JP2020176526A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Yasuhiro Kawase
康裕 川瀬
洋介 大庭
Yosuke Oba
洋介 大庭
土方 康種
Yasutane Hijikata
康種 土方
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Abstract

【課題】再始動時における潤滑不良を抑制する。【解決手段】オイルを含む流体を吸入する吸入口31aを有するハウジング30と、吸入口31aから可動スクロール11にオイルを含む流体を供給するオイル供給流路251と、を備える。さらに、可動基板111の上下方向の上側の面に、オイル供給流路251を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部113を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。
従来、特許文献1に記載された圧縮機がある。この圧縮機は、旋回スクロールと、固定スクロールと、旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構を備えている。この自転防止機構は、自転防止穴を有しており、旋回スクロールの一部に、旋回スクロールの外周を取り囲む空間から自転防止穴へ連通する連通路として溝が形成されている。これにより、溝を介して自転防止穴へオイルを含んだ冷媒が供給される。
特開2001−329966号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された圧縮機は、長時間運転を停止していると自転防止機構の周辺のオイルが枯渇してしまう。このため、再始動時に、自転防止機構の周辺にオイルが到達するまでに時間を要し、オイル不足による潤滑不良となる可能性がある。このように、オイル不足になると、自転防止機構が損傷する可能性がある。
本発明は上記点に鑑みたもので、再始動時における潤滑不良を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、回転軸(25)と、板状の固定基板(121)から立設された渦巻き状の固定歯部(122)を有する固定スクロール(12)と、固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板(111)の一面から立設されるとともに固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部(112)を有する可動スクロール(11)と、を有し、回転軸の軸周りに可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出するスクロール圧縮機であって、オイルを含む流体を吸入する吸入口(31a)を有するハウジング(31)と、吸入口から可動スクロールにオイルを含む流体を供給するオイル供給流路(251)と、可動基板の上下方向の上側の面に配置されオイル供給流路を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部(113)と、を備えている。
上記した構成によれば、可動基板の上下方向の上側の面にオイル供給流路を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部が配置されているので、スクロール圧縮機が再始動する際に、可動スクロールに配置されたオイル溜め部からオイルが溢れ出し可動スクロールを速やかに潤滑する。したがって、再始動時における潤滑不良を抑制することができる。
上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、回転軸(25)と、板状の固定基板(121)から立設された渦巻き状の固定歯部(122)を有する固定スクロール(12)と、固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板(111)の一面から立設されるとともに固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部(112)を有する可動スクロール(11)と、を有し、回転軸の軸周りに可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出するスクロール圧縮機であって、オイルを含む流体を吸入する吸入口(31a)を有するハウジング(31)と、可動基板の上下方向の上側の面に配置され吸入口を介してハウジングの内部に吸入される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部(113)と、を備え、ハウジング内には、ロータ(22)に与える回転磁界を発生させるステータ(21)を有し、通電により可動スクロールに回転駆動力を発生させる電動機部(20)を収容するモータ室(32)と、モータ室より上下方向の下側にオイルを含む流体を溜める溝部(37)と、溝部の内部とオイル溜め部との間を連通する連通穴(38)が形成され、ステータの少なくとも一部が溝部に溜められたオイルに浸漬する。
