JP2020180206A - 塗料及び塗膜の補修方法 - Google Patents

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俊 齋藤
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修平 尾知
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翼 杉田
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Abstract

【課題】密着性に優れた塗膜を形成できる塗料及び塗膜の補修方法の提供。【解決手段】本発明の塗料は、含フッ素重合体と、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群より選択される少なくとも一種のテルペン重合体と、有機溶剤と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料及び塗膜の補修方法に関する。
住宅建築物における壁材、家財の表面材、車両外装等には、長期にわたって外観を維持する点から、耐候性に優れた塗膜によるコーティングが求められている。
このような塗膜は、例えば、フルオロオレフィンを含む含フッ素重合体を含む塗料を用いて形成される(特許文献1)。
特開2011−208043号公報
上述の通り、含フッ素重合体を含む塗料から形成された塗膜は耐候性に優れる。そのため、既存の塗膜の経年劣化等によって塗り替えが必要となった場合において、既存の塗膜の上から、含フッ素重合体を含む塗料を塗装して、塗膜を補修する場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載されているような含フッ素重合体を含む塗料を既存の塗膜の補修に使用したところ、含フッ素重合体を含む塗料を用いて形成された塗膜は、耐候性には優れるものの、既存の塗膜(特に、シリコーン樹脂を含む塗料を用いて形成された塗膜。シリコーン系塗膜ともいう。)に対する密着性が不十分であることを、本発明者らは見出した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、密着性に優れた塗膜を形成できる塗料及び塗膜の補修方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、含フッ素重合体と、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群より選択される少なくとも一種のテルペン重合体と、有機溶剤と、を含む塗料を用いれば、密着性に優れた塗膜が形成できるのを見出し、本発明に至った。
すなわち、発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]含フッ素重合体と、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群より選択される少なくとも一種のテルペン重合体と、有機溶剤と、を含むことを特徴とする塗料。
[2]上記テルペン重合体の含有量が、上記含フッ素重合体の100質量部に対して、0.1〜50質量部である、[1]の塗料。
[3]上記テルペン重合体が芳香族変性テルペン重合体である、[1]又は[2]の塗料。
[4]上記有機溶剤が弱溶剤を含む、[1]〜[3]のいずれかの塗料。
[5]上記含フッ素重合体の水酸基価が、60mgKOH/g以下である、[1]〜[4]のいずれかの塗料。
[6]上記含フッ素重合体が、第3級炭素原子を含む炭素数5〜20のアルキル基を有する単量体に基づく単位を含む、[1]〜[5]のいずれかの塗料。
[7]上記含フッ素重合体が含む全単位に対する、上記第3級炭素原子を含む炭素数5〜20のアルキル基を有する単量体に基づく上記単位の含有量が、10〜20モル%である、[6]の塗料。
[8]更に、加水分解性シラン化合物を含む、[1]〜[7]のいずれかの塗料。
[9]基材の表面に第1の塗料を塗装して形成された第1の塗膜上に、第2の塗料を塗装して第2の塗膜を形成することによって、第1の塗膜を補修する塗膜の補修方法であって、上記第2の塗料が、[1]〜[8]のいずれかの塗料であることを特徴とする、塗膜の補修方法。
[10]上記第1の塗料がシリコーン樹脂を含む、[9]の塗膜の補修方法。
本発明によれば、密着性に優れた塗膜を形成できる塗料及び塗膜の補修方法を提供できる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの総称である。
加水分解性シリル基とは、加水分解によってシラノール基となる基である。
単位とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。なお、重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル(NMR)法により分析して求められる。
酸価及び水酸基価は、それぞれ、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。数平均分子量はMnともいい、重量平均分子量はMwともいう。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される中間点ガラス転移温度の値である。ガラス転移温度は、Tgともいう。
塗料の固形分質量とは、塗料から溶媒を除去した質量である。なお、溶媒以外の塗料の固形分を構成する成分に関して、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。なお、塗料の固形分質量は、塗料を140℃で20分加熱した後に残存する質量として求められる。
