JP2020177781A - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性が十分に優れた燃料電池用セパレータを簡単に製造することができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法であって、原料溶液を準備する準備工程と、原料溶液を霧化してミストを生成する霧化工程と、金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態でミストを金属基材の表面に供給することにより、金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する第1成膜工程と、第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態でミストを第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する第2成膜工程と、を備えることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法に関する。
近年、低温における作動が可能であり、かつ、小型軽量化が可能であるといった理由から、固体高分子型燃料電池が、自動車の動力源や家庭用コージェネレーション等に採用されている。そして、例えば、固体高分子型燃料電池を構成する燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜及び電解質膜をアノード側及びカソード側から挟持する電極触媒層から構成される膜電極接合体並びに各電極触媒層の外側に設けられたガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer、以下では「GDL」と略すことがある。)を有する電極体と、ガス拡散層の外側に配されたセパレータと、から構成されている。このような燃料電池用セパレータとしては、ガスや冷却媒体を流す流路用の溝が設けられたものの他、流路が分離されたフラットタイプのセパレータが知られている。燃料電池は、所望の起電力を得るために、燃料電池セルが積層された構造や燃料電池セルが直列に接続された構造を有している。
燃料電池用セパレータは、電気化学反応により生じる電気を集電する役割や、隣接するセル同士を電気的に接続する役割を担うため、導電性に優れていることが求められる。セパレータには、強度等の観点から金属基材を採用することが多いが、金属基材は腐食が生じ易いので、金属基材を採用したセパレータは耐食性が問題となることがある。このため、セパレータに金属基材を採用する場合には、金属基材を導電性に優れ、かつ耐食性に優れた導電性膜で被覆する必要があった。
このような導電性膜で金属基材を被覆したセパレータの製造方法においては、導電性膜である導電性酸化膜の成膜の容易性から、原料溶液を霧化したミストを金属基材の表面に供給することにより、熱により反応させることによって、金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜するミストCVD法が採用されるようになっている。ミストCVD法を採用したセパレータの製造方法としては、例えば、特許文献1に、ミストを120℃〜900℃の範囲内の温度に加熱した金属基材の表面に供給することにより、導電性酸化膜を成膜する方法が記載されている。
特開2017−199535号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたセパレータの製造方法では、ミストCVD法により導電性酸化膜を容易に成膜できるため、セパレータを簡単に製造できるものの、導電性が十分に優れたセパレータを製造することが困難であった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、導電性が十分に優れた燃料電池用セパレータを簡単に製造することができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法であって、導電性酸化膜の前駆体を含む原料溶液を準備する準備工程と、上記原料溶液を霧化してミストを生成する霧化工程と、上記金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記金属基材の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する第1成膜工程と、上記第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する第2成膜工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、導電性が十分に優れた燃料電池用セパレータを簡単に製造することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一例で用いられるミストCVD成膜装置を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一例における第1成膜工程及び第2成膜工程を示す模式図である。 従来の燃料電池用セパレータの製造方法の一例における成膜工程を示す模式図である。 従来の燃料電池用セパレータの製造方法の他の例における成膜工程を示す模式図である。 接触抵抗測定装置を示す概略図である。
