以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。なお、図中にX軸、Y軸、Z軸が記載されている場合、各軸は互いに直交している。そしてX軸方向は、歩行支援装置10から見て前方に向かう方向を示し、Y軸方向は、歩行支援装置10から見て左に向かう方向を示し、Z軸方向は、歩行支援装置10からみて鉛直上方に向かう方向を示している。以降では、歩行支援装置10に対して、X軸方向を“前”、X軸方向に対して反対方向を“後”とし、Y軸方向を“左”、Y軸方向に対して反対方向を“右”、Z軸方向を“上”、Z軸方向に対して反対方向を“下”とする。また以降では、フレームの前後方向を「フレーム前後方向」と記載する。
●[歩行支援装置10の概略全体構成(図1〜図3)]
図1を用いて、歩行支援装置10の概略全体構成を説明する。歩行支援装置10は、フレーム50と、前輪60FL、60FRと、後輪60RL、60RRと、走行用駆動手段64L、64Rと、バッテリB(電源)と、制御装置40と、持ち手20L、20Rと、シャフト21L、21Rと、筒状部30L、30R、バッグ50K等を有している。
フレーム50は、上下方向に延びて筒状部30L、30Rを支持する筒状部支持体51L、51Rと、フレーム50に対する前後方向であるフレーム前後方向に延びて車輪を支持する車輪支持体52L、52R等を有している。車輪支持体52Lは筒状部支持体51Lの下方に固定され、車輪支持体52Rは筒状部支持体51Rの下方に固定されている。また図2は、フレーム50を左右方向に開いた状態を示し、図3は、フレーム50を左右方向に折り畳んだ状態を示している。なお図2及び図3ではバッグ50Kを省略している。図2及び図3に示すように、筒状部支持体51Lと筒状部支持体51Rは、リンク部材54L、54R、55L、55Rにて接続されている。そして図2及び図3に示すように、歩行支援装置10は、使用していない場合では、図3に示すように折り畳むことで、占有スペースを小さくできるので便利である。
また歩行支援装置10は、左右に折り畳まれた図3に示す状態から、左右に開いた図2に示す状態へと、容易に変更することができる。また、筒状部支持体51Lと筒状部支持体51Rの上方の側には、弾性変形可能な連結体53が設けられている。使用者は、フレーム50の開放されている側(後方)から筒状部30Lと筒状部30Rの間に入り、左右の手で持ち手20Lと持ち手20Rを把持して、歩行支援装置10を操作する。
筒状部支持体51Lの上端には筒状部30Lが保持され、筒状部支持体51Lの下方の側には、車輪支持体52Lが固定されている。なお筒状部支持体51Lは上下方向に伸縮可能とされており、腕を振りながら歩行する使用者の手の高さに応じて、筒状部30Lの高さを調整可能とされている。また車輪支持体52Lの前方の側には、旋回自在なキャスタ輪である前輪60FLが設けられており、車輪支持体52Lの後方の側には、走行用駆動手段64Lにて駆動される後輪60RLが設けられている。なお、筒状部支持体51R、筒状部30R、車輪支持体52R、前輪60FR、走行用駆動手段64R、後輪60RRも同様であるので、これらの説明は省略する。上記のように、フレーム50には複数の車輪(前輪60FL、60FR、後輪60RL、60RR)が設けられており、少なくとも1つの車輪(この場合、後輪60RL、後輪60RR)は、駆動輪である。
走行用駆動手段64Lは、例えば電動モータであり、バッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40からの制御信号に基づいて、後輪60RLを回転駆動する。同様に、走行用駆動手段64Rは、例えば電動モータであり、バッテリBから供給される電力に基づいた制御装置40からの制御信号に基づいて、後輪60RRを回転駆動する。
また走行用駆動手段64Lには、エンコーダ等の進行速度検出手段64LEが設けられており、走行用駆動手段64Lの回転に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、進行速度検出手段64LEからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度(後輪60RLによる進行速度)を検出することができる。同様に、走行用駆動手段64Rには、エンコーダ等の進行速度検出手段64REが設けられており、走行用駆動手段64Rの回転に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度(後輪60RRによる進行速度)を検出することができる。
筒状部30Lは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Lを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。同様に、筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、フレーム前後方向に延びるシャフト21Rを、フレーム前後方向に移動可能となるように収容している。筒状部30Lと筒状部30Rは、左右一対で設けられている。
シャフト21R(スライド部に相当)は、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ(図4参照)、筒状部30R内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Rの後端部には、方向可変機構80Rを介して持ち手20Rが固定されている。同様に、シャフト21L(スライド部に相当)は、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有して少なくとも一部が中空状とされ、筒状部30L内に収容されてフレーム前後方向に移動可能とされている。そしてシャフト21Lの後端部には、方向可変機構80Lを介して持ち手20Lが固定されている。シャフト21Lとシャフト21Rは、左右一対で設けられている。
持ち手20Lは、使用者が左手で把持する個所であり、シャフト21Lの後端部に、方向可変機構80Lを介して取り付けられており、使用者の歩行に伴う左腕の振りに合わせて、筒状部30Lに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Lとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Lには、後輪60RLの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。同様に、持ち手20Rは、使用者が右手で把持する個所であり、シャフト21Rの後端部に、方向可変機構80Rを介して取り付けられており、使用者の歩行に伴う右腕の振りに合わせて、筒状部30Rに対して(すなわち、フレーム50に対して)シャフト21Rとともに、フレーム前後方向に移動可能とされている。なお、持ち手20Rには、後輪60RRの回転を減速させるブレーキレバーBKLが設けられている。持ち手20Lと持ち手20Rは、左右一対で設けられている。
なお、後述するように、持ち手20L、20Rは、方向可変機構80L、80Rにて、フレーム前後方向に沿う略水平方向とされた手押支援状態(図1、図12参照)と、略鉛直方向に対してフレームの前方に向かって第1傾斜角度θ1にて傾斜した腕振支援状態(図14参照)と、に方向を変更可能である。また、方向可変機構80L、80Rのそれぞれには、後述するように、持ち手20L、20Rのそれぞれの方向が、手押支援状態と腕振支援状態のいずれであるかを検出可能なロック状態検出手段85L3、85R3が設けられている。制御装置40は、ロック状態検出手段85L3、85R3からの検出信号に基づいて、持ち手20L、20Rのそれぞれが、手押支援状態と腕振支援状態のいずれの方向であるか、検出することができる。
