JP2020184815A - ゲルアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】印加電圧に対する変化量が大きく、かつ、アクチュエータ全体の厚さを薄くすることができ、かつ大きな力を得ることのできるアクチュエータを提供する。【解決手段】誘電性高分子材料を含むゲル部10を複数備えるゲル層11と、ゲル層11を厚さ方向に挟む陽極13及び陰極12とからなる単位構造を備え、電圧印加によりゲル層11を変形させ、陽極13と陰極12との間隔を変化させるゲルアクチュエータ1であって、電圧印加前のゲル部10と吸着側電極13との接触部の(周長/面積)が2mm−1より大きく、かつ、電圧印加前のゲル部10と吸着側電極13との接触面の周長が、電圧印加後に増大する、ゲルアクチュエータ1。【選択図】図1

Description

本発明は、ゲルアクチュエータに関する。
近年、エネルギーや電気信号を物理的運動に変換する機械・電気回路を構成するアクチュエータの材料として、軽量性や柔軟性、加工性に優れる高分子材料が注目されている。特に、小型軽量化を可能とするアクチュエータの一種として、伸縮性に優れる高分子ゲルを用いた積層型のゲルアクチュエータが知られている。当該アクチュエータは、例えば、当該アクチュエータは、その優れた伸縮性から人工筋肉の候補に挙げられ、人の動作を補助することを目的とする福祉機器や介護機器等の製品への応用が期待されている。
積層型のゲルアクチュエータは、典型的には、特許文献1に開示されているような、特定のゲルの両端に電極を備え、電圧を印加することによりゲルが変形する減少を用いてアクチュエータとするものである。この時に変形したゲルは、電圧の印加により変形するものの、その体積自体が大きく変化するものではない。
そこで、アクチュエータ全体の変化量を大きくするため、電極をメッシュ構造にしたり(特許文献2)、電極自体に凹凸をつけたり(特許文献3)して、ゲルが変形することができる場所を設けることにより、大きな変異を許容する技術が開発されている。
また非特許文献1には、10mm×50mmのステンレス箔上に、2mm×2mmの大きさに分割したゲルを4個×20個に並べて配置したゲルアクチュエータが記載され、その分割の目的は、横にゲルが這い出す隙間を作ることを目的としている。
特開2012−23843号公報 特開2014−32162号公報 国際公開第2013/122047号
日本機械学会ロボメカ講演会2015.2A2−A08収縮型PVCゲルアクチュエータの繰り返し駆動による変位量減衰のメカニズム
上記の特許文献1及び2に開示されるような構造では、電極の移動方向と同じ方向にゲルが移動して、電極がゲル自身にめり込んだり、電極の裏側にゲルが回り込んだりしてしまう。このため、印加した電圧を開放したときに元の位置に戻りにくかったり、メッシュ電極がゲル中に移動したりするため、無駄な抵抗が生じる等の問題があり、また、アクチュエータの変形方向にゲルの移動する空間を設けなければならないため、アクチュエータ全体の厚さを薄くすることができず、アクチュエータの大きさに対する変形量が小さくなるなどの問題があり必ずしも好ましい態様とはいえず、またその発揮できる力も必ずしも大きいものではなかった。
非特許文献1に記載の構造は、厚さ方向への変形を避ける構造が開示されているが、具体的な構造の要件については開示されておらず、どのような構造であっても、アクチュエータとして十分な力が得られるような構造ではなかった。
そこで、本発明は、印加電圧に対する変化量が大きく、かつ、アクチュエータ全体の厚
さを薄くすることができ、かつ大きな力を得ることのできるアクチュエータを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、電極よりもゲルを小さくし、さらに、島状(ドット状)のゲルを複数用いて、周囲に変形を逃すための空間を設けることにより、厚さ方向ではなく平面方向にゲルが変形する課題が解決されること、さらには、電極の間隔が狭まるにつれ、各電極との接触面積が増えることにより、変形させるための力をより大きくすることができることを見出した。また、ゲルの変形を観察すると、実際に大きな変形をしているのはゲルの周囲に近い、ごく一部にすぎず、せいぜい端部から500μm程度、特に大きな変形を生じているのは200−300μm程度に過ぎず、その他の部分は大きな変形を生じた部分に引っ張られて変形しているだけであることを見出した。
すなわち、ゲルを分割して変形が可能な周長を増やし、かつ分割されたゲルひとつあたりの面積をある一定値以下とすることにより、アクチュエータとして十分な力が発揮できることを見出し、本発明に到達した。
