以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る両替システム及び両替方法の実施の形態について説明する。本実施形態に係る両替システムは、両替前通貨の入金処理を実行可能な少なくとも1台の貨幣処理装置(入金装置)と、両替後通貨の出金処理を実行可能な複数台の貨幣処理装置(出金装置)とを含む。そして、複数台の貨幣処理装置(出金装置)が、複数種類の通貨を出金可能に構成されている点に1つの特徴を有している。両替システムは様々な場所で利用することができるが、本実施形態では日本の空港にある両替店舗に設置された例を説明する。
両替システムは、複数種類の通貨の間で両替を行うために利用される。両替対象とする通貨の数及び種類は特に限定されないが、本実施形態では、自国通貨である日本円と、他国通貨である米国ドル、カナダドル、英国ポンド、欧州ユーロ及び豪州ドルとを両替対象とする例を説明する。
図1は、本実施形態に係る両替システムの両替方法を説明するための模式図である。両替システムは、両替店舗の客から受けた1種類又は複数種類の通貨を、客が選択した1種類又は複数種類の通貨に両替することができる。
図1に示すように、両替システムは、複数の操作端末10(10a、10b)と、自国通貨を処理する複数の自国通貨処理装置20(20a、20b)と、他国通貨を処理する複数の他国通貨処理装置40(40a〜40d)とを含む。自国通貨処理装置20及び他国通貨処理装置40は、大型の表示部を備える貨幣処理装置である。以下、貨幣処理装置20、40と記載する場合には、自国通貨処理装置20と他国通貨処理装置40の少なくともいずれか一方が含まれる。
両替店舗の店員が複数の操作端末10を容易に区別できるように各端末に識別情報100が付されている。店員が複数の貨幣処理装置20、40を容易に区別できるように各装置に識別情報101が付されている。両替システムは、識別情報100及び識別情報101を利用して操作端末10と貨幣処理装置20、40との対応を店員に報知する。また、両替システムは、識別情報101を利用して、複数の貨幣処理装置20、40のうち両替処理に利用される貨幣処理装置20、40を店員に報知する。
操作端末10は、両替処理に係る情報を入力するための操作部と、両替処理に係る情報を表示するための表示部とを含む。操作端末10は、自国通貨処理装置20及び他国通貨処理装置40と通信可能に接続されている。例えば、図1に示すように、タッチパネル式の液晶表示装置を操作表示部として利用するタブレット型のコンピュータ装置が、操作端末10として利用される。
複数の店員に操作端末10が1台ずつ割り当てられている。図1に示す例では、2人の店員のうち一方が第1端末10aを利用して、他方の店員が第2端末10bを利用する。複数の店員が別の客に応対することにより、複数の両替処理を並行して進めることができる。
自国通貨処理装置20は、自国通貨である円貨の入金処理及び出金処理を実行する貨幣処理装置である。自国通貨処理装置20は、日本紙幣の入金処理及び出金処理と、日本硬貨の入金処理及び出金処理を行うことができる。
日本の空港にある両替店舗では、円貨から外貨への両替、外貨から円貨への両替が多く行われる。両替システムは、操作端末10と同じ台数の自国通貨処理装置20を含む。これにより、各店員は、他の店員による自国通貨処理装置20の利用完了を待つことなく両替処理を進めることができる。
他国通貨処理装置40は、他国通貨の入金処理及び出金処理を実行する貨幣処理装置である。図1に示す他国通貨処理装置40aは米国のドル紙幣の入金処理及び出金処理を行い、他国通貨処理装置40bはカナダのドル紙幣の入金処理及び出金処理を行う。他国通貨処理装置40cは英国のポンド紙幣の入金処理及び出金処理を行い、他国通貨処理装置40dは欧州のユーロ紙幣の入金処理及び出金処理を行う。
図1では、1台の貨幣処理装置20、40が1種類の通貨を処理する例を示しているが、貨幣処理装置20、40の利用方法が本態様に限定されるものではない。複数台の貨幣処理装置20、40が1種類の通貨を処理する態様であってもよいし、1台の貨幣処理装置20、40が複数種類の通貨を処理する態様であってもよい。例えば、米国紙幣1ドル、2ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドルの7金種がある。このうち、1ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドルの6金種を両替対象に設定する。1台の他国通貨処理装置40がこれら6金種全てを入出金する態様の他、例えば2台の他国通貨処理装置40を利用して、一方の装置が1ドル紙幣及び5ドル紙幣を入出金し、他方の装置が20ドル紙幣、50ドル紙幣及び100ドル紙幣を入出金する態様であってもよい。3台以上の他国通貨処理装置40を利用して6金種を入出金する態様であってもよいし、2台以上の装置で入出金する金種の一部が重複する態様であってもよい。また、例えば、1台の他国通貨処理装置40が、米国のドル紙幣とカナダのドル紙幣の両方を処理する態様であってもよい。
次に、日本円を米国ドル及びカナダドルに両替する場合を例に、両替方法について説明する。例えば、第1端末10aを操作する店員が、客の要望に基づいて、両替処理の処理内容(両替内容)を決定する。決定される両替内容には、両替前通貨の種類と、両替後通貨の種類と、両替金額及び両替手数料を含む両替前通貨の入金金額と、両替後通貨の金種及び金種別枚数とが含まれる。両替金額とは両替後通貨の合計金額である。両替手数料とは両替店舗が客に請求する両替処理の手数料である。
両替後の通貨が複数種類である場合には、両替後の各通貨について両替内容が決定される。日本円から米国ドルへの両替については、両替金額と、日本円と米国ドルの為替レートと、日本円を米国ドルへ両替する両替手数料とに基づいて、日本円の入金金額と、出金する米国紙幣の金種及び金種別数とが決定される。日本円からカナダドルへの両替については、両替金額と、日本円とカナダドルの為替レートと、日本円をカナダドルへ両替する両替手数料とに基づいて、日本円の入金金額と、出金するカナダ紙幣の金種及び金種別枚数とが決定される。
客が、第1端末10aに表示された両替内容を確認して承認すると、店員は、第1端末10aを操作して両替内容を確定する。両替内容が確定すると、第1端末10aは、両替処理のために行われる入金処理の処理内容を決定して、両替前通貨に対応する貨幣処理装置20、40に通知する。また、第1端末10aは、両替処理のために行われる出金処理の処理内容を決定して、両替後通貨に対応する貨幣処理装置20、40に通知する。
