JP2020176547A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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真士 菅谷
威生 三宅
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威生 三宅
保夫 生井沢
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保夫 生井沢
泰介 杉井
Taisuke Sugii
泰介 杉井
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Abstract

【課題】本発明の目的は、弁部材とこの弁部材が摺動する摺動面との摺動を安定的に行えるようにすることで、安定的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置を提供することにある。【解決手段】燃料噴射装置は、弁部材104の上部に設けられたばね受け部127を備え、ばね受け部127は筒状の燃料通路の内周部101aでガイドされる外周部を有する。さらにばね受け部127は、上流側に配置された第1スプリング118の下端部と接触する第1上面127aaと、第1スプリング118の下端部と対向するとともに第1スプリング118の下端部から受ける荷重が第1上面127aaよりも小さい、又は第1スプリング118の下端部から荷重を受けない第2上面127abと、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関に用いられる燃料噴射装置に関し、特に電磁的に駆動される可動子によって燃料通路を開閉して燃料噴射を行う燃料噴射装置に関する。
本技術分野の背景技術としては、国際公開第2016/042896号パンフレット(特許文献1)に記載された燃料噴射弁が知られている。特許文献1の燃料噴射弁は、弁部材と、弁部材に対して相対変位可能なアンカーと、貫通孔が形成された磁気コアとを備え、アンカーと弁部材との双方にアンカーが弁部材に対して開弁方向に変位した場合に係合してアンカーの開弁方向への変位を規制する係合部を設けた燃料噴射弁において、弁部材側の係合部とアンカー側の係合部との間に間隙を形成する間隙形成部材と、間隙形成部材を閉弁方向に付勢する付勢ばねとを備え、間隙形成部材の外径と付勢ばねの外径と弁部材の最大外径とを貫通孔の内径よりも小さくしている(要約参照)。
この燃料噴射弁は、プランジャロッドを閉弁方向に付勢する第1ばね、アンカーを開弁方向に付勢する第2ばね、及びアンカーを固定コア側から閉弁方向に付勢する第3ばねを備え(段落0017,0022参照)、第1ばねの付勢力が最も大きく、次に第3ばねの付勢力が大きく、第2ばねの付勢力が最も小さくなるように構成されている(段落0034参照)。その結果、アンカーが開弁方向への移動を開始する前の状態(閉弁静止状態)では、プランジャロッドは第1ばねの付勢力により閉弁方向に付勢され、プランジャロッドの一端部に設けられた弁体が弁座に当接している(段落0058参照)。
プランジャロッドの他端部にはキャップが設けられている(段落0016参照)。このキャップは、固定コアの貫通孔の内周面に当接し、開閉弁時に貫通孔の内周面に対して摺動するように構成された外周面を有する(段落0114参照)。この外周面は、燃料通路部を構成する切欠き面によって、周方向に間隔を置いて複数個が配置されるように、設けられている(段落0116参照)。
国際公開第2016/042896号パンフレット
特許文献1の燃料噴射弁(燃料噴射装置)では、キャップの上端面が第1ばねの当接するばね座を構成し、第1ばねはプランジャロッドを付勢する際にプランジャロッドに対して横力(弁軸心に垂直な方向の力)を作用させる。この横力により、キャップの外周面は固定コアの貫通孔の内周面に対して強く押し付けられる。以下、弁体、プランジャロッド及びキャップ等を含め、弁体と一体構造を成す部材を弁部材と呼ぶことにする。
この場合、第1ばねによる横力が発生する方向は、ばねの圧縮により弁部材の傾く方向で決まる。キャップの2つの外周面の間に設けられた切欠き面は、貫通孔の内周面と摺動しない。そのため、弁部材の傾く方向によっては、キャップの外周面と貫通孔の内周面との間の摺動面積が不十分となり、キャップの外周面と貫通孔の内周面との摺動が不安定になる。また、摺動面積が不十分となることで、摺動部における摺動抵抗が大きくなったり、開閉弁の繰り返しによりキャップの外周面または、貫通孔の内周面が摩耗したりする。摺動部の摺動抵抗が大きくなると、閉弁動作の遅れが大きくなる。閉弁動作の遅れが大きくなると、燃料の噴射量が多くなり、安定的な燃料の噴射を阻害することになる。
本発明の目的は、弁部材とこの弁部材が摺動する摺動面との摺動を安定的に行えるようにすることで、安定的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明における燃料噴射装置は、
弁部材の上部に設けられたばね受け部を備え、前記ばね受け部が筒状の燃料通路の内周部でガイドされる外周部を有する燃料噴射装置であって、
前記ばね受け部は、
上流側に配置されたばねの下端部と接触する第1上面と、
前記ばねの前記下端部と対向するとともに前記ばねの前記下端部から受ける荷重が前記第1上面よりも小さい、又は前記ばねの前記下端部から荷重を受けない第2上面と、
を有する。
本発明によれば、弁部材とこの弁部材が摺動する摺動面との摺動を安定的に行えるようにすることで、安定的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施例に係る燃料噴射装置の全体構成を概略的に示す断面図である。 図1の部分拡大図で、燃料噴射装置の電磁コイルへの駆動電圧(電流)を印加していない状態(閉弁状態)を示す図である。 本発明の一実施例に係る弁部材を概略的に示した図である。 図1の部分拡大図で、燃料噴射装置の電磁コイルに駆動電圧(電流)を印加して、アンカーがプランジャロッドに当接した状態(開弁直前状態)を示す図である。 図1の部分拡大図で、燃料噴射装置の電磁コイルに駆動電圧(電流)を印加して、プランジャロッドが開弁途中にある状態(中間リフト状態)を示した図である。 図1の部分拡大図で、燃料噴射装置の電磁コイルに駆動電圧(電流)を印加して、プランジャロッドが開弁を完了した状態(フルリフト状態)を示した図である。 本発明の一実施例に係る弁部材の挙動(フルリフト)とアンカーの挙動を模式的に示す図である。 本体側組品を組み立てた状態を示す断面図である。 本体側組品に弁部材を組み付けた状態を示す断面図である。 本発明の図3に示す実施例の変更例に係る弁部材を概略的に示した図である。