また、複数のゲルの島の設置場所に応じてゲルの体積や電極との接触面積を変化させることにより、設置場所に応じて不均一な力が必要となる場合に対応できるアクチュエータを得ることができることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 誘電性高分子材料を含むゲル部を複数備えるゲル層と、前記ゲル層を厚さ方向に挟む陽極及び陰極とからなる単位構造を備え、電圧印加により前記ゲル層を変形させ、前記陽極と前記陰極との間隔を変化させるゲルアクチュエータであって、
電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(周長/面積)が2mm−1より大きく、かつ、
電圧印加前の前記ゲル部と吸着側電極との接触部の周長が、電圧印加後に増大する、ゲルアクチュエータ。
[2] 前記電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(1/面積)が0.32mm−2より大きい、[1]に記載のゲルアクチュエータ。
[3] 前記ゲル部が島状である、[1]又は[2]に記載のゲルアクチュエータ。
[4] 前記ゲル部が、設計上の最大変形時においても、隣接するゲル部に、接触しない間隔を空けている、[1]〜[3]のいずれかに記載のゲルアクチュエータ。
[5] 電圧印加前の前記ゲル部と吸着側電極との接触部の面積が、ゲル部によって異なる、[1]〜[4]のいずれかに記載のゲルアクチュエータ。
本発明により、印加電圧に対する変化量が大きく、かつ、アクチュエータ全体の厚さを薄くすることができ、かつ大きな力を得ることができるアクチュエータを提供することができる。
本発明の一実施形態である、ゲル層と2つの電極とからなる単位構造を備えるアクチュエータの構成と作用とを模式的に表す図である。 本発明の一実施形態であるアクチュエータにおいて、ゲル部の設計上の最大変形時においても、隣接するゲル部に接触しないような間隔を空けるようにゲル部が配置されたアクチュエータの構成と作用とを模式的に表す図である。なお、当該図では、アクチュエータの上面の電極や、外部の電源、スイッチの記載を省略した。 本発明の一実施形態である、隣接アクチュエータの間に絶縁層を備える積層型のアクチュエータの構成と作用とを模式的に表した図である。 本発明の一実施形態である、隣接するアクチュエータの間にゲル層を備える積層型のアクチュエータの構成と作用とを模式的に表す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらの説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
また、本発明において、特段限定するような記載をしていない場合、「2つの電極」とは陽極と陰極の組み合わせであることを示す。また、「一方の電極」及び「もう一方の電極」の組み合わせを用いた場合、いずれか一方が陽極であり、もう一方が陰極であることを示す。
また、図1〜4のアクチュエータは模式的に表されたものであり、本発明は、これらの図中で表される各部材の大きさや各部材間の大きさの比率に限定されない。
また、本発明において、「ゲル状」とは、流動性のあるゾル状の分解生成物が固化して弾性を維持しつつ自発的な流動性を喪失した状態をいい、そのような状態の物質を「ゲル状物質」(または、単に「ゲル」)と称する。
また、本発明における「ゲル部」の記載は、特段の断りがない限り、ゲル層に備えられる1つの独立したゲル状物質を示し、さらに、「ゲル層」の記載は、特段の断りが無い限り、1つのゲル層に備えられる全てのゲル部を含む概念である。
また、本発明におけるゲル層(又はゲル部)と電極との「接触面」又は「接触部の面積」の記載は、特段の断りがない限り、ゲル層(又はゲル部)と、陽極又は陰極のいずれか一方との接触面又は接触面積を示す。
本発明において、「ゲル部」に関する特性値は、特段の断りがない限り、ゲル層に備えられる複数のゲル部の各々の特性値の平均値として算出する。例えば、「ゲル部の厚さ」とは、ゲル層に備えられる複数のゲル部の各々の厚さの合計値をゲル部の個数で除して算出した値を意味し、「電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の周長」とは、電圧印加前におけるゲル層に備えられる複数のゲル部と吸着側電極との接触部の全周長をゲル部の個数で除して算出した値を意味し、これらのゲル部に係る定義は他の特性値についても同様とする。
また、「接触部」とは、特段の断りがない限り、ゲル部と吸着側電極とが接触する部分を意味する。
