JP2020183010A - 研磨方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

研磨方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】例えば変質層の研磨に適用できるものであって、回転対称形状の光学素子の研磨において、レンズの形状や粗さを悪化させることなく研磨することができる研磨方法および光学素子の製造方法を提供すること。【解決手段】研磨方法は、回転軸の一端に固定された研磨工具10を回転対称形状の被加工物Oの径方向に走査し、被加工物Oの外周側の所定の位置から、研磨工具10における進行方向側の外周縁が被加工物Oの中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、研磨工具10を第一の方向に回転させながら、研磨工具10を被加工物Oの表面に当接させることにより、被加工物Oを研磨し、第一の位置から、研磨工具10における進行方向側の外周縁が被加工物Oの中心部に位置する第二の位置まで、研磨工具10を第一の方向とは逆の第二の方向に回転させながら、研磨工具10を被加工物Oの表面に当接させることにより、被加工物Oを研磨する。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨方法および光学素子の製造方法に関する。
例えば、カメラ用レンズにおいて、色収差を低減するためのED(Extra-low Dispersion)レンズが知られている。このEDレンズでは、低分散性のガラス素材が用いられる。一方、ガラス素材を加熱し、溶融したガラス素材を押圧することによりレンズを製造する方法がある。このレンズの製造方法では、前記した低分散性のガラス素材を用いる場合、成形後のレンズの歪を除去するためにアニールを行う。このとき、ガラス素材に含まれるフッ素が原因となり、レンズの表面に変質層が形成される。この変質層は、光の反射率を高めてしまうため、レンズフレアの発生を招くことになる。
特開2014−24741号公報
特許文献1には、前記した変質層を研磨して除去する除去工程が開示されている。このような変質層の除去工程では、レンズの形状や粗さを悪化させることなく変質層を研磨する必要がある。例えば、レンズは回転対象形状であるため、レンズの中心部が過剰研磨されて「ヘソ」と呼ばれる凹部または凸部が発生する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、例えば変質層の研磨に適用できるものであって、回転対称形状の光学素子の研磨において、レンズの形状や粗さを悪化させることなく研磨することができる研磨方法および光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る研磨方法は、回転軸の一端に固定された研磨工具を回転対称形状の被加工物の径方向に走査し、前記被加工物の外周側の所定の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記研磨工具を第一の方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨し、前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部に位置する第二の位置まで、前記研磨工具を前記第一の方向とは逆の第二の方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨する。
また、本発明に係る研磨方法は、上記発明において、回転軸の一端に固定された研磨工具を回転対称形状の被加工物の径方向に走査し、前記被加工物の外周側の所定の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を逆方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨し、前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部に位置する第二の位置まで、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨する。
また、本発明に係る研磨方法は、上記発明において、前記第二の位置を前記被加工物の研磨終了位置とする。
また、本発明に係る研磨方法は、上記発明において、前記所定の位置から前記第一の位置まで前記被加工物を研磨した後、前記第一の位置において、前記研磨工具を揺動させながら、前記被加工物のみを回転させることにより、前記被加工物を研磨する。
また、本発明に係る研磨方法は、上記発明において、前記所定の位置から前記第一の位置まで前記被加工物を研磨した後、前記第一の位置において、前記研磨工具と前記被加工物とを接触させたまま、前記研磨工具の回転を停止させ、前記第一の位置において、前記研磨工具を揺動させながら、前記被加工物のみを回転させることにより、前記被加工物を研磨する。