貨幣処理装置20、40は、両替処理のために入金処理の実行が必要になった場合に、これを示す情報を表示部に表示して入金待機状態となる。入金待機状態の貨幣処理装置20、40は、入金処理開始の所定操作を受け付けて入金処理を実行する。言い換えれば、入金処理を行う必要がないときには貨幣処理装置20、40で入金処理を実行できないようになっている。これにより、店員が誤って別の貨幣処理装置20、40で入金処理を行うことを回避している。
同様に、貨幣処理装置20、40は、両替処理のために出金処理の実行が必要になった場合に、これを示す情報を表示部に表示して出金待機状態となる。出金待機状態の貨幣処理装置20、40は、出金処理開始の所定操作を受け付けて出金処理を実行する。言い換えれば、出金処理を行う必要がないときには貨幣処理装置20、40で出金処理を実行できないようになっている。これにより、店員が誤って別の貨幣処理装置20、40で出金処理を行うことを回避している。
第1端末10aは、店員が行う処理内容を案内する情報を画面に表示する。図1は、日本円を米国ドル及びカナダドルへ両替する両替処理を開始した際の表示を示している。両替内容が確定すると、図1に示すように、第1端末10aは、識別情報101が「A」の自国通貨処理装置20aで日本円の入金処理を実行するよう案内する情報を画面に表示する(A1)。第1端末10aは、入金処理が行われる自国通貨処理装置20aに入金処理実行の通知を行う。
通知を受けた自国通貨処理装置20aは入金待機状態になる。図1に示すように、自国通貨処理装置20aは、識別情報100が「X」の第1端末10aで決定された入金処理を受け付けることを示す案内情報を表示部に表示する。
店員は、第1端末10a及び自国通貨処理装置20aの案内表示に基づいて、自国通貨処理装置20aで日本円の入金処理を実行する(A2)。日本円の入金は、紙幣と硬貨の少なくともいずれか一方によって行われる。
自国通貨処理装置20aは、先に第1端末10aで決定された入金金額分が入金されるまで入金処理を完了しない。両替システムでは、両替処理に必要な入金金額分の両替前通貨が貨幣処理装置20、40に入金されたことが、両替後通貨の出金処理を実行するための1つの条件となっている。言い換えれば、店員は、先に第1端末10aで決定された入金金額分の両替前通貨を自国通貨処理装置20aに入金するまで、両替後通貨の出金処理を行うことができない。入金処理が完了すると、自国通貨処理装置20aは、これを第1端末10aに通知する。また、自国通貨処理装置20aは、表示部の入金処理の案内情報を消去して、次の両替処理まで入金処理及び出金処理を受け付けない状態になる。
入金処理が完了すると、第1端末10aは、図1に示す入金処理の案内情報を消去して、出金処理の案内情報を表示する。例えば、第1端末10aは、画面に「C:米国ドル出金、D:カナダドル出金」と表示する。第1端末10aは、出金処理が行われる他国通貨処理装置40a及び他国通貨処理装置40bに出金処理実行の通知を行う。
通知を受けた他国通貨処理装置40a及び他国通貨処理装置40bは出金待機状態になる。他国通貨処理装置40a及び他国通貨処理装置40bは、識別情報100が「X」の第1端末10aで決定された出金処理を受け付けることを示す案内情報を表示部に表示する。例えば、各表示部に「X:出金」と表示される。具体的には、図1は入金処理を開始する前の表示を示しているが、入金処理を終えて出金処理を行う際には、図1の自国通貨処理装置20aの表示部から表示が消えて、他国通貨処理装置40a、40bの表示部に「X:出金」と表示される。
店員が、第1端末10a及び他国通貨処理装置40の案内表示に基づいて、他国通貨処理装置40aで出金処理開始の所定操作を行うと、他国通貨処理装置40aは出金処理を開始する。他国通貨処理装置40aは、先に第1端末10aで決定された両替内容に基づいて米国紙幣を出金する(A3)。店員が、他国通貨処理装置40aの出金口から、出金された米国紙幣を抜き取ると、出金口に設けられた検知部がこれを検知する。この検知を受けて、他国通貨処理装置40aは、表示部の出金処理の案内情報を消去して、次の両替処理まで、入金処理及び出金処理を受け付けない状態になる。また、他国通貨処理装置40aは、出金処理の完了を第1端末10aに通知する。通知を受けた第1端末10aは、画面上の米国紙幣出金の案内情報を消去して「D:カナダドル出金」の表示のみとする。
続いて店員が、他国通貨処理装置40bで出金処理開始の所定操作を行うと、他国通貨処理装置40bは出金処理を開始する。他国通貨処理装置40bは、先に第1端末10aで決定された両替内容に基づいてカナダ紙幣を出金する(A4)。店員が、他国通貨処理装置40bの出金口から、出金されたカナダ紙幣を抜き取ると、出金口に設けられた検知部がこれを検知する。この検知を受けて、他国通貨処理装置40bは、表示部の出金処理の案内情報を消去して、次の両替処理まで、入金処理及び出金処理を受け付けない状態になる。また、他国通貨処理装置40bは、出金処理の完了を第1端末10aに通知する。通知を受けた第1端末10aは、画面上の出金処理の案内情報を消去して両替処理を完了する。
両替システムでは、貨幣処理装置20、40の出金口に設けられた検知部が、出金された両替後通貨の抜き取りを検知したことが、両替処理を完了するための1つの条件となっている。言い換えれば、店員は、全ての出金処理を完了するまでは、両替処理を完了して第1端末10aで次の両替処理を開始することはできない。なお、紙幣の抜取検知の例を示したが、硬貨が出金される場合には、紙幣と同様に、硬貨の出金口に設けられた検知部が硬貨の抜き取りを検知する。
外貨を日本円に両替する場合も同様に両替処理が行われる。英国のポンド及び欧州のユーロを日本円に両替する場合を例に説明する。例えば、第2端末10bを操作する店員が、客の要望に基づいて両替内容を決定する。両替前の通貨が複数種類である場合には、両替前の各通貨について両替内容が決定される。決定された両替内容は第2端末10bの画面に表示される。客が、両替内容を確認して承認すると、店員は、第2端末10bを操作して両替内容を確定する。両替内容が確定すると、第2端末10bは、両替処理のために行われる入金処理の処理内容を決定して、両替前通貨に対応する貨幣処理装置20、40に通知する。また、第2端末10bは、両替処理のために行われる出金処理の処理内容を決定して、両替後通貨に対応する貨幣処理装置20、40に通知する。
