JP2020176609A - エンジンの制御方法および制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの熱損傷を防止しつつ、燃費悪化を防止あるいは抑制する。【解決手段】GPF33(パティキュレートフィルタ)での煤の捕集量が、異常判定しきい値(SLM3)を超えたときは、GPFの再生制御が禁止され、燃料カットが禁止され、EGRが実行される。煤の捕集量の推定に際しては、GPF33の上流と下流との差圧に基づいて推定するのが好ましい。すなわち、各検出差圧について、所定の重み特性から重み値を決定すると共に重み値の積算値を算出し、重み値の積算値が所定値に達したタイミングにおいて、重み値で重み付けされた各重み付け差圧についての移動平均値に基づいて煤の捕集量を決定するのが好ましい。【選択図】 図4

Description

本発明は、エンジンの制御方法および制御装置に関するものである。
エンジンにおいては、排気ガス中の煤(微粒状物質=パティキュレート)を除去するために、排気通路にパティキュレートフィルタを配設して、排気ガス中の煤を捕集することが行われている。そして、パティキュレートフィルタで捕集した煤量が所定値以上になると、パティキュレートフィルタの再生(例えば燃料のポスト噴射やリタード噴射)が行われる。
パティキュレートフィルタは、その再生を繰り返すことにより徐々に劣化するものである。この劣化は、再生時に高熱を受けて部分的に熱損傷することにより生じ、劣化が進行すると、煤を十分に捕集できなくなる異常状態(故障状態)となる。
特許文献1には、パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧に基づいてパティキュレートフィルタの異常(故障)判定を行うものが開示されている。特許文献2には、パティキュレートフィルタ(DPF)の異常判定を、パティキュレートフィルタ下流の排気ガス圧力に対して所定の重み付けを行った値を用いて行うことが開示されている。
特開2011−220233号公報 特開2004−308454号公報
ところで、エンジンにおいては、減速時に燃料カットが行われるのが通常である。燃料カットが行われた際には、排気ガス中の酸素濃度が高まることから、排気通路に配設されたパティキュレートフィルタが自然再生されると共に、自然再生に伴ってパティキュレートフィルタの温度が上昇される。そして、煤の捕集量が多いほど、燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの温度上昇度合いが大きくなる。
上述のように、燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの温度上昇によって、パティキュレートフィルタが極めて高温になって、熱損傷を生じる限界温度以上になってしまう可能性がある。特に、ガソリンを燃料とするエンジンにおいては、パティキュレートフィルタ自体の温度が相当に高温になることから、燃料カットに伴う温度上昇によって、熱損傷されてしまう限界温度を超える可能性が極めて高くなる。
燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの熱損傷を防止するために、煤の捕集量が多い状態での燃料カットを禁止することが考えられる。燃料カットを禁止すると、煤の自然再生がされにくくなり、煤の捕集量を低下させることが困難になる。従って、一度燃料カットを禁止すると、その後燃料カットを許可することが困難になる。この場合、パティキュレートフィルタの異常を解消するまでの間、常に燃料カットが禁止され続けることになり、燃費悪化の問題が大きくなる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの熱損傷を防止しつつ、燃費悪化を防止あるいは抑制できるようにしたエンジンの制御方法および制御装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明らは、燃費を向上させる方法として、パティキュレートフィルタの下流の排気通路の排気ガスを吸気通路に環流させるEGRガスの導入を検討した。一般に、煤の捕集量が多いときにはパティキュレートフィルタの煤の燃焼量が多く、パティキュレートフィルタの熱損傷リスクが高い。排気ガス温度が比較的高温のガソリンエンジンにおいては、パティキュレートフィルタに多量の空気が導入されると多くの煤が急速に燃焼するためパティキュレートフィルタの温度が急上昇し、パティキュレートフィルタが短時間のうちに熱損傷に至るおそれがある。このときに、パティキュレートフィルタ下流の排気ガスを吸気通路に環流させるEGRガスを導入していると、パティキュレートフィルタの熱損傷が生じた後、多量の煤が吸気通路に環流されて、吸気系の部品等に煤が堆積し、これら部品等が正常に作動きなくなるおそれがある。そのため、煤の捕集量が多いときにはEGRガスの導入は難しいと考えられていた。しかし、本発明らは、煤の捕集量が多い場合においても、燃料カットが禁止されていれば、パティキュレートフィルタが熱損傷する量の空気がパティキュレートフィルタに導入されるエンジン状態にはならないと考え、様々な運転条件や環境条件下で、その検証を行い、EGRガス環流による吸気系部品等の故障リスクは極めて小さいことを確認した。
本発明は、上記したような知見に基づいてなされたものである。具体的には、本発明における異常判定方法にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタでの煤の捕集量を推定し、
前記推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定しきい値以下でかつ所定の燃料カット条件が成立したときには、燃料カットを実行し、
前記推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定しきい値を超えたときは、前記所定の燃料カット条件が成立したときでの燃料カットを制限すると共に、前記パティキュレートフィルタ下流側の排気通路からの排気ガスを吸気通路へ環流させるEGRを実行する、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、パティキュレートフィルタでの煤の捕集量が異常判定しきい値を超えているときは、燃料カットによる温度上昇によって熱損傷される可能性が高くなるが、このときは燃料カットを禁止することにより、パティキュレートフィルタが熱損傷されてしまう事態を防止することができる。また、燃料カット禁止により燃費が悪化することになるが、EGRを実行することにより熱効率を向上させて、燃費悪化を防止あるいは抑制することができる。さらに、EGR実行により、その分排気ガス中の酸素濃度を低下させて自然再生を防止あるいは抑制して、パティキュレートフィルタの温度上昇を防止あるいは抑制する上でも好ましいものとなる。なお、パティキュレートフィルタの熱損傷が問題とならない煤の捕集量が異常判定しきい値以下のときは、燃料カット条件が成立したのに応じて燃料カットを行うので、燃費の点で問題のないものとなる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満のときは、前記EGRを制限する、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、燃料カットが許容される煤の捕集量が少ないときにあらかじめEGRを制限しておくことにより、燃料カットが禁止される煤の捕集量が多くなったときに備えることができる。
前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、前記パティキュレートフィルタの再生制御を実行すると共に、前記EGRを禁止する、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、再生制御によって煤の捕集量を低減できるようにしつつ、EGRを禁止しておくことにより、燃料カットが禁止される煤の捕集量が多くなったときのEGR実行に備えることができる。