本発明の一実施形態であるゲルアクチュエータ(単に「アクチュエータ」とも称する)は、誘電性高分子材料を含むゲル部を複数備えるゲル層と、前記ゲル層を厚さ方向に挟む陽極及び陰極とからなる単位構造を備え、電圧印加により前記ゲル層を変形させ、前記陽極と前記陰極との間隔を変化させるゲルアクチュエータであって、電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(周長/面積)が2mm−1より大きく、かつ、電圧印加前の前記ゲル部と吸着側電極との接触部の周長が、電圧印加後に増大する、ゲルアクチュエータである。
また、本発明において、「複数」とは、「2以上」を意味する。
<1.アクチュエータの構成>
図1は、本発明の一実施形態である、ゲル層と2つの電極とからなる単位構造を備えるアクチュエータ1の構成と作用とを模式的に表した図である。アクチュエータ1は、ゲル部10を備えるゲル層11と、該ゲル層11を厚さ方向に挟む電極12及び電極13とからなる単位構造を備える。当該アクチュエータ1は、図1に示すように、電圧を印加しない状態においては、2つの電極間のゲル層11が均一な厚さとなっており、厚さ方向に電圧を印加すると、ゲルが変位し、アクチュエータ1の全体の厚さが小さくなる。
このように、アクチュエータ1は、2つの電極12及び13の間に電圧を印加する操作をON−OFFすることにより、変位状態と元の厚さに復帰する状態とを切り替えること
ができる。すなわち、アクチュエータ1は、電圧の印加操作によって厚さ方向に変位するアクチュエータとして作用する。
電極12が陰極、電極13が陽極である場合、これらの電極間に電圧を印加すると、陰極12からゲル層に電荷が蓄積する。これにより、陽極13の表面で静電気的な吸着作用が生じ、ゲルが陽極近傍でクリープ変形を起こす。図1に示すように、2つの電極間に電圧を印加すると、クリープ変形により、ゲル層11が陽極13に接する側で裾をひくような形態(電極上を這うような形態)となる。印加電圧を除去すると静電気力は消失し、ゲルの弾性によりゲル層は元の状態に復帰する。
本発明では、上記ゲル部の吸着作用により裾状に広がった側の電極(図1の電極13)を「吸着側電極」と称する。
本発明のゲルアクチュエータは、平面方向でゲル部を電極よりも小さくすることにより、平面方向へゲルが変形し易くなり、従来変位を大きくするために必要であった電極の凹凸を省くことができる。これにより、アクチュエータ全体の厚さを薄くしたり、製造工程を簡素化できたりするだけでなく、任意の平面形状又は曲面構造のアクチュエータを容易に製造することができる。
また、ゲル層に備えられる各ゲル部の平面方向のサイズを小さくすることにより、電圧印加時の変形量を増大させることができ、また、ゲル部の個数を増加させて高分子ゲルの総面積を増大させることにより、復元力を大きくすることができる。
また、ゲル部の平面方向のサイズを小さくすることにより、溶媒の乾燥や加圧成膜において成型が困難であった、大きな面積を有するゲルアクチュエータを容易に製造することができる。
この観点からみたゲル部のサイズの基準は、電圧印加前のゲル部と吸着電極との接触部の(周長/面積)が2mm−1より大きいことである。この条件を満たす最も簡単な構造は、そのゲル部が直径2mm超の円である構造である。より具体的には、「(周長/面積)」とは、(電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の周長/電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の面積)である。
ここで、(周長/面積)とは、ゲル部の変形に寄与する割合の指標を意味し、当該数値が大きいと、変形に寄与する部分が増大する。
そして、(周長/面積)は、2mm−1より大きいことが必要であるが、2.5mm−1より大きいことが好ましく、3mm−1より大きいことがより好ましく、4mm−1より大きいことが特に好ましい。これは、変形部分が周辺500μm程度であることを考えれば、ほぼ全域が変形する直径1mmの円柱状のゲル部に相当する。また、(周長/面積)は、特段上限を設ける必要はないが、通常400mm−1以下である。
周長や面積は、ゲル部断面の寸法測定やCTスキャン等を用いることにより測定することができる。もし異なる形状、大きさのものが多数存在する場合には、画像処理により、平均面積と平均周長を求めればよい。
また、(周長/面積)が上記範囲を満たしていれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、アクチュエータ全体の一部に、(周長/面積)が上記の範囲よりも小さいゲル部を、少数(例えば個数で全体の2割以下程度)含んでいてもよい。