第2端末10bは、店員が行う処理内容を案内する情報を画面に表示する。図1は、英国のポンド及び欧州のユーロを日本円に両替する両替処理を開始した際の表示を示している。図1に示すように、第2端末10bは、識別情報101が「E」の他国通貨処理装置40cで英国ポンドの入金処理を実行し、識別情報101が「F」の他国通貨処理装置40dで欧州のユーロの入金処理を実行するよう案内する情報を画面に表示する(B1)。第2端末10bは、入金処理が行われる他国通貨処理装置40c及び他国通貨処理装置40dに入金処理実行の通知を行う。
通知を受けた他国通貨処理装置40c及び他国通貨処理装置40dは入金待機状態になる。図1に示すように、他国通貨処理装置40c及び他国通貨処理装置40dは、識別情報100が「Y」の第2端末10bで決定された入金処理を受け付けることを示す案内情報を表示部に表示する。
店員は、第2端末10b及び他国通貨処理装置40c、40dの案内表示に基づいて、他国通貨処理装置40cで英国ポンドの入金処理を実行し(B2)、他国通貨処理装置40dで欧州ユーとの入金処理を実行する(B3)。入金処理が完了すると、他国通貨処理装置40c及び他国通貨処理装置40dは、これを第2端末10bに通知する。また、他国通貨処理装置40c及び他国通貨処理装置40dは、表示部の入金処理の案内情報を消去して、次の両替処理まで入金処理及び出金処理を受け付けない状態となる。
入金処理が完了すると、第2端末10bは、図1に示す入金処理の案内情報を消去して、出金処理の案内情報を表示する。例えば、第2端末10bは、画面に「B:日本円出金」と表示する。第2端末10bは、出金処理が行われる自国通貨処理装置20bに出金処理実行の通知を行う。
通知を受けた自国通貨処理装置20bは出金待機状態になる。自国通貨処理装置20bは、識別情報100が「Y」の第2端末10bで決定された出金処理を受け付けることを示す案内情報を表示部に表示する。例えば、表示部に「Y:出金」と表示される。
店員は、第2端末10b及び自国通貨処理装置20bの案内表示に基づいて、自国通貨処理装置20bで出金処理を開始する。自国通貨処理装置20bは、先に第2端末10bで決定された両替内容に基づいて日本円を出金する(B4)。日本円の出金は、紙幣と硬貨の少なくともいずれか一方によって行われる。店員が、自国通貨処理装置20bの出金口から、出金された日本円を抜き取ると、出金口に設けられた検知部がこれを検知する。この検知を受けて、自国通貨処理装置20bは、表示部の出金処理の案内情報を消去して、次の両替処理まで、入金処理及び出金処理を受け付けない状態になる。また、自国通貨処理装置20bは、出金処理の完了を第2端末10bに通知する。通知を受けた第2端末10bは、出金処理の案内情報を消去して両替処理を完了する。
図1では1種類の通貨を入金して複数種類の通貨を出金する例と、複数種類の通貨を入金して1種類の通貨を出金する例とを示したが、1種類の通貨を入金して1種類の通貨を出金することもできるし、複数種類の通貨を入金して複数種類の通貨を出金することもできる。これらの場合も、上述したように、両替処理に必要な入金処理及び出金処理が、対応する貨幣処理装置20、40によって行われることになる。
このように、操作端末10を操作して両替内容が決定されると、操作端末10は、両替前通貨の入金処理が行われる一又は複数の貨幣処理装置20、40を店員に報知する。全ての入金処理が完了すると、操作端末10は、両替後通貨の出金処理が行われる一又は複数の貨幣処理装置20、40を店員に報知する。店員は、操作端末10による報知を受けて両替処理を容易に進めることができる。
両替内容が決定されると、両替前通貨の入金処理が行われる一又は複数の貨幣処理装置20、40が、入金処理を待つ入金待機状態となり、これを店員に報知する。全ての入金処理が完了すると、両替後通貨の出金処理が行われる一又は複数の貨幣処理装置20、40が、出金処理を待つ出金待機状態となり、これを店員に報知する。店員は、貨幣処理装置20、40による報知を受けて両替処理を容易に進めることができる。
両替システムでは、操作端末10で先に決定された両替前通貨の入金処理と、両替後通貨の出金処理以外は実行できないようになっている。また、両替前通貨の入金処理が完了するまで、両替後通貨の出金処理を実行できないようになっている。これにより、両替処理に無関係な入金処理及び出金処理が誤って行われることを回避することができる。
両替システムでは、複数の貨幣処理装置20、40を利用することにより、1台の貨幣処理装置20、40を利用する場合に比べて、各通貨の取扱量を増やすことができる。また、入金処理と出金処理とを別の貨幣処理装置20、40で行うことにより、両替処理を効率よく行うことができる。
図2は、両替システムの処理効率を説明するための図である。例えば、日本円を外貨に両替する場合に、1台の貨幣処理装置で両替処理を実行すると、図2(a)に示すように円貨の入金処理と外貨の出金処理とが完了するまで(時間t1〜t3)、この装置は占有状態となり、この装置を他の処理に利用することはできない。例えば2台の貨幣処理装置を連携させて両替処理を実行する場合も、単に2台の装置を連携しただけでは、図2(b)に示すように、両替処理が完了するまで(時間t1〜t3)、各装置が占有状態となって、各装置を他の処理に利用することができない。
両替システムでは、図2(c)に示すように、円貨の入金処理が行われる貨幣処理装置は入金処理の間(時間t1〜t2)だけ占有状態となり、外貨の出金処理が行われる貨幣処理装置は出金処理の間(時間t2〜t3)だけ占有状態となる。円貨の入金処理を終えた貨幣処理装置は、外貨の出金処理の完了を待たずに別の処理を行うことができる。すなわち時間t2〜t3の間に別の処理を行うことができる。外貨の出金処理を行う貨幣処理は、出金処理が開始されるまでの間、円貨の入金処理完了を待たずに別の処理を行うことができる。すなわち時間t1〜t2までの間に別の処理を行うことができる。これにより、両替システムは効率よく両替処理を行うことができる。
図1には、2台の操作端末10と、2台の自国通貨処理装置20と、4台以上の他国通貨処理装置40とを示したが、両替システムの構成が、これに限定されるものではない。図3は、両替システムの構成を示す図である。図3に示すように、両替システムは、一又は複数の操作端末10と、一又は複数の自国通貨処理装置20と、複数の他国通貨処理装置40とを含む。各操作端末10と、各自国通貨処理装置20と、各他国通貨処理装置40とは、互いに通信可能に接続されている。例えば、図3に示すように、各装置がネットワーク2を介して通信可能に接続される。装置間の接続態様は有線であってもよい。