また、本発明に係る研磨方法は、上記発明において、前記第一の位置から前記第二の位置まで前記被加工物を研磨する際に、前記研磨工具と前記被加工物とを接触させたまま、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学素子の製造方法は、加熱溶融したフツリン酸系ガラス素材からなる成形素材を一対の金型によって押圧して回転対象形状の光学素子を成形する工程と、前記光学素子を加熱して光学素子内の歪を除去する成形後アニール工程と、回転軸の一端に固定された研磨工具を前記光学素子の径方向に走査し、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記光学素子の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記光学素子の回転方向に対して前記研磨工具を逆方向に回転させながら、前記研磨工具を前記光学素子の表面に当接させることにより、前記成形後アニール工程により前記光学素子に形成された変質層を研磨し、前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記光学素子の中心部に位置する第二の位置まで、前記光学素子の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させながら、前記研磨工具を前記光学素子の表面に当接させることにより、前記変質層を研磨する。
本発明に係る研磨方法および光学素子の製造方法によれば、被加工物の外周側の所定の位置から第一の位置まで、被加工物の回転方向に対して研磨工具を逆方向に回転させながら被加工物を研磨し、その後、第一の位置から第二の位置まで、被加工物の回転方向に対して研磨工具を同方向に回転させながら被加工物を研磨することにより、被加工物の研磨加工面の全域を均一に研磨することができる。また、本発明に係る研磨方法および光学素子の製造方法によれば、ヘソと呼ばれる凹部または凸部を発生させることなく光学素子を研磨することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程1を説明するための説明図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程2を説明するための説明図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程3を説明するための説明図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程4を説明するための説明図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程5を説明するための説明図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程5を実施する理由を説明するための説明図であり、被加工物と研磨工具とを互いに逆方向に回転させた場合における被加工物の研磨後の形状の一例を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程5を実施する理由を説明するための説明図であり、被加工物と研磨工具とを互いに同方向に回転させた場合における被加工物の研磨後の形状の一例を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程6を説明するための説明図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程7を説明するための説明図である。 図10は、本発明の実施の形態に係る研磨方法の工程7を説明するための説明図であり、被加工物と研磨工具とを互いに逆方向に回転させた場合における被加工物の研磨後の形状の一例を示す図である。 図11は、被加工物に対して研磨工具を法線接触させながら、被加工物の凹部を研磨した場合における被加工物の研磨後の形状の一例を示す図である。
以下、本発明に係る研磨方法および光学素子の製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
(研磨装置)
本発明の実施形態に係る研磨方法を実施する際の研磨装置としては、例えば非球面形状の被加工物の子午線上に研磨工具を走査して倣い研磨を行う一般的な研磨装置が用いられる。また、研磨の対象となる被加工物としては、表面に変質層が形成された非球面形状の光学素子であるが、表面に変質層が形成されていない非球面形状の光学素子や、表面にコーティングが付与された非球面形状の光学素子、光学素子に非球面形状を転写するための金型等も研磨の対象となる。
前記した光学素子は、例えば低分散性のフツリン酸系ガラス素材からなる成形素材を加熱し、溶融した成形素材を一対の金型によって押圧することにより成形される。そして、前記した変質層は、光学素子を加熱して光学素子内の歪みを除去するアニール工程(成形後アニール工程)において、成形素材に含まれるフッ素が原因となって形成される。
更に、本実施の形態では、具体的には、フツリン酸系ガラス素材からなる成形素材に対して成形前にアニール工程(成形前アニール工程)を行うことにより、成形素材に第一の変質層を形成する。次いで、成形素材を加熱し、溶融した成形素材を一対の金型によって押圧した後、成形後アニール工程を行うことにより、成形素材の非球面に第二の変質層を形成する。この第一および第二の変質層が、本実施の形態に係る研磨方法における研磨の対象となる。
