実施形態の冷蔵庫について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下の説明において、冷蔵庫の扉の開く方向を前の方向、その反対方向すなわち扉の閉じる方向を後ろの方向とする。また、冷蔵庫の使用者(以下、単に「使用者」と言う)が冷蔵庫の正面(扉の前)に立って冷蔵庫を見たときの左右を、以下の説明における左右とする。
1.冷蔵庫の全体構造
図1及び図2に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の本体12は、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱と、貯蔵室が形成された内箱とが組み合わされ、外箱と内箱との間に断熱材が充填されて構成されている。
本体12は上下仕切壁14によって上下に仕切られている。上下仕切壁14の上部は冷蔵温度(収納物を冷蔵保存するための温度で、例えば1〜4℃)に維持される冷蔵空間である。また上下仕切壁14の下部は冷凍温度(収納物を冷凍保存するための温度で、例えば−22〜−18℃)に維持される冷凍空間である。冷蔵空間及び冷凍空間はそれぞれ食品や飲料等の収納物を収納する空間である。
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20には複数の載置棚やチルド室24が設けられている。また野菜室22には引出式の野菜容器が収納されている。冷蔵室20は観音式の左右一対の冷蔵室扉21で開閉される。また、野菜室22は引き出し式の野菜室扉23で開閉される。
冷凍空間の上部には貯蔵室としての製氷室とその隣の小冷凍室26とが設けられている。また、冷凍空間の下部には貯蔵室としての冷凍室28が設けられている。製氷室及び小冷凍室26にはそれぞれ引き出し式の収納容器が収納されている。また、冷凍室28にも引き出し式の収納容器18が収納されている。冷凍室28における収納容器18の上には、収納容器18に対して前後方向に移動可能な小収納容器15が載っている。
また、冷凍室28の内部には、収納容器18の前壁80に沿って、凍結装置40が配置されている。凍結装置40は収納物を収納するための収納具の一種である。
図1及び図2に示すように、製氷室は引き出し式の製氷室扉25で開閉され、小冷凍室26は引き出し式の小冷凍室扉27で開閉され、冷凍室28は引き出し式の冷凍室扉29で開閉される。
冷蔵空間の後ろには、第1冷却器30と、第1冷却器30の近くに配置された第1送風装置31と、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト32とが設けられている。また、冷蔵空間とダクト32とを隔てる壁には冷気の吹出口33が形成されている。また、冷蔵空間の後壁には第1冷却器30へ通じる冷気の吸込口34が形成されている。第1冷却器30で冷気が発生するとともに第1送風装置31が稼動することにより、冷気がダクト32を通って吹出口33から冷蔵空間へ吹き出て、冷蔵空間を循環する。冷蔵空間を循環した冷気は吸込口34から第1冷却器30へ向かって吸い込まれる。このように冷気が循環することにより冷蔵空間が冷蔵温度に冷却される。
また、冷凍空間の背後には、第2冷却器35と、第2冷却器35の近くに配置された第2送風装置36とが設けられている。また、冷凍空間の後壁にはそれぞれ第2冷却器35へ通じる冷気の吹出口37及び吸込口38が形成されている。第2冷却器35で冷気が発生するとともに第2送風装置36が稼動することにより、冷気が吹出口37から冷凍空間へ吹き出て、冷凍空間を循環する。冷凍空間を循環した冷気は吸込口38から第2冷却器35へ向かって吸い込まれる。このように冷気が循環することにより冷凍空間が冷凍温度に冷却される。
本体12の後方下部には機械室16が設けられている。機械室16には、第1冷却器30及び第2冷却器35へ流れる冷媒を圧縮する圧縮機17や、圧縮機17等とともに冷凍サイクルを構成する不図示の凝縮器等が配置されている。
また、冷蔵庫10には制御装置11が設けられている。図3に示すように、制御装置11には、圧縮機17、第1送風装置31、第2送風装置36その他の貯蔵室の温度制御のための機器が電気的に接続されている。制御装置11はこれらの接続されている機器等を制御する。
2.冷凍室の構造
図4に示すように、冷凍室扉29は、冷凍室扉29の庫外側の面を形成する庫外側部材65と、冷凍室扉29の庫内側の面を形成する庫内側部材66と、庫外側部材65と庫内側部材66との間に充填された断熱材とを有している。さらに、冷凍室扉29は、その縁近傍において庫内側部材66から後方に向かって突出したスロート部材68を有している。図5に示すように、スロート部材68は、冷凍室扉29を後方から見たときの四辺のうち、左右及び下の辺に沿って設けられている。
また、図2及び図4に示すように、庫外側部材65の上部には左右方向に延びる取手用凹部70が形成されており、その取手用凹部70の上部を塞ぐように取手71が設けられている。取手71は使用者が冷凍室扉29を引き出すときに手を掛けるところである。
図4に示すように、冷凍室扉29における取手用凹部70の裏側の場所では、庫内側部材66に、後方へ突出する凸部72が形成されている。図5に示すように、凸部72は、冷凍室扉29の上の辺に沿って左右に延び、その左右両端部が左右のスロート部材68に連結されている。その結果、冷凍室扉29の上の辺に沿った凸部72と、左右及び下の辺に沿ったスロート部材68とにより、冷凍室扉29の庫内側に凹部74が形成されている。また、凸部72には、凸部72の突出の頂部73(すなわち後方の頂部)と凹部74の底面75とを連結する下向き傾斜面76が形成されている。