前記煤の捕集量の推定が、前記パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧を検出して、該検出された各差圧についてエンジンの運転状態に応じて設定された重み特性から重み値を決定すると共に該決定された重み値でもって重み付けされた重み付け差圧を算出して、該重み値の積算値が所定値となった時点での該重み付け差圧の移動平均値に基づいて行われる、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、重み値を利用して、精度よく煤の捕集量を推定することができる。
燃料カット時には、前記重み値の積算値および重み付け差圧の移動平均値がリセットされる、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、燃料カットに伴う自然再生による差圧の変化(低下)がノイズとなるが、このノイズに影響されることなく煤の捕集量を精度よく推定することができる。
エンジンが、ガソリンを燃料として、少なくとも一部の運転領域で燃焼室中の全ガスと燃料との重量比となるG/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うG/FリーンCI燃焼モードでの燃焼が行われるものとされている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、G/FリーンCI燃焼モードでの燃焼を行うようにして、燃費向上等の上で好ましいものとなる。
前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、前記EGRを禁止すると共に、前記G/FリーンCI燃焼モードでの燃焼を禁止する、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、EGRが禁止されるのに対応して、EGRを前提としたG/FリーンCI燃焼モードでの燃焼を行わないようにすることができる。
前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、エンジンの燃焼モードとして空燃比A/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うA/FリーンCI燃焼モードが許容される、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、EGRが禁止されるときは、EGRを前提としないA/FリーンCI燃焼モードで燃焼を行って、燃費向上の上で好ましいものとなる。
前記目的を達成するため、本発明における異常判定装置にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項9に記載のように、
エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタと、
エンジンの気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
パティキュレートフィルタ下流側のエンジン排気通路とエンジンの吸気通路とを接続するEGR通路および該EGR通路に設けられたEGR弁を有するEGR装置と、
前記燃料噴射弁と前記EGR弁に接続され、該燃料噴射弁と該EGR弁に制御信号を出力する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定用しきい値以下でかつ所定の燃料カット条件が成立したときには、前記燃料噴射弁による燃料噴射を停止する一方、該の燃料カット条件が成立したときであっても、推定したパティキュレートフィルタによる煤の捕集量が該異常判定用しきい値を超えたときは、前記燃料噴射の停止を制限すると共に、前記EGR弁を開弁させる制御を行う、
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1に記載の異常判定方法を実行するための装置を提供することができる。
本発明によれば、燃料カットに伴うパティキュレートフィルタの熱損傷を防止しつつ、燃費悪化を防止あるいは抑制できる。
本発明が適用されたエンジンの全体系統例を示す図。 本発明の制御系等例をブロック図的に示す図。 煤の堆積量に応じた再生制御の一例を簡略的に示す図。 煤の堆積量に応じた再生制御の一例を示すフローチャート。 SPCCI燃焼を行ったときの燃焼状況を示す図。 冷却水温度の相違に応じた運転領域の区分け例を示す図。 暖機時において区分けされた各運転領域においてスワール弁および過給機の作動状態を示す図。 図7の黒丸で示す複数の運転状態に対応した燃料噴射態様と点火時期と燃焼形態とを示す図。 冷却水温度に応じた排気絞り弁の開度変更例を示す特性図。 排気ガス流量に応じてGPFの上流側と下流側との差圧が変化する様子を示す図。 GPFの異常判断を行っている状況を示すタイムチャート。 煤の捕集量を推定するための制御例を示すフローチャート。 燃料カット禁止領域の設定例を示す図。
(全体の概要)
図1において、Eはエンジン(エンジン本体)であり、図1はある1つの気筒に着目した断面図となっている。そして、エンジンEは、ガソリン等を燃料とする直列4気筒の4サイクルエンジンとされている。
図1中、1はシリンダ、2はシリンダヘッド、3はシリンダ1内に摺動自在に嵌合されたピストンである。ピストン3は、図示を略すコンロッドを介して、クランクシャフト4と連動されている。
シリンダ1とシリンダヘッド2とピストン3とにより、ピストン3の上方空間に燃焼室5が構成されている。この燃焼室5には、吸気ポート6および排気ポート7が開口されている。そして、吸気ポート6は吸気弁8により開閉され、排気ポート7は排気弁9により開閉される。
シリンダヘッド2には、燃焼室5の略中央部において、点火プラグ10、燃料噴射弁11および筒内の圧力を検出する圧力センサ12が配設されている。実施形態では、エンジンEは、1つの気筒について、2個の吸気ポート6(吸気弁8)と2個の排気ポート7(排気弁9)とを有する4弁式とされている。2個の吸気弁8同士はクランクシャフト4の軸線方向に間隔をあけて配設され、同様に2個の排気弁9もクランクシャフト4の軸線方向に間隔をあけて配設されている。
クランクシャフト4に対して、ベルト13を介して、ISG14が連動されている。ISG14は、スタータモータと発電機(オルタネータまたはジェネレータ)とを兼用した機器である。すなわち、イグニッションスイッチがオンされた際に、ISG14を駆動することによりエンジンEを始動させる。また、走行中において、例えば減速時にはISG14により発電を行って回生を行う(回生エネルギは、バッテリやキャパシタ等の充電に用いたり、各種の電気機器類への供給用とされる)。
吸気ポート6には、吸気通路20が接続されている。吸気通路20には、その上流側から下流側へ順次、エアクリーナ21、スロットル弁22、機械式の過給機(スーパチャージャ)23、インタークーラ24が配設されている。なお、25は、過給機23を駆動するモータである。吸気通路20に対して、バイパス通路26が接続されている。バイパス通路26の上流側端は、スロットル弁22と過給機23との間において吸気通路20に開口されている。また、バイパス通路26の下流側端は、インタークーラ24の下流側において吸気通路20に開口されている。そして、バイパス通路26には、バイパス弁27が配設されている。
吸気ポート6は、タンブルポートされている。そして、吸気通路20には、吸気ポート6の直上流側において、スワール弁56が配設されている。このスロットル弁56を制御することにより、燃焼室5内でのスワールの強さが調整(変更)可能とされている。