研磨装置は、研磨工具を強制回転させる工具回転軸と、被加工物を強制回転させるワーク回転軸と、可動軸と、を備えている。可動軸は、被加工物を径方向に可動させるX軸と、被加工物を高さ方向に可動させるZ軸と、被加工物を旋回させるB軸と、を有している(図1参照)。研磨装置は、これら三つの可動軸を同時に制御することが可能に構成されている。
研磨工具10は、図1に示すように、図示しない研磨装置の回転軸の一端に固定された工具本体11と、この工具本体11の先端に固定された円盤形状の弾性体12と、この弾性体12に接着された円盤形状の研磨シート13と、を備えている。弾性体12は、例えばスポンジゴム等により構成されている。また、研磨シート13は、例えば固定砥粒シート、不織布等の研磨布に遊離砥粒を保持させたシート、により構成されている。
研磨工具10のX軸方向の原点は、被加工物Oの回転軸と研磨工具10の回転軸とが一致した点とする。また、研磨工具10のY軸方向の原点は、被加工物Oの回転軸と研磨工具10の回転軸とが一致した点、またはその点から研磨工具10の半径の1/3を目安に、X軸方向と直交する方向にずらした点とする。また、被加工物Oを研磨する際は、研磨工具10と被加工物Oとの接触点に一定の荷重が付加されている。
(研磨方法)
以下、研磨工具10を用いた被加工物Oの研磨方法について、図1〜図10を参照しながら説明する。以下の説明では、図1に示すような、回転対称形状かつ非球面形状の光学素子(非球面レンズ)を被加工物Oとした場合の例について説明する。なお、この被加工物Oは、凹部O1を有している。
本実施の形態に係る研磨方法では、被加工物Oと研磨工具10の双方を回転させつつ、研磨工具10を被加工物Oの外周側からX軸方向(被加工物Oの径方向)に走査し、研磨工具10が被加工物Oの中心部O2に到達した時点で研磨を終了する。
本実施の形態に係る研磨方法では、具体的には、被加工物Oの外周側の所定の位置から第一の位置まで、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を逆方向に回転させながら、研磨工具10を被加工物Oの表面に当接させることにより、被加工物Oを研磨する工程(工程1〜3)と、研磨工具10の回転を停止させる工程(工程4)と、被加工物Oの回転のみで研磨を行う工程(工程5)と、第一の位置から第二の位置まで、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させながら、研磨工具10を被加工物Oの表面に当接させることにより、被加工物Oを研磨する工程(工程6,7)と、をこの順番で行う。
前記した「所定の位置」とは、被加工物Oの研磨を開始する位置であり、例えば被加工物Oが光学素子である場合、当該光学素子に要求される光学特性に応じて具体的な位置が決定される。例えば、被加工物Oである光学素子の外周縁の位置までが光学機能面である場合、被加工物Oの外周縁が「所定の位置」となる。また、被加工物Oである光学素子の外周縁よりも内側の領域が光学機能面である場合、被加工物Oの外周縁よりも内側の位置が「所定の位置」となる。
前記した「第一の位置」とは、研磨工具10と被加工物Oとの回転方向の関係性が切り替わる位置であり、例えば被加工物Oが光学素子である場合、当該光学素子の種類に応じて具体的な位置が決定される。本実施の形態における「第一の位置」は、後記する図4に示すように、研磨工具10における進行方向側の外周縁が被加工物Oの中心部O2よりも手前に位置している場合の、研磨工具10の中心(回転軸)の位置である。
前記した「第二の位置」とは、被加工物Oの研磨を終了する位置である。本実施の形態における「第二の位置」は、後記する図9に示すように、研磨工具10における進行方向側の外周縁が被加工物Oの中心部O2に位置している場合の、研磨工具10の中心(回転軸)の位置である。
以下、本実施の形態に係る研磨方法における工程1〜7の詳細について説明する。図1〜図5、図8および図9は、研磨の開始から終了までの一連の流れを示しており、各図の上側が被加工物Oの平面図を、下側が被加工物Oの正面図を示している。また、これらの図における符号Aは被加工物Oの回転方向を、符号Bは研磨工具10の回転方向を、符号Ctは被加工物Oと研磨工具10との接触部を示している。また、以下で説明する工程1〜7では、基本的には被加工物Oに対して研磨工具10がX軸方向に常に走査されており、プレストンの経験則に基づいて各工程における研磨工具10の滞留時間が制御されている。
ここで、プレストンの経験則は、研磨加工における研磨除去量とその他のパラメータとの関係を示す式であり、下記式(1)で示される。
D=kPVt ・・・(1)
上記式(1)において、Dは研磨除去量、kは研磨シート13の粒度等によって決定される比例定数、Pは研磨圧力、Vは被加工物Oと研磨工具10との相対速度、tは研磨工具10の滞留時間である。
(工程1)
工程1は、被加工物Oの凹部O1の周辺を研磨する工程である。ここで、被加工物Oの凹部O1は、図11に示すように、被加工物Oに対して研磨工具10を法線接触させても研磨することができない。同図に示すような、研磨加工面の一部に曲率半径の小さな凹部O1を有する被加工物Oでは、当該凹部O1における研磨除去量が少なくなり、被加工物Oの研磨加工面の全域を均一に研磨することができない。そして、このように凹部O1の研磨除去量が少なくなると、同図に示すように、凹部O1の位置における研磨後の形状が、基準面に対して盛り上がってしまう。
