凝集が起こるより前に、樹脂微粒子を溶融させることができなくなり、画像の発色性が低下する場合がある。樹脂のTgは、31℃以上79℃以下であることが好ましく、40℃以上60℃以下であることがより好ましい。
樹脂微粒子を構成する樹脂としては、ガラス転移点Tgが前記範囲を満たすものであれば特に限定されない。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルキルアミドなどのモノマーを乳化重合するなどして合成したアクリル樹脂微粒子;(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルキルアミドなどとスチレンのモノマーを乳化重合するなどして合成したスチレン−アクリル樹脂微粒子;ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリウレタン樹脂微粒子、スチレン−ブタジエン樹脂微粒子などが挙げられる。また、樹脂微粒子を構成するコア部とシェル部でポリマーの組成が異なるコアシェル型樹脂微粒子や、粒径を制御するために予め合成したアクリル系微粒子をシード粒子とし、その周辺で乳化重合することにより得られる樹脂微粒子などでもよい。更には、アクリル樹脂微粒子とウレタン樹脂微粒子など異なる樹脂微粒子を化学的に結合させたハイブリッド型樹脂微粒子などでもよい。
また、「水中に分散している状態で存在するポリマー微粒子」とは、解離性基を有するモノマーを単独重合または複数種を共重合させて得られる樹脂微粒子の形態、いわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体でもよい。ここで解離性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。さらには、乳化剤により樹脂微粒子を分散させた、いわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体でもよい。乳化剤としては、低分子量、高分量に関わらずアニオン性の電荷を有する材料を用いることができる。
本発明においてスルホン酸基を有する樹脂微粒子としては、水に対し不溶であり、一般的に用いられるいかなる樹脂成分で構成された樹脂微粒子でも使用可能である。
樹脂微粒子を構成する樹脂成分は、スルホン酸基を含む樹脂であれば特に限定されず、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、或いは本発明のために新規に開発された高分子等、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。特に、一般的に使用でき、樹脂微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される、ラジカル重合性不飽和結合を有する単量体成分の重合体或いは共重合体を使用できる。
本発明で用いられるスルホン酸基を有する親水性ラジカル重合性不飽和単量体(以下、モノマーと記す)としては、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸とそれらの塩等が挙げられる。
又、親水性モノマーとして、スルホン酸基を有する上記モノマーの他に、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等をあわせて用いてもよい。
又、疎水性モノマーと分類されるモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
本発明にかかる製造方法で用いられるラジカル重合性モノマーは、水系析出重合を経てスルホン酸基を有する樹脂微粒子を構成する成分であるので、得たい樹脂微粒子の特性によって適宜に選択すればよい。本発明の製造方法においても、従来から公知であるラジカル重合性モノマー、又は本発明のために新規に開発されたラジカル重合性モノマーのいかなるものでも使用できる。
本発明においては特に、スルホン酸基を有する樹脂微粒子を、上述したうち、少なくとも1種類のスルホン酸を有する親水性モノマーと、少なくとも1種類の疎水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体からなる構成とすることは、分散安定性と好適な記録特性を有する水性インクジェット記録用インクを得る点で好ましい。即ち、樹脂微粒子を作製する際に、例えば、使用する重合開始剤の種類や濃度、構成するモノマーの種類や共重合比率等の多くの制御因子によって、色材表面に固着する樹脂微粒子の種々の特性等を、適宜に制御することが可能である。