本発明の塗料(以下、本塗料ともいう。)は、含フッ素重合体と、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群より選択される少なくとも一種のテルペン重合体(以下、特定テルペン重合体ともいう。)と、有機溶剤と、を含む。本明細書において、本塗料から形成される塗膜を、本塗膜ともいう。
本塗料によって形成された本塗膜は、既存の塗膜に対する密着性に優れる。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
含フッ素重合体を含む塗料は、含フッ素重合体の表面自由エネルギーが小さいため、含フッ素重合体を含む塗膜における、被塗装物への密着性が不充分である場合がある。この密着性は、被塗装物が無機成分を多く含む場合に問題となりやすい。この対策として、含フッ素重合体を含む塗料を塗装する前に被塗装物上に下塗り層を形成する場合があるが、建材の補修等では、既存の塗膜上に更に下塗り層を形成した上で補修用の塗料を塗装することは、効率面、コスト面、及び塗膜の外観の面で最適ではない場合がある。
本塗料であれば、含フッ素重合体及び特定テルペン重合体を含むため、含フッ素重合体が塗膜の表層側に、特定テルペン重合体が塗膜の下層側に配置されやすいと考えられる。従って、既存の塗膜上に本塗料を直接塗装する場合、特に既存の塗膜が、シリコーン系塗膜のように無機成分を主要に含む場合であっても、既存の塗膜への密着性に優れる塗膜を形成できると考えられる。
更に、補修時には、建材が有する既存の塗膜は劣化していることが考えられる。塗膜が劣化すると、塗膜の有機成分が少なくなるとともに塗膜中に含まれる無機顔料等の無機成分が剥き出しになりやすいと予想される。本塗料であれば、劣化した塗膜に塗装する場合であっても、特定テルペン重合体が劣化塗膜の劣化部分に存在する亀裂や空隙に入り込むと考えられる。従って、特定テルペン重合体によるアンカー効果が発揮されて既存の塗膜と本塗膜との密着性が更に向上すると共に、塗膜表層側に配置された含フッ素重合体により耐候性の機能が充分に発揮されると考えられる。
本発明における含フッ素重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、単位Fともいう。)を含むことが好ましい。フルオロオレフィンは、水素原子の1以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF=CF、CF=CFCl、CF=CHF、CH=CF、CF=CFCF、CF=CHCF、CF−CH=CHF、CF−CF=CHが挙げられる。フルオロオレフィンは、本塗膜の耐候性の点から、CF=CF又はCF=CFClが好ましい。フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
フルオロオレフィンに基づく単位の含有量は、含フッ素重合体の耐候性の点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましく、45〜55モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、本塗膜の耐久性の点から、架橋性基を有する単位(以下、単位Cともいう。)を含むことが好ましい。単位Cは、架橋性基を有する単量体(以下、単量体Cともいう。)に基づく単位であってもよく、単位Cを含む含フッ素重合体の架橋性基を、異なる架橋性基に変換させて得られる単位であってもよい。このような単位としては、水酸基を有する単位を含む含フッ素重合体に、ポリカルボン酸やその酸無水物等を反応させて、水酸基の一部又は全部をカルボキシ基に変換させて得られる単位が挙げられる。
単量体Cが有する架橋性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、加水分解性シリル基、エポキシ基、イソシアネート基が挙げられる。架橋性基としては、含フッ素重合体の架橋性の点から、水酸基又はカルボキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。単位Cは、架橋性基の2種以上を有していてもよい。また、単位Cは、フッ素原子を有さない単位であることが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、水酸基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、アリルアルコール等が挙げられる。
水酸基を有する単量体の具体例としては、CH=CHO−CH−cycloC10−CHOH、CH=CHCHO−CH−cycloC10−CHOH、CH=CHOCHCHOH、CH=CHCHOCHCHOH、CH=CHOCHCHCHCHOH、CH=CHCHOCHCHCHCHOHが挙げられる。水酸基を有する単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH=CHCHOCHCHOH又はCH=CHOCHCHCHCHOHが好ましい。
なお、「−cycloC10−」はシクロへキシレン基を表し、「−cycloC10−」の結合部位は、通常1,4−である。