また詳細は後述するが、方向可変機構80L、80Rは、筒状部30L、30Rに対してシャフト21L、21Rのフレーム前後方向のスライドの移動範囲を基準位置の近傍に拘束する「ロック状態」(図12参照)と、当該ロック状態を解除する「解除状態」(図13、図14参照)と、を切り替え可能なロック機構を備えている。「ロック状態」では、シャフト21L、21R及び持ち手20L、20Rのフレーム前後方向の移動範囲は、シャフト基準位置の近傍の前後規制範囲R3内(図8参照)に規制される。「解除状態」では、シャフト21L、21R及び持ち手20L、20Rの移動範囲は、前後規制範囲R3を超える範囲に許容される(図14参照)。
筒状部30L内には、持ち手20Lの状態を検出可能な持ち手状態検出手段21LSが設けられている。例えば持ち手状態検出手段21LSはエンコーダであり、シャフト21Lのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30L内におけるシャフト21Lのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Lのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、持ち手状態検出手段21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Lに対する)持ち手20Lのフレーム前後方向の位置である(左)持ち手前後位置を求めることができる。
同様に、筒状部30R内には、持ち手20Rの状態を検出可能な持ち手状態検出手段21RSが設けられている。例えば持ち手状態検出手段21RSはエンコーダであり、シャフト21Rのフレーム前後方向の動きに応じて回転し、筒状部30R内におけるシャフト21Rのフレーム前後方向の位置(すなわち、持ち手20Rのフレーム前後方向の位置)に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、持ち手状態検出手段21RSからの検出信号に基づいて、フレーム50に対する(筒状部30Rに対する)持ち手20Rのフレーム前後方向の位置である(右)持ち手前後位置を求めることができる。
操作パネル70は、例えば筒状部30Rの上面に設けられており、図15に示すように、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76、警告表示部77等を有している。なお、操作パネル70の詳細については後述する。
3軸加速度・角速度センサ50Sは、フレーム50に設けられており、X軸・Y軸・Z軸の3方向の軸のそれぞれに対して加速度を計測するとともに、3方向のそれぞれの軸を中心とした回転の角速度を計測し、計測結果に基づいた検出信号を制御装置40に出力する。例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10が傾斜面を進行している場合、X軸・Y軸・Z軸のそれぞれに対する歩行支援装置10の傾斜角度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10の車体に加えられた加速度(例えば、車体への衝撃)を検出し、検出した加速度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。また、例えば3軸加速度・角速度センサ50Sは、歩行支援装置10の車体のピッチ角速度(Y軸回りの角速度)、ヨー角速度(Z軸回りの角速度)、ロール角速度(X軸回りの角速度)を検出し、検出した角速度に応じた検出信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号に基づいて、歩行支援装置10のX軸・Y軸・Z軸に対するそれぞれの傾斜角度、加速度(衝撃)の大きさ、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度を検出することができる。
●[筒状部30Rとシャフト21Rの詳細構造(図4、図5)]
次に図4を用いて、筒状部及びシャフトの詳細構造について説明する。なお、筒状部及びシャフト(及び持ち手)は、左右一対であるので、右側の筒状部30R、シャフト21R、方向可変機構80R、持ち手20Rを例として説明し、左側の筒状部30L、シャフト21L、方向可変機構80L、持ち手20L(図1参照)については説明を省略する。図4は、筒状部30R、シャフト21R、方向可変機構80R、持ち手20Rの斜視図を示し、図5は、図4において筒状部30RをV方向から見た図である。
筒状部30Rは、フレーム前後方向に延びる筒状の形状を有し、内部には、案内レール32R、案内ローラ33R、33R1、持ち手状態検出手段21RS、弾性ユニット35R4等が設けられている。また筒状部30Rの上面には、操作パネル70等が設けられている。また筒状部30Rにおけるフレーム前後方向の後端部の下方には、後方に向かって延出された延出部37Rが設けられている。延出部37Rは、図12及び図13に示すように、持ち手20Rがフレーム前後方向における基準位置にある場合に、方向可変機構80Rを下方から支持する載置面37R1(図4参照)を有している。そして延出部37Rには、案内ローラ33R1、ロック機構の一部である溝部37R3、持ち手20Rが前方に押された際に方向可変機構80Rが突き当たる突き当て面37R2等を有している。
シャフト21Rは、持ち手嵌合孔21R1、中空部21R3、被案内部材24R、シャフト側弾性部材26R、抜け防止部材25R等を有している。持ち手20Rは、シャフト嵌合部20R1、使用者が把持するグリップ部20R2、ブレーキレバーBKL等を有している。
なお、図12〜図14に示すように、シャフト側弾性部材26R(シャフト位置復元手段)における一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rが筒状部30R内に挿通された後、筒状部30Rに固定される。また図12〜図14に示すように、シャフト側弾性部材26Rにおける他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、シャフト21Rの中空部21R3内に挿通されてシャフト21Rに固定されている。
また図12〜図14に示すように、弾性ユニット35R4は、筒状部30R内の前端(X軸方向に向かう側の先端)に固定されている。そして弾性ユニット35R4は、筒状部側弾性部材35R1(シャフト位置復元手段)、カラー35R2、ダンパ35R3等を有している。図12〜図14に示すように、筒状部側弾性部材35R1における一方の側(X軸方向に向かう側の先端)は、弾性ユニット35R4に固定されている。また図12〜図14に示すように、筒状部側弾性部材35R1における他方の側(X軸方向とは反対方向に向かう側の先端)は、カラー35R2における前方の側の面に固定されている。またカラー35R2における後方の側の面には、シャフト21Rの先端が衝突した際の衝撃音等を吸収するダンパ35R3が取り付けられている。そして図12、図13に示すシャフト基準位置では、ダンパ35R3における後方の側には、シャフト21Rの先端が接触している。
図4において、持ち手20Rのシャフト嵌合部20R1は、シャフト21Rの持ち手嵌合孔21R1に嵌め込まれ、持ち手20Rとシャフト21Rとが一体化される。そしてシャフト21RはX軸方向回りに右回りに90°旋回されて筒状部30Rの上下の案内ローラ33Rの間に差し込まれ、X軸方向に沿って押し込まれていく。シャフト21Rの先端の抜け防止部材25Rが抜け防止パネル36Rを通過して案内レール32Rに達する前に、シャフト21RはX軸方向回りに左回りに90°旋回される。そしてシャフト21Rが更にX軸方向に沿って押し込まれていくと、シャフト21Rの被案内部材24Rが案内レール32Rの凹状部に差し込まれ、シャフト21Rが案内レール32Rに案内される。そしてシャフト21Rの前方の側の先端がダンパ35R3に接触するまで差し込まれ、シャフト側弾性部材26Rの前方の側の先端が、作業者によって筒状部30Rに固定される。なお、案内レール32Rと被案内部材24Rは、筒状部30Rの内部において、フレーム前後方向に延びるシャフト中心軸線21RJ(図4参照)回りにシャフト21Rが回転することを防止する回転防止構造を構成する。