次に、両替システムの設置例について説明する。図4は、両替システムが設置された両替店舗3の例を示す模式図である。両替店舗3には、複数の客6(6a、6b)に同時に対応できるように、複数の窓口4(4a、4b)が設けられている。複数の店員5(5a、5b)がそれぞれ各窓口4a、4bに配置されている。複数の窓口4a、4bには、各貨幣処理装置20、40と無線通信可能な可搬型の操作端末10(10a、10b)が1台ずつ設置されている。
日本の空港では、入国する客が外貨を円貨に両替し、出国する客が円貨を外貨に両替する。このため、複数の窓口4a、4bに、円貨の入金処理及び出金処理を実行可能な自国通貨処理装置20a、20bが1台ずつ設置されている。
他国通貨処理装置40(40a〜40f)は、窓口4で客に応対する店員5の後方に設置されている。他国通貨処理装置40は、複数の店員5によって共用される。図4に示す例では、第1米国ドル処理装置40a、カナダドル処理装置40b、英国ポンド処理装置40c、欧州ユーロ処理装置40d、豪州ドル処理装置40e、第2米国ドル処理装置40fが他国通貨処理装置40として利用されている。他の外貨に比べて米国ドルに関する両替処理が多い場合は、図4に示すように、複数台の米国ドル処理装置40a、40fが各窓口4a、4bに対応する位置に配置される。すなわち各窓口4a、4bに対応して1台ずつ米国ドル処理装置40a、40bが配置される。
第1米国ドル処理装置40a及び第2米国ドル処理装置40fは、それぞれが米国紙幣の入金処理及び出金処理を実行する。カナダドル処理装置40bは、カナダ紙幣の入金処理及び出金処理を実行する。英国ポンド処理装置40cは、英国紙幣の入金処理及び出金処理を実行する。欧州ユーロ処理装置40dは、ユーロ紙幣の入金処理及び出金処理を実行する。豪州ドル処理装置40eは、オーストラリア紙幣の入金処理及び出金処理を実行する。
図4に示すように各装置を配置することで、店員5aは、第1窓口4aの客6aに応対し、第1端末10a、第1自国通貨処理装置20a及び他国通貨処理装置40a〜40eを利用して、図1で説明したように両替処理を行うことができる。同様に、店員5bは、第2窓口4bの客6bに応対し、第2端末10b、第2自国通貨処理装置20b及び他国通貨処理装置40b〜40fを利用して両替処理を行うことができる。
図5は、自国通貨処理装置20の例を示す図である。図5(a)は自国通貨処理装置20の外観図である。図5(b)は自国通貨処理装置20の機能構成を示すブロック図である。図5(a)に示すように、自国通貨処理装置20は、筐体上面に操作表示部30及び硬貨入金部21を有し、筐体前面上部に硬貨出金部22、紙幣入金部31及び紙幣出金部32を有する。入金処理時には、硬貨入金部21から硬貨が入金され、紙幣入金部31から紙幣が入金される。出金処理時には、硬貨出金部22から硬貨が出金され、紙幣出金部32から紙幣が出金される。
図5(b)に示すように、自国通貨処理装置20は、図5(a)に示す構成に加えて、硬貨搬送部23、硬貨識別部24、硬貨収納部25、紙幣搬送部33、紙幣識別部34、紙幣収納部35、通信部36、記憶部37及び制御部38を有する。
硬貨の入金処理時には、硬貨入金部21の硬貨が、装置内に1枚ずつ取り込まれて硬貨搬送部23によって搬送される。硬貨識別部24は各硬貨の金種を識別する。識別結果に基づいて、入金された硬貨の合計金額が算出される。識別された硬貨は、装置内の硬貨収納部25に金種別に収納される。硬貨識別部24が識別できない硬貨、硬貨識別部24が日本円ではないと識別した硬貨、及び硬貨収納部25に収納できない硬貨は、硬貨出金部22から返却される。硬貨の出金処理時には、出金する硬貨が硬貨収納部25から繰り出される。硬貨搬送部23が、繰り出された硬貨を搬送して硬貨出金部22から出金する。
紙幣の入金処理時には、紙幣入金部31の紙幣が、装置内に1枚ずつ取り込まれて紙幣搬送部33によって搬送される。紙幣識別部34は各紙幣の金種を識別する。識別結果に基づいて、入金された紙幣の合計金額が算出される。識別された紙幣は、装置内の紙幣収納部35に金種別に収納される。紙幣識別部34が識別できない紙幣、紙幣識別部34が日本円ではないと識別した紙幣、及び紙幣収納部35に収納できない紙幣は、紙幣出金部32から返却される。紙幣の出金処理時には、出金する紙幣が紙幣収納部35から繰り出される。紙幣搬送部33が、繰り出された紙幣を搬送して紙幣出金部32から出金する。
通信部36は、他の装置との間で通信を行う。操作表示部30は、タッチパネル式の液晶表示装置である。操作表示部30は、各種操作を受け付ける操作部として機能する。また、操作表示部30は、各種情報を表示する表示部として機能する。記憶部37は、自国通貨処理装置20の動作に必要な情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。例えば、硬貨収納部25に収納されている硬貨の金種及び金種別枚数と、紙幣収納部35に収納されている紙幣の金種及び金種別枚数とが記憶部37で管理される。
制御部38は、自国通貨処理装置20の動作を制御する。入金処理時には、制御部38が、硬貨識別部24で計数された硬貨の金額と、紙幣識別部34で計数された紙幣の金額とを合算して入金金額を算出する。制御部38が、操作表示部30で行われた操作及び通信部36で受信した情報に基づいて、記憶部37の情報を利用しながら各部を制御することにより、本実施形態に記載する自国通貨処理装置20の機能及び動作が実現される。
例えば、両替処理のために円貨の入金処理を行うことが決定されると、制御部38は、図1で説明したように、操作表示部30に入金処理の案内情報を表示する。店員5が操作端末10又は操作表示部30で入金処理開始の指示操作を行うと、制御部38は各部を制御して円貨の入金処理を実行する。また、例えば、両替処理のために円貨の出金処理を行うことが決定されると、制御部38は、図1で説明したように、操作表示部30に出金処理の案内情報を表示する。店員5が操作端末10又は操作表示部30で出金処理開始の指示操作を行うと、制御部38は各部を制御して円貨の出金処理を実行する。制御部38は、他の装置への入金処理完了の通知及び出金処理完了の通知も行う。
図6は、他国通貨処理装置40の例を示す図である。図6(a)は他国通貨処理装置40の外観図である。図6(b)は他国通貨処理装置40の機能構成を示すブロック図である。図6(a)に示すように、他国通貨処理装置40は、筐体上面に、操作表示部50及び紙幣入金部41を有し、筐体前面上部に紙幣出金部42を有する。入金処理時には、紙幣が紙幣入金部41から入金される。出金処理時には、紙幣が紙幣出金部42から出金される。
図6(b)に示すように、他国通貨処理装置40は、図6(a)に示す構成に加えて、紙幣搬送部43、紙幣識別部44、紙幣収納部45、通信部46、記憶部47及び制御部48を有する。