ラジカル重合反応条件は、使用する重合開始剤及び分散剤、モノマーの性質によっても異なるが、例えば、反応温度は100℃以下とし、好ましくは40℃以上80℃以下の範囲である。又、反応時間は、1時間以上、好ましくは6時間以上30時間以下である。反応中の撹拌速度は、50rpm以上500rpm以下、好ましくは150rpm以上400rpm以下とするのが望ましい。
前述した工程において、特に少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくともスルホン酸基を含む親水性モノマーとを重合させてスルホン酸基を有する樹脂微粒子を得る際には、好ましくは前記モノマー成分を、水性ラジカル重合開始剤を含んだ水分散体中に滴下することが望ましい。疎水性モノマーと親水性モノマーのように性質の異なるモノマーの混合物から、所望のスルホン酸基を有する樹脂微粒子を均一に得るためには、前記性質の異なるモノマーの共重合比率を常に一定に保つことが望ましい。前記モノマーの混合物を一定時間内に重合反応で消費されるモノマー量に比して過剰に重合系内に添加した場合、特定のモノマー種のみが先行して重合し、残りのモノマーは先行で重合したモノマーが消費されてから重合する傾向があり、この場合生成するスルホン酸基を有する樹脂微粒子の性質に大きな不均一が生じる。
親水性モノマー成分の含有量の大きい樹脂成分に至っては、その高い親水性によって析出できず、スルホン酸基を有する樹脂微粒子を形成できずに水溶性樹脂成分として系内に残存してしまう場合がある。前記した樹脂微粒子の合成方法は公知である樹脂微粒子の一般的な合成方法によって実施され得る。
本発明では、先ず、分散剤として機能する水溶性樹脂にて不溶性樹脂微粒子を分散することによって水分散体とする。この工程により得られた樹脂微粒子は、スルホン酸基を有する樹脂微粒子であり、単独での分散安定性に優れている。以降、上記製造方法における好ましい実施形態を詳しく述べる。
本実施形態において、具体的な樹脂微粒子の分散方法について説明する。
まず、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モータで撹拌しながら下記3つの添加液を少しずつ滴下して加え、5時間重合を行った。各添加液は、メタクリル酸メチル28.5部からならなる疎水性モノマー、p−スチレンスルホン酸ナトリウム4.3部と水30部からなる親水性モノマーを含む混合液、過硫酸カリウム0.05部と水30部からなる重合開始剤を含む混合液である。
得られた樹脂微粒子が、インク中に10%になるように、下記成分を混合し、さらに、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧濾過し、水性樹脂微粒子インクとした。
2−ピロリドン 5部
2−メチル1,3プロパンジオール 15部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
FS−3100 0.5部
(川研ファインケミカル株式会社製)イオン交換水 残部
界面活性剤は、非浸透性記録媒体への濡れ性を向上させる目的のために使用される。界面活性剤の添加量が多いほどインクの表面張力を低下させる性質が強くなり、記録媒体に対するインクの濡れ性と浸透性が向上する。界面活性剤アセチレングリコールEO付加物やフッ素系、又はシリコーン系の界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素系、又はシリコーン系の界面活性剤は、少量の含有量でもインクの表面張力を低下させることができるため、記録媒体に対する、インクの濡れ性を高めることができる。これにより、非浸透性の記録媒体に記録を行う際も、インクが記録媒体の表面で弾かれる現象が抑制され、画像品質をさらに向上させることができる。