●[方向可変機構80Rの構造(図6〜図9)]
次に図6〜図9を用いて、持ち手20Rの方向を、フレーム前後方向に沿う略水平方向(第1所定方向に相当)と、略鉛直方向または鉛直方向に対して前方に向かって第1傾斜角度θ1で傾斜した方向(第1所定方向とは異なる第2所定方向に相当)と、に変更可能な方向可変機構80Rについて説明する。本実施の形態では、持ち手20Rが第1所定方向に沿っている状態を「手押支援状態」と呼び、持ち手20Rが第2所定方向に沿っている状態を「腕振支援状態」と呼ぶ。なお、右側の方向可変機構80Rと、左側の方向可変機構80Lは、同様であるので、右側の方向可変機構80Rについて説明し、左側の方向可変機構80Lについては説明を省略する。
図6〜図9に示すように、方向可変機構80Rは、ベース部81R、カバー部82R、旋回軸部材83R、旋回部84R、ロック部85R等を有している。
ベース部81Rは、図6〜図9に示すように、シャフト21Rの後端部にロック部85Rとともに固定されている。ベース部81Rは、球状形状の旋回部84Rを、旋回軸部材83R回りに旋回可能に保持している。
カバー部82Rは、ベース部81Rの上方部から延ばされた(あるいは取り付けられた)薄板状の部材であり、ベース部81Rの上方において、旋回軸部材83Rの周囲を含む旋回部84Rの一部を覆っている。またカバー部82Rは、図6において実線にて示す持ち手20Rの位置(手押支援状態の位置)と、図6において二点鎖線にて示す持ち手20Rの位置(腕振支援状態の位置)と、の間で持ち手20Rの方向を変更した際、持ち手20Rと干渉しない形状とされている。
旋回軸部材83Rは、図8及び図9に示すように、フレーム前後方向に対して上方に向かう第2傾斜角度θ2を有するように、かつ、図10及び図11に示すように、フレームの後方から見た場合、左右の旋回軸部材83L、83Rのそれぞれの中心軸線である旋回軸線83LJ、83RJが、下方から上方に向かって間隔が狭くなるように、鉛直方向に対して第3傾斜角度θ3を有するように、ベース部81Rに固定されている。ここで、第3傾斜角度θ3は10[°]程度と小さく、2*第2傾斜角度θ2≒90[°]+第1傾斜角度θ1となる。
旋回部84Rは、球状形状を有しており、旋回軸部材83Rによってベース部81Rに保持されており、旋回軸部材83Rの旋回軸線83RJ回りに旋回可能とされている。そして旋回部84Rには、持ち手20Rが固定されている。図6に示すように、持ち手20Rは、旋回部84Rと一体となって旋回軸線83RJ回りに旋回可能であり、図6において実線にて示す持ち手20Rの位置(手押支援状態の位置)と、図6において二点鎖線にて示す持ち手20Rの位置(腕振支援状態の位置)と、の間で方向を変更可能とされている。
また図7〜図9に示すように、ベース部81Rには、付勢部材81R2、プランジャ81R3が設けられており、旋回部84Rには、プランジャ凹部84R1、84R2が設けられている。付勢部材81R2は、バネ等の弾性部材であり、プランジャ81R3を旋回部84Rに向けて付勢している。
プランジャ凹部84R1は、図8に示すように、持ち手20Rが手押支援状態の位置にある場合に、プランジャ81R3と対向する旋回部84Rの表面に形成された凹部である。従って、図8に示すように、持ち手20Rが手押支援状態の位置にある場合、プランジャ81R3がプランジャ凹部84R1に係合され、持ち手20Rは手押支援状態の位置に保持される。このように、付勢部材81R2、プランジャ81R3、プランジャ凹部84R1にて手押支援状態の持ち手20Rの位置を保持する手押支援状態保持機構が構成されている。
同様に、プランジャ凹部84R2は、図9に示すように、持ち手20Rが腕振支援状態の位置にある場合に、プランジャ81R3と対向する旋回部84Rの表面に形成された凹部である。従って、図9に示すように、持ち手20Rが腕振支援状態の位置にある場合、プランジャ81R3がプランジャ凹部84R2に係合され、持ち手20Rは腕振支援状態の位置に保持される。このように、付勢部材81R2、プランジャ81R3、プランジャ凹部84R2にて腕振支援状態の持ち手20Rの位置を保持する腕振支援状態保持機構が構成されている。
以上に説明したように、それぞれのスライド部(シャフト21R、21L)に、ボールマウント構造の方向可変機構80R、80Lを介して、それぞれの持ち手20R、20Lが接続されている。
●[ロック機構の構造(図7〜図9)]
次に図7〜図9を用いて、ロック機構の構造について説明する。使用者が持ち手20Rを把持していない場合では、シャフト側弾性部材26R(シャフト位置復元手段)及び筒状部側弾性部材35R1(シャフト位置復元手段)等によって、シャフト21R及び持ち手20Rは、フレーム前後方向の所定位置であるシャフト基準位置(図12、図13にて示す位置)に保持される。図12及び図13に示すシャフト基準位置では、シャフト側弾性部材26Rと筒状部側弾性部材35R1が共に自由長(力が付与されていない場合の長さ)、あるいは、シャフト側弾性部材26Rがシャフト21Rを前方に引っ張る力と筒状部側弾性部材35R1がシャフト21Rを後方に押す力とが釣り合うように設定されている。
持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合、図8及び図9に示すように、ロック機構におけるロックピン85R1の位置は、延出部37Rの溝部37R3と対向する位置となる。ロック機構は、持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合に持ち手20Rが手押支援状態の位置にされると(図8参照)、筒状部30Rに対する持ち手20Rの移動範囲をシャフト基準位置の近傍に拘束する(ロック状態とする)。またロック機構は、持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合に持ち手20Rが腕振支援状態の位置にされると(図9参照)、ロック状態を解除する(解除状態とする)。
図7〜図9に示すように、ロック機構は、ロックスライダ81R1、スライド軸85R2を有するロックピン85R1、溝部37R3にて構成されている。なお、右側のロック機構と、左側のロック機構は、同様であるので、右側のロック機構について説明し、左側のロック機構については説明を省略する。
ロックスライダ81R1は、図8及び図9に示すように、ベース部81R及びロック部85R内に収容されており、図8及び図9において長手方向に沿って往復移動可能とされている。またロックスライダ81R1は、図示省略した付勢部材にて、長手方向に沿って旋回部84Rに近づく方向に付勢されている。そしてロックスライダ81R1におけるロックピン85R1の側には、スライド軸85R2に接する傾斜面81R4が設けられている。
ロックピン85R1は、図8及び図9に示すように、ロック部85R内に収容されており、図8及び図9において長手方向に沿って往復移動可能とされている。またロックピン85R1は、図示省略した付勢部材にて、長手方向に沿って溝部37R3に近づく方向に付勢されている。そしてロックピン85R1にはスライド軸85R2が設けられており、当該スライド軸85R2は、ロックスライダ81R1の傾斜面81R4と接触している。また、ロックピン85R1の近傍には、ロック状態検出手段85R3が設けられている。例えばロック状態検出手段85R3は、図8に示すようにロックピン85R1が「ロック状態」の位置にある場合は「スイッチOFF(ロック状態)」の検出信号を制御装置40に出力し、図9に示すようにロックピン85R1が「解除状態」の位置にある場合は「スイッチON(解除状態)」の検出信号を制御装置40に出力する。