排気ポート7には、排気通路30が接続されている。排気通路30の上流側端部は、各気筒共通の排気マニホールド31によって構成されている。排気通路30には、排気マニホールド31よりも下流側において、上流側から下流側は向けて順次、排気絞り弁36、排気ガス流量センサ37、小容量の第1三元触媒32、温度センサ38、GPF(パティキュレートフィルタ)33、大容量の第2三元触媒34が配設されている。GPF33は、排気ガス中の微粒子を捕集するものである。そして、それぞれ後述するように、GPF33の直上流側と直下流側との圧力差を検出する圧力センサ35での検出差圧に基づいて、GPF33に堆積した煤量を検出するようになっている。また、圧力センサ35での検出差圧に基づいて、GPFの故障判定を行うようになっている。また、温度センサ38によって、GPF33の入り口側の温度が検出される。
吸気通路20と排気通路30とは、EGR通路40を介して接続されている。EGR通路40の上流側端は、GPF33と第2三元触媒34との間の排気通路30に開口されている。EGR通路40の下流側端は、バイパス通路26のうちバイパス弁27の上流側に開口されている。そして、EGR通路40には、その上流側から下流側へ順次、EGRクーラ41、EGR弁42が配設されている。
上記のようなエンジンEは、ガソリンを燃料として、所定の運転領域(例えばアクセル開度が所定開度以下でかつエンジン回転数が所定回転数以下の領域)において極めてリーンな空燃比(例えば空燃比が30程度)でもって圧縮自己着火されるようになっている(実施形態では、点火プラグ10の着火により生じる火種を利用して自己着火を促進させる火花点火制御式自己着火)。そして、上記所定の運転領域以外では、通常のガソリンエンジンと同様に、点火プラグ10の着火による火花点火式でもって燃焼を行うようになっている(空燃比は主として理論空燃比付近)。このため、エンジンEの幾何学的圧縮比が通常のガソリンエンジンに比して相当に高く設定されている(例えば幾何学的圧縮比が18以上で、有効圧縮比が16以上)。なお、圧縮自己着火の燃焼形態については後に詳述する。
過給機23は、上述した圧縮自己着火を行う際に要求される多量の空気量を確保するために作動されるようになっており、このときはバイパス弁27が閉じられる。一方、火花点火による着火を行う運転領域では、過給機23の作動が停止されると共にバイパス弁27が開かれる。
図2は、本発明の制御系等例を示すものである。図中、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、各種演算を行うCPUの他、メモリM1、燃料噴射学習量参照モジュールM2を有している。
コントローラUは、後述する制御のために各種のセンサは機器類が接続される。図2に示されるセンサや機器類は、主としてGPFの再生制御と故障診断制御とを行うために必要なものに限定して示される。
すなわち、コントローラUには、前述した圧力センサ35、流量センサ37、温度センサ38からの信号が入力される他、各種センサ類S1〜S4からの信号が入力される。S1は、エンジン回転数を検出する回転数センサである。S2は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサである。S3は、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサである。S4は、後述する制御に用いられるパラメータを検出するセンサ類(例えば、大気圧センサ、外気温センサ等)をまとめて示したものである。また、コントローラUは、前記点火プラグ10、燃料噴射弁11、排気絞り弁36、EGR弁56を制御する他、ワーニングランプS11、各種機器類S12を制御する。各種機器類S12は、例えばS−VT23、S−VT24等をまとめて示したものである。
(SPCCI燃焼)
次に、エンジンEが行うSPCCI燃焼の詳細について説明する。SPCCI燃焼は、点火プラグ10が、燃焼室5の中の混合気に強制的に点火をすることによって、混合気が火炎伝播によりSI燃焼をすると共に、SI燃焼の発熱により燃焼室5の中の温度が高くなりかつ、火炎伝播により燃焼室5の中の圧力が上昇することによって、未燃混合気が自己着火によるCI燃焼をする形態である。
SI燃焼の発熱量を調節することによって、圧縮開始前の燃焼室5の中の温度のばらつきを吸収することができる。点火タイミングを調節することによって、混合気を目標のタイミングで自己着火させることができる。
SPCCI燃焼において、SI燃焼時の熱発生は、CI燃焼時の熱発生よりも穏やかである。SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、図5に例示するように、立ち上がりの傾きが、CI燃焼の波形における立ち上がりの傾きよりも小さくなる。また、燃焼室17の中における圧力変動(dp/dθで、単位クランク角変化に対する圧力変化)も、SI燃焼時は、CI燃焼時よりも穏やかになる。
SI燃焼の開始後、未燃混合気が自己着火すると、自己着火のタイミングで、熱発生率の波形の傾きが、小から大へと変化する場合がある。熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングで、変曲点Xを有する場合がある。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも熱発生が大きいため、熱発生率は相対的に大きくなる。しかし、CI燃焼は、圧縮上死点後に行われるため、熱発生率の波形の傾きが大きくなりすぎることが回避される。CI燃焼時の圧力変動(dp/dθ)も、比較的穏やかになる。
圧力変動(dp/dθ)は、燃焼騒音を表す指標として用いることができる。前述の通りSPCCI燃焼は、圧力変動(dp/dθ)を小さくすることができるため、燃焼騒音が大きくなりすぎることを回避することが可能になる。エンジンの燃焼騒音は、許容レベル以下に抑えられる。
CI燃焼が終了することによって、SPCCI燃焼が終了する。CI燃焼は、SI燃焼に比べて、燃焼期間が短い。SPCCI燃焼は、SI燃焼よりも、燃焼終了時期が早まる。
SPCCI燃焼の熱発生率波形は、SI燃焼によって形成された第1熱発生率部QSI
と、CI燃焼によって形成された第2熱発生部QCIと、が、この順番に連続するように
形成されている。
ここで、SPCCI燃焼の特性を示すパラメータとして、SI率を定義する。SI率は、SPCCI燃焼により発生した全熱量に対し、SI燃焼により発生した熱量の割合に関係する指標と定義する。SI率は、燃焼形態の相違する二つの燃焼によって発生する熱量比率である。SI率が高いと、SI燃焼の割合が高く、SI率が低いと、CI燃焼の割合が高い。SI率は、CI燃焼により発生した熱量に対するSI燃焼により発生した熱量の比率と定義してもよい。つまり、図5に示す波形801においてSI率=(SI燃焼の面積:QSI)/(CI燃焼の面積:QCI)である。
エンジンは、SPCCI燃焼を行うときに、燃焼室5内に強いスワール流を発生させる。強いスワール流とは、例えば4以上のスワール比を有する流れと定義してもよい。スワール比は、吸気流横方向角速度をバルブリフト毎に測定して積分した値を、エンジン角速度で除した値と定義することができる。吸気流横方向角速度は、図示を省略するが、公知のリグ試験装置を用いた測定に基づいて、求めることができる。
燃焼室5内に強いスワール流を発生させると、燃焼室5の外周部は強いスワール流れとなる一方、中央部のスワール流は相対的に弱くなる。中央部と外周部との境界における速度勾配に起因する渦流によって、中央部は、乱流エネルギが高くなる。点火プラグ10が中央部の混合気に点火をすると、SI燃焼は高い乱流エネルギによって、燃焼速度が高くなる。
SI燃焼の火炎は、燃焼室5内の強いスワール流れに乗って、周方向に伝播する。CI燃焼は、燃焼室17における外周部から中央部においてCI燃焼が行われる。
燃焼室17の中に強いスワール流を発生させると、CI燃焼の開始までにSI燃焼を十分に行うことができる。燃焼騒音の発生を抑制することができると共に、サイクル間におけるトルクのばらつきを抑制することができる。
(エンジンの運転領域)