上記した構成によれば、可動基板の上下方向の上側の面に連通穴を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部(113)が配置されているので、スクロール圧縮機が再始動する際に、可動スクロールに配置されたオイル溜め部からオイルが溢れ出し可動スクロールを速やかに潤滑する。したがって、再始動時における潤滑不良を抑制することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施
形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル装置の構成図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機の概略断面構成を示した図である。 第1実施形態に係るスクロール圧縮機のクランク部の周辺を拡大した図である。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機の概略断面構成を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るスクロール圧縮機について図1〜図3を用いて説明する。スクロール圧縮機1は、車載空調装置の冷凍サイクル装置に適用されるものである。図1に示すように、冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮して吐出するスクロール圧縮機1と、スクロール圧縮機1から吐出された冷媒と外気との熱交換によって冷媒を放熱する放熱用熱交換器102と、を備えている。また、冷凍サイクル装置は、放熱用熱交換器2から流出した冷媒を減圧する減圧器103と、減圧器103によって減圧された冷媒と空気との熱交換によって空気を冷却する蒸発器104と、を備えている。また、冷凍サイクル装置は、スクロール圧縮機1から吐出された冷媒に含まれるオイルを分離するオイル分離機構105と、オイル分離機構105によって分離されたオイルを溜めるオイル貯留部106と、を備えている。また、冷凍サイクル装置は、オイル貯留部106から流出したオイルと冷媒を混合させてスクロール圧縮機1の吸入口に導く流路107を備えている。なお、オイル分離機構105およびオイル貯留部106は、スクロール圧縮機1の一部を構成している。
スクロール圧縮機1は、電動圧縮機であり、冷媒を圧縮する圧縮機構部10と、圧縮機構部10を駆動する電動機部20とを縦方向に配置した縦置きタイプになっている。
圧縮機構部10および電動機部20は、ハウジング30に収容されている。
ハウジング30は、流体としての冷媒をハウジング30の内部に吸入する吸入口31aと、圧縮した流体を吐出する吐出口31bと、を有している。なお、冷媒はオイルを含んでいる。
また、ハウジング30は、電動機部20を収納するモータ室32と、圧縮機構部10を収納する吸入室33と、インバータもしくは配線を収納するインバータ収納部34と、後述する可動スクロール11の背面に位置する可動スクロール背面空間36を有している。ハウジング30は、鉄にて形成されている。
電動機部20は、固定子をなすステータ21と、回転子をなすロータ22とを有している。ステータ21は、ハウジング30の内部に固定されている。ステータ21は、ステータコア211と、ステータコア211に巻き付けられたステータコイル212とを有している。
ロータ22は、有底円筒状を成すモータロータ221と、永久磁石222を含んで構成されている。モータロータ221の径方向内側にステータ21が配置されている。また、モータロータ221の軸心に形成された中心孔には、鉛直方向に延びる回転軸25が固定されている。永久磁石222は、モータロータ221の内周面に配置されている。
電動機部20は、ロータ22がステータ21の外周側に配置されたアウタロータ型モータとして構成されている。電動機部20をアウタロータ型モータとして構成することにより回転軸25の軸線方向の長さを短くすることが可能となっている。
回転軸25は、細長い円筒状に形成され、上下方向に延びるように配置されている。回転軸25には、バランサ42とクランク部43が設けられている。回転軸25、バランサ42およびクランク部43は、金属製の材料によって一体成型されている。
回転軸25は、複数の軸受け27によって回転自在に支持されている。各軸受け27は、ハウジング30の内部に固定されている。