以下、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法であって、導電性酸化膜の前駆体を含む原料溶液を準備する準備工程と、上記原料溶液を霧化してミストを生成する霧化工程と、上記金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記金属基材の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する第1成膜工程と、上記第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する第2成膜工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、「ミストCVD法」とは、導電性酸化膜の前駆体を含む原料が水やアルコール等の溶媒に混合された原料溶液を、例えば、超音波を印加する方法等を用いて霧化することで微細な液滴の集合体であるミストを生成し、そのミストを、例えば、キャリアガスにより搬送する方法等を用いて基材の表面に供給し、熱により反応させることによって、基材の表面に導電性酸化膜を成膜する方法を指す。
まず、本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一例を図示して説明する。図1は、本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一例で用いられるミストCVD成膜装置を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法の一例における第1成膜工程及び第2成膜工程を示す模式図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る製造方法の一例で用いられるミストCVD成膜装置100は、溶液容器10と、排気口22が設けられた反応容器20と、溶液容器10及び反応容器20を接続する管路30と、キャリアガス供給源40と、キャリアガス供給源40から溶液容器10に供給するキャリアガスの流量を調整する流量調節弁50と、溶液容器10内に超音波を印加する超音波印加装置60と、反応容器20内を加熱するホットプレート(ヒーター)70と、を備える。
本実施形態に係る製造方法の一例においては、まず、導電性酸化膜の前駆体が塩酸を含む水溶液に混合された原料溶液2を準備し、ミストCVD成膜装置100の溶液容器10内に投入する(準備工程)。
次に、超音波印加装置60が有する超音波振動子(図示せず)を2.4MHzで振動させることにより、その振動を溶液容器10内の原料溶液2に印加することによって、原料溶液2を霧化してミスト2aを生成する(霧化工程)。
次に、反応容器20内に配置された金属基材4をホットプレート70により加熱することで金属基材4の表面4sを350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態において、流量調節弁50を制御することでキャリアガス供給源40から溶液容器10内に供給されるキャリアガス(図示ぜず)の流量を調整することによって、溶液容器10内に生成されたミスト2aをキャリアガスにより管路30を介して反応容器20内における金属基材4の表面4sに搬送する。これにより、図2(a)に示されるように、ミスト2aを熱により反応させることによって、図2(b)に示されるように、金属基材4の表面4sに第1導電性酸化膜6Aを成膜する(第1成膜工程)。
次に、反応容器20内に配置された金属基材4をホットプレート70によりさらに加熱することで第1導電性酸化膜6Aの表面6Asを450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態において、第1成膜工程と同様の方法によって、溶液容器10内に生成されたミスト2aをキャリアガスにより管路30を介して反応容器20内における第1導電性酸化膜6Aの表面6Asに搬送する。これにより、図2(c)に示されるように、ミスト2aを熱により反応させることによって、図2(d)に示されるように、第1導電性酸化膜6Aの表面6Asに第2導電性酸化膜6Bを成膜する(第2成膜工程)。以上により、金属基材4の表面4sに第1導電性酸化膜6A及び第2導電性酸化膜6Bを含む導電性酸化膜6が成膜された燃料電池用セパレータ1を製造する。
ここで、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する従来の燃料電池用セパレータの製造方法の一例及び他の例を説明する。
図3は、従来の燃料電池用セパレータの製造方法の一例における成膜工程を示す模式図である。従来の製造方法の一例では、本実施形態に係る製造方法の一例と同様に、図1に示されるミストCVD成膜装置100が用いられる。従来の製造方法の一例においては、本実施形態に係る製造方法の一例と同様に、まず、原料溶液2を準備し、ミストCVD成膜装置100の溶液容器10内に投入した後に、原料溶液2を霧化してミスト2aを生成する(準備工程及び霧化工程)。次に、反応容器20内に配置された金属基材4をホットプレート70により加熱することで金属基材4の表面4sを450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態において、本実施形態に係る製造方法の一例と同様の方法によって、溶液容器10内に生成されたミスト2aをキャリアガスにより管路30を介して反応容器20内における金属基材4の表面4sに搬送する。これにより、図3(a)に示されるように、ミスト2aを熱により反応させることによって、図3(b)に示されるように、金属基材4の表面4sに導電性酸化膜6を成膜する(成膜工程)。以上により、燃料電池用セパレータ1´を製造する。
従来の製造方法の一例では、成膜工程での金属基材4の表面4sの加熱温度が450℃〜480℃の範囲内の高温である結果として、成膜工程において、図3(b)に示されるように、金属基材4の表面4sに酸化被膜9等が生じることがある。これにより、燃料電池用セパレータ1´の接触抵抗が高くなることがある。