また、凸部72及びスロート部材68によって囲まれた領域内の左右両側には、凹部74の底面75よりも後方(庫内側)へ向かって高くなった庫内側段部54が形成されている。
さらに、冷凍室扉29の庫内側には、冷凍室扉29を後方から見たときの四辺に沿ってガスケット69が設けられている。図4に示すように、ガスケット69は、スロート部材68及び凸部72より冷凍室扉29の縁側の場所に設けられている。冷凍室扉29が閉じると、スロート部材68及び凸部72が冷凍室28内に侵入し、ガスケット69が冷凍室28の開口端に密着し、冷凍室28が密閉される。
冷凍室28の収納容器18と冷凍室扉29とは、一体となって引き出し可能となっている。そのための構造として従来周知の構造が適用可能である。具体例としては、図6に示すように、冷凍室扉29の庫内側の左右両側の庫内側段部54からそれぞれ後方へ向かって、前後方向に長い受け部材60が延びている。また、冷凍室28の左右の内壁のうち受け部材60と対向する場所には、前後方向へ延びるレール溝61が設けられている(図1参照)。使用者が冷凍室扉29を引くと、受け部材60がレール溝61内を前方へ滑りながら移動し、冷凍室扉29と受け部材60が一体となって引き出される。
また、収納容器18は、左右両側の受け部材60に跨がって載っている。又は、収納容器18は、上記の受け部材60又は冷凍室扉29にネジ等により固定されている。そのため、冷凍室扉29及び受け部材60が引き出されると、それらと一体となって収納容器18も引き出される。収納容器18と冷凍室扉29との位置関係は固定されている。
図6に示すように収納容器18は箱状の容器である。収納容器18の前方の壁部である前壁80における左右方向の中央部分は、収納容器18の外側から見て、前方へ向かって突出した前方突出壁部81となっている(収納容器18の内側から見れば、前方へ向かって凹んだ凹部となっている)。前方突出壁部81は左右両側の庫内側段部54の間に入り込んでいる。
図4及び図6に示すように、前方突出壁部81の高さは、冷凍室扉29の庫内側の凸部72の下向き傾斜面76より低くなっている。そして、前方突出壁部81は、冷凍室扉29の凹部74の底面75に近接している。なお、前方突出壁部81が凹部74の底面75に接触していても良い。いずれにしても、収納容器18の前方突出壁部81は、冷凍室扉29における凸部72の下の凹部74に入り込んでいる。また、前方突出壁部81は収納容器18における周囲の壁部より低くなっている。
このような前方突出壁部81により、収納容器18内の前方に、前方に突出した前方収納領域83が形成されている。前方収納領域83は冷凍室扉29の凸部72の下側になる。そのため、冷凍室28において後方から前方へ流れて来た冷気が、凸部72の下向き傾斜面76に当たり、前方収納領域83の方へ流れることになる。
また、図6に示すように、収納容器18の前方収納領域83の底部には上方へ向かって突出した突起82が設けられている。この突起82は次に説明する凍結装置40の固定に使用される。
図7及び図8に示すように、収納容器18内の前方収納領域83には、収納容器18の前壁80の一部である前方突出壁部81に沿う形で、凍結装置40が配置されている。そのため、凍結装置40の少なくとも一部は前方収納領域83に収まっている。また、凍結装置40の少なくとも一部は、冷凍室扉29の庫内側の凹部74に入っていることにもなる。なお凍結装置40は冷凍室扉29に沿って設けられているとも言える。
なお、ある物Aが別の物Bに沿うとは、AがBから離れないようにBに対して平行又は平行に近い状態で配置されることを意味する。AがBに沿うと言うとき、AとBとが接触していても良いし、AとBとの間に空間が空いていたり別の物が存在したりしていても良い。AがBに沿うと言うとき、AとBとの間に、A及びBのうち厚い方の厚みと同等の間隔があることが許容され、その間隔の場所に別の物が存在することも許容される。
また、凍結装置40は冷凍室扉29の凸部72よりも低い位置にある。そのため、後方から前方へ流れて来て凸部72の下向き傾斜面76に当たった冷気が、下方の凍結装置40に当たることになる。
3.凍結装置の構造
凍結装置40を図9〜図14等に示す。凍結装置40は不凍液19を用いて収納物42を急速に冷却し凍結する装置である。ここで、不凍液19とは冷凍温度においても凍結せずに流動性を保つ液体のことである。また、凍結装置40に収納される収納物42として、例えば、肉、魚介類、加工食品、野菜、果物等の食品が挙げられる。
図11及び図12に示すように、凍結装置40は、前側(すなわち冷凍室扉29側)の第1部材44と、後ろ側(すなわち庫内側)の第2部材45とが、連結部としてのヒンジ46で連結された構造の外殻容器を備えている。
図11に示すように、第1部材44は、前後方向の厚みが薄く後方への開口部を有する第1箱状部材55と、第1箱状部材55に後方(開口部側)から被さった第1固定部材56とからなる。図11及び図12に示すように、第1固定部材56は、中央に第1箱状部材55の後方開口部より若干小さい開口部47を有している。この開口部47が第1部材44の後方開口部でもある。第1固定部材56は爪、ネジ、接着テープ等の固定手段で第1箱状部材55に固定されている。