フッ素系、又はシリコーン系の界面活性剤としては、以下、全て商品名で、例えば、Zonyl FSO、Zonyl FSO100、Zonyl FSN、Zonyl FSN100、Capstone FS−3100(以上、Dupont製);メガファックF−410、メガファックF−493、メガファックF−443、メガファックF−444、メガファックF−445(以上、DIC製);Novec FC−4430、Novec FC−4432(以上、3M製);フタージェント100、フタージェント150、フタージェント150CH、フタージェント250、フタージェント400SW、フタージェント501(以上、ネオス製);KS508、KP360A、KP360A(以上、信越シリコーン製);FZ−2191、FZ−2123、8211ADDITIVE(以上、東レダウコーニング製);などが挙げられる。
本実施例の場合、界面活性剤を添加し、好ましい表面張力として30dyn/cm以下に調整した。表面張力の測定は、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を使用した。なお、インクの表面張力を測定できるのであれば、測定器は上記例示したものに限定されるものではない。
また、本実施形態のインクはどれもアニオン系の色材を使用しているため、そのインクのpHはアルカリ側で安定しており、その値は8.5〜9.5となっている。インクと接触する部材からの不純物溶出や部材を構成する材料の劣化、インク内の顔料分散樹脂の溶解性の低下などを防止する観点から、一般的にはインクのpHは7.0以上10.0以下であることが好ましい。pHの測定は、株式会社堀場製作所製のpH METER型式F−52を使用した。なお、インクのpHを測定できるものであれば、測定器は上記例示したものに限定されるものではない。
<加熱機構>
本発明の記録方法は、インクが付与された非浸透性記録媒体上の樹脂微粒子を加熱することで、樹脂微粒子を溶融させ、また、インク中の溶媒を蒸発させることにより、顔料を記録媒体に定着させることができる。そのため、加熱温度は樹脂微粒子の最低造膜温度以上であることが望ましい。また、加熱中にインク中の溶剤などの液体成分の大半を蒸発させる必要があるため、液体成分の大半の蒸発に必要なエネルギーが供給されるための加熱時間を確保するだけの記録媒体搬送方向の温度分布を持つ構成となっている。
なお、本発明にいう「最低造膜温度MFT」とは、樹脂微粒子が加熱によって溶融し、樹脂膜を形成(造膜)するために必要な最低温度のことを意味する。MFTは、最低造膜温度測定装置を用いて容易に測定することができる。この最低造膜温度測定装置においては、温度勾配をつけた熱伝導性の高い金属プレートの上に、樹脂微粒子を含むインク(顔料、水、水溶性溶剤、樹脂微粒子を少なくとも含む)を広げ、乾燥皮膜を形成する地点の温度を最低造膜温度として測定する。本発明においては、断りのない限り、MFTはインク形態での樹脂微粒子の最低造膜温度を意味し、顔料などの色材や水溶性溶剤を含まない、水分散液での最低造膜温度を意味するものではない。
また、本発明の記録方法においては、少なくともインクが付与された非浸透性記録媒体の表面を加熱する工程を有するが、前記非浸透性記録媒体のうち、インクが付与された領域近傍から副走査方向下流側の部分を加熱する工程を有する。
加熱機構は具体的には、熱で変形しにくいダイカスト製法で作製したアルミニウム合金製のプラテンの下部に、ニッケル合金製のヒーターを配置し、前記ヒーターにより前記プラテンを加熱し、前記プラテンにより加熱を行う方法などが挙げられる。また、シーズヒーターやハロゲンヒーターと熱反射板を用いて記録媒体の表面を加熱する方法などが挙げられる。
本実施形態においては、加熱温度は50℃から120℃が好ましい。50℃未満ではインク中に含まれる溶剤がインク膜中に多量に残存してしまう可能性があり、また120℃以上の加熱温度に対しては、記録媒体が変形などを起こしてしまう可能性がある。
<制御系構成>
図4は、本実施形態における制御系の概略構成を示すブロック図である。
主制御部1は、演算、選択、判別、制御などの処理動作を実行するCPU2と、CPU2によって実行すべき制御プログラム等を格納するROM3と、記録データのバッファ等として用いられるRAM4、および入出力ポート5等を備えている。そして、入出力ポート5には、搬送モータ(LFモータ)10、キャリッジモータ(CRモータ)11、記録ヘッド12及び加熱機構13におけるアクチュエータなどの各駆動回路6,7,8,9が接続されている。また、入出力ポート5には操作パネル15が接続されており、前記制御プログラムの操作を行うことができる。さらに、主制御部1はインターフェース回路14を介してホストPC16に接続されている。プリンタはホストPC16にインストールされたソフトウェアによって制御される。
