JP2020177814A - 電解液及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、電池特性に優れる二次電池を提供するために、好適な電解液を提供することを目的とする。
そこで、本発明者が、非水溶媒の一部として1,4−ジオキサンを追加した電解液を製造し、当該電解液のイオン伝導度を測定したところ、イオン伝導度が向上することを知見した。さらに、本発明者が、当該電解液を備える二次電池の性能を評価したところ、電池特性に優れることを知見した。
リチウムイオン二次電池に用いられる電解質としては、ホウ酸リチウム塩、スルホンイミドリチウム塩、スルホン酸リチウム塩、リン酸リチウム塩、過塩素酸リチウム塩などのリチウム塩を例示できる。リチウム塩としては、分子内にフッ素を含有するものが好ましい。
一般式(1) LiBF4−mRm
一般式(1)において、mは0、1、2、3、4のいずれかである。RはCnHaFbである。n、a、bはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+bを満たす。
一般式(2) (RSO2)2NLi
一般式(2)において、Rは、それぞれ独立に、CnHaFbである。n、a、bはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+bを満たす。また、2つのRは、互いに結合して環を形成しても良く、その場合は、2n=a+bを満たす。
一般式(3) RSO3Li
一般式(3)において、RはCnHaFbである。n、a、bはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+bを満たす。
一般式(4) LiPF6―y(X)y
一般式(4)において、yは0〜5の整数である。Xはそれぞれ独立にCl、Br、I、CN、CnHaFbから選択される。n、a、bはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+bを満たす。
しかし、ラジカルが生じた炭素は、それまでのsp3混成軌道から、sp2混成軌道へと変換する。sp2混成軌道における3つの結合は、同一の平面上に存在するのが理想的である。
かかる熱エネルギー的に不安定な立体構造が、テトラヒドロピラン骨格をラジカル化するためのエネルギー障壁となっていると考えられる。
エーテルの酸素に隣接する炭素にアルキル基が結合した場合には、当該炭素はO−CH(アルキル基)−CH2との構造になる。ここで、酸素とアルキル鎖で挟まれたCH基においては、隣接する酸素と隣接するアルキル鎖が及ぼす隣接基相互作用に因り、ラジカルが安定化されるため、ラジカルが生じ易いと考えられている。よって、エーテルの酸素に隣接する炭素にアルキル基が結合したテトラヒドロピラン骨格は、比較的ラジカルが発生しやすいと推定される。
なお、アルキル基で置換されていてもよいテトラヒドロピランとしては、1種類を用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
集電体としては、正極で説明したものを適宜適切に採用すればよい。
3CaSi2+6HCl → Si6H6+3CaCl2
Si6H6 → 6Si+3H2↑
なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で試料を測定した場合におけるD50を意味する。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に本発明の電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
4−メチルテトラヒドロピランにLiBF4を溶解して、LiBF4の濃度が1.5mol/Lである参考例1の電解液を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランに(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が1.5mol/Lである参考例2の電解液を製造した。
参考例2の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランに(CF3SO2)2NLiを溶解して、(CF3SO2)2NLiの濃度が1.5mol/Lである参考例3の電解液を製造した。
参考例3の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例3のリチウムイオン二次電池を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランに(C2F5SO2)2NLiを溶解して、(C2F5SO2)2NLiの濃度が1.5mol/Lである参考例4の電解液を製造した。
参考例4の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例4のリチウムイオン二次電池を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランにCF3SO3Liを溶解して、CF3SO3Liの濃度が1.5mol/Lである参考例5の電解液を製造した。
参考例5の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例5のリチウムイオン二次電池を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランにC4F9SO3Liを溶解して、C4F9SO3Liの濃度が1.5mol/Lである参考例6の電解液を製造した。
参考例6の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例6のリチウムイオン二次電池を製造した。
LiBF4を含有する参考例1の電解液に対して、LiBF4と等モルの(ジフルオロメチル)トリメチルシランを加えて反応液とし、これを室温で12時間撹拌した後に、50℃で8時間撹拌した。反応液を冷却して、LiBF3(CHF2)を濃度1.5mol/Lで含有する参考例7の電解液とした。