以下、本発明の実施例について、図1〜図10を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る燃料噴射装置100の全体構成を概略的に示す断面図である。
燃料噴射装置100は、例えば筒内直接噴射式のガソリンエンジン向けの燃料噴射装置である。本実施例では弁体を電磁的に駆動する電磁駆動式の燃料噴射装置を例に挙げて説明するが、以下で説明する弁部材104及び弁部材104を付勢する巻ばね(第1スプリング)118を備える燃料噴射装置であれば、他の駆動方式の燃料噴射装置にも、本発明は適用可能である。またポート噴射エンジン用の燃料噴射装置や、ディーゼルエンジン用の燃料噴射装置にも本発明は適用可能である。
燃料噴射装置100の中心軸線100aに沿う方向において、燃料噴射孔112に近い側(図1では下側)を下流側、燃料供給口111に近い側(図1では上側)を上流側と定義して説明する。これは、燃料噴射装置100の内部に構成される燃料通路の構造に基づいており、燃料は燃料供給口111から燃料噴射孔112に向かって燃料噴射装置100の内部をほぼ中心軸線100aに沿って流れる。本実施例では、弁部材104、アンカー110、第1スプリング118、調整子119、第3スプリング124、磁気コア101、プランジャロッド113、中間部材125、第2スプリング126、及びロッドヘッド127の各中心軸線は、中心軸線100aに一致するように配置されている。従って、プランジャロッド113の軸心(弁軸心)は弁部材104の移動方向である開閉弁方向に沿い、開閉弁方向は中心軸線100aに沿う。
なお、燃料噴射孔112側(下流側)の端部を先端部、燃料供給口111側(図1では上側)の端部を基端部と呼ぶ場合もある。また以下の説明において、上下方向を指定して説明する場合があるが、この上下方向は図1の上下方向に基づいており、燃料噴射装置100が実装された状態における上下方向を指定するものではない。
燃料噴射装置100には、燃料噴射装置100を駆動するための駆動装置であるEDU(駆動回路)121及びEDU121の制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)120が接続されている。
ECU120では、燃料噴射装置100による燃料噴射の対象となるエンジン(内燃機関:図示せず)の状態を示す信号を各種センサーから取り込み、エンジンの運転条件に応じて適切な駆動パルスの幅や噴射タイミングの演算を行う。ECU120より出力された駆動パルスは、信号線123を通して燃料噴射装置100のEDU121に入力される。
EDU121は、燃料噴射装置100の電磁コイル108に印加する電圧を制御して電磁コイル108に電流を供給する。また、ECU120は、通信ライン122を通してEDU121と通信を行っており、燃料噴射装置100に供給する燃料の圧力や運転条件によって駆動パルスを制御し、EDU121によって生成する駆動電圧(電流)を切替えることが可能である。なお、EDU121は、ECU120との通信によって制御定数を変化できるようになっており、制御定数に応じて電流波形が変化する。
ECU120及びEDU121は一体の部品として構成されてもよい。すなわち、燃料噴射装置100を駆動するための駆動装置は、燃料噴射装置100の駆動電圧を発生する装置であれば良く、例えば、ECU120とEDU121とが一体となって駆動装置を構成しても良いし、本実施の形態で例示するようにEDU121単体で駆動装置を構成してもよい。
燃料噴射装置100は、燃料が供給される燃料供給口111を有する磁気コア(固定コア)101と、磁気コア101の下流側に設けられたノズルホルダ102と、ノズルホルダ102の下流側端部(先端部)に位置して燃料噴射孔112を形成する噴孔部材103と、を有している。噴孔部材103はノズルホルダ102の内側に挿入され、先端面の外周部に沿ってノズルホルダ102の先端部に溶接固定される。
噴孔部材103には、弁部材104を構成する弁体117が離接する弁座103aが形成される。噴孔部材103は、弁体117が着座することで燃料を封止する。弁体117は弁座103aに当接することで燃料をシールし、弁座103aから離れることで燃料の流通を許す。すなわち、弁体117及び弁座103aは協働して燃料通路を開閉する。
また、噴孔部材103の内部には、プランジャロッド113の下流側先端部に構成された弁体117の外周面をガイドするガイド部材105が圧入または塑性結合により固定されている。尚、ガイド部材105は噴孔部材103と一体で形成されてもよい。
磁気コア101の上流側内周部(径方向内側)には燃料フィルタ(図示せず)が設けられている。また磁気コア101の上流側外周部(径方向外側)114には、Oリングに代表されるシール部材106が、その下流側にはシール部材106を保護する保護部材107が組付けられている。シール部材106は燃料配管(図示せず)の内周面と磁気コア外周面114との間の隙間をシールし、燃料配管を流れる燃料の漏洩を防止する。
ノズルホルダ102の上流側外周部(径方向外側)には電磁コイル108が設けられ、その外周側には電磁コイル108を内包する形でハウジング109が設けられている。ハウジング109、磁気コア101及びアンカー(可動コア)110により磁気回路が形成される。
ノズルホルダ102の下流側外周部(径方向外側)には溝115が形成されており、樹脂材製のチップシールに代表されるシール部材116が溝115に嵌め込まれている。
磁気コア101及びノズルホルダ102の内部には、弁部材104、アンカー110、第1スプリング118、調整子119、及び第3スプリング124が配置される。弁部材104は、軸方向(中心軸線100aに沿う方向)に移動することによって燃料噴射装置100による燃料の噴射量を調整する。アンカー110は、磁気コア101の吸引力を受けて弁部材104を開弁方向に引き上げる。なおアンカー110は、プランジャロッド113に対して軸方向(開閉弁方向)に相対変位可能に構成されている。第1スプリング118は、弁部材104及びアンカー110を下流方向(閉弁方向)に付勢する。調整子119は、第1スプリング118を支持し、第1スプリング118の圧縮量(すなわち付勢力)を調整する。第3スプリング124は、ノズルホルダ102に保持されアンカー110及び弁部材104を上流方向(開弁方向)に付勢する。
