JP2020180674A - 分水栓密着コアの装着工具 - Google Patents
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Abstract
Description
このために、作業者は、たとえば既設の水道管に分水栓を取り付け、分水栓の作業口から既設の水道管に孔を開ける必要がある。これにより、既設の水道管から、分水栓に新たに取り付けられる新規の水道管へ、水を分岐することができる。
これらの部位は、基本的に腐食しにくい材料や加工がなされているものの、長年にわたって水にさらされた場合に腐食する可能性が全くないとは言いきれない。
このため、近年においては、この分水栓に対応させて水道管に開ける孔の内面や連結部分に対して、分水栓密着コアを密着して被せることが推奨されている。分水栓密着コアが、水道管の孔の内面から分水栓の内側までにかけてこれらと密着することにより、水道管の孔や連結部分は、水流に直接的にさらされ難くなる。これらの部分は腐食し難くなる。
このため、分水栓密着コアの装着工具は、特許文献1にあるように、分水栓密着コアを保持する圧入ヘッドをロッドの一端に取り付ける。この状態から、作業者は、たとえばロッドに設けられる操作部材を用いて、ロッドを操作する。ロッドは、高い圧力で圧入できるように、装着工具との螺合にしたがってゆっくりと孔へ向かって進行する。
その結果、作業者は、分水栓密着コアが水道管の孔に圧入され終わるまで、長い時間にわたって操作部材を回転操作しなければならない。
また、作業者は、分水栓密着コアを水道管の孔に圧入した後に、装着工具を取り外すために、長い時間にわたって操作部材を逆に回転操作しなければならない。
しかも、装着工具により分水栓密着コアを押し込むためには、特許文献2にあるように、大きな力が必要になる。
このため、作業者は、圧入ヘッドに分水栓密着コアを保持させて、ロッドを固定筒体に収めた状態で固定筒体を分水栓に取り付けた後、ロッドを分水栓へ向けて押し下げて、分水栓密着コアを分水栓についての孔の近くまで移動させることができる。この押し下げた状態で、作業者は、供回機構により操作部材を回動体と供回り可能に係合させて、ロッドの他端に取り付けた操作部材を回転操作することにより、回動体の回転進行により、分水栓密着コアを分水栓についての孔へ圧入することができる。
これにより、分水栓密着コアを、分水栓についての孔へ押し込んで密着するように圧入することができる。作業者は、分水栓密着コアを分水栓についての孔の近くまで移動させてから、供回機構により操作部材を回動体と供回り可能に係合させて操作部材の回転操作を開始すればよく、それ以前のロッドを固定筒体に収めた状態から操作部材の回転操作を開始する必要がない。作業者は、分水栓密着コアを圧入するために、固定筒体と螺合して、高いトルクを発生できるようにゆっくりと分水栓へ向けて進行するように設けられている回動体を、操作部材とともに、ロッドを固定筒体に収めた状態から回転させるように操作を開始する必要がない。作業者は、供回機構により操作部材を回動体と供回り可能に係合させる前には、回動体にしたがって操作部材を回動させることなく、操作部材とともにロッドを分水栓へ向かう方向へ進退させることができる。分水栓密着コアを孔へ取り付けるまでの作業性は、向上する。
これにより、ロッドを固定筒体に収めるように戻すことができる。作業者は、ロッドが固定筒体に収まるようになるまで、さらに逆回転の操作を続ける必要はない。分水栓密着コアを孔へ取り付けた後の作業性も、向上し得る。
図2は、図1の装着工具1の、模式的な部分断面図である。
なお、以下の説明では、図1および図2に示す姿勢を基準として、上下を使用する。
ロッド40は、パイプ貫通孔21より一回り小径で、スクリュパイプ20より長尺な、略円柱形状を有する。パイプ貫通孔21に挿入した状態で、ロッド40は、スクリュパイプ20の上および下に突出する。ロッド40は、スクリュパイプ20に対して上下方向へ移動可能に設けられる。
