JP2020184941A - 飲食品用組成物及びその製造方法、並びに飲食品 - Google Patents

飲食品用組成物及びその製造方法、並びに飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】カカオマスの代替品として利用可能な飲食品用組成物及びその製造方法、並びに前記飲食品用組成物を含む飲食品を提供する。【解決手段】酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含み、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下である飲食品用組成物、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む組成物を加熱することを含む飲食品用組成物の製造方法、及び前記飲食品用組成物を含む飲食品である。前記飲食品用組成物は、カカオマスの代替品として用いられる態様が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、カカオマスの代替品として好適に用いることができる飲食品用組成物及びその製造方法、並びに前記飲食品用組成物を含む飲食品に関する。
カカオから作られるカカオマス、ココアバター、ココアパウダーなどは、チョコレートやココア飲料、製菓原料などとして用いられている。
カカオは、赤道の南北緯度20度以内であって、年間平均気温27℃以上の、しかも年間を通じてその上下する範囲がごく狭い、高温・多湿な地方で栽培される熱帯植物である。また、カカオの生産国は貧困国が多く、カカオ栽培のために熱帯雨林が破壊されるなど、長期的には安定的な供給が課題となっている。
これまでに代用品(「代替品」と称することもある。)の開発が行われ、ココアバターの代用品(ココアバター代用油脂)については、油脂加工技術の発展により製造・販売され、一般に利用されるようになっている。
一方、カカオマスや、カカオマスから一定量のココアバターを分離して得られるココアケーキを粉砕して得られるココアパウダーについては、品質的に満足できる代替品は未だ開発されていないのが現状である。
なお、飲食品分野では、酵母を用いた技術として、例えば、乾燥食用酵母を約200℃〜約250℃の温度で充分な時間にわたって焼いて天然のココアの色、フレーバー、芳香を生じさせる焼いた酵母生成物の製造方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
また、食用油で熱処理した酵母を挽肉又は挽肉を主材とする調理材料に添加混合することで、酵母臭のない栄養の向上した良質の調理品とする方法(例えば、特許文献2参照)、油脂と酵母エキスを混合し加熱し、その後固形分を除去して製造された香味油を動物脂の臭気のマスキング剤として用いる技術(例えば、特許文献3参照)なども提案されている。
しかしながら、これらの提案は、いずれもカカオマスの代替品となるようなものを提供するものではない。
したがって、カカオマスの代替品として利用可能な新たな素材の速やかな開発が強く求められている。
特公昭62−9295号公報 特公昭56−42896号公報 特開2010−81886号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、カカオマスの代替品として利用可能な飲食品用組成物及びその製造方法、並びに前記飲食品用組成物を含む飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含み、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下である組成物が、カカオマスに似た色調・性状・外観、及び風味を有することを知見した。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含み、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下であることを特徴とする飲食品用組成物である。
<2> カカオマスの代替品として用いられる前記<1>に記載の飲食品用組成物である。
<3> 製菓原料として用いられる前記<1>から<2>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<4> 前記還元糖が、キシロース、グルコース、フルクトース、マルトース、及びラクトースからなる群から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<5> 前記油脂が、カカオバター、カカオバター代用油脂、及びバターオイルからなる群から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<6> 前記酵母細胞壁と、前記還元糖との質量比(酵母細胞壁/還元糖)が、0.05〜5.0である前記<1>から<5>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<7> 前記油脂と、前記酵母細胞壁及び前記還元糖の合計量との質量比{油脂/(酵母細胞壁+還元糖)}が、0.1〜3.0である前記<1>から<6>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<8> 前記酵母細胞壁と、前記還元糖と、前記油脂とを含む組成物の加熱処理物である前記<1>から<7>のいずれかに記載の飲食品用組成物である。
<9> 酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む組成物を加熱することを含むことを特徴とする飲食品用組成物の製造方法である。
<10> 前記加熱が、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む前記組成物を100℃〜150℃で加熱する前記<9>に記載の飲食品用組成物の製造方法である。
<11> 前記加熱の時間が、5分間〜120分間である前記<9>から<10>のいずれかに記載の飲食品用組成物の製造方法である。