カルボキシ基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸、上記水酸基を有する単量体の水酸基にカルボン酸無水物を反応させて得られる単量体等が挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、CH=CHCOOH、CH(CH)=CHCOOH、CH=C(CH)COOH、HOOCCH=CHCOOH、CH=CH(CHn11COOH(ただし、n11は1〜10の整数を示す。)、CH=CHO(CHn12OC(O)CHCHCOOH(ただし、n12は1〜10の整数を示す。)が挙げられる。フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH=CH(CHn11COOH又はCH=CHO(CHn12OC(O)CHCHCOOHが好ましい。
単量体Cは、2種以上を併用してもよい。単位Cの含有量は、本塗膜の耐久性の点から、本塗膜の含フッ素重合体が含む全単位に対して、3〜30モル%が好ましく、5〜20モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、単位F及び単位C以外の単位(以下、単位Dともいう。)を含むことが好ましい。単位Dとしては、フッ素原子及び架橋性基を有さない単量体(以下、単量体Dともいう。)に基づく単位が挙げられる。
単量体Dとしては、フッ素原子を含まず架橋性基を有さない、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、ビニルエーテル又はビニルエステルが好ましい。
単位Dは、本塗膜の柔軟性の点から、式:X−Zで表される単量体に基づく単位であることが好ましい。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−又はCH=CHCHO−であり、本塗膜の耐候性に優れる点から、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−又はCH=CHCHO−が好ましい。
は炭素数1〜24の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。また、1価の炭化水素基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。また、1価の炭化水素基は、1価の飽和炭化水素基であってもよく1価の不飽和炭化水素基であってもよい。
1価の炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、炭素数2〜12のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基が特に好ましい。
単量体Dの具体例としては、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、ピバル酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社、商品名「ベオバ9」)、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社、商品名「ベオバ10」)、安息香酸ビニルエステル、tert−ブチル(メタ)アクリル酸エステル及びベンジル(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
単位Dは、本塗膜の追従性の点から、炭素数5〜20のアルキル基を有する単量体に基づく単位(以下、単位D1ともいう。)を含むことが好ましい。
単位D1における、炭素数5〜20のアルキル基は、炭素数5〜15のアルキル基が好ましく、更に分岐を有することが好ましく、特に第3級炭素原子を有することが好ましい。
建築外装に付与される塗膜においては、外気温の寒暖差により生じる基材の収縮が大きいので、塗膜には、基材への追従性が求められると考えられる。含フッ素重合体が単位Dを含む場合、本塗膜の柔軟性及び伸び性が向上し、基材が収縮してもクラック等の発生しない、追従性に優れる塗膜が得られる。
単量体Dは、2種以上を併用してもよい。
単位Dの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0〜50モル%が好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体が単位Dを含み、単位Dが単位D1を含む場合、本塗膜の追従性の点から、単位D1の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して5〜40モル%が好ましく、10〜20モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fと単位Cと単位Dとを、この順に20〜70モル%、3〜30モル%、0〜50モル%含むのが好ましく、30〜60モル%、5〜20モル%、5〜40モル%含むのが特に好ましい。
含フッ素重合体のTgは、本塗膜の柔軟性の点から、0〜120℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。
含フッ素重合体のMnは、本塗膜の耐衝撃性の点から、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、2,000〜10,000が特に好ましい。
含フッ素重合体のSP値は、特定テルペン重合体と含フッ素重合体との相溶性及びシリコーン系塗膜への密着性の点から、8.00〜10.00(cal/cm1/2が好ましく、8.50〜9.50(cal/cm1/2が特に好ましい。含フッ素重合体のSP値は、Fedros法に基づいて、凝集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積当たりの蒸発エネルギーを1/2乗して算出される溶解度パラメーター(Solubility Parameter)を意味する。Fedros法とは、例えば、R.F.Fedros,Polym.Eng.Sci.,14[2]147(1974)に記載された計算方法である。