スクリュパイプ20の内部には、パイプ貫通孔21の周囲の部分が円筒形状にくり抜かれる。これにより、スクリュパイプ20のパイプ貫通孔21にロッド40を挿入した状態で、ロッド40の周囲に、チャンバ空間22が形成される。
略円柱形状のボディ10の一端側の下面には、マルチ圧入ヘッド50の略全体を収容可能な深さで、ボディ下凹部11が形成される。ボディ下凹部11による内周面には、分水栓93の作業口100の部分と螺合可能なネジ溝12が形成される。なお、ボディ下凹部11についてのネジ溝12が形成される部分の内径と、分水栓93の作業口100の部分の外径とが異なる場合、図示外のアダプタを用いてこれらを連結すればよい。
略円柱形状のボディ10の他端側の上面には、スクリュパイプ20が螺合挿入されるボディ上凹部13が形成される。スクリュパイプ20は、ボディ上凹部13に螺合挿入されることにより、ボディ10に固定される。スクリュパイプ20は、ボディ10とともに、装着工具1の固定筒体を形成する。
ボディ上凹部13には、その底面から側面にかけて、空気孔用のスリット14が形成される。ボディ上凹部13にスクリュパイプ20が螺合挿入されることで、空気孔用のスリット14は、スクリュパイプ20の外周面とともに、スクリュパイプ20の外側の空気孔を形成する。空気孔は、スクリュパイプ20の下側において、スクリュパイプ20のチャンバ空間22と連通する。
略円柱形状のドライブキャップ30の下面には、スクリュパイプ20の外周面と略同径のキャップ下凹部31が形成される。キャップ下凹部31の内周面の下端部分には、円筒形状のスクリュパイプ20の外周面に形成されるネジ25と螺合するネジ32が形成される。ドライブキャップ30は、キャップ下凹部31のネジ32により、円筒形状のスクリュパイプ20の上部のネジ25と螺合する。ドライブキャップ30は、回転操作されることにより、分水栓93へ向かって進退可能になる。
円筒形状のスクリュパイプ20の外周面に形成されるネジ25と、円筒形状のスクリュパイプ20のキャップ下凹部31の内周面の下端部分に形成されるネジ32とは、ドライブキャップ30の1回転当たりの進退量を小さくするとよい。これにより、強い回転負荷が作用したとしても、人手の力によりドライブキャップ30を回転させて、ドライブキャップ30をスクリュパイプ20の軸方向に沿って上下へ進退させることができる。
ロッド40についての、ドライブキャップ30より上へ突出する上端部には、T型ハンドル60が取り付けられる。ロッド40についての上端部は、分水栓93に取り付けられる部分とは反対側となる他端部である。
なお、T型ハンドル60は、ロッド40の上端部に、取外可能に取り付けられてもよい。
分水栓密着コア70には、図2に示すようにサイズまたは形状が異なる複数の種類のものがある。マルチ圧入ヘッド50とは、複数種類の分水栓密着コア70を保持可能な圧入ヘッドをいう。
マルチ圧入ヘッド50は、基本的に、たとえば分水栓密着コア70の内径より少し大きい円柱形状の外形を有し、円柱形状の外形の下部がテーパ状に加工されたものである。分水栓密着コア70は、テーパ形状の下側から、マルチ圧入ヘッド50に嵌めることができる。マルチ圧入ヘッド50は、押し込んで嵌められた分水栓密着コア70を保持する。
なお、マルチ圧入ヘッド50は、ロッド40から取外可能に取り付けられてよい。ロッド40には、マルチ圧入ヘッド50と交換して、他のマルチ圧入ヘッドや圧入ヘッドを取り付けることができる。
また、T型ハンドル60の軸受部61の下面には、ドライブキャップ30の上部の突出部を遊挿可能な軸受下凹部62が形成される。軸受部61には、軸受下凹部62へ向かって内向きに突出するように、一対のピン65が設けられる。