また、図11及び図13に示すように、第2部材45は、前後方向の厚みが薄く前方への開口部を有する第2箱状部材57と、第2箱状部材57に前方(開口部側)から被さった第2固定部材58とからなる。第2固定部材58は、中央に第2箱状部材57の前方開口部より若干小さい開口部77を有している。この開口部77が第2部材45の前方開口部でもある。第2固定部材58は爪、ネジ、接着テープ等の固定手段で第2箱状部材57に固定されている。
外殻容器を構成するこれらの部材は、例えば、合成樹脂、合成樹脂に熱伝導性フィラー(例えばアルミナや窒化ホウ素等)が含有された材料、又は熱伝導率が高い金属(例えば、アルミニウム又は熱伝導率がアルミニウムよりも高い金属)で出来ている。
第1部材44と第2部材45とはヒンジ46を軸として開閉可能である。本実施形態では、ヒンジ46が第1部材44及び第2部材45の下部にあるものとする。そのため、第1部材44と第2部材45とは上部で開閉される。
なお、「第1部材44と第2部材45とが開閉する」ことを「外殻容器が開閉する」と表現することがある。また、「第1部材44と第2部材45が閉じる」又は「外殻容器が閉じる」とは、第2部材45の前方開口端と第1部材44の後方開口端とが接触又は最大限接近することを意味する。
閉じた状態での外殻容器の最も厚い位置での厚み(すなわち前後方向の長さ)は、限定されないが、一例としては外殻容器の上下及び左右の長さのうち短い方の1/3以下である。
図11に示すように、第1部材44の内側には、前後方向に直行する広い平面を有する扁平な蓄冷剤50が配置されている。蓄冷剤50は、例えば、薬剤(例えば水と高分子とを含む薬剤)が扁平容器に充填されて凍結されたもので、前記薬剤が融解するときに生じる潜熱により周囲のものを冷却するものである。
蓄冷剤50の後方には、第1部材44の後方への開口部47を塞ぐように、金属板51が配置されている。金属板51はアルミニウム又は熱伝導率がアルミニウムよりも高い金属(例えば銅)で出来ていることが好ましい。金属板51は第1固定部材56に前方から接触している。金属板51は第1固定部材56の後方への開口部47より若干面積が広い。そのため金属板51は第1固定部材56より後方へは外れない。
一方、第2部材45の内側には不凍液袋52が収納されている。不凍液袋52の内部には不凍液19が充填されている。不凍液袋52は、前後方向から見て第2部材45の内側にちょうど収まる程度の大きさを有している。
図13及び図14に示すように、不凍液袋52を前後方向から見たときの外周部(四辺の部分)のうちの一部(例えば、四辺のうちの対向する左右の2辺の部分)には、耳部53が形成されている。耳部53は、不凍液袋52を構成する伸縮性薄膜が外方へ延長されて出来ている。この耳部53が第2箱状部材57と第2固定部材58との間に挟まれることにより、不凍液袋52が第2部材45の内側に固定されている。
より詳細には、第2箱状部材57を前後方向から見たときの外周部(四辺の部分)のうちの一部(例えば、図15に示すように四辺のうちの対向する2辺の部分)には、外方へ延長された板状の保持板48が設けられている。また、第2固定部材58を前後方向から見たときの外周部(四辺の部分)のうちの一部(例えば、図16に示すように四辺のうちの対向する2辺の部分)にも、外方へ延長された板状の保持板49が設けられている。そして、保持板48、49の間に不凍液袋52の耳部53が挟まれている。さらに、保持板48、49にカバー39が覆い被さり、保持板48、49が耳部53から離れることを防いでいる。
なお、第1箱状部材55及び第1固定部材56にもそれぞれ上記の保持板48、49と同様の保持板が設けられている。そして、それらの保持板に、上記のカバー39と同様のカバー39が覆い被さっている。それにより、第1箱状部材55と第1固定部材56とがより強固に固定されている。
不凍液袋52は不凍液19を透過させない伸縮性薄膜からなる。また、不凍液袋52は、高伸縮性、高回復性及び高い突き刺し強度を有する伸縮性薄膜からなることが好ましい。具体的には、不凍液袋52は、後述するように収納物42が押し付けられたときに収納物42の外形にほぼ一致するように伸縮して変形できる伸縮性と、収納物42から離れたときに元の形状に戻ることができる回復性と、収納物42の角部が押し付けられたときに破れない程度の突き刺し強度とを有することが好ましい。突き刺し強度に関しては、5N以上が好ましく、10N以上がさらに好ましい。また、不凍液袋52の不凍液透過性は10g/(m2・day)以下が好ましい。
そして、不凍液袋52を構成する伸縮性薄膜は、不凍液袋52の上記各性質を実現できるものであることが好ましい。そのような伸縮性薄膜の材質として、例えば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、ポリイソプレンゴム又はナイロンが挙げられる。不凍液袋52はこのような伸縮性薄膜に表面コーティング(例えばアルミニウム蒸着)が施されたものであっても良い。
不凍液袋52の内部の不凍液19は、冷凍温度においてスラリー状又はシャーベット状であることが好ましい。スラリー状又はシャーベット状の不凍液19の冷凍温度における粘度は、15Pa・s以上150Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以上60Pa・s以下がさらに好ましい。
