JP2020176044A - InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法 - Google Patents

InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020176044A
JP2020176044A JP2019221375A JP2019221375A JP2020176044A JP 2020176044 A JP2020176044 A JP 2020176044A JP 2019221375 A JP2019221375 A JP 2019221375A JP 2019221375 A JP2019221375 A JP 2019221375A JP 2020176044 A JP2020176044 A JP 2020176044A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inp
indium
quantum dot
quantum dots
phosphine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019221375A
Other languages
English (en)
Inventor
一博 中對
Kazuhiro Nakatsui
一博 中對
大気 續石
Taiki TSUZUKIISHI
大気 續石
知 坂上
Tomo Sakanoue
知 坂上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemical Industrial Co Ltd filed Critical Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Publication of JP2020176044A publication Critical patent/JP2020176044A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

【課題】粒子形成に優れ、高品質なInP系量子ドットが低コスト且つ容易に得られるInP量子ドット前駆体を製造する方法、及び、低コスト且つ容易に高品質なInP系量子ドットが得られるInP量子ドットの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のInP量子ドット前駆体の製造方法は、リン源とインジウム源からInP量子ドット前駆体を製造する方法であって、前記リン源として、ホスフィンを用いる。また本発明のInP系量子ドットの製造方法は、上記製造方法で得られたInP量子ドット前駆体を、250℃以上350℃以下の温度で加熱する。【選択図】なし

Description

本発明は、InP系量子ドットの前駆体となるInP量子ドット前駆体の製造方法、及び該InP量子ドット前駆体を用いたInP系量子ドットの製造方法に関する。
近年、発光材料として量子ドットの開発が進んでいる。代表的な量子ドットとしては、優れた発光特性などからCdSe、CdTe、CdS等のカドミウム系量子ドットの開発が進められている。しかし、カドミウムの毒性及び環境負荷が高いことからカドミウムフリーの量子ドットの開発が期待されている。
カドミウムフリーの量子ドットの一つとしてInP(インジウムリン)系量子ドットが挙げられる。InP系量子ドットの製造におけるリン原料としては、アミノホスフィン化合物やシリルホスフィン化合物等が知られている。例えば特許文献1〜3には、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン等の三級ホスフィンを用いる方法が提案されている。
特許文献1〜3に記載の方法は、ナノ粒子であるInP量子ドットをIn原料及びP原料から直接得るための方法である。これに対し、リン源としてトリス(トリメチルシリル)ホスフィンを用いて、ナノ粒子をさらに細分化した特定の構成原子数を有するInP量子ドット前駆体を製造し、当該InP量子ドット前駆体からInP量子ドットを得る方法が、近年提案されている(例えば非特許文献1〜3)。このInP量子ドット前駆体は、構成原子数によっては、非特許文献1〜3に記載のとおりマジックサイズクラスターとも呼ばれ、これを含む液中で優れた安定性を示すことから、粒径分布の狭い量子ドットを得やすい利点がある。またマジックサイズクラスターをはじめとするInP量子ドット前駆体は、これに加熱等の単純な処理を施すだけで量子ドットが得られるので、量子ドットの原料として利便性が高い。
一方、ホスフィン(PH)は、InP量子ドット前駆体を経ないInP量子ドットの原料として用いられる場合がある。
特開2011−26472号公報 特開2015−209524号公報 特開2016−517454号公報 US2007/0289491A1 特表2016−517453号公報
Two-Step Nucleation and Growth of InP Quantum Dots via Magic-Sized Cluster Intermediates, Chemistry of Materials (2015), 27(4), 1432-1441 Templated Growth of InP Nanocrystals with a Polytwistane Structure, Angewandte Chemie, International Edition (2018), 57(7), 1908-1912 Magic size InP and InAs clusters: synthesis, characterization and shell growth, Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom) (2017), 53(17), 2626-2629
上述した通り、非特許文献1〜3に記載の従来のInP量子ドット前駆体の製造方法では、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン等の三級ホスフィンをリン源として用いている。しかしながら三級ホスフィンを用いる場合、ホスフィンから三級ホスフィンを製造する必要があり、工程数及び製造コストが大きいという課題があった。
従って、本発明の目的は上記課題を解決できるInP量子ドット前駆体の製造方法、及び当該InP量子ドット前駆体を用いたInP系量子ドットの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、リン源とインジウム源からInP量子ドット前駆体を製造する方法であって、前記リン源として、ホスフィンを用いることを特徴とするInP量子ドット前駆体の製造方法を提供するものである。
また本発明は、上記製造方法により得られたInP量子ドット前駆体を、250℃以上350℃以下の温度で加熱する、InP系量子ドットの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、リン源として三級ホスフィンを用いた場合と同等に高品質なInP系量子ドットが三級ホスフィンに比して低コスト且つ容易に得られるInP量子ドット前駆体を製造する方法を提供できる。またリン源として三級ホスフィンを用いた場合と同等に高品質なInP系量子ドットが三級ホスフィンに比して低コスト且つ容易に得られるInP系量子ドットの製造方法を提供できる。
図1(a)は、製造例2において原料として用いた酢酸インジウムのIRスペクトルであり、図1(b)は、製造例2の第1工程の生成物である酢酸インジウムのIRスペクトルである。 図2は、製造例2の第2工程の生成物であるミリスチン酸インジウムのIRスペクトルである。
以下、本発明のインジウムリン(InP)量子ドット前駆体の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
InP量子ドット前駆体は、数nmから数十nmの粒径を有するナノ粒子であるInP量子ドット(quantum dots)を細分化したクラスターであり、溶媒中で優れた安定性を示す特定の構成原子数、例えば数個から数百の原子数からなるものである。InP量子ドット前駆体は、数十から数百の原子数からなるマジックサイズクラスターであってもよく、それよりも原子数の小さなものであってもよい。上記の通りInP量子ドット前駆体は、溶媒中で優れた安定性を示すことができるため、これを用いることで粒径分布の狭いInP系量子ドットを得やすい利点がある。本明細書においてInP量子ドット前駆体におけるInPとはIn及びPを含むことを意味し、In及びPがモル比1:1であることまでを要しない。InP量子ドット前駆体は通常In及びPからなるものであるが、その最外殻に位置するIn又はP原子に、原料であるリン源又はインジウム源に由来する配位子が結合していてもよい。そのような配位子としては、例えばインジウム源が有機カルボン酸のインジウム塩である場合の有機カルボン酸残基、添加物として用いるアルキルホスフィン等が挙げられる。
反応液中にInP量子ドット前駆体が生成していることは、例えば紫外線−可視光吸収スペクトル(UV−VISスペクトル)を測定することにより確認できる。In源及びP源を反応させた反応液において、InP量子ドット前駆体が形成されている場合、UV−VISスペクトルにおいて300nm以上460nm以下の範囲にピーク又はショルダーが観測される。ショルダーはピークほど明確に尖端形状を有していないが、明らかに変曲点を有するものをいう。ショルダーが観察される場合、300nm以上460nm以下、特に310nm以上420nm以下の範囲に一つ、又は二つ以上の変曲点を有することが好ましい。UV−VISスペクトルは、0〜40℃で測定されることが好ましい。サンプル液はヘキサン等の溶媒で希釈して調整する。測定時におけるサンプル液中のIn量及びP量は、サンプル液100gに対して、リン原子及びインジウム原子でそれぞれ0.01mmol〜1mmolの範囲であることが好ましく、0.02mmol〜0.3mmolの範囲であることがより好ましい。反応液の溶媒としては、インジウム源及びリン源との反応に好適に使用できる溶媒として後述するものが挙げられる。後述するように、溶媒中のInP量子ドット前駆体を200℃以上350℃以下に加熱することでInP量子ドットに成長すると、反応液のUV−VISスペクトルは450nm以上550nm以下の範囲にピークが観察されるが、加熱する前の反応液は450nm以上550nm以下の範囲にピークが観察されない。
また、反応液中にInP量子ドット前駆体が生成していることは、UV−VISスペクトルに替えて、例えば反応液が黄緑色〜黄色になっていることでも確認できる。この色の確認は目視によるものでよい。例えば、InPマジックサイズクラスターを含む反応液は黄色であり、In及びPからなり、マジックサイズクラスターよりも原子数が少ない前駆体を含む反応液は黄緑色であることが一般的である。