参考例7の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例7のリチウムイオン二次電池を製造した。
なお、上記の反応における反応式は以下のとおりである。副生するFSiMe3は低沸点なので反応系外に移動する。
LiBF4+(CHF2)SiMe3 → LiBF3(CHF2)+FSiMe3↑
LiBF4を含有する参考例1の電解液に対して、LiBF4と等モルの(トリフルオロメチル)トリメチルシランを加えて反応液とし、これを室温で12時間撹拌した後に、50℃で8時間撹拌した。反応液を冷却して、LiBF3(CF3)を濃度1.5mol/Lで含有する参考例8の電解液とした。
参考例8の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例8のリチウムイオン二次電池を製造した。
なお、上記の反応における反応式は以下のとおりである。副生するFSiMe3は低沸点なので反応系外に移動する。
LiBF4+(CF3)SiMe3 → LiBF3(CF3)+FSiMe3↑
LiBF4を含有する参考例1の電解液に対して、LiBF4と等モルの(ペンタフルオロエチル)トリメチルシランを加えて反応液とし、これを室温で6時間撹拌した後に、60℃で8時間撹拌した。反応液を冷却して、LiBF3(C2F5)を濃度1.5mol/Lで含有する参考例9の電解液とした。
参考例9の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例9のリチウムイオン二次電池を製造した。
なお、上記の反応における反応式は以下のとおりである。副生するFSiMe3は低沸点なので反応系外に移動する。
LiBF4+(C2F5)SiMe3 → LiBF3(C2F5)+FSiMe3↑
LiBF4を含有する参考例1の電解液に対して、LiBF4と等モルの(ヘプタフルオロプロピル)トリメチルシランを加えて反応液とし、これを室温で6時間撹拌した後に、60℃で8時間撹拌した。反応液を冷却して、LiBF3(C3F7)を濃度1.5mol/Lで含有する参考例10の電解液とした。
参考例10の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例10のリチウムイオン二次電池を製造した。
なお、上記の反応における反応式は以下のとおりである。副生するFSiMe3は低沸点なので反応系外に移動する。
LiBF4+(C3F7)SiMe3 → LiBF3(C3F7)+FSiMe3↑
LiBF4を含有する参考例1の電解液に対して、LiBF4の2倍モルに相当する(トリフルオロメチル)トリメチルシランを加えて反応液とし、これを室温で12時間撹拌した後に、50℃で8時間撹拌した。反応液を冷却して、LiBF2(CF3)2を濃度1.5mol/Lで含有する参考例11の電解液とした。
参考例11の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考例11のリチウムイオン二次電池を製造した。
なお、上記の反応における反応式は以下のとおりである。副生するFSiMe3は低沸点なので反応系外に移動する。
LiBF4+2(CF3)SiMe3 → LiBF2(CF3)2+2FSiMe3↑
フルオロエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比1:9で混合して混合溶媒とした。混合溶媒にLiPF6を混合して、LiPF6の濃度が2mol/Lである参考比較例1の電解液を製造した。
参考比較例1の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考比較例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
テトラヒドロフランにLiBF4を溶解して、LiBF4の濃度が1.5mol/Lである参考比較例2の電解液を製造した。
参考比較例2の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考比較例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
シクロペンチルメチルエーテルにLiBF4を溶解して、LiBF4の濃度が2mol/Lである参考比較例3の電解液を製造した。
参考比較例3の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考比較例3のリチウムイオン二次電池を製造した。
テトラヒドロフランに(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が2mol/Lである参考比較例4の電解液を製造した。
参考比較例4の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考比較例4のリチウムイオン二次電池を製造した。
1,2−ジメトキシエタンに(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が2mol/Lである参考比較例5の電解液を製造した。
参考比較例5の電解液を用いた以外は、参考例1と同様の方法で、参考比較例5のリチウムイオン二次電池を製造した。
各リチウムイオン二次電池に対して、0.2mAで0.01Vまで充電し、0.2mAで1.0Vまで放電を行うとの初回充放電を行った。さらに、各リチウムイオン二次電池に対して、0.5mAで0.01Vまで充電し、0.5mAで1.0Vまで放電を行うとの充放電サイクルを20回繰り返した。
なお、本評価例では、Si含有負極活物質がリチウムを吸蔵する印加を充電といい、Si含有負極活物質がリチウムを放出する印加を放電という。
初期効率(%)=100×(初回放電容量)/(初回充電容量)
容量維持率(%)=100×(20サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)
なお、以下の表において、MTHPとは4−メチルテトラヒドロピランの略称であり、FECとはフルオロエチレンカーボネートの略称であり、DECとはジエチルカーボネートの略称であり、THFとはテトラヒドロフランの略称であり、CPMEとはシクロペンチルメチルエーテルの略称であり、DMEとは1,2−ジメトキシエタンの略称である。