紙幣の入金処理時には、紙幣入金部41の紙幣が装置内に1枚ずつ取り込まれて紙幣搬送部43によって搬送される。紙幣識別部44は各紙幣の金種を識別する。識別結果に基づいて、入金された紙幣の合計金額が算出される。識別された紙幣は、装置内の紙幣収納部45に金種別に収納される。紙幣識別部44が識別できない紙幣、紙幣識別部44が他国通貨処理装置40の取扱対象ではないと識別した紙幣、及び紙幣収納部45に収納できない紙幣は、紙幣出金部42から返却される。紙幣の出金処理時には、出金する紙幣が紙幣収納部45から繰り出される。紙幣搬送部43が、繰り出された紙幣を搬送して紙幣出金部42から出金する。
通信部36は、他の装置との間で通信を行う。操作表示部50は、タッチパネル式の液晶表示装置である。操作表示部50は、各種操作を受け付ける操作部として機能する。また、操作表示部50は、各種情報を表示する表示部として機能する。記憶部47は、他国通貨処理装置40の動作に必要な情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。例えば、紙幣収納部45に収納されている紙幣の金種及び金種別枚数が記憶部47で管理される。
制御部48は、他国通貨処理装置40の動作を制御する。制御部48が、操作表示部50で行われた操作及び通信部46で受信した情報に基づいて、記憶部47の情報を利用しながら各部を制御することにより、本実施形態に記載する他国通貨処理装置40の機能及び動作が実現される。
両替処理のために、外貨の入金処理を行うことが決定されると、制御部48は、図1で説明したように、操作表示部30に入金処理の案内情報を表示する。店員5が操作端末10又は操作表示部50で入金処理開始の指示操作を行うと、制御部48は各部を制御して外貨の入金処理を実行する。また、例えば、両替処理のために外貨の出金処理を行うことが決定されると、制御部48は、図1で説明したように、操作表示部50に出金処理の案内情報を表示する。店員5が操作端末10又は操作表示部50で出金処理開始の指示操作を行うと、制御部48は各部を制御して外貨の出金処理を実行する。制御部48は、他の装置への入金処理完了の通知及び出金処理完了の通知も行う。
次に、両替処理の流れを説明する。図7は、両替処理の流れを示すフローチャートである。図8は、両替処理を行う際に操作端末10に表示される画面の例を示す図である。
操作端末10は、両替前通貨の種類の指定を受け付ける(図7ステップS1)。また、操作端末10は、両替後通貨の種類の指定を受け付ける(ステップS2)。さらに、操作端末10は、両替内容の指定を受け付ける(ステップS3)。操作端末10は、両替内容の指定を受けて、両替金額及び両替手数料を含む入金金額と、出金する両替後通貨の金種及び金種別枚数とを決定する。
例えば、日本円を米国紙幣に両替する場合、図8(a)に示すように、店員5が操作端末10を操作して、両替前通貨61及び両替後通貨62を指定する。両替前通貨61及び両替後通貨62が決まると、操作端末10は画面上に両替レート63を表示する。両替レート63は、為替レートと両替手数料とに基づいて予め設定され、操作端末10の記憶部に保存されている。図8(a)では、両替金額及び出金内容が決まっていない。このため確定ボタン64はグレーアウトされ、店員5は確定ボタン64を押すことができない。
店員5は操作端末10の操作を続けて、図8(b)に示すように、入金金額65と、出金内容66とを決定する。入金金額65及び出金内容66が決まると、確定ボタン64がアクティブになり、店員5は確定ボタン64を押せるようになる。店員5は、図8(b)に示す両替内容を客6に見せて確認を求める。客6の承認が得られると、店員5は確定ボタン64を押して両替内容を確定する。
両替内容が確定されると、操作端末10は、両替処理に必要となる入金処理及び出金処理の処理内容を決定する(図7ステップS4)。具体的には、図8(b)に示す入金金額65の金額分の両替前通貨61を、両替前通貨61に対応する一又は複数の貨幣処理装置20、40に入金する入金処理を実行することが決定される。また、図8(b)に示す出金内容66の両替後通貨62を、両替後通貨62に対応する一又は複数の貨幣処理装置20、40から出金する出金処理を行うことが決定される。
続いて、操作端末10は、入金処理の案内情報を画面上に表示する(図7ステップS5)。また、操作端末10は、入金処理が実行される一又は複数の貨幣処理装置20、40に入金処理内容を通知する。通知を受けた貨幣処理装置20、40は入金待機状態になり、表示部に入金処理の案内情報を表示する。店員5は、操作端末10及び貨幣処理装置20、40の案内情報に従って、該当する貨幣処理装置20、40で入金処理を実行する(ステップS6)。
例えば、図8(c)に示すように、操作端末10の画面には、両替情報67と入金処理の案内情報68とが表示される。両替情報67には、両替前通貨61及び入金金額65と、両替後通貨62及び出金内容66とが含まれる。案内情報68には、店員5が、入金処理を行う貨幣処理装置20、40を特定可能な情報と、この貨幣処理装置20、40に入金する通貨の種類及び該通貨の入金金額を示す情報とが含まれる。案内情報68により、店員5は、識別情報101が「A」の装置に日本円55760円を入金する必要があることを認識する。店員5は、図8(c)示す操作端末10の入金ボタン69を押して、該当する貨幣処理装置20、40で入金処理を実行する。自国通貨処理装置20に日本円を入金する場合、硬貨のみ、紙幣のみ、硬貨及び紙幣の両方のいずれかによって入金処理を行うことができる。自国通貨処理装置20は、釣銭を返すこともできる。例えば、55760円を入金するために紙幣入金部31に1万円札6枚を投入した場合、紙幣出金部32及び硬貨出金部22から4240円の釣銭が返却される。
店員5が貨幣処理装置20、40で入金処理を完了すると、貨幣処理装置20、40は入金処理完了を示す情報を操作端末10に送信する。複数の貨幣処理装置20、40で入金処理を行う必要がある場合(図7ステップS7;No)、操作端末10が次の入金処理の案内情報を画面に表示して、店員5が、案内情報に従って、次の貨幣処理装置20、40で入金処理を実行する。全ての入金処理が完了するまでステップS5及びS6が繰り返し行われる。
入金処理が完了すると(ステップS7;Yes)、操作端末10は、出金処理の案内情報を画面に表示する(ステップS8)。また、操作端末10は、出金処理が実行される一又は複数の貨幣処理装置20、40に出金処理内容を通知する。通知を受けた貨幣処理装置20、40は出金待機状態になり、表示部に出金処理の案内情報を表示する。店員5は、操作端末10及び貨幣処理装置20、40の案内情報に従って、該当する貨幣処理装置20、40で出金処理を実行する(ステップS9)。