図6及び図7は、エンジン1の制御に係るマップを例示している。マップは、コントローラU0のメモリ102に記憶されている。マップは、三種類のマップ501、マップ502、マップ503を含んでいる。コントローラUは、燃焼室5の壁温及び吸気の温度それぞれの高低に応じて、三種類のマップ501、502、503の中から選択したマップを、エンジンの制御に用いる。尚、三種類のマップ501、502、503の選択についての詳細は、後述する。
第一マップ501は、エンジンの温間時のマップである。第二マップ502は、エンジンの半暖機時のマップである。第三マップ503は、エンジンの冷間時のマップである。
各マップ501、502、503は、エンジンの負荷及び回転数によって規定されている。第一マップ501は、負荷の高低及び回転数の高低に対し、大別して三つの領域に分かれる。具体的に、三つの領域は、アイドル運転を含みかつ、低回転及び中回転の領域に広がる低負荷領域A1、低負荷領域A1よりも負荷が高い中高負荷領域A2、A3、A4、及び、低負荷領域A1、中高負荷領域A2、A3、A4よりも回転数の高い高回転領域A5である。中高負荷領域A2、A3、A4はまた、中負荷領域A2と、中負荷領域A2よりも負荷が高い高負荷中回転領域A3と、高負荷中回転領域A3よりも回転数の低い高負荷低回転領域A4とに分かれる。
第二マップ502は、大別して二つの領域に分かれる。具体的に、二つの領域は、低中回転領域B1、B2、B3、及び、低中回転領域B1、B2、B3よりも回転数の高い高回転領域B4である。低中回転領域B1、B2、B3はまた、前記低負荷領域A1及び中負荷領域A2に相当する低中負荷領域B1と、高負荷中回転領域B2と、高負荷低回転領域B3とに分かれる。
第三マップ503は、複数の領域に分かれておらず、一つの領域C1のみを有している。
ここで、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域はそれぞれ、エンジンの全運転領域を回転数方向に、低回転領域、中回転領域及び高回転領域の略三等分にしたときの、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域としてもよい。図6及び図7の例では、回転数N1未満を低回転、回転数N2以上を高回転、回転数N1以上N2未満を中回転としている。回転数N1は、例えば1200rpm程度、回転数N2は、例えば4000rpm程度としてもよい。
また、低負荷領域は、軽負荷の運転状態を含む領域、高負荷領域は、全開負荷の運転状態を含む領域、中負荷は、低負荷領域と高負荷領域との間の領域としてもよい。また、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域はそれぞれ、エンジン1の全運転領域を負荷方向に、低負荷領域、中負荷領域及び高負荷領域の略三等分にしたときの、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域としてもよい。
図6のマップ501、502、503はそれぞれ、各領域における混合気の状態及び燃焼形態を示している。図7のマップ504は、第一マップ501に相当し、当該マップにおける、各領域における混合気の状態及び燃焼形態と、各領域におけるスワール弁56の開度と、過給機23の駆動領域及び非駆動領域と、を示している。エンジンは、低負荷領域A1、中負荷領域A2、高負荷中回転領域A3、及び、高負荷低回転領域A4、並びに、低中負荷領域B1、高負荷中回転領域B2、及び、高負荷低回転領域B3において、SPCCI燃焼を行う。エンジンはまた、それ以外の領域、具体的には、高回転領域A5、高回転領域B4、及び、領域C1においては、SI燃焼を行う。
(各領域におけるエンジンの運転)
以下、図7のマップ504の各領域におけるエンジンの運転について、図8に示す燃料噴射時期及び点火時期を参照しながら詳細に説明をする。図8の横軸は、クランク角である。尚、図8における符号601、602、603、604、605及び606はそれぞれ、図7のマップ504における符号601、602、603、604、605及び606によって示すエンジンの運転状態に対応する。なお、図6に示すマップは、コントローラUのメモリM1に記憶されている。また、コントローラUの燃料噴射学習量算出モジュールM2による学習制御によって、運転状態に応じた燃料噴射の学習量が算出されて、算出結果がメモリM1に記憶される(運転を継続することによる燃料噴射量等の最適化)。
(低負荷領域)
エンジンが低負荷領域A1において運転しているときに、エンジン1は、SPCCI燃焼を行う。
図8の符号601は、エンジン1が低負荷領域A1における運転状態601にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6011、6012)及び点火時期(符号6013)、並びに、燃焼波形(つまり、クランク角に対する熱発生率の変化を示す波形、符号6014)を示している。符号602は、エンジン1が低負荷領域A1における運転状態602にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6021、6022)及び点火時期(符号6023)、並びに、燃焼波形(符号6024)を示し、符号603は、エンジンが低負荷領域A1における運転状態603にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6031、6032)及び点火時期(符号6033)、並びに、燃焼波形(符号6034)を示している。運転状態601、602、603は、エンジンの回転数が同じでかつ、負荷が相違する。運転状態601が、最も負荷が低く(つまり、軽負荷)、運転状態602が、次に負荷が低く(つまり、低負荷)、運転状態603が、この中では負荷が最も高い。
エンジンの燃費性能を向上させるために、EGR弁42が開かれて、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、排気上死点付近において、吸気弁21及び排気弁22の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。燃焼室5から吸気ポート6及び排気ポート7に排出した排気ガスの一部は、燃焼室5の中に再導入される。燃焼室5の中に熱い排気ガスを導入するため、燃焼室5の中の温度が高くなる。SPCCI燃焼の安定化に有利になる。尚、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、吸気弁8及び排気弁9の両方を閉弁するネガティブオーバーラップ期間を設けてもよい。
また、スワール弁56を制御して、燃焼室5の中に、強いスワール流を形成する。スワール比は、例えば4以上である。スワール弁56は、全閉又は閉じ側の所定の開度である。前述したように、吸気ポート6はタンブルポートであるため、燃焼室5の中には、タンブル成分とスワール成分とを有する斜めスワール流が形成される。
燃料噴射弁11は、吸気行程中に、燃料を複数回、燃焼室5の中に噴射する(符号6011、6012、6021、6022、6031、6032)。複数回の燃料噴射と、燃焼室5の中のスワール流とによって、混合気は成層化する。
燃焼室5の中央部における混合気の燃料濃度は、外周部の燃料濃度よりも濃い。具体的に、中央部の混合気のA/Fは、20以上30以下であり、外周部の混合気のA/Fは、35以上である。尚、空燃比の値は、点火時における空燃比の値であり、以下の説明においても同じである。点火プラグ10に近い混合気のA/Fを20以上30以下にすることにより、SI燃焼時のRawNOxの発生を抑制することができる。また、外周部の混合気のA/Fを35以上にすることで、CI燃焼が安定化する。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室5の全体において理論空燃比よりもリーンである(つまり、空気過剰率λ>1)。より詳細に、燃焼室5の全体において混合気のA/Fは30以上である。こうすることで、RawNOxの発生を抑制することができ、排出ガス性能を向上させることができる。