さらに、平面の高さ方向に変形することを出力とするゲルアクチュエータにおいて、面内での出力を不均等としたい場合(あるいは負荷が面方向で均等でない場合)、ゲル部の位置、分布密度、経分布を調整することにより、所望の変位出力を容易に発生させることができる。
上述した、ゲル部の平面方向のサイズを小さくすることにより、溶媒の乾燥や加圧成膜において成型が困難であった、大きな面積を有するゲルアクチュエータを容易に製造することができる観点からみたゲル部のサイズの基準の指標としては、(周長/面積)以外に
も、電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(1/面積)が挙げられる。この場合、(1/面積)が0.32mm−2より大きいことが好ましい。この条件を満たす最も簡単な構造は、そのゲル部が直径2mm超の円である構造である。より具体的には、「(1/面積)」とは、(1/電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の面積)である。
ここで、(1/面積)とは、ゲル部1つ当たりの接触面積の逆数を意味し、当該数値が大きいと、変形量や復元力が大きくなる。
そして、(1/面積)は、0.32mm−2より大きいことが好ましく、0.5mm−2より大きいことがより好ましく、0.8mm−2より大きいことがさらに好ましく、1.27mm−2より大きいことが特に好ましい。これは、変形部分が周辺500μm程度であることを考えれば、ほぼ全域が変形する直径1mmの円柱状のゲル部に相当する。また、(1/面積)は、特段上限を設ける必要はないが、通常10000mm−2以下、好ましくは100mm−2以下である。
面積は、ゲル部断面の寸法測定やCTスキャン等を用いることにより測定することができる。もし異なる形状、大きさのものが多数存在する場合には、画像処理により、平均面積と平均周長を求めればよい。
また、(1/面積)が上記範囲を満たしていれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、アクチュエータ全体の一部に、(1/面積)が上記の範囲よりも小さいゲル部を、少数(例えば個数で全体の2割以下程度)含んでいてもよい。
さらに、平面の高さ方向に変形することを出力とするゲルアクチュエータにおいて、面内での出力を不均等としたい場合(あるいは負荷が面方向で均等でない場合)、ゲル部の位置、分布密度、経分布を調整することにより、所望の変位出力を容易に発生させることができる。
以下、ゲル層に備えられるゲル部の態様について具体的に説明する。以下で説明する形状や大きさ等の特性について、ゲル層に備えられる複数のゲル部の態様は、同じであっても、異なっていてもよい。また、上述した通り、「ゲル部」に関する特性値は、特段の断りがない限り、ゲル層に備えられる複数のゲル部の各々の特性値の平均値として算出する。
ゲル層に備えられるゲル部の形状は、周囲に変形を逃がす隙間があれば特段限定されず、用途に応じて任意に設計でき、例えば、島状(ドット状)、線状、ドーナツ状とすることができる。これらの中でも、基板に転写が可能な印刷技術により、ゲル層形成を効率的に生産が可能になる観点から、角柱状、円柱状等の島状であることが好ましく、特に、印加電圧による変形が均一であるために変位量を大きくすることができる観点から、円柱状であることが好ましい。円柱状の場合、周方向に均一に変形するため、耐久性がよいという効果もある。但し、凹多角形及び凹曲線面を持つ形状(例えば星形など)の場合に関しては、凸多角形及び凸曲線面を持つ形状(例えば円、楕円、凸型多角形など)に比べ周囲の長さが長く、電場が集中しやすく有利に働くので、変形量や発生力などの観点から有利である。
電圧印加前における、ゲル部の厚さは、特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、アクチュエータとして変形する挙動の実用上の観点から、通常1μm以上であり、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは5μm以上であり、最も好ましくは10μm以上であり、一方で、通常10mm以下であり、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、特に好ましくは0.6mm以下であり、最も好ましくは0.2mm以下である。
電圧印加前における、ゲル部と吸着側電極との接触部の周長は、特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、ゲルの周長部分が変形の寄与するための電極とゲル部との接触部の面積を確保する観点から、通常0.01mm以上であり、好ましく
