JP2020181638A - 被覆正極活物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池抵抗の増加を抑制できる被覆正極活物質の提供。【解決手段】全固体リチウムイオン電池に用いられる被覆正極活物質10であって、Li元素を含有する正極活物質1および上記正極活物質1の表面に形成された被覆層2を有し、上記被覆層2が、H2Oを、0.5mol%以上、10mol%以下含有する被覆正極活物質10。【選択図】図1

Description

本開示は、電池抵抗の増加を抑制できる被覆正極活物質に関する。
全固体電池は、正極層および負極層の間に固体電解質層を有する電池であり、可燃性の有機溶媒を含む電解液を有する液系電池に比べて、安全装置の簡素化が図りやすいという利点を有する。
また、全固体電池に用いられる活物質の表面に、酸化物等の被覆層を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、実質的に電子伝導性を持たないリチウムイオン伝導性酸化物で表面を被覆された正極活物質が開示されている。また、特許文献2には、ニオブ酸リチウムによって被覆された金属酸化物粒子を含有する正極活物質が開示されている。
特許第4982866号公報 特許第5681427号公報
全固体電池においては充放電により電池抵抗が増加する場合があり、電池性能の観点から電池抵抗の増加を抑制することが求められている。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電池抵抗の増加を抑制できる被覆正極活物質を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、全固体リチウムイオン電池に用いられる被覆正極活物質であって、Li元素を含有する正極活物質および上記正極活物質の表面に形成された被覆層を有し、上記被覆層が、HOを、0.5mol%以上、10mol%以下含有する、被覆正極活物質を提供する。
本開示によれば、正極活物質表面に、HOを所定量含有する被覆層が形成されているため、電池抵抗の増加を抑制できる被覆正極活物質とすることができる。
本開示における被覆正極活物質は、電池抵抗の増加を抑制できるという効果を奏する。
本開示における被覆正極活物質の一例を示す概略断面図である。 実施例1〜2および比較例1で得られた評価用電池の抵抗増加率の結果を示すグラフである。 実施例3および比較例2で得られた評価用電池の抵抗増加率の結果を示すグラフである。 実施例1で得られた評価用電池の酸素化進行度および架橋進行度の結果を示すグラフである。 比較例1で得られた評価用電池の酸素化進行度および架橋進行度の結果を示すグラフである。
以下、本開示における被覆正極活物質の詳細を説明する。
図1は本開示における被覆正極活物質の一例を示す概略断面図である。図1に示す被覆正極活物質10は、通常、全固体リチウムイオン電池に用いられ、Li元素を含有する正極活物質1と、正極活物質1の表面に形成された被覆層2とを有している。また、本開示において、被覆層2は所定量のHOを含有している。なお、図1では、被覆正極活物質10として、1つの正極活物質1(一次粒子)表面に被覆層2が形成された態様を図示したが、本開示における被覆正極活物質は、複数の正極活物質が集合した二次粒子の形態である正極活物質1の表面に被覆層2が形成された態様であってもよい。
本開示によれば、正極活物質表面に、HOを所定量含有する被覆層が形成されているため、電池抵抗の増加を抑制できる被覆正極活物質とすることができる。また、あらかじめ被覆層が水分(HO)を含有していることから、本開示における被覆正極活物質は高水分環境でも保管および使用することが可能であり、取り扱いが容易である。
本開示においては、被覆層中の水分(HO)と固体電解質とが反応することで、被覆正極活物質と固体電解質との界面に不動態膜が形成されると推察される。この不動態膜によって、例えばニオブ酸リチウム等の被覆層の主成分と固体電解質との反応に起因する固体電解質の酸化を防ぐことができると推察される。また、固体電解質が硫黄を含む硫化物固体電解質である場合には、この不動態膜によって、固体電解質内の硫黄が架橋することに起因する固体電解質の劣化を防ぐことができると推察される。その結果、電池抵抗の増加を抑制できると推察される。また、水分と固体電解質との反応および架橋反応は、4.5V以上の高い電圧で使用した際により顕著になると考えられるため、本開示の被覆正極活物質を高電圧で使用する電池に使用した際に、本開示の効果をより享受できると推察される。
1.正極活物質
本開示における正極活物質は、Li元素を含有する。正極活物質としては、例えば酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質が挙げられる。
