JP2020180821A - 放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法 - Google Patents

放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性廃棄物が処分される坑道及び放射性廃棄物の形状を長期的に維持し得る放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法を提供すること【解決手段】坑道12と、坑道内に配置された放射性廃棄物14と、放射性廃棄物14が配置された坑道12を塞ぐ栓体20と、栓体20と坑道12により形成される坑道空間内に充填され、坑道空間の内壁12aに作用する内圧を発生させた窒素ガスと、を含む放射性廃棄物の処分坑道構造10である。これにより、坑道及び放射性廃棄物の形状を長期的に維持することが可能となる。また、本発明は、放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法に関し、特に、地中に形成された坑道内に放射性廃棄物を埋設処分するための放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法に関する。
原子力発電所の運転などに伴い発生する使用済み燃料から再利用できるウランやプルトニウムを回収すると、核分裂生成物を含む放射能レベルの高い廃液が残る。この廃液は溶かしたガラスと混ぜ合わされ、固めて高レベル放射性廃棄物のガラス固化体とされる。ガラス固化体は、炭素鋼やチタンなどの金属製の円筒容器からなるオーバーパックに被包され(以下、この被包物を廃棄体という)、さらにこれが、ベントナイトや砂を主成分とする円盤状又は環状板状の加工物からなる緩衝材により包囲された後、専用の貯蔵庫に30〜50年間、冷却のために管理・保管され、最終的には人間環境と隔離するため、地下深い地層の中に埋設処分されることとなる。
特許文献1には、廃棄体を埋設処分するための従来の処分坑道の一例を開示する。従来の処分坑道は、図5に示すように、地下深い地層中に略水平方向に掘削された坑道100であって、坑道100内には所定間隔おきに廃棄体102を埋設するための処分穴104が設けられる。この処分穴104内に廃棄体102が上記緩衝材106により包囲され、埋設される。その後、坑道100自体も最後に埋め戻され、閉鎖されることとなる。
また、特許文献2は、放射性廃棄物の埋設処分のために地下に大断面の空洞を建設するにあたり、地山の安定確保が非常に難しいことに鑑み、地盤内の廃棄物の貯蔵空間の内壁にライニング材を貼り付け、貯蔵空間内に内圧を作用させて貯蔵空間の周辺地盤を支保する発明を開示する。
特許文献2の発明によれば、貯蔵空間内の内圧は、廃棄物の貯蔵空間の建設時から廃棄物の貯蔵空間への搬入及び貯蔵空間の埋戻しまでの間は維持されていることから、その期間内に大規模な支保工が不要となり、建設コストを低減させることができる。
特開2011−257165号公報 特開2002−082195号公報
しかし、特許文献1の従来の処分坑道において、埋設処分された高レベル放射性廃棄物からの放射能漏れなどの万一の場合に備えて廃棄体を取り出し可能とすることが求められる可能性があることから、処分坑道は埋め戻されないままとすることが廃棄体の取り出しのためには有利である。
そして、廃棄体の取り出しが求められる場合、数十年〜数百年後の取り出しが想定されることから、坑道の変形・崩落が発生する虞があり、その場合には廃棄体の取り出しは困難となり、さらに、坑道の変形・崩落の虞は、坑道の埋戻しを行なわない場合においてより高くなる。
また、廃棄体は金属製であることから腐食の虞があり、時間の経過とともに腐食が進みガラス固化体が露出する虞がある。
特許文献2の発明によれば、大断面の貯蔵空間の建設から廃棄物の搬入、埋戻しまでの間に内圧を作用させて貯蔵空間の周辺地盤を支保することを開示するが、埋設処分後の貯蔵空間に内圧を作用させることについては開示が無い。
また、内圧を作用させる際に導入するガスが空気である場合には、廃棄体の埋設処分後、その空気中の酸素による廃棄体の金属の腐食の可能性も残る。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放射性廃棄物が処分される坑道及び放射性廃棄物の形状を長期的に維持し得る放射性廃棄物の処分坑道構造、処分坑道構造の製造方法、及び処分坑道構造の維持方法を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造は、地中に形成された坑道と、該坑道内に配置された放射性廃棄物と、該放射性廃棄物が配置された前記坑道を塞ぐ栓体と、該栓体と前記坑道により形成される坑道空間内に充填され、該坑道空間の内壁に作用する内圧を発生させた窒素ガスと、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、坑道空間の内壁に内圧が作用しているので、この坑道の周辺地盤が支保されて力学的に安定した状態に維持され、坑道及びその形状を長期的に維持することが可能となる。また、窒素ガス充填により坑道内雰囲気が還元雰囲気に維持され、且つ発生した内圧により坑道内の湧水量が大幅に低減されることから、ガラス固化体を被包する金属製オーバーパックの腐食や劣化が抑制されており、放射性廃棄物の形状を長期的に維持することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造において、坑道空間内が埋め戻されていることを特徴とする。
