JP2020173899A - 燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みのばらつきによりターミナルプレートと樹脂フレームとセパレータとが重なる接着部の厚みが薄くなった場合でも、接着部に隙間が生ずることなく、適正に接着することができる方法を提供する。【解決手段】ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33とが重なる接着部Sを挟持する第1凸部111、112およびターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持する第2凸部113を有する一対の金型101、102、または、第1凸部211、212およびターミナルプレート31の接着部Sよりも外周側の領域を挟持する第3凸部213、214を有する一対の金型201、202を用いて積層体30を挟持し、接着部Sを加熱する。【選択図】図3

Description

本発明は、ターミナルプレートと樹脂フレームとセパレータとを接着する燃料電池の製造方法に関する。
この種の燃料電池の製造方法として、母材としてのセパレータと、シール部材と、セパレータとを重ねて積層体を形成し、積層体を上金型および下金型で挟んで加熱し接着するものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2015−69839号公報
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池の製造方法では、上金型および下金型を互いに直接接触させて、その間で積層体を挟み込んでいるので、積層体を構成する構成部品の厚みに大きなばらつきがある場合に、積層体と上金型との間、或いは積層体と下金型との間に隙間ができてしまい、積層体の接着部を十分に加圧することができず、接着部を適正に接着できないことがあるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、積層体を構成する構成部品の厚みにばらつきがある場合でも、積層体の接着部を十分に加圧することができ、積層体を適正に接着することができる燃料電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る燃料電池の製造方法は、ターミナルプレートと樹脂フレームとセパレータとを接着する燃料電池の製造方法であって、前記ターミナルプレートと前記樹脂フレームと前記セパレータとが重なる接着部を挟持する第1凸部および前記ターミナルプレートと前記セパレータとが接触する領域を挟持する第2凸部を有する一対の金型、または、前記第1凸部および前記ターミナルプレートの前記接着部よりも外周側の領域を挟持する第3凸部を有する一対の金型を用いて、前記ターミナルプレートと前記樹脂フレームと前記セパレータとが積層された積層体を挟持し、前記接着部を加熱することを特徴とする。
本発明に係る燃料電池の製造方法は、第1凸部および第2凸部を有する一対の金型、または、第1凸部および第3凸部を有する一対の金型を用いて積層体を挟持し、接着部を加熱することによって接着する方法であり、第1凸部は、ターミナルプレートと樹脂フレームとセパレータとが重なる接着部を挟持し、第2凸部は、ターミナルプレートとセパレータとが接触する領域を挟持し、第3凸部は、ターミナルプレートの接着部よりも外周側の領域を挟持する構成を有している。
本発明に係る燃料電池の製造方法によれば、一対の金型を互いに直接接触させず、第1凸部によって接着部を挟持し、かつ、第2凸部によってターミナルプレートとセパレータとが接触する領域を挟持した状態を定寸とすることができる。また、本発明に係る燃料電池の製造方法によれば、一対の金型を互いに直接接触させず、第1凸部によって接着部を挟持し、かつ、第3凸部によってターミナルプレートの接着部よりも外周側の領域を挟持した状態を定寸とすることができる。
したがって、ターミナルプレートの厚みにばらつきが生じても、厚みや厚みのばらつきに影響されることなく、積層体の接着部を十分に加圧し、積層体を適正に接着することができる。そして、第1凸部および第2凸部を有する一対の金型を用いる場合、第2凸部でターミナルプレートとセパレータとが接触する領域を挟持するので、第1凸部で接着部を挟持する際に、かかる領域においてセパレータを押さえることができ、セパレータに反りが発生するのを防ぐことができる。
本発明によれば、積層体を構成する構成部品の厚みにばらつきがある場合でも、積層体の接着部を十分に加圧することができ、積層体を適正に接着することができる燃料電池の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池の製造方法における燃料電池セルの分解斜視図。 本発明の実施形態に係る燃料電池の製造方法における積層体の分解斜視図。 本発明の実施形態に係る燃料電池の製造方法における金型と積層体の断面図。 本発明の実施形態に係る燃料電池の製造方法における積層体作製工程を説明する図であり、図4(a)は、積層体の各構成要素の断面図を示し、図4(b)は、積層体の断面図を示し、図4(c)は、金型にセットされた積層体および金型の断面図を示し、図4(d)は、積層体が金型により加圧され加熱されている状態の積層体および金型の断面図を示す。 本発明の実施形態に係る燃料電池の製造方法における積層体の図であり、図5(a)は、厚み測定箇所を示し、図5(b)は、厚み測定データの平均値の棒グラフを示す。 本発明の実施形態の変形例1に係る燃料電池の製造方法における金型と積層体の断面図。 本発明の実施形態の他の変形例2に係る燃料電池の製造方法における金型と積層体の断面図。 従来の燃料電池の製造方法における金型と積層体の断面図。
