JP2020179346A - Zスキーム型光触媒系 - Google Patents

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登美子 毛利
佳太 関澤
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佳太 関澤
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Kenji Morikawa
健志 森川
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Akihiko Kudo
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顕秀 岩瀬
Akihide Iwase
顕秀 岩瀬
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Junya Yoshino
隼矢 吉野
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Abstract

【課題】酸化光触媒粒子および還元光触媒粒子を備え、光を照射することにより、水性媒体中で水を電子供与体として使用して二酸化炭素を還元することができ、なおかつ、二酸化炭素還元反応の選択性の向上を実現することができるZスキーム型光触媒系を提供する。【解決手段】水性媒体と;水を酸化する酸化光触媒粒子と;半導体と、スペーサーを含む連結基によって半導体と化学的に結合する基材と、を含む、二酸化炭素を還元する還元光触媒粒子と;を含む、Zスキーム型光触媒系である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化光触媒粒子と還元光触媒粒子とを備えるZスキーム型光触媒系に関する。
地球環境問題や化石燃料の枯渇の解決策の一つである二酸化炭素の固定技術として、半導体への光照射による半導体表面での光触媒作用を利用して二酸化炭素を還元する技術が知られている。光照射による二酸化炭素の高効率、高選択的な光還元は、太陽エネルギーの化学変換および二酸化炭素の常温、常圧下での有効利用の観点から重要な技術であり、中でも水を電子源として用いるものがクリーンなエネルギー生成法として期待されている。
ここで、光触媒を用いた還元技術の主なものとしては、電極を用いた光触媒系と、粒子を媒体に分散懸濁させた光触媒系の2つがある。後者の粒子懸濁型の光触媒系は、前者に比べて、工業化における大規模化やコストの点で優れていると考えられている(非特許文献1,2参照)。また、2段階励起型(Zスキーム型)光触媒系は、2種類の半導体を用いて、一方の半導体(酸化光触媒)で光触媒酸化反応を行い、他方の半導体(還元光触媒)で光触媒還元反応を行う光触媒系である。これまでに、2種類の半導体粒子が媒体中に懸濁ないし分散してなるZスキーム型光触媒系が提案されている(特許文献1〜3、非特許文献3〜5参照)。
特開2005−199187号公報 特開2013−150972号公報 特開2014−46236号公報
T. F. Jaramillo, et al., Energy Environ. Sci., 2013, 6, 1983-2002 S. Ardo, et al., Energy Environ. Sci., 2015, 8, 2825 T. Kato, et al., The Journal of Physical Chemistry Letters, (米), 2015, Vol.6, p.1042-1047 A. Iwase, et al., The Journal of American Chemical Society, 2016, Vol.138, p.10260-10264 T. Takayama, et al., Faraday Discussions, (英), 2017, Vol.198, p.397-407
2種類の光触媒粒子を用いたZスキーム型光触媒系では、電極を用いた光触媒系とは異なり、酸化光触媒および還元光触媒が水性媒体中に分散している状態で、光エネルギーを用いて酸化反応および還元反応が進行するが、酸化光触媒から還元光触媒への電子の移動効率が低く、反応速度が遅くなることが問題であった。そこで、従来は、光触媒粒子間の電子移動を媒介するレドックスメディエータを媒体に添加するか(特許文献1、非特許文献3〜5参照)、または、光触媒粒子間の電子移動を媒介するとともに、両光触媒粒子を接合または電気的に接近させる物質を光触媒粒子に接合する(特許文献1,2参照)ことで、上記の問題の解決を図っていた。
一方、上述の通り、よりクリーンなエネルギー生成法として、水性媒体中で水を電子供与体として使用し、可視光によって二酸化炭素を還元する技術が期待されている。しかしながら、特許文献1〜3および非特許文献3に記載された光触媒系は、水の完全分解により酸素および水素を生成するものであり、CO還元反応について全く記載されていない。非特許文献4,5に記載されたZスキーム型光触媒系では、水性媒体中で水を電子供与体として使用して、可視光によるCO還元反応によるCO生成が実現している。しかしながら、非特許文献4,5では、水素イオンの還元による水素生成反応も同時に生起しており、しかもCO生成量は水素生成量の1/100以下であるため、CO還元反応の選択性(全還元生成物に占めるCO還元生成物の割合)が極めて低い。またCO還元生成物としてギ酸は検出されていない。
このように、水性媒体中で水を電子供与体として使用した可視光によるCO還元がほとんど実現されていない理由としては、CO還元反応では、水素イオンの還元反応(水素生成反応)に比べてより高い(ネガティブな、卑電位側の)準位の電子を必要とするため、半導体光触媒上でより高い準位に電子を励起させる必要があることが考えられる。また、還元反応では、光触媒反応によって生成した電子の大部分は水性媒体に含まれる水素イオンとの還元反応(水素生成)に使われ、よりエネルギーの高いCOとの還元反応の生起が困難となり、COとの還元反応の選択性が低いことが考えられる。そのため、水素生成反応を抑制したCO還元選択性の向上は重要な課題である。
本発明の課題は、酸化光触媒粒子および還元光触媒粒子を備えるZスキーム型光触媒系であって、光を照射することにより、水性媒体中で水を電子供与体として使用して二酸化炭素を還元することができ、なおかつ、二酸化炭素還元反応の選択性の向上を実現するZスキーム型光触媒系を提供することにある。
本発明は、水性媒体と;水を酸化する酸化光触媒粒子と;半導体粒子と、スペーサーを含む連結基によって前記半導体粒子と化学的に結合する基材と、を含む、二酸化炭素を還元する還元光触媒粒子と;を含む、Zスキーム型光触媒系である。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記基材は、金属錯体触媒を含み、二酸化炭素を還元する能力を有することが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記金属錯体触媒は、周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記半導体粒子の伝導帯下端の準位が、前記金属錯体触媒の最低空軌道の準位よりも卑であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記連結基は、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスホリル基、スルホン酸基、シラノール基、およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つを含み、前記半導体粒子と前記スペーサーとを連結する連結部位を含むことが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記スペーサーは、アルキレン基、およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記酸化光触媒粒子と前記還元光触媒粒子との間で電子を伝達するレドックスメディエータをさらに含み、前記レドックスメディエータが金属錯体化合物であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記金属錯体化合物が、周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記金属錯体化合物が、コバルト、鉄および銅からなる群から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子の伝導帯下端の電位が、pH0における標準水素電極の電位に対して−0.3V以下であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子が硫化物半導体で構成されていることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記硫化物半導体が亜鉛を含有することが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記水性媒体が電解質の水溶液であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記電解質が、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩およびリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記酸化光触媒粒子の伝導帯下端の電位が、前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子の価電子帯上端の電位よりも卑であることが好ましい。