そこで、工程1では、図1に示すように、被加工物Oに対して研磨工具10を法線接触させるのではなく、被加工物Oの法線方向に対して、研磨工具10を、当該研磨工具10の進行方向とは逆側に所定角度傾斜させる。そして、研磨工具10の外周縁(角部)を被加工物Oの凹部O1内に接触させて研磨する。被加工物Oに対して研磨工具10をこのように接触させた場合、被加工物Oに対する研磨工具10の接触部Ctは、円形状ではなく、「被加工物Oの中心部O2側が欠けた三日月形状(以下「第一の三日月形状」という)」となる。なお、法線方向に対する研磨工具10の傾斜角度は予め実験的に求めておく。
また、工程1では、例えば被加工物Oを反時計回りに回転させ、研磨工具10を時計回りに回転させることにより、被加工物Oの回転方向と研磨工具10の回転方向とを逆にする。これは、前記したプレストンの経験則(上記式(1)参照)に基づいて、被加工物Oと研磨工具10の相対回転速度を大きくすることにより、研磨除去量を高めるためである。なお、本実施の形態では、工程1〜工程3における研磨工具10の回転方向のことを、「第一の方向」と定義する。
(工程2)
工程2では、図2に示すように、研磨工具10を、当該研磨工具10の進行方向の側に徐々に傾斜させることにより、被加工物Oに対する研磨工具10の接触状態を、徐々に法線接触へと移行させる。その結果、被加工物Oに対する研磨工具10の接触部Ctは、第一の三日月形状から、円形状へと徐々に変化する。
ここで、前記した工程1では、凹部O1の周辺を研磨するために、被加工物Oに対する研磨工具10の接触部Ctを第一の三日月形状とし、更に被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を逆方向に回転させる必要があった。一方、後記する図9に示すように、被加工物Oの中心部O2を研磨する工程7では、接触部Ctを円形状、または「被加工物Oの外周側が欠けた三日月形状(以下「第二の三日月形状」という)」とし、更に被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させる必要がある。
このように、被加工物Oの外周側を研磨する工程1と被加工物Oの中心部O2を研磨する工程7とでは、必要とされる接触部Ctの形状が異なるため、被加工物Oの外周側から中心部O2へと研磨を進めていく過程で接触部Ctの形状を切り替えていく必要がある。しかしながら、その際に、接触部Ctの形状を瞬時に切り替えてしまうと、被加工物Oの研磨面が不連続となり、被加工物Oの表面にうねり等の悪影響が生じるおそれがある。
そこで、工程2では、被加工物Oに対する研磨工具10の接触のさせ方を、研磨工具10の外周縁から中心部O2へと徐々に移行させることにより、接触部Ctの形状を第一の三日月形状から円形状へと徐々に切り替える。
(工程3)
工程3では、図3に示すように、工程2で移行した被加工物Oに対する研磨工具10の接触のさせ方を維持しつつ、第一の位置まで研磨を進める。すなわち、工程3では、被加工物Oに対して研磨工具10を法線接触させながら、被加工物Oを研磨する。なお、工程3における研磨工具10の動きは、一般的な非球面研磨の場合の動きと同様である。
(工程4)
工程4では、図4に示すように、第一の位置において、研磨工具10と被加工物Oとを接触させたまま、研磨工具10の回転を停止させる。工程4において、研磨工具10と被加工物Oとを接触させたままにする理由は、仮に研磨工具10と被加工物Oとを離してしまうと、所定の位置〜第一の位置の研磨面と、第一の位置〜第二の位置の研磨面とが不連続となり、被加工物Oの表面にうねり等の悪影響が生じるおそれがあるためである。
(工程5)
工程5では、図5に示すように、研磨工具10の回転を停止させたまま、被加工物Oの回転力のみで研磨を行う。すなわち、工程5では、第一の位置の周辺において、研磨工具10をX軸方向に揺動させながら、被加工物Oのみを回転させることにより、当該被加工物Oを研磨する。
ここで、工程5を実施する理由について、図6および図7を参照しながら説明する。前記したように、第一の位置(図4参照)は、研磨工具10と被加工物Oとの回転方向の関係性が切り替わる位置である。この第一の位置では、図6および図7に示すように、研磨後の形状が盛り上がってしまう不具合が発生する場合がある。
例えば前記した工程3(図3参照)では、図6に示すように、研磨工具10と被加工物Oとが互いに逆方向に回転している。この場合において、研磨工具10に注目すると、同図のC部に示す研磨工具10の右側(被加工物Oの外周側)では、研磨工具10と被加工物Oとの相対回転速度が大きくなり、同図のD部に示す研磨工具10の左側(被加工物Oの中心部O2側)では、研磨工具10と被加工物Oとの相対回転速度が小さくなる。そのため、工程3では、研磨工具10の左側よりも右側がより多く研磨されることになる。