また、不凍液19は人が口から摂取可能な無害物質であることが好ましい。不凍液19として使用可能な無害物質として、例えば、エタノールをベースとし食品添加物が添加されたもの、プロピレングリコールをベースとし食品添加物が添加されたもの、塩化ナトリウム水溶液、又は植物油が挙げられる。また、不凍液19は着色されたものであることが好ましい。不凍液19が着色されている場合、不凍液19の色は不凍液袋52の色と異なることが好ましい。
不凍液19は、冷凍温度においてスラリー状又はシャーベット状であること、無害物質であること、及び着色されたものであることのうち2つ以上の性質を有することが好ましく、3つの性質全てを有することがさらに好ましい。
以上の構造の凍結装置40において、収納物42は、第1部材44側の金属板51と、第2部材45側の不凍液袋52との間に挟まれることとなる。
図11に示すように、第2部材45におけるヒンジ46と反対側の場所(ヒンジ46から遠い場所)には空間形成部84が形成されている。空間形成部84が形成されている具体的場所は、一例としては、第2部材45の上下方向の中央位置より上側の場所である。この空間形成部84は、金属板51と不凍液袋52との間に収納物42が挟まれて不凍液袋52が押されたときの、不凍液19の逃げ場となる空間を形成する部分である。
この空間形成部84は、第2部材45を内側から見たときの凹部として形成されているまた、この空間形成部84は、第2部材45を外側から見たときには、凸部として形成されている。凹部としての空間形成部84は、ヒンジ46から離れるに従い段階的に深くなっている。具体例としては、図11及び図13に示すように、空間形成部84は2段階で深くなっており、浅い第1段階部85と深い第2段階部86とからなる。そして第2段階部86の方がヒンジ46から離れている。好ましい一例としては、図11に示すように第1段階部85が第2段階部86よりも上下に広く、図15に示すように第1段階部85が第2段階部86よりも前後方向から見たときの面積が広い。
なお、空間形成部84はさらに多くの段階(深さの異なる部分)に分かれていても良い。また、空間形成部84の深さは、段階的に深くなるのではなく、1つの傾斜面によって、ヒンジ46から離れるに従い連続的に深くなっていても良い。
このような空間形成部84が存在するため、図11に示すように、第2部材45と不凍液袋52との間に容器内空間87が形成されている。容器内空間87は、不凍液袋52の後方にあり、ヒンジ46から離れるに従い段階的に広くなっている。すなわち、容器内空間87は、第1段階部85と不凍液袋52との間の第1容器内空間88と、第2段階部86と不凍液袋52との間の第2容器内空間89とからなる。そして、第1容器内空間88と第2容器内空間89とは連続しており、第2容器内空間89の方がヒンジ46から離れている。
ここで、上記のように空間形成部84において第1段階部85が浅く第2段階部86が深いため、容器内空間87において、第1容器内空間88の方が前後方向に狭く、第2容器内空間89の方が前後方向に広い。また、上記のように第1段階部85が第2段階部86よりも前後方向から見たときの面積が広い場合は、第1容器内空間88が第2容器内空間89よりも上下に広く、第1容器内空間88が第2容器内空間89よりも前後方向から見たときの面積が広いこととなる。
図11に示すように、本実施形態では、第1部材44にも、第2部材45と同様の、浅い第1段階部63と深い第2段階部64とからなる空間形成部67が形成されている。この空間形成部67は、本実施形態を変更して、第1部材44と第2部材45との両方に不凍液袋52を収納したり、第1部材44に不凍液袋52を収納し第2部材45に蓄冷剤50及び金属板51を収納したりする場合に、不凍液19の逃げ場として使用できる。なお、第1部材44に不凍液袋52が収納される場合、不凍液袋52の前方に容器内空間が形成されることとなる。
このように本実施形態では第1部材44にも空間形成部67が形成されているが、第1部材44に不凍液袋52を収納する可能性が無い場合は空間形成部67は必ずしも必要ではない。その場合、図17に示すように第1部材44に空間形成部67が形成されておらず第1部材44の前方の面が平坦になっていても良い。
また、ヒンジ46は、第1部材44と第2部材45とが所定角度(例えば180℃以上の所定角度)開いたときに、第1部材44と第2部材45とが分離可能な構造のものが好ましい。図18〜図20に、そのようなヒンジ46の詳細な構造の一例を示す。
このヒンジ46は、第1固定部材56の下端部に設けられている第1ヒンジ部材90と、第2固定部材58の下端部に設けられている第2ヒンジ部材91とが組み合わさって形成されている。
図18に示すように、第1ヒンジ部材90は、第1固定部材56の下端部から下方へ突出させて設けられた円形部92を有している。円形部92は左右方向(ヒンジ軸方向)から見てほぼ円形であるが、一部に円周を切り欠いた形の切欠き93が形成されている。さらに、第1ヒンジ部材90は、円形部92からヒンジ軸方向の一方へ向かって延びる軸部94を有している。
また、図19に示すように、第2ヒンジ部材91は、第2固定部材58の下端部から下方へ突出させて設けられた円形部95を有している。円形部95は左右方向(ヒンジ軸方向)から見てほぼ円形である。この円形部95の中心に孔96が形成されている。また、第2ヒンジ部材91は、円形部95の円周面からヒンジ軸方向の他方(前記の軸部94の延びる方向とは逆方向)に向かって延びる腕部97と、腕部97の先端に設けられた止め部98とを有している。止め部98は円形部95の中心の孔96とヒンジ軸方向に一致している。