前記Zスキーム型光触媒系において、前記酸化光触媒粒子が、バナジン酸ビスマス半導体を含むことが好ましい。
本発明によれば、光を照射することにより、水性媒体中で水を電子供与体として使用して二酸化炭素を還元することができ、なおかつ、二酸化炭素還元反応の選択性の向上を実現することができるZスキーム型光触媒系を提供することができる。
本実施形態に係るZスキーム型光触媒系の構成の一例を示す概略図である。 本実施形態に係るZスキーム型光触媒系における還元光触媒粒子の一例を示す概略図である。 本実施形態に係るZスキーム型光触媒系の構成の他の例を示す概略図である。 実施例7、比較例5における、可視光CO還元反応のギ酸、CO、水素生成の経時変化を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
[Zスキーム型光触媒系]
図1に、本実施形態に係るZスキーム型光触媒系(以下、単に「光触媒系」ともいう)の構成の一例を示す。図1に示す光触媒系1は、水を酸化する酸化光触媒粒子10と、二酸化炭素を還元する還元光触媒粒子12とを含んで構成される。還元光触媒粒子12は、半導体粒子14と、基材26とを含む。還元光触媒粒子12は、図2に示すように、半導体粒子14と、スペーサー22を含む連結基24によって半導体粒子14と化学的に結合する基材26と、を含む。基材26は、金属錯体触媒16を含み、二酸化炭素を還元する能力を有することが好ましい。また、連結基24は、半導体粒子14とスペーサー22、金属錯体触媒16とを連結する連結部位20を含んでもよい。すなわち、還元光触媒粒子12は、例えば、半導体粒子14と、金属錯体触媒16をスペーサー22と連結部位20とを含む連結基24によって連結部位20で半導体粒子14と化学的に結合する基材26と、を含む。
本実施形態に係る光触媒系1は、光エネルギーによって水性媒体中で二酸化炭素(CO)を還元する。図1に示す光触媒系1において、酸化光触媒粒子10に可視光18が照射されると、光触媒反応によって、水(HO)が酸化され、酸素((1/2)O)または過酸化水素(H)等を生成するとともに、励起された電子eが酸化光触媒粒子10の伝導帯に移動する。励起電子eは、酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12との間の接触および水性媒体を経由して還元光触媒粒子12を構成する半導体粒子14の価電子帯へ移動する。ここで、還元光触媒粒子12に可視光18が照射されると、価電子帯の電子eが光励起されて半導体粒子14の伝導帯に移動し、さらに半導体粒子14の伝導帯から基材26へと移動して、金属錯体触媒16におけるCO還元反応に利用される。このCO還元反応により、一酸化炭素(CO)およびギ酸(HCOOH)等の還元生成物が生成する。
本実施形態に係る光触媒系1では、2種類の光触媒粒子(酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12)を水性媒体中に懸濁させた状態で、光エネルギーを利用した二段階励起型(Zスキーム型)反応により、水の酸化反応と二酸化炭素の還元反応が進行し、水を電子供与剤として利用しつつ、COを還元して有用な炭素化合物を合成することができる。また、本実施形態に係る光触媒系1では、還元光触媒として、半導体粒子14と、その表面上にスペーサー22を含む連結基24によって半導体粒子14と化学的に結合する基材26とを含む還元光触媒粒子12を利用することにより、CO還元性能を向上させることができる。すなわち、本実施形態に係る光触媒系1では、CO還元反応による還元生成物の生成量を向上させることができ、および、水の還元反応に対するCO還元反応の選択性を向上させることができる。さらに、本実施形態に係る光触媒系1は、光触媒粒子が懸濁した粒子懸濁型であるため、酸化触媒電極および還元触媒電極を用いた系に比べて、大規模化および製造コストの抑制が可能である点で優れる。加えて、本実施形態に係る光触媒系1では水を電子供与剤として利用するため、クリーンなエネルギー生成法を提供することができる。
図3に、本実施形態に係るZスキーム型光触媒系の構成の他の例を示す。図3に示す光触媒系3は、水を酸化する酸化光触媒粒子10と、二酸化炭素を還元する還元光触媒粒子12と、レドックスメディエータ(以下、単に「メディエータ」ともいう)28と、を含んで構成される。メディエータ28は、主に酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12との間で電子を伝達する役割を有する。
本実施形態に係る光触媒系3は、光エネルギーによって水性媒体中で二酸化炭素(CO)を還元する。図3に示す光触媒系3において、酸化光触媒粒子10に可視光18が照射されると、光触媒反応によって、水(HO)が酸化され、酸素((1/2)O)または過酸化水素(H)等を生成するとともに、励起された電子eが酸化光触媒粒子10の伝導帯に移動する。メディエータ28は、酸化光触媒粒子10の励起電子eを受け取り、還元光触媒粒子12を構成する半導体粒子14の価電子帯に引き渡す。ここで、還元光触媒粒子12に可視光18が照射されると、価電子帯の電子eが光励起されて半導体粒子14の伝導帯に移動し、さらに半導体粒子14の伝導帯から金属錯体触媒16へと移動して、金属錯体触媒16におけるCO還元反応に利用される。このCO還元反応により、一酸化炭素(CO)およびギ酸(HCOOH)等の還元生成物が生成する。
本実施形態に係る光触媒系3では、2種類の光触媒粒子(酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12)およびメディエータ28を水性媒体中に懸濁させた状態で、光エネルギーを利用した二段階励起型(Zスキーム型)反応により、水の酸化反応と二酸化炭素の還元反応が進行し、水を電子供与剤として利用しつつ、COを還元して有用な炭素化合物を合成することができる。また、本実施形態に係る光触媒系3では、還元光触媒として、半導体粒子14と、その表面上にスペーサー22を含む連結基24によって半導体粒子14と化学的に結合する基材26とを含む還元光触媒粒子12を利用することにより、CO還元性能を向上させることができる。すなわち、本実施形態に係る光触媒系3では、CO還元反応による還元生成物の生成量を向上させることができ、および、水の還元反応に対するCO還元反応の選択性を向上させることができる。さらに、本実施形態に係る光触媒系3は、光触媒粒子が懸濁した粒子懸濁型であるため、酸化触媒電極および還元触媒電極を用いた系に比べて、大規模化および製造コストの抑制が可能である点で優れる。加えて、本実施形態に係る光触媒系3では水を電子供与剤として利用するため、クリーンなエネルギー生成法を提供することができる。
本実施形態に係る光触媒系1,3では、還元光触媒粒子12に含まれる基材26(例えば金属錯体触媒16を含む分子化合物であり、COを還元する能力を有する)の連結部位20の電子密度を増強することにより、半導体粒子14の遷移金属との連結を強固にし、半導体粒子14の光励起電子を効率良く、基材26へ移動することを可能としたと考えられる。一方、連結部位20の電子密度が高くなることにより、基材26の金属錯体触媒16上の中心金属の電子が半導体粒子14側より引っ張られ、逆に金属錯体触媒16におけるCO還元活性が低下する可能性がある。そこで、さらに連結部位20と金属錯体触媒16との間にアルキレン基(−(CH−(xは1以上))等のスペーサー22を設けることにより、半導体粒子14と金属錯体触媒16との電子的相互作用がキャンセルされ(共役が切断される)、半導体粒子14への連結能力と金属錯体触媒16のCO還元活性を両立させることが実現されると推測される。また、スペーサー22の付与により、金属錯体触媒16の周辺が疎水環境になり、CO還元選択性が向上したと推測される。
このように、光触媒系1,3では、2種類の光触媒粒子を水溶液中に懸濁させた状態で、光エネルギーを利用して選択的に二酸化炭素を還元し、有用な炭素化合物を合成することができる。また、還元光触媒粒子の連結基24の改良により、金属錯体触媒16のCO還元能力(反応速度、反応選択性等)が向上し、光触媒系1では、光触媒系3のようなレドックスメディエータ28を用いなくても、レドックスメディエータを用いる場合と同等以上の活性を有するシンプルな2成分系で、水を電子源とした可視光等の光による高選択性なCO還元反応を実現することができる。
なお、本実施形態に係る光触媒系1,3では、金属錯体触媒16の分子内へのアルキレン基等のスペーサー22の導入により、上記効果が得られた。しかし、従来技術では、スペーサーの導入は逆に触媒の活性低下をもたらすと報告されている。例えば、文献「R. Kuriki, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2015, 54, 2406-2409」では、Ru錯体触媒/半導体(C)の複合体において、リン酸基を含むRu錯体触媒(後述の[Ru−dpbpy]と同じ化学構造)にスペーサー(メチレン基)を付与することにより(後述の[Ru−dmpbpy]と同じ構造)、CO還元活性が低下するとされている(論文Table 1のentry 3と4の比較。なお、本論文の複合体は、有機溶媒中で活性を有するものの、水では駆動しない(論文Table1のentry7参照)。)。このように、従来は、分子内にアルキレン基のスペーサーを導入すると、共役が切れるため、Ru錯体と半導体間の電子移動効率が低下し、触媒活性の性能低下をもたらすと考えられていた。したがって、半導体粒子14と基材26との間にアルキレン基等のスペーサー22を導入することによってCO還元選択性が向上するという効果が得られることは、予想をはるかに超えたものである。
[酸化光触媒粒子]