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の飲食品用組成物を含むことを特徴とする飲食品である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、カカオマスの代替品として利用可能な飲食品用組成物及びその製造方法、並びに前記飲食品用組成物を含む飲食品を提供することができる。
(飲食品用組成物及び飲食品用組成物の製造方法)
本発明の飲食品用組成物は、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下であり、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記飲食品用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の飲食品用組成物の製造方法により、好適に製造することができる。
以下、本発明の飲食品用組成物の製造方法の説明と併せて、本発明の飲食品用組成物についても説明する。
本発明の飲食品用組成物の製造方法は、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む組成物を加熱すること(以下、「加熱工程」と称することがある。)を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<加熱工程>
前記加熱工程は、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む組成物(以下、「加熱用組成物」と称することがある。)を加熱する工程である。
<<加熱用組成物>>
前記加熱用組成物は、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
−酵母細胞壁−
前記酵母細胞壁は、酵母から酵母エキスを抽出した後に残るものである。
前記酵母細胞壁は、適宜調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
なお、本発明における酵母細胞壁には、酵母エキスを含有している酵母の態様のものは含まれない。
前記酵母細胞壁の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養又は醸造した酵母菌を洗浄し、不純物を除去した後、エキス分を抽出することで、残った残渣(酵母細胞壁)を調製することができる。
前記エキス分の抽出方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、自己消化、酵素分解、熱水抽出などが挙げられる。
前記酵母細胞壁の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、泥状のもの、圧搾して水分を減らしたもの、乾燥して更に水分を減らしたもの、粉状のもの、液中に懸濁させたものなどが挙げられる。
前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラムドライにより乾燥する方法などが挙げられる。
前記酵母の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母などが挙げられる。
前記酵母の属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属などが挙げられる。これらの中でも、サッカロミセス(Saccharomyces)属が好ましい。
前記サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母の具体例としては、Saccharomyces cerevisiaeなどが挙げられる。
前記キャンディダ(Candida)属の酵母の具体例としては、Candida utilisなどが挙げられる。
前記酵母細胞壁は、1種の酵母から調製したものを使用してもよいし、2種以上の酵母から調製したものを併用してもよい。
前記酵母細胞壁の前記加熱用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜35質量%がより好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、カカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、有利である。
−還元糖−
前記還元糖としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単糖の還元糖としては、キシロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、ラムノースなどが挙げられ、二糖の還元糖としては、マルトース、ラクトース、ラクツロースなどが挙げられ、オリゴ糖の還元糖としては、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖などが挙げられ、多糖の還元糖としては、デキストリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、カカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、キシロース、グルコース、フルクトース、マルトース、及びラクトースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、キシロース、グルコース、フルクトース、及びラクトースからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、キシロースが特に好ましい。また、キシロースと、キシロース以外の還元糖との組合せも好ましい。
前記還元糖は、市販品を使用することができる。
前記還元糖の粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記還元糖の粒子径が大きい場合には、前記酵母細胞壁と混合する前に、粉砕しておくことが好ましい。より具体的には、平均粒子径(メディアン径)が、20μm以下まで粉砕しておくことが好ましく、10μm以下まで粉砕しておくことがより好ましい。