溝部37R3は、図4に示すように、筒状部30Rの延出部37Rに設けられており、使用者が持ち手20Rを把持しておらず持ち手20Rが上述したシャフト基準位置にある場合、図8及び図9に示すようにロックピン85R1と対向する位置となる。そして図8に示すようにロックピン85R1が溝部37R3内に突出した状態では「ロック状態」となる。なお、図8に示すように、溝部37R3内にロックピン85R1が突出した状態では、ロックピン85R1の前方に隙間ΔR3Fがあり、ロックピン85R1の後方に隙間ΔR3Rがある。また、持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合、図8における溝部37R3よりも後方において、隙間Δ81R(隙間Δ81R≧隙間ΔR3F)が形成されている。従って、持ち手20Rはシャフト基準位置にて「ロック状態」とされても、前方には隙間ΔR3Fだけ移動可能であり、後方には隙間ΔR3Rだけ移動可能である。すなわち、持ち手20Rは、シャフト基準位置にて「ロック状態」にされると、持ち手のフレーム前後方向の移動範囲がシャフト基準位置の近傍に拘束され、「解除状態」にされるとロック状態が解除されて持ち手のフレーム前後方向の移動範囲が延びる。
以上の構成により、図8に示すように、持ち手20Rの方向(位置)が手押支援状態の方向(位置)にある場合、ロックスライダ81R1は、ロックピン85R1の側へ押し出される力が付与されず、旋回部84Rに近づく方向に付勢される。これにより、ロックスライダ81R1の傾斜面81R4が旋回部84Rに近づく方向に移動するので、スライド軸85R2は傾斜面81R4に沿って下方に移動する。従って、ロックピン85R1が下方に移動し、ロックピン85R1の下端部が溝部37R3内に突出した「ロック状態」となり、ロック状態検出手段85R3は「スイッチOFF(ロック状態)」の検出信号を制御装置40に出力する。なお図8、図12に示すように、持ち手20Rの方向(位置)が手押支援状態の方向(位置)にある場合、持ち手20Rの方向は、フレーム前後方向に沿う略水平方向(第1所定方向に相当)となる。
また、図9に示すように、持ち手20Rの方向(位置)が腕振支援状態の方向(位置)にある場合、ロックスライダ81R1は、持ち手20Rによってロックピン85R1の側へ押し出される。これにより、ロックスライダ81R1の傾斜面81R4が旋回部84Rから遠ざかる方向に移動するので、スライド軸85R2は傾斜面81R4に沿って上方に移動する。従って、ロックピン85R1が上方に移動し、ロックピン85R1の下端部が溝部37R3から抜けた「解除状態」となり、ロック状態検出手段85R3は「スイッチON(解除状態)」の検出信号を制御装置40に出力する。なお図9、図13に示すように、持ち手20Rの方向(位置)が腕振支援状態の方向(位置)にある場合、持ち手20Rの方向は、鉛直方向に対してフレームの前方に向かって第1傾斜角度θ1にて傾斜した方向(第2所定方向に相当)であることが好ましいが、鉛直方向(第2所定方向に相当)であってもよい。
●[手押支援状態、腕振支援状態のそれぞれにおけるブレーキレバーBKLの位置(図10、図11)]
図10は、手押支援状態の位置(図12参照)にある持ち手20R、20Lを、フレームの後方から見た図である。このとき、左右一対の旋回軸部材83R、83Lのそれぞれの左右一対の旋回軸線83RJ、83LJは、下方から上方に向かって間隔が狭くなり、それぞれ鉛直方向に対して第3傾斜角度θ3にて傾斜している。また図10に示すように、持ち手20R、20Lが手押支援状態の位置にある場合、ブレーキレバーBKLは、左右一対の持ち手20R、20Lのグリップ部20R2、20L2の下方となるように配置されている。また、図10に示すように、左右一対のブレーキレバーBKLは、下方に向かうに従って、間隔が広くなるように配置されていると(左右方向に開いていると)、使用者がより握り易いので、より好ましい。
また図11は、腕振支援状態の位置(図13参照)にある持ち手20R、20Lをフレームの後方から見た図である。このとき、左右一対の旋回軸部材83R、83Lのそれぞれの左右一対の旋回軸線83RJ、83LJは、下方から上方に向かって間隔が狭くなり、それぞれ鉛直方向に対して第3傾斜角度θ3にて傾斜している。また図11に示すように、持ち手20R、20Lが腕振支援状態の位置にある場合、ブレーキレバーBKLは、左右一対の持ち手20R、20Lのグリップ部20R2、20L2の前方となるように配置されている。また、図11に示すように、左右一対のブレーキレバーBKLは、前方に向かうに従って、間隔が広くなるように配置されていると、使用者がより握り易いので、より好ましい。
●[ロック状態におけるシャフト21Rの可動範囲(図12)と、解除状態におけるシャフト21Rの可動範囲(図13〜図14)]
図12は、使用者が持ち手20Rを把持していない状態(フレーム前後方向の力が付与されていない状態)であって、シャフト21R及び持ち手20Rにおけるフレーム前後方向の位置がシャフト基準位置に保持されている状態、かつ、持ち手20Rが手押支援状態の方向(位置)とされている状態を示している。この状態では、上述したように、持ち手20Rはロック状態とされており、持ち手20Rの可動範囲は、シャフト基準位置の近傍に拘束されている。
このシャフト基準位置では、図8に示すように、溝部37R3の前後方向の長さ範囲である前後規制範囲R3内のほぼ中央位置にロックピン85R1が位置するように、シャフト側弾性部材26R(図12参照)の長さと、筒状部側弾性部材35R1(図12参照)の長さとが調整されている。なお、シャフト側弾性部材26Rのバネ定数K26よりも、筒状部側弾性部材35R1のバネ定数K35のほうが大きくなるようにバネ定数が設定されている。例えば、シャフト基準位置は、図12に示すように、フレーム前後方向のシャフト21Rの可動範囲内におけるほぼ前方端に近い位置とされている。
図12に示す「ロック状態」において、使用者が持ち手20Rを把持して、持ち手20Rを前方(X軸方向)に押すと、図8において、ロックピン85R1が溝部37R3の前方端に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは前方に移動可能である。そして使用者が持ち手20Rから手を離すと、筒状部側弾性部材35R1の弾性力によって、シャフト21R及び持ち手20Rは、図12に示すシャフト基準位置に戻される。
図12に示す「ロック状態」において、使用者が持ち手20Rを把持して、持ち手20Rを後方(X軸方向とは反対の方向)に引くと、図8において、ロックピン85R1が溝部37R3の後方端に突き当たるまで、シャフト21R及び持ち手20Rは後方に移動可能である。そして使用者が持ち手20Rから手を離すと、シャフト側弾性部材26Rの弾性力によって、シャフト21R及び持ち手20Rは、図12に示すシャフト基準位置に戻される。
図13は、図12の状態から、持ち手20Rの方向(位置)を、手押支援状態の方向(位置)から腕振支援状態の方向(位置)へと変更した状態を示している。この状態では、上述したように、持ち手20Rは解除状態とされており、持ち手20Rの可動範囲は、ロック状態での可動範囲よりも広い範囲となり、シャフト21Rのフレーム前後方向の移動範囲が前後規制範囲R3(図8参照)内に規制されない。例えば図14に示すように、後方に大きく移動させることができるので、腕振り歩行を適切に支援することができる。
使用者が持ち手20Rを把持して、持ち手20Rを後方に引いた場合、シャフト21Rの先端の抜け防止部材25R(図4参照)が抜け防止パネル36Rに干渉するまで後方に引くことができる。すなわち、使用者は、図13に示す「解除状態」にした場合、腕を大きく振りながら歩行支援装置を用いて歩行することができる。この抜け防止部材25Rと抜け防止パネル36Rは、シャフト21Rが筒状部30Rから抜けることを防止する抜け防止構造となる。