一方、後記する工程6(図8参照)では、図7に示すように、研磨工具10と被加工物Oとが互いに同方向に回転している。この場合において、研磨工具10に注目すると、同図のC部に示す研磨工具10の右側(被加工物Oの外周側)では、研磨工具10と被加工物Oとの相対回転速度が小さくなり、同図のD部に示す研磨工具10の左側(被加工物Oの中心部O2側)では、研磨工具10と被加工物Oとの相対回転速度が大きくなる。そのため、工程6では、研磨工具10の右側よりも左側がより多く研磨されることになる。
その結果、図6および図7の下図に示すように、研磨工具10と被加工物Oとの回転方向の関係性が切り替わる第一の位置において、研磨後の形状が盛り上がってしまう不具合が発生する。一般的な非球面研磨技術では、研磨工具10の滞留時間を延ばすことにより、このような盛り上がり形状を修正するが、本発明の第一の位置で発生する盛り上がり形状は、工程3および工程6における研磨工具10と被加工物Oとの相対回転速度差が原因となって形成されるものであるため、研磨工具10の滞留時間の制御では修正することができない。
このような理由から、工程5では、上記の相対回転速度差を排除するために、研磨工具10の回転を一旦停止させ、被加工物Oの回転のみで第一の位置の研磨を行う。これにより、工程3と工程6とが切り替わる第一の位置で発生した盛り上がり形状を除去することが可能となる。
(工程6)
工程6では、図8に示すように、研磨工具10と被加工物Oを接触させたまま、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させる。工程6において、研磨工具10と被加工物Oとを接触させたままにする理由は、仮に研磨工具10と被加工物Oとを離してしまうと、所定の位置〜第一の位置の研磨面と、第一の位置〜第二の位置の研磨面とが不連続となり、被加工物Oの表面にうねり等の悪影響が生じるおそれがあるためである。なお、本実施の形態では、工程6および工程7における研磨工具10の回転方向であって、第一の方向とは逆の回転方向のことを、「第二の方向」と定義する。
(工程7)
工程7では、図9に示すように、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させながら、第二の位置まで被加工物Oを研磨する。ここで、前記した工程1〜工程3のように、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を逆方向に回転させながら中心部O2周辺を研磨した場合、研磨工具10の外周縁(角部)による中心部O2周辺の研磨除去量が多くなる。そのため、例えば図10に示すように、研磨後の形状が凹凸を有する形状(W形状)となってしまう。
一方、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させながら中心部O2周辺を研磨した場合、被加工物Oの回転数と研磨工具10の回転数とが同じであると、相対回転速度差がなくなってしまい、被加工物Oの中心部O2が全く研磨されなくなる。
そこで、工程7では、図9に示すように、被加工物Oに対して研磨工具10を法線接触させるのではなく、被加工物Oの法線方向に対して、研磨工具10を、当該研磨工具10の進行方向の側に所定角度傾斜させて接触させる。これにより、研磨工具10の外周縁(角部)を被加工物Oの中心部O2に接触させて研磨する。被加工物Oに対して研磨工具10をこのように接触させた場合、被加工物Oに対する研磨工具10の接触部Ctは、円形状ではなく、第二の三日月形状となる。なお、法線方向に対する研磨工具10の傾斜角度は予め実験的に求めておく。予め行った実験結果によっては、研磨工具10を傾斜させることなく、法線接触で研磨する場合もある。
なお、工程7では、被加工物Oの回転数と研磨工具10の回転数とが同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、工程7では、第二の位置まで研磨工具10を走査しているが、例えば被加工物Oを回転させた際に当該被加工物Oの軸心が触れている場合や、第二の位置までの研磨では被加工物Oの中心部O2に盛り上がり形状が形成されてしまう場合は、研磨工具10における進行方向側の外周縁が、被加工物Oの中心部O2を多少通り過ぎた位置まで研磨工具10を走査してもよい。
以上説明したような本実施の形態に係る研磨方法および光学素子の製造方法によれば、被加工物Oの外周側の所定の位置から第一の位置まで、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を逆方向に回転させながら当該被加工物Oを研磨し、その後、第一の位置から第二の位置まで、被加工物Oの回転方向に対して研磨工具10を同方向に回転させながら被加工物Oを研磨することにより、中心部O2を含む被加工物Oの研磨加工面の全域を均一に研磨することができる。また、本実施の形態に係る研磨方法および光学素子の製造方法によれば、ヘソと呼ばれる凹部または凸部を発生させることなく光学素子を研磨することができる。
また、本実施の形態に係る研磨方法および光学素子の製造方法によれば、研磨加工面の一部に曲率半径の小さな凹部O1を有する被加工物Oであっても、当該凹部O1を含む被加工物Oの研磨加工面の全域を均一に研磨することができる。そして、前記したプレストンの経験則(上記式(1)参照)に基づいて、各工程における研磨工具10の滞留時間を制御することにより、被加工物Oの形状を修正することが可能となる。