バランサ42は、回転軸25のうち軸受け27よりも軸線方向一方側の部位に設けられている。バランサ42は、ハウジング30の可動スクロール背面空間36に配置されている。バランサ42は、回転軸25とともに回転して後述する可動スクロール11のアンバランスを緩和する。
クランク部43は、回転軸25のうち軸線方向の一方側の端部に設けられている。クランク部43は、円板形状を成しており、軸受け120によって回動可能に支持されている。クランク部43の中心は、回転軸25の軸心に対して偏心している。
軸受け120は、後述する可動スクロール11の可動基板111の上下方向の上側に面に形成された凹部114に配置されている。
回転軸25には、回転軸25の軸方向に延びるオイル供給流路251が形成されている。オイル供給流路251は、軸線方向の他方側の面から一方側の面に向かって延びている。オイル供給流路251は、吸入口31aからハウジング30の内部に吸入された流体を後述するオイル溜め部113へと導く流路である。
バランサ42よりも回転軸25の軸線方向一方側には、ハウジング30の吸入室33が形成されている。吸入室33には、圧縮機構部10が配置されている。
圧縮機構部10は、可動スクロール11および固定スクロール12を有している。固定スクロール12は、可動スクロール11に対して軸線方向一方側に配置されている。すなわち、固定スクロール12は、可動スクロール11に対して上下方向の下側に配置されている。
可動スクロール11は、円板状の可動基板111と、この可動基板111から立設された渦巻き状の可動歯部112を有している。
固定スクロール12は、円板状の固定基板121と、この固定基板121から立設された渦巻き状の固定歯部122を有している。
可動スクロール11および固定スクロール12は、互いの歯部112、122が形成された面が対向するように配置されている。より詳細には、可動スクロール11および固定スクロール12は、可動歯部112と可動歯部112とが噛み合うように対向配置されている。
可動スクロール11の上下方向の上側の面、すなわち、軸線方向の他方側の面には、可動スクロール11が偏心軸253周りに自転することを防止する自転防止機構13が設けられている。
自転防止機構13は、可動基板111の上下方向の上側の面に形成された凹部132と、ハウジング30から上下方向の下側に突出して凹部132の内部へと延びる自転防止ピン131と、を有している。本実施形態のスクロール圧縮機1は、4つの自転防止機構13を備えている。
このため、回転軸25が回転すると、可動スクロール11は自転することなく、回転軸25の回転中心を中心として旋回運動する。
可動スクロール11および固定スクロール12の歯部112、122同士が噛み合って複数箇所で接触することによって、三日月状の作動室15が複数個形成される。
作動室15は、可動スクロール11が公転運動することによって外周側から中心側へ容積を変化させながら移動する。作動室15の容積を拡大させることによって作動室15には、吸入口31aおよび吸入室33を通して冷媒を供給されるようになっており、作動室15の容積が減少することによって作動室15内の冷媒が圧縮される。
固定基板121の中心部には、作動室15で圧縮された冷媒が吐出される吐出ポート123が形成されている。
固定基板121に対して軸線方向一方側には、吐出ポート123に連通する吐出室124が形成されている。
吐出室124には、吐出ポート123を介して作動室15へ冷媒が逆流することを防止するとともに、吐出ポート123を開閉するリード弁(図示せず)と、リード弁の最大開度を規制するストッパ19とが配置されている。
図3に示すように、可動基板111の上下方向の上側の面には、可動基板111の板厚方向に凹む凹部114が形成されている。この凹部114に軸受け120が配置され、軸受け120によってクランク部43が回動可能に支持されている。
軸受け120は、内輪120a、外輪120bおよび鋼球120cを有している。外輪120bの直径は、内輪120aよりも大きくなっている。また、内輪120aは、外輪120bの内側に配置されている。外輪120bと内輪120aの間にベアリング空間が形成されており、このベアリング空間に複数の鋼球120cが配置されている。
本スクロール圧縮機1においては、軸受け120の外輪120bと内輪120aの間に形成されるベアリング空間にオイルを含む流体が侵入するようになっている。そして、このベアリング空間がオイルを溜めるオイル溜め部113として機能する。
次に、本実施形態のスクロール圧縮機1の作動について説明する。
まず、外部からステータコイル212に電力を供給すると、ステータコイル212からロータ22に回転磁界が与えられてロータ22に回転力が発生する。このため、回転軸25がロータ22と一体に回転する。このとき、回転軸25の回転に伴って、バランサ42とクランク部43も回転する。