本発明に係る燃料電池の製造方法を適用した実施形態に係る燃料電池10の製造方法について図面を参照して説明する。
燃料電池10は、複数の燃料電池セル20と、一対の積層体30とにより構成されている。一方の積層体30は、積層された複数の燃料電池セル20の分配器側の一方端部に設けられ、他方の積層体30は、積層された複数の燃料電池セル20の他方端部に設けられている。
燃料電池セル20は、図1に示すように、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly、以下MEGAという。)21と、カソード側セパレータ22と、アノード側セパレータ23と、シール部材24とにより構成されている。なお、実施形態に係る燃料電池セル20のカソード側セパレータ22およびアノード側セパレータ23は、それぞれ本発明に係る燃料電池の製造方法のセパレータに対応する。
MEGA21は、図示しない膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、以下MEAという。)と、カソード側ガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer、以下GDLという。)と、アノード側GDLとにより構成されている。
MEAは、図示しない電解質膜と、カソード側触媒層と、アノード側触媒層との接合体である。電解質膜は、パーフルオロスルホン酸(PFSA)アイオノマーなどの固体高分子材料である高分子電解質樹脂によって構成されており、イオン伝導性を有する高分子膜を電解質とするイオン交換膜からなる。電解質膜は、電子および気体の流通を阻止するとともに、プロトンをアノード側触媒層からカソード側触媒層に移動させる機能を有している。
カソード側触媒層は、白金や白金合金などの触媒を担持した導電性の担体からなり、例えば、触媒担持カーボン粒子などのカーボン粒子を、プロトン伝導性を有するアイオノマーで被覆して形成された電極触媒層からなる。なお、アイオノマーは、電解質膜と同質のフッ素系樹脂などの固体高分子材料である高分子電解質樹脂からなり、その有するイオン交換基によりプロトン伝導性を有する。カソード側触媒層は、プロトンと電子と酸素から水を生成する機能を有している。
アノード側触媒層は、カソード側触媒層と同様の材料によって構成されているが、カソード側触媒層と異なり、水素ガス(H)をプロトンと電子に分解する機能を有している。
カソード側GDLは、ガス透過性および導電性を有する材料、例えば、カーボンペーパーなどの炭素繊維や黒鉛繊維などの多孔質の繊維基材によって構成されている。カソード側GDLは、カソード側触媒層の外側に接合されており、酸化剤ガスとしての空気を拡散させて均一にし、カソード側触媒層に行き渡らせる機能を有している。
アノード側GDLは、カソード側GDLと同様に、ガス透過性および導電性を有する材料、例えば、カーボンペーパーなどの炭素繊維や黒鉛繊維などの多孔質の繊維基材によって構成されている。アノード側GDLは、アノード側触媒層の外側に接合されており、燃料ガスとしての水素ガスを拡散させて均一にし、アノード側触媒層に行き渡らせる機能を有している。
カソード側セパレータ22は、鉄鋼板、ステンレス鋼板およびアルミニウム板などの厚さが0.1mm程度の金属板によって構成されている。カソード側セパレータ22は、カソード側GDLおよびシール部材24の接着領域に接着されており、カソード側GDLの表面に沿って酸化剤ガスとしての空気を流す酸化剤ガス流路が形成されている。なお、カソード側セパレータ22の材料は、チタン(Ti)やステンレス(SUS)などの耐食性材料であってもよい。
カソード側セパレータ22の表面は、チタン(Ti)薄膜が形成され、チタン薄膜に炭素層が形成されている。また、カソード側セパレータ22には、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水が流通するマニホールド22aが貫通して形成されている。
アノード側セパレータ23は、カソード側セパレータ22と同様、鉄鋼板、ステンレス鋼板およびアルミニウム板などの厚さが0.1mm程度の金属板によって構成されている。アノード側セパレータ23は、アノード側GDLおよびシール部材24の接着領域に接合されており、アノード側GDLの表面に沿って燃料ガスとしての水素を流す燃料ガス流路が形成されている。
アノード側セパレータ23の表面は、カソード側セパレータ22の表面と同様、表面にチタン(Ti)薄膜が形成され、チタン薄膜に炭素層が形成されている。また、アノード側セパレータ23には、カソード側セパレータ22と同様、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水が流通するマニホールド23aが貫通して形成されている。なお、アノード側セパレータ23の材料は、チタン(Ti)やステンレス(SUS)などの耐食性材料であってもよい。