前記還元糖の前記加熱用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜35質量%がより好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、カカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、有利である。
前記酵母細胞壁と、前記還元糖との質量比(酵母細胞壁/還元糖)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05〜5.0が好ましく、0.2〜3.0がより好ましく、0.5〜2.0が特に好ましい。前記質量比(酵母細胞壁/還元糖)が好ましい範囲内であると、反応が速やかに進み、より少ないエネルギーでカカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、有利である。
−油脂−
前記油脂としては、飲食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物性油脂、動物性油脂、それらの硬化油、エステル交換油、分別油などが挙げられる。
前記植物性油脂の具体例としては、例えば、カカオバター(「カカオ脂」、「ココアバター」と称することもある。)、カカオバター代用油脂、ベニバナ油、ヒマワリ油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油などが挙げられる。
前記動物性油脂の具体例としては、例えば、乳脂肪(「バターオイル」と称することもある。)、ラードなどが挙げられる。
前記油脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、カカオマスにより近い風味とすることができる点で、カカオバター、カカオバター代用油脂、及びバターオイルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カカオバターがより好ましい。
前記油脂は、適宜調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記油脂の前記加熱用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25質量%〜65質量%が好ましく、35質量%〜55質量%がより好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、カカオマスにより近い色調・性状・外観とすることができる点で、有利である。
前記油脂と、前記酵母細胞壁及び前記還元糖の合計量との質量比{油脂/(酵母細胞壁+還元糖)}としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜3.0が好ましく、0.3〜1.8がより好ましく、0.5〜1.4が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、撹拌しやすいスラリーの粘度とすることができ、また、カカオマスにより近い色調・性状・外観とすることができる点で、有利である。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飲食品を製造するに際して通常用いられる補助的原料又は添加物などが挙げられる。具体的には、例えば、抗酸化剤、乳化剤、香料、調味料、甘味料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、適宜調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記その他の成分の前記加熱用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<加熱>>
前記加熱の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記油脂を所望の温度まで昇温し、そこに、前記酵母細胞壁と、前記還元糖と、必要に応じて前記その他の成分とを含む組成物を加え、均一になるように撹拌し、スラリーとした後、前記スラリーを目的の加熱温度まで加熱し、前記加熱温度を目的の時間維持する方法などが挙げられる。
前記加熱工程における加熱条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−加熱温度−
前記加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記加熱用組成物を100℃〜150℃で加熱することが好ましく、110℃〜130℃で加熱することがより好ましく、115℃〜125℃で加熱することが特に好ましい。前記加熱温度が好ましい範囲内であると、カカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、有利である。
−加熱時間−
前記加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間〜120分間が好ましく、10分間〜60分間がより好ましく、15分間〜35分間が特に好ましい。前記加熱時間が好ましい範囲内であると、カカオマスにより近い色調・性状・外観、及び風味とすることができる点で、有利である。
前記飲食品用組成物は、前記加熱用組成物を加熱処理することで得ることができる。
前記飲食品用組成物の製造方法は、油脂中で加熱を行うため、温度調整等の制御が容易となる。また、還元糖を用いることで、低い加熱温度で所望の風味等を有する飲食品用組成物を得ることができる。
<<L値>>
前記加熱用組成物は、前記加熱により変色する。
前記加熱後の加熱用組成物(即ち、前記飲食品用組成物)の色差計により測定したL値(*L)としては、50.0以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カカオマスにより近い色調とすることができる点で、45.0以下が好ましく、25.0以下がより好ましい。
前記L値は、公知の色差計により測定することができ、例えば、SpectrophotometerSA4000(日本電色工業株式会社製)を用い、反射光測定の条件で測定することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合工程、冷却工程などが挙げられる。