以上、本発明に係る研磨方法および光学素子の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、前記した研磨方法および光学素子の製造方法では、図1に示すように、外周側に凹部O1を有する被加工物Oを研磨の対象としたが、外周側に凹部O1を有しない被加工物Oであっても、前記した工程1〜工程7を実施することにより、当該被加工物Oの研磨加工面の全域を均一に研磨することができる。なおこの場合、工程1,7において、研磨工具10を傾斜させる必要がない場合もあり、この場合には、被加工物Oに対して研磨工具10を法線接触させながら研磨する。
また、前記した研磨方法および光学素子の製造方法では、工程1〜3において、被加工物Oを反時計回り、研磨工具10を時計回りに回転させ、工程6,7において、被加工物Oおよび研磨工具10を反時計回りに回転させていたが、これらの回転方向は反対でもよい。例えば、工程1〜3において、被加工物Oを時計回り、研磨工具10を反時計回りに回転させ、工程6,7において、被加工物Oおよび研磨工具10を時計回りに回転させてもよい。
10 研磨工具
11 工具本体
12 弾性体
13 研磨シート
O 被加工物
O1 凹部
O2 中心部

Claims (7)

  1. 回転軸の一端に固定された研磨工具を回転対称形状の被加工物の径方向に走査し、前記被加工物の外周側の所定の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記研磨工具を第一の方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨し、
    前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部に位置する第二の位置まで、前記研磨工具を前記第一の方向とは逆の第二の方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨する、
    研磨方法。
  2. 回転軸の一端に固定された研磨工具を回転対称形状の被加工物の径方向に走査し、前記被加工物の外周側の所定の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を逆方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨し、
    前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記被加工物の中心部に位置する第二の位置まで、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させながら、前記研磨工具を前記被加工物の表面に当接させることにより、前記被加工物を研磨する、
    請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記第二の位置を前記被加工物の研磨終了位置とする請求項1または請求項2に記載の研磨方法。
  4. 前記所定の位置から前記第一の位置まで前記被加工物を研磨した後、
    前記第一の位置において、前記研磨工具を揺動させながら、前記被加工物のみを回転させることにより、前記被加工物を研磨する、
    請求項2または請求項3に記載の研磨方法。
  5. 前記所定の位置から前記第一の位置まで前記被加工物を研磨した後、
    前記第一の位置において、前記研磨工具と前記被加工物とを接触させたまま、前記研磨工具の回転を停止させ、
    前記第一の位置において、前記研磨工具を揺動させながら、前記被加工物のみを回転させることにより、前記被加工物を研磨する、
    請求項4に記載の研磨方法。
  6. 前記第一の位置から前記第二の位置まで前記被加工物を研磨する際に、前記研磨工具と前記被加工物とを接触させたまま、前記被加工物の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の研磨方法。
  7. 加熱溶融したフツリン酸系ガラス素材からなる成形素材を一対の金型によって押圧して回転対象形状の光学素子を成形する工程と、
    前記光学素子を加熱して光学素子内の歪を除去する成形後アニール工程と、
    回転軸の一端に固定された研磨工具を前記光学素子の径方向に走査し、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記光学素子の中心部よりも手前に位置する第一の位置まで、前記光学素子の回転方向に対して前記研磨工具を逆方向に回転させながら、前記研磨工具を前記光学素子の表面に当接させることにより、前記成形後アニール工程により前記光学素子に形成された変質層を研磨し、
    前記第一の位置から、前記研磨工具における進行方向側の外周縁が前記光学素子の中心部に位置する第二の位置まで、前記光学素子の回転方向に対して前記研磨工具を同方向に回転させながら、前記研磨工具を前記光学素子の表面に当接させることにより、前記変質層を研磨する、
    光学素子の製造方法。
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