溶媒中のInP量子ドット前駆体の安定性は熱力学的であり、InP量子ドット前駆体は加熱によって反応する特性を有する。例えば、上記好ましい溶媒中のInP量子ドット前駆体は、好ましくは200℃以上350℃以下、更に好ましくは240℃以上330℃以下に加熱した場合、InP量子ドットに成長しうる。このことは、加熱後の反応液をUV−VISスペクトルの測定に供すると、長波長側へピークシフトが観察されることから確認できる。例えばIn及びP以外に量子ドットを構成する他の元素を添加せずに溶媒中のInP量子ドット前駆体を好ましくは200℃以上350℃以下、更に好ましくは240℃以上330℃以下に加熱して得られたInP量子ドットを含む液のUV−VISスペクトルは、300〜800nmの範囲のうち、最もピーク高さの高い吸収ピークが450nm以上550nm以下の範囲に観察されることが好ましい。
なお、InP量子ドット前駆体を好ましくは200℃以上350℃以下、更に好ましくは240℃以上330℃以下において、In及びP以外に量子ドットを構成する他の元素を添加せずに加熱して得られたInP量子ドットを含むUV−VISスペクトルには、通常、300nm以上460nm以下の範囲にピークが観察されない。
また、反応液中にInP量子ドットが生成していることは、例えば反応液が橙色〜赤色になっていることでも確認できる。この色の確認は目視によるものでよい。
上記のInP量子ドット前駆体を加熱した後の反応液のUV−VISスペクトルや反応液の色の記載は、典型的には、In及びP以外に量子ドットを構成する他の元素を添加せずに加熱した場合を指す。しかしながら、後述するように、本発明はInP量子ドット前駆体にそのような化合物を添加して加熱する場合を何ら排除するものではない。
本明細書においては、In及びP以外の他の構成元素を含まない量子ドット、In及びP以外の他の構成元素を含む量子ドット、並びにこれらの量子ドットをコア材料とし、これを被覆化合物で被覆したコアシェル構造を有する量子ドットを総称して「InP系量子ドット」という。
(リン源)
本発明では、InP量子ドット前駆体を得るためのインジウム源と反応させるリン源として、ホスフィンを用いる。本発明者は、三級ホスフィンよりも低コスト且つ容易に得られるリン源を用いてInP量子ドット前駆体を得ることができ、これによりInP量子ドットを工業的に非常に有利に得られることを見出したものである。ホスフィンは分子式PHで表される。インジウム源と反応させるホスフィンとしては、ヒ素量が体積基準のアルシン換算で1ppm以下、さらには0.5ppm以下であるものを用いることが、得られるInP系量子ドットの量子収率が優れたものになる点で好ましい。
一般に、ホスフィンの製造方法としては、黄リンにアルカリを作用させる方法、黄リンを高温で加水分解したり電解還元する方法が挙げられる。これらは黄リンを出発原料としているために一般にホスフィンには、黄リンに含まれるヒ素がアルシン(AsH)の形態で10〜400ppmほど混在している。ホスフィンガスは自然発火性や毒性等がある。このため、In situ(現場)で黄リンから上記の方法にてホスフィンを生成し、これを
そのままインジウム源と反応させる場合、ホスフィン中のヒ素量は通常1ppmを超えてしまう。
ヒ素量がアルシン換算における体積基準で1ppm以下であるホスフィンの入手方法としては、活性炭を用いる方法が挙げられる。例えば、活性炭1質量部当たり粗製ホスフィンガスを、流量0.05質量部/時間〜3.5質量部/時間、導入圧力0〜6MPaで導入することにより、効率よくヒ素含量が体積基準のアルシン換算で1ppm以下となったホスフィンガスを得ることができる。活性炭は、使用前のものか、使用済みであっても真空脱気により再生したものを用いる。
ホスフィン中のヒ素量の測定方法は、原子吸光分析法によるものであり、例えば後述する実施例に記載の方法で求めることができる。原子吸光分析法で求められるホスフィンガス中におけるヒ素量(ヒ素の割合)から、アルシン換算の体積基準のヒ素量(ヒ素の割合)を算出して求める。
用いるホスフィンガスの純度は99.9995体積%以上であることが好ましく、99.9997体積%以上であることがより好ましく、99.9999体積%以上であることが特に好ましい。
本発明のInP量子ドット前駆体において、リン源100モル中、ホスフィンが占める割合は、ホスフィンを用いることによる低コストで高品質のInP量子ドット前駆体が得られるという効果を高める点から、98モル%以上であることが好ましく、99モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
(インジウム源)
本発明のInP量子ドット前駆体の製造方法ではホスフィン化合物を含むリン源とインジウム源とを反応させるものである。前記インジウム源としては、採用する化学合成法に合わせて種々のものを用いることができる。InP量子ドット前駆体を得やすい観点や入手容易性、得られるInP系量子ドットの粒径分布制御の観点から、有機カルボン酸インジウムが好適に挙げられる。例えば、酢酸インジウム、ギ酸インジウム、プロピオン酸インジウム、酪酸インジウム、吉草酸インジウム、カプロン酸インジウム、エナント酸インジウム、カプリル酸インジウム、ペラルゴン酸インジウム、カプリン酸インジウム、ラウリン酸インジウム、ミリスチン酸インジウム、パルミチン酸インジウム、マルガリン酸インジウム、ステアリン酸インジウム、オレイン酸インジウム、2−エチルヘキサン酸インジウムなどの飽和脂肪族インジウムカルボキシレート;オレイン酸インジウム、リノール酸インジウムなどの不飽和インジウムカルボキシレートなどを好適に用いることができる。特に入手容易性、粒径分布制御の観点から、酢酸インジウム、ラウリル酸インジウム、ミリスチン酸インジウム、パルミチン酸インジウム、ステアリン酸インジウム、オレイン酸インジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。特に好ましくは炭素原子数12以上18以下の高級カルボン酸のインジウム塩が好ましい。
本発明で用いるインジウム源として、カルボン酸インジウムを用いる場合、当該カルボン酸インジウムが水酸基を含まないことが、上記の通り特定の不純物が少ないリン源を用いることと併せて相乗的に高い品質の量子ドット前駆体が得られる点で好ましい。カルボン酸インジウムが水酸基を含まないとは、水酸基を含有するカルボン酸インジウムを実質的に非含有であることを指す。カルボン酸インジウムが水酸基を含まないことは、具体的には、IRスペクトルの測定により確認する。カルボン酸インジウムはそのIRスペクトルにおいて1600cm−1付近に水酸基に由来する吸収ピークが観察されないことが好ましい。1600cm−1付近とは、具体的には1500cm−1以上1700cm−1以下を指すことが好ましく、1550cm−1以上1650cm−1以下を指すことがより好ましい。
(カルボン酸インジウムの好適な製造方法)
以下水酸基を有しないカルボン酸インジウムの好適な製造方法を下記に詳述する。
本製造方法は以下の2工程に大別される。
・第1工程
下記の式(A)
In(RCOO)3−x(OH) (A)
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であり、xは0超3未満の数である。)
で表される水酸基含有カルボン酸インジウムと、
下記の式(B)
R’COOH (B)
(式中、R’は水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であり、該脂肪族基中の水素原子は、その少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。)で表される低級カルボン酸とを反応させて生成物を得る工程。
・第2工程
第1工程で得られた前記生成物と、炭素原子数12以上の高級カルボン酸とを反応させる工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
第1工程において用いられるIn(RCOO)3−x(OH)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムにおいて、Rは水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族基を表す。炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族基としては、飽和又は不飽和の脂肪族基を用いることができる。例えばRとして、水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖の飽和脂肪族基を用いることができる。具体的にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸又はカプロン酸から誘導される基を用いることができる。
式(A)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムは、In(RCOO)(式中、Rの定義は前記と同じである。)で表されるカルボン酸インジウムの劣化によって生成するものである。In(RCOO)の劣化は、この化合物を常温、大気下の通常の雰囲気に置いておくことでも起こるが、冷暗室等の保管に適した環境下でも経時的に起こる。劣化の程度は、In(RCOO)におけるRCOO基がOH基に置換される程度で評価できる。すなわち式(A)におけるxの値に基づきIn(RCOO)の劣化の程度を評価できる。xの値は0超3未満の任意の値をとり、xの数が大きいほどIn(RCOO)の劣化が進行していることを意味する。また劣化の程度は、カルボン酸インジウムのIRスペクトルを測定し、1500cm−1〜1700cm−1の範囲に水酸基に由来する吸収ピークが観察されるか否かによっても確認できる。
第1工程においては、In(RCOO)3−x(OH)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムと、R’COOHで表される低級カルボン酸とを反応させる。本発明において「低級カルボン酸」とは、炭素原子数が5以下である飽和又は不飽和のカルボン酸を意味する。「低級カルボン酸」はR’COOHで表される一価のカルボン酸のことであり、R’COOHの塩やエステルなどの各種誘導体は、低級カルボン酸に包含されない。R’は水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基である。R’が炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基である場合、該脂肪族基としては、飽和又は不飽和の脂肪族基を用いることができる。例えばR’として、水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基を用いることができる。具体的にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸又はカプロン酸から誘導される基を用いることができる。