この際に、回転軸25の回転力は、クランク部43を通して可動スクロール11に伝わる。このため、可動スクロール11は、固定スクロール12に対して旋回運動する。このことにより、複数の作動室15の容量が変化する。このため、ハウジング30の吸入口31aからオイル供給流路251を通して複数の作動室15のうちいずれかの作動室15に吸入され、この吸入された冷媒の圧力が上昇すると、冷媒圧力がリード弁を開弁して吐出ポート123を開ける。
この際に、作動室15からの高圧冷媒は、吐出ポート123を通して吐出室124に吐出され、吐出口31bから吐出される。
また、ハウジング30の吸入口31aからハウジング30の内部に吸入されたオイルを含む冷媒は、オイル供給流路251を通して軸受け120の外輪120bと内輪120aの間に形成されるオイル溜め部113に溜められる。
そして、スクロール圧縮機1が作動を停止すると、オイルを含む冷媒はオイル溜め部113に溜められたままの状態となる。
また、スクロール圧縮機1が再始動すると、回転軸25に回転に伴って、可動スクロール11が旋回運動する。そして、可動スクロール11に配置されたオイル溜め部113からオイルが溢れ出し、可動スクロール11を速やかに潤滑する。
なお、オイル溜め部113から溢れ出したオイルにより、特に、凹部132と自転防止ピン131の接触部、可動基板111の上下方向の上側の面とハウジング30の接触部が速やかに潤滑される。
また、本スクロール圧縮機は、ハウジング30に形成された吐出口31bから吐出されたオイルを含む流体からオイルを分離するオイル分離機構105を備えている。また、オイル分離機構105により分離されたオイルに流体を混合させて吸入口に導く流路107を備えている。
したがって、スクロール圧縮機が作動を停止した際に、その残圧によってオイル分離機構105によって分離されたオイルがオイル溜め部113まで導かれる。
以上、説明したように、本スクロール圧縮機は、回転軸25と、板状の固定基板121から立設された渦巻き状の固定歯部122を有する固定スクロール12と、を備えている。また、固定スクロール12より上下方向の上側に配置され、板状の可動基板111の一面から立設されるとともに固定歯部122と噛み合う渦巻き状の可動歯部112を有する可動スクロール11を備えている。そして、回転軸25の軸周りに可動スクロール11が旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出する。
また、スクロール圧縮機は、オイルを含む流体を吸入する吸入口31aを有するハウジング30と、吸入口31aから可動スクロール11にオイルを含む流体を供給するオイル供給流路251と、備えている。さらに、可動基板の上下方向の上側の面に配置されオイル供給流路251を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部113を備えている。
上記した構成によれば、可動基板111の上下方向の上側の面にオイル供給流路251を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部113が配置されている。これにより、スクロール圧縮機が再始動する際に、可動スクロール11に配置されたオイル溜め部113からオイルが溢れ出し、可動スクロール11を速やかに潤滑する。したがって、再始動時における潤滑不良を抑制することができる。
また、本スクロール圧縮機は、凹部132と自転防止ピン131と、を有し、可動スクロール11の自転を防止する自転防止機構13を備えている。なお、凹部132は、可動基板111の上下方向の上側の面に形成され可動基板111の厚さ方向に凹むよう形成されている。また、自転防止ピン131は、ハウジング30から上下方向の下側に突出して凹部132の内部へと延びる。そして、流体に含まれるオイルが凹部132に溜まる。このように、さらに、自転防止機構13の凹部132にオイルを溜めるようにして可動スクロール11を速やかに潤滑することもできる。
また、本スクロール圧縮機は、ハウジング30に形成された吐出口31bから吐出されたオイルを含む流体からオイルを分離するオイル分離機構105を備えている。また、オイル分離機構105により分離されたオイルに流体を混合させて吸入口に導く流路107を備えている。
したがって、スクロール圧縮機が作動を停止した際に、その残圧によってオイル分離機構105によって分離されたオイルをオイル溜め部113まで導くことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るスクロール圧縮機について図4を用いて説明する。上記第1実施形態のスクロール圧縮機1は、回転軸25にオイル供給流路251が形成されているが、本実施形態のスクロール圧縮機1は、回転軸25にオイル供給流路251が形成されていない。また、本実施形態のスクロール圧縮機1は、ハウジング30内に、モータ室32より上下方向の下側にオイルを溜める溝部37が形成されるとともに溝部37のオイルをオイル溜め部113に供給する連通穴38が形成されている。