酸化光触媒粒子10は、可視光等の光の照射によって光触媒機能を発揮し、水の酸化反応を生起する半導体化合物(以下「酸化半導体」ともいう)で構成された粒子であれば、特に限定されない。ここで、可視光とは波長λが360nm以上である光を意味する。酸化半導体は、価電子帯上端の電位が水の酸化(O/HO)電位(標準水素電極(SHE)に対して1.23V)より貴(ポジティブ)であるものが好ましい。また、酸化光触媒粒子10の伝導帯下端(CBM)の電位が、還元光触媒粒子12に含まれる半導体粒子14の価電子帯上端(VBM)の電位よりも卑であることが好ましい。
酸化光触媒粒子10を構成する酸化半導体のバンドギャップは特に制限されないが、例えば、4.0eV以下が好ましい。4.0eV以下のバンドギャップを有する半導体粒子は、波長λが300nm〜1000nmの光を吸収して、電子と正孔を形成することができる。また、酸化半導体は、n型半導体であってもp型半導体であってもよい。
酸化半導体として、例えば、各種金属の酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、複合酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、窒化物(金属が部分的に窒化されているものを含む)、酸窒化物(金属酸化物が部分的に窒化されているもの、金属窒化物が部分的に酸化されているものを含む)、硫化物(金属が部分的に硫化されているものを含む)、酸硫化物(金属酸化物が部分的に硫化されているもの、金属硫化物が部分的に酸化されているものを含む)、窒弗化物(金属窒化物が部分的に弗化されているもの、金属弗化物が部分的に窒化されているものを含む)、酸弗化物(金属酸化物が部分的に弗化されているもの、金属弗化物が部分的に酸化されているものを含む)、酸窒素弗化物(金属酸窒化物が部分的に弗化されているもの、金属酸弗化物が部分的に窒化されているもの、金属窒弗化物が部分的に酸化されているものを含む)、炭化物(金属が部分的に炭化されているものを含む)、炭素含有酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、リン化合物、シリサイド化合物等が挙げられる。また、酸化半導体には、窒素、硫黄、炭素、リンおよび金属元素のうち少なくとも1種の元素がドープされていてもよい。
さらに具体的な酸化半導体としては、バナジウム化合物、チタン化合物、タンタル化合物、鉄化合物、亜鉛化合物、銅化合物等が挙げられる。
バナジウム化合物としては特に制限されないが、例えば、酸化バナジウム(V)、バナジン酸ビスマス(BiVO)、AgVO、AgVO、Bi11、CuV、FeVO、Cu、FeV等が挙げられる。また、これら以外のBiV、AgV、CuV、CoV、MnV、NiV、FeV、CrVの酸化物であってもよい。
チタン化合物としては特に制限はないが、例えば、TiO、M−TiO(元素MをドープしたTiOを表し、元素Mとしては、N、S、F、Ni、Ru、Rh、Fe、Cu、Co等が挙げられる。)、SrTiO、M−SrTiO(元素MをドープしたSrTiOを表し、元素Mとしては、Cr、Mn、Ru、Rh、Ir等が挙げられる。)、CaTiO、SrTi、SrTi、KLaTi10、RbLaTi10、CsLaTi10、CsLaTiNbO10、LaTiO、LaTi、LaTi、NaTi13、KTi13、KTiNbO等が挙げられる。
タンタル化合物としては特に制限はないが、例えば、Ta、N−Ta(窒素ドープ酸化タンタル)、TaON、Ta、CaTaON、SrTaON、BaTaON、LaTaON、YTaN、InTaO、Ni−TaO(ニッケルドープTaO)等が挙げられる。
鉄化合物としては特に制限はないが、例えば、Fe、M−Fe(元素MをドープしたFeを表し、元素Mとしては、N、Zn、(N,Zn)、Cu、Ni、Ti、Si、Nb等が挙げられる。)、CaFe、CuFe、CuFeO、ZnFe、BiFeO等が挙げられる。
亜鉛化合物としては特に制限はないが、例えば、ZnS、Ni−ZnS(ニッケルドープ硫化亜鉛)、Cu−ZnS(銅ドープ硫化亜鉛)等が挙げられる。
銅化合物としては特に制限はないが、例えばCuO、CuO、CuBi、CuI、Cu(InGa)S、Cu(InGa)Se、CuGaS、CuGaSSe、CuGaSe等が挙げられる。また、銅化合物としては、例えばCu−Zn−S系化合物、Cu−Zn−Sn−S系化合物、Cu−Sn−S系化合物、Cu−In−Ga−Se系化合物、Cu−In−Ga−S系化合物、Cu−In−Se系化合物等が挙げられる。
また、WO、BiMoO、Nb、NiO、ZnO、SnO、ZrO、CeO、ZrO/CeO固溶体等の金属酸化物や、InP、InAs、GaP、GaAs、GaAsP、GaN、GaInAsP、GaSb、CdS、CdSe、Si、SiC、Ge、SiC、各種金属(Mo、W、Ti、Co、Ni、Fe等)のシリサイド等の半導体化合物も、酸化光触媒粒子10を構成する酸化半導体として使用できる。
本実施形態では、より高い光触媒活性が発現する観点から、酸化光触媒粒子10を構成する酸化半導体が、バナジウム、タンタル、チタン、タングステン、ビスマスおよび鉄からなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物であることが好ましく、上記の群から選択される少なくとも1種を含む酸化物であることがより好ましい。好適な酸化半導体の具体的な例としては、例えば、BiVO、TiO、Fe、BiWO、BiMoO、TaON、N−TiOおよびWO等が挙げられ、特に水の光酸化能力に優れたBiVOが好ましい。
本実施形態に係る酸化光触媒粒子10の粒径は特に制限はないが、平均一次粒子径が100μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。酸化光触媒粒子10の粒径が大きすぎると、粒子の比表面積が減少し、粒子同士の接触確率が低下する場合がある。平均一次粒子径の下限は特に制限はなく、例えば、1nm以上である。酸化光触媒粒子10の平均一次粒子径は、公知の方法によって測定でき、例えば、X線回折(XRD)測定、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、走査型電子顕微鏡(SEM)観察等で得られた画像から、任意に選択した複数個の粒子サンプルについて、長径および短径の平均を取り、これを複数個の粒子サンプルについて平均化することによって、算出することができる。また、酸化光触媒粒子10の形状は特に制限されない。
また、本実施形態に係る酸化光触媒粒子10の比表面積としては特に制限はないが、例えば5m/g以上が好ましい。酸化光触媒粒子10の比表面積が小さすぎると、粒子同士の接触確率や光触媒活性が低下する場合があるためである。
酸化光触媒粒子10は、公知の方法により合成した半導体粒子であってもよく、市販の半導体粒子を使用してもよい。酸化光触媒粒子10に粉砕、研磨等の処理を施して粒子径を調整してもよい。
[還元光触媒粒子]
還元光触媒粒子12は、可視光等の光の照射によって光触媒機能を発揮し、水の酸化反応を生起する半導体化合物(以下「還元半導体」とも記載する)からなる半導体粒子14を含んで構成される。還元光触媒粒子12は、少なくとも半導体粒子14と、その表面上にスペーサー22を含む連結基24によって半導体粒子14と化学的に結合する基材26とを含むものであれば、特に限定されない。
<半導体粒子>
半導体粒子(還元半導体粒子)14を構成する還元半導体としては、還元半導体の伝導帯下端(CBM)の電位が、酸化光触媒粒子10を構成する酸化半導体の価電子帯上端(VBM)の電位より貴(ポジティブ)であるものが挙げられる。これにより、酸化光触媒粒子10において光励起した電子が、必要に応じてメディエータ28を介して、半導体粒子14の価電子帯へ移動し、その電子が再び半導体粒子14の伝導帯に光励起する、という2段階光励起システムが形成される。還元光触媒粒子12は、還元半導体のCBMの電位から酸化半導体のVBMの電位を差し引いた電位差が0.1V以上であるものが好ましい。
半導体粒子14を構成する還元半導体のバンドギャップは特に制限されず、例えば、4.0eV以下が好ましい。4.0eV以下のバンドギャップを有する半導体粒子は、波長λが300nm〜1000nmの光を吸収して、電子と正孔を形成することができる。また、還元半導体は、n型半導体であってもp型半導体であってもよい。
還元半導体として、例えば、各種金属の硫化物(金属が部分的に硫化されているものを含む)、酸硫化物(金属酸化物が部分的に硫化されているもの、金属硫化物が部分的に酸化されているものを含む)、酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、複合酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、窒化物(金属が部分的に窒化されているものを含む)、酸窒化物(金属酸化物が部分的に窒化されているもの、金属窒化物が部分的に酸化されているものを含む)、窒弗化物(金属窒化物が部分的に弗化されているもの、金属弗化物が部分的に窒化されているものを含む)、酸弗化物(金属酸化物が部分的に弗化されているもの、金属弗化物が部分的に酸化されているものを含む)、酸窒素弗化物(金属酸窒化物が部分的に弗化されているもの、金属酸弗化物が部分的に窒化されているもの、金属窒弗化物が部分的に酸化されているものを含む)、炭化物(金属が部分的に炭化されているものを含む)、炭素含有酸化物(金属が部分的に酸化されているものを含む)、リン化合物、シリサイド化合物等が挙げられる。また、還元半導体には、窒素、硫黄、炭素、リンならびに金属元素(銀、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびランタノイド等)のうち、1種または2種以上の元素がドープされていてもよい。