しかしながら、参考例のリチウムイオン二次電池の方が参考比較例1のリチウムイオン二次電池よりも優れた容量維持率を示したことから、参考比較例1のリチウムイオン二次電池においては、SEI被膜がSi含有負極活物質と電解液との直接接触を防止したものの、SEI被膜に含まれるCO3基などの酸化性の成分に因り、Si含有負極活物質が酸化して、劣化したと推定される。
4−メチルテトラヒドロピラン及び1,4−ジオキサンを、体積比70:30で混合して混合溶媒とした。混合溶媒に(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が1mol/Lである実施例1の電解液を製造した。
4−メチルテトラヒドロピラン及び1,4−ジオキサンを、体積比90:10で混合して混合溶媒とした。混合溶媒に(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が1mol/Lである実施例2の電解液を製造した。
実施例2の電解液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
4−メチルテトラヒドロピランに(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が1mol/Lである比較例1の電解液を製造した。
比較例1の電解液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
1,4−ジオキサンに(FSO2)2NLiを溶解して、(FSO2)2NLiの濃度が1mol/Lである比較例2の電解液を製造した。
比較例2の電解液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の電解液につき、以下の条件で、イオン伝導度と、粘度を測定した。結果を表2及び図1に示す。なお、以下の表において、MTHPとは4−メチルテトラヒドロピランの略称であり、DXとは1,4−ジオキサンの略称である。
<イオン伝導度>
白金極を備えたセルに電解液を封入し、25℃、10kHzでの抵抗を測定した。抵抗の測定結果から、イオン伝導度を算出した。測定機器はSolartron 147055BEC(ソーラトロン社)を使用した。
<粘度>
B型粘度計(Brookfield社、DV2T)にて、コーン型スピンドルを用い、スピンドル回転速度20rpm、25℃の条件で測定した。
なお、実施例の電解液は、比較例1の電解液よりも粘度が上昇しているため、イオンの移動が物理的に困難になると予想されるにも関わらず、各実施例の電解液のイオン伝導度が向上していることは非常に興味深い。
実施例1、比較例1及び比較例2のリチウムイオン二次電池に対して、25℃の条件下、0.2mAで4.35Vまで充電し、0.2mAで3.0Vまで放電を行うとの初回充放電を行った。さらに、各リチウムイオン二次電池に対して、25℃の条件下、0.5mAで4.35Vまで充電し、0.5mAで3.0Vまで放電を行うとの充放電サイクルを50回繰り返した。以下の式で、容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=100×(50サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)
以上の結果を表3に示す。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のリチウムイオン二次電池に対して、60℃の条件下、0.2mAで4.35Vまで充電し、0.2mAで3.0Vまで放電を行うとの初回充放電を行った。さらに、各リチウムイオン二次電池に対して、60℃の条件下、0.5mAで4.35Vまで充電し、0.5mAで3.0Vまで放電を行うとの充放電サイクルを30回繰り返した。以下の式で、容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=100×(30サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)
以上の結果を表4に示す。
Claims (5)
- 電解質、アルキル基で置換されていてもよいテトラヒドロピラン、及び、1,4−ジオキサンを含有することを特徴とする電解液。
- 前記アルキル基で置換されていてもよいテトラヒドロピランと前記1,4−ジオキサンの体積比が99:1〜50:50の範囲内である請求項1に記載の電解液。
- 前記アルキル基で置換されていてもよいテトラヒドロピランと前記1,4−ジオキサンの体積比が90:10〜60:40の範囲内である請求項1又は2に記載の電解液。
- 前記電解質として(FSO2)2NLiを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解液。
- 正極、負極、及び、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解液を備える二次電池。
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---|---|---|---|---|
JP2001006733A (ja) * | 1999-06-17 | 2001-01-12 | Mitsubishi Chemicals Corp | リチウム二次電池用電解液及びこれを用いたリチウム二次電池 |
WO2018214971A1 (zh) * | 2017-05-26 | 2018-11-29 | 北京师范大学 | 一种含有醚类化合物的可凝胶化体系及其制备方法和应用 |
-
2019
- 2019-04-18 JP JP2019079311A patent/JP7218663B2/ja active Active
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WO2018214971A1 (zh) * | 2017-05-26 | 2018-11-29 | 北京师范大学 | 一种含有醚类化合物的可凝胶化体系及其制备方法和应用 |
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