本開示における正極活物質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。正極活物質の平均一次粒子径は、例えば50nm以上であり、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよい。一方、正極活物質の平均一次粒子径は、例えば3000nm以下であり、1500nm以下であってもよく、1000nm以下であってもよい。また、正極活物質の平均二次粒子径は、例えば1μm以上であり、2μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、7μm以上であってもよい。一方、正極活物質の平均二次粒子径は、例えば60μm以下であり、40μm以下であってもよい。なお、平均一次粒子径および平均二次粒子径は、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)による観察によって求めることができる。サンプル数は、多いことが好ましく、例えば20以上であり、50以上であってもよく、100以上であってもよい。平均一次粒子径および平均二次粒子径は、例えば、活物質の製造条件を適宜変更したり、分級処理を行ったりすることで、適宜調整可能である。
2.被覆層
本開示の被覆層は、正極活物質の表面に形成された層であり、所定量の水分(HO)を含有している。水分量は、0.5mol%以上であり、例えば1mol%以上であってもよく、3mol%以上であってもよい。一方、水分量は、10mol%以下であり、7mol%以下であってもよく、5mol%以下であってもよい。例えば正極活物質を、LiNbOにより厚さ平均100nmで被覆した場合、LiNbO1単位が、約0.5nm×0.5nm×0.5nmの空間を占有するため、被覆層中の全分子数は被覆表面積1nmあたり約8000個となる。このうち、被覆層最表面の分子数は、被覆層表面積1nmあたり4個となる。これを全て水分子で置換するには、水分含有量が0.5mol%必要となる。そのため、被覆層の水分含有量が少なすぎると、不動態膜が十分に形成できない恐れがある。また、特開2013−201111号公報より、固体電解質が不可逆的に劣化する水分量は、固体電解質モル比で1mol%以上である。正極活物質と接触している固体電解質のみを考慮し、固体電解質の平均粒子径を2000nmと想定すると、被覆層表面積1nmあたり80個以上の水分子があると固体電解質が不可逆的に劣化する。この水分子をモル比に換算すると10mol%となる。そのため、被覆層の水分含有量が多すぎると、固体電解質が不可逆的に劣化してしまう恐れがある。被覆層における水分量の測定方法については、後述する実施例に記載する。
被覆層は、正極活物質の表面の一部に形成されていてもよく、全面に形成されていてもよい。正極活物質の表面における被覆層の被覆率は、例えば50%以上であってもよく、70%以上であってもよく、90%以上であってもよい。
被覆層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物が挙げられる。
被覆層の平均厚さは、特に限定されないが、例えば1nm以上100nm以下であり、1nm以上50nm以下であってもよい。
被覆層の形成方法については、後述する「3.被覆正極活物質の製造方法」に記載する。
3.被覆正極活物質の製造方法
被覆正極活物質の製造方法は、上述した被覆正極活物質が得られれば、特に限定されないが、例えば、Li元素を含有する正極活物質を準備する正極活物質準備工程と、上記正極活物質の表面に前駆体層を形成する前駆体層形成工程と、上記前駆体層の水分を調整する水分調整工程と、を有する被覆正極活物質の製造方法とすることができる。本開示においては、水分調整工程を有しているため、所望の水分を含有した被覆層を正極活物質の表面に形成することができる。
正極活物質準備工程は、正極活物質を準備する工程であり、自ら合成して準備してもよく、市販品を購入して準備してもよい。正極活物質については、「1.正極活物質」と同様の内容であるためここでの記載は省略する。
前駆体層形成工程は、正極活物質の表面に、前駆体層を形成する工程である。前駆体層とは、水分調整を行う前の層であり、前駆体層において後述する水分調整工程を行った層が被覆層である。前駆体層の形成方法は特に限定されないが、被覆層の構成元素を含有する原料溶液を調製し、この原料溶液を正極活物質にコーティングし、熱処理をする方法を挙げることができる。