そして、第1ヒンジ部材90の軸部94が、第2ヒンジ部材91の孔96に挿入されることにより、図20に示すように第1ヒンジ部材90と第2ヒンジ部材91とが組み合わさっている。第1ヒンジ部材90と第2ヒンジ部材91とが組み合わさっているとき、第2ヒンジ部材91における円形部95と止め部98との間に第1ヒンジ部材90の円形部92が嵌まっており、それにより第1ヒンジ部材90と第2ヒンジ部材91とが外れないようになっている。
しかし、使用者が第1部材44と第2部材45とを所定角度開くと、第1ヒンジ部材90の円形部92の切欠き93と第2ヒンジ部材91の止め部98とがヒンジ軸方向に一致する。その状態で、使用者が第1部材44と第2部材45とをヒンジ軸方向のうち前記他方(円形部92から軸部94が延びる方向とは逆方向)にずらすと、第2ヒンジ部材91の止め部98が第1ヒンジ部材90の切欠き93を通過するとともに、第2ヒンジ部材91の孔96から第1ヒンジ部材90の軸部94が抜ける。そしてそれにより第1部材44と第2部材45とが分離される。
このような構造により、第1部材44と第2部材45とが分離可能となっている。
凍結装置40の外側について見ると、図9及び図11に示すように、第1部材44の外面の上部にはフック78が設けられている。また、第1部材44の下部には、上方へ向かって凹んだ凹溝79が形成されている。フック78が収納容器18の前壁80の上端部に掛かり、凹溝79に収納容器18の下部の突起82(図4及び図6参照)が入り込むことにより、第1部材44が収納容器18に固定されている。そしてそれにより、凍結装置40が収納容器18の前壁80に固定されている。
ただし、使用者は、フック78を収納容器18の前壁80から外して凍結装置40を上方へ引き抜くことにより、容易に凍結装置40を収納容器18の外へ取り出すことができる。
また、上記のような構造のため、金属板51を保持している第1部材44が収納容器18の前壁80に固定されたままの状態で、不凍液袋52が収納されている第2部材45を後方へ倒して外殻容器を開閉することができる。
また、第1部材44及び第2部材45には、外殻容器を閉状態に保持するためのロック部材が設けられている。図11に示すように、本実施形態ではロック部材の一例として、第1部材44の上部に掛け止め部43が設けられ、さらに、第2部材45の上部に引っ掛け爪41が設けられている。そして、引っ掛け爪41が掛け止め部43に引っ掛かることにより、第1部材44の上部と第2部材45の上部とが固定され、外殻容器が閉状態に保持される。使用者は、引っ掛け爪41を操作することにより、外殻容器を閉状態に保持するようにロックをかけたり、そのロックを解除したりすることができる。
また、第1部材44及び第2部材45の外面には多数のフィン59が設けられている。これにより、凍結装置40に収納された収納物42の熱が不凍液19を介してフィン59から放熱され、収納物42の冷却速度が速まる。
第2部材45の外面のフィン59は、図10及び図11に示すように、空間形成部84の外面側にはなく、空間形成部84より下方の場所の外面側に設けられている。そのため、図11に示すように、第2部材45と不凍液袋52とが常に近接している所の外側にフィン59があることになる(なお第2部材45と不凍液袋52とが接触していても良い)。同様に、第1部材44の外面のフィン59も、空間形成部67の外面側にはなく、空間形成部67より下方の場所の外面側に設けられている。
4.凍結装置の使用方法
まず、凍結装置40があらかじめ冷凍室28の収納容器18の前方収納領域83に収納されているものとする。そのため不凍液19は冷凍温度又はその付近の温度にまで下がっている。このとき、凍結装置40の第1部材44が収納容器18の前壁80に固定されている。
使用者が冷凍室扉29を前方に引いて冷凍室28を開けると、冷凍室28の外部から凍結装置40を視認することができる。凍結装置40が収納容器18の前壁80(厳密には前壁80の一部である前方突出壁部81)に沿って設けられているため、使用者は冷凍室扉29を少し引くたけで凍結装置40を視認でき、凍結装置40に収納物42を収納するための操作を開始することができる。
凍結装置40に収納物42を収納する方法として2つの例を紹介する。収納方法の1つ目の例としては、まず、使用者は、収納容器18の前壁80に凍結装置40の第1部材44が固定された状態のまま、凍結装置40の引っ掛け爪41を掛け止め部43から外して、第2部材45を後方へ向かって移動させて倒して、外殻容器を開く。図21は、第2部材45を後方へ倒して外殻容器を開いたときの様子を示している。次に使用者は、第1部材44側の金属板51と第2部材45側の不凍液袋52との間に収納物42を配置する。次に使用者は、第2部材45を前方へ向かって移動させて外殻容器を閉じ、引っ掛け爪41を掛け止め部43に掛けてロックする。
収納方法の2つ目の例としては、まず、使用者は、凍結装置40を収納容器18の前壁80から外して庫外へ取り出す。次に使用者は、1つ目の例のときと同様にして、外殻容器を開いて金属板51と不凍液袋52との間に収納物42を入れ、その後外殻容器を閉じてロックする。次に使用者は、凍結装置40を収納容器18の元の場所に戻す。
これら2つの例のようにして凍結装置40の金属板51と不凍液袋52との間に収納物42が入れられると、不凍液袋52が収納物42の形に沿うように変形して収納物42の後方部分に密着する。なお「密着」には、収納物42と不凍液袋52との間に空気が全く存在しない状態だけでなく、収納物42と不凍液袋52との間に若干の空気が存在する状態も含まれる。