R’が脂肪族基である場合、該脂肪族基中の水素原子は、その少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を用いることができる。R中に1種類のみのハロゲン原子が存在していてもよく、2種類以上のハロゲン原子が存在していてもよい。ハロゲン原子は電子吸引性を有することから、R’中の水素原子がハロゲン原子で置換されていることによって、式(B)で表される低級カルボン酸の酸性が高まる。その結果、式(B)で表される低級カルボン酸と、式(A)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムとの反応が促進される。この利点を一層顕著なものとする観点から、R’における脂肪族基中の水素原子のうちの少なくとも一つがフッ素で置換されていることが好ましく、該脂肪族基中のすべての水素原子がフッ素で置換されていることがより好ましい。
また、このような酸性の高まった低級カルボン酸を、反応促進を目的として、触媒的に微量に添加してもよい。ハロゲン原子で置換された低級カルボン酸を触媒的に添加する場合には、その添加量は、水酸基含有カルボン酸インジウム中の水酸基1モルに対して0.01モル以上10モル以下とすることが好ましく。0.05モル以上5モル以下とすることが更に好ましく、0.1モル以上1モル以下とすることが一層好ましい。
第1工程においては、In(RCOO)3−x(OH)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムと同じRCOO基を有する低級カルボン酸を用いることが好ましい。In(RCOO)3−x(OH)と同じRCOOを有する低級カルボン酸とは、例えば水酸基含有カルボン酸インジウムがIn(CHCOO)3−x(OH)で表される場合、低級カルボン酸としてCHCOOHを用いるという意味である。式(A)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムと同じRCOOを有する低級カルボン酸とを反応させることには、第1工程での品質確認が容易となる、後述する第2工程での低級カルボン酸と高級カルボン酸の置換反応の進捗確認が容易となる等の利点がある。
第1工程においては、In(RCOO)3−x(OH)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムと同じRCOO基(ただし、Rにおける水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されている。)を有する低級カルボン酸を用いることも好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を用いることができる。R中に1種類のみのハロゲン原子が存在していてもよく、2種類以上のハロゲン原子が存在していてもよい。R中の水素原子がハロゲン原子で置換されていることの利点は上述したとおりである。式(B)で表される低級カルボン酸と、式(A)で表される水酸基含有カルボン酸インジウムとの反応を促進させる観点から、R中の水素原子のうちの少なくとも一つがフッ素で置換されていることが好ましく、R中のすべての水素原子がフッ素で置換されていることが好ましい。
水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸との反応は、水酸基含有カルボン酸インジウムに対して等量以上の低級カルボン酸を存在させた条件下に行うことが好ましい。このような条件下に反応を行うことで、水酸基含有カルボン酸インジウムにおける水酸基と、低級カルボン酸におけるR’COO基との置換反応が進行しやすくなり、カルボン酸インジウムであるIn(RCOO)が首尾よく生成する。低級カルボン酸の量は、水酸基含有カルボン酸インジウム中の水酸基1モルに対して1モル以上3000モル以下とすることが好ましく、1モル以上1000モル以下とすることが更に好ましく、1モル以上500モル以下とすることが一層好ましい。低級カルボン酸の量は、実際に添加する低級カルボン酸の量と、後述する酸無水物を用いる場合には、該酸無水物と水との反応によって生成する低級カルボン酸の量との総和である。
水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸とを反応させるときには、水酸基含有カルボン酸インジウム中に低級カルボン酸を一括で又は逐次で添加してもよく、逆に低級カルボン酸中に水酸基含有カルボン酸インジウムを一括で又は逐次で添加してもよい。あるいは両者を同時に一括で又は逐次で添加してもよい。どのような添加形態を採用する場合であっても、反応は室温、すなわち非加熱下で行うか、又は加熱下に行うことができる。加熱下で反応を行う場合、反応温度は、使用する低級カルボン酸にもよるが、反応効率を高める観点から、30℃以上200℃以下とすることが好ましく、50℃以上150℃以下とすることが更に好ましく、80℃以上120℃以下とすることが一層好ましい。このときの反応時間は、十分な収率を得る観点から、5分以上600分以下とすることが好ましく、15分以上300分以下とすることが更に好ましく、30分以上180分以下とすることが一層好ましい。加熱下で反応を行う場合には、還流させながら反応を行うことが、高い収率を得る観点から好ましい。
水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸との反応を首尾よく進める観点から、反応は、非プロトン性有機溶媒中で、又は求核性が低いプロトン性有機溶媒で行ってもよい。プロトン性有機溶媒としては、例えばニトロメタン等が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン等が挙げられる。
第1工程における水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸との反応は以下の式にしたがって進行する。
In(RCOO)3−x(OH)+nR’COOH⇔In(RCOO)3−y(R’COO)+xH
(式中、xは前記と同じである。yは0超3以下の数である。nはx以上の数である。)
この反応式から明らかなとおり、水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸とが反応すると水が副生する。水の存在は、第1工程での目的物であるIn(RCOO)3−y(R’COO)の純度に影響を及ぼす可能性がある。したがって、副生物である水を反応系から除去することが有利である。この観点から、水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸とを反応させる場合には、脱水剤を共存させておくことが好ましい。脱水剤としては、特に酸無水物(一価のカルボン酸の無水物)を用いることが、副生する水との反応によって酸無水物から低級カルボン酸が生成し、生成した低級カルボン酸が水酸基含有カルボン酸インジウムと反応できることに起因して、第1工程での目的物であるIn(RCOO)3−y(R’COO)の純度を高められる観点から好ましい。脱水剤として用いる酸無水物は(R”CO)Oで表される構造を有する。R”は水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。R”はR及び/又はR’と同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。つまり、低級カルボン酸と同種又は異種のカルボン酸の無水物を脱水剤として用いることができる。第1工程での目的物であるIn(RCOO)3−y(R’COO)の純度を一層高める観点からは、R”はR’と同じであることが有利であり、R”はR及びR’と同じであることが有利である。つまり、水酸基含有カルボン酸インジウムがIn(RCOO)3−x(OH)で表される場合、低級カルボン酸は、水酸基含有カルボン酸インジウムと同じRCOO基を有し、且つ酸無水物は、水酸基含有カルボン酸インジウムと同じRCO基を有することが好ましい。
脱水剤として用いる酸無水物の量は、水酸基含有カルボン酸インジウムと低級カルボン酸との反応で副生する水を除去可能な量であればよい。具体的には、1モルの水酸基含有カルボン酸インジウムの水酸基1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、更に好ましくは1モル以上50モル以下、一層好ましくは1モル以上20モル以下、の酸無水物を反応系に加える。
第1工程によって、In(RCOO)3−y(R’COO)を含む生成物が得られる。次いで、この生成物を高級カルボン酸と反応させる第2工程を行う。第1工程の生成物と高級カルボン酸とを反応させるときには、第1工程の生成物中に高級カルボン酸を一括で又は逐次で添加してもよく、逆に高級カルボン酸中に第1工程の生成物を一括で又は逐次で添加してもよい。あるいは両者を同時に一括で又は逐次で添加してもよい。
第2工程においては、高級カルボン酸を反応物として用いることに加えて溶媒としても用いることが有利である。この観点から、第1工程の生成物に含まれるIn(RCOO)3−y(R’COO)に対して過剰量の高級カルボン酸を存在させた条件下に反応を行うことが好ましい。このような条件下に反応を行うことで、In(RCOO)3−y(R’COO)におけるRCOO基及びR’COO基と高級カルボン酸との交換反応を円滑に進行させることが可能となる。この利点を一層顕著なものとする観点から、高級カルボン酸の量は、1モルのIn(RCOO)3−y(R’COO)に対して3モル以上100モル以下とすることが好ましく、3モル以上50モル以下とすることが更に好ましく、4モル以上30モル以下とすることが一層好ましい。
反応は室温、すなわち非加熱下で行うか、又は加熱下に行うことができる。加熱下で反応を行う場合、反応温度は、反応に供する高級カルボン酸にもよるが、首尾よく反応を進める観点から、一般的には20℃以上300℃以下とすることが好ましく、50℃以上250℃以下とすることが更に好ましく、80℃以上200℃以下とすることが一層好ましい。このときの反応時間は、十分な収率を得る観点から、10分以上900分以下とすることが好ましく、30分以上600分以下とすることが更に好ましく、60分以上300分以下とすることが一層好ましい。
また、第2工程における反応を首尾よく進める観点から、反応は、非プロトン性有機溶媒中で、又は求核性が低いプロトン性有機溶媒中で行ってもよい。プロトン性有機溶媒としては、例えばニトロメタン等が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、例えばアセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、クロロベンゼン等が挙げられる。