さらに、図4は、従来の燃料電池用セパレータの製造方法の他の例における成膜工程を示す模式図である。従来の製造方法の他の例では、本実施形態に係る製造方法の一例と同様に、図1に示されるミストCVD成膜装置100が用いられる。従来の製造方法の他の例においては、本実施形態に係る製造方法の一例と同様に、まず、原料溶液2を準備し、ミストCVD成膜装置100の溶液容器10内に投入した後に、原料溶液2を霧化してミスト2aを生成する(準備工程及び霧化工程)。次に、反応容器20内に配置された金属基材4をホットプレート70により加熱することで金属基材4の表面4sを350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態において、本実施形態に係る製造方法の一例と同様の方法によって、溶液容器10内に生成されたミスト2aをキャリアガスにより管路30を介して反応容器20内における金属基材4の表面4sに搬送する。これにより、図4(a)に示されるように、ミスト2aを熱により反応させることによって、図4(b)に示されるように、金属基材4の表面4sに導電性酸化膜6を成膜する(成膜工程)。以上により、燃料電池用セパレータ1´を製造する。
従来の製造方法の他の例では、成膜工程での金属基材4の表面4sの加熱温度が350℃〜380℃の範囲内の低温であるために、導電率が低い導電性酸化膜が成膜されることがある。これにより、燃料電池用セパレータ1´の接触抵抗が高くなることがある。
これに対し、本実施形態に係る製造方法の一例では、第1成膜工程での金属基材4の表面4sの加熱温度が350℃〜380℃の範囲内の低温であることにより、金属基材4の表面4sに酸化被膜等が生じることを抑制でき、かつ第2成膜工程での第1導電性酸化膜6Aの表面6Asの加熱温度が450℃〜480℃の範囲内の高温であることにより、導電率が高い第2導電性酸化膜6Bを成膜できる。このため、従来の製造方法と比較して、接触抵抗が低い燃料電池用セパレータ1を製造することができる。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法によれば、上記の一例のように、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する工程として、金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する第1成膜工程と、第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する第2成膜工程とを備え、第1成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が350℃〜380℃の範囲内の低温であり、かつ第2成膜工程での第1導電性酸化膜の表面の加熱温度が450℃〜480℃の範囲内であることにより、金属基材の表面に酸化被膜等が生じることを抑制でき、かつ導電率が高い第2導電性酸化膜を成膜できる。このため、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する従来の製造方法と比較して、接触抵抗が低い燃料電池用セパレータを製造することができる。よって、導電性が十分に優れた燃料電池用セパレータを簡単に製造することができる。
続いて、本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法について、各工程の条件を中心として、詳細に説明する。
1.準備工程
準備工程においては、導電性酸化膜の前駆体を含む原料溶液を準備する。すなわち、導電性酸化膜の前駆体が水溶液に混合された原料溶液を準備する。なお、導電性酸化膜の前駆体は、第1及び第2導電性酸化膜の両方の前駆体であり、原料溶液は第1及び第2導電性酸化膜の両方の成膜に用いられる原料溶液である。
原料溶液は、本実施形態に係る製造方法の一例における原料溶液2のように、塩酸をさらに含むものが好ましい。すなわち、導電性酸化膜の前駆体が塩酸を含む水溶液に混合されたものが好ましい。第1成膜工程において、塩酸をさらに含む原料溶液を霧化して生成したミストを金属基材の表面に供給することになるために、第1導電性酸化膜の成膜と同時に、金属基材の表面に形成された酸化膜等をミストに含まれる塩酸の作用により除去することができる。これにより、接触抵抗がさらに低い燃料電池用セパレータを製造できるからである。
原料溶液が塩酸をさらに含む場合において、原料溶液における塩酸の質量濃度は、特に限定されないが、例えば、3.0質量%以下の範囲内である。原料溶液における塩酸の質量濃度としては、1.7質量%以上3.0質量%以下の範囲内が好ましく、中でも1.7質量%以上2.0質量%以下の範囲内、特に1.7質量%以上1.8質量%以下の範囲内が好ましい。塩酸の質量濃度が低過ぎると、金属基材の表面に形成された酸化膜等を効果的に除去できなくなるおそれがあり、結晶性が良好な第1及び第2導電性酸化膜を成膜できなくなるおそれからである。また、塩酸の質量濃度が高過ぎると、第1及び第2導電性酸化膜の結晶性が変化し、その導電率が低下するおそれがあるからである。
原料溶液は、塩酸に加えて、硝酸をさらに含むものが好ましい。すなわち、導電性酸化膜の前駆体が塩酸及び硝酸を含む水溶液に混合されたものが好ましい。塩酸に加え、硝酸をさらに含む原料溶液では、塩酸及び硝酸の反応により王水が生成すること等が理由となり、金属基材の表面に形成された酸化膜等をより効果的に除去できるからである。また、第1及び第2導電性酸化膜の結晶性を向上できるからである。
原料溶液が硝酸をさらに含む場合において、原料溶液における塩酸の質量濃度に対する硝酸の質量濃度の比率は、特に限定されないが、例えば、0.4以上3.6以下の範囲内であり、中でも1.8以上3.6以下の範囲内が好ましく、特に1.8以上2.8以下の範囲内が好ましい。具体的には、例えば、塩酸の質量濃度が1.7質量%である場合には、硝酸の質量濃度は、例えば、0.7質量%以上6.0質量%以下の範囲内であり、中でも3.1質量%以上6.0質量%以下の範囲内が好ましく、特に3.1質量%以上4.6質量%以下の範囲内が好ましい。硝酸の質量濃度の比率が低過ぎると、金属基材の表面に形成された酸化膜等をより効果的に除去できなくなるおそれがあるからである。また、硝酸の質量濃度の比率が高過ぎると、不要な膜の除去効果が向上しなくなるからであり、第1及び第2導電性酸化膜の結晶性が変化し、それらの導電率が低下するおそれがあるからである。