は0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上であり、特に好ましくは0.5mm以上であり、最も好ましくは1mm以上である。一方で、上限については特段設定する必要はないが、通常10mm以下である。
電圧印加前における、ゲル層と吸着側電極との平均接触面積は、電極の面積よりも小さければ特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、ゲル部の平面方向のサイズを小さくすることにより、溶媒の乾燥や加圧成膜において成型が困難であった、大きな面積を有するゲルアクチュエータを容易に製造することができる観点から、3.14mm未満であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.25mm以下であることがさらに好ましく、0.79mm以下であることが特に好ましい。一方で、特段下限を設ける必要はないが、通常0.0001mm以上であり、好ましくは0.01mm以上である。
また、ゲル部と電圧印加前の吸着側電極との接触面積は、ゲル層に備えられる全てのゲル部が同一であってもよいが、異なっていてもよく、複数のゲルの島の設置場所に応じてゲルの体積や電極との接触面積を変化させることにより、設置場所に応じて不均一な力が必要となる場合に対応しやすくなる。
吸着側電極の面積に対する、電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触面積の割合は、特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、供給電力効率の観点から、通常1%以上であり、好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上であり、一方で、通常100%以下であり、好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下であり、さらに好ましくは70%以下であり、特に好ましくは60%以下である。
電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触面積に対する、電圧(設計上の最大電圧)印加後のゲル部と吸着側電極との接触面積の割合は、特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、供給電力効率の観点から、通常100%以上であり、好ましくは102%以上であり、より好ましくは105%以上であり、さらに好ましくは110%以上であり、特に好ましくは120%以上であり、一方で、通常300%以下であり、好ましくは250%以下であり、より好ましくは200%以下であり、さらに好ましくは180%以下であり、特に好ましくは160%以下である。
ゲル層に備えられるゲル部の数は、複数であれば特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、均等な変形を促すための観点から、通常2以上であり、好ましくは25以上であり、より好ましくは100以上であり、特に好ましくは200以上であり、最も好ましくは10000以上であり、一方で、通常100000以下であり、好ましくは10000以下であり、より好ましくは5000以下であり、特に好ましくは1000以下であり、最も好ましくは500以下である。
なお、複数の島は、規則的に配置されてよく、不規則であってよい。また、複数の島は同一の大きさであってよく、異なってもよい。
ゲル部の配置は、特段限定されず、用途や電極の面積に応じて任意に設計し得るが、変形したゲルの逃げで最大の変形を得るための観点から、図2に示すように、ゲル部の設計上の最大変形時においても、隣接するゲル部に接触しないような間隔を空けることが好ましい。なお、当該図2では、アクチュエータの上面の電極や、外部の電源、スイッチの記載を省略した。
設計上の最大変形時とは、アクチュエータの設計時に設定される、変形が最も大きくなる状態であり、通常は設計上の最大電圧を印加した時の変形量である。
単位構造であるアクチュエータは、単独で用いる、又は厚さ方向に複数個重ね合せて作
製した積層型で用いることができる。積層型で用いる場合、図3に示すように、隣接するアクチュエータの間に絶縁層を備えて積層させる態様、また、図4に示すように、隣接するアクチュエータの間にゲル層を備えて積層させる態様とすることができる。