本実施例の弁部材104は、プランジャロッド113、弁体117、中間部材125、第2スプリング126、及びロッドヘッド127により構成されている。
中間部材125は、プランジャロッド113の基端部側の端部(上流側端部)に位置してアンカー110とプランジャロッド113との間に間隙G2(図2参照)を形成する。第2スプリング126は、中間部材125を介してアンカー110を下流側に付勢する。ロッドヘッド127は、第1スプリング118及び第2スプリング126の着座面を形成する。さらにロッドヘッド127は、磁気コア101の径方向中央部に形成された軸方向に貫通する貫通孔101aと対向して摺動する摺動面127d(図2参照)を形成する。摺動面127dはロッドヘッド127の最外周面で構成される。すなわちロッドヘッド127は、プランジャロッド113の上流側端部に設けられ、磁気コア101の貫通孔101aと対向して摺動する摺動面127dを有する。
貫通孔101aの内周面は、ロッドヘッド127を介してプランジャロッド113の上流側端部を径方向において支持して開閉弁方向に案内する案内面(摺動面)を構成する。このため、以下、貫通孔101aの内周面を案内面(案内部)又は摺動面(摺動部)と呼び、摺動面127dを被案内面(被案内部)又は被摺動面(被摺動部)と呼ぶことにする。
本実施例では、ロッドヘッド127に支持される巻ばねを有する。この巻ばねは、一端部がロッドヘッド127に支持されてプランジャロッド113を閉弁方向(下流側)に付勢する第1スプリング118と、一端部がロッドヘッド127に支持されて中間部材125を閉弁方向(下流側)に付勢する第2スプリング126と、を備えて構成される。すなわちロッドヘッド127は、弁部材104のばね受け部を構成する。
ここで、弁部材104及びアンカー110の構成について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、図1の部分拡大図で、燃料噴射装置100の電磁コイル108への駆動電圧(電流)を印加していない状態(閉弁状態)を示す図である。尚、図2は電磁駆動部への通電がオフされ、弁体117が弁座103aに着座した状態で、なお且つアンカー110が静止した状態を示している。
アンカー110は、貫通孔110cを有し、弁部材104のプランジャロッド113が貫通孔110cの内径に挿通するように構成される。これにより、アンカー110と弁部材104とは軸方向に相対変位可能に構成されている。
プランジャロッド113は、上流側端部に、アンカー110の内径(貫通孔)110cを貫通するロッド部分113aの直径よりも大きい外径を有する段付き部128を有する。段付き部128はロッド部分113aの外周面から鍔状に張り出す構成とする。アンカー110は、上流側端面110aが段付き部128の下端面(下流側端面)128bと対向し、相対変位時に上流側端面110aが段付き部128の下端面128bに当接することで、プランジャロッド113に対する上流側(開弁方向)への相対変位が規制される。
段付き部128の上端面(上流側端面)128aから上部は段付き部128よりも小径の突起部129が設けられており、突起部129の上端面129aには下流方向(段付き部128側)に窪んだ穴部(凹部)130が形成されている。プランジャロッド113の段付き部128の上流側には、中間部材125が設けられている。中間部材125の下端面(下流側端面)125bには上流側(上面125a側)に向けて凹部125cが形成されており、凹部125cは段付き部128が収まる直径(内径)と深さを有している。すなわち、凹部125cの直径(内径)は段付き部128の直径(外径)よりも大きく、凹部125cの深さ寸法は段付き部128の上端面128aと下端面128bとの間の寸法(高さ寸法又は厚み寸法)よりも大きい。凹部125cの底面125eから中間部材125の上端面(上流側端面)125aにかけては軸方向の貫通孔125dが形成されている。貫通孔125dには、突起部129が挿通される。
中間部材125の上流側には第2スプリング126が支持されており、中間部材125の上端面125aは第2スプリング126の下流側端部が当接するばね座を構成する。
プランジャロッド113の上流側端部にはロッドヘッド127が設けられている。ロッドヘッド127の上端部には径方向に張り出した鍔部127cが設けられ、鍔部127cの下面127bに第2スプリング126の上流側端部が当接するばね座が構成されている。そして、ロッドヘッド127には第1スプリング118の内径よりも小さい径となるように構成された上流側突起部131が設けられている。上流側突起部131は鍔部127cの上面127aから上流側に突出している。
ここで、図3を用いて、弁部材104の構成をさらに詳細に説明する。図3は、本発明の一実施例に係る弁部材104を概略的に示した図である。
ロッドヘッド127の鍔部外周面127dと磁気コア101の貫通孔101aの内周面とが相互に摺動する摺動面となり、弁部材104の開閉弁方向の移動を案内する。上述したように、本実施例では、ロッドヘッド127の鍔部外周面127dは被案内面(被案内部)又は被摺動面(被摺動部)と呼び、貫通孔101aの内周面は案内面(案内部)又は摺動面(摺動部)と呼んで説明する。
なお以下の説明では、貫通孔101aとその内周面の両者に対して符号101aを付して説明する。ロッドヘッド127の鍔部127cには、切欠き面127eが設けられており、磁気コア101の内周面101aに対向する鍔部外周面127dは周方向に間隔を置いて配置されている。切欠き面127eは鍔部127cの上方と下方の燃料通路を連通する燃料通路部を構成する。
本実施例の燃料噴射装置100は、弁部材104の上部に設けられたばね受け部(ロッドヘッド)127を備え、ばね受け部127は筒状の燃料通路の内周部101aでガイドされる外周部127dを有する。ばね受け部(ロッドヘッド)127は、上流側に配置された第1スプリング118の下端部と接触する第1上面127aaと、第1スプリング118の下端部と対向するとともに第1スプリング118の下端部から受ける荷重が第1上面よりも小さい、又は第1スプリング118の下端部から荷重を受けない第2上面127abと、を有する。
第2上面127abは、弁軸心104aに垂直な平面形状に形成されるとともに、第1上面127aaよりも下流側に形成されている。また第2上面127abは、径方向において、弁軸心104aを含む一方の側に形成されて弁軸心104aと交差する。一方、第1上面127aaも弁軸心104aに垂直な平面形状に形成される。第1上面127aaは、前述の径方向において他方の側に形成されて、弁軸心104aに対して径方向外側に外れた位置に設けられる。