含フッ素重合体は、弱溶剤への溶解性及び貯蔵安定性の点から、水酸基価又は酸価の一方又は両方を有することが好ましい。
含フッ素重合体が水酸基価を有する場合、含フッ素重合体の水酸基価は、弱溶剤への溶解性が優れる点から、60mgKOH/g以下が好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましく、40mgKOH/g以下が特に好ましい。
含フッ素重合体が水酸基価を有する場合、含フッ素重合体の水酸基価の下限値は、貯蔵安定性の点から、1mgKOH/gが好ましく、10mgKOH/gがより好ましく、30mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体が酸価を有する場合、含フッ素重合体の酸価は、弱溶剤への溶解性の点から、60mgKOH/g以下が好ましく、30mgKOH/g以下がより好ましく、10mgKOH/g以下が特に好ましい。
含フッ素重合体が酸価を有する場合、含フッ素重合体の酸価の下限値は、貯蔵安定性の点から、1mgKOH/gが特に好ましい。特に、本塗料が顔料等の添加剤を含む場合に、添加剤の分散性が向上する。
含フッ素重合体は、公知の方法で製造される。例えば、含フッ素重合体は、溶媒とラジカル重合開始剤の存在下、各単量体を共重合させて得られる。含フッ素重合体の製造方法としては、溶液重合、乳化重合が挙げられる。含フッ素重合体の製造時又は製造後には、必要に応じて、重合安定剤、重合禁止剤、界面活性剤等が使用されていてもよい。
含フッ素重合体としては、市販品を用いてもよく、具体例としては、「ルミフロン」シリーズ(AGC社商品)、「Kynar」シリーズ(アルケマ社商品)、「ゼッフル」シリーズ(ダイキン工業社商品)、「Eterflon」シリーズ(エターナル社商品)、「Zendura」シリーズ(Honeywell社商品)が挙げられる。
含フッ素重合体は、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体の含有量は、本塗膜の耐候性の点から、本塗料の固形分質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%が特に好ましい。
含フッ素重合体の含有量は、有機溶剤への溶解性の点から、本塗料の全質量に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
特定テルペン重合体は、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群から選択される少なくとも一種の重合体である。
特定テルペン重合体は、既存の塗膜(特に、シリコーン系塗膜)に対する本塗膜の密着性がより優れる点から、芳香族変性テルペン重合体を含むのが好ましく、芳香族変性テルペン重合体であるのが特に好ましい。
テルペンフェノール重合体の具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン又はリモネン等のテルペンと、フェノールと、を共重合させて得られた共重合体が挙げられる。
テルペンフェノール重合体は、市販品を用いてもよく、具体的にはヤスハラケミカル社製のYSポリスターシリーズが挙げられる。
芳香族変性テルペン重合体の具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン又はリモネン等のテルペンの単独重合体を、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン又はインデン等の芳香族化合物によって変性した重合体が挙げられる。
芳香族変性テルペン重合体は、市販品を用いてもよく、具体的にはヤスハラケミカル社製のYSレジンTOシリーズが挙げられる。
特定テルペン重合体の軟化点は、特定テルペン重合体の流動性の点から、20〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましく、90〜120℃が特に好ましい。軟化点は、JIS K 6220−1:2001に準じて測定される。
特定テルペン重合体のTgは、特定テルペン重合体の流動性の点から、10〜150℃が好ましく、30〜48℃が特に好ましい。
特定テルペン重合体のSP値は、特定テルペン重合体と含フッ素重合体との相溶性及びシリコーン系塗膜への密着性の点から、8.00〜8.85(cal/cm1/2が好ましく、8.60〜8.80(cal/cm1/2が特に好ましい。特定テルペン重合体のSP値は、特定テルペン重合体の構造に基づいてHoy法によって算出される溶解度パラメーター(Solubility Parameter)を意味する。Hoy法とは、例えば、K.L.Hoy “Table of Solubility Prameters”,Solvent and Coatings Materials Research and Development Department,Union Carbites Corp.(1985)に記載された計算方法である。
特定テルペン重合体のSP値は、含フッ素重合体のSP値よりも小さいことが好ましい。
特定テルペン重合体が水酸基価を有する場合、特定テルペンの水酸基価は、特定テルペン重合体と含フッ素重合体との相溶性の点から、0mgKOH/g超100mgKOH/g以下が好ましく、30〜80mgKOH/gが特に好ましい。