このように、シャフト21R(シャフト21L)には、自身を収容している筒状部30R(筒状部30L)に対するフレーム前後方向における基準位置であるシャフト基準位置が設定されている。図12及び図13に示すように、使用者が持ち手20Rを把持していない場合、シャフト21R及び持ち手20Rは、シャフト位置復元手段(シャフト側弾性部材26R、筒状部側弾性部材35R1)によってシャフト基準位置に保持される。そして図8に示すように、シャフト21R及び持ち手20Rがシャフト基準位置にある場合、溝部37R3のフレーム前後方向におけるほぼ中央位置が、ロックピン85R1と対向する。そして「ロック状態」では、シャフト21R及び持ち手20Rは、シャフト基準位置の近傍となるようにフレーム前後方向の前後規制範囲R3内に保持される。
なお図8では、わかりやすくするために、ロックピン85R1から溝部37R3の前方端または後方端までの隙間ΔR3F、隙間ΔR3Rを、比較的大きく示している。しかし、隙間ΔR3F、隙間ΔR3Rは、1[mm]程度で充分である。また「解除状態」では、使用者はシャフト21Rを、図13に示すシャフト基準位置から、図14に示すように後方へと、例えば150[mm]程度まで引くことができる。
●[操作パネル70の外観(図15)]
次に図15を用いて操作パネル70について説明する。本実施の形態に示す例では、操作パネル70は、筒状部30Rの上面に設けられている。そして図15に示すように、操作パネル70は、メインスイッチ72、バッテリ残量表示部73、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、駆動トルク調整部76、警告表示部77等を有している。
メインスイッチ72は、歩行支援装置10の起動を指示するスイッチであり、使用者がオンにするとバッテリBから制御装置40と走行用駆動手段64R、64Lへ電力が供給され、歩行支援装置10の操作及び動作を可能にする。また、バッテリ残量表示部73には、バッテリBの残量が表示されている。
駆動トルク調整部76は、歩行支援装置10が進行する際の走行用駆動手段64L、64Rの駆動トルクの強弱を、使用者が調整するための入力部である。例えば上り傾斜面で歩行支援装置10を使用する場合、使用者は、駆動トルク調整部76から駆動トルクを増量する指示を入力する。
また、歩行支援装置10には、腕を振りながら歩行する「腕振り歩行」を支援する「トレーニングモード」と、腕を振らずに手押し車状態の歩行(手押し歩行)を支援する「アシストモード」と、の2つの動作モードが用意されている。使用者は、「腕振り歩行」を所望する場合、上述したように、シャフト基準位置にある持ち手20R、20Lの方向(位置)を「腕振支援状態」の方向(位置)に変更する。持ち手20R、20Lの双方の方向(位置)が「腕振支援状態」にされると、制御装置40は、例えばトレーニングモード表示部74を点灯、アシストモード表示部75を消灯、警告表示部77を消灯、とする。また使用者は、「手押し歩行」を所望する場合、上述したように、シャフト基準位置にある持ち手20R、20Lの方向(位置)を「手押支援状態」の方向(位置)に変更する。持ち手20R、20Lの双方の方向(位置)が「手押支援状態」にされると、制御装置40は、例えばトレーニングモード表示部74を消灯、アシストモード表示部75を点灯、警告表示部77を消灯、とする。なお、一方の持ち手の方向(位置)が「腕振支援状態」、他方の持ち手の方向(位置)が「手押支援状態」の場合、制御装置40は、例えばトレーニングモード表示部74を消灯、アシストモード表示部75を消灯、警告表示部77を点灯、とする。
●[制御装置40の入出力(図16)]
図16は、制御装置40の入出力を示すブロック図である。制御装置40は、図示省略したCPU等の制御手段と、記憶手段44等を有している。また制御装置40には、進行速度検出手段64LE、64REからの検出信号、持ち手状態検出手段21RS、21LSからの検出信号、3軸加速度・角速度センサ50Sからの検出信号、ロック状態検出手段85R3、85L3からの検出信号が入力されている。また制御装置40には、操作パネル70から、メインスイッチ72、駆動トルク調整部76の操作状態が入力されている。また制御装置40は、操作パネル70のバッテリ残量表示部73に表示するためのバッテリ残量情報を操作パネル70に出力し、トレーニングモード表示部74、アシストモード表示部75、警告表示部77、走行用駆動手段64L、64Rに制御信号を出力する。
なお制御装置40は、装置対地速度算出手段40A、持ち手前後位置算出手段40B、持ち手移動速度算出手段40C、持ち手対地速度算出手段40D、対地速度補正量算出手段40E、進行速度調整手段40F、持ち手前後中央位置算出手段40G、中央位置速度補正量算出手段40H等を有しているが、これらについては後述する。
●[制御装置40の処理手順(図17〜図22)]
図17は、制御装置40の処理手順における全体処理を示している。使用者がメインスイッチ72をONにすると、所定時間間隔(例えば数[ms]間隔)で、図17に示す処理が起動される。制御装置40は、図17に示す処理が起動されると、ステップS010へと処理を進める。なお以下では、使用者が歩行支援装置とともに前進するように歩行する場合の例を説明する。
ステップS010にて制御装置40は、SB100(入力処理)を実行してステップS020に処理を進める。なおSB100(入力処理)の詳細については後述する。
ステップS020にて制御装置40は、ステップS010(SB100)にて求めた動作モードが警告モードであるか否かを判定し、警告モードでない場合(No)はステップS040に処理を進め、警告モードである場合(Yes)はステップS090に処理を進める。
ステップS040に処理を進めた場合、制御装置40は、SB400(対地速度補正量算出処理)を実行してステップS050に処理を進める。なおSB400(対地速度補正量算出処理)の詳細については後述する。
ステップS050にて制御装置40は、SB500(中央位置速度補正量算出処理)を実行してステップS060に処理を進める。なおSB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細については後述する。
ステップS060にて制御装置40は、SB600(進行速度調整処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なおSB600(進行速度調整処理)の詳細については後述する。
ステップS090に処理を進めた場合、制御装置40は、(右)走行用駆動手段64Rと(左)走行用駆動手段64Lの動作を停止させ、処理を終了する(リターンする)。
●[SB100:入力処理の詳細(図18)]
次に図18を用いて、SB100(入力処理)の詳細について説明する。図17に示すステップS010にてSB100を実行する際、制御装置40は、図18に示すステップSB010へ処理を進める。
ステップSB010にて制御装置40は、(右)持ち手20Rのロック状態、(左)持ち手20Lのロック状態、目標トルク、右持ち手前後位置、右進行速度、左持ち手前後位置、左進行速度、車体傾斜、ピッチ角速度、ヨー角速度、ロール角速度、を更新してステップSB030に処理を進める。