第1上面127aaの第1外周部127daと第2上面127abの第2外周部127dbとの間に2か所の軸方向の燃料流路が形成されており、第1上面127aaの第1外周部127daの第1周方向長さLdaは第2上面127abの第2外周部127dbの第2周方向長Ldbさよりも大きくなるように構成されている(Lda>Ldb)。このとき、第1上面127aaの第1外周部127daの第1周方向長さLdaは第2上面127abの第2外周部127dbの第2周方向長さLdbの2倍以上となるように構成されている。
さらに第1外周部127daの周方向両側には第1外周部127daと同じ径に形成されて第1外周部127daに連続する外周部127dcが設けられている。外周部127dcは、第1外周部127daと同じ径に形成される外周部の中心角(周方向範囲)を拡大する。この場合、第1外周部127daと同じ径に形成される外周部の周方向長さは、Lda+2・Ldcになる。
第1上面127aaの第1外周部127daにおける弁軸心104a方向の長さである第1軸方向長さHdaは、第2上面127abの第2外周部127dbにおける弁軸心104a方向の長さである第2軸方向長さHdbよりも大きくなるように構成されている(Hda>Hdb)。
ばね受け部127の第2上面127abは、第1スプリング118の下端部に対し、下流側に離隔して位置するように構成されている。この場合、第1スプリング118の下端部のうち第1上面127aaに接触する部分と第2上面127abに対向する部分とは、弁軸心104a方向において同じ位置となるように形成されるとよい。
本実施例では,切欠き面127eにより、第1上面127aの第1外周部127daと第2上面127abの第2外周部127dbとの間に2か所の弁軸心104a方向の燃料流路が形成される。
図3を用いて説明した上記構成は、第1スプリング118の付勢力(セット荷重)によって、弁部材104の弁軸心104aの傾き方向、すなわちプランジャロッド113の傾き方向を規定する効果を得るための構成であり、本実施例の燃料噴射装置100は、弁軸心104aの傾き方向を規定できるいずれかの構成を備えていればよい。以下、この効果について、詳細に説明する。
第1スプリング118は、燃料噴射装置100に組付けられた状態で任意のセット長に圧縮され、弁部材104に対して所望の付勢力(セット荷重)を作用させる。このとき、第1スプリング118の付勢力を受けた弁部材104は被案内部が案内部に接触した状態で安定するが、被案内部と案内部との間にはクリアランスが設けられているため、被案内部と案内部とは周方向の1か所で接触する。このため、弁部材104の弁軸心104a及びプランジャロッド113は傾きを生じた状態で安定する。
本実施例では、第1上面127aaが第1スプリング118から受ける荷重を第2上面127abが第1スプリング118から受ける荷重よりも大きくすることで、弁部材104の弁軸心104a及びプランジャロッド113の傾き方向を規定する。この場合、第2上面127abを第1上面127aaよりも下流側に形成し、第2上面127abと第1上面127aaとを段差を有する面で構成することにより、第1上面127aaが第1スプリング118から受ける荷重を第2上面127abが第1スプリング118から受ける荷重よりも大きくすることができる。
さらに、第2上面127abと第1上面127aaとの段差を適切に設定するか、あるいは、第1上面127aaに接触する第1スプリング118の下端部と第2上面127abに接触する第1スプリング118の下端部とが弁軸心104a方向において同じ位置となるように第1スプリングを形成することで、第2上面127abは第1スプリング118の下端部に対し、下流側に離隔した状態になる。この場合、第2上面127abは第1スプリング118の下端部と対向した状態で、且つ第1スプリング118の下端部から荷重を受けない状態となる。
第1上面127aa及び第2上面127abは、弁軸心に垂直な平面形状で形成することにより、簡単に製作することができる。
第2上面127abは径方向において弁軸心104aを含む一方の側に形成し、第1上面127aaは前述の径方向において他方の側に形成すると共に弁軸心104aに対して径方向外側に外れた位置に設けることにより、第1上面127aaを第2上面127abに対して狭い範囲に限定することができる。これにより、大きな荷重が作用する範囲を限定することができ、弁部材104の弁軸心104a及びプランジャロッド113の傾き方向を確実に規定することができる。
特にロッドヘッド127は、第1スプリング118の下端部と第1上面127aaでのみ接触する状態とすることにより、第1スプリング118の付勢力(セット荷重)によって、必ず第1上面127aa方向に傾けられる。すなわちプランジャロッド113は、第1上面127aaが設けられた側に傾けられる。その結果、ロッドヘッド127は磁気コア101の貫通孔内周面101aとの摺動を第1上面127aaの第1外周部127daで行うことができる。
ロッドヘッド127の第1外周部127da及び第2外周部127dbは、磁気コア101の内周面(案内面)101aと摺動する被案内部を構成する。この場合、上述した(Lda>Ldb)及び(Hda>Hdb)の関係のうち、少なくともいずれかの関係を満たすように構成することにより、被案内部における摺動部の範囲を大きくすることができる。
特に(Lda>Ldb)の関係は、弁部材104に作用する外力によりプランジャロッド113の傾く方向がばらついた場合でも、ロッドヘッド127の第1外周部127daが磁気コア101の内周面101aに確実に接触するようにして、ロッドヘッド127の第1外周部127daと磁気コア101の内周面101aとの摺動を安定化させる。
第1外周部127daと同じ径に形成される外周部の周方向長さをLda+2・Ldcに広げたことで、予期しない大きな外力が弁部材104に作用した場合でも、第1外周部127daと磁気コア101の内周面101aとが摺動する状態に戻すことが容易になる。
一方、ロッドヘッド127の第1外周部127daは、磁気コア101の内周面101aとの摺動を繰り返すうちに内周面101aに馴染み、弁軸心104a方向の広い範囲で内周面101aと接触するようになる。(Hda>Hdb)の関係を有することにより、第1外周部127daは内周面101aとの大きな接触部を有することになり、第1外周部127daの耐摩耗性及び摺動動作の安定性が向上する。