特定テルペン重合体の含有量は、含フッ素重合体の100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1.0〜45質量部がより好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。特定テルペン重合体の含有量が、含フッ素重合体の100質量部に対して0.1質量部以上であれば、既存の塗膜(特に、シリコーン系塗膜)に対する本塗膜の密着性がより優れる。特定テルペン重合体の含有量が含フッ素重合体の100質量部に対して50質量部以下であれば、本塗膜の耐候性がより優れる。
本塗料は、塗料溶媒として有機溶剤を含む。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤が挙げられる。
有機溶剤は、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の含有量は、本塗料の全質量に対して、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。つまり、本塗料における固形分の含有量は、本塗料の全質量に対して、20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。
有機溶剤は、弱溶剤を含むのが好ましい。これにより、既存の塗膜の上に本塗料を塗装する際に、本塗料に含まれる有機溶剤によって既存の塗膜が浸食されるのを抑制できる。
弱溶剤とは、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第3種有機溶剤とされているものである。弱溶剤とは、具体的には、ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む)のうち少なくとも一種を5質量%以上含む溶剤を指す。弱溶剤としては、引火点が室温以上である溶剤が好ましく、更に含フッ素重合体の溶解性の点から、ミネラルスピリットが好ましい。
弱溶剤は、2種以上を併用してもよい。
弱溶剤の含有量は、本塗料の塗装時における既存の塗膜に対するダメージをより抑制できる点から、本塗料中の有機溶剤の全質量に対して、5質量%以上が好ましく、50質量%超がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。弱溶剤の上記含有量の上限は、通常100質量%である。
本塗料は、加水分解性シラン化合物を含むのが好ましい。これにより、既存の塗膜(特に、シリコーン系塗膜)に対する本塗膜の密着性がより優れる。
加水分解性シラン化合物としては、4官能加水分解性シラン化合物及びその多量体等が挙げられる。4官能加水分解性シラン化合物は、4個の加水分解性基がケイ素原子に直接結合した化合物である。4官能加水分解性シラン化合物の多量体は、4官能加水分解性シラン化合物が縮合により多量化した化合物である。
加水分解性基の具体例としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アミノオキシ基、アミド基、ケトオキシム基、イソシアネート基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基、アルコキシアルキル基等の1価アルコールの水酸基から水素原子を除いた基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の炭素数は、4個以下が好ましく、1又は2個が特に好ましい。
4官能加水分解性シラン化合物の多量体の多量化度は、本塗料の貯蔵安定性の点から、5〜50が好ましく、10〜20が特に好ましい。多量化度とは、4官能加水分解性シラン化合物の縮合分子数を意味する。
加水分解性シラン化合物としては、テトラアルコキシシランの多量体が好ましい。直鎖構造のテトラアルコキシシランとしては、下式(S1)で表される化合物が好ましい。
RO(Si(OR)O)R ・・・(S1)
式(S1)中、nは多量体の多量化度を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。多量体中のn個のRは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
通常入手できる多量体は、nが異なる多量体の混合物であり、その多量化度は平均したnで示される。
式(S1)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
加水分解性シラン化合物としては、テトラメトキシシランの多量体、テトラエトキシシランの多量体が好ましい。
加水分解性シラン化合物は市販品を用いてもよく、市販品としては、三菱化学社製のMKCシリケートMS51、MS56、MS58B30(テトラメトキシシランの多量体);コルコート社製のメチルシリケート51(テトラメトキシシランの多量体)、エチルシリケート40、40T、48(いずれもテトラエトキシシランの多量体);松本交商社のオルガチックスSIシリーズ;多摩化学社製のエチルシリケート40、45(いずれもテトラエトキシシランの多量体);等が挙げられる。
加水分解性シラン化合物のSP値は、7.0〜8.0(cal/cm1/2が好ましく、7.3〜7.6(cal/cm1/2が好ましい。
加水分解性シラン化合物のSP値は、特定テルペン重合体のSP値よりも小さいことが好ましい。加水分解性シラン化合物のSP値が上記範囲であると、加水分解性シラン化合物が本塗膜の下層に遍在してシリコーン系塗膜への密着性を向上させると考えられる。