具体的には、制御装置40は、(右)持ち手20Rのロック状態検出手段85R3からの検出信号に基づいて、(右)持ち手20Rがロック状態/解除状態のどちらであるか判定して記憶し、(左)持ち手20Lのロック状態検出手段85L3からの検出信号に基づいて、(左)持ち手20Lがロック状態/解除状態のどちらであるか判定して記憶する。また制御装置40は、駆動トルク調整部76(図12参照)からの入力情報に基づいた目標トルクを記憶する。また制御装置40は、持ち手状態検出手段21RS(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた、フレーム50に対する持ち手20Rの位置(フレーム前後方向の位置)を右持ち手前後位置に記憶する。また制御装置40は、(右)走行用駆動手段64Rの(右)進行速度検出手段64REからの検出信号に基づいて、(右)走行用駆動手段64Rの回転数を検出して後輪60RRの回転数から後輪60RRによる進行速度を検出して右進行速度に記憶する(図1参照)。
同様に制御装置40は、左持ち手前後位置、左進行速度、を記憶する。また制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50S(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10の車体の傾斜角度や傾斜方向等の傾斜情報を車体傾斜に記憶する。また制御装置40は、3軸加速度・角速度センサ50S(図1参照)からの検出信号に基づいて求めた歩行支援装置10のY軸回りの角速度をピッチ角速度に記憶し、Z軸回りの角速度をヨー角速度に記憶し、X軸回りの角速度をロール角速度に記憶する。
ステップSB010の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手状態検出手段21RS、21LSからの検出信号に基づいて、フレーム50(歩行支援装置10)に対するフレーム前後方向のそれぞれの持ち手20R、20Lの位置であるそれぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)を算出する、持ち手前後位置算出手段40B(図16参照)に相当する。
ステップSB030にて制御装置40は、ステップSB010にて記憶した右進行速度及び左進行速度に基づいて、歩行支援装置の進行速度を求めて記憶し、ステップSB040に処理を進める。例えば制御装置40は、進行速度=(右進行速度+左進行速度)/2にて、進行速度を求める。
ステップSB030の処理を実行している制御装置40は、進行速度検出手段からの検出信号に基づいて、地面に対する歩行支援装置10の進行速度を算出する、装置対地速度算出手段40A(図16参照)に相当する。
ステップSB040にて制御装置40は、(右)持ち手20Rがロック状態、かつ、(左)持ち手20Lがロック状態であるか否かを判定する。左右の持ち手がともにロック状態(すなわち、左右の持ち手の方向(位置)が手押支援状態の方向(位置))である場合(Yes)はステップSB050Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB045に処理を進める。
ステップSB045に処理を進めた場合、制御装置40は、(右)持ち手20Rが解除状態、かつ、(左)持ち手20Lが解除状態であるか否かを判定する。左右の持ち手がともに解除状態(すなわち、左右の持ち手の方向(位置)が腕振支援状態の方向(位置))である場合(Yes)はステップSB050Bに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB050Cに処理を進める。
ステップSB050Aに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードにアシストモードを記憶してステップSB055Aに処理を進める。
ステップSB055Aにて制御装置40は、トレーニングモード表示部をOFF(消灯)し、アシストモード表示部をON(点灯)し、警告モード表示部をOFF(消灯)してステップSB060に処理を進める。
ステップSB050Bに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードにトレーニングモードを記憶してステップSB055Bに処理を進める。
ステップSB055Bにて制御装置40は、トレーニングモード表示部をON(点灯)し、アシストモード表示部をOFF(消灯)し、警告モード表示部をOFF(消灯)してステップSB060に処理を進める。
ステップSB050Cに処理を進めた場合、制御装置40は、動作モードに警告モードを記憶してステップSB055Cに処理を進める。
ステップSB055Cにて制御装置40は、トレーニングモード表示部をOFF(消灯)し、アシストモード表示部をOFF(消灯)し、警告モード表示部をON(点灯)して処理を終了する(リターンする)。
ステップSB060に処理を進めた場合、制御装置40は、SBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)を実行して処理を終了する(リターンする)。なおSBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細については後述する。
●[SBA00:右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理の詳細(図19)]
次に図19を用いて、SBA00(右(左)移動速度、移動方向、振幅算出処理)の詳細について説明する。図18に示すステップSB060にてSBA00を実行する際、制御装置40は、図19に示すステップSBA05へ処理を進める。
ステップSBA05にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSBA10に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)は処理を終了する(リターンする)。
ステップSBA10に処理を進めた場合、制御装置40は、右持ち手移動速度に、「(今回処理時の右持ち手前後位置(今回右持ち手前後位置)−前回処理時の右持ち手前後位置(前回右持ち手前後位置))/時間」にて求めた速度を記憶して、ステップSBA15に処理を進める。なお、この場合の「時間」は、図17の処理を起動する間隔の時間である(例えば10[ms]間隔で起動する場合は10[ms])。また、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも前方である場合では右持ち手移動速度は「正」の速度となり、今回右持ち手前後位置が前回右持ち手前後位置よりも後方である場合では右持ち手移動速度は「負」の速度となる。
ステップSBA15にて制御装置40は、前回処理時の右持ち手移動速度(前回右持ち手移動速度)=正(0より大きい)、かつ、今回処理時の右持ち手移動速度(今回右持ち手移動速度)=負(0以下)であるか否かを判定する。そして制御装置40は、満足する場合(Yes)はステップSBA25Aに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBA20に処理を進める。
ステップSBA25Aに処理を進めた場合、制御装置40は、今回右持ち手前後位置を右前端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
ステップSBA20に処理を進めた場合、制御装置40は、前回処理時の右持ち手移動速度(前回右持ち手移動速度)=負(0未満)、かつ、今回処理時の右持ち手移動速度(今回右持ち手移動速度)=正(0以上)であるか否かを判定する。そして制御装置40は、満足する場合(Yes)はステップSBA25Bに処理を進め、満足しない場合(No)はステップSBB10に処理を進める。
ステップSBA25Bに処理を進めた場合、制御装置40は、今回右持ち手前後位置を右後端位置に記憶してステップSBA30に処理を進める。
ステップSBA30に処理を進めた場合、制御装置40は、右前端位置−右後端位置(右前端位置>右後端位置)にて求めた長さを右振幅に記憶し、ステップSBB10に処理を進める。
ステップSBB10〜SBB30の処理は、左の持ち手20Lの左移動速度、左前端位置、左後端位置、左振幅を求める処理であり、右の持ち手20Rの右移動速度、右前端位置、右後端位置、右振幅を求めるステップSBA10〜SBA30と同様であるので説明を省略する。