エンジンの負荷が低いとき(つまり、運転状態601のとき)に、燃料噴射弁11は、吸気行程の前半に、第一噴射6011を行い、吸気行程の後半に、第二噴射6012を行う。吸気行程の前半は、吸気行程を前半と後半とに二等分したときの前半、吸気行程の後半は、吸気行程を二等分したときの後半としてもよい。また、第一噴射6011と第二噴射6012との噴射量比は、例えば9:1としてもよい。
エンジンの負荷が高い運転状態602のときに、インジェクタ6は、吸気行程の後半に行う第二噴射6022を、運転状態601の第二噴射6012よりも進角したタイミングで開始する。第二噴射6022を進角することによって、燃焼室5内の混合気は均質に近づく。第一噴射6021と第二噴射6022との噴射量比は、例えば7:3〜8:2としてもよい。
エンジンの負荷がさらに高い運転状態603のときに、燃料噴射弁11は、吸気行程の後半に行う第二噴射6032を、運転状態602の第二噴射6022よりもさらに進角したタイミングで開始する。第二噴射6032をさらに進角することによって、燃焼室5内の混合気は、均質にさらに近づく。第一噴射6031と第二噴射6032との噴射量比は、例えば6:4としてもよい。
燃料噴射の終了後、圧縮上死点前の所定のタイミングで、点火プラグ10は、燃焼室5の中央部の混合気に点火をする(符号6013、6023、6033)。点火タイミングは、圧縮行程の終期としてもよい。圧縮行程の終期は、圧縮行程を、初期、中期、及び終期に三等分したときの終期としてもよい。
前述したように、中央部の混合気は燃料濃度が相対的に高いため、着火性が向上すると共に、火炎伝播によるSI燃焼が安定化する。SI燃焼が安定化することによって、適切なタイミングで、CI燃焼が開始する。SPCCI燃焼において、CI燃焼のコントロール性が向上する。燃焼騒音の発生が抑制される。また、混合気のA/Fを理論空燃比よりもリーンにしてSPCCI燃焼を行うことによって、エンジン1の燃費性能を、大幅に向上させることができる。
(中高負荷領域)
エンジンが中高負荷領域において運転しているときも、エンジンは、低負荷領域と同様に、SPCCI燃焼を行う。
図8の符号604は、エンジンが中高負荷領域の中でも、中負荷領域A2における運転状態604にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6041、6042)及び点火時期(符号6043)、並びに、燃焼波形(符号6044)を示している。符号605は、エンジン1が高負荷低回転領域A4における運転状態605にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6051)及び点火時期(符号6052)、並びに、燃焼波形(符号6053)を示している。
EGR弁42を制御して、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、排気上死点付近において、吸気弁8及び排気弁9の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。内部EGRガスが、燃焼室5の中に導入される。また、EGR通路40を通じて、EGRクーラー41によって冷却した排気ガスを、燃焼室5の中に導入する。つまり、内部EGRガスに比べて温度が低い外部EGRガスを、燃焼室5の中に導入する。外部EGRガスは、燃焼室5の中の温度を、適切な温度に調節する。EGR弁42を制御して、エンジンの負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。全開負荷において、内部EGRガス及び外部EGRガスを含むEGRガスを、ゼロにしてもよい。
また、中高負荷領域A2及び高負荷中回転領域A3において、スワール弁56は、全閉又は閉じ側の所定の開度である。燃焼室5の中には、スワール比が4以上の、強いスワール流が形成される。一方、高負荷低回転領域A4において、スワール弁56は開である。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室5の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。三元触媒32、34が、燃焼室5から排出された排出ガスを浄化することによって、エンジンの排出ガス性能は良好になる。混合気のA/Fは、三元触媒の浄化ウインドウの中に収まるようにすればよい。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2としてもよい。尚、エンジンが、全開負荷(つまり、最高負荷)を含む高負荷中回転領域A3において運転しているときには、混合気のA/Fは、燃焼室5の全体において理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチにしてもよい(つまり、混合気の空気過剰率λは、λ≦1)。
燃焼室5内にEGRガスを導入しているため、燃焼室5の中の全ガスと燃料との重量比であるG/Fは理論空燃比よりもリーンになる。混合気のG/Fは18以上にしてもよい。こうすることで、いわゆるノッキングの発生を回避することができる。G/Fは18以上30以下において設定してもよい。また、G/Fは18以上50以下において設定してもよい。
エンジンが運転状態604で運転するときに、燃料噴射弁11は、吸気行程中に、複数回の燃料噴射(符号6041、6042)を行う。燃料噴射弁11は、第一噴射6041を吸気行程の前半に行い、第二噴射6042を吸気行程の後半に行ってもよい。
また、エンジンが運転状態605で運転するときに、燃料噴射弁11は、吸気行程において燃料を噴射する(符号6051)。
点火プラグ10は、燃料の噴射後、圧縮上死点付近の所定のタイミングで混合気に点火をする(符号6043、6052)。エンジンを運転状態604で運転しているときに、点火プラグ10は、圧縮上死点前に点火を行ってもよい(符号6043)。エンジンを運転状態605で運転しているときに、点火プラグ10は、圧縮上死点後に点火を行ってもよい(符号6052)。
混合気のA/Fを理論空燃比にしてSPCCI燃焼を行うことによって、三元触媒32、34を利用して、燃焼室5から排出された排出ガスを浄化することができる。また、EGRガスを燃焼室5に導入して混合気を希釈化することによって、エンジン1の燃費性能が向上する。
(過給機の動作)
ここで、図7のマップ504に示すように、低負荷領域A1の一部、及び、中高負荷領域A2の一部においては、過給機23はオフである(S/C OFF参照)。詳細には、低負荷領域A1における低回転側の領域において、過給機23はオフである。低負荷領域A1における高回転側の領域においては、エンジンの回転数が高くなることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機23はオンである。また、中高負荷領域A2における低負荷低回転側の一部の領域において、過給機23はオフである。中高負荷領域A2における高負荷側の領域においては、燃料噴射量が増えることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機23はオンである。また、中高負荷領域A2における高回転側の領域においても過給機23はオンである。
尚、高負荷中回転領域A3、高負荷低回転領域A4、及び、高回転領域A5の各領域においては、その全域において過給機23がオンである(S/C ON参照)。
(高回転領域)
エンジンの回転数が高いと、クランク角が1°変化するのに要する時間が短くなる。燃焼室5内において混合気を成層化することが困難になる。エンジンの回転数が高くなると、SPCCI燃焼を行うことが困難になる。
そこで、エンジンが高回転領域A5において運転しているときに、エンジンは、SPCCI燃焼ではなく、SI燃焼を行う。尚、高回転領域A5は、低負荷から高負荷まで負荷方向の全域に広がっている。
図8の符号606は、エンジン1が高回転領域A5における負荷の高い運転状態606にて運転しているときの燃料噴射時期(符号6061)及び点火時期(符号6062)、並びに、燃焼波形(符号6063)を示している。