この構成によれば、坑道空間内が埋め戻されていることからさらに坑道の周辺地盤が支保されて力学的に安定となり、坑道及びその形状の長期的な維持が容易となる。また、埋戻しにより坑道内の空間領域が減少していることから、充填する窒素ガス量の削減を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造において、坑道空間内の内壁に作用している内圧が、大気圧よりも大きく、且つ坑道が位置する深さにおける地下水の水圧の0.05倍以上2倍以下であることを特徴とする。
この構成によれば、坑道空間内の内壁に作用している内圧が、大気圧よりも大きく、且つ坑道が位置する深さにおける地下水の水圧の0.05倍以上となることで、有効に坑道の形状を長期的に維持することができる。また、坑道内空間の内壁に作用している内圧が、坑道が位置する深さにおける地下水の水圧の2倍以下となることで、充填に用いる窒素ガスの量を必要量で抑え、且つ充填に用いる設備の過剰性能を回避することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造において、坑道空間内にさらに二酸化炭素ガスが充填されていることを特徴とする。
一般に、処分坑道の支保工に用いられる覆工コンクリートやグラウトのセメント系材料のアルカリ分は廃棄体を包囲する緩衝材の主成分であるベントナイト系材料に悪影響を与える可能性が指摘されているところ、この構成によれば、坑道空間内への二酸化炭素ガスの添加によりセメント系材料中のアルカリが中和され、その悪影響が緩和される。
請求項5に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法は、地中に坑道を形成する坑道形成工程と、該形成された坑道内に放射性廃棄物を配置する配置工程と、放射性廃棄物が配置された坑道を栓体により閉塞する閉塞工程と、栓体を貫通するとともに開閉可能な通気手段を介して窒素ガスを前記栓体と前記坑道により形成される坑道空間内に導入し、該坑道空間内に内壁に作用する内圧を発生させる内圧発生工程と、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、製造された処分坑道構造の坑道空間の内壁に内圧が作用しているので、この坑道の周辺地盤が支保されて力学的に安定した状態に維持され、坑道及びその形状を長期的に維持することが可能となる。また、窒素ガス充填により坑道内雰囲気が還元雰囲気に維持され、且つ発生した内圧により坑道内の湧水量が大幅に低減されることから、ガラス固化体を被包する金属製オーバーパックの腐食や劣化が抑制されており、放射性廃棄物の形状を長期的に維持することが可能となる。
請求項6に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の処分坑道の坑道空間内の前記内圧を監視する監視工程と、前記監視中に前記内圧が低下した場合にはさらに窒素ガスを前記坑道空間内に充填し、処分坑道内の内圧を上昇させる再充填工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、坑道空間内のガス量が低下し、坑道空間の内圧が低下した場合には廃棄体が処分される坑道及び廃棄体の形状の維持効果が低下する虞があるところ、内圧を監視し、内圧が低下した場合には窒素ガスを再充填することで、より確実に長期的に廃棄体が処分される坑道及び廃棄体の形状の維持効果を保つことができる。
本発明によれば、坑道空間内の内壁に内圧が作用しているので、この坑道の周辺地盤が支保されて力学的に安定した状態に維持され、坑道及びその形状を長期的に維持することが可能となる。また、窒素ガス充填により坑道雰囲気が還元雰囲気に維持され、且つ発生した内圧により坑道内の湧水量が大幅に低減されることから、ガラス固化体を被包する金属製オーバーパックの腐食や劣化が抑制されており、放射性廃棄物の形状を長期的に維持することが可能となる。
このように、坑道壁面の変形や崩落が抑制され、且つ長期間経過後の放射性廃棄物の形状が維持されることにより、長期間経過後の放射性廃棄物の取り出しが可能となる。