ステップSBA10、SBB10の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手前後位置(右持ち手前後位置と左持ち手前後位置)に基づいて、歩行支援装置10に対するそれぞれの持ち手の移動速度であるそれぞれの持ち手移動速度(右持ち手移動速度と左持ち手移動速度)を算出する、持ち手移動速度算出手段40C(図16参照)に相当する。
●[SB400:対地速度補正量算出処理の詳細(図20)]
次に図20を用いて、SB400(対地速度補正量算出処理)の詳細について説明する。図17に示すステップS040にてSB400を実行する際、制御装置40は、図20に示すステップSB405へ処理を進める。
ステップSB405にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB410に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)はステップSB450Bに処理を進める。
ステップSB410にて制御装置40は、「進行速度+右持ち手移動速度」を求めて右持ち手対地速度に記憶し、「進行速度+左持ち手移動速度」を求めて左持ち手対地速度に記憶し、ステップSB420に処理を進める。なお、「進行速度」は、地面に対する歩行支援装置の速度であり、「右持ち手移動速度」は、歩行支援装置に対する(右)持ち手20Rのフレーム前後方向の移動速度であり、「右持ち手対地速度」は、地面に対する(右)持ち手20Rのフレーム前後方向の移動速度である。また、「右持ち手移動速度」は、「進行速度」と同方向が「正」の速度に設定され、「進行方向」と逆方向が「負」の速度に設定されている。つまり、進行速度が前方へ向かう速度である場合、前方へ向かう右持ち手移動速度は「正」であり、後方へ向かう右持ち手移動速度は「負」である。また、左持ち手対地速度も同様にして求められる。
ステップSB410の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手の移動速度と、進行速度とに基づいて、地面に対するそれぞれの持ち手の速度であるそれぞれの持ち手対地速度(右持ち手対地速度と左持ち手対地速度)を算出する、持ち手対地速度算出手段40D(図16参照)に相当する。
ステップSB420にて制御装置40は、右持ち手対地速度が負(0未満)であるか否かを判定し、負(0未満)である場合(Yes)はステップSB440に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB430に処理を進める。
ステップSB430に処理を進めた場合、制御装置40は、左持ち手対地速度が負(0未満)であるか否かを判定し、負(0未満)である場合(Yes)はステップSB440に処理を進め、そうでない場合(No)はステップSB450Bに処理を進める。
ステップSB440に処理を進めた場合、制御装置40は、進行速度に応じた重み係数を算出してステップSB450Aに処理を進める。例えば重み係数は、進行速度が大きくなるにしたがって小さくなるように設定されている。
ステップSB450Aにて制御装置40は、予め設定された加速補正量に重み係数を乗算して求めた値を、対地速度補正量に記憶して処理を終了する(リターンする)。なお、加速補正量は、種々の実験やシミュレーション等によって決められている。この場合の対地速度補正量は、0より大きな値(正の値であり、加速するための補正量)となる。
ステップSB440、SB450Aの処理を実行している制御装置40は、進行速度を「正」とした場合にそれぞれの持ち手のそれぞれの持ち手対地速度の少なくとも一方が「負」の速度である場合、歩行支援装置10を進行速度の方向に加速させる対地速度補正量を算出する、対地速度補正量算出手段40E(図16参照)に相当する。
ステップSB450Bに処理を進めた場合、制御装置40は、予め設定された減速補正量を、対地速度補正量に記憶して処理を終了する(リターンする)。なお、減速補正量は、種々の実験やシミュレーション等によって決められている。この場合の対地速度補正量は、0以下の値(ゼロまたは負の値であり、減速するための補正量)となる。
なお、対地速度補正量が0より大きな正の値の場合、歩行支援装置の進行速度を加速させることができる。また、対地速度補正量が0未満の負の値の場合、歩行支援装置の進行速度を減速させることができる。また、対地速度補正量がゼロの場合、歩行支援装置は惰性走行となるが、転がり抵抗等によって進行速度は減速される。
●[SB500:中央位置速度補正量算出処理の詳細(図21)]
次に図21を用いて、SB500(中央位置速度補正量算出処理)の詳細について説明する。図17に示すステップS050にてSB500を実行する際、制御装置40は、図21に示すステップSB505へ処理を進める。
ステップSB505にて制御装置40は、動作モードがトレーニングモードであるか否かを判定し、動作モードがトレーニングモードである場合(Yes)はステップSB510に処理を進め、動作モードがトレーニングモードでない場合(No)はステップSB550に処理を進める。
ステップSB510に処理を進めた場合、制御装置40は、「(右持ち手前後位置+左持ち手前後位置)/2」を求めて持ち手前後中央位置に記憶し、ステップSB520に処理を進める。
ステップSB510の処理を実行している制御装置40は、それぞれの持ち手前後位置に対するフレーム前後方向の中央となる持ち手前後中央位置を求める、持ち手前後中央位置算出手段40G(図16参照)に相当する。
図23は、歩行支援装置10を上から見た図であり、(右)持ち手20Rの持ち手前後位置(PmR)、(左)持ち手20Lの持ち手前後位置(PmL)、仮想前後基準位置(Ps)、持ち手前後中央位置(Pmc)、可動範囲(シャフト21L、21Rのフレーム前後方向の移動範囲)の中央位置(Pc)を説明する図である。例えば、フレーム前後方向において、持ち手20R、20Lの可動範囲L1は、可動範囲L1の前端位置(Po)から、可動範囲の後端位置(Pr)までである。そして中央位置(Pc)は、フレーム前後方向における可動範囲L1の中央位置である。例えば可動範囲L1の中央位置(Pc)よりも所定距離Laだけ後方となる位置が、フレーム前後方向における所定位置である仮想前後基準位置(Ps)に設定されている。また、右持ち手前後位置(PmR)と左持ち手前後位置(PmL)とのフレーム前後方向における中央位置が、持ち手前後中央位置(Pmc)となる。
ステップSB520にて制御装置40は、「持ち手前後中央位置−仮想前後基準位置」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB530に処理を進める。なお図23に示すように、前後方向偏差ΔLは、持ち手前後中央位置(Pmc)と仮想前後基準位置(Ps)との偏差である。
ステップSB530にて制御装置40は、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、図24に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40は、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。
ステップSB550に処理を進めた場合、制御装置40は、「右持ち手前後位置−持ち手基準位置(シャフト基準位置に対応する持ち手20Rの位置)」を求めて右偏差に記憶し、ステップSB560に処理を進める。動作モードが「アシストモード」の場合、「ロック状態」とされているので、使用者は、持ち手を把持して腕を振りながら歩行することはできない。「アシストモード」の場合、以下のステップSB550〜SB580にて、持ち手が前方に押されている場合に、中央位置速度補正にて歩行支援装置10を前方に加速させる。