EGR弁42を制御して、燃焼室5の中にEGRガスを導入する。EGR弁42は、負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。EGR弁42は、全開負荷では、EGRガスをゼロにしてもよい。
スワール弁56は、全開である。燃焼室5内にはスワール流が発生せず、タンブル流のみが発生する。スワール弁56を全開にすることによって、充填効率を高めることができると共に、ポンプ損失を低減することが可能になる。
混合気の空燃比(A/F)は、基本的には、燃焼室5の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2とすればよい。尚、エンジンが全開負荷の付近において運転しているときには、混合気の空気過剰率λは1未満であってもよい。
燃料噴射弁11は、吸気行程中に燃料噴射を開始する。燃料噴射弁11は、燃料を一括で噴射する(符号6061)。吸気行程中に燃料噴射を開始することによって、燃焼室5の中に、均質又は略均質な混合気が形成される。また、燃料の気化時間を長く確保することができるため、未燃損失の低減を図ることもできる。
点火プラグ10は、燃料の噴射終了後、圧縮上死点前の適宜のタイミングで、混合気に点火を行う(符号6062)。
(排気絞り弁)
ここで、排気絞り弁36を閉弁方向に作動させることにより、排気ポート7やその付近の排気通路30の圧力が高められる。これにより、高温の排気ガスが燃焼室5に環流される内部EGR量が増大して、エンジンが早期に暖機される。このことは、エミッションの改善や、安定した燃焼を確保して燃費向上の上で好ましいものとなる。
図9には、排気絞り弁36の開弁特性が示される。この開弁特性は、次のように設定されている。まず、エンジンが暖機状態であるとき(図5のマップ501対応で、例えば冷却水温度が95℃以上)は、排気絞り弁36は全開とされる。エンジンが暖機状態でないときは、冷却水温度が低いほど排気絞り弁36の開度が小さくされる。ただし、排気絞り弁36を絞り過ぎないように、冷却水温度が所定温度(例えば80℃よりも若干低い温度)以下のときは、排気絞り弁36は所定の最低開度とされる。
図9に示す特性では、排気絞り弁36は、最低開度から全開までの間は、冷却水温度の上昇に比例して増大されるように線形特性とされているが、非線形特性として設定することもできる。また、排気絞り弁36は、冷却水温度が同じでも、エンジン回転数が低いほどより開弁方向へと作動される。ただし、エンジン回転数が所定回転数以上の回転数領域では、排気絞り弁36は全開のままとされる。
(GPFの再生制御)
GPF33は、運転を継続することにより、煤の捕集量が増大することから、適宜のタイミングでもってその再生を行う必要がある。GPF33の再生は、燃料のポスト噴射や燃料噴射タイミングのリタードによって、GPF33で煤を燃焼させることにより行われる。このGPF33の再生は、エンジンが所定運転領域にあるときに実行される(例えば、加減速時を除く定常走行時であること、アクセル開度が所定開度以上であること、エンジン回転数が所定回転数以上であること、GPF33の入り口温度がして温度以上であること、という条件を全て満たしたとき)。
次に、図3を参照しつつ、GPF33における煤の捕集量(堆積量)に応じた制御内容の概要について説明する。まず、GPF33への煤の捕集量として、小さい方から大きい順に、SLM1、SLM2、SLM3の3つの所定値(しきい値)が設定される(SLM1<SLM2<SLM3)。所定値SLM3が、特許請求の範囲における異常判定しきい値に対応し、SLM2が、特許請求の範囲における第2判定しきい値に対応する。
煤の捕集量がSLM1以下のときは、捕集量が小さいとして、GPF33の再生は行われない(走行に応じてGPF33での煤の捕集量が増大していく状態)。
GPF33での煤の捕集量が、SLM1よりも大きくてSLM2以下のときは、GPF33の再生が行われる(通常の再生で、ポスト噴射あるいはリタード噴射の実行)。
GPF33での煤の捕集量が、SLM2よりも大きくてSLM3以下のときは、GPF33の熱損傷を防止する保護制御を実行しつつ、GPF33の再生が行われる。この保護制御は、大別して、次のような第1と第2の2つの手法を適宜採択できる。なお、このときは、運転者に対して、GPF33での煤の捕集量が多すぎる状況になっている、ということで、ワーニングランプS11が点灯される。ワーニングランプS11の点灯により、運転者は、GPF33の再生実行領域となるような運転を行うように促されると共に、早い時期に車両販売点(ディーラ)に出向いてGPF33の保守、点検を受けることが促される。
GPF33の保護制御は、第1に、GPF33に流入する排気ガス流量を増大させることである(GPF33の温度を排気ガス中へ逃がす)。排気ガス流量の増大は、例えば、燃料カット時の復帰回転数を高めることやアイドル回転数を高めることによって行うことができる。
GPF33の保護制御は、第2に、エンジンの出力制御によって、GPF33の温度上昇を抑制する制御を行うことである。上記エンジンの出力制御としては、例えば、エンジントルクを目標トルクよりも低下させることや空燃比をリッチ化することによって行うことができる。そして、実施形態では、EGR弁42を閉弁して、EGR禁止を行うようにしてある。
GPF33での煤の捕集量が、SLM3よりも大きいときは、GPF33の再生が禁止されると共に、減速時に行われる燃料カットが禁止される(GPF33が熱損傷されてしまう事態を確実に防止)。また、EGRが実行されて、排気ガス中の酸素量が低減されるようにされ、かつ燃料カット禁止に伴う燃費悪化を燃焼室5へのEGRガス導入による熱効率向上によって補うようにしてある。
なお、減速時に燃料カットが禁止された際には、ISG14を発電機として機能させることによる回生を行って、必要な減速度を確保することもできる。さらに、ワーニングランプS11は点灯されているが、GPF33の再生制御が禁止されていて煤の捕集量が増大する一方なので、より早い時期に車両販売点(ディーラ)に出向いてGPF33の保守、点検を受けることを強く促すように、ワーニングランプS11を点滅させる状態での点灯とすることもできる。また合わせて、音声や文字表示によって、例えば「早い時期に車両販売点に出向いてGPFの保守、点検を受けて下さい」という案内を行うこともできる。
次に、図4を参照しつつ、コントローラUによる再生制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において、各種センサ等からの信号が読みこまれた後、Q2において、目標トルクが演算される。目標トルクは、基本的に、エンジン回転数とアクセル開度とをパラメータとして設定され、さらに、吸気温度やエンジン冷却水温度等によって補正される。なお、目標トルクを演算(設定)する手法そのものは、従来から種々提案されているので、これ以上の説明は省略する。
Q3では、圧力センサ35からの信号(差圧)に基づいて、GPF33での煤の捕集量(堆積量)が推定される。なお、煤の捕集量の推定は、従来既知の適宜の手法で行うことができるが、後述するように、GPF33の上流側と下流側との差圧に対して重み付けされた重み付け差圧の移動平均値を用いることもできる。
Q3の後、Q4において、Q3で推定された煤の捕集量が、所定値SLM3よりも大きいか否かが判別される。このQ4の判別でNOのときは、Q5において、煤の捕集量がSML1よりも大きいか否かが判別される。このQ5の判別でNOのときは、Q6において、目標トルクに応じた燃料噴射制御が行われる。Q5からQ6へ至るときの目標トルクは、Q2で設定された目標トルクであり、目標トルクの低下は行われないものとなる。
前記Q5の判別でYESのときは、Q7において、GPF33の再生が実行される(ポスト噴射あるいはリタード噴射の実行)。この後、Q8において、煤の捕集量がSML2よりも大か大きいか否かが判別される。このQ8の判別でNOのときは、Q6に移行される。