T型ハンドル60の軸受下凹部62にドライブキャップ30のキャップ突出部34が収容される状態で、一対のピン65は、一対の略L型の溝部35に入り込む。その状態で、L型の溝部35の延在方向へ向かってT型ハンドル60を回転すると、一対のピン65は、一対の略L型の溝部35の奥に入る。これにより、T型ハンドル60の一対のピン65は、ドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35と係合する。係合した状態で、T型ハンドル60は、ドライブキャップ30に対して、ロッド40の軸方向へ移動できなくなる。ドライブキャップ30は、T型ハンドル60により係合方向へさらに回転されることにより、T型ハンドル60と供回りする。T型ハンドル60の一対のピン65と、ドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35とは、T型ハンドル60とドライブキャップ30との供回機構を構成する。なお、ロッド40は、ボールベアリング63を介してT型ハンドル60に軸受けされているため、T型ハンドル60が回転しても、それに従って回転しないようにできる。
なお、ドライブキャップ30の溝部35は、L型以外の、たとえばT型、J型であってもよい。
ピン65と溝部35とは、1組でも、3組以上でもよい。ただし、荷重が加えられた状態での係合の安定性のために、2組以上とするとよい。
略円柱形状のロッド40の外周面には、上下方向の略中央部分に、リング部41が形成される。リング部41は、略円環形状を有する。リング部41は、略円環形状の孔にロッド本体42が挿入されたような状態で、略円柱形状のロッド40の外周面の全周にわたって突出するように設けられる。
略円環形状のリング部41の外周面は、略円筒形状のチャンバ空間22によるスクリュパイプ20の内周面と擦接する。これらの擦接部分には、Оリングなどのシール部材が配置されてよい。リング部41により、スクリュパイプ20のチャンバ空間22は、ロッド40の進退方向である上下方向において上下に二分される。ここで、ロッド40の他端側である上側の分割空間を、第一分割空間23といい、ロッド40の一端側である下側の分割空間を、第二分割空間24という。
ロッド40は、リング部41より上側となる部分に、第二開口82が形成される。第二開口82は、ロッド40が退避状態にある場合にチャンバ空間22の第一分割空間23に露出する。
マルチ圧入ヘッド50の第一開口81と、ロッド40の第二開口82とは、これらの軸方向に沿って延在するように形成される流路83により連通する。
流路83により、分水栓93の内部空間であるロッド40の移動空間99と、チャンバ空間22の第一分割空間23との間では、分水栓93の内部空間に流入している水が行き来できる。チャンバ空間22の第一分割空間23は、固定筒体としてのボディ10を分水栓93に取り付けた状態で、分水栓93の内側のロッド40の移動空間99と連通する。
図3には、装着工具1とともに、内部に圧送される水が流れる既設の水道管91と、水道管91に対して上下のサドルクランプ部材により取り付けて固定された分水栓93とが図示されている。
装着工具1を分岐管94の上部に固定した状態においてロッド40を下げると、分水栓密着コア70を嵌め付けたマルチ圧入ヘッド50が、分水栓93の作業口100から分水栓93の内側に進入する。その後、マルチ圧入ヘッド50は、分水栓密着コア70とともに、水道管91の孔92に圧入される。その後、ロッド40を引き上げると、水道管91の孔92に引っかかる分水栓密着コア70がマルチ圧入ヘッド50から外れ、マルチ圧入ヘッド50が分水栓93の作業口100へ向かって上へ退避する。これにより、分水栓密着コア70は、図中に点線で示すように変形した状態で、水道管91の孔92に残留する。
変形して残留する分水栓密着コア70は、水道管91の孔92の周囲の内面から、分水栓93の分岐管94の下部の内側までの範囲を、全体的に密着した状態で覆うことが期待される。全体的に密着することにより、水道管91の孔92の内面や、水道管91と分水栓93との連結部分は、それらの表面が露出しなくなる。水道管91の外周面に分水栓93を載せることにより形成される水道管91から分水栓93までの連結部分の内面は、腐食を遅らせることを期待できる。連結部分に錆こぶなどが形成され難くなる。