加水分解性シラン化合物の含有量は、含フッ素重合体の100質量部に対して、0.1〜300質量部が好ましく、0.5〜100質量部がより好ましく、1.0〜20質量部が更に好ましく、3.0〜20質量部が特に好ましい。加水分解性シラン化合物の含有量が0.1質量部以上であれば、既存の塗膜(特に、シリコーン系塗膜)に対する本塗膜の密着性がより優れる。加水分解性シラン化合物の含有量が20質量部以下であれば、本塗料の貯蔵安定性がより優れる。
本塗料は、硬化剤を含むのが好ましい。
硬化剤は、含フッ素重合体が有する架橋性基と反応し得る基を1分子中に2以上有し、含フッ素重合体等を架橋させることができる。硬化剤は、架橋性基と反応し得る基を、通常2〜30有する。
一般的には、イソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する硬化剤と、ヒドロキシ基を有する重合体等とが架橋する。また、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する硬化剤と、カルボキシ基を有する重合体等とが架橋する。
硬化剤は、2種以上を併用してもよい。
本塗料が硬化剤を含む場合、硬化剤の含有量は、本塗料中の含フッ素重合体の100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。
本塗料は、上記以外の成分(以下、添加剤ともいう。)を含んでもよい。添加剤としては、硬化触媒、フィラー、つや消し剤、レベリング剤、脱ガス剤、充填剤、熱安定剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、防錆剤、シランカップリング剤、防汚剤、低汚染化処理剤等が挙げられる。
本塗料は、本発明における含フッ素重合体及び特定テルペン重合体以外の樹脂を含んでもよい。このような樹脂としては、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、2種以上を併用してもよい。
本塗料は、含フッ素重合体と、特定テルペン重合体と、有機溶剤と、を混合して製造できる。本塗料としては、密着性の点から、含フッ素重合体及び特定テルペン重合体が有機溶剤中に溶解している溶剤型塗料が好ましい。
本塗膜は、本塗料を塗装して塗装層を形成し、乾燥させて塗膜を形成させて得られる。
塗装層を乾燥させる際、本塗料が熱硬化性の硬化剤を含む場合には、加熱するのが好ましい。この場合、含フッ素重合体と硬化剤により架橋して、硬化した塗膜が得られる。本塗膜の加熱乾燥温度は、通常20〜300℃であり、加熱乾燥時間は、通常1分〜2週間である。
本塗膜の膜厚は、10〜1,000μmが好ましく、25〜500μmがより好ましく、50〜100μmが特に好ましい。
本塗料の塗装方法としては、スプレーコート法、スキージコート法、フローコート法、バーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、ダイコート法、インクジェット法、カーテンコート法、はけやへらを用いる方法等が挙げられる。
本塗料は、既存の塗膜の補修(特に、既存の塗膜の上塗り)に使用するのが好ましく、シリコーン系塗膜の補修に使用するのが好ましい。既存の塗膜の詳細については、後述する。
本発明の塗膜の補修方法は、基材の表面に第1の塗料を塗装して形成された第1の塗膜上に、第2の塗料を塗装して第2の塗膜を形成することによって、第1の塗膜を補修する塗膜の補修方法であって、上記第2の塗料が、上述の本塗料である。また、第2の塗膜が、上述の本塗膜である。
本発明の塗膜の補修方法によって、基材上に第1の塗膜及び第2の塗膜が形成された塗膜付き基材が得られる。
本発明の塗膜の補修方法によれば、第2の塗料を使用して第1の塗膜上に第2の塗膜を形成するので、第1の塗膜と第2の塗膜との密着性が優れ、かつ、耐候性に優れた塗膜を形成できる。
第1の塗料としては、特に制限されず公知の塗料を使用できる。また、第1の塗料が本塗料であってもよい。第1の塗料は、必ず第2の塗料よりも基材側に塗膜を形成する塗料である点で、第2の塗料とは異なる。
一般に、第1の塗料としては、樹脂を含む塗料が用いられる。樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。第1の塗料は、樹脂の2種以上を含んでもよい。第1の塗料は、樹脂以外の成分を含んでもよい。
本発明者らは、シリコーン樹脂を含む塗料から形成された塗膜上に、更に含フッ素重合体を含む塗料を塗装して塗膜を形成する場合に、塗膜間の密着性に課題があることを知見している。本塗膜であれば、第1の塗料がシリコーン樹脂を含む場合であっても、第1の塗膜との密着性に優れる。
本塗料の効果が特に顕著に発揮されるシリコーン樹脂としては、ジメチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリアリールシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のポリアルキルアリールシロキサン等からなるシリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等の変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
第1の塗料における樹脂の含有量は、第1の塗料の固形分質量に対して、通常10〜100質量%である。本塗膜であれば、第1の塗膜が、シリコーン樹脂等の、含フッ素重合体を含む塗膜との密着性に課題がある樹脂を多く含む場合(例えば50質量%超、更には80質量%超)でも、第1の塗膜との密着性に優れる。