<定着処理>
本実施例の定着工程を図1及び図2を用いて説明する。
上記本体構成で説明したように、プラテン2と対向する位置にヒーター25が設けられ、このヒーターからの熱により液体状のインクの水溶媒等の蒸発を促進し記録媒体への定着を図る。
ヒーター25はヒーターカバー26に覆われており、ヒーターカバー26はそれぞれのヒーターの熱を紙面に効率よく照射する機能と、ヒーターの保護の機能を担っている。吐出ヘッド7から吐出された液体の一例としてのインクは記録面に着弾した後にヒーター25からの熱と加熱された記録媒体3からの熱により定着が行われる。ヒーター25とメディアを挟んで対向する位置には、記録媒体3を保持するとともにヒーター25から放出され記録媒体3を透過した赤外線等が外部に放出されるのを防ぐとともに、赤外線を吸収または反射することにより加熱効率を向上させる役割を担っている。
図中に示した27は温度センサーであり加熱中のメディアの温度を所定の位置で測定できるようヒーター25付近に設けられている。
事前測定はまずヒーター25の予熱を行うことから開始される。通常の記録動作と同様に所定温度まで加熱されると記録動作が開始され、記録メディアがロードされ記録開始位置にセットされる。セットされたメディアを通常の記録動作と同様にキャリッジのスキャン、紙送り等を行いながら、記録動作と同じ動作を行わせる。記録メディアが温度測定部に達したのち温度の測定結果を順次本体に備わったRAM4記録する。測定された結果は記録装置本体のROM3に記憶されている目標温度と比較され、加熱条件の調整がなされる。すなわち、想定温度よりも高い場合には加熱条件を低下させ想定温度よりも低い場合には加熱条件をさらに強化し目標温度に達するよう制御を行う。調整された制御結果および最終的な電圧・電流量・送風風量等の設定値は本体のRAM4に一時的に記録され、最終的にはROM3に選択されているメディアの情報とともに記憶される。ROM3に記録された情報は次回記録時にROM3より呼び出され使用されるため、すでに記録動作が行われた記録メディアに関しては毎回測定を行う必要はない。
次に特定のパターンを記録し、温度の測定を行う。
記録パターンはそれぞれデューティーが異なったパターンとなっており、本実施例の場合は図5のようなパターンを用いた。このパターンは排紙方向から順に濃度が上昇するパターンを配置している。パターンは本体の温度センサーが検知する位置に設けられており、各パターンの加熱中または加熱直後の温度を測定するよう構成されている。このような構成により記録ヘッドによりインクを付与した部分の温度を測定することにより各パターンの乾燥状態を推定することが可能である。
インク中の水分が蒸発する過程においては先の事前測定により判明した加熱条件では所定温度に達しないか、または所定温度に達するまでに想定以上の時間がかかってしまう。そのため出口付近で乾燥が終了していない場合は、温度センサー27により温度差が測定される。通常は温度の測定結果によりヒーターにフィードバックが行われ加熱条件を変更することにより温度を保持し、設定された加熱の条件での乾燥を行うよう制御するが、インクの付与量いわゆる記録デューティーが過剰に高い場合には加熱を行っても記録モードや条件によって決まる所定時間内に乾燥が終了せず温度が想定温度に達しない場合が生ずる。
一般にはこのような未乾燥の状態が生ずる可能性が高い場合には、前に述べた参考文献のように記録モードン変更により記録パス数を増やす、スキャン間にウエイトを入れる等記録条件を変更することにより自動的にこの問題を回避する手段がとられる場合がある。
一方で本実施例のような記録装置に関しては、商業用に用いられるケースがほとんどでありこのような業者においては記録装置に備わった乾燥装置のほかに後工程用として独自の乾燥装置を追加するような用途に合った改造が行われるケースがある。また、従前の経験からメディア・インク付与量等により想定される乾燥状態等を把握している場合もありこのような場合には記録モードの変更やウエイト時間の追加等を記録装置独自で行うことは、単位時間あたりの作業量低下等を招くため望ましくない場合がある。したがって本実施例では事前測定の結果と記録前に受信した記録データからの予測結果により乾燥状態が不良と判断された場合には、一旦ユーザー側に警告を行い、特にユーザーからの操作がなければ記録動作を開始するように構成している。これは無人運転等の場合に対応するもので、通常通り停止した状態のままユーザーの操作を待つ構成にすることも可能である。また、前期の参考文献のように自動で記録条件の変更を行う構成にしても良い。