上記Q8の判別でYESのときは、Q9において、ワーニングランプS11が点灯される。この後、Q10において、EGRが禁止される。
Q10の後、Q11において、加速時であるか否かが判別される。このQ11の判別でYESのときは、Q12において、Q2で設定された目標トルクが、所定分だけ低下するように補正される。この後は、Q6に移行される。Q12での目標トルクの低下により、GPF33(の入り口温度)の上昇が抑制されて、GPF33の保護が図られる。
前記Q11の判別でNOのときは、Q13において、減速時での燃料カット時であるか否かが判別される。このQ13の判別でNOのときは、Q6に移行される(Q2で設定された目標トルクがQ6で実行される)。
上記Q13の判別でYESのときは、Q14において、燃料カットが行われる。この後、Q15において、燃料カットからの復帰回転数が、通常時よりも所定分高い大きな回転数に補正される。この後、Q16において、エンジン回転数がQ15で上昇補正された復帰回転数にまで低下したか否かが判別される。このQ16の判別でNOのときは、Q14に戻る。
上記Q16の判別でYESのときは、Q17において、燃料噴射が再開される。この後、Q18において、アイドル回転数が上昇補正される。
前記Q4の判別で判別でYESのときは、Q19において、ワーニングランプS11が点灯されると共に、GPF33の再生が禁止される。Q19でのワーニングランプS11の点灯は、Q9での点灯による警告に比してより強い警告となるように、点滅による点灯とするのが好ましい。Q19の後、Q20において、減速時での燃料カットが禁止される。また、Q21において、EGRが実行される(排気ガス中の酸素濃度低減+熱効率向上による向上)。
(煤の捕集量推定)
まず、図10を参照しつつ、煤の捕集量の推定に用いる差圧と重み値とについて説明する。図10は、排気ガス流量と圧力センサ35で検出された差圧とをパラメータとして設定されており、コントローラUのメモリM1に記憶されている。図中α線は、GPF33での煤の捕集量が、所定値SLM3に相当するレベルになった状態での特性を示す。また、β線は、GPF33でのす捕集量が0(新品)の状態での特性を示す。
圧力センサ35で検出される差圧は、排気ガス流量が同じであれば、α線で示す特性の方が、β線で示す特性の場合よりも大きくなる。なお、排気ガス流量が所定値g1以下の範囲では、差圧が小さく、かつα線とβ線との大小関係が逆転することもあることから、故障判定には用いない領域とされている。
車両の走行(エンジンの運転)によってGPF33でのす捕集量が増大すると、GPF33の流路抵抗が大きくなっていき、検出される差圧が大きくなる方向へと変化される(β線の状態からα線の特性に近づく方向へと変化する)。煤の捕集量が所定分増大した現状のGPF33の特性が、γ線で示される。
α線とβ線との間の範囲で、γ線のα線に対する離間度合いが所定値以下になると、GPF33が異常(煤の捕集量が極めて大)であると判定される。
図10から理解されるように、排気ガス流量が所定値g1よりも大きい範囲において、排気ガス流量が大きいほどα線とβ線との差圧が大きくなり、GPF33での煤の捕集量を判定するのに用いる差圧として好ましい値となる。換言すれば、排気ガス流量の大きいときに検出された差圧は、排気ガス流量が小さいときに検出された差圧よりも、GPF33での煤の捕集量をより精度よく示しているものとなる(S/N比が大)。このような理由から、検出された差圧について、所定の重み付けが行われる。この重み付けに用いる重み値は、0から1の範囲で設定される(0<重み値<1)。
上記重み値は、排気ガス流量が大きいほど大きな値とされる。また、重み値は、α線とβ線との間の理論上の差圧に比例した大きさとされる。このような重み値は、あらかじめ、排気ガス流量と圧力センサ35での検出差圧とをパラメータとして、テーブル値としてメモリM1に記憶されている。つまり、圧力センサ35で検出された実際の差圧を、上記テーブルに照合することにより重み値が取得される。圧力センサ35で差圧が検出される毎に重み値が決定されて、決定された重み値が積算される。
検出された各差圧について、上記重み値でもって重み付けされた重み付け差圧が算出される。そして、重み付け差圧を積算することにより、重み付け差圧の積算値が算出される。
重み付け差圧の積算値を重み値の積算値で除することにより、重み付け差圧の移動平均値が算出される。この重み付け差圧の移動平均値に基づいて、煤の捕集量が推定される(例えば、重み付け差圧の移動平均値をメモリM1に記憶されているテーブルに照合して、煤の捕集量に変換する)。
煤の捕集量を推定(決定)するタイミングは、重み値の積算値が所定値に達した時点とされる。重み値の積算値は、所定値に達した後に、次の煤の捕集量の推定のためにリセットされる(0からの積算開始)。煤の捕集量の推定を行うタイミングが、前述した重み値の積算値が所定値以上になった時点とされることから、十分に信頼性の高くなった(S/N比の高い)差圧の移動平均値が取得された時点で、煤の捕集量の推定が行われることになる。
上述した重み値を利用して煤の捕集量を推定するための制御例が、図12のフローチャートに示される。以下、このフローチャートについて説明するが、この図12は、図4におけるQ3での処理に対応している。
まず、Q31において、圧力センサ35での検出値が今回の差圧△P(瞬時値である)として入力される。この後、Q32において、差圧△Pに基づいて、重み値mが決定される。この後、Q33において、決定された重み値mが前回の重み値に加算されて、積算値INT・mが算出される(積算値は一時的にメモリM1に記憶される)。
Q34では、圧力センサ35での今回の検出値△Pに対してその重み値mを乗算してなる重み付け差圧m×△P算出して、算出された値を前回値に加算してその積算値INT・m△Pが算出される(積算値は一時的にメモリM1に記憶される)。この後、Q35において、積算値INT・m△Pを重み値の積算値INT・mで除することにより、差圧の移動平均値AV△Pが算出される。
Q35の後、Q36において、重み値の積算値INT・mが所定値よりも大きいか否かが判別される。当初は、Q36の判別でNOとなり、このときはQ31に戻る。
上記Q36の判別でYESとなると、Q37において、差圧の移動平均値AV△Pに基づいて煤の捕集量が決定される。このQ37で決定された煤の捕集量が、図4のQ3での煤の捕集量の推定値として用いられる。この後、Q38において、Q32〜Q35での算出値が全てクリアされる。なお、重み値の積算値は、燃料カットされている間は、リセットしておくのが好ましい(重み値の積算値のリセットに伴って、重み付け差圧やその積算値、重み付け差圧の移動平均値についてもリセットされる)。
図11は、煤の捕集量と燃料カットとの関係を示すタイムチャートであり、燃料カットの禁止が行われないためにGPF33が熱損傷されてしまう従来例をも示してある。なお、図11中、異常判定フラグは、立ち上がった状態が異常であると判定されたことを示す。また、LPEGR(ロープレッシャーEGR)許可フラグは、立ち上がっているときが、排気ガスをEGR通路40を通して吸気通路20へ環流させることを許可することを示す。
まず、t1時点よりも前の時点では、GPF33が正常(煤の捕集量が過大でない)であると判定されている状態であり、GPF33の温度が熱損傷される温度よりも低い温度であり、煤の捕集量もSLM2以下の状態である。
EGRは、煤の捕集量が、SLM2とSLM3の間の範囲では禁止される(禁止領域は、t1時点とt2時点との間、t3時点とt4時点との間)。また、煤の捕集量がSLM3よりも多いときは、EGRが実行される(t4時点以降)。
本発明では、煤の捕集量が、異常判定しきい値となるSLM3を超えたときは(t4時点以降)、燃料カットが禁止される。これにより、煤の捕集量は、実線で示すように減少することはないが、GPF33の温度が熱損傷される温度よりも低い温度に維持されて、GPF33が熱損傷されてしまう事態が防止される。