なお、アクチュエータと電源やスイッチとの接続の態様は、特段制限されず、積層型の場合、例えば、図3に示すように、単位構造であるアクチュエータ毎に電源やスイッチを設けて接続する態様、また、図4に示すように、積層された単位構造であるアクチュエータの各々の電極に接続された導線を一つの電源やスイッチに接続させ、一つのスイッチのON−OFFで複数のゲルの変位を制御するような態様とすることができる。
上記の絶縁層の種類は、特段限定されず、例えば、シリコンの熱酸化膜(SiO)、Si、ZrO、Y、ZnO、Al等を用いることができる。また、絶縁層の厚さは、用途に応じて適宜選択することができるが、良好な絶縁性を保持しつつ小型化を可能とする観点から、通常10nm〜10mmであり、好ましくは1μm〜5mmである。
なお、積層型のアクチュエータにおいて、該アクチュエータを構成する各部材の特性は、積層型アクチュエータ全体で評価してもよく、ゲル層と該ゲル層を厚さ方向に挟む陽極及び陰極とからなる単位構造ごとに評価してもよい。
アクチュエータ中のゲル層に備えられる複数のゲル部の総重量は、アクチュエータの用途に応じて任意に選択できるが、特にゲル層を複数有するアクチュエータの変位長を確保する観点から、通常10重量%以上であり、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは18重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上であり、特に好ましくは22重量%以上であり、また、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下であり、さらに好ましくは43重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。
アクチュエータ全体の厚さに対するゲル層の厚さの割合は、アクチュエータの用途に応じて任意に選択できるが、通常0.1から99.98%であり、1〜95%であることが好ましく、5〜90%であることがより好ましく、10〜85%であることがさらに好ましい。上記の下限以上とすることにより、無課電状態でゲル層がメッシュ等の隙間に入り込んでしまうことにより、変位長が小さくなる影響を小さくできるため好ましく、また、上記の上限以下とすることにより、メッシュとの接触確率を十分に維持でき、変位に必要な電圧を低くすることができる。
<2.ゲル層>
<2−1.ゲル部の原料>
ゲル層に備えられるゲル部は、誘電性高分子材料を含んでいれば、特段限定されず、以下に示す態様以外だけでなく、特開2012−23843号公報や特開2014−32152号公報等に開示されるゲルの原料を用いることができる。また、ゲル層が備える複数のゲル部の材料は、同じであっても、異なっていてもよいが、印加電圧による変化量を均一にできる観点から、同じであることが好ましい。
ゲル部材料は、電気刺激により屈曲変形やクリープ変形をなし、また、電位差をかけると収縮する材料である。ゲル部に含まれる誘電性高分子材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン6、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリル、シリコーンゴム等を用いることができる。これらの中でも、印加電圧による変位量や発生力がより大きく出力される物質の観点から、ポリ塩化ビニル及びポリビニルブチラールが好ましい。これらの誘電性高分子材料の製法は、特段限定されず、一般に市販されているものを用いることができる。
ゲル部中の誘電性高分子材料の含有量は、特段制限されないが、ゲルの変位長が十分得られる観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは8重量%以上であり、より好まし
くは10重量%以上であり、さらに好ましくは12重量%以上であり、特に好ましくは15重量%以上であり、また、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは45重量%以下であり、特に好ましくは40重量%以下である。
誘電性高分子材料として、ポリ塩化ビニルを用いる場合、その数平均分子量(Mn)は、特段制限されないが、電圧印加時の変位量を向上させる観点から、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で、7万以上20万以下であるが、好ましくは7.5万以上であり、より好ましくは8万以上であり、さらに好ましくは8.5万以上であり、特に好ましくは9万以上であり、また、好ましくは18万以下であり、より好ましくは16万以下であり、さらに好ましくは14万以下であり、特に好ましくは12万以下である。ポリ塩化ビニルの数平均分子量(Mn)を7万以上とすることで得ら