前記混合工程は、前記酵母細胞壁と、前記還元糖と、必要に応じて前記その他の成分とを混合し、前記油脂に加える混合物を調製する工程である。
前記混合の方法及び条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記冷却工程は、前記加熱工程で得られた組成物を常温(15℃〜25℃)又はそれ以下の温度まで冷却する工程である。
前記冷却の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、放冷、水冷などが挙げられる。
前記飲食品用組成物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃で固形状としたり、アイスクリーム等の低温の飲食品に用いる場合には、氷温下で固形状としたりすることができる。
前記飲食品用組成物は、後述する実施例の項目に記載のように、カカオマスに似た色調・性状・外観、及び風味を有するカカオマス様の組成物である。
また、前記飲食品用組成物は、前記酵母細胞壁と組み合わせる前記還元糖や前記油脂の種類やその配合比率、前記加熱の条件を調整することにより、前記飲食品用組成物の風味を容易に調整することができ、様々な風味を有するカカオマス様組成物とすることができる。
<用途>
前記飲食品用組成物の用途としては、飲食品用途であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カカオマスの代替品用途、製菓用原料用途が好ましい。
前記飲食品用組成物は、従来のカカオマスを利用した飲食品に用いられているカカオマスの一部又は全部の代替品として用いることができる。
−飲食品−
前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の飲食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、美容食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カカオマスを利用した飲食品が好ましく挙げられる。
前記カカオマスを利用した飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チョコレート飲料、ココア飲料等の飲料類;チョコレート;チョコレート又はココア風味を付与したアイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット等の冷菓類;チョコレート又はココア風味を付与したビスケット、クッキー、パンなどが挙げられる。
なお、本発明において、チョコレートには、いわゆる準チョコレートも含まれる。
(飲食品)
本発明の飲食品は、本発明の飲食品用組成物を含む限り、特に制限はなく、公知の飲食品を適宜選択することができ、例えば、上記した(飲食品用組成物及び飲食品用組成物の製造方法)の−飲食品−の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記飲食品用組成物の前記飲食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記飲食品の製造方法としては、前記飲食品用組成物を配合する限り、特に制限はなく、公知の飲食品の製造方法を適宜選択することができる。
本発明の飲食品は、本発明の飲食品用組成物を含むので、従来その飲食品に用いられていたカカオマスの一部又は全部を代替した場合でも、従来のカカオマスを利用した飲食品と同様の味・外観とすることができる。
以下に実施例、比較例、及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜27、比較例1〜5)
下記表1−1〜1−1−6に記載の配合の組成物を以下のようにして作製した。
(A)成分又は(A’)成分と、(B)成分又は(B’)成分とを混合し、混合物を得た。(B)成分は必要に応じて乳鉢による粉砕処理を行った。
下記表1−1〜1−6に記載の加熱温度まで昇温した(C)成分又は(C’)成分に前記混合物を加え、均一になるように撹拌し、スラリーとした。なお、(C)成分のうちバターオイルについてはバターを加熱し水分を除去したものを用いた。(下記表1−1〜1−1−6中のバターオイルは水分を除いた後の配合量を記載している。)
前記スラリーの温度が、下記表1−1〜1−6に記載の加熱温度に達温した時点から、下記1−1〜1−6に記載の加熱時間の間、前記加熱温度を維持した。前記加熱時間が経過した時点で加熱を停止し、放冷又は冷却して常温とし、実施例1〜27及び比較例1〜5の組成物を得た。
なお、前記組成物に用いた各成分の詳細は、以下のとおりである。
[(A)成分]
・ 酵母細胞壁(HG−CW、アサヒグループ食品株式会社製)
[(A’)成分]
・ 乾燥酵母(HG−DY、アサヒグループ食品株式会社製)
・ 酵母エキス(PS−d、アサヒグループ食品株式会社製)
[(B)成分]
・ キシロース(キシロース、三菱商事フードテッック株式会社製)
・ グルコース(無水結晶ブドウ糖、三栄糖化株式会社製)
・ フルクトース(フルーツシュガー、日新製糖株式会社製)
・ マルトース(サンマルト、株式会社林原製)
・ ラクトース(Lactose、LeprinoFoods社製)
[(B’)成分]
・ スクロース(HBS、ホクレン農業協同組合連合会製)
[(C)成分]
・ カカオバター(カカオバター、大東カカオ株式会社製)
・ バターオイル(バター(よつ葉バター、よつ葉乳業株式会社製)から調製)
・ カカオバター代用油脂(メラノNEW SS7、不二製油株式会社製)
<評価>
−色調・性状・外観−
得られた組成物の色調・性状・外観をカカオマスと目視にて比較して評価した。具体的には、カカオマス代替品とするために必要である、(1)カカオマス様の黒赤褐色であるか、(2)油脂分離がないかの2点について総合的に判断し、以下の評価基準により評価した。なお、評価は10名の評価者により行い、その平均点を下記表1−1〜1−1−6に示した。
なお、比較例4の組成物は、水を含んでおり、明らかにカカオマスとは異なるため、評価対象外とした。
5点 : カカオマスと同様の色調・性状・外観である。
4点 : カカオマスと比べて色調・性状・外観に若干違いがある。