シール部材24は、合成樹脂材料を用いて枠状に形成されたコア材と、コア材の表面および裏面に形成された熱可塑性の接着層を有する3層構造を有している。シール部材24は、カソード側セパレータ22およびアノード側セパレータ23を接着するとともに、MEGA21を構成する電解質膜と接合されている。シール部材24は、燃料極の水素ガス(H)や空気極の酸素ガス(O)が、微量ながら電解質膜を通過してしまうという、いわゆるクロスリークや触媒電極同士の電気的短絡を防ぐための機能を有している。
また、シール部材24には、カソード側セパレータ22およびアノード側セパレータ23と同様、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水が流通するマニホールド24aが貫通して形成されている。
積層体30は、図2に示すように、ターミナルプレート31と、樹脂フレーム32と、カソード側セパレータ22またはアノード側セパレータ23(以下、単にセパレータ33という)とにより構成されている。
ターミナルプレート31は、母材としてのプレート41と、端子42とを有しており、複数の燃料電池セル20で発電された電力を端子42を介して燃料電池10の電力の供給先に給電するように構成されている。
プレート41は、セパレータ33と同様の形状を有している。また、プレート41には、樹脂フレーム32およびセパレータ33と同様、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水が流通するマニホールド41aが貫通して形成されている。
プレート41の板厚公差は、100μm〜400μmである。
プレート41は、複数の燃料電池セル20で発電された電流を沿面方向に流すことにより発生するジュール熱を抑える機能を有している。なお、プレート41は、チタン(Ti)以外の材料によって構成されていてもよい。例えば、ステンレス鋼板(SUS)などの耐食性材料、アルミニウム板(Al)や銅板(Cu)などの導電性材料によって構成されていてもよい。
また、プレート41は、ターミナルプレート31に隣接する図示しない締結部品のスタックマニホールドのたわみを吸収しつつ、できる限りフラットな状態で、荷重を付与することができるように、厚みが確保されている。なお、セパレータ33は厚みが0.1mm程度なので、プレート41と比較してジュール熱を抑える機能は低く、耐えることができる荷重も低い。
端子42は、アルミニウム(Al)の板材からなり、摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding )により、プレート41の縁部に接合されている。端子42は、プレート41に対して電気的に接続されている。
樹脂フレーム32は、シール部材24と同様、合成樹脂で枠状に形成されたコア材と、コア材の表面および裏面に形成された熱可塑性の接着層を有する3層構造を有している。樹脂フレーム32は、ターミナルプレート31とセパレータ33を接着するように構成されている。また、樹脂フレーム32には、セパレータ33と同様、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水が流通するマニホールド32aが貫通して形成されている。
次いで、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法について、図面を参照して説明する。
燃料電池10の製造方法は、燃料電池セル20を作製する公知のセル化工程と、積層体30を作製する積層体作製工程と、セル化工程で作製された燃料電池セル20と、積層体作製工程で作製された積層体30とを積層し締結部品で締結する公知のスタック化工程とを含む。
本実施形態に係る燃料電池10の製造方法では、セル化工程およびスタック化工程は、公知の工程からなり、積層体作製工程に特徴があるので、以下、積層体作製工程について図面を参照して説明する。
積層体作製工程は、積層工程と、セット工程と、プレス工程とを含んでおり、金型100を用いて積層体30の作製が行われる。
金型100は、図3に示すように、上金型101および下金型102を有している。上金型101は、下金型102に対向する面から下金型102に接近する方向に突出する第1凸部111、112と、第1凸部111、112の間で下金型102に対向する面から下金型102に接近する方向に突出する第2凸部113とを有している。
第1凸部111、112は、上金型101の下降により、積層体30の接着部Sを下金型102との間で挟持し、加圧する形状を有する。積層体30の接着部Sには、積層体30の構成要素であるセパレータ33と樹脂フレーム32とターミナルプレート31とが重なり合っている。そして、第2凸部113は、上金型101の下降により、下金型102との間で積層体30のターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持する形状を有する。
下金型102は、静止部材に設置されており、上金型101に対向する平坦な上面102aを有している。下金型102の上面102aには、積層体30のターミナルプレート31が載置される。下金型102は、上金型101の第1凸部111、112と協働して積層体30の接着部Sを挟持し、加圧するように構成されている。また、下金型102は、上金型101の第2凸部113と協働して、積層体30のターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持するように構成されている。