鍔部127cの下流側には、第2スプリング126の上流側端部が当接するばね座(下面127b)と、下面127bから下流側に向かって突出して第2スプリング126の内径側(内周側)に対向する第2スプリング126のガイド面132と、が形成される。すなわち、ばね受け部であるロッドヘッド127は、第2上面127abに上流側に向かって突出するように設けられ、第1スプリング118の径方向内側に配置される上流側突起部131と、下面127bから下流側に向かって突出して第2スプリング126の内径側に対向する第2スプリング126のガイド面132と、を有する。
ガイド面132はたとえば、第2スプリング126の座巻部分のみをガイドすることが望ましく、本実施例においては第2スプリング126の上流側1巻目のみをガイドする構成としている。ガイド面132より下流には、ガイド面132の外径よりも小径の突起部133が設けられており、突起部133はプランジャロッド113の上流側端部に設けられた穴部130に圧入固定される。ここで、プランジャロッド113の突起部129の直径(外径)はロッドヘッド127に設けられたガイド面132の直径(外径)よりも小さい。
本実施例においてはプランジャロッド113に設けられた穴部130に対してロッドヘッド127に形成された突起部(圧入部)133を上流側から圧入固定する構成とすることが望ましい。すなわち、ロッドヘッド127がプランジャロッド113に挿入されて固定されるように構成されるようにする。
ここで再び図2に戻り、燃料噴射装置100の構成を詳細に説明する。
ロッドヘッド127は、上方(上流側)から第1スプリング118の付勢力(第1スプリング力)を受け、下方(下流側)から第2スプリング126の付勢力(第2スプリング力)を受ける。後述するように第1スプリング力は第2スプリング力よりも大きく、結果的に、ロッドヘッド127には第1スプリング力と第2スプリング力との差分の付勢力がプランジャロッド113の突起部129の上端面に向かって作用する。ロッドヘッド127にはプランジャロッド113の穴部130から抜ける方向の力が加わらないので、ロッドヘッド127は穴部130に圧入固定するだけで十分であり、溶接する必要はない。
中間部材125についてさらに説明する。
図2に示す状態では、中間部材125は第2スプリング126の付勢力を受けて、凹部125cの底面125eがプランジャロッド113の段付き部128の上端面128aに当接している。すなわち、凹部125cの底面125eと段付き部128の上端面128aとの間隙G3の大きさ(寸法)がゼロである。中間部材125の底面125eと段付き部128の上端面128aとは中間部材125と段付き部128とが当接する当接面を構成する。
一方、アンカー110は第3スプリング124の付勢力(第3スプリング力)を受けて磁気コア101側に向けて付勢される。このため、アンカー110の上端面(上流側端面)110aが中間部材125の下端面(凹部125aの開口縁部)125bに当接する。第3スプリング124の付勢力は第2スプリング126の付勢力よりも弱い(小さい)ため、アンカー110は第2スプリング126により付勢された中間部材125を押し返すことはできず、中間部材125と第2スプリング126とにより上方(開弁方向)への動きを止められる。アンカー110の上端面110aと中間部材125の下端面125cとはそれぞれアンカー110と中間部材125とが当接する当接面を構成する。
中間部材125は、プランジャロッド113の段付き部128の上端面(基準位置)128aに位置づけられた状態で下端面125bがアンカー110と当接することにより、プランジャロッド113の係合部(段付き部128の下端面)128bとアンカー110の当接部(上端面110a)との間に間隙G2(G2>0)が形成される。第2スプリング126は中間部材125を段付き部128の上端面128aに位置づけるように閉弁方向に付勢している。なお図2の状態で、段付き部128の下端面128bと磁気コア101の下端面101bとは、弁軸心104a方向において、G1の距離だけ離れている。
中間部材125は、凹部125の底面125eが段付き部128の上端面128aと当接することにより、段付き部128の上端面128aに位置づけられる。
すなわち、燃料噴射装置100は、弁部材104を開弁方向に駆動するアンカー110と、アンカー110を吸引する磁気コア101と、を備え、磁気コア101の内周面101aにより筒状の燃料通路が形成される。弁部材104は下流側端部に弁体117を有するプランジャロッド113と、プランジャロッド113に組付けられた中間部材125と、中間部材125を介してアンカー110を下流側に付勢する第2スプリング126と、を有し、プランジャロッド113は上流側端部に径方向外側に鍔状に張り出す段付き部128を有する。中間部材125は、弁体117の閉弁状態では、段付き部128の上端面128aに当接し、アンカー110と段付き部128の下端面128bとの間に間隙を形成する。
ここで、以上説明した3つのスプリング118,126,124の付勢力について改めて説明しておく。第1スプリング118と第3スプリング124と第2スプリング126とのうち、第1スプリング118の付勢力が最も大きく、次に第2スプリング126の付勢力が大きく、第3スプリング124の付勢力が最も小さい。
本実施例では、アンカー110の上端面110aと磁気コア101の下端面101bとが当接するものとして説明しているが、アンカー110の上端面110a又は磁気コア101の下端面101bのいずれか一方、或いは両方に突起部が設けられ、突起部と端面とが、或いは突起部同士が当接するように構成される場合もある。この場合、隙間G1+G2は、アンカー110側の当接部と磁気コア101側の当接部との間の間隙になる。
次に、図4〜7を用いて、弁部材104及びアンカー110の動作について説明する。
電磁コイル108に通電中は、磁気回路を通る磁束によって磁気吸引ギャップG1+G2においてアンカー110と磁気コア101との間に磁気吸引力が発生し、アンカー110が第2スプリング126の付勢力を超える力で吸引されることで磁気コア101側へ動き始める。
次に図4の状態について、図7を参照しながら説明する。図4は、図1の部分拡大図で、燃料噴射装置100の電磁コイル108に駆動電圧(電流)を印加して、アンカー110がプランジャロッド113に当接した状態(開弁直前状態)を示す図である。図7は、本発明の一実施例に係る弁部材104の挙動(フルリフト)とアンカー110の挙動を模式的に示す図である。