例えば被覆層がLiNbO(ニオブ酸リチウム)である場合、原料溶液は、ニオブ酸リチウムの原料と、溶媒とを含有する。ニオブ酸リチウムのLi源としては、例えば、Liアルコキシド、Li無機塩、Li水酸化物を挙げることができる。Liアルコキシドとしては、例えば、エトキシリチウム、メトキシリチウムを挙げることができる。Li無機塩としては、例えば、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウムを挙げることができる。Li水酸化物としては、例えば、水酸化リチウムを挙げることができる。
ニオブ酸リチウムのNb源としては、例えば、Nbアルコキシド、Nb無機塩、Nb水酸化物、Nb錯体を挙げることができる。Nbアルコキシドとしては、例えば、ペンタエトキシニオブ、ペンタメトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブを挙げることできる。Nb無機塩としては、例えば、酢酸ニオブ等を挙げることができる。Nb水酸化物としては、例えば、水酸化ニオブを挙げることができる。Nb錯体としては、例えば、Nbのペルオキソ錯体(ペルオキソニオブ酸錯体、[Nb(O3−)を挙げることができる。
原料溶液の溶媒の種類は、特に限定されるものではなく、アルコール、水等を挙げることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。例えば、原料溶液がアルコキシドを含有する場合、溶媒は、無水または脱水アルコールであることが好ましい。一方、例えば、原料溶液が、Nbのペルオキソ錯体を含有する場合、溶媒は水であることが好ましい。
正極活物質の表面に原料溶液をコーティングする方法は、特に限定されるものではないが、例えば、流動層コーティング法、スプレードライヤー法を挙げることができる。流動層コーティング法では、均一な前駆体層が形成される。気流温度(ガス流温度)は、例えば40℃〜100℃の範囲内である。
原料溶液がLiアルコキシド等のアルコキシドを含有する場合、原料溶液のコーティング後、加水分解促進処理を行うことが好ましい。このような加水分解促進処理としては、例えば特開2015−201252に開示された方法を挙げることができる。
熱処理温度は、例えば100℃以上であり、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。一方、熱処理温度は、例えば、500℃以下であり、400℃以下であることが好ましい。熱処理時間は、例えば、30分間以上48時間以下の範囲内であり、1時間以上20時間以下の範囲内であることが好ましい。熱処理雰囲気は、例えば、酸素を含有する雰囲気であることが好ましい。酸素が存在することで、酸化物が形成されやすくなるからである。酸素を含有する雰囲気としては、例えば、大気雰囲気を挙げることができる。
水分調整工程は、前駆体層に含まれている水分量が所定の量となるように調整する工程である。水分調整工程では、前駆体層を乾燥させる乾燥処理のみを行ってもよく、前駆体層に加水する加水処理のみをおこなってもよく、乾燥処理と加水処理の両方を行ってもよい。乾燥処理の後に加水処理を行う場合は、乾燥工程でできるだけ水分が残らないようにすることが好ましい。加水処理の条件を調整することで容易に所望の水分含有量とすることができるからである。
乾燥処理の方法としては、例えばアルゴンガス等の不活性ガスを吹き付ける方法を挙げることができる。この場合、乾燥時間は、例えば15分以上であり、30分以上であってもよい。一方、乾燥時間は、例えば2時間以下であり、1時間以下であってもよい。このような乾燥方法であれば、前駆体層に所望の水分量を残存させることができる。また、乾燥方法としては、例えば真空中等の減圧雰囲気下で加熱する方法を挙げることもできる。加熱温度は、例えば200℃以上であり、300℃以上であってもよい。一方、加熱温度は、例えば500℃以下であり、400℃以下であってもよい。また、加熱時間は、例えば10分以上であり、30分以上であってもよい。一方、加熱時間は、例えば2時間以下であり、1時間以下であってもよい。このような乾燥方法であれば、前駆体層にできるだけ水分が残らないようにすることができる。
加水処理の方法としては、例えば、前駆体層が形成された正極活物質を、露点を調整して管理した密閉容器内に所定の時間静置する方法を挙げることができる。例えば、露点温度、静置時間等の加水条件を適宜調整することで、被覆層に含有させる水分量を調整することができる。露点は、例えば−20℃であってもよく、0℃以上であってもよい。一方露点は、例えば20℃以下である。また、静置時間は、例えば10分以上であり、30分以上であってもよい。一方で静置時間は3時間以下であり、2時間以下であってもよく、1時間以下であってもよい。
4.被覆正極活物質
本開示における被覆正極活物質は、一次粒子であってもよく、二次粒子であってもよい。つまり、正極活物質の一次粒子の表面に被覆層が形成された態様であってもよく、正極活物質が集合した二次粒子の表面に被覆層が形成された態様であってもよい。