3点 : カカオマスと比べて色調・性状・外観に少し違いがあるが、許容範囲内である。
2点 : カカオマスと比べて色調・性状・外観にかなり違いがある。
1点 : カカオマスの色調・性状・外観ではない。
−風味−
得られた組成物の風味をカカオマスと比較して、以下の評価基準により評価した。なお、評価は10名の評価者により行い、その平均点を下記表1−1〜1−1−6に示した。
なお、比較例4の組成物は、上述のように、水を含んでおり、カカオマスとは明らかに異なる色調・性状・外観ため、評価対象外とした。
5点 : カカオマスと同様の味である。
4点 : カカオマスと比べて若干違う味がする。
3点 : カカオマスと比べて少し違う味であるが許容範囲内である。
2点 : カカオマスと比べてかなり違う味である。
1点 : カカオマスとは全く違う味である。
−L値−
得られた組成物のうち、実施例1〜27及び比較例1の組成物について、分光色差計(SpectrophotometerSA4000、日本電色工業株式会社製)を用い、反射光測定の条件で、L値(*L)を測定した。結果を下記表1−1〜1−1−6に示した。
なお、比較例1〜5の組成物は、上記色調・性状・外観及び風味の少なくともいずれかの評価が劣るものであったため、参考として、比較例1の組成物について、L値を測定した。
Figure 2020184941
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実施例1〜27及び比較例1〜5の結果から、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含み、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下である本発明の組成物は、カカオマス様の色調・性状・外観、及び風味を有することが確認された。
また、還元糖の種類、各成分の配合比率、加熱条件(温度、時間)を変えることで、風味の異なるカカオマス様組成物が得られることも確認された。
なお、一例として、実施例1における加熱前の状態の組成物(加熱用組成物)について、上記<評価>と同様に評価したところ、「色調・性状・外観」の評価結果は1.0、「風味」の評価結果は1.0、「L値」は50.72であった。
(試験例1)
実施例24〜27又は比較例1で得られた組成物をカカオマス代替品として用い、下記表2に記載の配合で、常法によりミルクチョコレートを製造した。また、対照として、カカオマスを用いた通常のミルクチョコレートも同様にして製造した。
なお、前記ミルクチョコレートに用いた各成分の詳細は、以下のとおりである。
・ カカオマス(カカオマス、大東カカオ株式会社製)
・ カカオバター(ココアバター、大東カカオ株式会社製)
・ 全粉乳(全脂粉乳、よつ葉乳業株式会社製)
・ 砂糖(HBS、ホクレン農業協同組合連合会製)
<評価>
得られたミルクチョコレートをその配合は明かさずに10名の評価者にミルクチョコレートとして食してもらい、以下の評価基準により評価した。各評価者による評価の平均点を下記表2に示した。
5点 : ミルクチョコレートの味としてより美味しく、外観もよい。
4点 : ミルクチョコレートの味・外観である。
3点 : ミルクチョコレートの味・外観に近い。
2点 : ミルクチョコレートの味・外観とはやや違う。
1点 : ミルクチョコレートの味・外観ではない。
Figure 2020184941
試験例1の結果から、本発明の飲食品用組成物を用いて製造した試験例1−1〜1−4のミルクチョコレートは、ミルクチョコレートと認識される味・外観であり、本発明の組成物が、カカオマスの代替品として、製菓用原料に用いることができることが確認された。
また、試験例1−1〜1−4のミルクチョコレートは、それぞれ風味が異なり、本発明により、様々な風味のカカオマス様組成物が得られることも確認された。

Claims (12)

  1. 酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含み、色差計により測定したL値(*L)が50.0以下であることを特徴とする飲食品用組成物。
  2. カカオマスの代替品として用いられる請求項1に記載の飲食品用組成物。
  3. 製菓原料として用いられる請求項1から2のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  4. 前記還元糖が、キシロース、グルコース、フルクトース、マルトース、及びラクトースからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  5. 前記油脂が、カカオバター、カカオバター代用油脂、及びバターオイルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  6. 前記酵母細胞壁と、前記還元糖との質量比(酵母細胞壁/還元糖)が、0.05〜5.0である請求項1から5のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  7. 前記油脂と、前記酵母細胞壁及び前記還元糖の合計量との質量比{油脂/(酵母細胞壁+還元糖)}が、0.1〜3.0である請求項1から6のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  8. 前記酵母細胞壁と、前記還元糖と、前記油脂とを含む組成物の加熱処理物である請求項1から7のいずれかに記載の飲食品用組成物。
  9. 酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む組成物を加熱することを含むことを特徴とする飲食品用組成物の製造方法。
  10. 前記加熱が、酵母細胞壁と、還元糖と、油脂とを含む前記組成物を100℃〜150℃で加熱する請求項9に記載の飲食品用組成物の製造方法。
  11. 前記加熱の時間が、5分間〜120分間である請求項9から10のいずれかに記載の飲食品用組成物の製造方法。
  12. 請求項1から8のいずれかに記載の飲食品用組成物を含むことを特徴とする飲食品。
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