導電性酸化膜の前駆体は、第1及び第2導電性酸化膜を成膜可能な材料であれば特に限定されないが、金属元素を含有するものが好ましい。
金属元素としては、特に限定されないが、例えば、Sn、Ti、Al、Zr、Zn、In、及びGa等からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。中でも、Sn、Ti、及びAl等が好ましく、特にSn等が好ましい。金属元素は、例えば、ハロゲン化物等の塩又は錯体等の形態で塩酸を含む水溶液に混合される。このため、金属元素がSnである場合には、例えば、塩化スズ(SnCl、SnCl)の形態で塩酸を含む水溶液に混合される。
原料溶液における金属元素の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.02mol/L〜5.0mol/Lの範囲内が好ましく、中でも0.02mol/L〜1.0mol/Lの範囲内が好ましい。低過ぎると結晶成長に時間がかかり過ぎるからであり、高過ぎると溶解させるための塩酸量及び硝酸量が多くなり結晶性が悪くなる可能性があるからである。
導電性酸化膜の前駆体は、金属元素に加えて、さらにドーパントを含有するものが好ましい。ドーパントとしては、特に限定されないが、例えば、Sb、Nb、F、Bi、Se、Te、Cl、Br、I、V、P、及びTaからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。中でもSb等が好ましい。ドーパントは、例えば、ハロゲン化物等の塩又は錯体等の形態で塩酸を含む水溶液に混合される。このため、ドーパントがSbである場合には、例えば、塩化アンチモン(SbCl、SbCl)の形態で塩酸を含む水溶液に混合される。
原料溶液におけるドーパントの濃度は、特に限定されないが、例えば、0.0014mol/L〜0.35mol/Lの範囲内が好ましく、中でも0.0014mol/L〜0.07mol/Lの範囲内が好ましい。導電率が良好な第1及び第2導電性酸化膜を成膜できるからである。
2.霧化工程
霧化工程においては、上記原料溶液を霧化してミストを生成する。なお。「ミスト」とは、微細な液滴の集合体である。
原料溶液を霧化してミストを生成する方法は、特に限定されないが、例えば、図1に示されるようなミストCVD成膜装置を用い、原料溶液を溶液容器内に投入した後に、例えば、超音波印加装置が有する超音波振動子を2.4MHzで振動させることにより、その振動を溶液容器内の原料溶液に印加することによって、原料溶液を霧化してミストを生成する方法等が挙げられる。
ミストに含有される微細な液滴のサイズは、特に限定されず、ミストCVD法における一般的なサイズを用いることができるが、例えば、数mm以下の範囲内であり、中でも50μm以下の範囲内が好ましく、特に1μm〜10μmの範囲内が好ましい。なお、「ミストに含有される微細な液滴のサイズ」とは、粒子径分布における累積50%粒子径を意味し、例えば、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置を使用して測定される。
3.第1成膜工程
第1成膜工程においては、上記金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記金属基材の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記金属基材の表面に上記第1導電性酸化膜を成膜する。
ここで、「金属基材の表面」とは、金属基材の外面を意味し、金属基材の一方の主面でもよいし、金属基材の他方の主面でもよい。
(1)金属基材
金属基板の材料は、特に限定されず、一般的に燃料電池用セパレータに用いられる材料を用いることができるが、例えば、鉄、チタン、アルミニウム、銅、若しくはマグネシウム等の金属、又は鉄合金、チタン合金、アルミニウム合金、銅合金、若しくはマグネシウム合金等の合金が好ましく、中でも、鉄又はステンレス若しくは鉄ニッケル合金等の鉄合金が好ましく、特にステンレスが好ましい。導電性、強度、及び加工性に優れているからである。
なお、ステンレスとしては、例えば、SUS304若しくはSUS316等のオーステナイト系ステンレス、SUS430等のフェライト系ステンレス、又はSUS420等のマルテンサイト系ステンレス等が挙げられる。
金属基板の形状は、一般的に燃料電池用セパレータを構成する金属基板の形状であれば、特に限定されず、金属基板の表面にセパレータの流路用の溝が設けられた形状でもよいし、金属基板の表面にセパレータの流路用の溝が設けられていない平板形状でもよい。なお、金属基板は、平板形状である場合、例えば、流路が分離されたフラットタイプのセパレータを構成する。金属基板の形状としては、金属基板の表面にセパレータの流路用の溝が設けられた形状が好ましい。金属基板の表面におけるセパレータの流路用の溝が設けられた箇所に導電性酸化膜を形成する場合には、特にガス供給性及び生成水の排水性向上といった利点があるからである。
金属基板の厚さは、特に限定されず、強度及び加工等を考慮し、金属基板の材料に応じて設定することができるが、ステンレスを用いる場合には、例えば、0.1mm〜1mmの範囲内である。
(2)ミストの供給方法
ミストを金属基材の表面に供給する方法は、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる方法を用いることができるが、例えば、図1に示されるようなミストCVD成膜装置を用い、例えば、流量調整弁を制御することで、キャリアガス供給源から溶液容器内に供給されるキャリアガスの流量を調整することによって、溶液容器内に生成されたミストをキャリアガスにより管路を介して反応容器内の金属基材の表面に搬送する方法等が挙げられる。
