JP4803348B2 - 工作機械の軸穴構造 - Google Patents
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Description
該工作機械では、軸穴内にオイルミストを噴射することで、主軸が回転する工作機械内へのオイルミストの供給を可能としており、該オイルミストは、工具内の軸穴を通して工具の刃先などから噴出される。
ところで、マシニングセンタなどの工作機械では、工具の脱着に応じて工具長さに対応させるためのアジャストボルトや工具ホルダの固定および固定解除を行うドローバーなどを有している。これらのアジャストボルトやドローバーは、主軸内で軸方向に移動させることで上記機能を果たしており、それぞれ上記オイルミストが移動するための軸穴を有している。このため、各部材の軸穴同士は必ずしも連結されてはおらず、主軸の内部空間などを通して連通している(例えば特許文献1)。
工具ホルダの多くはHSKシャンクという2面拘束のホルダを使用しており、図6に示すようにホルダ20は、外面をテーパ状とした主軸との嵌合部21を後端に有しており、その内側には先端に至るまでくり抜かれた内側貫通穴22を有している。そして、工具ホルダ20が取り付けられる主軸側(図示しない)の中心部に、工具30に加工液を供給するための加工液供給パイプ23が取付けられている。
主軸1内には、ドローバー2が軸方向に移動可能に配置され、該ドローバー2の先端にスリーブ3が螺合・連結されている。ドローバー2は、先端に位置するロックスクリュウ4によってスリーブ3に対する位置が決められてロックされる。スリーブ3の先端側には外周側に突出する膨出部3aを有しており、スリーブ3の外周側にはコレット5が配置されている。コレットの5の後方側には、後方側が固定支持された皿ばね6が配置されており、皿ばね6の前端は、前記ドローバー2に固定された連結部材7に固定されている。これにより、連結部材7を介して皿ばね6による後方への引張力がドローバー2に付与されている。
コレット5は、先端外周側に工具ホルダ20に形成した係止部21aと係合可能な係止部5aを有している。なお、図中10は、クーリング用のエア供給路である。
しかし、上記動作では、初期にはオイルミストの噴射不良が多発するため、加工不良が生じやすいという問題があり、また、時間が十分に立った後にも不意にオイルミストの噴射不良が生じる場合があるという問題がある。
また、上記アジャストボルトやロックスクリュウのように、軸方向に移動することを前提とする軸部材では、軸穴に内挿される連通筒部や連通筒体の端部が静置時には軸穴内周面と間隙を有して接触しないため、その調整目的などに従って軸方向に容易に移動することができ、本来の機能が制約されることがない。特に弾性筒材は、前記軸部材の移動が伴う場合にも主軸が回転する状態では軸穴内に留まるようにすることで、安定したオイルミスト搬送機能が得られる。
なお、静置時の弾性筒材と軸穴内周面との間隙は、特に限定されるものではないが、組み込み精度などを考慮して間隙が小さくなりすぎないように定めればよい。また、隙間が大きすぎると弾性筒材の弾性変形による密接が困難になるため、これらの事情を勘案して適宜の間隙を定めることができる。例えば0.1〜0.2mm程度の間隙を設けることができる。
また、本発明は、工作機械全体の軸穴構造を構成要件とするものではなく、前記軸穴構造の一部において本発明の構成を満たすものは本発明の範囲内にある。したがって、例えば、工具ホルダにおいて上記構成を具備する場合、該工具ホルダのみによっても本発明の構成要件を充足するものである。
以下に、本発明の一実施形態を図1、2に基づいて説明する。なお、従来例と同様の構造については同一の符号を付して説明を行うものとする。
工具ホルダ20は、筒状に形成され、後端側に、後方ほど外周面が小径となるテーパ形状によって主軸との嵌合部21が形成されている。また工具ホルダ20の内部中央には後端から先端に貫通する内側貫通穴22を有している。該内側貫通穴22のうち、後方側においては、軸部材として加工液供給管23が配置されている。したがって該加工液供給管23の管穴が軸穴23aを構成している。
なお、工具ホルダ20の先端側には、テーパコレット24が取り付けられており、先端にはナット31の螺合が可能になっている。
主軸の回転を停止して静止すると、工具ホルダ20も回転を停止し、遠心力によって外周側に膨らんでいた弾性筒材28は、元に戻って軸穴23aとの間に間隙29が確保される。この状態で、長さの違う工具と交換する際には、前記したように容易にアジャストボルト250の軸方向移動による調整を行うことができる。その後、主軸1を回転させる際には、上記と同様にオイルミストを確実に搬送して、工具先端からオイルミストを安定して噴射することができる。
次に、他の実施形態を図3、4に基づいて説明する。なお、従来例と同様の構造については同一の符号を付して説明を行うものとする。
工作機械主軸1は、工具ホルダ20を取り付けるための取付穴1aを先端に有し、さらに、工具ホルダ20の脱着を操作するドローバー2を収納する収納穴1cを軸方向に沿って有している。前記取付穴1aおよび収納穴1cは連通している。
工具ホルダ20を前記取付穴1aに取り付けた際には、工具ホルダ20の中央部に設けた加工液供給管23の後端が、収納穴1c内に達しており、前記連通筒部41および弾性筒材42は、加工液供給管23の管穴である軸穴23a内に内挿されて、該軸穴23aの内周面と間隙を有するように位置する。