図4の状態は、図7の時刻IIにおける状態に相当する。電磁コイル108に通電が開始され、アンカー110と磁気コア101との間に磁気吸引力が作用し、この磁気吸引力が第二スプリング126の付勢力よりも大きくなるとアンカー110が上方(開弁方向)へ動き始める。区間I〜IIでは、アンカー110は単独で上方に移動し、この間、プランジャロッド113は弁体117が噴孔部材103に当接している。図4は、アンカー110が上方へ移動し、アンカー110の上端面110aがプランジャロッド113の段付き部128の下端面128bに係合した状態を示している。すなわち、間隙G2=0である。
アンカー110が上方へ変位した分だけ、アンカー110と磁気コア101との間隙の大きさが減少し、G1(G1>0)となる。また、プランジャロッド113の段付き部128の上端面128aと中間部材125の凹部125cの底面125eとの間隙(寸法)はG3(G3>0)である。G3は中間部材125の凹部125cの深さ寸法から段付き部128の上端面128aと下端面128bとの間隔寸法を差し引いた寸法を有する。すなわちG3は、中間部材125の下端面125bがアンカー110の上端面110aに接触している状態で、アンカー110とプランジャロッド113とが相対変位可能な寸法に相当する。
区間I〜IIにおいて、アンカー110は加速し、ある程度の速度を有した状態でプランジャロッド113の段付き部128の下端面128bに当接する。このためアンカー110は、段付き部128の下端面128bに当接した時点から弁部材104を速やかに持ち上げることができ、プランジャロッド113の弁体117は開弁動作を速やかに開始することができる。
図5は、図1の部分拡大図で、燃料噴射装置100の電磁コイル108に駆動電圧(電流)を印加して、プランジャロッド113が開弁途中にある状態(中間リフト状態)を示した図である。
図5に示す状態は、図7の時刻IIIにおける状態に相当する。区間IIIの動作中、アンカー110、プランジャロッド113及び中間部材125は図5に示す状態を維持して、上方に移動する。図7の区間II〜VIでは、弁部材104とアンカー110との変位を表す曲線が重なっており、弁部材104とアンカー110とが一体となって変位している。そして、プランジャロッド113の弁体117は噴孔部材103から離間する。
図5では、アンカー110の上端面110aが磁気コア101の下端面101bに向かって変位をしている瞬間を示している。この場合、アンカー110の上端面110aと磁気コア101の下端面101bとの間隙G1’(G1’>0)はG1よりも変位分だけ小さくなる。また、中間部材125の下端面125bはアンカー110の上端面110aに当接しており、また、プランジャロッド113の段付き部128の下端面128bとアンカー110の上端面110aとが当接しているため(G2=0)、段付き部128の上端面128aと中間部材125の凹部125cの底面125eとの間隙はG3(G3>0)である。
図6は、図1の部分拡大図で、燃料噴射装置100の電磁コイル108に駆動電圧(電流)を印加して、プランジャロッド113が開弁を完了した状態(フルリフト状態)を示した図である。
図6に示す状態は、図7の区間II〜VIにおいて、弁部材104の変位がピークとなる状態を示している。このときのアンカー110、プランジャロッド113及び中間部材125の位置関係は、アンカー110の磁気コア101からのバウンス状態や、プランジャロッド113の慣性力による単独での上方への移動量等によって異なる時間を経て、図6に示す状態となる。図6では、アンカー110の上端面110aと磁気コア101の下端面101bとの間隙G1の大きさはゼロである(G1=0)。また、プランジャロッド113の段付き部128の下端面128bとアンカー110の上端面110aとの間隙G2はゼロであり(G2=0)、段付き部128の上端面128aと中間部材125の凹部125cの底面125eとの間隙はG3(G3>0)である。
図6に示すように、アンカー110の上端面110aが磁気コア101の下端面101bに衝突すると、アンカー110は上方への移動を妨げられる。このとき、プランジャロッド113はアンカー110に対して相対的に変位し始める。すなわち、磁気コア101の下端面101bに衝突して上方への移動を停止したアンカー110に対して、プランジャロッド113は慣性力で上方への移動を継続することにより、プランジャロッド113はアンカー110に対して相対的に変位する。このとき、プランジャロッド113の段付き部128の下端面128bとアンカー110の上端面110aとの当接は解除されるため、一時的にG2はプランジャロッド113のアンカー110に対する相対変位分だけ増加する。
プランジャロッド113が慣性力により単独でさらに上方へ移動する場合には、G3がゼロとなり、中間部材125がプランジャロッド113と一体で上方へ移動することにより、中間部材125の下端面125bがアンカー110の上端面110aから離れてしまう場合もある。プランジャロッド113が慣性力により単独で上方へ移動する場合には、所定のストローク量を超えて移動することになり、弁体117と噴孔部材103との隙間は一時的に開弁静止状態で維持される所定の大きさを超えることになる。
やがて上方へ移動したプランジャロッド113は第1スプリング118により押し戻され、段付き部128の下端面128bがアンカー110の上端面110aに当接した状態(図6の状態)で静止する。これにより、プランジャロッド113が所定のストローク量(G1)だけ持ち上げられた開弁静止状態となる。この状態では、アンカー110が磁気吸引力により磁気コア101に吸引され、弁部材104が第1スプリング118の付勢力により閉弁方向に付勢されるため、アンカー110とプランジャロッド113とは弁軸心104a方向に当接し一体となっている。すなわち、プランジャロッド113の段付き部128の下端面128bとアンカー110の上端面110aとが当接して、間隙G2の大きさはゼロとなる。また、第2スプリング126は磁気吸引力に対抗してアンカー110を押し戻すことはできないため、中間部材125の下端面125bはアンカー110の上端面110aに当接している。このため、プランジャロッド113の段付き部128の上端面128aと中間部材125の凹部125cの底面125eとの間隙はG3である。また、アンカー110と磁気コア101とは当接しており、アンカー110の上端面110aと磁気コア101の下端面101bとの間隙大きさはゼロとなっている(G1=0)。