半導体粒子14を構成する還元半導体の好適な具体例として、硫化物半導体が挙げられる。半導体粒子14を構成する硫化物半導体としては、金属硫化物からなる還元半導体であれば特に制限されない。硫化物半導体としては、例えば、カドミウム(Cd)および亜鉛(Zn)等のII族元素(第12族元素)の硫化物、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)等のV族元素(第15族元素)の硫化物、スズ(Sn)、鉛(Pb)等のIV族元素(第14族元素)の硫化物、銅ガリウム(CuGa)、銅インジウム(CuIn)、銀インジウム(AgIn)、銅アルミニウム(CuAl)、銀ガリウム(AgGa)等のI族元素(第11族元素)およびIII族元素(第2族元素または第13族元素)の硫化物、銅亜鉛(CuZn)等のI族元素およびII族元素の硫化物、銅ガリウム亜鉛(CuGaZn)、銅インジウム亜鉛(CuInZn)、銀インジウム亜鉛(AgInZn)等のI族元素、II族元素およびIII族元素の硫化物、ならびに、これらの硫化物の固溶体が挙げられる。
硫化物半導体が亜鉛(Zn)を含有することが好ましい。Znを含有する硫化物半導体は比較的卑電位側の(ネガティブな)CBMを有することから、Znを含有する硫化物半導体からなる半導体粒子14は、COの還元反応または金属錯体触媒16への電子移動に有利であるためである。Znを含有する硫化物半導体としては、ZnSとI族元素およびIII族元素を含む金属硫化物との固溶体が好ましく、より具体的には、例えば組成式が(CuGa)1−xZn2x、(AgIn)1−xZn2x、または、(CuIn)1−xZn2x(いずれも0<x<1)で表される化合物がより好ましい。また、Znを含有する硫化物半導体における金属総量に対するZnの含有率は、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、金属総量に対するZnの含有率が、99質量%以下であればよく、太陽光の有効利用の観点からは95質量%以下が好ましい。
半導体粒子14として使用される硫化物半導体の製造方法は特に制限されず、公知の方法で製造すればよい。また、硫化物半導体として、市販の硫化物半導体の粒子を使用してもよい。硫化物半導体は、例えば、硫化物半導体を構成する金属の化合物を溶媒に溶解させ、その溶液に硫黄化合物を含有する溶液を投入して撹拌した後、遠心分離および再分散を行い、上澄みを除去した上で乾燥させることによって、合成することができる。使用する金属化合物としては、用いる金属によって異なるが、例えば、金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩等が挙げられる。また、複数の金属を含有する複合金属硫化物半導体を製造する場合、各金属の硫化物を使用してもよい。硫化物半導体の合成に使用する硫黄化合物としては、例えば、硫化水素、硫化ナトリウム水和物、SCl、SBr、SI、チオ酢酸、チオ尿素、チオアセトアミド、チオシナミン等が挙げられる。
また、硫化物半導体は、上記の金属化合物の溶液中で硫化水素ガスをバブリングさせた後、得られた沈殿物を洗浄および乾燥し、次いで焼成することにより、製造してもよい。加えて、複数の金属を含有する金属硫化物の固溶体を製造する場合は、各金属硫化物を目的とする組成比で混合して得た混合物を焼成することにより、製造してもよい。製造された硫化物半導体の粒子に粉砕、研磨等の処理を施して粒子径を調整してもよい。さらに、金属錯体触媒16の担持をスムーズに行うため、硫化物半導体に予め前処理を施してもよい。
半導体粒子14を構成する還元半導体は、その伝導帯下端(CBM)の電位がpH0における標準水素電極の電位に対して(以下「vs.NHE」と記載する)−0.3V以下であることが好ましい。CO還元反応は水素生成反応に比べてより卑電位側の準位の電子を必要とするところ、CBMの電位が−0.3(vs.NHE)以下である還元半導体を使用することにより光触媒系においてCO還元反応をより有利に進めることができるためである。上記の観点から、還元半導体は、CBMの電位が−0.5V(vs.NHE)以下であることがより好ましく、−1.0V(vs.NHE)以下であることが特に好ましい。
CBM電位が上記の範囲である還元半導体の種類は特に限定されず、例えばタンタル、鉄、銅、インジウムおよびガリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む半導体化合物等が挙げられ、上記群から選択される少なくとも1種を含む酸化物半導体が好ましい。また、CBM電位が上記の範囲である還元半導体としては、上述の硫化物半導体が挙げられる。
当該タンタル化合物としては特に制限はないが、例えば、Ta、TaON、Ta、CaTaON、SrTaON、BaTaON、LaTaON、YTaN、InTaO、LiTaO、KTaO、AgTaO、RbTaO、CSTaO、NaTa、KTa、CaTa、SrTa、BaTa、NiTa、CaTa、SrTaおよびLaTaO、ならびに、これらの化合物に窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびランタノイドからなる群より選択される1種または2種以上の元素がドープされた化合物(例えばN−Ta、Ni−TaO、Na−TaO、La−TaO等)が挙げられる。
当該鉄化合物としては特に制限はないが、例えば、Fe、AFeの組成を有するフェライト化合物(元素Aとしては、Ca、Sr、Cu、Mg、Ni、Zn、Ba等が挙げられる)、ならびに、元素Mをドープした化合物であるM−FeおよびM−Fe(元素Mとしては、N、Ag、Zn、Cu、Mg、Ni、Ti、Si、Nb等が挙げられる)等が挙げられる。
当該銅化合物としては特に制限はないが、例えば、銅酸化物、銅と他の元素との酸化物(例えば銅アルミニウム酸化物、銅ビスマス酸化物等)、ヨウ化銅、Cu−In−Ga−Se系化合物、Cu−In−Se系化合物等が挙げられ、より具体的には、CuO、CuO、CuAlO、CuBi、CuI、Cu(InGa)Se、CuGaSe等が挙げられる。
CBMの電位が−0.3(vs.NHE)以下である硫化物半導体以外の還元半導体としては、酸化タンタル、酸化鉄(フェライト)およびそれらが窒素または銀によりドープされた化合物が好ましい。当該酸化物半導体の好ましい具体例としては、例えば、窒素ドープ酸化タンタル(N−Ta、CBM:約−1.3V)、窒素ドープ酸化鉄(N−Fe、CBM:約−0.6V)、カルシウム酸化鉄(CaFe、CBM:約−0.6V)、銀ドープカルシウム酸化鉄(Ag−CaFe、CBM:約−0.6V)等が挙げられる。
硫化物半導体以外の半導体粒子14の製造方法は特に制限されず、公知の方法で製造すればよい。また、半導体粒子14として、市販の半導体化合物の粒子を使用してもよい。例えば、窒素ドープ酸化タンタルは、酸化タンタルを、アンモニアガスを含む雰囲気で加熱処理することによって生成することができる。アンモニアは非酸化性のガス(アルゴン、窒素等)によって希釈することが好適であり、例えば、アンモニアとアルゴンとを流量の比率が1:1〜3:1となるように混合したガス流中に酸化タンタルを配して加熱することが好適である。加熱温度は500℃以上900℃以下が好ましく、さらには550℃以上850℃以下がより好ましい。処理時間は6時間以上15時間以下が好ましい。窒素をドープする前の酸化タンタルは、市販品であってもよく、または、塩化タンタル、タンタルアルコキシド等のタンタル含有化合物の溶液に加水分解処理等を施すことによって調製してもよい。他の窒素ドープ金属酸化物もまた上記の製造方法に準じて製造することができる。
<基材>
基材は、スペーサー22を含む連結基24によって半導体粒子14と化学的に結合するものであり、金属錯体触媒16を含み、二酸化炭素を還元する能力を有することが好ましい。
(金属錯体触媒)
還元光触媒粒子12は、半導体粒子14と金属錯体触媒16とを含んで構成されていてもよい。金属錯体触媒16としては、金属と非金属の配位子とが結合した構造を有し、電子を利用することによりCOの還元活性を示す化合物であれば特に制限なく使用できる。金属錯体触媒16は、例えば、半導体粒子14を構成する半導体化合物のCBMの準位が金属錯体触媒16の最低空軌道(LUMO)の準位に対して+0.2V以下である化合物であればよい。電子移動の効率の観点から、半導体粒子14の伝導帯下端(CBM)の準位が金属錯体触媒16の最低空軌道(LUMO)の準位よりも卑であることが好ましい。
金属錯体触媒16としては、例えば、周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属から選ばれる少なくとも1種の金属と配位子との錯体が挙げられる。金属錯体触媒16を構成する金属としては、例えば、Cr、Mo、W、Ru、Re、Mn、Fe、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn等が挙げられ、RuおよびRhが好ましい。このような錯体は、単核であっても2核以上の多核であってもよい。また、2種以上の金属が含まれていてもよい。
金属錯体触媒16における配位子としては、特に制限はなく、例えば、典型的な主配位子としては、含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、含酸素化合物、含硫黄複素環化合物等が挙げられ、補助配位子としては、CO、ハロゲン、シアン、ホスフィン類等が挙げられる。補助配位子は、反応の過程でCO、塩基、または水と接触して一部解離し、副配位子へ変換されてもよい。副配位子としては、例えば−CO、−CO、−COOH、−COH、−(CO)−、−OH、−OH等が挙げられる。これらの配位子は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの配位子において、金属に配位する元素としては特に制限はないが、例えば、O、N、C、P、S、Si、ハロゲン等が挙げられる。このような元素は、1種が配位していても2種以上が配位していてもよい。