このような事前計測によるメディア加熱状態の把握は、各記録動作の前に行ってもよいが、通常使用するメディアはユーザー・客先で事前に決まっていることが多く、一般には変更されることは少ない。そのような場合では一度測定した値をROM3に記録しておき、次回記録時に指定されたメディアが以前に事前測定を行ったものであれば以前の測定値を使用して加熱・乾燥条件を設定することもできる。
本実施例では加熱手段として一般にシーズヒーターと呼ばれる加熱手段を用いたが、温風による加熱、メディアを下部から接触する部材により加熱を行うシート状のヒーター等を用いることも可能である。
一般には本実施例で用いたような商業用の大判記録装置では、事前にこれから行われる記録データを記録装置側ですべて把握することは困難な場合がある。本体内でなく制御側のホストPC16によって本体でラスタライズが行われる前に判定を行うことも可能であるこの場合には事前の測定とホストPC内のデータを関連付ける必要があるため、事前に測定した結果と記録したパターンの情報をホストPCに戻し、これらの結果とホスト側が受信すると予想される画像情報の特にインク使用にかかわる情報とを事前に関連付けておく必要がある。事前警告を記録動作全域にわたるデータを解析した上で行うことが困難な場合には、記録開始時にその時点で把握できたデータのみで必要であれば警告を行い、警告が必要ない場合にはそのまま記録動作を開始、記録を行いながら順次データをチェックすることも可能である。またこのような場合にはさらに加えてリアルタイムで実画の記録を行いながら、実際に記録されたインクの表面温度のモニターを行い、温度低下が検出され、乾燥不足が懸念される場合にはその場で警告を行うような構成も可能である。
(第2の実施形態)
本実施例の実施形態は、インクは色材を含んだインク、水溶性樹脂を含んだ水性樹脂微粒子インクを用いているが、場合によってはインクに含まれる顔料と反応して該顔料を凝集又は不溶化させる反応性成分を含有してなる反応液を記録に用いることもできる。
反応液を付与することによりインク付与量が増加し、それに伴い蒸発が必要な水分量・溶剤量が増加する。またインク中の色材成分、例えば有機顔料と反応液の反応により色材成分が凝固し、インク中の水分・溶剤等を内部に包含したまま凝固してしまうため、より乾燥が困難になる。以下に反応液処方の例を示す。
<インク組成>
(反応液)
本発明で使用する反応液は、インクに含まれる顔料と反応して該顔料を凝集又は不溶化させる反応性成分を含有してなる。上記反応性成分とは、具体的には、イオン性基の作用によって水性媒体中に安定に分散又は溶解されている顔料を有するインクと記録媒体上などで混合された場合に、該インクの分散安定性を破壊することができる成分をいう。より具体的には、有機酸、金属塩(特には多価金属のイオン及びその塩)及びカチオン性高分子から選ばれる、少なくとも1種である。以下、これらの反応性成分について、それぞれ説明する。
<反応性成分>
(有機酸)
本発明において、反応液の反応性成分として用いる有機酸としては、水に可溶なものが望ましい。有機酸の具体例としては、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸などを挙げることができる。有機酸の含有量は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上70.0質量%以下であることがより好ましい。
(多価金属塩)
本発明を構成する反応液の反応性成分として用いることのできる好ましい多価金属イオンとしては、具体的には、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+などの二価の金属イオンが挙げられる。さらに、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+などの三価の金属イオンも挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの多価金属イオンを反応液中に含有させるためには、多価金属の塩を用いるとよい。塩とは、上記に挙げたような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、水に可溶なものであることを要する。