積層工程においては、図4(a)および図4(b)に示すように、積層体30の構成要素であるターミナルプレート31と、樹脂フレーム32と、セパレータ33とが積層される。セット工程においては、図4(c)に示すように、積層体30が下金型102の上面102aに載置される。
プレス工程においては、上金型101が下金型102に向かって下降し、上金型101の第1凸部111、112によりターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33とが重なる接着部Sを挟持し、第2凸部113によりターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持し、接着部Sを加熱する。
積層体30の接着部Sでは、上金型101および下金型102による加圧および加熱により、樹脂フレーム32の表面および裏面に形成された各接着層が溶解して、樹脂フレーム32とセパレータ33との間、及び、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32との間が接着される。これにより、接着部Sにおいてセパレータ33と樹脂フレーム32とターミナルプレート31が接着されて一体に固定された積層体30が作製される。
以上のように構成された実施形態に係る燃料電池10の製造方法の効果について説明する。
本実施形態に係る燃料電池10の製造方法は、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33からなる積層体30を接着する燃料電池の製造方法であって、第1凸部111、112および第2凸部113を有する一対の金型101、102を用いて積層体30を挟持し、接着部Sを加熱することによって接着する。第1凸部111、112は、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33とが重なる接着部Sを挟持し、第2凸部113は、ターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持する。そして、第1凸部111、112と下金型102との間に挟持した積層体30の接着部Sを加圧するとともに加熱する処理を行う。
本実施形態に係る燃料電池10の製造方法によれば、一対の金型101、102を互いに直接接触させず、第1凸部111、112によって接着部Sを挟持し、かつ、第2凸部113によってターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持した状態を定寸とすることができる。
したがって、ターミナルプレート31の厚みにばらつきが生じても、厚みや厚みのばらつきに影響されることなく、積層体30の接着部Sを十分に加圧し、積層体30を適正に接着することができる。そして、第1凸部111、112および第2凸部113を有する一対の金型101、102を用いる場合、第2凸部113でターミナルプレート31とセパレータ33とが接触する領域を挟持するので、第1凸部111、112で接着部Sを挟持する際に、かかる領域においてセパレータ33を押さえることができ、セパレータ33に反りが発生するのを防ぐことができる。
なお、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法により、積層体30を作製し、積層体30の接着部Sの厚みを測定し、測定された厚みが、規格に定められている60μmの範囲内にあるか否かを検証した。積層体30の厚みは、図5(a)に示すように、P1からP26までの26箇所で測定した。
測定した結果、図5(b)に示すように、P1からP26までの26箇所のすべての箇所において、接着部Sの厚みは60μmの範囲内にあり、厚みのばらつきは、約30μm程度であった。厚みの平均値は、60μmの範囲の中心部分に位置していた。その結果、P1からP26までの26箇所で、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法の効果が得られることが確認された。
また、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法は、従来の燃料電池の製造方法における問題を解消することができるという効果が得られた。即ち、従来の燃料電池の製造方法においては、図8に示すように、ターミナルプレート1と、樹脂フレーム2と、セパレータ3とからなる積層体4は、金型5により積層方向に加圧され加熱されて接着されるように構成されている。
金型5は、実施形態の金型100とは、構造が異なり、上金型6と下金型7とが直接当接することで積層体4を接着する構造、いわゆる定寸接着がなされる構造となっている。この金型5においては、積層体4を接着する際に、上金型6と下金型7とが当接するまで加圧がなされるので、積層体4の厚みが、許容される厚みの範囲よりも大きい場合には、接着部Sに過大な圧力が作用してしまうという問題がある。一方、積層体4の厚みが、許容される厚みの範囲よりも小さい場合には、接着部Sに隙間ができて、接着がなされないことがあるという問題がある。
具体的には、積層体4の厚みの許容範囲が、例えば、±30μm、レンジとしては60μmとなっている場合に、ターミナルプレート1の公差が±100〜400μmであるので、ターミナルプレートの公差だけで積層体4の厚みの許容範囲の±30μmを著しく超えてしまうことになる。