主配位子となる含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、ビピリジン、ジホスホネートビピリジン、フェナントロリン、ターピリジン、クアテルピリジン、ピロール、インドール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、キノリン、イソキノリン、アクリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。主配位子となる含酸素複素環化合物としては、フラン、ベンゾフラン、オキサゾール、ピラン、ピロン、クマリン、ベンゾピロンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。主配位子となる含酸素化合物としては、ポリオキソメタレートおよびその誘導体が挙げられる。主配位子となる含硫黄複素環化合物としては、チオフェン、チオナフテン、チアゾールおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
(連結基)
半導体粒子14と金属錯体触媒16とは連結基24によって化学的に結合している。この連結基24は、スペーサー22を含み、半導体粒子14と化学的に結合可能な基であれば特に限定されない。連結基24は、半導体粒子14とスペーサー22とを連結する連結部位20を含むことが好ましく、例えば、半導体粒子14と化学的に結合する連結部位20と、連結部位20と金属錯体触媒16との間を化学的に連結するスペーサー22とを含む。連結基24は、半導体粒子14と連結した状態では、プロトンが脱離した構造、または金属と酸素原子が配位している構造を有し得る。これらの連結基は、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せを用いてもよい。
連結部位20は、半導体粒子14と化学的に結合可能な官能基であれれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスホリル基、スルホン酸基、シラノール基、メルカプト基、およびこれらの誘導体等が挙げられ、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスホリル基、スルホン酸基、シラノール基、およびこれらの誘導体が好ましく、ホスホン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスホリル基を含む含リン基がより好ましい。
半導体粒子14が遷移金属を含む場合、例えば、(CuGa)0.3Zn1.4の場合はCu,Ga,Znの金属成分にホスホリル基(P=O)が連結可能である。したがって、連結部位20内のP=Oのドナー性を高めることにより、半導体粒子14の金属成分に対して強い配位力を付与することができる。例えば、ホスホン酸(リン酸)基(POH)も効果的であるが、エステル化されたホスホン酸エステル(リン酸エステル)基(例えば、PO(C、PO(CH)の方がさらにP=Oのドナー性が高まる。
ホスホン酸エステル(リン酸エステル)基はP=Oのドナー性が高いため、半導体粒子14との連結力が極めて高い。しかしながら、電子吸引性が高く、逆に金属錯体触媒16の中心金属(例えばRu)の電子密度が低下してしまう場合がある。電子密度の低下は中心金属へCOが配位しにくくなるため、CO還元活性の低下を招く可能性がある。そこで、半導体粒子14への連結力とCO還元活性の両立を図るため、基材26の連結基24の一部にメチレン基等のアルキレン基ベース等のスペーサー22を導入する。スペーサー22の導入により、共役が切れて、連結基24の電子吸引性の影響を弱めることができると考えられる。スペーサー22は、半導体粒子14と金属錯体触媒16とを連結するための化学基であり、両サイドの電子的な影響を解消することができれば、どのような化学構造であってもよい。
スペーサー22としては、例えば、−(CH−(xは1以上)で表されるメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基等のアルキレン基、およびこれらの誘導体等が挙げられる。アルキレン基は、直鎖に限らず、イソプロピル基のようなアルキル基等の側鎖を有していてもよい。スペーサー22の距離が長くなると電子移動効率が低下してしまう場合がある。したがって、スペーサー22の距離が短い方が好ましく、上限は例えば、x=7以下であり、特にx=1(メチレン基)やx=2(エチレン基)が好ましい。スペーサー22の一部に不飽和炭化水素やC,H以外の他の元素が含まれていてもよい。また、アルキレン基は電子供与性であるため、その電子供与効果により、金属錯体触媒16の中心金属の電子密度を高め、CO還元活性も向上するため好ましい。
基材の具体例としては、ビピリジンにメチレンホスホン酸が結合したビス(メチルホスホネート)ビピリジン(dmpbpy)、メチレンホスホン酸エチルエステルが結合したビス(ジエチルメチルホスホネート)ビピリジン(dmpebpy)、メチレンホスホン酸メチルエステルが結合したビス(ジメチルメチルホスホネート)ビピリジン(dmpmbpy)、エチレンホスホン酸が結合したビス(エチルホスホネート)ビピリジン(depbpy)、エチレンホスホン酸エチルエステルが結合したビス(ジエチルエチルホスホネート)ビピリジン(depebpy)等のRu、Rh等の金属錯体が挙げられる。カルボキシル基系では、メチレンカルボン酸が結合したビス(メチルカルボキシ)ビピリジン(dmcbpy)、メチレンカルボン酸メチルエステルが結合したビス(ジメチルメチルカルボキシ)ビピリジン(dmcmbpy)等のRu、Rh等の金属錯体が挙げられる。より具体的には、[Ru(dmpbpy)(CO)Cl]、[Ru(dmpebpy)(CO)Cl]、[Ru(dmpmbpy)(CO)Cl]、[Ru(depbpy)(CO)Cl]、[Ru(depebpy)(CO)Cl]、[Ru(dmcbpy)(CO)Cl]、[Ru(dmcmbpy)(CO)Cl]等が挙げられる。また、これらを重合させた金属錯体ポリマーであっても構わない。
連結基により半導体粒子14と基材26とを結合する方法は、両者が連結基を介して化学的に結合するものであれば、特に制限されない。例えば、(1)配位子に連結基を導入した金属錯体触媒16を半導体粒子14に吸着させる、(2)連結基を導入した配位子を半導体粒子14に吸着させた後に直接金属錯体触媒16を形成させる、(3)連結基を導入した半導体粒子14に金属錯体触媒16を結合させる、等の方法が挙げられる。
還元光触媒粒子12が金属錯体触媒16を含む場合の金属錯体触媒16の含有量は特に制限はないが、例えば、100質量部の半導体粒子14に対して0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上40質量部以下がより好ましい。金属錯体触媒16の含有量(担持量)が少なすぎると、金属錯体触媒16によるCO還元活性効果が十分得られない場合がある。金属錯体触媒16の担持量が多すぎると、半導体粒子14の光吸収を妨げ、または、再結合中心として作用することにより還元光触媒粒子12の触媒活性が低下する場合がある。還元光触媒粒子12における金属錯体触媒16の含有量は、例えば吸着後の溶液の吸収スペクトル測定、または、錯体担持半導体サンプルの誘導結合プラズマ(ICP)分析により測定することができる。
本実施形態に係る還元光触媒粒子12の粒径は特に制限はないが、平均一次粒子径が100μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。還元光触媒粒子12の粒径が大きすぎると、粒子の比表面積が減少し、粒子同士の接触確率が低下する場合がある。平均一次粒子径の下限は特に制限はなく、例えば、1nm以上である。還元光触媒粒子12の平均一次粒子径は、上述の酸化光触媒粒子10の平均一次粒子径と同様の方法で測定すればよい。また、本実施形態に係る還元光触媒粒子12の比表面積は、特に制限はないが、例えば5m/g以上が好ましい。還元光触媒粒子12の比表面積が小さすぎると、粒子同士の接触確率や光触媒活性が低下する場合があるためである。
本実施形態に係る光触媒系1において、酸化光触媒粒子10および還元光触媒粒子12の含有量は特に制限はないが、光触媒系1全体としての酸化還元反応の効率の観点から、酸化光触媒粒子10および還元光触媒粒子12が質量比で1:20以上20:1以下で存在することが好ましく、1:10以上10:1以下がより好ましい。
[レドックスメディエータ] 本実施形態に係る光触媒系1で使用されるレドックスメディエータ(メディエータ)28は、酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12との間で電子を伝達可能な化合物であれば、特に制限されない。換言すれば、メディエータ28としては、光触媒系1を含有する水性媒体中において、酸化光触媒粒子10から電子eを受け取ることで酸化体から還元体となり、かつ、還元光触媒粒子12(半導体粒子14)に電子eを引き渡すことで還元体から酸化体に戻ることができる化合物であれば、いずれも使用できる。
メディエータ28は、水性媒体中において、酸化光触媒粒子10および還元光触媒粒子12の両者と接触可能な形態で存在していればよい。メディエータ28としては、例えば、水性媒体に溶解または懸濁している溶液系メディエータ、酸化光触媒粒子10または還元光触媒粒子12のいずれか一方と接合している固体型メディエータが挙げられる。
溶液系メディエータに用いられる化合物としては、水性媒体に溶解または懸濁可能なメディエータであれば特に制限されず、例えば溶液系メディエータとして公知の鉄イオン、ヨウ素系化合物および金属含有化合物等が挙げられる。鉄イオンとしては、例えばFe3+/Fe2+レドックス等が挙げられる。ヨウ素系化合物としては、例えば、ヨウ素酸イオン/ヨウ化物イオン(IO3−/I)、三ヨウ化物イオン/ヨウ化物イオン(I3−/I)等が挙げられる。金属含有化合物は、金属の錯体化合物であってもよい。金属錯体化合物に含まれる金属(中心金属)としては、例えば周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属であってよく、具体的にはFe、Co、Cu、Cr、Mo、W、Ru、Re、Mn、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Zn等が挙げられ、Fe、CoおよびCuが好ましい。