第1の塗膜は、基材の表面に第1の塗料を塗装して形成された塗膜である。第1の塗膜は、基材の表面に直接形成されていてもよいし、他の層を介して基材の表面に形成されていてもよい。
第1の塗膜は、基材の表面の一部に形成されていてもよいし、基材の表面全体に形成されていてもよいが、基材の表面全体に形成されていることが好ましい。
基材の具体例としては、樹脂、ゴム、木材等の有機材、コンクリート、ガラス、セラミックス、石材、金属材料(鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等)等の無機材、繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の有機無機複合材が挙げられる。
基材は、公知の表面処理がなされていてもよい。表面処理の具体例としては、電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき等の金属皮膜処理、クロメート処理、リン酸塩処理等の化成処理が挙げられる。
第1の塗膜の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。第1の塗膜の膜厚は、10〜1,000μmが好ましく、50〜100μmが特に好ましい。
第2の塗料及び第2の塗膜、それらの製造方法に関しては、上述した本塗料及び本塗膜と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第2の塗料による塗装は、例えば、第1の塗膜の経年劣化が生じた場合や、第1の塗膜が形成された基材の加工時、搬送時、取り付け施工時等に傷ついた場合に実施される。すなわち、第2の塗料の塗装時において、第1の塗膜は、亀裂、空隙及び傷等の欠陥を有するのが好ましい。
また、第2の塗料による塗装は、基材の保護機能や耐候性等をより向上させることを目的として、第1の塗膜に欠陥が生じていない場合であっても実施してもよい。
第2の塗膜は、第2の塗料を第1の塗膜の表面全体に塗装して、第1の塗膜の表面全体に形成してもよい。
また、第2の塗膜は、第1の塗膜における補修が必要な箇所(例えば、亀裂や空隙が発生している箇所)のみに第2の塗料を塗装して、第1の塗膜の補修が必要な箇所のみに形成してもよい。
本発明の補修方法であれば、補修対象物を継続して使用することができるため、住宅建築物における壁材、家財の表面材、車両外装等の、長期に渡って外観を維持することが要求される用途に好適に使用できる。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。例1〜例6は実施例であり、例7〜例9は比較例である。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。
(化合物等の略称)
クロロトリフルオロエチレン(CTFE)
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)
シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)
2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)
弱溶剤:ミネラルスピリット
顔料:D−918(堺化学工業社商品、酸化チタンを含む白色顔料)
硬化触媒:ジブチルスズジラウラートの10,000倍希釈溶液
硬化剤:デュラネートTSS−100(旭化成社商品)
添加剤1:YS RESIN TO105(ヤスハラケミカル社商品、芳香族変性テルペン重合体、軟化点:105±5℃、Tg:45℃、水酸基価:0mgKOH/g、SP値:8.73(cal/cm1/2
添加剤2:YS RESIN PX1000(ヤスハラケミカル社商品、β−ピネン系テルペン重合体、軟化点:100±5℃、Tg:50℃、水酸基価:0mgKOH/g、SP値:8.26(cal/cm1/2
添加剤3:G−2000(日本曹達社商品、ポリブタジエン)
添加剤4:MS58B30(三菱ケミカル社商品、加水分解性シラン化合物)
[含フッ素重合体1の製造例]
オートクレーブに、CTFE(505g)、CHVE(272g)、2−EHVE(194g)、HBVE(87g)、キシレン(670g)、エタノール(189g)及び炭酸カリウム(9.5g)を導入して65℃に昇温し、tert−ブチルパーオキシピバレートの50%キシレン溶液(7.0g)を7時間かけて滴下した後、15時間攪拌して重合して含フッ素重合体1を含む溶液を得た。得られた溶液における溶媒をミネラルスピリットに置換し、固形分濃度を60質量%に調整した後、水素添加無水フタル酸(5.8g)及びトリエチルアミン(0.05g)を添加して70℃で2時間反応させて、Mnが7,400、水酸基価が38mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、Tgが24℃、SP値が8.89(cal/cm1/2である含フッ素重合体1のミネラルスピリット溶液である溶液F1(固形分60質量%)を得た。
含フッ素重合体1は、含フッ素重合体1が含む全単位に対して、CTFE、CHVE、2−EHVE、HBVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、26モル%、15モル%、9モル%含む重合体であった。
[例1]
溶液F1(60g)、弱溶剤(23g)、顔料(15g)、硬化触媒(2.5g)、硬化剤(5.3g)及び添加剤1(10g)を混合して塗料F1を得た。