塩を形成するための好ましい陰イオンとしては、例えば、Cl−、NO3−、I−、Br−、ClO3−、SO42−、CO32−、CH3COO−及びHCOO−などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、反応性や着色性、さらには取り扱いの容易さなどの点から、多価金属イオンとしては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+が特に好ましく、中でも、Ca2+が特に好ましい。また、多価金属イオンと塩を形成するための陰イオンとしては、安全性などの点から、メタンスルホン酸が特に好ましい。したがって、本発明において用いる金属塩は、メタンスルホン酸カルシウム(東京化成工業株式会社製)とした。
以下、反応性成分として多価金属塩を用いた場合の樹脂微粒子及び顔料粒子との反応性について説明する。
多価金属塩は、塩濃度が高くなることで、分散粒子の水和構造を破壊し、粒子同士の凝集を進行する。つまり、立体障害のみで分散している粒子以外の分散形態をとる粒子においては、分散破壊を一律に進めていくことが予想できる。本実施形態においては、反応性成分をメタンスルホン酸カルシウムとした反応液2を作製した。前記反応液2は、樹脂微粒子及び顔料粒子の両方の分散形態を破壊する比較例1として使用した。また、反応性成分として上記したような金属塩を含有してなる反応液は、顔料を含まず、無色であることが好ましいが、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。すなわち、可視域に吸収を示すとしても、実質上画像に影響を与えない範囲であれば可視域に吸収を示すものであってもかまわない。
(カチオン性高分子)
本発明において、反応液の反応性成分として用いるカチオン性高分子としては、水に可溶なものが好ましい。カチオン性高分子の具体例としては、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミンスルホン酸塩、ポリビニルアミン塩酸塩、キトサン酢酸塩などを挙げることができる。また、この他に、ノニオン性高分子物質の一部をカチオン化したビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体などを挙げることができる。勿論、本発明は、これらの化合物に限定されないことはいうまでもない。
本発明では、カチオン性高分子の代表例として、ポリアリルアミン塩酸塩(PAA−HCL−03/ニットーボーメディカル株式会社製)を用いた。以下、反応性成分としてカチオン性高分子を用いた場合の樹脂微粒子及び顔料粒子との反応性について説明する。カチオン性高分子は、樹脂微粒子及び顔料粒子の水和構造を破壊する場合と、自己の析出の二通りが考えられる。つまり、酸としてカチオン性高分子の方が強い場合には、カチオン性高分子の水和構造は破壊されない(イオン状態を保つ)が、粒子側の水和構造を破壊する。一方で、カチオン性高分子の方が酸として弱い場合には、カチオン性高分子の水和構造が破壊され、自身が析出する。つまり、粒子側の酸が弱い場合には粒子側を凝集させ、粒子側の酸が強い場合には自身が析出することで分散粒子を凝集させると予想できる。本実施形態においては、反応性成分をポリアリルアミン塩酸塩とした反応液3を作製した。前記反応液3は、樹脂微粒子及び顔料粒子の両方の分散形態を破壊する比較例2として使用した。
また、反応性成分としてカチオン性高分子を含有してなる反応液は、無色であることが好ましいが、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。すなわち、可視域に吸収を示すものであっても、実質上、画像を形成した場合に、画像に影響を与えない範囲であれば、可視域に吸収を示す淡色のものであってもかまわない。
<反応液の作製>
反応液の作製は、上記反応性成分の種類に応じて3種類作製した。
(反応液1)
グルタル酸 3部
2−ピロリドン 5部
2−メチル1,3プロパンジオール 15部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
FS−3100 0.5部
(川研ファインケミカル株式会社製)イオン交換水 残部
(反応液2)
メタンスルホン酸カルシウム 5部
2−ピロリドン 5部
2−メチル1,3プロパンジオール 15部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