一方、前記スリーブ3は、先端側外周面に外周側に膨出する膨出部3aが形成されており、該スリーブ3の外周側にはコレット5が配置されている。コレット5は、先端側外周面に外周側に突出した係止部5aを有しており、該係止部5aを前方に位置させ、前記係止部21aを後方側に位置させて互いに係合可能になっている。また、コレット5の後端側外周面には、外周側に突出する凸部5bを有しており、収納穴1cの内周面に形成した凹溝1bとの嵌合が可能になっている。なお、前記凹溝1bの先端側の溝面は、内周側が前方に位置するように前方に傾斜したテーパ面で形成されており、コレット5の凸部5bの先端面は後方に傾斜するテーパ面で形成されている。したがって、コレット5は、前記テーパ面を介して凸部5bと凹溝1bとの嵌め合いによって斜め方向にスライドしながら径方向内側または外側への移動が可能になっている。
また、コレット5の後方側には、後方側を固定支持した皿ばね6が配置されており、その前端は、前記ドローバー2に固定した連結部材7に固定されている。これにより、連結部材7を介して皿ばね6に後方への引張力がドローバー2に付与されている。また、前記連結部材7の外周側には連結部材7に固定された押圧部材8が配置されており、該押圧部材8の先端面は外周側が前方に突き出すように傾斜したテーパ面で形成されており、該先端面は、外周側が前方に係止したコレット5の後端面に当接している。
上記各実施形態では、軸部材の一端に連通筒部が設けられて他の軸部材に該連通筒部が内挿されているものについて説明した。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、軸部材と軸部材との間に連通筒体を配置したものであってもよい。
図5は当該実施形態の要部を示す概略図である。
2つの軸部材45、46の間に連通筒体50を配置し、その両端部をそれぞれ軸部材45、46の軸穴45a、46a内に内挿する、この際に連通筒体50の外周面は、軸穴内周面と間隙を有している。また、連通筒体50の両先端部には前記実施形態と同様に弾性筒材51、52が設けられている。これらの弾性筒材51、52は、連通筒体50の回転による遠心力によって拡張可能な材質からなる。すなわち、主軸の回転に連れて前記軸部材45、46および連通筒体50が回転すると、弾性筒材51、52が弾性変形をして軸穴45a、46aの内周面と密接する。この状態では、軸穴45a、46a間を通るオイルミストが連通筒体50の軸穴50aによって確実に他方の軸穴へと移送され、軸穴に沿って確実にオイルミストを搬送することができる。なお、前記軸部材は、静止時には、所望により軸方向への移動を行うことができる。
2 ドローバー
2a 軸穴
3 スリーブ
4 ロックスクリュウ
4a 軸穴
5 コレット
20 工具ホルダ
250 アジャストボルト
250a 軸穴
28 弾性筒材
30 工具
30a 軸穴
40 ロックスクリュウ
40a 軸穴
41 連通筒部
42 弾性筒材
45 軸部材
45a 軸穴
46 軸部材
46a 軸穴
50 連通筒体
51 弾性筒材
52 弾性筒材
Claims (6)
- 軸穴を有する複数の軸部材が軸方向に沿って配置され、前記軸穴の連通によってオイルミスト噴射用軸穴が構成される工作機械の軸穴構造であって、前記軸部材の一端に、他の軸部材の軸穴内に該軸穴内周面と間隙を有して内挿される連通筒部を有し、該連通筒部の少なくとも先端部には、工作機械の主軸の回転に伴って遠心力によって弾性変形をして、内挿されている前記他の軸部材の内周面に外周面が密接する弾性筒材が連結されており、該弾性筒材の内周面は、先端側が薄肉になるよう、先端側ほど大径となるテーパ面に形成されていることを特徴とする工作機械の軸穴構造。
- 前記連通筒部を有する軸部材と、連通筒部が内挿されている前記他の軸部材とは、互いに相対的に軸方向に移動可能となっており、前記連通筒部は、前記移動を伴う場合に、前記主軸の回転に際しては弾性筒材が軸穴内に留まる長さを有していることを特徴とする請求項1記載の工作機械の軸穴構造。
- 連通筒部を有する軸部材が、工具の取り付け位置を調整するアジャストボルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械の軸穴構造。
- 連通筒部を有する軸部材が、工具ホルダの固定および固定解除に用いられるドローバーの先端側に配置されるロックスクリュウであることを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械の軸穴構造。
- 軸穴を有する複数の軸部材が軸方向に沿って配置され、前記軸穴の連通によってオイルミスト噴射用軸穴が構成される工作機械の軸穴構造であって、前記軸部材の間に、それぞれ端部が隣接する軸部材の軸穴内に該軸穴内周面と間隙を有して内挿される連通筒体を有し、該連通筒体の内挿両端部の少なくとも先端部には、工作機械の主軸の回転に伴って遠心力によって弾性変形をして、内挿されている軸部材の内周面に外周面が密接する弾性筒材が連結されており、該弾性筒材の内周面は、先端側が薄肉になるよう、先端側ほど大径となるテーパ面に形成されていることを特徴とする工作機械の軸穴構造。
- 前記連通筒体が内挿されている軸部材は、互いに相対的に軸方向に移動可能となっており、前記連通筒体は、前記移動を伴う場合に、前記主軸の回転に際しては弾性筒材がそれぞれ軸穴内に留まる長さを有していることを特徴とする請求項5記載の工作機械の軸穴構造。
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