例えば、図8(d)に示すように、操作端末10の画面には、両替情報67と出金処理の案内情報70とが表示される。案内情報70には、店員5が、出金処理を行う貨幣処理装置20、40を特定可能な情報と、出金内容66とが含まれる。出金内容66には、貨幣処理装置20、40から出金される通貨、金種及び金種別枚数を示す情報が含まれる。案内情報70により、店員5は、識別情報101が「C」の装置から米国の20ドル紙幣、25枚を出金する必要があることを認識する。店員5は、図8(d)示す操作端末10の出金ボタン71を押して、該当する貨幣処理装置20、40で出金処理を実行する。この結果、他国通貨処理装置40の紙幣出金部42から米国の20ドル紙幣、25枚が出金される。店員5が、貨幣処理装置20、40で出金処理を実行し、紙幣出金部32、42から出金された紙幣を抜き取ると、これが検知されて出金処理が完了する。
店員5が貨幣処理装置20、40で出金処理を完了すると、貨幣処理装置20、40は出金処理完了を示す情報を操作端末10に送信する。複数の貨幣処理装置20、40で出金金処理を行う必要がある場合(図7ステップS10;No)、操作端末10が次の出金処理の案内情報を画面に表示して、店員5が、案内情報に従って、次の貨幣処理装置20、40で出金処理を実行する。全ての出金処理が完了するまでステップS8及びS9が繰り返し行われる。出金処理が完了すると(ステップS10;Yes)、両替システムは、両替処理を完了する。店員5は、出金処理で出金された通貨を客6に渡して両替処理を完了する。
両替システムでは、貨幣処理装置20、40が入出金する通貨に加えて、手管理する通貨を利用して両替処理を行うことも可能となっている。操作端末10は、予め入力された、手管理する通貨の情報を管理する。例えば、取扱量が少ない通貨の両替は、手管理される各金種の紙幣を利用して行われる。また、例えば、貨幣処理装置20、40が故障した場合に、手管理する通貨を利用して両替処理を行うことも可能となっている。
図9は、手管理する通貨を利用して両替処理を行う際に操作端末10に表示される画面の例を示す図である。図8(b)に示したように操作端末10で両替内容が決定されると、操作端末10は、入金処理を貨幣処理装置20、40で行うか、手管理する通貨で行うかを決定する。また、操作端末10は、出金処理を貨幣処理装置20、40で行うか、手管理する通貨で行うかを決定する。
両替前通貨の入金処理を手管理で行う必要がある場合、操作端末10は、図9(a)に示すように案内情報72を表示する。案内情報72には、店員5が、手管理で受け付ける通貨の種類及び金額を示す情報が含まれる。案内情報72により、店員5は、貨幣処理装置20、40を利用せず、手管理で入金処理を行う必要があることを認識する。店員5が、客6から両替前通貨を受け取り、操作端末10の入金ボタン69を押すと、貨幣処理装置20、40で入金処理を行った場合と同様に、以降の処理が進められる。
両替後通貨の出金処理を手管理で行う必要がある場合、操作端末10は、図9(b)に示すように案内情報73を表示する。案内情報73には、店員5が、手管理で払い出す通貨の種類、金種及び金種別枚数を示す情報が含まれる。案内情報73により、店員5は、貨幣処理装置20、40を利用せず、手管理で出金処理を行う必要があることを認識する。店員5が、客6に両替後通貨を手渡して、操作端末10の出金ボタン71を押すと、貨幣処理装置20、40で出金処理を行った場合と同様に、以降の処理が進められる。
このように、両替システムでは、手管理する通貨を利用して両替処理を行うことができる。手管理による入出金を行う必要があるか否かは自動的に判定され、操作端末10に案内情報72、73が表示される。店員5は、案内情報72、73に従って、貨幣処理装置20、40を利用する場合と同様に両替処理を進めることができる。
本実施形態では、図3に示すように、両替システムが、操作端末10、自国通貨処理装置20及び他国通貨処理装置40によって構成される例を示したが、両替システムの構成が該構成に限定されるものではない。図10は、両替システムの別の構成例を示す図である。図10に示すように、両替システムが管理装置110を備え、管理装置110が、上述した操作端末10の機能を実現する態様であってもよい。例えば、操作端末10が両替処理に係る情報の入力及び表示のみに利用され、上述した操作端末10の他の機能が管理装置110によって実現される態様であってもよい。
操作端末10、自国通貨処理装置20及び他国通貨処理装置40を1グループとして、複数グループを形成し、各グループで両替処理を行う態様であってもよい。図11は、複数のグループ7(7a、7b)それぞれが両替処理を行う例を示す図である。図4に示した構成を1グループとして、図11に示すように複数のグループ7a、7bを構成し、管理装置110が全てのグループ7a、7bの両替処理を管理する。
通常は、管理装置110が各グループ7a、7bを管理して、グループ7aとグループ7bとで別々に両替処理を行う。一方のグループ7aで操作端末10、自国通貨処理装置20、他国通貨処理装置40のいずれかが故障した場合、管理装置110は、他方のグループ7bに含まれる、対応する装置を利用して、両方のグループ7a、7bで両替処理を継続する。
例えば、グループ7aにおいて、カナダドル処理装置40bが故障してカナダ紙幣を処理できない状況で、カナダ紙幣の入金処理を含む両替処理が必要となったとする。この場合、管理装置110は、グループ7bのカナダドル処理装置40bを利用して、この両替処理を実行する。例えば、グループ7aの第1端末10aで、カナダドルの入金処理を含む両替処理が指定された場合、管理装置110は、グループ7bのカナダドル処理装置40bで入金処理を行うよう案内する案内情報を第1端末10aに表示する。店員5は、この案内情報に従ってグループ7bのカナダドル処理装置40bで入金処理を実行した後、グループ7aの貨幣処理装置20、40で以降の処理を進めて両替処理を完了することができる。出金処理に係る貨幣処理装置20、40が故障した場合も、同様に、別のグループの貨幣処理装置20、40で出金処理を行うことにより両替処理を完了することができる。
各グループ7a、7bを別の管理装置110(110a、110b)によって管理する態様であってもよい。図12は、複数のグループ7a、7bをそれぞれ別の管理装置110a、110bで管理する例を示す図である。