凍結装置40の金属板51と不凍液袋52との間に収納物42が入ると、図22及び図23に示すように、収納物42に押された不凍液19が上方(外殻容器におけるヒンジ46と反対方向)へ移動し、外殻容器内の容器内空間87へ入り込む。すなわち、不凍液袋52が変形して容器内空間87へ向かって膨出する。
収納物42が一般的な大きさの場合、図22に示すように、収納物42に押された不凍液19は容器内空間87における下側(ヒンジ46に近い側)の第1容器内空間88に入り込む。しかし、収納物42が大きい場合は、図23に示すように、収納物42に押された不凍液19は、第1容器内空間88だけでなくその上側(ヒンジ46から遠い側)の第2容器内空間89にまで入り込む。
なお、収納物42がさらに大きく、金属板51と不凍液袋52との間に収納物42を入れると外殻容器を閉じることができなくなる場合は、使用者は、第1部材44と第2部材45とを所定角度だけ開いて第1部材44と第2部材45とを分離する。そして使用者は、分離した第1部材44と第2部材45との間に収納物42を挟み込む。それにより、収納物42の前方部分には金属板51が当たり、収納物42の後方部分には不凍液袋52が密着する。使用者は、分離した第1部材44と第2部材45とで収納物42を挟む場合、第1部材44、収納物42及び第2部材45を結束バンド等で1つに束ねても良い。
使用者は、凍結装置40に収納物42を収納した後、冷凍室28を閉じる。閉じられた冷凍室28の内部で収納物42が凍結される。
具体的には、凍結装置40において、不凍液袋52が収納物42の形に沿うように変形して収納物42の後方部分に密着しているので、収納物42の後方部分が不凍液袋52を介して不凍液19に囲まれていることとなる。その結果、収納物42の後方部分において不凍液19との間で熱交換がなされ、収納物42が急速に冷却される。もちろん、収納物42と金属板51との間でも熱交換がなされる。このようにして冷却された場合、凍結装置40が用いられず収納物42が冷凍室28に直接入れられた場合よりも、収納物42の冷却速度が速い。
その後、収納物42が金属板51と不凍液袋52との間に挟まれてからある程度時間が経過すると、収納物42が不凍液19と同等の温度にまで下がる。収納物42は不凍液19と同等の温度になるまでに凍結される。上記のように本実施形態では収納物42の冷却速度が速いため、収納物42が凍結されるまでに要する時間も短い。
使用者は、収納物42を凍結装置40から取り出すときは、収納したときと同様にして外殻容器を開けて収納物42を取り出す。使用者が収納物42を凍結装置40から取り出すと、不凍液袋52が元の形に回復する。このように、使用者が収納物42を入れたり出したりするたびに、不凍液袋52は変形と回復を繰り返すことができる。
なお、使用者は、収納物42が収納された凍結装置40を庫外で持ち運んだり庫外に放置したりすることもできる。
5.実施形態の効果
本実施形態の冷蔵庫10では、収納具としての凍結装置40が収納容器18の前壁80に沿って設けられているため、冷凍室扉29の近くの空間が有効活用されている。
また、本実施形態では冷凍室扉29の庫内側に凹部74が形成されているが、その凹部74内に収納容器18の前方収納領域83が入り込み、その前方収納領域83に収納具としての凍結装置40の少なくとも一部が配置されている。そのため、冷凍室扉29の庫内側の凹部74が有効活用されている。
また、本実施形態では冷凍室扉29の庫内側の凸部72の下向き傾斜面76の下に前方収納領域83が設けられているため、冷凍室28において後方から前方へ流れて来た冷気が、凸部72の下向き傾斜面76に当たり、前方収納領域83へ流れることになる。そのため、前方収納領域83に配置された収納具としての凍結装置40が急速に冷却される。
また本実施形態では、第1部材44と第2部材45とが開閉可能に設けられ、第1部材44が収納容器18の前壁80に対して固定されている。そのため、使用者は、第1部材44が収納容器18の前壁80に固定されたままの状態で、第2部材45を後方に倒して外殻容器を開閉することができる。
ここで、収納容器18の前壁80に対する第1部材44の固定にはフック78が使用されているため、使用者が凍結装置40を収納容器18の前壁80から容易に取り外すことができる。凍結装置40を容易に取り外すことができるため、使用者は、凍結装置40に収納物42を収納するときに凍結装置40を庫外に出して収納作業をすることができる。また、使用者は、凍結装置40をテーブル等に置いておいたり持ち歩いたりすることができる。
また本実施形態では、第1部材44と第2部材45とがヒンジ46で連結されているため、第1部材44と第2部材45とを容易に開閉することができる。また、このヒンジ46は所定角度開いたときに分離可能であるため、収納物42が大きい場合には、第1部材44と第2部材45とを分離し、第1部材44と第2部材45とで収納物42を挟み込むという使用方法が可能である。
また本実施形態では、収納具として凍結装置40が使用され、収納された収納物42が不凍液袋52と金属板51とにより挟まれる。そのため、収納物42と不凍液袋52内の不凍液19との間で熱交換が行われ、収納物42が急速に冷却され、短時間で凍結される。また、収納物42と金属板51との間でも熱交換が行われるが、金属板51の裏側(前方)に冷却された蓄冷剤50が配置されているため、収納物42の熱が金属板51からも多く奪われて収納物42が急速に冷却される。