溝部37は、回転軸25の軸心を中心とするドーナツ状に形成されている。連通穴38は、溝部37の内部と可動スクロール背面空間36の間を連通している。溝部37は、連通穴38に近付くにつれて深くなっている。また、連通穴38は、溝部37の最深部から可動スクロール背面空間36へオイルを供給する。
可動スクロール背面空間36には、バランサ42が配置されている。そして、バランサ42は、回転軸25とともに回転する。このため、スクロール圧縮機1の作動中には、バランサ42によって溝部37から可動スクロール背面空間36へのオイルの供給が妨げられる。つまり、溝部37にオイルが溜まった状態となり、ステータ21の一部が溝部37に溜まったオイルに浸漬する。したがって、溝部37に溜まったオイルによってステータ21を冷却することができる。
なお、吸入口31aからハウジング30の内部に吸入された冷媒でステータ21を冷却すると、吸入冷媒が膨張して吸入冷媒の密度が小さくなりスクロール圧縮機1の効率が低下する。しかし、本実施形態では、溝部37に溜まったオイルでステータ21を冷却する。このため、スクロール圧縮機1の効率を低下させることなくステータ21を冷却することができる。
また、スクロール圧縮機1が作動を停止すると、溝部37に溜まったオイルが連通穴38を通って可動スクロール背面空間36へ流入する。そして、可動スクロール背面空間36に流入したオイルは、軸受け120の外輪120bと内輪120aの間に形成されるオイル溜め部113に溜められる。
そして、スクロール圧縮機1が作動を停止すると、オイルはオイル溜め部113に溜められたままの状態となる。
また、スクロール圧縮機1が再始動すると、回転軸25に回転に伴って、可動スクロール11が旋回運動する。そして、可動スクロール11に配置されたオイル溜め部113からオイルが溢れ出し、可動スクロール11を速やかに潤滑する。
以上、説明したように、本スクロール圧縮機1は、回転軸25と、板状の固定基板121から立設された渦巻き状の固定歯部122を有する固定スクロール12と、を備えている。
また、固定スクロール12より上下方向の上側に配置され、板状の可動基板111の一面から立設されるとともに固定歯部122と噛み合う渦巻き状の可動歯部112を有する可動スクロール11を備えている。そして、回転軸25の軸周りに可動スクロール11が旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出する。
また、スクロール圧縮機は、オイルを含む流体を吸入する吸入口31aを有するハウジング30を備えている。また、可動基板111の上下方向の上側の面に配置され吸入口31aを介してハウジング30の内部に吸入される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部113を備えている。
また、ハウジング30内には、ロータ22に与える回転磁界を発生させるステータ21を有し、通電により可動スクロール11に回転駆動力を発生させる電動機部20を収容するモータ室32が形成されている。
また、ハウジング30内には、モータ室32より上下方向の下側にオイルを含む流体を溜める溝部37が形成されている。さらに、ハウジング30内には、溝部37の内部とオイル溜め部113との間を連通する連通穴38が形成されている。そして、ステータ21の少なくとも一部が溝部37に溜められたオイルに浸漬する。
上記した構成によれば、可動基板111の上下方向の上側の面に連通穴38を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部113が配置されている。
このため、スクロール圧縮機が再始動する際に、可動スクロール11に配置されたオイル溜め部113からオイルが溢れ出し、可動スクロール11を速やかに潤滑する。したがって、再始動時における潤滑不良を抑制することができる。
また、ステータ21の少なくとも一部が溝部37に溜められたオイルに浸漬するので、溝部37に溜められたオイルによりステータ21を冷却することができる。
また、本スクロール圧縮機1は、回転軸25とともに回転して可動スクロール11のアンバランスを緩和するバランサ42を備えている。また、ハウジング30には、可動基板111の上下方向の上側にオイル溜め部113を収納する可動スクロール背面空間36が形成されている。そして、バランサ42が回転軸25とともに回転することによりバランサ42が連通穴38を断続的に塞ぐ。