この場合、通常は、管理装置110aがグループ7aを管理して両替処理を実行し、管理装置110bがグループ7bを管理して両替処理を実行する。この場合も、一方のグループ7aで操作端末10、自国通貨処理装置20、他国通貨処理装置40のいずれかが故障した場合、他方のグループ7bに含まれる、対応する装置を利用して、両方のグループ7a、7bで両替処理を継続することができる。
例えば、グループ7aにおいて、カナダドル処理装置40bが故障してカナダ紙幣を処理できない状況で、カナダ紙幣の入金処理を含む両替処理が必要となったとする。この場合、管理装置110aは、グループ7bのカナダドル処理装置40bを利用して、この両替処理を実行する。例えば、グループ7aの第1端末10aで、カナダドルの入金処理を含む両替処理が指定された場合、管理装置110aは、グループ7bのカナダドル処理装置40bで入金処理を行うよう案内する案内情報を第1端末10aに表示する。また、管理装置110aは、カナダドル処理装置40bで行われる入金処理に係る情報を、グループ7bを管理する管理装置110bに通知する。通知を受けた管理装置110bが、カナダドル処理装置40bに入金処理の情報を通知することにより、グループ7bのカナダドル処理装置40bで、グループ7aの両替処理のために入金処理を実行できるようになる。店員5は、操作端末10aに表示された案内情報に従ってグループ7bのカナダドル処理装置40bで入金処理を実行する。入金処理が完了すると、これを管理装置110bが管理装置110aに通知する。これにより、店員5は、グループ7aの貨幣処理装置20、40で以降の処理を進めて両替処理を完了することができる。出金処理に係る貨幣処理装置20、40が故障した場合も、同様に、別のグループの貨幣処理装置20、40で出金処理を行うことにより両替処理を完了することができる。
このように、両替システムが、複数のグループ7a、7bで構成される場合、通常は各グループ7a、7bが別々に両替処理を実行しながら、必要に応じて、複数のグループ間で貨幣処理装置20、40を共用することができる。同様に、装置内の通貨が不足した場合にも、別のグループに属する貨幣処理装置20、40を利用して両替処理を続けることができる。なお、図11及び図12ではグループ7aとグループ7bが同一の通貨を取り扱う例を示したが、グループ7aとグループ7bとで、取り扱う通貨の一部が異なる態様であってもよい。また、故障時や貨幣不足時の貨幣処理装置20、40の代用はグループ内でも行うことができる。例えば、図4、図11及び図12に示す構成で、第1端末10aを利用する店員5aに割り当てられた第1米国ドル処理装置40aが利用できない状況になった場合、店員5aは、第2米国ドル処理装置40bを利用して米国ドルに関する両替処理を続けることができる。
本実施形態では、客から通貨(現金)を受け取って、別の通貨(現金)に両替する態様を示したが、両替前通貨の入金金額の一部又は全てを電子マネーによって受け取る態様であってもよい。また、両替後通貨の一部又は全てを電子マネーによって出金する態様であってもよい。
図13は、電子マネーを処理可能なカード処理装置301を含む両替システムの例を示す図である。カード処理装置301は、電子マネーによる入金処理を行う電子入金装置として機能する。また、カード処理装置301は、電子マネーによる出金処理を行う電子出金装置として機能する。
日本では、交通系のプリペイドカードを利用して、鉄道及びバスを含む公共の交通機関を利用することができる。カード型の電子マネー媒体であるプリペイドカードを例に、電子入金及び電子出金の利用方法を説明する。
例えば、客6は、両替店舗3で両替を依頼する際に、両替前通貨の入金金額の一部又は全てを、交通系のプリペイドカードによって入金する。店員5が操作端末10を操作して、プリペイドカードから入金する金額を指定すると、カード処理装置301が、プリペイドカードによる入金処理を実行し、得られた電子マネーによる入金金額を両替前通貨の入金金額に加算する。これにより、上述したように、入金金額に基づいて入金処理を進めることができる。
また、例えば、客6は、両替店舗3で両替を依頼する際に、両替後通貨の出金金額の一部又は全てを、交通系のプリペイドカードの発行及びチャージに利用する。店員5が操作端末10を操作して、プリペイドカードの発行を指示すると共に、このプリペイドカードにチャージする金額を指定すると、カード処理装置301は、指定金額をチャージしたプリペイドカードを発行する。客6が既にプリペイドカードを所有している場合には、このプリペイドカードに対して指定金額のチャージのみを行うことも可能となっている。この場合、店員5が、客6が所有するプリペイドカードをカード処理装置301に挿入すると、カード処理装置301が、挿入されたプリペイドカードに指定金額をチャージする。これにより、例えば、日本へ入国する外国人は、外貨を日本円に両替する際に、日本円の現金を受け取ると共に、指定金額分がチャージされたプリペイドカードを受け取ることができる。
カード処理装置301が取り扱うカードの種類は特に限定されない。例えば、クレジットカードであってもよいし、デビットカードであってもよい。また、電子マネー媒体はカード型媒体に限定されない。例えば、携帯電話を電子マネー媒体として利用する態様であってもよいし、ICチップが埋め込まれた物体を電子マネー媒体として利用する態様であってもよい。
本実施形態では、1人の客について1回の両替処理を行う例を示したが、1人の客が複数回の両替処理を求める場合には、上述した両替処理が繰り返し行われる。両替店舗では、1人の客の両替金額が所定金額を超えた場合に所定処理を実行するよう定められている場合がある。例えば、両替金額が所定金額を超えた場合、店員は客から署名を取得するように定められている。両替システムは、このような両替金額に関する所定処理の実行に対応することができる。例えば、両替店舗は、1回の両替処理で両替金額が所定金額を超えた場合は報知処理を実行するよう両替システムを設定することができる。閾値とする両替金額及び報知処理の内容は、両替店舗が設定により変更することができる。例えば、両替店舗は、両替金額と、閾値として設定された所定金額と、両替金額が所定金額を超えたため客の署名を取得するよう店員に指示する情報とを画面に表示するように報知処理の内容を設定することができる。また、例えば、両替店舗は、1人の客が行う複数回の両替処理を対象として、両替金額の合計が所定金額を超えた場合に報知処理を実行するよう両替システムを設定することができる。この設定を行った場合、図8(b)に示す操作端末10の画面に、確定ボタンに加えて、続けて別の両替処理を行うための継続ボタンが表示される。