第2工程で用いる高級カルボン酸は炭素原子数12以上のものである。高級カルボン酸としては一価カルボン酸又は多価カルボン酸を用いることができる。本製造方法の目的物であるカルボン酸インジウムを量子ドットの原料として用いる場合には、高級カルボン酸として一価カルボン酸を用いることが有利である。
一価の高級カルボン酸はRCOOHで表される。式中Rは炭素原子数11以上、好ましくは炭素原子数11以上19以下の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を表す。この脂肪族基としては、飽和又は不飽和の脂肪族基を用いることができる。つまり、高級カルボン酸として、炭素原子数12以上、好ましくは炭素原子数12以上20以下である直鎖の飽和又は不飽和カルボン酸を用いることができる。
本製造方法の目的物であるカルボン酸インジウムを量子ドットの原料として用いる場合には、Rとして、炭素原子数11以上、特に炭素原子数11以上19以下の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族基を用いることが好ましい。具体的には、ラウリン酸トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸又はオレイン酸を用いることが好ましい。これらの高級カルボン酸は一種を単独で用いることができ、あるいは二種以上を組み合わせて用いることもできる。
第2工程における反応は以下の式にしたがって進行する。
In(RCOO)3−y(R’COO)+3RCOOH→
In(RCOO)+(3−y)RCOOH+yR’COOH
この式から明らかなとおり、反応によってRCOOH、すなわち低級カルボン酸が生成する。したがって、反応系から低級カルボン酸を除去すれば反応が一層促進され、In(RCOO)の収率が高まる。低級カルボン酸は低沸点の化合物であることが知られているから、反応系から低級カルボン酸を除去するためには、反応系を減圧状態にすることが有利である。こうすることで低級カルボン酸が気化しやすくなり、反応系から容易に除去可能となる。この観点から、第2工程における反応系の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、特に0.5Pa以上5kPa以下、とりわけ1Pa以上1kPa以下とすることが好ましい。
第2工程の反応が終了したら、貧溶媒であるアセトン等を反応系に添加して、目的とする生成物である高級カルボン酸のインジウム塩であるIn(RCOO)を沈殿させる。この沈殿物を濾別し、有機溶媒でリパルプ洗浄し、乾燥させることで、水酸基を含有しない高純度のカルボン酸インジウムが得られる。
(リン源とインジウム源との反応)
本発明の製造方法は、リン源であるホスフィンとインジウム源とを混合して、20℃以上150℃以下の温度で反応させるものであることが好ましい。
反応時におけるホスフィン及びインジウム源の混合モル比は、首尾よくInP量子ドット前駆体を得る点から、P:Inが1:0.5以上10以下であることが好ましく、1:1以上5以下であることがより好ましい。
ホスフィンとインジウム源との反応は、有機溶媒中で行うことが反応性及び安定性の観点から好ましい。有機溶媒としては、ホスフィン及びインジウム源等の安定性の点から非極性溶媒が挙げられ、反応性及び安定性の点で脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、トリアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィンオキシド等の溶媒が好ましく挙げられる。脂肪族炭化水素としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンが挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素としては、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等が挙げられる。トリアルキルホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリドデシルホスフィン等が挙げられる。トリアルキルホスフィンオキシドとしては、トリエチルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリドデシルホスフィンオキシド等が挙げられる。
溶媒は、使用前に脱水しておくことが、ホスフィン及びインジウム源と、水とが不要な反応を起こすことを防ぎ、不純物の生成を防止するために好ましい。当該溶媒中の水分量は、質量基準で30ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることが好ましい。水分量は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。また溶媒は使用前に脱気し、酸素を除去しておくことも好ましい。脱気は反応器内の不活性雰囲気への置換等の任意の方法にて可能である。
ホスフィン及びインジウム源を混合した反応液におけるホスフィン、インジウム源の各濃度は、例えば反応液100gに対して、ホスフィン、インジウム源がそれぞれ0.1mmol〜100mmol、さらには0.2mmol〜50mmolの範囲であることが、反応性や安定性の点で好ましい。
ホスフィン及びインジウム源を混合する方法としては、インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液にホスフィンを導入して混合することが、量子ドット前駆体を生成しやすい点で好ましい。ホスフィンの前記溶液への導入方法としては、ホスフィンを前記溶液に直接導入してもよく、或いは、インジウム源を含む溶液とは別に、ホスフィンを溶媒に溶解させ、当該溶媒を、インジウム源を含む溶液と混合させてもよい。
インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液にホスフィンを直接導入させる方法としては、気密な容器において、当該溶液とガス状のホスフィンとを単に混合する方法であってもよく、或いは、当該溶液中にガス状のホスフィンを吹き込むことで導入してもよい。
インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液にホスフィンを導入して得られる溶液は、ホスフィンを導入する前に後述する好ましい反応温度又はその近傍の温度に加熱してもよく、導入後に、後述する好ましい反応温度に加熱してもよい。近傍の温度とは、反応温度の±10℃以内であり且つ20℃以上の温度であることが反応性、安定性の観点から好ましく、反応温度の±5℃以内であり且つ30℃以上の温度であることがより好ましい。
前記の通り、インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液とホスフィンとを混合させる場合、インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液におけるインジウム源のインジウム原子基準の濃度は1mmol/L〜500mmol/Lの範囲であることが、反応性や安定性の点で好ましく、3mmol/L〜400mmol/Lの範囲であることがより好ましい。
リン源及びインジウム源を含む反応液には、InP量子ドット前駆体をより一層製造しやすくするために、いわゆる分子クラスターは実質的に含まれないことが好ましい。そのような分子クラスターとしては、特表2016−517453号公報に記載のものが挙げられ、具体的には、[{PPh}Hg}(SPh)];(PhP)[(SEt)(Br)(HgBr)];(PhP)[Hg(SEt)Br];[HgTe12][N(CHCHEt);[RMEBu]但しM=Zn、Cd、Hg/E=S、Se、Te/R=Me、Et、Ph;[X][E10(SR)16]但しM=Zn、Cd、Hg/E=S、Se、Te/X=MeNH、Li、EtNH、[Cd3214(SPh)36]L/R=Me、Et、Ph;[Hg10Se(SePh)(PPh Pr)];[Hg32Se14(SePh)36];[Cd10Se(SePh)12(PPr];[Cd32Se14(SePh)36(PPh];[M(SPh)12[X] 但しM=Zn、Cd、Hg/X=Me、Li;[Zn(SEt)Et]10;[MeMEiPr]但しM=Zn、Cd、Hg/E=S、Se、Te;[RCdSR’]但しR=O(ClO)/R’=PPhPr;[Cd10(E’Ph)12(PR]但しE=Te、Se、S及びE’=Te、Se、S;[CdSe(SePh)12Cl2−;[MTe124−但しM=Cd、Hg等が挙げられる。リン源及びインジウム源を含む反応液中、分子クラスターを実質的に含まないとは、当該反応液中の分子クラスターの割合が、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
ホスフィンとインジウム源とは、所定温度において反応させることが好ましい。反応性及び安定性の観点から反応温度は、20℃以上150℃以下が好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましい。反応性及び安定性の観点から当該温度での反応時間は1分以上24時間以下が好ましく、2分以上12時間以下がより好ましい。
以上の工程により、InP量子ドット前駆体を含む反応液が得られる。必要により、反応温度と同じ温度を保ちながら、或いは、自然冷却させながらInP量子ドット前駆体を熟成させてもよい。量子ドット前駆体の安定性の観点から熟成時間は0.1時間以上480時間以下が好ましく、1時間以上120時間以下がより好ましい。
(InP系量子ドットの製造方法)
次いで、上記で得られたInP量子ドット前駆体を使用したInP系量子ドットの製造方法について説明する。InP系量子ドットとは、In及びPを含有し、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有する半導体ナノ粒子を指す。量子閉じ込め効果とは、物質の大きさがボーア半径程度となると、その中の電子が自由に運動できなくなり、このような状態においては電子のエネルギーが任意でなく特定の値しか取り得なくなることである。量子ドット(半導体ナノ粒子)の粒径は、一般的に数nm〜数十nmの範囲にある。ただし上記量子ドットの説明に該当するもののうち、量子ドット前駆体に該当するものは本明細書において、量子ドットの範疇に含めない。本発明者らは、本発明のInP量子ドット前駆体をInP系量子ドット合成の前駆体として用いることにより、粒径分布の幅の狭い高品質なInP系量子ドットが得られることを知見し、本製造方法を見出した。
上記で得られた本発明のInP量子ドット前駆体を含む反応液は、反応終了後、好ましくは20℃以上150℃以下、更に好ましくは40℃以上120℃以下の温度であるが、この温度を維持したまま、或いは室温まで冷却したものを用いることができる。