FS−3100 0.5部
(川研ファインケミカル株式会社製)イオン交換水 残部
(反応液3)
ポリアリルアミン塩酸塩 1.5部
2−ピロリドン 5部
2−メチル1,3プロパンジオール 15部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
FS−3100 0.5部
(川研ファインケミカル株式会社製)イオン交換水 残部
本実施例のように反応系のインクセットを使用する場合には乾燥および樹脂の溶融によるメディア基材への結着が反応システムを使用しない場合に比較してより困難になるため、表面情報に頼る温度のみの測定結果よりもメディア基材との結着力を直接測定できる物理的な力による判定が重要となる。本来はメディアに結着する樹脂が反応液により結着作用が弱まるため、樹脂との結着力反応液の量、インクとの打ち込み順、時間間隔それぞれの液とメディアの親和性等により変化する為である。
従って本実施例ではプローブ型の接触部材30による定着確認を行うシステムを用いている。プローブの形状は所定の圧力により乾燥後または未乾燥の表面を擦過により判別できるものが必要とされる。先端の形状、摩擦係数等も用途によって最適なものを選択する必要がある。一例としてはアクリル樹脂、スチレン樹脂、ABS、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂類やEPDM、塩素化ブチルゴム、ウレタンゴム等のゴム素材、ガラス、アルミ、銅等の金属類、人間の爪に近い結果が得られるため動物の角、爪等が素材としてあげられる。これらを所望の形状に成型、切削等で加工を行い、試験に供する。また形状も本例では棒状の先端を接触させているが、例えばローラ状の形状のものや、上記のような素材で布、不織布等の柔軟性を持った素材を保持したもの等を用いることができる。
接触部材30により接触を行わせるパターンは図8に示したようなものを使用する。図8に示したパターンでは本体の接触部材31が通過する位置に濃度差を向けたパッチを配置し、パッチの後方に空白の判定部分を設け部分にこの部分に接触部材32による接触の痕跡が発生するかどうかにより乾燥・未乾燥の判定を行う。
本実施例の構成の概略を図9に示した。各パッチは選択されたメディアに対しあらかじめ決められた所定の濃度を記録するよう構成されている。各パッチの記録動作と乾燥は連続的に行われる。記録命令を受信すると記録ヘッド7で記録が行われる。キャリッジ6が記録動作を継続している間に、記録が終了した部分は順次メディア搬送に従って乾燥装置25に送り込まれる。乾燥装置25により乾燥させた後、擦過部分に到達する。記録が行われたメディアの記録エリアに当接支持部材31上で当接部材30と接触する。記録エリアに記録が行われた各濃度の記録パッチが未乾燥の場合には接触部材により判定エリア32に接触痕が残ため未乾燥の状態であることが判別できる。パッチを記録、乾燥後所定の時間保持し乾燥を行ったが、巻き戻し時に未乾燥のインクが付着するのを防止する為である。時間短縮のためには巻き戻しながら再度ヒーター3によって加熱を行い、乾燥を促進しても良い。
一旦全パッチの記録動作および乾燥が終了し、記録部分の後端部が乾燥装置25より外部に搬送されて記録が終了すると(S−10)、乾燥を待ってから(S−11)記録メディアはいったん巻き戻される(S−12)。本体に搭載されたキャリッジ上の光学センサーで判定部分32をスキャンしながら読み取りが行われ、別途定めた図10のような判定シーケンスに基づき擦過による定着判定を行う(S−13)。
結果が定まったら本体のROM3に対して記録メディア、環境条件等と紐づけた定着情報を記録し(S−15)、動作を終了する。この値は次回メディアが交換されるまで使用することが可能であると同時にユーザーにより再度同じメディアが搭載された場合には、ユーザーから再度メディアの特性を取得し直す指示がない場合にはROM3から呼び出して使用することもできる。
別途定められた判定シーケンスは図10に示したものを使用した。
本実施例の場合にはキャリッジに付属された光学式のセンサーにより判定エリア32の読み取りを行う。読み取られた判定エリア32に付着したインクによる色調変化により乾燥状態か否かの判別を行う(S−14)。
1 筐体、2 プラテン、3 記録媒体、4 RAM、5 メインレール、
6 キャリッジ、7 記録ヘッド、8 キャリッジモータ、9 ベルト、