ステップSB560にて制御装置40は、「左持ち手前後位置−持ち手基準位置(シャフト基準位置に対応する持ち手20Lの位置)」を求めて左偏差に記憶し、ステップSB570に処理を進める。
ステップSB570にて制御装置40は、「(右偏差+左偏差)/2」を求めて前後方向偏差に記憶し、ステップSB580に処理を進める。
ステップSB580にて制御装置40は、前後方向偏差に応じた中央位置速度補正量を求め、求めた中央位置速度補正量を記憶して、処理を終了する(リターンする)。例えば、図24に示す前後方向偏差・中央位置速度補正量特性が記憶手段に記憶されており、制御装置40は、当該前後方向偏差・中央位置速度補正量特性と、前後方向偏差とに基づいて、中央位置速度補正量を求めて記憶する。なお、前後方向偏差の値が同じであっても、ロック状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB580)を、解除状態の場合の中央位置速度補正量(ステップSB530)よりも大きくすると、より好ましい。
ステップSB520、SB530、SB570、SB580の処理を実行している制御装置40は、フレーム前後方向において、持ち手前後中央位置を仮想前後基準位置に近づけるように歩行支援装置10の進行速度を調整する中央位置速度補正量を算出する、中央位置速度補正量算出手段40H(図16参照)に相当する。
●[SB600:進行速度調整処理の詳細(図22)]
次に図22を用いて、SB600(進行速度調整処理)の詳細について説明する。図17に示すステップS060にてSB600を実行する際、制御装置40は、図22に示すステップSB610へ処理を進める。
ステップSB610にて制御装置40は、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて右目標速度に記憶し、「進行速度+対地速度補正量+中央位置速度補正量」を求めて左目標速度に記憶し、ステップSB620へ処理を進める。
ステップSB620にて制御装置40は、右目標速度、かつ、目標トルクとなるように(右)走行用駆動手段64Rを制御し、左目標速度、かつ、目標トルクとなるように(左)走行用駆動手段64Lを制御し、処理を終了する(リターンする)。
ステップSB610、SB620の処理を実行している制御装置40は、進行速度と対地速度補正量(と中央位置速度補正量)とに基づいて求めた目標速度となるように走行用駆動手段を制御する、進行速度調整手段40F(図16参照)に相当する。
●[使用者の腕振り歩行状態と歩行支援装置の移動状態の例(図25)]
図25は、使用者が右手で(右)持ち手20Rを把持し、左手で(左)持ち手20Lを把持し、左腕を前方から後方に振りながら歩行している状態(右腕は後方から前方に振られている)の例を示している。なお図25では、持ち手20R、20Lは、腕振支援状態の方向(位置)とされている。
(左)持ち手20Lが後方に移動する際、地面から見た(左)持ち手20Lの移動速度である(左)持ち手対地速度が「負」になると、対地速度補正量にて歩行支援装置10は前方に加速するので、図25中に一点鎖線で示すように、(左)持ち手20Lは、地面から見た際、あたかも静止しているように見える。つまり、歩行支援装置10は、地面から見た際に、後方に移動された(左)持ち手20Lがあたかも静止して見えるように、進行速度を調整しながら進行する。従って、持ち手20Lから地面へと仮想ストックVSが延びていると想定した場合、地面から見た際に持ち手20Lが静止しているように見えると、仮想ストックVSと地面との交点P1が同一地点に見える。さらに、持ち手20Lの方向もストックの握りの方向を模擬しているので、使用者は、腕を振りながら仮想ストックVSにて地面を突きながら歩行する動作を模擬することができる。
●[本願の効果]
以上に説明したように、本実施の形態にて説明した歩行支援装置10は、対地速度補正量を用いて進行速度を調整することで、腕振り歩行する歩行動作を模擬することができる。従って、体幹を真っ直ぐにして腕を振りながら歩行する訓練を支援することができる。また、本実施の形態にて説明した歩行支援装置10は、中央位置速度補正量を用いて進行速度を調整することで、使用者が仮想前後基準位置の近傍に維持されるように歩行支援装置10を進行させるので、使用者に対して歩行支援装置の前後方向の位置がズレることを適切に防止することができる。
また、筒状部30L、30Rとシャフト21L、21Rにて、持ち手20L、20Rをフレーム前後方向に移動可能とすることで、非常にシンプルな構造で、使用者が脚に同期させて正しく腕を振りながら歩行する質の高い歩行の訓練を、適切に支援可能である。
また、手押支援状態に適した持ち手の方向(位置)と、腕振支援状態に適した持ち手の方向(位置)へと、持ち手の方向(位置)を変更できるので、使用者の手押状態に応じた手押し歩行、使用者の腕振状態に応じた腕振り歩行を、より適切に支援することができる。また、左右の持ち手の方向(位置)を手押支援状態の方向(位置)とすれば自動的にロック状態となり、動作モードが自動的にアシストモードに設定され、左右の持ち手の方向(位置)を腕振支援状態の方向(位置)とすれば自動的にロック解除状態となり、動作モードが自動的にトレーニングに設定されるので、使用者が誤操作することがなくなり、非常に便利である。
本発明の、歩行支援装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、処理手順等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態では、複数の車輪を有する歩行支援装置を、四輪車として2個の駆動輪を設けた例を説明したが、歩行支援装置を前一輪、後ろ二輪の三輪車にして、前輪を駆動輪、後輪の二輪をキャスタ輪としてもよい。なお、歩行支援装置は、少なくとも1つの駆動輪を有していてもよいし、駆動輪(右走行用駆動モータ、左走行用駆動モータ)の代わりに動力を持たない固定キャスタとしてもよい。また本実施の形態の説明では、走行用駆動手段(電動モータ)の制御において、「進行速度」を調整する例を説明したが、「速度」の制御に限らず「トルク」を制御するようにしてもよく、モータトルクを制御して進行速度を調整するようにしてもよい。
また、それぞれの持ち手20R、20Lの状態(位置)を検出する持ち手状態検出手段21RS、21LSや、進行速度を検出する進行速度検出手段64LE、64REは、エンコーダに限定されるものではなく、本実施の形態にて示した構成や配置等に限定されず、種々の構成や配置とすることができる。また、シャフト位置復元手段として、シャフト側弾性部材26Rと筒状部側弾性部材35R1(図8参照)を用いた例を説明したが、シャフト位置復元手段は、これに限定されるものではない。
本実施の形態の説明では、対地速度補正量と中央位置速度補正量を用いて進行速度を調整する例を説明したが、中央位置速度補正量を省略して対地速度補正量にて進行速度を調整するようにしてもよいし、対地速度補正量を省略して中央位置速度補正量にて進行速度を調整するようにしてもよい。また本実施の形態の説明では、進行速度が大きくなるにしたがって対地速度補正量を小さくする例を説明したが、これに限定されるものではない。
また、シャフトが筒状部から抜けることを防止する抜け防止構造(抜け防止部材25R、抜け防止パネル36R(図4参照))、シャフトが筒状部内で回転することを防止する回転防止構造(案内レール32R、被案内部材24R(図4参照))は、種々の構造とすることが可能であり、本実施の形態にて説明した構造に限定されるものではない。
また、方向可変機構、手押支援状態保持機構、腕振支援状態保持機構、ロック機構は、本実施の形態にて説明した構成や形状等に限定されるものではない。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。