図6に示した状態(フルリフト状態)において駆動パルスをOFFにすると、電磁コイル108への通電が遮断され、アンカー110と磁気コア101との間に働く磁気吸引力が消失する。そして磁気吸引力が第1スプリング118の付勢力よりも小さくなると、弁部材104は閉弁方向への移動を開始する(図6の時刻V)。電磁コイル108への通電遮断から磁気吸引力が第1スプリング118の付勢力よりも小さくなるまでには時間がかかるため、閉弁開始時刻は電磁コイル108への通電遮断のタイミングVよりも遅れる。閉弁方向へ移動を開始した弁部材104はアンカー110と一体になって変位し、G1だけ変位したのちに弁体117が弁座103aに着座して閉弁状態に至る。
ロッドヘッド127と磁気コア101の貫通孔内周面101aとの摺動を繰り返すことにより、摺動抵抗増加により電磁コイル108への通電遮断から閉弁開始時刻の遅れが増大する。本実施例のロッドヘッド(被案内部)127は磁気コア101の貫通孔内周面(案内部)101aとの摺動において、摺動面積の大きい範囲で摺動し、摺動部の摩耗と摺動抵抗増加を抑制することが可能となり、燃料噴射装置100のロッドヘッド127と磁気コア101の貫通孔内周面101aとの摺動の安定化につながる。燃料噴射装置100のロッドヘッド127と磁気コア101の貫通孔内周面101aとの摺動の安定化によって、安定的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置100を提供することができる。
次に、図8〜10を用いて、燃料噴射装置100の組立方法について説明する。
図8は、本体側組品134を組み立てた状態を示す断面図である。
図8に示す通り、弁部材104の組立てとは別に、本体側組品134の組み立てを行う。
ノズルホルダ102の一端部(上流側端部)からノズルホルダ102の内側に第3スプリング124とアンカー110とを組み付け、その後、ノズルホルダ102の一端部に磁気コア101を圧入し、磁気コア101をノズルホルダ102にレーザ溶接にて固定する。その後、ハウジング109及び電磁コイル108をノズルホルダ102及び磁気コア101の外周部に組付ける。この際、ノズルホルダ102の外周面102aとハウジング109の内周面109aとは圧入により固定、もしくは圧入後に、ハウジング下端部とノズルホルダ外周部とをレーザ溶接等により固定する。
なお図8では図示していないが、上記工程の後、樹脂成型体135(図1参照)をハウジング109の上端開口部付近から絶縁樹脂を注入することでコネクタ部136と一体にモールド成形する。このコネクタ部136は燃料噴射装置100をECU120に電気的に接続するためのものである。
図9は、本体側組品134に弁部材104を組み付けた状態を示す断面図である。
図9に示す通り、本体側組品134の磁気コア101には、径方向中央部に軸方向(弁軸心104a方向)に貫通する貫通孔101aが形成されている。本体側組品134に、磁気コア101の燃料供給口111から弁部材104を挿入して組み付ける。
弁部材104は、磁気コア101の燃料供給口111から挿入できるよう、ロッドヘッド127の鍔部外周面127dの径φ127d(図3参照)、第2スプリング126の最大外径φ126(図3参照)、中間部材125の外径φ125(図3参照)及びプランジャロッド113の最大外径(段付き部の外径)φ128(図3参照)が貫通孔101aの直径(内径)φ101aよりも小さく構成されている。
本体側組品134に弁部材104を組み付けた後、燃料供給口111から第1スプリング118及び調整子119が磁気コア101の貫通孔101a内に組み付けられ、図2の状態の燃料噴射装置100が完成する。
このことにより、中間部材125及び第2スプリング126を含む複雑な機構部(弁部材104)を、磁気コア101の組み付け後に、燃料噴射装置100に組み付けることができ、この機構部を交換することも可能である。中間部材125及び第2スプリング126はプランジャロッド113に組み付けられているので、組み付け或いは交換を容易に行うことができる。
図10を用いて、弁部材104の変更例の構成を詳細に説明する。図10は、本発明の一実施例(変更例)に係る弁部材104を概略的に示した図である。なお、以下で説明する構成以外の構成は、上述した実施例と同様に構成される。上述した実施例と同様な構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本変更例では、第1上面127aaと第2上面127abとが繋がることで平面形状を形成し、かつ平面形状は第1上面127aaから第2上面127abに向かって下流側に位置するように形成されている。すなわち、第1上面127aaと第2上面127abとは弁軸心104aに直交する平面に対して傾斜した傾斜面を形成する。
第1スプリング118は、所望の付勢力(セット荷重)を発生させるために、組立状態で任意のセット長に圧縮する必要がある。ロッドヘッド127は、第1スプリング118の下端部とロッドヘッド127の上面127aで接触するが、ロッドヘッド127の第1上面127aaは、ロッドヘッド127の第2上面127abよりも上流側に位置しており、第1スプリング118の付勢力(セット荷重)は第1上面127aaの方が第2上面127abよりも大きい。すなわち、ロッドヘッド127は必ずロッドヘッド127の第1上面127aaの方向に傾けられ、ロッドヘッド127は磁気コア101の内周面(案内部)101aとの摺動を第1上面127aaの第1外周部127daで行うことができる。
第1外周部127daの第1周方向長さLdaは第2上面127abの第2外周部127dbの第2周方向長さLdbよりも大きい。また、第1外周部127daの第1軸方向長さHdaは第2外周部127dbの第2軸方向長さHdbよりも大きい。
すなわち、ロッドヘッド127は、開閉弁動作時に、摺動面積の大きい範囲で、案内部(磁気コア101の内周面)101aに対して摺動し、摺動部の摩耗と摺動抵抗増加を抑制することが可能となる。これにより、燃料噴射装置100のロッドヘッド127と磁気コア101の内周面101aとの摺動が安定化される。ロッドヘッド127と磁気コア101の内周面101aとの摺動の安定化によって、安定的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置100を提供することができる。