しかしながら、分水栓密着コア70は、水道管91の孔92や分水栓93に対して単に挿入するのではなく、水道管91の孔92の内面や分水栓93の内面に対してしっかりと密着させる必要がある。このため、分水栓密着コア70は、水道管91の孔92や分水栓93の内側に対して、高い圧力で押し込む必要がある。この作業のためには、作業者には大きな力が必要であり、装着工具1もその作業を良好にサポートするように構成されることが望ましい。
装着工具では、このような課題を解決できることが望まれている。
なお、分水栓93の作業口100は、作業後に不図示の蓋部材により塞がれる。また、ボール体96を切り換えて、分岐管94の下部と連結管95とを連通することにより、水道管91を流れる水の一部を、連結管95に接続される不図示の分岐管へ分岐して流すことができる。
これにより、供回機構を構成するT型ハンドル60の一対のピン65とドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35とが互いに係合し、ドライブキャップ30がT型ハンドル60とともに回転し始める(係合工程)。
ドライブキャップ30は、スクリュパイプ20と螺合しているため、回転操作されるとネジ25,32のピッチにしたがってゆっくりと進行する。
分岐管94の下部または水道管91の孔92に当たっている分水栓密着コア70は、ドライブキャップ30の回転にしたがって、高い圧力により変形しながら分岐管94の下部または水道管91の孔92に圧入される(圧入工程)。
この際、ロッド40は、ボールベアリング63を介してT型ハンドル60に軸受けされている。このため、圧入のためにT型ハンドル60がドライブキャップ30とともに回転しても、ロッド40および圧入されている分水栓密着コア70は、それに従って回転することはない。圧入される分水栓密着コア70は、回転されることなく、分岐管94の下部または水道管91の孔92へ向けてまっすぐに圧入され得る。
その後、図5(B)に示すように、分岐管94の下部または水道管91の孔92に圧入されている分水栓密着コア70は、さらに変形して、後退するマルチ圧入ヘッド50から外れる。
この外れた状態において、作業者は、T型ハンドル60を逆へさらに少し回転させて引くと、T型ハンドル60の一対のピン65と、ドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35との係合を解除できる(解除工程)。その状態において、作業者は、T型ハンドル60を、ドライブキャップ30から外して引き上げる(引上工程)。
最後に、図5(C)に示すように、作業者は、装着工具1のボディ10を分水栓93から外す(取外工程)。
図6(A)に示すように、供回機構を構成するT型ハンドル60の軸受部61には、軸受下凹部62へ向かって内向きに突出するように、一対のピン65が設けられる。また、ドライブキャップ30のキャップ突出部34には、一対の略L型の溝部35が形成される。
図6(B)に示すように、T型ハンドル60の軸受下凹部62にドライブキャップ30のキャップ突出部34を収容された状態では、一対のピン65は、一対の略L型の溝部35に入り込む。
その状態でL型の溝部35の延在方向へ向かってT型ハンドル60を少し回転すると、図6(C)に示すように、一対のピン65は、一対の略L型の溝部35の奥に入り込む。
これにより、T型ハンドル60の一対のピン65は、ドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35と係合する。
この係合状態において、さらにT型ハンドル60を回転すると、T型ハンドル60とともにドライブキャップ30が回転するようになる。ドライブキャップ30のゆっくりとした進行により、分水栓密着コア70を分岐管94の下部または水道管91の孔92へ圧入する圧入工程において必要とされる高い圧力を発生させることができる。
なお、図5(A)の圧抜工程から図5(B)の引上工程においては、チャンバ空間22および空気孔では、図7と逆向きに機能することになる。
図7(C)は、ロッド40を進行させた後の停止状態である。