前記のInP量子ドット前駆体を含む反応液を、粒径制御の観点から好ましくは200℃以上350℃以下、更に好ましくは240℃以上330℃以下の温度で加熱することにより、InP系量子ドットを得ることができる。加熱の際の昇温速度は1℃/分以上50℃/分以下であることが時間効率及び粒径制御の点で好ましく、2℃/分以上40℃/分以下であることがより好ましい。また、粒径制御の観点から、当該温度における加熱時間は0.5分以上180分以下が好ましく、1分以上60分以下がより好ましい。
InP量子ドット前駆体を含む反応液には、添加剤としてトリアルキルホスフィンを含有させることが、得られるInP系量子ドットの品質が改善する点で好ましい。発明者は、トリアルキルホスフィンが反応場の極性を変化させることが、InP系量子ドットの品質に影響するものと考えている。
トリアルキルホスフィンとしては、分子中のアルキル基が炭素原子数2〜16の直鎖状のものが好ましく挙げられる。具体的には、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリドデシルホスフィンが挙げられる。中でも、得られるInP量子ドットの品質向上の点で、分子中のアルキル基の炭素原子数が4〜8のものが特に好ましく、トリオクチルホスフィンが最も好ましい。
InP量子ドット前駆体を含む反応液におけるトリアルキルホスフィンの添加量は、1モルのInPに対し、1モル以上であることが、トリアルキルホスフィンを添加することによる、InP系量子ドットの品質向上効果を高める点で好ましい。トリアルキルホスフィンの添加量は、1モルのInPに対し、20モル以下であることが、品質向上効果の点で好ましい。これらの点から、トリアルキルホスフィンの添加量は、1モルのInPに対し、1モル以上20モル以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法により製造されるInP系量子ドットは、InとPに加えて、リンとインジウム以外の元素Mを有する複合化合物からなる量子ドット(InとPとMの複合量子ドットともいう)であってもよい。元素Mとしては、Be、Mg、Ca、Mn、Cu、Zn、Cd、B、Al及びGaの群から選ばれる少なくとも一種であることが、量子収率向上の観点から好ましい。元素Mを含むInP系量子ドットの代表例としては、例えば、InGaP、InZnP、InAlP、InGaAlP、InNP、InAsP、InPSb、InPBi等が挙げられる。元素Mを含むInP系量子ドットを得るためには、InP量子ドット前駆体を含む液を加熱する際に元素Mを含む化合物を反応液へ添加すればよい。元素Mを含む化合物とは、元素MがBe、Mg、Ca、Mn、Cu、Zn、Cd、B、Al、Gaにおいては、元素Mの塩化物、臭化物、ヨウ化物の形態、炭素原子数12以上18以下の高級カルボン酸塩であり、高級カルボン酸塩の形態である場合、反応に用いるカルボン酸インジウムのカルボン酸と同じでも良いし、異なっていても良い。元素MがN、As、Sb、Biにおいては、元素Mに3つのシリル基又はアミノ基が結合した形態の化合物を好適に用いることができる。
本発明の製造方法により製造されるInP系量子ドットは、粒径分布の幅の狭い高品質なInP系量子ドットであるが、量子収率を高める目的で、表面処理剤等でInP系量子ドットの表面を処理してもよい。InP系量子ドットの表面を表面処理することにより、InP量子ドット表面の欠陥等が保護され、量子収率の向上が図れる。好適な表面処理剤としては、金属カルボン酸塩、金属カルバミン酸塩、金属チオカルボン酸塩、金属ハロゲン化物、金属アセチルアセトナート塩及びこれらの水和物等の金属含有化合物、ハロゲン化アルカノイル化合物、第4級アンモニウム化合物のハロゲン化物、第4級ホスホニウム化合物のハロゲン化物、ハロゲン化アリール化合物及びハロゲン化第3級炭化水素化合物等のハロゲン含有化合物、カルボン酸、カルバミン酸、チオカルボン酸、ホスホン酸及びスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。これらのうち、より量子収率の向上が図れる観点から、金属カルボン酸塩又は金属カルバミン酸塩であることが好ましい。
前記金属カルボン酸塩は、無置換又はハロゲン原子等に置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状で飽和又は不飽和結合を含む炭素原子数1以上24以下のアルキル基を有していてもよく、分子中に複数のカルボン酸を有していてもよい。また、金属カルボン酸塩の金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、La、Ce、Sm等を挙げることができる。これらのうち、金属カルボン酸塩の金属は、InP量子ドット表面の欠陥をより保護できる観点から、Zn、Cd、Al及びGaであることが好ましく、Znであることがより好ましい。このような金属カルボン酸塩としては、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛及び安息香酸亜鉛等が挙げられる。
前記金属カルバミン酸塩としては、In系P量子ドット表面の欠陥をより保護できる観点から、前記した金属のうちZn、Cd、Al及びGaであることが好ましく、Znであることがより好ましい。具体的には、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛及びN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
InP系量子ドットを表面処理する方法としては、例えば、上記したInP系量子ドットを含む反応液に表面処理剤を加えることで行うことができる。InP系量子ドットを含む反応液に表面処理剤を加えるときの温度は、粒径制御や量子収率向上の観点から、好ましくは20℃以上350℃以下、更に好ましくは50℃以上300℃以下であり、処理時間は、好ましくは1分以上600分以下、更に好ましくは5分以上240分以下である。また、表面処理剤の添加量は、表面処理剤の種類にもよるが、InP系量子ドットを含む反応液に対して、0.01g/L以上1000g/L以下が好ましく、0.1g/L以上100g/L以下がより好ましい。
前記表面処理剤の添加方法としては、反応液に表面処理剤を直接添加する方法、表面処理剤を溶媒に溶解又は分散した状態で反応液に添加する方法が挙げられる。表面処理剤を溶媒に溶解又は分散した状態で反応液に添加する方法で添加する場合の溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソバレロニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトフェノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸フェニル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1−デセン、1−オクタデセン、トリエチルアミン、トリn−オクチルアミン及び水等を使用することができる。
InP系量子ドットは、InP量子ドット材料を核(コア)とし、当該コアを被覆化合物で覆ったコアシェル構造を有していてもよい。コアの表面に、コアに比して広いバンドギャップをもつ第二の無機材料(シェル層)を成長させることにより、コア表面の欠陥等が保護され、電荷の再結合による無幅射失活が抑制され、量子収率を向上させることができる。好適な被覆化合物としては、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnSeTe、ZnTeS、ZnO、ZnOS、ZnSeO、ZnTeO、GaP、GaNが挙げられる。ここでいうInP量子ドット材料とは、In及びPからなるか、或いはIn及びPに加えて含まれる元素Mからなる量子ドットを指す。
InP系量子ドットを、InP量子ドット材料をコアとし、これを被覆化合物で被覆するコアシェル構造とする場合、被覆の形成方法としては、上記のInP量子ドット材料を含む反応液と、被覆化合物原料とを混合し、200℃以上330℃以下の温度にて反応させる方法が挙げられる。この際、予めInP量子ドット材料を含む反応液を、150℃以上350℃以下、好ましくは200℃以上330℃以下に加熱しておくことが好ましい。或いは、被覆化合物原料の一部(例えば、Zn等の金属源等)を同様の温度に加熱して、これを他の被覆化合物原料の添加前にInP量子ドット材料を含む反応液に添加混合した後に150℃以上350℃以下、好ましくは200℃以上330℃以下に加温しておき、残りの被覆化合物原料を添加して反応させてもよい。なお、Zn等の金属源を、InP量子ドット材料を含む反応液と混合するタイミングは、他の被覆化合物原料の添加前に限定されず、添加後であってもよい。
被覆化合物原料としては、Zn等の金属の場合は、その有機カルボン酸塩、特に炭素原子数12以上18以下の長鎖脂肪酸塩を用いることが粒径制御や粒径分布制御、量子収率向上の点で好ましい。また、硫黄源としては、ドデカンチオール等の炭素原子数8以上18以下の直鎖状又は分岐鎖状の長鎖アルカンチオールやトリオクチルホスフィンスルフィド等の炭素原子数4以上12以下のトリアルキルホスフィンスルフィド化合物が好ましく挙げられる。セレン源としてはトリオクチルホスフィンセレニド等の炭素原子数4以上12以下のトリアルキルホスフィンセレニド化合物が好ましく挙げられる。テルル源としてはトリオクチルホスフィンテルリド等の炭素原子数4以上12以下のトリアルキルホスフィンテルリド化合物が好ましく挙げられる。これらの被覆化合物原料は、そのままInP量子ドット材料を含む反応液に混合してもよく、予め溶媒に溶解してからInP量子ドット材料を含む反応液と混合してもよい。予め溶媒に溶解してから混合する場合、この溶媒としては、InP量子ドット前駆体の製造におけるリン源、インジウム源の反応に用いる溶媒として上記で挙げたものと同様のものを用いることができる。被覆化合物原料を溶解させる溶媒と、InP量子ドット材料を含む反応液中の溶媒は、同じものを用いてもよく、異なっていてもよい。
被覆化合物原料の使用量は、例えば、被覆化合物として亜鉛等の金属を用いる場合、InP量子ドット材料を含む反応液中のインジウム1molに対して0.5〜50molが好ましく、1〜10molがより好ましい。硫黄源やセレン源としては、上記の金属量に対応する量を使用することが好ましい。
InP量子ドット材料をコアとし、これを被覆化合物で被覆してシェル層を有するコアシェル型の量子ドットとした場合、量子収率を高める目的で、表面処理剤等でコアシェル型の量子ドットの表面を処理してもよい。コアシェル型の量子ドットの表面を表面処理することにより、シェル層表面の欠陥等が保護され、量子収率の向上が図れる。好適な表面処理剤としては、金属カルボン酸塩、金属カルバミン酸塩、金属チオカルボン酸塩、金属ハロゲン化物、金属アセチルアセトナート塩及びこれらの水和物等の金属含有化合物、ハロゲン化アルカノイル化合物、第4級アンモニウム化合物のハロゲン化物、第4級ホスホニウム化合物のハロゲン化物、ハロゲン化アリール化合物及びハロゲン化第3級炭化水素化合物等のハロゲン含有化合物、カルボン酸、カルバミン酸、チオカルボン酸、ホスホン酸及びスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。これらのうち、より量子収率の向上が図れる観点から、金属カルボン酸塩又は金属カルバミン酸塩であることが好ましい。