このような方法におけるキャリアガスの種類は、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる種類を用いることができるが、酸素、オゾン、空気、窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス、又は水素ガス等の還元性ガス等が挙げられる。キャリアガスとしては、1種類のガスを用いてもよいし、2種類以上の混合ガスを用いてもよい。
キャリアガスの流量は、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる流量を用いることができるが、例えば、0.1L/分〜20L/分の範囲内が好ましい。なお、金属基材の表面に供給するミストの濃度は、例えば、キャリアガスの流量により調整することができる。
(3)第1導電性酸化膜の成膜方法
金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態でミストを金属基材の表面に供給することにより、ミストを熱により反応させることによって、金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する方法としては、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる方法を用いることができるが、例えば、図1に示されるようなミストCVD成膜装置を用い、反応容器内に配置された金属基材をホットプレートにより加熱することで金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送することにより、ミストを熱により反応させることによって、金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する方法等が挙げられる。
このような方法における金属基材の表面の加熱温度は、350℃〜380℃の範囲内の温度であれば特に限定されないが、中でも350℃〜370℃の範囲内が好ましい。金属基材の表面に酸化被膜等が生じることを効果的に抑制できるからである。
第1導電性酸化膜は、特に限定されないが、金属元素を含有する導電性金属酸化膜が好ましい。導電性金属酸化膜としては、例えば、Sn、Ti、Al、Zr、Zn、In、及びGa等からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素の酸化物から構成される膜が挙げられる。中でも、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、アルミナ(Al)等から構成された膜が好ましく、特に、酸化スズ等から構成された膜が好ましい。
導電性金属酸化膜としては、例えば、Sb、Nb、F、Bi、Se、Te、Cl、Br、I、V、P、及びTa等からなる群から選択される少なくとも1種のドーパントを含有するものが好ましい。中でも、酸化スズ(SnO)にSbがドーピングされたアンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が好ましい。
第1導電性酸化膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm〜50nmの範囲内が好ましい。この範囲の下限以上であることにより第1導電性酸化膜の導電率を良好なものにすることができ、この範囲の上限以下であることにより第1導電性酸化膜の製造コストが抑えることができるからである。
第1導電性酸化膜の厚さは、金属基材の表面に供給するミストの濃度又は成膜時間等を制御することにより調整することができる。
4.第2成膜工程
第2成膜工程においては、上記第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態で上記ミストを上記第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、上記ミストを熱により反応させることによって、上記第1導電性酸化膜の表面に上記第2導電性酸化膜を成膜する。
ミストを第1導電性酸化膜の表面に供給する方法は、ミストを金属基材の表面ではなく第1導電性酸化膜の表面に供給する点を除き、上記「3.第1成膜工程 (2)ミストの供給方法」に記載されたミストを金属基材の表面に供給する方法と同様であるため、ここでの説明を省略する。
第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態でミストを第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、ミストを熱により反応させることによって、第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する方法としては、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる方法を用いることができるが、例えば、図1に示されるようなミストCVD成膜装置を用い、反応容器内に配置された金属基材をホットプレートにより加熱することで第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送することにより、ミストを熱により反応させることによって、第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する方法等が挙げられる。
このような方法における第1導電性酸化膜の表面の加熱温度は、450℃〜480℃の範囲内の温度であれば特に限定されないが、中でも460℃〜480℃の範囲内が好ましい。導電率が中でも高い第2導電性酸化膜を成膜できるからである。