本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造を模式的に示す断面図である。 放射性廃棄物14の縦断面図である。 本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法の説明図であり、それぞれ、(a)坑道形成工程、(b)配置工程、を説明する図である。 従来の放射性廃棄物の処分坑道を説明する模式図である。
<放射性廃棄物の処分坑道構造>
次に、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造を詳細に説明するが、本発明は以下の形態に限られるものでは無い。
図1は、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造を模式的に示す断面図である。同図に示すように、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造10は、坑道12と、放射性廃棄物14と、坑道を塞ぐ栓体20と、を有する。
坑道12は、地下深部(地表から300m〜1000m)において略水平方向に伸長しており、立坑2や図示しない斜坑により地上に繋がっている。坑道12は、長期的な安定性の観点から断面円形であることが好ましいが、馬蹄形、矩形、楕円形など、様々な形状をとることができる。断面円形とする場合、直径は約1m〜3mの範囲であり、好ましくは約1.5〜2.5mの範囲である。
また、坑道12の内壁12aは覆工コンクリートやグラウトなどで被覆されていてもよい。さらに、後述するように、坑道12の坑道空間内の内壁には窒素ガスの充てんにより内圧が作用しているものの、非常に高い圧力を作用させるものでもないので、気密シートによる坑道12の内壁12aの被覆は不要である。さらに言えば、コスト面から気密シート等は用いないことが好ましい。
放射性廃棄物14は、原子力発電所の運転に伴って発生する低レベル放射性廃棄物、使用済み燃料、及び使用済み燃料の再処理に伴い再利用できないものとして残る高レベル放射性廃棄物が挙げられる。低レベル放射性廃棄物としては、たとえば、液体廃棄物、雑固体廃棄物(布・紙など)を凝縮・焼却により容積を減らした後、セメントなどで固めてドラム缶に固定されたものや、使用済み燃料の再処理の工程で発生するTRU廃棄物(TRans−Uranic waste)が挙げられる。
高レベル放射性廃棄物としては、例えば、図2に示すものが挙げられる。図2は、放射性廃棄物14の縦断面図である。高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体15を炭素鋼やチタンなどの金属製の円筒容器からなるオーバーパック16で被包し(上述の廃棄体に相当する)、オーバーパック16をさらにベントナイトや砂を主成分とする緩衝材17で包囲した後、略円柱形の鋼製容器18中に密閉したものである。かかる高レベル放射性廃棄物は、Prefabricated Engineering Module(PEMと略される)と呼ばれる直径約1〜2mのモジュールとして例示されるが、直径については、上記坑道に収容可能な大きさで適宜に調整可能である。
以降、かかる高レベル放射性廃棄物のモジュールを放射性廃棄物14の一例として説明するが、放射性廃棄物14はこれに限られるものではない。
栓体20(プラグ)は、上記放射性廃棄物14が配置された坑道12を塞ぐように配置される。図1では、坑道の先端側と基端側(入口側)にそれぞれ栓体20−1,20−2が設けられているが、坑道の先端側が突き当りの場合には入口側に設けるだけでもよい。
栓体20には、閉塞した坑道内外で地下水、(存在する場合には)埋戻し材、ガスなどの移動を防ぐ高い密閉性、長期間維持し得る強度、及び栓体上部に自重による隙間を生じさせないための自己シール性が要求される。
このような要求を充足する栓体20としては、コンクリート、セメントモルタル、鋼材などが挙げられるが、これらに限られるものではない。栓体20により区画され、放射性廃棄物14が配置された坑道空間内には、窒素ガスが充填され、これにより坑道空間の内壁に作用する内圧が発生している。
内圧は、坑道12の周辺地盤を支保し、また、坑道内への湧水量を低減する作用を果たすのに必要な大きさが要求される。この内圧の大きさとしては、大気圧よりも大きく、坑道の近傍の岩盤内における地下水の水圧の0.05倍以上2倍以下、好ましくは0.5倍以上1倍以下が例示される。例えば、深さ300mにおいて水圧は約3MPaであるから、その場合には内圧は0.3MPa以上6MPa以下、好ましくは1.5MPa以上4.5MPa以下となる。
また、坑道の近傍の岩盤内における地下水の水圧の約2.46倍が地圧に相当するといえることから(長 秋雄ら、地質調査研究報告、2009年、第60巻、第7/8号、第426頁参照)、水圧のほかに、内圧の大きさとしては、地圧の0.05/2.46倍以上2/2.46倍以下、好ましくは0.5/2.46倍以上1/2.46倍以下が例示される。