また、本開示における被覆正極活物質は、通常、全固体リチウムイオン電池に用いられる。例えば、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有し、上記正極活物質が少なくとも上述した被覆正極活物質を含有する、全固体リチウムイオン電池とすることができる。このような全固体リチウムイオン電池は、正極活物質層が上述した本開示の被覆正極活物質を含有するため、電池抵抗の増加が抑制された全固体リチウムイオン電池となる。
正極活物質層は、上述した本開示における被覆正極活物質に加えて、固体電解質、導電助剤および結着剤のうち少なくとも1つを有していてもよい。固体電解質の種類は特に限定されないが、硫化物固体電解質が好ましい。本開示の効果をより享受することができるからである。導電助剤および結着剤については、従来の全固体リチウムイオン電池に用いられる、従来公知の導電助剤および結着剤とすることができる。
負極活物質層および固体電解質層についても、従来の全固体リチウムイオン電池に用いられる、従来公知の導電助剤および結着剤とすることができる。
全固体リチウムイオン電池は一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。二次電池には、二次電池の一次電池的使用(初回充電のみを目的とした使用)も含まれる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(被覆正極活物質の作製)
まず、正極活物質として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業株式会社製)を準備した。
次いで、エトキシリチウム(株式会社高純度化学研究所製)を脱水エタノール(和光純薬工業株式会社製)に溶解させて均一分散させた後、これを攪拌しながら、モル比でリチウム:ニオブ=1:1となる量のペンタエトキシニオブ(株式会社高純度化学研究所製)を加え、均一に混合されるまで撹拌を続けることにより、リチウムイオンおよびニオブイオンを含有する原料溶液を調製した
そして、準備した正極活物質粒子1kgに対し調製した原料溶液476gと、転動流動コーティング装置(MP−01、POWREX社製)とを用いて、正極活物質粒子へ原料溶液を噴霧して乾燥した。転動流動コーティング装置の運転条件は、吸気ガス:窒素、吸気温度:100℃、吸気風量:0.3m/h、ロータ回転数:300rpm、噴霧速度:1.5g/minとした。その後、加湿窒素ガス雰囲気下(露点温度:18℃、不純物濃度:59ppm以下の純窒素ガス)に4時間に亘って曝露させることにより、加水分解を促進させた。そして、大気中にて350℃、5時間の条件で熱処理を行うことで、正極活物質の表面に前駆体層を形成した。
その後、真空中400℃で1時間乾燥させた(乾燥処理)。そして、乾燥後の正極活物質を、露点を0℃に管理したグローブボックス中に30分間静置することで、前駆体層に加水(加水処理)して被覆層とした。これにより、被覆正極活物質を作製した。
(評価用電池の作製)
得られた被覆正極活物質と、硫化物系固体電解質(30LiI−4LiO−48.5LiS−17.5P)と、導電助剤(気相成長炭素繊維、昭和電工株式会社製)とを、体積比で被覆正極活物質:硫化物系固体電解質:導電助剤=50:50:5となるように秤量して混合することで、粉末状の正極合材を得た。また、負極活物質(天然黒鉛、三菱化学株式会社製)と、上記硫化物固体電解質とを、体積比で負極活物質:硫化物固体電解質=50:50となるように秤量して混合することで、粉末状の負極合材を得た。
内径11.28mmの筒状容器内にステンレス鋼(正極集電体)を入れ、その上に19.4mgの上記正極合材と、65.0mgの上記硫化物固体電解質と、11.9mgの上記負極合材と、ステンレス鋼(負極集電体)とをこの順で入れた。これにより、固体電解質層が正極層と負極層との間に配置された積層体を得た。この積層体に対して、422MPaの圧力でプレスすることにより、評価用電池(圧粉方式プレスセル)を作製した。なお、作製した電池において、負極容量は正極容量の1.2倍であり、拘束トルクは6Nmとした。また、作製した電池は、水分との反応を防ぐために、不活性ガス雰囲気のガラス製デシケーターに乾燥材(モレキュラーシーブ)とともに充填した。
[実施例2]
乾燥処理として、アルゴンガス(純度99.9999体積%以上)を30分間吹き付けて行い、加水処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして被覆正極活物質および評価用電池を作製した。
[実施例3]
正極活物質として、スピネル構造を有するLiNi0.5Mn1.5(日亜化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして被覆正極活物質および評価用電池を作製した。