前記金属カルボン酸塩は、無置換又はハロゲン原子等に置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状又は環状で飽和又は不飽和結合を含む炭素原子数1以上24以下のアルキル基を有していてもよく、分子中に複数のカルボン酸を有していてもよい。また、金属カルボン酸塩の金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、La、Ce、Sm等を挙げることができる。これらのうち、金属カルボン酸塩の金属は、InP量子ドット表面の欠陥をより保護できる観点から、Zn、Cd、Al及びGaであることが好ましく、Znであることがより好ましい。このような金属カルボン酸塩としては、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛及び安息香酸亜鉛等が挙げられる。
前記金属カルバミン酸塩としては、InP系量子ドット表面の欠陥をより保護できる観点から、前記した金属のうちZn、Cd、Al及びGaであることが好ましく、Znであることがより好ましい。具体的には、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛及びN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
シェル層を表面処理する方法としては、例えば、コアシェル型の量子ドットを含む反応液に表面処理剤を加えることで行うことができる。コアシェル型の量子ドットを含む反応液に表面処理剤を加えるときの温度は、粒径制御や量子収率向上の観点から、好ましくは20℃以上350℃以下、更に好ましくは50℃以上300℃以下であり、処理時間は、好ましくは1分以上600分以下、更に好ましくは5分以上240分以下である。また、表面処理剤の添加量は、表面処理剤の種類にもよるが、コアシェル型の量子ドットを含む反応液に対して、0.01g/L以上1000g/L以下が好ましく、0.1g/L以上100g/L以下がより好ましい。
前記表面処理剤の添加方法としては、反応液に表面処理剤を直接添加する方法、表面処理剤を溶媒に溶解又は分散した状態で反応液に添加する方法が挙げられる。表面処理剤を溶媒に溶解又は分散した状態で反応液に添加する方法で添加する場合の溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソバレロニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトフェノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸フェニル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1−デセン、1−オクタデセン、トリエチルアミン、トリn−オクチルアミン及び水等を使用することができる。
以上の方法で得られたInP系量子ドットは、式(2)で表される化合物などの含有量が十分に低減されているInP量子ドット前駆体を用いることで、粒径分布の幅の狭い高品質なものであり、単電子トランジスタ、セキュリティインク、量子テレポーテーション、レーザー、太陽電池、量子コンピュータ、バイオマーカー、発光ダイオード、ディスプレイ用バックライト、カラーフィルターに好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記の各実施例及び比較例では、溶媒の水分量は質量基準で水分量20ppm以下とした。以下において、溶媒の水分量はカール フィッシャー水分計(京都電子製MKC610)を用いて測定した。
〔製造例1〕
内径25cm、長さ2mのステンレス製耐圧カラムに粒状活性炭(株式会社ツルミコール社製)8.5kgを充填した吸着塔に、ヒ素含有量がアルシン換算の体積基準値で93ppmの粗製ホスフィンガス(日本化学工業株式会社製)7.5kgを流量750g/hr、導入圧2MPaの条件で導入して、ヒ素含有量がアルシン換算の体積基準値で0.5ppmまで低減した高純度ホスフィンガス(純度99.9999体積%)を得た。
ホスフィンガス中のヒ素量の測定方法
原子吸光分析装置として、VARIAN―AA240(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。検量線に使用する標準液はヒ素標準液原子吸光用標準液(和光純薬工業(株)社製、1000ppm)を使用した。サンプルは100mlのホスフィンガスを、1規定の過マンガン酸カリウム水溶液50mlに完全に吸収させこの吸収液をヒ素量について原子吸光法絶対検量線法で分析した。測定したヒ素量からアルシンとしてのmol数を算出して、ホスフィン中のアルシン換算の体積基準濃度を算出した。
ホスフィンの純度の測定方法
前記したホスフィンガス中のヒ素量及びガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GC−7A)により分析した不純物ガス成分(H2、Ar、N2、CO、CO2、CH4、C26等)の分析値を差し引いた数値をホスフィンの純度とした。
〔製造例2〕
<第1工程>
モデル水酸基含有カルボン酸インジウムとして、劣化した酢酸インジウムを用いた。具体的には、密閉容器入りの市販の試薬用の酢酸インジウムについて当該密閉容器を開封した後に蓋を閉めた状態で冷暗所に100日程度設置したものを用いた。この劣化酢酸インジウムは、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製)で分析した結果、In(CHCOO)2.8(OH)0.2で表される水酸基含有酢酸インジウムからなるものであった。前記の劣化酢酸インジウム5gと、160gの酢酸と、9gの無水酢酸とをフラスコに入れ、120℃で1.5時間にわたり還流しながら加熱した。反応終了後、窒素雰囲気、室温下に反応生成物を濾別した後、脱水ヘキサンでリパルプ洗浄し、更に減圧乾燥に付した。原料として用いた劣化酢酸インジウム、及び反応生成物である酢酸インジウムのIRスペクトルを図1(a)及び図1(b)に示す。図1(a)では、水酸基含有酢酸インジウムの水酸基に由来する吸収(同図中、矢印で示す吸収、1600cm−1付近)が観察されるのに対して、図1(b)では当該吸収が観察されないことが判る。したがって、第1工程を行うことによって、原料として用いた劣化酢酸インジウム中の水酸基含有酢酸インジウムから水酸基が除去されたことが確認された。
<第2工程>
第1工程で得られた5.1gの酢酸インジウムと、30gのミリスチン酸とをフラスコに入れ、110℃で3時間、続いて150℃で1時間にわたり減圧下に加熱した。反応系の圧力は30Pa以下に設定した。反応終了後、反応系に脱水アセトン(関東化学株式会社製)を加え、反応生成物であるミリスチン酸インジウムを沈殿させた。次いで窒素雰囲気下に反応生成物を濾別した後、脱水アセトン(関東化学株式会社製)で2回リパルプ洗浄し、続けて脱水アセトン(関東化学株式会社製)でリンス洗浄2回、脱水ヘキサン(関東化学株式会社製)でリンス洗浄1回を行い、更に減圧乾燥に付した。このようにして、目的とするミリスチン酸インジウムを得た。このミリスチン酸インジウムのIRスペクトルを図2に示す。同図に示す結果から明らかなとおり、ミリスチン酸インジウムには、水酸基に由来する吸収ピーク(1600cm−1付近)が観察されず、水酸基を含んでいないことが確認された。
以下、各実施例及び比較例において、量子ドット前駆体の合成及び量子ドットの合成は、いずれも窒素ガス雰囲気下で行った。
(実施例1)
(1−1:InP量子ドット前駆体の合成)
製造例2で得られたミリスチン酸インジウム15.9gを、1−オクタデセン281.3gに加えて、減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して1.5時間脱気した。脱気後、60℃まで冷却し、さらに1−オクタデセン31.0gを追加してミリスチン酸インジウムの1−オクタデセン溶液を得た。
得られたミリスチン酸インジウムの1−オクタデセン溶液に、該溶液を60℃とした状態で製造例1で得られた精製ホスフィンガス0.3gを反応容器上部より気相部に導入する事で仕込み、撹拌しながら120℃まで1時間かけて昇温した後、60分間保持した。続いて気相中及び溶液中に残った未反応ホスフィンガスを減圧留去し、20℃まで自然冷却した。これにより、InP量子ドット前駆体を含む黄色の液を得た。
(1−2:InP量子ドットの合成)
上記1−1で得られたInP量子ドット前駆体を含む液4.6gを、脱水1−オクタデセン17.3gに60℃で加えた。300℃まで14分間で昇温後、同温度で2分間保持して、InP量子ドットを含む赤色の液を得た。
(1−3:InP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
ミリスチン酸亜鉛4.5mmolを、1−オクタデセン18.6gに加えて減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して90分間脱気して、ミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液を得た。得られたミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液のうち、2.2mlを、260℃に加熱した上記1−2で得られたInP量子ドットを含む液に加え、更に加熱して300℃にて10分間撹拌した後、トリオクチルホスフィンセレニド0.75mmolを加えて、撹拌しながら300℃で15分間保持した。この操作(トリオクチルホスフィンセレニドの添加及び撹拌、保持)を更にもう一度繰り返した。得られた反応液に、上記のミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液15.4mlを300℃にして加え、210℃まで冷却した後、30分間撹拌した。さらに、得られた反応液に1−ドデカンチオール12.5mmolを加えて、260℃に昇温後撹拌しながら2時間保持した。室温まで冷却後、遠心分離により不純物を除去して、上澄み液にコアにInP、シェルにZnSe及びZnSとなるInP/ZnSe/ZnS量子ドットの1−オクタデセン分散液を得た。この分散液にアセトンを加えて撹拌後、遠心分離によりInP/ZnSe/ZnS量子ドットを沈殿物として回収した。回収したInP/ZnSe/ZnS量子ドットを、ヘキサンに懸濁して精製InP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値及び量子収率を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