図7(B)は、押下工程または圧入工程により、図7(A)の停止状態から図7(C)の停止状態となるように、ロッド40を進行させている状態である。
また、ロッド40の進行に伴ってチャンバ空間22の第一分割空間23が広がるため、ロッド40の移動空間99の水の一部は、第一開口81から第二開口82までのロッド40内の流路83を通じて、チャンバ空間22の第一分割空間23へ移動する。
したがって、マルチ圧入ヘッド50や分水栓密着コア70により水道管91の孔92が塞がれて、分水栓93の内部であるロッド40の移動空間99が閉じた空間となっているとしても、ロッド40の移動空間99の内圧の上昇を抑えることができる。
また、チャンバ空間22の第一分割空間23へ移動した水の圧力は、ロッド40の外周面に設けられたリング部41についての、第一分割空間23の側の面にも作用する。
これにより、ロッド40には、ロッド40の移動空間99において進行するマルチ圧入ヘッド50やロッド40に作用する水圧とは逆向きの力が、リング部41を通じて作用する。逆向きの力が作用することにより、ロッド40を進行させるために加える力は、小さくできる。
これにより、移動中にマルチ圧入ヘッド50やロッド40に作用する力は、略相殺されて無くなる。ロッド40は、水圧の影響を受け難くなり、圧入のために必要とされる最小限の軽い力で押し下げたり、引き上げたりすることができる。
これに対して、仮にたとえば第二分割空間24が外気と通じていない場合、ロッド40の進行にともなって第二分割空間24の空気圧が高くなる。
本実施形態では、このような第二分割空間24の空気圧の上昇を招くことはなく。第二分割空間24の空気圧は、ロッド40の移動を妨げる力としてロッド40に作用しない。
このため、作業者は、マルチ圧入ヘッド50に分水栓密着コア70を保持させて、ロッド40を固定筒体に収めた状態で固定筒体を分水栓93に取り付けた後、ロッド40を分水栓93へ向けて押し下げて、分水栓密着コア70を図3の退避位置Aから分水栓93についての孔92の近くの接触位置Bまで移動させることができる。この押し下げた状態で、作業者は、供回機構によりT型ハンドル60をスクリュパイプ20と供回り可能に係合させて、ロッド40の他端に取り付けたT型ハンドル60を回転操作することにより、ドライブキャップ30の回転進行にしたがって分水栓密着コア70を分水栓93に対応する水道管91の孔92へ圧入することができる。作業者は、図3の接触位置Bから装着位置CまでについてT型ハンドル60を回転操作すればよい。これにより、分水栓密着コア70を、分水栓93に対応する水道管91の孔92へ押し込んで密着するように圧入することができる。
作業者は、ロッド40をスクリュパイプ20に収めた退避位置Aから、T型ハンドル60の回転操作を開始する必要がない。作業者は、分水栓密着コア70を圧入するために、スクリュパイプ20の他端の円筒外周面のネジ25と螺合して、高いトルクを発生できるようにゆっくりと分水栓93や水道管91の孔92へ向けて進行するように設けられているドライブキャップ30を、T型ハンドル60とともに、ロッド40をスクリュパイプ20に収めた退避位置Aから回転させるように操作を開始する必要がない。分水栓密着コア70を分水栓93および水道管91の孔92へ圧入するまでの作業性は、向上する。
作業者は、供回機構としてのT型ハンドル60の一対のピン65とドライブキャップ30の一対の略L型の溝部35とが係合されていない状態で、T型ハンドル60を回転操作することなく、ロッド40を大きく押し下げたり、大きく引き上げたりすることができる。
本実施形態の分水栓密着コア70の装着工具1を用いることにより、作業性が格段に改善される。
これに対して仮にたとえば、圧入中の分水栓密着コア70が回転する場合、分水栓密着コア70がねじられながら圧入されることとなる。この場合、分水栓密着コア70に最終的に発生する変形は、想定していたものとは大きく異なる可能性がある。変形した分水栓密着コア70は、その変形により、分水栓93および水道管91の孔92に対して所望の被覆性能を発揮し難くなる可能性がある。本実施形態では、このような事態を発生し難くすることができる。