なお、水圧の測定は周知の技術を用いて行うことができ、例えば、地盤工学会によって基準化された「ボーリング孔を利用した電気式間隙水圧計の測定方法(JGS1313)」により測定することができる。また、地圧は、応力解放法を原理とする手法のうちの埋設ひずみ法や、孔底ひずみ法などによって測定することができる。
また、窒素ガス充填により、坑道空間内の酸素濃度は大気中の酸素濃度未満となっており、放射性廃棄物14に用いられる鋼材等の腐食抑制の観点から、坑道空間内の酸素濃度は3体積%以下となっていることが好ましく、1体積%以下となっていることがより好ましい。
さらに、坑道空間内に二酸化炭素ガスが充填されていることが好ましい。坑道空間内に二酸化炭素ガスが充填される場合、その濃度は、1体積%以上50体積%以下であり、好ましくは3体積%以上30体積%以下である。一般に、処分坑道の支保工に用いられる覆工コンクリートや坑道の周辺岩盤の補強や止水のために岩盤に注入されるグラウトのセメント系材料のアルカリ分は金属製オーバーパック16(図2参照)を包囲する緩衝材17の主成分であるベントナイト系材料に悪影響を与える可能性が指摘されているところ、坑道空間内に二酸化炭素ガスが充填されることでセメント系材料中のアルカリが中和され、その悪影響が緩和される。
窒素ガス(及び二酸化炭素ガス)の充填は、図1に示すように、コンプレッサ42、配管44、通気孔20−2c(通気手段)を用いて行うことができるが、これに限られるものではなく、周知の技術を用いて行うことができる。
また、坑道空間内は、埋め戻されていても、埋め戻されていなくてもよいが、埋め戻されていることが好ましい。埋戻し材13としては、例えば、坑道12の掘削の際に発生するずり(岩盤の破片)、ベントナイト、砂を用いることができる。坑道空間内が埋め戻されることで、さらに坑道の周辺地盤が支保されて力学的に安定となることが期待される。同時に、埋戻しにより坑道内空間が減少していることから、充填に用いる窒素ガス量の削減を図ることができる。
立坑2には、水が充填されていてもよい。水を充填することで、栓体20−2の内面20−2a及び外面20−2bの両面に圧力が作用し、栓体20−2を安定させることができる。
したがって、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造10によれば、坑道空間の内壁に内圧が作用しているので、この坑道12の周辺地盤が支保されて力学的に安定した状態に維持され、坑道12及びその形状を長期的に維持することが可能となる。また、窒素ガス充填により坑道および坑道の周辺岩盤が還元雰囲気に維持され、且つ発生した内圧により坑道内の湧水量が大幅に低減されることから、ガラス固化体15を被包する金属製オーバーパック16の腐食や劣化が抑制されており、放射性廃棄物14の形状を長期的に維持することが可能となる。
このように、坑道壁面の変形や崩落が抑制され、且つ長期間経過後の放射性廃棄物14の形状が維持されることにより、長期間経過後の放射性廃棄物14の取り出しが可能となっている。
次に、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造10の他の例について図3に基づき説明する。図3は、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の他の例を模式的に示す断面図である。なお、図3において上述の図1に示した実施形態と同様の要素には、同一の符号を付しその説明を省略する。本例では、坑道32は馬蹄形の断面形状を有し、坑道32は埋め戻されておらず、放射性廃棄物14は坑道内に設けられた処分穴34−1,34−2にそれぞれ配置されている点において図1の実施形態と異なる。
坑道32には、人による作業や処分穴34の形成のための重機の搬入が予定されているから、例えば、最高点から底面までの高さが約3〜5m、幅が約2〜4mの寸法を有する。それ以上の高さ・幅は、周辺地盤の安定性の観点から好ましく無く、それ以下の高さ・幅は、坑道内での作業性の観点から好ましくない。
処分穴34については、放射性廃棄物14が縦置きで埋没する深さであれば良く、例えば、直径約2.2m、深さ約4mの大きさである。放射性廃棄物14は、処分穴34に配置された後、埋戻し材13により埋め戻される。
他の例にかかる本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造30によれば、坑道32が埋め戻されていないので、万が一の際の放射性廃棄物14の取り出しが容易である。
<放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法>