ここで、不凍液袋52が高伸縮性を有する伸縮性薄膜からなるものであれば、不凍液袋52が収納物42に密着することができるので、収納物42の冷却効率が良い。また、不凍液袋52が高回復性を有する伸縮性薄膜からなるものであれば、不凍液袋52が多数回の使用にも耐えられる。また、不凍液袋52が高い突き刺し強度を有する伸縮性薄膜からなり、その突き刺し強度が例えば5N以上又は10N以上であれば、収納物42が角部を有していても不凍液袋52が破れにくい。
また、不凍液袋52内の不凍液19が冷凍温度においてスラリー状又はシャーベット状であれば、不凍液19と収納物42との熱交換が促進される。特に、スラリー状又はシャーベット状の不凍液19の冷凍温度における粘度が15Pa・s以上150Pa・s以下であれば熱交換がより促進され、50Pa・s以上60Pa・s以下であれば熱交換がさらに促進される。
また本実施形態では、不凍液袋52と第2部材45との間に容器内空間87が形成されているため、凍結装置40に収納物42が収納されたときに、収納物42に押された不凍液袋52内の不凍液19が容器内空間87へ逃げることができる。ここで、容器内空間87が第2部材45におけるヒンジ46と反対側の場所に形成されているため、第1部材44と第2部材45とが閉じられていくに従い、徐々に不凍液19が容器内空間87へ逃げていくことができる。
また、容器内空間87が第2部材45における上方(すなわち重力のかかる方向の反対方向)の場所に形成されているため、不凍液袋52が収納物42に押されて不凍液19に高い圧力がかかったときに初めて、不凍液19が容器内空間87へ逃げていくことになる。そして、不凍液19が容器内空間87へ逃げることにより、不凍液19にかかった高い圧力が開放される。そのため、不凍液19にかかる圧力が一定に保たれ、ひいては収納物42にかかる圧力が一定に保たれる。また、容器内空間87が第2部材45における上方の場所に形成され、不凍液袋52が収納物42に押されてて初めて不凍液19が容器内空間87へ逃げるため、収納物42が収納されていない場合に不凍液袋52が重力により変形することを防ぐことができる。
ここで上記のように、容器内空間87の前後方向の広さが、ヒンジ46から離れるに従い広くなり、また上方(すなわち重力のかかる方向と反対方向)に向かうに従い広くなる。そのため、容器内空間87の前後方向の広さが全体的に広い場合と比較して、収納物42が小さい場合の不凍液袋52の変形が最小限に抑えられる。
また上記のように、容器内空間87の前後方向の広さが段階的に広くなり、容器内空間87における下方の第1容器内空間88と、容器内空間87における上方の第2容器内空間89とが形成されている。そして、第1容器内空間88は前後方向に狭く、第2容器内空間89は前後方向に広くなっている。
そのため、比較的小さな収納物42が収納されたときは収納物42に押された不凍液19が前後方向に狭い第1容器内空間88にのみ逃げることとなる。その結果、不凍液袋52が大きくは変形せず、不凍液19から収納物42へある程度大きい圧力がかかり、不凍液袋52が収納物42に密着することができる。また、比較的大きな収納物42が収納されたときは収納物42に押された不凍液19の逃げ場が第1容器内空間88だけでは足りないが、前後方向に広い第2容器内空間89が存在するので、その第2容器内空間89へ十分多くの不凍液19を逃がすことができる。
ここで、前後方向に狭い第1容器内空間88を前後方向から見たときの面積が、前後方向に広い第2容器内空間89を前後方向から見たときの面積より広い。そのため、通常は不凍液19を第1容器内空間88のみに逃がして収納物42に高い圧力がかかるようにし、通常より大きな収納物42が収納され第1容器内空間88では対応できないときのみ不凍液19を第2容器内空間89にまで逃がすという逃がし方を実現できる。
また上記のように、凍結装置40が、蓄冷剤50及び金属板51が設けられた第1部材44が前側(すなわち冷凍室扉29側)で、不凍液袋52が収納された第2部材45が後ろ側(すなわち庫内側)になるように配置されている。そのため、容器内空間87を形成するための第2部材45の空間形成部84は、冷凍室扉29側ではなく庫内側に向かって突出した凸部となっている。そのため、後方に突出している空間形成部84の下方に物を収納することができ、空間形成部84の下方の空間が無駄にならない。
また、第2部材45の外面のフィン59が、空間形成部84より下方の、第2部材45と不凍液袋52とが常に近接している所の外側に設けられているため、不凍液19の熱が放熱されやすい。また、前後方向に突出している空間形成部84の外側にはフィン59がないため、凍結装置40がコンパクトになっている。
6.変更例
上記の実施形態の変更例を説明する。上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。なお、変更例を示す図では、上記実施形態と同様のものには、上記実施形態と同じ符号が付されている。
(1)変更例1
凍結装置40のような収納具は、収納容器18の前壁80に沿って設けられていれば良く、必ずしも上記実施形態のように収納容器18内に設けられていなくても良い。
例えば図24に示すように、収納容器18の前壁80と冷凍室扉29との間に、凍結装置40の厚みより広い隙間が形成され、その隙間に凍結装置40が設けられていても良い。その場合、凍結装置40は、上記の実施形態におけるフック78のような部材で、収納容器18の前壁80又は冷凍室扉29の庫内側の面に固定されていても良い。