積層体4が、厚みの許容範囲を超えてしまうと、積層体4は、いわゆる接着ばらつきが不成立となってしまう。即ち、積層体4の厚みのばらつきが大きくなり、適正な接着ができないことになってしまう。適正な接着ができないと、接着強度不足による水素ガス、エアおよび冷却水のリークが発生するおそれがある。
このような従来の燃料電池の製造方法に対して、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法は、上金型101と下金型102とが直接接触することはなく、積層体30の積層方向における厚みのばらつきが生じても、厚みや厚みのばらつきに影響されることなく、上金型101の第1凸部111、112と下金型102で積層体30の各構成要素が重なる接着部Sが挟持される。接着部Sが挟持された状態で、接着部位が加圧および加熱されるので、接着部Sが適正に接着され、従来の燃料電池の製造方法における問題が解消されるという効果が得られる。
なお、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法においては、金型100により積層体30を接着する場合について説明した。しかしながら、本発明に係る燃料電池の製造方法においては、金型100により積層体30を接着する方法以外の方法でもよい。
例えば、金型100の代わりに、金型200や金型300を用いてもよい。以下、金型200により積層体30を接着する構造で構成した変形例1、および金型300により積層体30Aを接着する構造で構成した変形例2について図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係る燃料電池10の製造方法と同様の構成については同一の符号を用いて、詳細な説明は省略する。
(変形例1)
本実施形態の変形例1に係る燃料電池10の製造方法について図面を参照して説明する。
変形例1に係る燃料電池10の製造方法においては、積層体30は、金型200により接着される。金型200は、図6に示すように、上金型201および下金型202を有している。上金型201は、下金型202に対向する面から下金型202に接近する方向に突出する第1凸部211、212と、第1凸部211、212の外周側で、下金型202に対向する面から下金型202に接近する方向に突出する第3凸部213、214とを有している。
第1凸部211、212は、上金型201の下降により、積層体30の接着部Sを下金型202との間に挟持し、加圧する形状を有する。そして、第3凸部213、214は、上金型201の下降により、下金型202との間に積層体30のターミナルプレート31を挟持する形状を有する。金型200は、第3凸部213、214の各先端が、ターミナルプレート31の上面に当接し、当接部分が、いわゆる金型200の定寸部として構成されている。
下金型202は、静止部材に設置されており、上金型201に対向する平坦な上面202aを有している。下金型202の上面202aには、積層体30のターミナルプレート31が載置される。下金型202は、上金型201の第1凸部211、212と協働して積層体30の接着部Sを挟持し、加圧するように構成されている。また、下金型202は、上金型201の第3凸部213、214と協働して、積層体30のターミナルプレート31を挟持するように構成されている。
積層体30は、実施形態に係る燃料電池10の製造方法における積層体作製工程と同様の工程を経て接着される。
以上のように構成された実施形態の変形例1に係る燃料電池10の製造方法の効果について説明する。
変形例1に係る燃料電池10の製造方法は、第1凸部211、212および第3凸部213、214を有する一対の金型201、202を用いて積層体30を挟持し、接着部Sを加熱することによって接着する。第1凸部211、212は、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33とが重なる接着部Sを挟持し、第3凸部213、214は、ターミナルプレート31の接着部Sよりも外周側の領域を挟持する。そして、第1凸部211、212と下金型202との間に挟持した積層体30の接着部Sを加圧するとともに加熱する処理を行う。
変形例1に係る燃料電池10の製造方法によれば、第1凸部211、212によってターミナルプレート31を挟持し、かつ、第3凸部213、214によってターミナルプレート31を挟持した状態を定寸とすることができる。
この構成により、上金型201と下金型202とが直接接触することはなく、積層体30の積層方向における樹脂フレーム32およびセパレータ33の厚みにばらつきが生じても、厚みのばらつきの範囲は小さく、規定のばらつきの範囲内に収まるので、接着部Sおよび接着部Sよりも外周側の領域が、上金型201の第1凸部211、212および第3凸部213、214により隙間なく適正に挟持されるという効果が得られる。
接着部Sおよび接着部Sよりも外周側の領域が適正に挟持された状態で、接着部Sが加圧され加熱されるので、接着部Sにおける樹脂フレーム32が溶解し、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とが接着され、樹脂フレーム32とセパレータ33とが適正に接着されるという効果が得られる。
(変形例2)
本実施形態の変形例2に係る燃料電池10の製造方法について図面を参照して説明する。