第2導電性酸化膜は、特に限定されないが、第1導電性酸化膜と同様に、金属元素を含有する導電性金属酸化膜が好ましい。導電性金属酸化膜については、上記「3.第1成膜工程 (3)第1導電性酸化膜の成膜」に記載された導電性金属酸化膜と同様であるため、ここでの説明を省略する。
第2導電性酸化膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、100nm〜500nmの範囲内が好ましい。この範囲の下限以上であることにより第2導電性酸化膜の導電率を良好なものにすることができ、この範囲の上限以下であることにより第2導電性酸化膜の製造コストが抑えることができるからである。
第2導電性酸化膜の厚さは、第1導電性酸化膜の表面に供給するミストの濃度又は成膜時間等を制御することにより調整することができる。
5.燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法である。具体的には、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜として第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法である。
燃料電池用セパレータの製造方法としては、特に限定されるものではなく、金属基材の一方の主面及び他方の主面のどちらかに第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜を成膜するものでもよいし、金属基材の両方の主面に第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜を成膜するものでもよいが、金属基材の両方の主面に第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜を成膜するものが好ましい。燃料電池用セパレータの両方の主面側で接触抵抗を低下できるからである。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法により製造される燃料電池用セパレータは、金属基材と、金属基材の表面に順番に積層された第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜とを備えるものである。
燃料電池用セパレータの接触抵抗は、特に限定されないが、10mΩ・cm以下が好ましく、中でも5mΩ・cm以下が好ましい。燃料電池用セパレータの導電性が所望の導電性となるからである。
ここで、「燃料電池用セパレータの接触抵抗」とは、例えば、燃料電池用セパレータにおける第2導電性酸化膜の表面にGDL(東レ製TGP−H−060)を重ね合わせ、燃料電池用セパレータ及びGDLを挟む金メッキ済みの銅ブロックにより、燃料電池用セパレータ及びGDLに対し、重ね合わせた方向に荷重1MPaを加えた状態において、銅ブロック間に1Aの電流を流した時の燃料電池用セパレータ及びGDLの間に加わる電圧を測定して、算出した値を指す。
燃料電池用セパレータは、特に限定されないが、例えば、ガスや冷却媒体を流す流路用の溝が設けられたセパレータ、流路が分離されたフラットタイプのセパレータ等が挙げられる。燃料電池用セパレータの用途は、本発明の作用効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、固体高分子型燃料電池等が挙げられる。
6.燃料電池用セパレータの製造装置
燃料電池用セパレータの製造方法に用いられる製造装置は、特に限定されず、一般的にミストCVD法に用いられる製造装置を用いることができるが、例えば、図1に示されるようなミストCVD成膜装置等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法をさらに、具体的に説明する。
[比較例1]
まず、ステンレス(SUS304)が用いられた金属基材を準備した。次に、原料溶液における塩酸及び硝酸の質量濃度がそれぞれ1.6質量%及び3.1質量%なるように、塩酸、硝酸、及び純水を混合することで調整された水溶液(110mL)に、SnCl及びSbClを、Snの濃度が0.07mol/L、Sbの濃度が0.0014mol/Lとなるように混合することにより、原料溶液を作製した(準備工程)。
続いて、東芝三菱産業システム株式会社製ミストCVD成膜装置を用い、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜した。
具体的には、まず、原料溶液を溶液容器内に投入した後に、超音波振動子を2.4MHzで振動させることにより、その振動を溶液容器内の原料溶液に印加することによって、原料溶液を霧化してミストを生成した(霧化工程)。
次に、反応容器内に配置された金属基材をホットプレートにより加熱することで金属基材の表面を350℃に加熱した状態において、流量調節弁を制御することでキャリアガス供給源から溶液容器内に供給されるキャリアガス(図示ぜず)の流量を調整することによって、溶液容器内に生成されたミストをキャリアガスにより管路を介して反応容器内における金属基材の表面に搬送した(成膜工程)。これにより、ミストを熱により反応させることによって、金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜した。この際、キャリアガスとして窒素を用い、キャリアガスの流量を7L/分に設定し、成膜時間を10分とした。
以上により、燃料電池用セパレータの試験体を製造した。導電性酸化膜は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)から構成され、厚さが300nmの膜となった。
[比較例2]