本実施例では、第3スプリングを用いてアンカー110がプランジャロッド113に対して相対変位可能にし、且つ中間部材125及び第2スプリングを用いた構成について説明しているが、例えばアンカー110がプランジャロッド113に対して固定され、第3スプリング、中間部材125及び第2スプリングを備えないような構成であってもよい。すなわちロッドヘッド127と磁気コア101の内周面101aとの摺動関係を有するような構成であれば、本発明を実施することができる。なお、アンカー110がプランジャロッド113に対して固定され、第3スプリング、中間部材125及び第2スプリングを備えないような構成であれば、ロッドヘッド127の形状をプランジャロッドの上端部に形成することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や他の構成を組み合わせることができる。また本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
101…磁気コア、101a…磁気コア101の貫通孔、103…噴孔部材、104…弁部材、110…アンカー、110a…アンカー110の上流側端面、110c…アンカー110の貫通孔(内周面)、113…プランジャロッド、118…第1スプリング(巻ばね)、125…中間部材、126…第2スプリング(巻ばね)、127…ロッドヘッド、127aa…ロッドヘッド127の第1上面、127ab…ロッドヘッド127の第2上面、127b…ロッドヘッド127の下面、127c…ロッドヘッド127の鍔部、127da…ロッドヘッド127の第1上面127aaの第1外周面、127db…ロッドヘッド127の第2上面127abの第2外周面、128…プランジャロッド113の段付き部、128b…段付き部128の下流側端面、129…プランジャロッド113の突起部、130…プランジャロッド113の穴部、132…ガイド面、133…ロッドヘッド127の突起部。

Claims (14)

  1. 弁部材の上部に設けられたばね受け部を備え、前記ばね受け部が筒状の燃料通路の内周部でガイドされる外周部を有する燃料噴射装置であって、
    前記ばね受け部は、
    上流側に配置された第1スプリングの下端部と接触する第1上面と、
    前記第1スプリングの下端部と対向するとともに前記第1スプリングの下端部から受ける荷重が前記第1上面よりも小さい、又は前記第1スプリングの下端部から荷重を受けない第2上面と、を有する燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2上面は弁軸心に垂直な平面形状に形成されるとともに、前記第1上面よりも下流側に形成された燃料噴射装置。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2上面は径方向において前記弁軸心を含む一方の側に形成されて前記弁軸心と交差する燃料噴射装置。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1上面は弁軸心に垂直な平面形状に形成され、
    前記第1上面は前記径方向において他方の側に形成されて前記弁軸心に対して径方向外側に外れた位置に設けられる燃料噴射装置。
  5. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1上面と前記第2上面とが繋がることで平面形状を形成し、かつ前記平面形状は前記第1上面から前記第2上面に向かって下流側に位置するように形成された燃料噴射装置。
  6. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1上面の第1外周部の第1周方向長さは前記第2上面の第2外周部の第2周方向長さよりも大きくなるように構成された燃料噴射装置。
  7. 請求項6に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1周方向長さは前記第2周方向長さの2倍以上となるように構成された燃料噴射装置。
  8. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1上面の第1外周部における弁軸心方向の長さである第1軸方向長さは前記第2上面の第2外周部における弁軸心方向の長さである第2軸方向長さよりも大きくなるように構成された燃料噴射装置。
  9. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記ばね受け部の前記第2上面は前記第1スプリングの前記下端部に対し、下流側に離隔して位置するように構成された燃料噴射装置。
  10. 請求項9に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1スプリングの前記下端部のうち前記第1上面と接触する部分と前記第2上面に対向する部分とは弁軸心方向において同じ位置となるように形成された燃料噴射装置。
  11. 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1上面の第1外周部と前記第2上面の第2外周部との間に2か所の弁軸心方向の燃料流路が形成された燃料噴射装置。
  12. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記弁部材を開弁方向に駆動するアンカーと、前記アンカーを吸引する磁気コアと、を備え、
    筒状の前記燃料通路は前記磁気コアの内周面により形成された燃料噴射装置。
  13. 請求項12に記載の燃料噴射装置において、
    前記弁部材は、下流側端部に弁体を有するプランジャロッドと、前記プランジャロッドに組付けられた中間部材と、前記中間部材を介して前記アンカーを下流側に付勢する第2スプリングと、を有し、
    前記プランジャロッドは上流側端部に径方向外側に鍔状に張り出す段付き部を有し、
    前記中間部材は、前記弁体の閉弁状態では、前記段付き部の上端面に当接し、前記アンカーと前記段付き部の下端面との間に間隙を形成する燃料噴射装置。
  14. 請求項13に記載の燃料噴射装置において、
    前記ばね受け部は、
    前記第2上面に上流側に向かって突出するように設けられ、前記第1スプリングの径方向内側に配置される上流側突起部と、
    下面から下流側に向かって突出して前記第2スプリングの内径側に対向する前記第2スプリングのガイド面と、
    を有する燃料噴射装置。
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