れたゲルが経時的に変化し電気的特性が安定しやすくなる。一方20万以下とすることにより、得られたゲルが固くなりすぎず、電圧をかけた時の変位長が十分に得られる。
また、誘電性高分子材料として、ポリビニルブチラールを用いる場合、その数平均分子量(Mn)電圧印加時の変位量を向上させる観点から、6万以上15万以下であるが、好ましくは7万以上であり、より好ましくは8万以上であり、また、好ましくは14万以下であり、より好ましくは13万以下である。ポリビニルブチラールの数平均分子量を上述のそれぞれの数平均分子量以上とすることで、連続したシート化を容易にすることができ、取り扱いが容易になる。一方上述のそれぞれの数平均分子量以下とすることで、適度な硬度となり、電圧に対する変位長を十分に確保できる。
なお、ここでいう数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリ
スチレン換算の値を用いる。また市販品を使用する場合には、使用する製品によっては数平均分子量ではなく、計算分子量が記載されていることがあるが、数平均分子量と計算分子量は実質的に同様の値になるため、計算分子量も同様の範囲で用いることができる。
ゲル部は、本発明の効果が発揮される範囲において、上記の誘電性高分子材料以外の材料を含んでいてもよく、例えば、可塑剤や電荷補足剤等が挙げられる。
可塑剤の種類は、特段限定されないが、例えば、ジオールジエステル、ジカルボン酸ジエステル、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエタノールアミン(DEA)等が挙げられる。ジカルボン酸エステルとしては、例えばアジピン酸ジブチル(DBA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、コハク酸ジエチル(DESuc)、アジピン酸ジメチル(DMA)、セバシン酸ジ
エチル(DESeb)、セバシン酸ジブチル(DBSeb)、セバシン酸ジオクチル(DOS
eb)等が挙げられる。これらの中でも、比較的取扱いやすく安定なゲル物質を得るため
の観点から、ジオールジエステル及びジカルボン酸ジエステルが好ましく、特に、誘電性高分子としてポリ塩化ビニルを用いた場合にはジオールジエステルやジカルボン酸ジエステルを用いることが好ましく、また、誘電性高分子としてポリビニルブチラールを用いた場合にはジカルボン酸ジエステルを用いることが好ましい。これらの誘電性高分子材料の製法は、特段限定されず、一般に市販されているものを用いることができる。
ゲル部中の可塑剤の含有量は、特段制限されないが、良好な変位長の発現とゲル表面のべたつき抑制の観点から、通常55重量%以上であり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは65重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上であり、特に好ましくは75重量%以上であり、また、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは93重量%以下であり、さらに好ましくは90重量%以下であり、特に好ましくは85重量%以下である。
電荷補足剤の種類は、特段限定されないが、例えば、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロフルオレン−9−オンが挙げられる。
ゲル部中の電荷補足剤の含有量は、特段制限されないが、良好な変位長の発現の観点から、通常0.01重量%以上であり、好ましくは0.02重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上であり、特に好ましくは0.1重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。
ゲル部の密度は、通常0.7〜1.5g/cmであり、0.8〜1.4g/cmであることが好ましく、0.85〜1.35g/cmであることがより好ましい。
ゲル部の密度が上記範囲内であると、厚みが薄くなっても荷重を支えることが可能であり、厚みが厚くなってもアクチュエータの重量の増加を抑えることが可能であるという利点がある。なお、測定方法については、一般的な密度の測定方法を適用できる。
<2−2.ゲル部の製造方法>