したがって、スクロール圧縮機1の作動中に、バランサ42によって溝部37から可動スクロール背面空間36へのオイルの供給が断続的に妨げられ、溝部37にオイルが溜まった状態となる。このため、溝部37に溜まったオイルによってステータ21を冷却することができる。また、スクロール圧縮機1が作動を停止した際には、溝部37に溜まったオイルが連通穴38を通って可動スクロール背面空間36へ流入するため、オイル溜め部113にオイルを溜めることができる。
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、電動機部20をアウタロータ型モータとして構成したが、インナロータ型モータとして構成してもよい。
(2)上記各実施形態では、可動基板111の上下方向の上側の面に軸受け120を配置し、軸受け120の外輪120bと内輪120aの間に形成されるベアリング空間をオイル溜め部113として機能させるようにした。これに対し、可動基板111の上下方向の上側の面に、可動基板111の厚さ方向に凹む凹み部を形成し、この凹み部をオイル溜め部113として機能させるようにしてもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、本スクロール圧縮機は、回転軸と、板状の固定基板から立設された渦巻き状の固定歯部を有する固定スクロールと、を備えている。また、固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板の一面から立設されるとともに固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部を有する可動スクロールを備えている。そして、回転軸の軸周りに可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出する。
また、スクロール圧縮機は、オイルを含む流体を吸入する吸入口を有するハウジングと、吸入口から可動スクロールにオイルを含む流体を供給するオイル供給流路と、備えている。さらに、可動基板の上下方向の上側の面に配置されオイル供給流路を介して供給される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部を備えている。
また、第2の観点によれば、本スクロール圧縮機は、回転軸と、板状の固定基板から立設された渦巻き状の固定歯部を有する固定スクロールと、を備えている。また、固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板の一面から立設されるとともに固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部を有する可動スクロールを備えている。そして、回転軸の軸周りに可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出する。
また、スクロール圧縮機は、オイルを含む流体を吸入する吸入口を有するハウジングを備えている。また、可動基板の上下方向の上側の面に配置され吸入口を介してハウジングの内部に吸入される流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部を備えている。
また、ハウジング内には、ロータに与える回転磁界を発生させるステータを有し、通電により可動スクロールに回転駆動力を発生させる電動機部を収容するモータ室が形成されている。また、ハウジング内には、モータ室より上下方向の下側にオイルを含む流体を溜める溝部が形成されている。さらに、ハウジング内には、溝部の内部とオイル溜め部との間を連通する連通穴が形成されている。そして、ステータの少なくとも一部が溝部に溜められたオイルに浸漬する。
また、第3の観点によれば、スクロール圧縮機は、回転軸とともに回転して可動スクロールのアンバランスを緩和するバランサを備えている。また、ハウジングには、可動基板の上下方向の上側にオイル溜め部を収納する可動スクロール背面空間が形成されている。そして、バランサが回転軸とともに回転することによりバランサが連通穴を断続的に塞ぐ。
したがって、スクロール圧縮機の作動中に、バランサによって溝部から可動スクロール背面空間へのオイルの供給が断続的に妨げられ、溝部にオイルが溜まった状態となり、溝部に溜まったオイルによってステータを冷却することができる。また、スクロール圧縮機1が作動を停止した際には、溝部に溜まったオイルが連通穴を通って可動スクロール背面空間へ流入するため、オイル溜め部にオイルを溜めることができる。
また、第4の観点によれば、スクロール圧縮機は、凹部と自転防止ピンと、を有し、可動スクロールの自転を防止する自転防止機構を備えている。なお、凹部は、可動基板の上下方向の上側の面に形成され可動基板の厚さ方向に凹むよう形成されている。また、自転防止ピンは、ハウジングから上下方向の下側に突出して凹部の内部へと延びる。そして、流体に含まれるオイルが凹部に溜まる。このように、さらに、自転防止機構の凹部にオイルを溜めるようにして可動スクロールを速やかに潤滑することもできる。