1人の客について両替処理を複数回行う場合、店員は、この継続ボタンを押して両替処理を繰り返し行うことができる。店員が継続ボタンを押して、上述したように1回目の両替処理を行ってこれを完了すると、2回目の両替処理を行うための画面が操作端末10に表示される。これにより、店員は、1人の客に対して複数回の両替処理を続けて行うことができる。最後の両替処理時に店員が確定ボタンを押すことにより、この客に対する両替処理が完了する。1人の客に対して複数回の両替処理を行う間に、両替金額の合計が所定金額を超えた場合、両替システムは報知処理を実行する。例えば、操作端末10が、両替金額の合計が所定金額を超えたため客の署名を取得するよう店員に指示する情報を画面に表示する。報知を受けた店員は客に署名を求めることができる。このように、両替システムは、両替金額の閾値と、該閾値を超えた場合に実行する処理内容との設定を受け付ける。これにより、両替システムは様々な店舗の運用に対応することができる。
本実施形態の図1では、各装置を区別するための識別情報100、101が文字である例を示したが、店員が各装置を区別可能であれば識別情報100、101の種類は特に限定されない。例えば、各装置に記号を付して区別する態様であってもよい。また、例えば、各装置の筐体の一部又は全部に色を付して区別する態様であってもよい。また、例えば、各装置の表示部の一部領域に異なる色を表示したり、表示部全体の背景色を異なる色にしたりすることによって各装置を区別する態様であってもよい。操作端末10及び貨幣処理装置20、40が、各態様に基づく報知処理を行うことにより、上述したように両替処理を進めることができる。
本実施形態では、両替処理に必要な入金金額を超えて両替前通貨が貨幣処理装置20、40に入金された場合、両替前通貨が入金された貨幣処理装置20、40が超過分の両替前通貨を釣銭として返す例を示したが、超過分の処理方法はこれに限定されない。例えば、両替前通貨を出金可能な別の貨幣処理装置20、40が、超過分の両替前通貨を出金して返却する態様であってもよい。また、両替前通貨を出金せず、超過分を入金金額に含めて両替処理を実行し、貨幣処理装置20、40から両替後通貨を出金する態様であってもよい。
本実施形態では、入金処理及び出金処理の両方を実行可能な貨幣処理装置20、40を利用する態様を示したが、入金処理専用の貨幣処理装置を利用する態様であってもよいし、出金処理専用の貨幣処理装置を利用する態様であってもよい。この場合も、操作端末10又は管理装置110が、貨幣処理装置に入金可能な通貨及び該通貨に属する金種と、貨幣処理装置から出金可能な通貨及び該通貨に属する金種とを管理することにより、上述したように両替処理を進めることができる。
本実施形態では、両替システムが、両替前通貨の種類及び両替後通貨の種類と、両替金額とを受け付けて、通貨間の為替レート及び両替手数料に基づいて、入金する両替前通貨の金額と、出金する両替後通貨の金額、金種及び金種別枚数とを決定する例を示した。両替システムは、操作端末10で行われる指定内容に応じて両替処理を行う。具体的には、両替システムは、両替前通貨の金額の指定を受け付けて入金金額とし、該入金金額から両替手数料を差し引いた金額を両替金額とする。そして、該両替金額及び為替レートに基づいて、出金する両替後通貨の金額、金種及び金種別枚数を決定して、両替処理を実行することができる。また、両替システムは、両替前通貨の金額の指定を受け付けて両替金額とし、該両替金額に両替手数料を加算した入金金額を決定する。そして、両替金額及び為替レートに基づいて、出金する両替後通貨の金額、金種及び金種別枚数を決定して、両替処理を実行することができる。また、両替システムは、両替後通貨の金額の指定を受け付けて両替金額とし、該両替金額に基づいて、出金する両替後通貨の金種及び金種別枚数を決定する。そして、両替金額、両替手数料及び為替レートに基づいて、両替前通貨の入金金額を決定して、両替処理を実行することができる。両替後通貨の金額が指定された場合は、為替レートを利用することなく、出金する両替後通貨の金種及び金種別枚数を決定することができる。両替システムが決定した両替内容に基づいて、上述したように、両替前通貨の入金処理及び両替後通貨の出金処理が、対応する一又は複数の貨幣処理装置20、40で行われることになる。なお、出金する両替後通貨の金種及び金種別枚数の組み合わせが客6の要望に応じて変更できることは言うまでもない。
上述したように、両替システムは複数の貨幣処理装置によって複数種類の通貨を出金可能に構成され、複数の貨幣処理装置を両替後通貨の出金処理に利用することができる。これにより、多数の異なる種類の通貨を取り扱う場合でも、従来に比べて各通貨の取扱量を増やすことができる。
両替システムは、両替内容の指定を受け付けて、両替前通貨の入金処理を行う一又は複数の貨幣処理装置と、両替後通貨の出金処理を行う一又は複数の貨幣処理装置とを決定することができる。両替システムは、入金処理を行う貨幣処理装置及び入金処理内容を両替システムの利用者に案内する。複数の貨幣処理装置で入金処理を行う場合には、各入金処理の案内が行われる。また、両替システムは、出金処理を行う貨幣処理装置及び出金処理内容を両替システムの利用者に案内する。複数の貨幣処理装置で出金処理を行う場合には、各出金処理の案内が行われる。これにより、両替システムの利用者は、多数の貨幣処理装置を利用する場合も両替処理を容易に進めることができる。
両替システムは、手管理する現金を両替処理に利用することができる。手管理による入金処理及び出金処理を行う場合、両替システムは、これを両替システムの利用者に案内する。これにより、手管理による入金処理及び出金処理が必要である場合も、両替システムの利用者は両替処理を容易に進めることができる。
両替システムは、複数のグループを形成して、グループ毎に両替処理を進めることができる。あるグループで貨幣処理装置に問題が生じて利用できなくなった場合、両替システムは、他のグループの貨幣処理装置を利用して両替処理を進める。この場合、両替システムは、他のグループの貨幣処理装置を利用するよう両替システムの利用者に案内する。これにより、一部の貨幣処理装置で問題が生じた場合でも、両替システムの利用者は両替処理を継続して行うことができる。
両替システムは、両替処理に電子マネーを利用することができる。両替前通貨による入金金額の一部又は全てを電子マネーによって入金することができる。また、両替後通貨による出金金額の一部又は全てを電子マネーによって出金することができる。これにより、両替システムの利用者にとって両替システムの利便性が向上する。