(極大蛍光波長、FWHM値)
分光蛍光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、F−7000)にて、励起波長450nm、測定波長400〜800nmの測定条件で、得られたヘキサン分散液を測定した。
(量子収率)
絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製、C11347−01)にて、励起波長450nm、測定波長300nm以上950nm以下の測定条件で、得られたヘキサン分散液を測定した。
(実施例2)
(2−1:InP量子ドット前駆体の合成)
製造例1で得られた精製ホスフィンガスの代わりに、製造例1で得られた粗製ホスフィンガスを用いた以外は実施例1と同様にして、InP量子ドット前駆体を含む黄色の液を得た。
(2−2:InP量子ドットの合成)
上記1−1で得られたInP量子ドット前駆体を含む液の代わりに、上記2−1で得られたInP量子ドット前駆体を含む液を用いる以外は実施例1と同様にして、InP量子ドットを含む赤色の液を得た。
(2−3:InP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
上記1−2で得られたInP量子ドットを含む液の代わりに、上記2−2で得られたInP量子ドットを含む液を用いる以外は実施例1と同様にして、精製InP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値及び量子収率を測定した結果を表1に示す。
(実施例3)
InP量子ドットを得るところまでは実施例1と同じ方法で行った。得られたInP量子ドットを含む液に無水酢酸亜鉛(シグマアルドリッチ社製)を3g/Lの濃度で加えて、230℃で190分間の表面処理を行い、表面処理済みのInP量子ドットを含む液を得た。
(InP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
ミリスチン酸亜鉛4.5mmolを、1−オクタデセン18.6gに加えて減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して90分間脱気して、ミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液を得た。得られたミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液のうち、2.2mlを、260℃に加熱した上記で得られた表面処理済みのInP量子ドットを含む液に加え、更に加熱して300℃にて10分間撹拌した後、トリオクチルホスフィンセレニド0.75mmolを加えて、撹拌しながら300℃で15分間保持した。この操作(トリオクチルホスフィンセレニドの添加及び撹拌、保持)を更にもう一度繰り返した。得られた反応液に、上記のミリスチン酸亜鉛の1−オクタデセン溶液15.4mlを300℃にして加え、210℃まで冷却した後、30分間撹拌した。さらに、得られた反応液に1−ドデカンチオール12.5mmolを加えて、260℃に昇温後撹拌しながら2時間保持した。室温まで冷却後、遠心分離により不純物を除去して、上澄み液にコアにInP、シェルにZnSe及びZnSとなるInP/ZnSe/ZnS量子ドットの1−オクタデセン分散液を得た。この分散液にアセトンを加えて撹拌後、遠心分離によりInP/ZnSe/ZnS量子ドットを沈殿物として回収した。回収したInP/ZnSe/ZnS量子ドットを、ヘキサンに懸濁して精製InP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値及び量子収率を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
(3−1:InP量子ドット前駆体の合成)
製造例1で得られた精製ホスフィンガス0.3gを気相部に導入する代わりに、該ホスフィンガスと同じモル数のトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(純度98.3質量%、不純物である二級ホスフィンを0.35質量%含有)の10質量%1−オクタデセン溶液をミリスチン酸インジウムの1−オクタデセン溶液に混合して用いた以外は実施例1と同様にして、InP量子ドット前駆体を含む黄色の液を得た。
(3−2:InP量子ドットの合成)
上記1−1で得られたInP量子ドット前駆体を含む液の代わりに、上記3−1で得られたInP量子ドット前駆体を含む液を用いる以外は実施例1と同様にして、InP量子ドットを含む赤色の液を得た。
(3−3:InP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
上記1−2で得られたInP量子ドットを含む液の代わりに、上記3−2で得られたInP量子ドットを含む液を用いる以外は実施例1と同様にして、精製InP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値及び量子収率を測定した結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明では、三級ホスフィンよりも低コスト且つ容易に得られるリン源であるホスフィンを用い、三級ホスフィンと同等の品質の量子ドットを製造できる。

Claims (14)

  1. リン源とインジウム源からInP量子ドット前駆体を製造する方法であって、前記リン源として、ホスフィンを用いるInP量子ドット前駆体の製造方法。
  2. 前記ホスフィンとして、ヒ素含量が体積基準においてアルシン換算で1ppm以下であるホスフィンを用いる請求項1に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  3. 前記インジウム源として、酢酸インジウム、ラウリル酸インジウム、ミリスチン酸インジウム、パルミチン酸インジウム、ステアリン酸インジウム及びオレイン酸インジウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いる請求項1又は2に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  4. リン源とインジウム源との反応を20℃以上150℃以下の温度で行う請求項1〜3の何れか一項に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  5. リン源とインジウム源との反応を有機溶媒中で行う請求項1〜4の何れか一項に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  6. インジウム源を有機溶媒に溶解させた溶液に対し、別の有機溶媒を介さずにホスフィンを混合する工程を有する、請求項5に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  7. 前記インジウム源として、IRスペクトルにおける1500cm−1以上1700cm−1以下の範囲に、水酸基に由来する吸収ピークが観察されないカルボン酸インジウムを用いる、請求項1〜6の何れか一項に記載のInP量子ドット前駆体の製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の製造方法で得られたInP量子ドット前駆体を、250℃以上350℃以下の温度で加熱してInP量子ドットを得るInP系量子ドットの製造方法。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の製造方法で得られたInP量子ドット前駆体を、元素源M(Mは、Be、Mg、Ca、Mn、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、N、As、Sb及びBiの群から選ばれる少なくとも一種)を含む化合物とともに250℃以上350℃以下の温度で加熱して、InとPとMの複合量子ドットを得るInP系量子ドットの製造方法。
  10. さらに、請求項8又は9に記載の製造方法で得られた量子ドットを金属含有化合物又はハロゲン含有化合物により表面処理するInP系量子ドットの製造方法。
  11. 前記量子ドットを金属カルボン酸塩により表面処理する請求項10に記載のInP系量子ドットの製造方法。
  12. 請求項8〜11の何れか一項に記載の製造方法で得られた量子ドットをコアとし、このコアにInP以外の被覆化合物を被覆させてコアシェル構造の量子ドットを得るInP系量子ドットの製造方法。
  13. さらに、請求項12に記載の製造方法で得られたコアシェル構造の量子ドットを金属含有化合物又はハロゲン含有化合物により表面処理するInP系量子ドットの製造方法。
  14. 前記量子ドットを金属カルボン酸塩により表面処理する請求項13に記載のInP系量子ドットの製造方法。
JP2019221375A 2019-04-16 2019-12-06 InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法 Pending JP2020176044A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019078013 2019-04-16
JP2019078013 2019-04-16

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020176044A true JP2020176044A (ja) 2020-10-29

Family

ID=72936607

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019221375A Pending JP2020176044A (ja) 2019-04-16 2019-12-06 InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020176044A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220063362A (ko) * 2020-11-10 2022-05-17 연세대학교 산학협력단 인듐과 인을 포함하는 층상구조 화합물, 나노시트 및 이를 이용한 전기 소자
WO2023021897A1 (ja) * 2021-08-18 2023-02-23 昭栄化学工業株式会社 コア/シェル型半導体ナノ粒子の製造方法、及び半導体ナノ粒子複合体