よって、ロッド40が移動空間99において水道管91の孔92へ向かって進行したり、水道管91の孔92から離れるように後退したりするように移動する際に移動空間99の内圧が高くなるような状況が生じたとしても、その移動空間99の圧力をチャンバ空間22へ逃がすことができる。
また、ロッド40の移動により移動空間99の内圧が低くなるような場合には、チャンバ空間22へ逃がしていた水を移動空間99へ戻すことができる。
また、チャンバ空間22の追加により圧力変動が作用する空間の容量を増やすことができるので、分水栓93の内側の移動空間99のみでロッド40の移動に伴う圧力変動を吸収しようとする場合と比べて、ロッド40の移動に伴う圧力変動の程度そのものを抑えることができる。
これらの効果により、ロッド40が移動する際の移動空間99の内圧の増減を抑えることができる。移動空間99の内圧により、ロッド40を押し下げたり、ロッド40を引き上げたりする作業での作業負荷が、移動空間99の内圧により増加し難くなる。作業者は、過大な作業負荷が作用することなく容易にロッド40を押し下げたり、ロッド40を引き上げたりすることができる。
なお、チャンバは、この他にもたとえば、可撓性の袋体で形成してもよい。可撓性の袋体は、作業空間から水が流入することにより膨らみ、作業空間に水が引かれることにより縮むことができる。移動空間99の内圧の増減を抑えることができる。
これにより、本実施形態では、スクリュパイプ20の内部にチャンバ空間22を設けて、そのチャンバ空間22とロッド40の移動空間99との間の流路83を形成することができる。
本実施形態では、スクリュパイプ20やボディ10の外へ飛び出すようにチャンバ用の可撓性の袋体などを設けることなく、移動空間99の内圧の増減を抑えることができる。本実施形態では、チャンバ用の可撓性の袋体などを配置するための空間を、スクリュパイプ20やボディ10の外に確保する必要もない。
チャンバ空間22は、ロッド40の進退に応じて、ロッド40の移動空間99との間で圧力がかかっている水を行き来させることができる。
チャンバ空間22が水で満たされているとしても、そこからロッド40を押し下げ操作することによりチャンバ空間22を広げることができる。チャンバ空間22は、チャンバ空間22が水で満たされているとしても、その状態から、移動空間99の内圧の増加を抑制するように機能できる。
よって、たとえばロッド40を押し下げる際に、ロッド40の移動空間99を通じて、ロッド40の外周面の全周に沿って突出するリング部41に作用する圧力は、リング部41をロッド40の移動方向に沿って一端側へ押すように作用することになる。
これにより、押し下げるロッド40に作用する、ロッド40を押し戻そうとする力の少なくとも一部は、リング部41に作用する圧力により相殺され得る。ロッド40の移動操作の負荷を軽減することができる。ロッド40は、リング部41がない場合と比べて、軽い力で押し下げたり、引き上げたりすることができる。
これにより、マルチ圧入ヘッド50やロッド40に作用する力を略相殺して無くすことができる。ロッド40は、水圧の影響を受けることなく軽い力で押し下げたり、引き上げたりすることができる。
これに対して仮にたとえば、第二分割空間24が密閉されている場合には、第二分割空間24の空気は、ロッド40の移動に伴って圧縮されたり膨張したりする。密閉された第二分割空間24の空気は、操作の負荷となる。
本実施形態では、第二分割空間24の空気が、操作の負荷となることはない。
本実施形態では、ドライブキャップ30とともにT型ハンドル60を回転操作する区間を短くできる。作業性は、格段に改善される。
この他にもたとえば、第一開口81は、ロッド40に形成してもよい。この場合でも、ボディ10からロッド40の先端部が突出することにより、第一開口81は、分水栓密着コア70を保持してロッド40を引き上げた退避状態において移動空間99に露出することができる。