また、第5の観点によれば、スクロール圧縮機は、ハウジングに形成された吐出口から吐出されたオイルを含む流体からオイルを分離するオイル分離機構を備えている。また、オイル分離機構により分離されたオイルに流体を混合させて吸入口に導く流路を備えている。
したがって、スクロール圧縮機が作動を停止した際に、その残圧によってオイル分離機構によって分離されたオイルをオイル溜め部まで導くことができる。
1 スクロール圧縮機
10 圧縮機後部
11 可動スクロール
12 固定スクロール
13 自転防止機構
20 電動機部
21 ステータ
22 ロータ
30 ハウジング
31a 吸入口
32 モータ室
36 可動スクロール背面空間
37 溝部
38 連通孔
113 オイル溜め部
251 オイル供給流路

Claims (5)

  1. 回転軸(25)と、板状の固定基板(121)から立設された渦巻き状の固定歯部(122)を有する固定スクロール(12)と、前記固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板(111)の一面から立設されるとともに前記固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部(112)を有する可動スクロール(11)と、を有し、前記回転軸の軸周りに前記可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出するスクロール圧縮機であって、
    前記オイルを含む流体を吸入する吸入口(31a)を有するハウジング(31)と、
    前記吸入口から前記可動スクロールに前記オイルを含む流体を供給するオイル供給流路(251)と、
    前記可動基板の上下方向の上側の面に配置され前記オイル供給流路を介して供給される前記流体に含まれる前記オイルを溜めるオイル溜め部(113)と、を備えたスクロール圧縮機。
  2. 回転軸(25)と、板状の固定基板(121)から立設された渦巻き状の固定歯部(122)を有する固定スクロール(12)と、前記固定スクロールより上下方向の上側に配置され、板状の可動基板(111)の一面から立設されるとともに前記固定歯部と噛み合う渦巻き状の可動歯部(112)を有する可動スクロール(11)と、を有し、前記回転軸の軸周りに前記可動スクロールが旋回することによりオイルを含む流体を圧縮して吐出するスクロール圧縮機であって、
    前記オイルを含む流体を吸入する吸入口(31a)を有するハウジング(31)と、
    前記可動基板の上下方向の上側の面に配置され前記吸入口を介して前記ハウジングの内部に吸入される前記流体に含まれるオイルを溜めるオイル溜め部(113)と、を備え、
    前記ハウジング内には、ロータ(22)に与える回転磁界を発生させるステータ(21)を有し、通電により前記可動スクロールに回転駆動力を発生させる電動機部(20)を収容するモータ室(32)と、前記モータ室より上下方向の下側に前記オイルを含む流体を溜める溝部(37)と、前記溝部の内部と前記オイル溜め部との間を連通する連通穴(38)が形成され、
    前記ステータの少なくとも一部が前記溝部に溜められた前記オイルに浸漬するスクロール圧縮機。
  3. 前記回転軸とともに回転して前記可動スクロールのアンバランスを緩和するバランサ(42)を備え、
    前記ハウジングには、前記可動基板の上下方向の上側に前記オイル溜め部を収納する可動スクロール背面空間(36)が形成され、
    前記バランサが前記回転軸とともに回転することにより前記バランサが前記連通穴を断続的に塞ぐ請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記可動基板の上下方向の上側の面に形成され前記可動基板の厚さ方向に凹む凹部(132)と、前記ハウジングから上下方向の下側に突出して前記凹部の内部へと延びる自転防止ピン(131)と、を有し、前記可動スクロールの自転を防止する自転防止機構(13)を備え、
    前記流体に含まれる前記オイルが前記凹部に溜まる請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記ハウジングに形成された吐出口(31b)から吐出された前記オイルを含む流体から前記オイルを分離するオイル分離機構(105)と、
    前記オイル分離機構により分離された前記オイルに前記流体を混合させて前記吸入口に導く流路(107)と、を備えた請求項1ないし4のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
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