成膜工程において、金属基材の表面を370℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、比較例1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[比較例3]
成膜工程において、金属基材の表面を380℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、比較例1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[比較例4]
成膜工程において、金属基材の表面を450℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、比較例1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[比較例5]
成膜工程において、金属基材の表面を460℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、比較例1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[比較例6]
成膜工程において、金属基材の表面を480℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、比較例1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[比較例の導電性評価]
比較例1〜6の試験体について、導電性酸化膜の導電率[S/cm]及び接触抵抗[mΩ・cm]を求めた。図5は、接触抵抗測定装置を示す概略図である。
具体的には、導電性酸化膜の導電率は、試験体と同一の条件でガラス基材(平岡特殊硝子製作株式会社製)の表面に導電性酸化膜を成膜した上で、その導電性酸化膜について、厚さを実測するとともに、表面抵抗率測定装置(三菱化学株式会社製ロレスター)を用いて表面抵抗率[Ω/□]を測定して、算出した。
接触抵抗は、図5に示される接触抵抗測定装置を使用して、試験体における導電性酸化膜の表面にGDL(東レ製TGP−H−060)を重ね合わせ、試験体及びGDLを挟む金メッキ済みの銅ブロックにより、試験体及びGDLに対し重ね合わせた方向に荷重1MPaを加えた状態において、銅ブロック間に1Aの電流を流した時の試験体及びGDLの間に加わる電圧を測定して、算出した。
下記表1に、比較例1〜6における成膜工程での金属基材の表面の加熱温度並びに比較例1〜6の試験体における導電性酸化膜の導電率及び接触抵抗を示す。
上記表1に示されるように、比較例1〜3では、導電性酸化膜の導電率が低くなり、接触抵抗が高くなった。これは、成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が350℃〜380℃の範囲内の低温であったために、導電率が低い導電性酸化膜が成膜されためと考えられる。一方、比較例4〜6では、導電性酸化膜の導電率が高くなり、接触抵抗が低くなったものの、接触抵抗が10mΩ・cmを超えるものがあった。これは、成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が450℃〜480℃の範囲内の高温であったために、導電率が高い導電性酸化膜が成膜されたものの、成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が高温である結果として、成膜工程において、金属基材の表面に酸化被膜等が生じたためと考えられる。
[実施例1−1]
まず、比較例1と同様に金属基材を準備した。次に、比較例1と同様に原料溶液を作製した(準備工程)。
続いて、東芝三菱産業システム株式会社製ミストCVD成膜装置を用い、ミストCVD法を用いて金属基材の表面に第1導電性酸化膜及び第2導電性酸化膜を順に成膜した。
具体的には、まず、比較例1と同様に原料溶液を霧化してミストを生成した(霧化工程)。
次に、反応容器内に配置された金属基材をホットプレートにより加熱することで金属基材の表面を350℃に加熱した状態において、流量調節弁を制御することでキャリアガス供給源から溶液容器内に供給されるキャリアガス(図示ぜず)の流量を調整することによって、溶液容器内に生成されたミストをキャリアガスにより管路を介して反応容器内における金属基材の表面に搬送した(第1成膜工程)。これにより、ミストを熱により反応させることによって、金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜した。この際、キャリアガスとして窒素を用い、キャリアガスの流量を7L/分に設定し、成膜時間を1分とした。
次に、反応容器内に配置された金属基材をホットプレートによりさらに加熱することで第1導電性酸化膜の表面を450℃に加熱した状態において、第1成膜工程と同様の方法によって、溶液容器内に生成されたミストをキャリアガスにより管路を介して反応容器内における第1導電性酸化膜の表面に搬送した(第2成膜工程)。これにより、ミストを熱により反応させることによって、第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜した。この際、キャリアガスとして窒素を用い、キャリアガスの流量を7L/分に設定し、成膜時間を5分とした。
以上により、燃料電池用セパレータの試験体を製造した。第1導電性酸化膜は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)から構成され、厚さが30nmの膜となり、第2導電性酸化膜は、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)から構成され、厚さが300nmの膜となった。