この他にもたとえば、ロッド40の上端に電動工具などを取り付けるチャック部を形成し、電動工具などによりロッド40を強い力で移動させるようにしてもよい。この場合でも、ロッド40を長い距離にわたってT型ハンドル60の回転により移動させる必要がないので、作業性が改善できる。
この他にもたとえば、ロッド40には、1種類の分水栓密着コア70を保持可能な圧入ヘッドが取り外し可能に取り付けられてもよい。この場合でも、1種類の分水栓密着コア70を保持可能な圧入ヘッドを、他の圧入ヘッドへ交換してロッド40に取り付けることにより、本実施形態の装着工具1は、複数種類の分水栓密着コア70の装着作業に使用することができる。
10…ボディ
11…ボディ下凹部
12…ネジ溝
13…ボディ上凹部
14…スリット
20…スクリュパイプ
21…パイプ貫通孔
22…チャンバ空間
23…第一分割空間
24…第二分割空間
25…ネジ
30…ドライブキャップ
31…キャップ下凹部
32…ネジ
33…貫通孔
34…キャップ突出部
35…略L型の溝部
40…ロッド
41…リング部
42…ロッド本体
50…マルチ圧入ヘッド
60…T型ハンドル
61…軸受部
62…軸受下凹部
63…ボールベアリング
64…操作棒部
65…ピン
70…分水栓密着コア
81…第一開口
82…第二開口
83…流路
91…水道管
92…孔
93…分水栓
94…分岐管
95…連結管
96…ボール体
97…分岐孔
98…パッキン
99…移動空間
100…作業口
Claims (9)
- 分水栓に取り付けられる固定筒体と、
前記固定筒体と螺合して前記分水栓へ向かって進退可能な回動体と、
前記固定筒体および前記回動体を貫通するように設けられ、前記分水栓へ向かう方向へ進退可能なロッドと、
前記ロッドについての前記分水栓側の一端に設けられ、前記分水栓についての孔へ密着するように圧入される分水栓密着コアを保持可能な圧入ヘッドと、
前記ロッドについての前記分水栓側の反対側である他端に取付可能な操作部材と、
前記回動体と前記操作部材とを供回り可能に係合させる供回機構と、
を有する、
分水栓密着コアの装着工具。
- 前記操作部材は、回動機構を介して、前記ロッドの他端に取り付けられている、
請求項1記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記固定筒体を分水栓に取り付けた状態での分水栓の内側のロッドの移動空間と連通するチャンバ、を有する、
請求項1または2記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記固定筒体は、前記ロッドの周囲となる部分に、前記ロッドより大きい内径に形成されるチャンバ空間を有する、
請求項3記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記圧入ヘッドまたは前記ロッドは、前記ロッドを引き上げた退避状態において前記移動空間に露出する第一開口を有し、
前記ロッドは、
前記チャンバ空間に露出可能な第二開口と、
前記第一開口と前記第二開口とを連通する流路と、を有する、
請求項4記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記ロッドの外周面から突出し、前記固定筒体の前記チャンバ空間を、前記ロッドの進退方向に二分するリング部、を有する、
請求項5記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記第二開口は、前記リング部により二分される第一分割空間と第二分割空間との中の、前記ロッドの他端側にある第一分割空間に露出する、
請求項6記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記固定筒体は、前記第二分割空間と連通する空気孔を有する、
請求項7記載の分水栓密着コアの装着工具。
- 前記圧入ヘッドは、複数種類の分水栓密着コアを保持可能である、
請求項1から8のいずれか一項記載の分水栓密着コアの装着工具。
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