US11597651B2 (en) 2020-09-09 2023-03-07 Industry-Academic Cooperation Foundation, Yonsei University Layered group III-V compound and nanosheet containing phosphorus, and electrical device using the same

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6317211A (ja) * 1986-07-07 1988-01-25 Seitetsu Kagaku Co Ltd ホスフインの精製法
US20070289491A1 (en) * 2006-06-15 2007-12-20 Evident Technologies, Inc. Method of preparing semiconductor nanocrystal compositions
JP2008037716A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 半導体微粒子の製造方法
JP2015529698A (ja) * 2012-07-02 2015-10-08 ナノシス・インク. 高輝度ナノ構造体およびそれを製造する方法
JP2017512245A (ja) * 2014-01-06 2017-05-18 ナノコ テクノロジーズ リミテッド カドミウムフリー量子ドットナノ粒子
CN107098324A (zh) * 2017-05-08 2017-08-29 苏州星烁纳米科技有限公司 一种磷化铟量子点的制备方法
WO2017204193A1 (ja) * 2016-05-27 2017-11-30 富士フイルム株式会社 コアシェル粒子、コアシェル粒子の製造方法およびフィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6317211A (ja) * 1986-07-07 1988-01-25 Seitetsu Kagaku Co Ltd ホスフインの精製法
US20070289491A1 (en) * 2006-06-15 2007-12-20 Evident Technologies, Inc. Method of preparing semiconductor nanocrystal compositions
JP2008037716A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 半導体微粒子の製造方法
JP2015529698A (ja) * 2012-07-02 2015-10-08 ナノシス・インク. 高輝度ナノ構造体およびそれを製造する方法
JP2017512245A (ja) * 2014-01-06 2017-05-18 ナノコ テクノロジーズ リミテッド カドミウムフリー量子ドットナノ粒子
WO2017204193A1 (ja) * 2016-05-27 2017-11-30 富士フイルム株式会社 コアシェル粒子、コアシェル粒子の製造方法およびフィルム
CN107098324A (zh) * 2017-05-08 2017-08-29 苏州星烁纳米科技有限公司 一种磷化铟量子点的制备方法

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ANDREW RITCHHART ET AL.: ""Templated Growth of InP Nanocrystals with a Polytwistane Structure"", ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION, vol. 57, no. 7, JPN6020020035, 5 January 2018 (2018-01-05), pages 1908 - 1912, XP072090411, ISSN: 0005086535, DOI: 10.1002/anie.201711539 *
DYLAN C. GARY ET AL.: ""Two-Step Nucleation and Growth of InP Quantum Dots via Magic-Sized Cluster Intermediates"", CHEMISTRY OF MATERIALS, vol. 27, no. 4, JPN6020020030, 30 January 2015 (2015-01-30), pages 1432 - 1441, XP055462428, ISSN: 0005086533, DOI: 10.1021/acs.chemmater.5b00286 *
FENG ZAN ET AL.: ""Gas-liquid phase synthesis of highly luminescent InP/ZnS core/shell quantum dots using zinc phosph", JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY, vol. 22, no. 5, JPN6023024495, 2 December 2011 (2011-12-02), pages 1794 - 1799, ISSN: 0005086532 *
NATALIA MORDVINOVA ET AL.: ""Phosphine synthetic route features and postsynthetic treatment of InP quantum dots"", JOURNAL OF ALLOYS AND COMPOUNDS, vol. 582, JPN6023024496, 9 August 2013 (2013-08-09), pages 43 - 49, XP028737008, ISSN: 0005086536, DOI: 10.1016/j.jallcom.2013.08.003 *
UNG THI DIEU THUY ET AL.: ""Luminescence properties of In(Zn)P alloy core/ZnS shell quantum dots"", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 97, no. 19, JPN5016013367, 10 November 2010 (2010-11-10), pages 193104, XP055004346, ISSN: 0005086534, DOI: 10.1063/1.3515417 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11597651B2 (en) 2020-09-09 2023-03-07 Industry-Academic Cooperation Foundation, Yonsei University Layered group III-V compound and nanosheet containing phosphorus, and electrical device using the same
KR20220063362A (ko) * 2020-11-10 2022-05-17 연세대학교 산학협력단 인듐과 인을 포함하는 층상구조 화합물, 나노시트 및 이를 이용한 전기 소자
KR102514683B1 (ko) * 2020-11-10 2023-03-27 연세대학교 산학협력단 인듐과 인을 포함하는 층상구조 화합물, 나노시트 및 이를 이용한 전기 소자
WO2023021897A1 (ja) * 2021-08-18 2023-02-23 昭栄化学工業株式会社 コア/シェル型半導体ナノ粒子の製造方法、及び半導体ナノ粒子複合体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230265342A1 (en) Quantum dot material and method for producing quantum dot material
US11319485B2 (en) Group III-V quantum dots, method for preparing the same
JP2020176044A (ja) InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法
JP5739152B2 (ja) 量子ドットの製造方法
JP4994599B2 (ja) InP微粒子の製造方法およびその方法で得られたInP微粒子分散液
KR101187663B1 (ko) 인듐포스파이드 양자점 코어 및 인듐포스파이드/황화아연 코어-쉘 양자점 합성 방법
JP6960109B2 (ja) 量子ドットの製造方法および有機ホスフィン
WO2020213365A1 (ja) InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法
US10947112B2 (en) Method of manufacturing semiconductor quantum dot and semiconductor quantum dot
WO2020154511A1 (en) Indium phosphorus quantum dots, clusters, and related methods
JP6651024B2 (ja) 半導体量子ドットの製造方法
US10868222B2 (en) Method of manufacturing gallium nitride quantum dots
WO2019188679A1 (ja) InP量子ドットの製造方法
JP2020176043A (ja) InP量子ドット前駆体の製造方法及びInP系量子ドットの製造方法
JP7475839B2 (ja) 亜鉛含有ナノ粒子の合成方法
CN112011327A (zh) 核壳结构量子点的制备方法及由其制备的产品
KR20120054721A (ko) 코어-쉘 구조의 저독성 반도체 나노입자 및 이의 제조 방법
WO2023182221A1 (ja) 量子ドットの製造方法
CN113795566A (zh) 量子点结构、其制作方法及量子点发光器件
WO2023026970A1 (ja) 量子ドットの製造方法
JP7475840B2 (ja) ウルツ鉱型硫化物ナノ粒子の合成方法
CN108929690A (zh) 一种合金纳米晶的制备方法
JP7229841B2 (ja) カルボン酸インジウムの製造方法
JP2023033157A (ja) 量子ドットの製造方法
CN117794891A (zh) 半导体纳米颗粒的制造中使用的羧酸锌盐

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221007

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231212