ゲル部の製造方法は、特段限定されず、特開2012−23843号公報や特開2014−32152号公報等に開示される一般的なゲルの製造方法により製造することができ、例えば、上述した各種原料に溶媒を加えた混合溶液を調製し、当該混合溶液をテフロン(登録商標)製シャーレ等の離型性のよい容器に移し、一定時間静置してゲル化させた後、容器から剥離することでゲル部を得ることができる。
ゲル部を製造する際に用いられる溶媒の種類は、上記のポリビニルブチラール及びジカルボン酸ジエステル化合物を溶解させるものであれば特段制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、及びメタノールが好ましく、特に、揮発性と臭気の観点から、テトラヒドロフランであることが好ましい。
溶媒を揮発させる前の組成物中の溶媒の含有量は、溶解速度と揮発速度の観点から、通常40重量%以上であり、好ましくは45重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは55重量%以上であり、特に好ましくは60重量%以上であり、また、好ましくは98重量%以下であり、より好ましくは95重量%以下であり、さらに好ましくは90重量%以下であり、特に好ましくは85重量%以下である。
<3.電極>
前記ゲル層を厚さ方向に挟む陽極と陰極(これらをまとめて「2つの電極」とも称す)の形状は、特段制限されず、電圧の印加により変位したゲルが移動できる空間がある形状であってもよく、また、当該空間がない形状であってもよい。電圧の印加により変位したゲルが移動できる空間がある形状とは、例えば、電極の一部に切欠きを有する形状、凹凸を有する形状、網状の形状等が挙げられる。
上記の空間がある形状の場合、アクチュエータ全体の厚さを薄くすることができず、アクチュエータの大きさに対する変形量が小さくなってしまうため、空間がない形状である方が好ましい。
また、以下に示す電極の厚さや材料の種類は、陽極と陰極で同じであっても、異なっていてもよい。
電極の厚さは、アクチュエータの用途に応じて任意に選択でき、通常0.01〜1mmであり、0.012〜0.9mmであることが好ましく、0.015〜0.8mmであることがより好ましい。
電極の材料の種類は、特段制限されず、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金(例えば、ステンレス鋼や黄銅);酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO等);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、電気特性や加工性、生産性の観点から、ステンレス鋼や黄銅が好ましい。
<3.ゲルアクチュエータの用途>
ゲルアクチュエータは、自動車部品や電子部品、食品、医薬品、医療機器、製紙、検査機器等の種々の分野で用いられる機械部品において、入力されたエネルギー又はコンピュータが出力した電気信号を物理的運動に変換する機械・電気回路を構成する機械要素として用いることができる。特に、ゲルを用いたアクチュエータに特有の優れた伸縮性から、人工筋肉として応用することができ、人の動作を補助することを目的とする福祉機器や介護機器等に用いることができる。
1 アクチュエータ
10 ゲル部
11 ゲル層
12 電極
13 電極
14 絶縁層

Claims (5)

  1. 誘電性高分子材料を含むゲル部を複数備えるゲル層と、前記ゲル層を厚さ方向に挟む陽極及び陰極とからなる単位構造を備え、電圧印加により前記ゲル層を変形させ、前記陽極と前記陰極との間隔を変化させるゲルアクチュエータであって、
    電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(周長/面積)が2mm−1より大きく、かつ、
    電圧印加前の前記ゲル部と吸着側電極との接触部の周長が、電圧印加後に増大する、ゲルアクチュエータ。
  2. 前記電圧印加前のゲル部と吸着側電極との接触部の(1/面積)が0.32mm−2より大きい、請求項1に記載のゲルアクチュエータ。
  3. 前記ゲル部が島状である、請求項1又は2に記載のゲルアクチュエータ。
  4. 前記ゲル部が、設計上の最大変形時においても、隣接するゲル部に、接触しない間隔を空けている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲルアクチュエータ。
  5. 電圧印加前の前記ゲル部と吸着側電極との接触部の面積が、ゲル部によって異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲルアクチュエータ。
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