本実施形態に係る光触媒系1では、水の還元反応に対するCO還元反応の選択性をより高められることから、メディエータ28として金属錯体化合物を使用することが好ましい。金属錯体化合物の使用によりCO還元反応の選択性が高まる理由は定かではないが、水性媒体に懸濁または溶解した金属錯体化合物が、メディエータ28としての役割(粒子間の電子移動のサポート)に加えて、金属錯体に含まれる配位子によって還元光触媒粒子12の表面上でCO還元反応が進行しやすい環境を作り出している可能性が考えられる。
金属錯体化合物の中心金属としては、上記の周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属が挙げられ、コバルト、鉄および銅からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。金属錯体化合物は、単核であっても2核以上の多核であってもよく、また、2種以上の金属が含まれていてもよい。金属錯体化合物における配位子としては、特に制限はなく、例えば上述の金属錯体触媒16の説明において配位子として記載した各化合物が挙げられる。より具体的には、例えばCO、ハロゲン、シアン、ホスフィン、ピリジン、ビピリジン、ジホスホネートビピリジン、フェナントロリン、ターピリジン、クアテルピリジン、ピロール、インドール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、キノリン、イソキノリン、アクリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、フラン、ベンゾフラン、オキサゾール、ピラン、ピロン、クマリン、ベンゾピロン、ポリオキソメタレート、チオフェン、チオナフテン、チアゾールおよびそれらの誘導体等が挙げられる。これらの配位子において、金属に配位する元素としては特に制限はなく、例えば、O、N、C、P、S、Si、ハロゲン等が挙げられる。このような元素は、1種が配位していても2種以上が配位していてもよい。金属錯体化合物の配位子としては、ターピリジン(tpy)、ビピリジン(bpy)およびフェナントロリン(phen)からなる群より選択される少なくとも一つが好ましい。
溶液系メディエータとして使用される金属錯体化合物の好適な具体例としては、例えば、ビス(2,2’:6’,2”−ターピリジン)コバルトイオン([Co(tpy)2]3+/2+)、ビス(2,2’:6’,2”−ターピリジン)鉄イオン([Fe(tpy)2]3+/2+)、ビス(2,2’:6’,2”−ターピリジン)銅イオン([Cu(tpy)2]2+/1+)、トリス(2,2’−ビピリジン)コバルトイオン([Co(bpy)3]3+/2+)およびトリス(1,10−フェナントロリン)コバルトイオン([[Co(phen)3]3+/2+)等が挙げられる。また、金属錯体化合物が錯イオンである場合の対イオンは、光触媒系1において生じる反応を阻害しないものであれば、任意のものを用いることができる。
メディエータ28が溶液系メディエータである場合、水性媒体に含まれる溶液系メディエータの含有量は、例えば水性媒体の総量に対して0.005mM(mmol/L)以上であればよく、0.01mM(mmol/L)以上であることが好ましい。溶液系メディエータの含有量の上限は、水性媒体における飽和濃度でよい。
固体型メディエータとしては、酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12との間の電子移動に介在することが可能な化合物であれば特に制限されず、好適な例としては、例えば還元型酸化グラフェン(RGO)等のカーボン系材料が挙げられる。RGOは、酸化グラフェンを還元する公知の方法により調製すればよい。例えば、酸化グラフェンおよび酸化光触媒粒子10が懸濁する懸濁液に可視光を照射して、酸化グラフェンの光還元反応を行うことにより、酸化光触媒粒子10に接合したRGOを調製することができる。RGOの原料となる酸化グラフェンも特に制限されず、例えば過マンガン酸カリウムを酸化剤として用いてグラファイトを酸化させるHummers法等の公知の方法により調製された酸化グラフェンを使用すればよい。
メディエータ28が固体型メディエータである場合、固体型メディエータの使用量は、例えば、接合する酸化光触媒粒子10または還元光触媒粒子12の総量に対して、0.05質量%以上50質量%以下であればよく、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
[水性媒体]
本実施形態で使用する水性媒体としては、水を主成分として含有する媒体であれば適宜使用可能である。水性媒体は、水およびメディエータ28を含有するほか、例えば、電解質を含有していてもよく、メタノールおよびエタノール等の水溶性有機溶媒を含有していてもよい。
水性媒体に含まれる電解質としては、水の電解反応における支持電解質として一般的に使用される化合物であって、光触媒系1の作用を阻害しないものであれば特に制限なく使用することができ、例えばオキソ酸およびオキソ酸塩が挙げられる。本実施形態では、水性媒体が電解質の水溶液であることが好ましい。理由は定かではないが、水性溶媒が電解質を含有することにより、CO還元反応の選択性およびCO還元生成物の生成量がより一層優れる傾向にあるためである。なお、本明細書では便宜上、「電解質」と記載した場合、水性媒体中で陽イオンおよび陰イオンに電離した電解質も含むものとする。
電解質を構成するオキソ酸としては、例えば炭酸、リン酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、ハロゲンオキソ酸(次亜塩素酸、塩素酸および過塩素酸等)等が挙げられる。オキソ酸塩を構成する陽イオンとしては、例えばナトリウムおよびカリウム等のアルカリ金属が挙げられる。具体的な電解質としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のリン酸塩(リン酸二水素塩、リン酸水素塩を含む)、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩、過塩素酸ナトリウム、および、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物等が挙げられる。水性媒体に使用される電解質としては、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩およびリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
電解質の水性媒体における濃度は特に制限されないが、例えば水性媒体の総量に対する電解質のモル濃度が0.001M(mol/L)以上2M以下が好ましく、0.01M以上1M以下がより好ましい。電解質の濃度が上記の範囲にあると、光触媒間および触媒と反応物との間の電子の移動に優れるためである。
[光触媒系の形成]
本実施形態に係る光触媒系は、水性媒体、酸化光触媒粒子10、還元光触媒粒子12および必要に応じてメディエータ28を混合することによって得ることができる。例えば、酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12とを混合し、水性媒体に添加することにより、本実施形態に係る光触媒系1が形成される。また、酸化光触媒粒子10と還元光触媒粒子12とを混合し、メディエータ28を含有する水性媒体に添加することにより、本実施形態に係る光触媒系1が形成される。
このようにして形成された光触媒系1,3に可視光18を照射すると、上述したように、還元光触媒粒子12における還元反応によって、水中の二酸化炭素からギ酸および一酸化炭素等の還元生成物が生成するとともに、酸化光触媒粒子10における酸化反応によって、酸素ガス等が生成する。また、本実施形態に係る光触媒系1,3では、還元光触媒粒子12における半導体粒子14または金属錯体触媒16を選択し、適正な環境で触媒反応を生起することで、ギ酸および一酸化炭素に限らず、エタノール等の有用な炭素化合物を二酸化炭素から合成することも可能となる。
本実施形態に係る光触媒系1,3は、紫外線も含む光および紫外線も利用し得る。本実施形態に係る光触媒系1,3は、波長λが360nmより長い可視光において十分な光触媒活性が得られるため、太陽光等の光エネルギーをより一層効果的に利用することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.光触媒の調製
[半導体粒子の調製]
(1)(CuGa)0.3Zn1.4の合成
硫化銅(II)(CuS、株式会社高純度化学研究所製)、硫化ガリウム(III)(Ga、株式会社高純度化学研究所製)、および、硫化亜鉛(ZnS、株式会社高純度化学研究所製)を、モル比がCu:Ga:Zn=0.3:0.36:1.4となる量で混合した。得られた混合物を石英管に入れ密封した後、1073Kで10時間焼成することにより結晶化させて、組成式(CuGa)0.3Zn1.4で表される複合金属硫化物半導体からなる半導体粒子を得た。
(2)(AgIn)0.22Zn1.56の合成
硝酸銀(I)(AgNO、田中貴金属工業株式会社製)、硝酸インジウム(III)水和物(In(NO・3.9HO、株式会社高純度化学研究所製)、および、硝酸亜鉛水和物(Zn(NO・6HO、和光純薬工業株式会社製)を、モル比がAg:In:Zn=0.22:0.22:1.56となる量で含有する混合水溶液中で、硫化水素ガスをバブリングした。生成した沈殿物を洗浄、乾燥後、窒素気流下において1123Kで5時間焼成することにより結晶化させて、組成式(AgIn)0.22Zn1.56で表される複合金属硫化物半導体からなる半導体粒子を得た。