次に、図1及び図4を参照し、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法について説明する。図4は、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法の説明図であり、それぞれ、(a)坑道形成工程、(b)配置工程、を説明する図である。なお、図4において上述の図1に示した実施形態と同様の要素には、同一の符号を付しその説明を省略する。
本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法は、坑道形成工程と、坑道内に放射性廃棄物を配置する配置工程と、坑道を栓体により閉塞する閉塞工程と、坑道空間内に内壁に作用する内圧を発生させる内圧発生工程と、を含む。
[坑道形成工程]
本工程では、地中に坑道12を形成する。まず、地表から地中へと立坑2、斜坑が形成され、目標とする深度で略水平方向に坑道(横坑)が形成される(図4(a)参照)。この深度は、地表から300m〜1000mが目安となる。なお、既に形成されていた坑道を転用する場合には、転用前の坑道を形成する工程が本工程に該当する(以上、坑道形成工程)。また、坑道12の先端が突き当りでは無く、別の立坑(図示せず)により地上に連通しているような場合には、配置工程の前に栓体20−1を坑道12の先端側に設けることで予め坑道12の先端側を閉塞する。
[配置工程]
本工程では、形成された坑道内に放射性廃棄物14を配置する(図4(b)参照)。放射性廃棄物14の配置は、例えば、放射性廃棄物14の搬送・定置装置Aを用いて行われる。搬送・定置装置Aとしては、例えば、遠隔操作可能なエアベアリング装置や門型クレーン装置が挙げられ、これが立坑2内を図示しないエレベータなどで移動し、坑道12に入ると予定配置位置まで前進し、放射性廃棄物14を配置する。この作業が、予定された数の放射性廃棄物14の配置が完了するまで繰り返される(以上、配置工程)。また、必須の工程ではないが、本工程後、閉塞工程前に、坑道の埋戻し工程が行なわれても良い。
[坑道の埋戻し工程]
本工程は任意の工程であり、本工程では、坑道12に配置された放射性廃棄物14と坑道12の内壁12aとの隙間に埋戻し材13が充填される。隙間充填は、吹付け方式やペレット充填方式で行われる。吹付け方式の場合、埋戻し材13は砂状、泥状の小粒子であり、ペレット充填方式の場合、例えば、粒径1mm〜50mm程度のものを用いることができる(以上、坑道の埋戻し工程)。
[閉塞工程]
本工程では、放射性廃棄物14が配置された坑道12の入口側を栓体20−2により閉塞する(図1参照)。栓体20−2には、栓体20−2を貫通すると共に開閉可能な通気孔20−2c(通気手段)が設けられており、この通気孔20−2cと地上のコンプレッサ42とが、配管44により接続されている。なお、通気孔20−2cの坑道側12側の端部には圧力センサ46が取り付けられており、坑道空間内の内圧を測定可能となっている(以上、閉塞工程)。同様に、通気孔20−2cの坑道側12側の端部に酸素濃度計、二酸化炭素濃度計を取り付けることで、坑道空間内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度をそれぞれ測定することが可能となる。
[内圧発生工程]
本工程では、コンプレッサ42から送り出した窒素ガスを通気孔20−2cを介して坑道空間内に導入し、坑道空間内に内壁12aに作用する内圧を発生させる。内圧は、圧力センサ46により測定する。内圧が、例えば、水圧や地圧で決定される所定の好ましい内圧の範囲内となるように窒素ガスを坑道空間内に導入する。具体的には、例えば、所定の内圧の範囲内で目標値を設定し、目標値の±数%の範囲となるように窒素ガスの導入量を調整すればよい。二酸化炭素ガスを坑道空間内に充填する場合には、窒素ガスと同じ経路により二酸化炭素ガスを充填すればよい。
窒素ガス(及び任意に二酸化炭素ガス)の導入停止後、通気孔20−2cを閉じ、坑道空間を密閉する(以上、内圧発生工程)。
以上の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法により、放射性廃棄物の処分坑道構造10が製造される。なお、内圧発生工程後、立坑2に水を充填してもよい。水を充填することで、栓体20−2の内面20−2a及び外面20−2bの両面に圧力が作用し、栓体20−2を安定させることができる。
<放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法>
次に、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法について説明する。本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法は、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造10の内圧監視工程と、窒素ガスの再充填工程と、を含む。
[内圧監視工程]