[実施例1−2]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を460℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例1−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例1−3]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を480℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例1−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例2−1]
第1成膜工程において、金属基材の表面を370℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、実施例1−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例2−2]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を460℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例2−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例2−3]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を480℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例2−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例3−1]
第1成膜工程において、金属基材の表面を380℃に加熱した状態において、ミストを金属基材の表面に搬送したことを除いて、実施例1−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例3−2]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を460℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例3−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例3−3]
第2成膜工程において、第1導電性酸化膜の表面を480℃に加熱した状態において、ミストを第1導電性酸化膜の表面に搬送したことを除いて、実施例3−1と同様に燃料電池用セパレータの試験体を製造した。
[実施例の導電性評価]
実施例1−1〜3−3の試験体について、接触抵抗[mΩ・cm]を求めた。具体的には、接触抵抗は、図5に示される接触抵抗測定装置を使用して、試験体における第2導電性酸化膜の表面にGDL(東レ製TGP−H−060)を重ね合わせ、試験体及びGDLを挟む金メッキ済みの銅ブロックにより、試験体及びGDLに対し、重ね合わせた方向に荷重1MPaを加えた状態において、銅ブロック間に1Aの電流を流した時の試験体及びGDLの間に加わる電圧を測定して、算出した。
下記表2に、実施例1−1〜3−3における第1成膜工程での金属基材の表面の加熱温度及び第2成膜工程での第1導電性酸化膜の表面の加熱温度、並びに実施例1−1〜3−3の試験体における接触抵抗を示す。
上記表2に示されるように、実施例1−1〜3−3のいずれにおいても、接触抵抗が10mΩ・cm以下になった。これは、第1成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が350℃〜380℃の範囲内の低温であることにより、金属基材の表面に酸化被膜等が生じることを抑制でき、かつ第2成膜工程での第1導電性酸化膜の表面の加熱温度が450℃〜480℃の範囲内の高温であることにより、導電率が高い第2導電性酸化膜を成膜できたことによるものであると考えられる。また、実施例の中でも実施例1−2及び1−3並びに実施例2−2及び2−3においては、接触抵抗が5mΩ・cm以下になった。これは、第1成膜工程での金属基材の表面の加熱温度が350℃〜370℃の範囲内であり、かつ第2成膜工程での第1導電性酸化膜の表面の加熱温度が460℃〜480℃の範囲内であることにより、上記作用が効果的となったためと考えられる。
以上、本発明に係る燃料電池用セパレータの製造方法の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
2 原料溶液
2a ミスト
4 金属基材
6A 第1導電性酸化膜
6B 第2導電性酸化膜

Claims (1)

  1. ミストCVD法を用いて金属基材の表面に導電性酸化膜を成膜する燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    導電性酸化膜の前駆体を含む原料溶液を準備する準備工程と、
    前記原料溶液を霧化してミストを生成する霧化工程と、
    前記金属基材の表面を350℃〜380℃の範囲内の温度に加熱した状態で前記ミストを前記金属基材の表面に供給することにより、前記ミストを熱により反応させることによって、前記金属基材の表面に第1導電性酸化膜を成膜する第1成膜工程と、
    前記第1導電性酸化膜の表面を450℃〜480℃の範囲内の温度に加熱した状態で前記ミストを前記第1導電性酸化膜の表面に供給することにより、前記ミストを熱により反応させることによって、前記第1導電性酸化膜の表面に第2導電性酸化膜を成膜する第2成膜工程と、
    を備えることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
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