[比較例1]
加水処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして被覆正極活物質および評価用電池を作製した。
[比較例2]
正極活物質として、スピネル構造を有するLiNi0.5Mn1.5(日亜化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして被覆正極活物質および評価用電池を作製した。
[評価]
(水分量の測定)
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた被覆正極活物質の、被覆層における水分量含有量を、加熱発生ガス質量分析(TPD−MS)および熱重量・示差熱分析(TG−DTA)を組み合わせることで定量した。まず、一定重量の活物質に対して、400℃までの加熱による重量減少を、TG―DTAにより定量した。この際に、重量減少量は、被覆層(LiNbOコート)を形成した活物質のTG―DTA測定結果と、被覆層を形成していない活物質のTG―DTA測定結果の差分から算出した。次いで、重量減少に相当する発生ガスの組成分布をTPD−MSによって分析することで、被覆層に含まれる水分量を定量した。なお、カールフィッシャー法による水分測定も行い、200℃に加熱した試料から発生する水分量を定量することで、TPD−MSおよびTG−DTAの結果の確認も行った。結果を表1に示す。
(抵抗増加率)
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた評価用電池に対して、正極の対リチウム金属電位が3.9Vとなる状態で、インピーダンスアナライザ(VMP3、Bio-logic製)を用いた交流インピーダンス測定を行った。これにより、10時間保持前の抵抗値を求めた。なお、負極の対リチウム金属電位が0.1Vであったので、電池電圧としては3.8Vであった。測定後の各電池を、4.1V、4.5V、4.7Vまたは4.9Vの各電圧で10時間保持した。そして、電池電圧3.0Vまで放電を行い、さらに3.8Vまで充電を行った後交流インピーダンス測定を行った。これにより、10時間保持後の抵抗値を求めた。各電池の抵抗増加率(%)は、(10時間保持後の抵抗値/10時間保持前の抵抗値)×100から算出した。結果を図2および図3に示す。なお、抵抗値の測定は全て25℃で行った。
(酸素化進行度および架橋進行度)
実施例1および比較例1で得られた評価用電池に対して、正極の対リチウム金属電位が4.1Vまたは4.9Vの各電位で10時間保持した。保持後の各電池を解体し、正極層と固体電解質層との界面のうち、正極層側の界面に対してX線光電子分光(XPS)測定を行った。得られたスペクトルに対してピーク分離を行い、161eV付近および162eV付近に形成される遷移金属硫化物のピーク面積の和(S)に対する、164eV付近に形成されるピーク面積(S)の比(S/S)を架橋進行度とした。また、Sに対する、168eV付近に形成されるピーク面積(S)との比(S/S)を酸素化進行度として定義した。これにより、正極層と固体電解質層との界面における酸素化進行度および架橋進行度を評価した。結果を図4および図5に示す。
Figure 2020181638
表1、図2および図3に示されるように、被覆層が所定量の水分を含有している実施例1〜3は、比較例1〜2に比べて抵抗増加率が抑制されていた。4.9Vで10時間保持した場合、比較例1の抵抗増加率が220%であったのに対し、実施例1では105%であるなど、特に4.5V以上の高電圧で保持した場合に抵抗増加率がより顕著に抑制されていた。また、正極活物質としてスピネル型構造を有するLiNi0.5Mn1.5を用いた実施例3においても、LiNi1/3Co1/3Mn1/3を用いた実施例1〜2と同等に抵抗増加率が抑制されていた。
また、図4および図5に示されるように、実施例1は比較例1と比べて、高電圧(4.9V)において酸素化進行度は同程度であったものの、架橋進行度が顕著に低かった。これにより、固体電解質として硫化物固体電解質を用いた場合に抵抗増加率が抑制される要因としては、架橋反応を抑制することがより支配的であることが示唆された。
1 …正極活物質
2 …被覆層
10 …被覆正極活物質

Claims (1)

  1. 全固体リチウムイオン電池に用いられる被覆正極活物質であって、
    Li元素を含有する正極活物質および前記正極活物質の表面に形成された被覆層を有し、
    前記被覆層が、HOを、0.5mol%以上、10mol%以下含有する、被覆正極活物質。
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