本工程では、放射性廃棄物の処分坑道構造10の坑道空間内の内圧を監視する。内圧の監視には、圧力センサ46(図1参照)を用いることができる。内圧の監視は、常に行なわれていてもよく、1日1回など定期的に行われてもよい。内圧を監視し続けているときに内圧が低下した場合、次の再充填工程に移行する。内圧が低下していない場合、引き続き内圧の監視が行なわれる。なお、内圧の低下を、例えば、所定範囲内にあった内圧の値が、当該所定範囲内の下限値を下回ったことと定義してもよいし、上記所定範囲内における閾値を適宜に設定し、この閾値を下回ったことと定義してもよい。
[再充填工程]
本工程では、さらに窒素ガスを坑道空間内に充填し、処分坑道内の内圧を上昇させる。窒素ガスは、コンプレッサ42から送り出し、通気孔20−2cを介して坑道空間内に導入する。窒素ガスの導入は、圧力センサ46により内圧を監視しながら行い、内圧の値が、例えば、所定範囲内に戻った時点で窒素ガスの導入を終了する。なお、内圧監視工程において閾値を設定していた場合は、その閾値を上回った時点で窒素ガスの導入を終了するなど、適宜に窒素ガスの導入の終了のタイミングを設定することができる(以上、再充填工程)。
再充填工程後は、再び内圧監視工程に戻り、内圧の監視を継続する。
したがって、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法によれば、坑道空間内のガス量が低下し、坑道空間内の内圧が低下した場合には放射性廃棄物14が処分される坑道12及び放射性廃棄物14の形状の維持効果が低下する虞があるところ、内圧を監視し、内圧が低下した場合には窒素ガスを再充填することで、より確実に長期的に放射性廃棄物14が処分される坑道12及び放射性廃棄物14の形状の維持効果を確保することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法は、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造10に対して実施するものとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法に続いて実施することも可能である。この場合、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法の内圧監視工程は、内圧発生工程に続いて実施される。
また、本発明の放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法の再充填工程では窒素ガスが充填されているが、窒素ガスと合わせて二酸化炭素ガスを充填することとしてもよい。
10、30 放射性廃棄物の処分坑道構造
12、32 坑道
12a 内壁
14 放射性廃棄物
20 栓体
20−2c 通気孔(通気手段)

Claims (6)

  1. 地中に形成された坑道と、
    該坑道内に配置された放射性廃棄物と、
    該放射性廃棄物が配置された前記坑道を塞ぐ栓体と、
    該栓体と前記坑道により形成される坑道空間内に充填され、該坑道空間の内壁に作用する内圧を発生させた窒素ガスと、
    を含むことを特徴とする放射性廃棄物の処分坑道構造。
  2. 坑道空間内が埋め戻されていることを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造。
  3. 坑道空間内の内壁に作用している内圧が、大気圧よりも大きく、且つ坑道が位置する深さにおける地下水の水圧の0.05倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造。
  4. 坑道空間内にさらに二酸化炭素ガスが充填されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の放射性廃棄物の処分坑道構造。
  5. 地中に坑道を形成する坑道形成工程と、
    該形成された坑道内に放射性廃棄物を配置する配置工程と、
    放射性廃棄物が配置された坑道を栓体により閉塞する閉塞工程と、
    栓体を貫通するとともに開閉可能な通気手段を介して窒素ガスを前記栓体と前記坑道により形成される坑道空間内に導入し、該坑道空間内に内壁に作用する内圧を発生させる内圧発生工程と、
    を含むことを特徴とする放射性廃棄物の処分坑道構造の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の処分坑道の坑道空間内の前記内圧を監視する監視工程と、
    前記監視中に前記内圧が低下した場合にはさらに窒素ガスを前記坑道空間内に充填し、処分坑道内の内圧を上昇させる再充填工程と、
    を有することを特徴とする放射性廃棄物の処分坑道構造の維持方法。
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