10 エンコーダパターン、11 キャリッジモータ、12 ベルト、
13 搬送モータ、14 インターフェース回路、15 読取部、
16 ピンチローラ、18 給紙スプール、19 トルクリミッタ、
20 巻取りスプール、21 巻取りモータ、23 給紙媒体、
24 ロール状の巻取り媒体、25 ヒーター、26 ヒーターカバー、
27 温度測定部、30 当接部材、31 当接支持部材、32 判定エリア、
33 記録エリア

Claims (6)

  1. 加熱により溶融する樹脂成分を少なくとも1つのインクに含むことを特徴とするインクセット、インクを吐出する記録ヘッドと前期記録ヘッドから吐出されたインクを加熱乾燥させる乾燥装置、前記乾燥装置により加熱される記録メディアの温度を取得する温度取得手段と、インクの乾燥が不十分と想定される場合にユーザーに警告を与える警告手段と、
    を備え、所定の記録パッチを前記温度測定手が通過する部分に対して記録を行い、記録を行った部分の温度を前記温度取得手段により測定し、前記メディア上のインク温度から乾燥状態を判定する第1の判定手段により乾燥状態を判定し、実際の記録動作を行う際に画像濃度や記録条件と前記判定手段の判定結果から乾燥状態を推定し乾燥が不十分になると予測される場合にはユーザーに警告を与えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  2. 前記加熱条件や判定結果を記録する判定結果記録手段を有し、加熱条件や判定結果を記録メディアや記録モードのメディア・本体に属する情報を記録手段に記録しておき、次回判定結果のある記録メディアが選択された場合には前記判定結果記録手段から読み込んだ加熱条件、判定結果を使用して記録を行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 記録画像、加熱条件から乾燥のための最適条件を判定する最適条件判定手段を備え、記録動作に先立って、前記乾燥判定手段により判定された結果に基づいて乾燥判定手段により乾燥不足であることを前記警告手段によりユーザーに警告を行った後、前記最適条件判定手段により判定された条件への条件調整できるよう条件をユーザーに提示することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 記録動作中にも前記温度取得手段を動作させ、記録中の記録メディアの状態を事前測定の際と同様に監視しながら、並行して前記判定手段を動作させ、記録動作に伴い乾燥不足の状態が発生した場合にも前記警告手段によって警告を行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  5. 各記録メディアに対して初期設定としての加熱条件を記録しておく記録領域と、前記初期設定された加熱条件を補正する補正手段と、記録されたインクの温度を測定することによりインクの乾燥状態を判定する判定手段と、初期設定されている加熱条件によりメディアの加熱を行い、加熱した際の記録メディアの温度から前記補正手段により加熱条件の補正を実施することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  6. 加熱により溶融する樹脂成分を少なくとも1つのインクに含むことを特徴とするインクセット、インクを吐出する記録ヘッドと前期記録ヘッドから吐出されたインクを加熱乾燥させる乾燥装置、インクの乾燥が不十分と想定される場合にユーザーに警告を与える警告手段と、記録範囲の所定の位置に配置される乾燥終了後の記録メディアの表面に接触する接触部材と、紙面上に記録の為に付与されたインクの濃度を読み取るセンサーとを備え、前記センサーにより読み取った結果から乾燥状態を判定する第2の判定手段を備え、事前動作で記録ヘッドにより記録を行い、乾燥装置により乾燥を行った後、記録部位に前記接触部材を接触させ、接触部のまたは接触部に近接する部分をセンサーで読み取り、読み取り結果から前記第2の判定手段により乾燥状態を判定し、実際の記録動作を行う際に画像濃度や記録条件と前記第2判定手段の判定結果から記録画像の乾燥状態を推定し乾燥が不十分になると予測される場合にはユーザーに警告を与えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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