変形例2に係る燃料電池10の製造方法においては、積層体30Aが、ターミナルプレート31と、樹脂フレーム32と、セパレータ33Aとにより構成されている。セパレータ33Aは、図7に示すように、接着部Sの外側に、さらに樹脂フレーム32の接着層の食切り部分Kを押圧する押圧部位Oを有している。押圧部位Oは、接着層の食切り部分Kを介して後述する上金型301がターミナルプレート31に突き当たる定寸部となっている。
積層体30Aは、金型300により接着される。金型300は、図7に示すように、上金型301および下金型302を有している。上金型301は、下金型302に対向する面から下金型302に接近する方向に突出する第1凸部311、312と、第1凸部311、312の外周側で、下金型302に対向する面から下金型302に接近する方向に突出する第3凸部313、314とを有している。
第1凸部311、312は、上金型301の下降により、積層体30の接着部Sを下金型302との間に挟持し、加圧する形状を有する。そして、第3凸部313、314は、上金型301の下降により、下金型302との間に積層体30のターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33Aを挟持する形状を有する。第3凸部313、314は、それぞれ押圧部位Oに当接し、先端で押圧部位Oを下金型302の方向に押圧するように構成されている。金型300は、第3凸部313、314の各先端が、セパレータ33Aの上面に当接し、当接部分が、いわゆる金型300の定寸部として構成されている。
下金型302は、静止部材に設置されており、上金型301に対向する平坦な上面302aを有している。下金型302の上面302aには、積層体30Aのターミナルプレート31が載置される。下金型302は、上金型301の第1凸部311、312と協働して積層体30Aの接着部Sを挟持し、加圧するように構成されている。また、下金型302は、上金型301の第3凸部313、314と協働して積層体30Aの押圧部位Oを挟持するように構成されている。
積層体30Aは、実施形態に係る燃料電池10の製造方法における積層体作製工程と同様の工程を経て接着される。
以上のように構成された実施形態の変形例2に係る燃料電池10の製造方法の効果について説明する。
変形例2に係る燃料電池10の製造方法は、第1凸部311、312および接着部Sよりも外周側の押圧部位Oを挟持する第3凸部313、314を有する一対の金型301、302を用いて積層体30Aを挟持し、接着部Sを加熱することによって接着する。第1凸部311、312は、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とセパレータ33Aとが重なる接着部Sを挟持し、第3凸部313、314は、積層体30Aの押圧部位Oを挟持する。そして、第1凸部311、312と下金型302との間に挟持した積層体30Aの接着部Sを加圧するとともに加熱する処理を行う。
変形例2に係る燃料電池10の製造方法によれば、第1凸部311、312によって接着部Sを挟持し、かつ、第3凸部313、314によって積層体30Aの押圧部位Oを挟持した状態を定寸とすることができる。
この構成により、上金型301と下金型302とが直接接触することはなく、積層体30Aの積層方向における積層体30Aの厚みにばらつきが生じても、厚みおよび厚みのばらつきの影響を受けることなく、接着部Sおよび押圧部位Oが、第1凸部311、312および第3凸部313、314により、隙間なく適正に挟持されるという効果が得られる。
接着部Sおよび押圧部位Oが適正に挟持された状態で、接着部Sが加圧され加熱されるので、接着部Sにおける樹脂フレーム32が溶解し、ターミナルプレート31と樹脂フレーム32とが接着され、樹脂フレーム32とセパレータ33Aとが適正に接着されるという効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
10・・・燃料電池、20・・・燃料電池セル、21・・・MEGA、22・・・カソード側セパレータ(セパレータ)、22a,23a,24a,32a,41a・・・マニホールド、23・・・アノード側セパレータ(セパレータ)、24・・・シール部材、30,30A・・・積層体、31・・・ターミナルプレート、32・・・樹脂フレーム、33,33A・・・セパレータ、41・・・プレート、42・・・端子、100,200,300・・・金型、101,201,301・・・上金型、102,202,302・・・下金型、102a,202a,302a・・・上面、111,112,211,212,311,312・・・第1凸部、113・・・第2凸部、213,214,313,314・・・第3凸部、S・・・接着部位

Claims (1)

  1. ターミナルプレートと樹脂フレームとセパレータとを接着する燃料電池の製造方法であって、
    前記ターミナルプレートと前記樹脂フレームと前記セパレータとが重なる接着部を挟持する第1凸部および前記ターミナルプレートと前記セパレータとが接触する領域を挟持する第2凸部を有する一対の金型、または、
    前記第1凸部および前記ターミナルプレートの前記接着部よりも外周側の領域を挟持する第3凸部を有する一対の金型を用いて、
    前記ターミナルプレートと前記樹脂フレームと前記セパレータとが積層された積層体を挟持し、前記接着部を加熱することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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