[酸化光触媒粒子の調製]
(1)バナジン酸ビスマス半導体(BiVO)粒子の合成
20mmolの硝酸ビスマス水和物(Bi(NO・5HO、関東化学株式会社製)、および、10mmolの五酸化バナジウム(V、和光純薬工業株式会社製)を0.5mol/Lの硝酸水溶液100mLに添加し、得られた混合液を室温(20℃)で72時間撹拌した。生成した粒子をろ過した後、水で洗浄し、120℃で乾燥することにより、バナジン酸ビスマス半導体(BiVO)からなる酸化光触媒粒子を得た。
2.金属錯体触媒を含む基材の合成
今回検討した金属錯体触媒を含む基材の化学構造を以下に示す。
(1)[Ru(4,4’−bis(diethyl methyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl]([Ru−dmpebpy])の合成
Inorganic Chemistry, 1995, Vol.34, No.24, p.6145-6157に記載の方法に従って、[Ru(CO)Clとジエチルメチルホスホネートビピリジンとを、メタノール中、N気流下にて80℃で3時間還流することにより、ジエチルメチルホスホネートビピリジン配位子を有するルテニウム錯体([Ru(4,4’−bis(diethyl methyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl])([Ru−dmpebpy])を合成した。
(2)[Ru(4,4’−bis(methyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl]([Ru−dmpbpy])の合成
Inorganic Chemistry, 1995, Vol.34, No.24, p.6145-6157に記載の方法に従って、[Ru(CO)Clとジメチルホスホネートビピリジンとを、メタノール中、N気流下にて80℃で3時間還流することにより、ジメチルホスホネートビピリジン配位子を有するルテニウム錯体([Ru(4,4’−bis(methyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl])([Ru−dmpbpy])を合成した。
(3)[Ru(4,4’−diphosphonate−2,2’−bipyridine)(CO)Cl]([Ru−dpbpy])の合成
Inorganic Chemistry, 1995, Vol.34, No.24, p.6145-6157に記載の方法に従って、[Ru(CO)Clとジホスホネートビピリジンとを、メタノール中、N気流下にて80℃で3時間還流することにより、ジホスホネートビピリジン配位子を有するルテニウム錯体([Ru(4,4’−diphosphonate−2,2’−bipyridine)(CO)Cl])([Ru−dpbpy])を合成した。
(4)[Ru(4,4’−bis(diethyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl]([Ru−dpebpy])の合成
Inorganic Chemistry, 1995, Vol.34, No.24, p.6145-6157に記載の方法に従って、[Ru(CO)Clとジエチルホスホネートビピリジンとを、メタノール中、N気流下にて80℃で3時間還流することにより、ジエチルホスホネートビピリジン配位子を有するルテニウム錯体([Ru(4,4’−bis(diethyl phosphonate)−2,2’−bipyridine)(CO)Cl])([Ru−dpebpy])を合成した。
3.レドックスメディエータの合成
(1)[Co(2,2’:6’,2”−terpyridine)](NO([Co(tpy)](NO)の合成
硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO、和光純薬工業株式会社製)1.5mmol、および、2,2’:6’,2”−ターピリジン(東京化成工業株式会社製)3.0mmolをメタノールに溶解し、撹拌および減圧濃縮した。次いで、得られた残渣を再結晶化することにより、[Co(2,2’:6’,2”−terpyridine)](NO([Co(tpy)](NO)で表されるレドックスメディエータを合成した。
4.光触媒反応評価
容量8mLのガラス製の試験管に所定の濃度のNaHCO水溶液を4mL入れ、各触媒を所定量入れた後に、所定のガスを溶液中に15分間通気し、溶液中に飽和させ、ゴム栓で試験管を密閉した。スターラーで試験管の内部溶液を撹拌しながら、メリーゴーラウンド方式の照射装置により、光源としてキセノン(Xe)ランプ(ウシオ電機株式会社製)の放射光のうち可視光(λ>390nm)を、熱線吸収フィルタ(旭硝子株式会社製「SCF−1」)を通して16時間照射した。光照射後、試験管内の溶液上の気相部分のガス成分をガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製「GC−2014」)を用いて分析および定量し、液相部分に含まれる化合物をイオンクロマトグラフ(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製「DIONEX ICS−2100」)を用いて分析および定量した。
<実施例1>
還元光触媒粒子として0.03質量%の[Ru−dmpebpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4 10.7mg、酸化光触媒粒子としてBiVO 5.3mgを用い、0.25M NaHCO水溶液4mLを添加し、COガスを通気した後、可視光照射下、光触媒性能を評価した。
<実施例2>
酸化光触媒粒子としてBiVO 10.7mgを用いた以外は、実施例1と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<実施例3>
電解質溶液として0.5M NaHCO水溶液を用いた以外は、実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<実施例4>
還元光触媒粒子として0.05質量%の[Ru−dmpbpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4を用いた以外は、実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<実施例5>
還元光触媒粒子として0.04質量%の[Ru−dmpebpy]を担持した(AgIn)0.22Zn1.56を用いた以外は、実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<実施例6>
溶液として0.02mMの[Co(tpy)(NO]を含む0.25M NaHCO水溶液を用いた以外は実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<比較例1>
還元光触媒粒子として0.03質量%の[Ru−dpbpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4、溶液に0.02mMの[Co(tpy)(NO]を含む0.25M NaHCO水溶液を用いた以外は実施例1と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<比較例2>
溶液として0.25M NaHCO水溶液を用いた以外は比較例1と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<比較例3>
還元光触媒粒子として(CuGa)0.3Zn1.4を用いた以外は実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
<比較例4>
還元光触媒粒子として0.03質量%の[Ru−dpebpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4を用いた以外は実施例2と同じ条件で光触媒性能を評価した。
5.光触媒活性評価結果
表1にZスキーム型光触媒のCO還元評価(可視光照射16時間後)の生成物分析結果を示す。
CO還元反応の選択性を評価する指標として、「全還元生成物に対するCO還元生成物(COおよびHCOOH)およびギ酸生成の割合」を算出した。比較例1では、CO還元選択率は0.54という値を示し、反応生成物の約半分はCOおよびギ酸が生成する。しかしながら、ギ酸生成割合は0.15と非常に低い。
実施例1,2に示すように、金属錯体触媒とスペーサー(メチレン基)と連結部位(ホスホン酸エステル)とを含む基材[Ru−dmpebpy]が連結部位(ホスホン酸エステル)で半導体粒子である(CuGa)0.3Zn1.4と化学的に結合した複合体が還元光触媒の場合では、レドックスメディエータを含まない条件にもかかわらず、特にギ酸生成量が大幅に向上した。ギ酸生成割合は0.53および0.54と比較例1に比べて著しく向上した。また、ギ酸生成割合の向上の伴い、CO還元選択率もさらに向上し、0.72という高い値を示した。なお、実施例2にレドックスメディエータ(Co錯体)を添加した場合も、実施例6に示すように、CO還元活性を発現した。ただし、ギ酸生成の割合は実施例2の0.53から0.38に低下した。
実施例3に示すように、電解質の濃度を0.25M(実施例2)から0.5Mに増加させることにより、ギ酸生成量は約半分に低下した。しかしながら、ギ酸生成割合が実施例2の0.54から0.78へと大幅に向上した。またCO還元選択率は0.89に達した。