次いで、アルミニウム基材の片面に、第1の塗料としてシリコーン樹脂を含む塗料(無機ハイブリッドコートJY、アステックペイント社商品)を用いてスプレー塗装し、25℃で1週間乾燥させて、第1の塗膜(膜厚40μm)を形成した。次いで、第1の塗膜上に、第2の塗料として塗料F1をバーコーターにて塗装し、25℃で2週間乾燥させて、塗料F1から形成された第2の塗膜(膜厚40μm)を形成して、基材、第1の塗膜、第2の塗膜がこの順に積層された塗膜付き基材である試験片を得た。
[例2、4〜9]
添加剤の種類及び量を表1に記載のように変更した以外は例1と同様にして、各塗料及び試験片を得た。
[例3]
例1と同様の手順で基材上に第1の塗膜を形成したのち、第1の塗膜付き基材について促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験としては、JIS K 5600−7−8(1999)を採用した。試験時間は5,000時間とした。試験後に得られた劣化塗膜上に、例1と同様にして、表1に記載の塗料を用いて第2の塗膜を形成し、試験片を得た。
[評価試験]
上記で得られた塗料及び試験片について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(密着性)
JIS K 5600−5−6(1999)(クロスカット法)に準拠して判定した。試験片の表面の塗膜を1mm間隔100マスの碁盤目状にカットし、その上に粘着テープを貼付し、続けてその粘着テープを剥離したときの剥離の程度から、以下の基準で密着性を評価した。
分類0:剥離がない。
分類1:クロスカット部分に0%超5%以下の剥離がある。
分類2:クロスカット部分に5%超15%以下の剥離がある。
分類3:クロスカット部分に15%超35%以下の剥離がある。
分類4:クロスカット部分に35%超の剥離がある。
(耐候性)
JIS K 5600−7−8(1999)(紫外線蛍光ランプ法)に準拠して、促進耐候性試験を行った。試験経過5,000時間後の塗膜外観を目視で評価した。
A:塗膜外観が良好である。
B:光沢の低下等の塗膜の劣化が視認される。
(貯蔵安定性)
各例の塗料を密閉容器に入れ、50℃設定のオーブンで1ヶ月間加温した。加温前後の塗料について、それぞれJIS K 5600−2−3:2014に規定されるコーン・プレート粘度計法に準拠し、No.4のローターを使用して、25℃において回転数50rpmにて塗料の粘度を測定した。加温前の塗料の粘度に対する加温後の塗料の粘度上昇率から、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。粘度上昇率が低いほど、含フッ素重合体と特定テルペン重合体との相溶性に優れ、塗料として好適に使用できる。
A:粘度上昇率が2倍未満である。
B:粘度上昇率が2倍以上である。
(顔料分散性)
各例の塗料について、JIS K 5600−2−5に記載の方法に従ったグラインドゲージによる粒状法を用いて、以下の基準で顔料分散性を評価した。顔料分散性良好であれば、含フッ素重合体と特定テルペン重合体との相溶性に優れ、塗料として好適に使用できる。
A:分散性良好
B:分散性不良
表1に示す通り、含フッ素重合体と、特定テルペン重合体と、有機溶剤と、を含む塗料を用いれば(例1〜6)、特定テルペン重合体を含まない塗料を用いた場合(例7〜9)と比較して、密着性に優れた塗膜が形成できるのが確認された。特に、劣化塗膜に対して本塗膜を形成した場合でも、本塗膜の密着性が優れていた(例3)。

Claims (10)

  1. 含フッ素重合体と、テルペンフェノール重合体及び芳香族変性テルペン重合体からなる群より選択される少なくとも一種のテルペン重合体と、有機溶剤と、を含むことを特徴とする塗料。
  2. 前記テルペン重合体の含有量が、前記含フッ素重合体の100質量部に対して、0.1〜50質量部である、請求項1に記載の塗料。
  3. 前記テルペン重合体が芳香族変性テルペン重合体である、請求項1又は2に記載の塗料。
  4. 前記有機溶剤が弱溶剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料。
  5. 前記含フッ素重合体の水酸基価が、60mgKOH/g以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料。
  6. 前記含フッ素重合体が、第3級炭素原子を含む炭素数5〜20のアルキル基を有する単量体に基づく単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料。
  7. 前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記第3級炭素原子を含む炭素数5〜20のアルキル基を有する単量体に基づく前記単位の含有量が、10〜20モル%である、請求項6に記載の塗料。
  8. 更に、加水分解性シラン化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗料。
  9. 基材の表面に第1の塗料を塗装して形成された第1の塗膜上に、第2の塗料を塗装して第2の塗膜を形成することによって、第1の塗膜を補修する塗膜の補修方法であって、
    前記第2の塗料が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗料であることを特徴とする、塗膜の補修方法。
  10. 前記第1の塗料がシリコーン樹脂を含む、請求項9に記載の塗膜の補修方法。
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