一方、煤の捕集量がSLM3よりも多くなったt4時点で燃料カットを行う従来の場合は、煤の捕集量を低減することができるものの、GPF33が熱損傷される温度よりも高温になってしまうことになる。
図13は、燃料カット禁止領域の好まし設定例を示すものである。ハッチングを付した領域が燃料カット禁止領域であり、燃料カット禁止領域と燃料カットを許可する領域との境界がY線で示される。
煤の捕集量が、異常判定しきい値となるSLM3を超えているときは、GPF33の温度にかかわらず、燃料カットが禁止される。一方、煤の捕集量がSLM3以下のときは、GPF33の温度が活性温度(例えば600℃)以上であることを前提として、GPF33の温度が高いほど、煤の捕集量が少ない状態でも燃料カットを禁止するようにしてある。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。
(1)エンジンは、自己着火を行わないで、火花点火による着火のみを行うものであってもよい。また、自己着火としては、火花点火制御を利用しない圧縮自己着火(HCCI燃焼)であってもよい。ディーゼルエンジンについても適用できる。
(2)エンジンが、ガソリンを燃料として、少なくとも一部の運転領域で燃焼室中の全ガスと燃料との重量比となるG/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うG/FリーンCI燃焼モードでの燃焼が行われるものとするのが好ましい。この場合、推定された煤の捕集量が、異常判定しきい値(SLM3)以下でかつ異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値(SLM2)を超えているときに、EGRを禁止すると共に、EGRを前提とするG/FリーンCI燃焼モードでの燃焼を禁止することができる一方、EGRを前提としないエンジンの燃焼モードとして空燃比A/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うA/FリーンCI燃焼モードを許容することができる。
(3)排気絞り弁36の開度は、図9に示すようにエンジン回転数に応じて変更する場合に限らず、エンジン負荷に応じて変更するようにしてもよい。この場合、排気絞り弁が閉弁方向へ作動される際に、エンジン低負荷時よりもエンジン高負荷時の方が開度大とされるようにするのが好ましい。また、排気絞り弁36の開度を、エンジン回転数とエンジン負荷の両方をパラメータとして決定することもできる。
(4)フローチャートに示す各ステップあるいはステップ群は、その機能を示す名称に手段の文字を付して、コントローラUの有する機能手段として表現することができる。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、パティキュレートフィルタを有する車両に適用して好適である。
E:エンジン
U:コントローラ
S1:センサ(エンジン回転数)
S2:センサ(アクセル開度)
S3:センサ(冷却水温度)
S11:ワーニングランプ
33:GPF(パティキュレートフィルタ)
5:燃焼室
10:点火プラグ
11:燃料噴射弁
30:排気通路
35:圧力センサ(差圧検出用)
36:排気絞り弁
37:流量センサ
38:温度センサ

Claims (9)

  1. エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタでの煤の捕集量を推定し、
    前記推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定しきい値以下でかつ所定の燃料カット条件が成立したときには、燃料カットを実行し、
    前記推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定しきい値を超えたときは、前記所定の燃料カット条件が成立したときでの燃料カットを制限すると共に、前記パティキュレートフィルタ下流側の排気通路からの排気ガスを吸気通路へ環流させるEGRを実行する、
    ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  2. 請求項1において、
    前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満のときは、前記EGRを制限する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  3. 請求項2において、
    前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、前記パティキュレートフィルタの再生制御を実行すると共に、前記EGRを禁止する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記煤の捕集量の推定が、前記パティキュレートフィルタの上流側と下流側との差圧を検出して、該検出された各差圧についてエンジンの運転状態に応じて設定された重み特性から重み値を決定すると共に該決定された重み値でもって重み付けされた重み付け差圧を算出して、該重み値の積算値が所定値となった時点での該重み付け差圧の移動平均値に基づいて行われる、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  5. 請求項4において、
    燃料カット時には、前記重み値の積算値および重み付け差圧の移動平均値がリセットされる、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    エンジンが、ガソリンを燃料として、少なくとも一部の運転領域で燃焼室中の全ガスと燃料との重量比となるG/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うG/FリーンCI燃焼モードでの燃焼が行われるものとされている、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  7. 請求項6において、
    前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、前記EGRを禁止すると共に、前記G/FリーンCI燃焼モードでの燃焼を禁止する、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  8. 請求項7において、
    前記推定された煤の捕集量が、前記異常判定しきい値未満でかつ該異常判定しきい値よりも小さい値に設定された第2判定しきい値以上であるときに、エンジンの燃焼モードとして空燃比A/Fがリーンとされた状態で自己着火を行うA/FリーンCI燃焼モードが許容される、ことを特徴とするエンジンの制御方法。
  9. エンジンの排気通路に配設されたパティキュレートフィルタと、
    エンジンの気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    パティキュレートフィルタ下流側のエンジン排気通路とエンジンの吸気通路とを接続するEGR通路および該EGR通路に設けられたEGR弁を有するEGR装置と、
    前記燃料噴射弁と前記EGR弁に接続され、該燃料噴射弁と該EGR弁に制御信号を出力する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、推定された煤の捕集量が、異常と判断される異常判定用しきい値以下でかつ所定の燃料カット条件が成立したときには、前記燃料噴射弁による燃料噴射を停止する一方、該の燃料カット条件が成立したときであっても、推定したパティキュレートフィルタによる煤の捕集量が該異常判定用しきい値を超えたときは、前記燃料噴射の停止を制限すると共に、前記EGR弁を開弁させる制御を行う、
    ことを特徴とするエンジンの制御装置。
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