一方、還元光触媒として、金属錯体触媒と連結部位(ホスホン酸エステル)とを含み、スペーサーを含まない基材[Ru−dpebpy]が連結部位(ホスホン酸エステル)で半導体粒子である(CuGa)0.3Zn1.4と化学的に結合した複合体を用いた場合は、比較例4に示すように、CO還元生成物の割合が0.09、ギ酸生成割合が0.07と著しく低下した。
このことより、スペーサーがCO還元生成割合およびギ酸生成活性の向上に重要な役割を果たすことがわかる。
還元光触媒として、金属錯体触媒とスペーサー(メチレン基)と連結部位(ホスホン酸)とを含む基材[Ru−dmpbpy]が連結部位(ホスホン酸)で半導体粒子である(CuGa)0.3Zn1.4と化学的に結合した複合体を用いた場合、実施例4に示すように、ギ酸生成割合は0.57に達した。
一方、還元光触媒として、金属錯体触媒と連結部位(ホスホン酸)とを含み、スペーサーを含まない基材[Ru−dpbpy]が連結部位(ホスホン酸)で半導体粒子である(CuGa)0.3Zn1.4と化学的に結合した複合体を用いた場合は、比較例2に示すように、CO還元生成物の割合が0.23、ギ酸生成割合が0.12と著しく低下した。
実施例5に示すように、還元側の半導体粒子を(AgIn)0.22Zn1.56に置換した場合においても、同様の高いCO還元選択率を示し、効果を有することを確認した。
6.光触媒反応評価(経時変化測定)
容量8mLのガラス製の試験管に0.25M NaHCO水溶液を4mL入れ、還元光触媒10.7mg、酸化光触媒10.7mgを入れた後に、所定のガスを溶液中に15分間通気し、溶液中に飽和させ、ゴム栓で試験管を密閉した。スターラーで試験管の内部溶液を撹拌しながら、メリーゴーラウンド方式の照射装置により、光源としてキセノン(Xe)ランプ(ウシオ電機株式会社製)の放射光のうち可視光(λ>390nm)を、熱線吸収フィルタ(旭硝子株式会社製「SCF−1」)を通して所定時間(1時間〜16時間)照射した。光照射後、溶液上の気相部分のガス成分をガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製「GC−2014」)を用いて分析および定量し、液相部分に含まれる化合物をイオンクロマトグラフ(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製「DIONEX ICS−2100」)を用いて分析および定量した。
<実施例7>
還元触媒として0.03質量%の[Ru−dmpebpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4、酸化触媒にBiVOを用いて経時変化測定を行い、光触媒性能を評価した。
<比較例5>
還元触媒として0.03質量%の[Ru−dpbpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4、酸化触媒にBiVOを用いて経時変化測定を行い、光触媒性能を評価した。
図4に試験管法による各触媒のギ酸生成の可視光CO還元反応の経時変化を示す。横軸には光照射時間(h)、縦軸には還元生成物であるギ酸、CO、水素の生成量(μmol)を示す。還元光触媒として、スペーサーを含む錯体触媒[Ru−dmpebpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4を用いたZスキーム型反応の場合では(実施例7)、レドックスメディエータを含まない場合においても、ギ酸生成量が最も高く、次いで、水素、COの順番であった。また、光照射16時間後においても、安定した触媒活性を示すことより、錯体触媒と半導体が強く連結していることが示唆される。一方、スペーサーを含まない錯体触媒[Ru−dpbpy]を担持した(CuGa)0.3Zn1.4を用いた場合は(比較例5)、副反応生成物である水素生成が最も優先的に進行した。錯体触媒に由来するギ酸生成およびCO生成活性は光照射6時間以降からほぼ横ばいであり、錯体触媒の失活が推定される。
このように、実施例では、比較例に比べて、大幅なCO還元選択率および生成量の向上を実現した。実施例では、ギ酸生成量を損なうことなく、生成割合を最大で89%まで向上させることに成功した。加えて、酸化光触媒粒子、還元光触媒粒子の2成分系は、酸化光触媒粒子、還元光触媒粒子、酸化光触媒粒子と還元光触媒粒子との電子授受の役割を担うレドックスメディエータの3成分系と比較して、同等以上のCO還元選択率を実現し、ギ酸生成の割合はやや低下した。社会実装のためには、構成成分のさらなるシンプル化(2成分系での実現)が望ましいと考えられ、3成分系よりも1つ構成要素が少ない2成分系でも駆動する光触媒系を実現した。
以上の通り、実施例によって、光を照射することにより、水性媒体中で水を電子供与体として使用して二酸化炭素を還元することができ、なおかつ、二酸化炭素還元反応の選択性の向上を実現することができるZスキーム型光触媒系を提供することができた。
1,3 光触媒系(Zスキーム型光触媒系)、10 酸化光触媒粒子、12 還元光触媒粒子、14 半導体粒子、16 金属錯体触媒、18 可視光、20 連結部位、22 スペーサー、24 連結基、26 基材、28 メディエータ(レドックスメディエータ)。

Claims (16)

  1. 水性媒体と、
    水を酸化する酸化光触媒粒子と、
    半導体粒子と、スペーサーを含む連結基によって前記半導体粒子と化学的に結合する基材と、を含む、二酸化炭素を還元する還元光触媒粒子と、
    を含むことを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  2. 請求項1に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記基材は、金属錯体触媒を含み、二酸化炭素を還元する能力を有することを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  3. 請求項2に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記金属錯体触媒は、周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  4. 請求項2または3に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記半導体粒子の伝導帯下端の準位が、前記金属錯体触媒の最低空軌道の準位よりも卑であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記連結基は、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスホン酸エステル基、ホスホリル基、スルホン酸基、シラノール基、およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つを含み、前記半導体粒子と前記スペーサーとを連結する連結部位を含むことを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記スペーサーは、アルキレン基、およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記酸化光触媒粒子と前記還元光触媒粒子との間で電子を伝達するレドックスメディエータをさらに含み、
    前記レドックスメディエータが金属錯体化合物であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  8. 請求項7に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記金属錯体化合物が、周期表の第6族から第12族のいずれかに属する金属から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  9. 請求項8に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記金属錯体化合物が、コバルト、鉄および銅からなる群から選択される少なくとも1つの金属の錯体であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子の伝導帯下端の電位が、pH0における標準水素電極の電位に対して−0.3V以下であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子が硫化物半導体で構成されていることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  12. 請求項11に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記硫化物半導体が亜鉛を含有することを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記水性媒体が電解質の水溶液であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  14. 請求項13に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記電解質が、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩およびリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記酸化光触媒粒子の伝導帯下端の電位が、前記還元光触媒粒子に含まれる半導体粒子の価電子帯上端の電位よりも卑であることを特徴とするZスキーム型光触媒系。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のZスキーム型光触媒系であって、
    前記酸化光触媒粒子が、バナジン酸ビスマス半導体を含むことを特徴とするZスキーム型光触媒系。
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