(2)変更例2
収納容器18の形状は上記実施形態のものに限定されない。例えば、上記実施形態では収納容器18の前壁80に前方突出壁部81が形成されていたが、前壁にこのような前方突出壁部が形成されておらず、収納容器の前壁全体が平坦な1枚の板状であっても良い。そのような前壁に沿って収納具が設けられていれば良い。
(3)変更例3
凍結装置は、不凍液19を用いて収納物42を急速に冷却し凍結する装置であれば良く、その具体的構造は上記実施形態の構造に限定されない。
例えば、上記の実施形態における第1部材44及び第2部材45の両方に不凍液袋52が収納され、前後両側の不凍液袋52で収納物42を挟む凍結装置でも良い。
また、上記実施形態では、蓄冷剤50及び金属板51が設けられた第1部材44が前側(すなわち冷凍室扉29側)で、不凍液袋52が収納された第2部材45が後ろ側(すなわち庫内側)となっていたが、その逆であっても良い。すなわち、蓄冷剤50及び金属板51が設けられた第1部材44が後ろ側で、不凍液袋52が収納された第2部材45が前側となっていても良い。
(4)変更例4
上記の実施形態では第1部材44と第2部材45とを開閉可能に連結するヒンジ46が外殻容器の下部に設けられていたが、ヒンジの場所は下部に限定されない。例えば、外殻容器の左右のいずれか一方の部分にヒンジが設けられ、その反対側において第1部材と第2部材とが開閉可能となっていても良い。
第1部材と第2部材とを開閉可能に連結するヒンジが外殻容器における下部以外の部分に設けられ、第1部材と第2部材の少なくとも一方に不凍液袋が収納されている場合も、上記実施形態の空間形成部84と同様の空間形成部が不凍液袋の前後方向の場所に形成されていることが好ましい。
このような場合の空間形成部の場所として、2つの場所が考えられる。1つ目の場所は、外殻容器におけるヒンジと反対側の場所(ヒンジから遠い場所)である。例えば、ヒンジが外殻容器の左側の端部に設けられている場合は、空間形成部が外殻容器の右側の場所に形成される。この場合、空間形成部の前後方向の広さがヒンジから離れるに従い広くなることが好ましく、上記実施形態のように段階的に広くなることがより好ましい。また、空間形成部の前後方向の広さ段階的に広くなる場合は、空間形成部における前後方向に狭い方の領域が、前後方向に広い方の領域より、前後方向から見たときの面積が広いことが好ましい。
空間形成部がヒンジから遠い場所にあることにより、第1部材と第2部材とが閉じられていくに従い、徐々に不凍液が空間形成部の内側に逃げていくことになる。
2つ目の場所は、外殻容器における上方(すなわち重力のかかる方向の反対方向)の場所である。例えば、ヒンジが外殻容器の左側の端部に設けられ、空間形成部が外殻容器の上方の場所に形成される。この場合、空間形成部の前後方向の広さが上方ほど広くなることが好ましく、上記実施形態のように段階的に広くなることがより好ましい。また、空間形成部の前後方向の広さ段階的に広くなる場合は、空間形成部における前後方向に狭い方の領域が、前後方向に広い方の領域より、前後方向から見たときの面積が広いことが好ましい。
空間形成部が外殻容器における上方にあることにより、不凍液袋が重力によって変形することを防ぐことができ、不凍液袋の変形を最小限に抑えることができる。
また、第1部材と第2部材とがヒンジ以外の連結部により連結されていても良い。
(5)変更例5
収納具としての凍結装置が、開閉可能な第1部材と第2部材とを有し、不凍液が充填された不凍液袋が第1部材及び第2部材の少なくとも一方に収納されている場合において、不凍液袋を押す押圧機構が設けられていても良い。押圧機構が設けられた凍結装置の一例について図25及び図26に基づき説明する。
この変更例の凍結装置140では、上記実施形態と同様に前方の第1部材144に蓄冷剤50及び金属板151が保持され、後方の第2部材145に不凍液袋52が収納されているものとする。ただし、第1部材144には、蓄冷剤50及び金属板151ではなく、不凍液袋52が収納されていても良い。
第2部材145は前後方向に厚みがあり、第2部材145内の前方領域に不凍液袋52が収納されている。そして、不凍液袋52の後方の面に、前後方向に可動な板状部材148が密着している。そして、第2部材145内の後方領域に、板状部材148を前方へ押すことにより不凍液袋52を前方へ押す押圧機構が収納されている。
押圧機構は、その一部として、歯切りされた左右に延びる板状部材であるラック101と、ラック101の歯に噛み合う第1歯車102とからなるラック・アンド・ピニオンを有している。ラック101は左右方向へスライド可能なスライドバー103と一体化されている。図25及び図26に示すように、第2部材145の後部には外部へ通じる窓104が形成されており、この窓104を通じて凍結装置140の外部からスライドバー103を左右方向へスライド操作可能となっている。
第1歯車102は上下方向の回転軸の周りで回転する歯車で、左右方向の回転軸の周りで回転する第2歯車105と噛み合っている。この第2歯車105に、第2歯車105の周方向(より具体的な例としては図示するように下方)へ延びる押圧部材としての押圧棒106が固定されている。そして、押圧棒106の先端が、板状部材148に接触している。
使用者がスライドバー103を左右にスライドさせると、スライドバー103と共にラック101が移動し、ラック101と噛み合っている第1歯車102が回転し、第1歯車102と噛み合っている第2歯車105が回転し、押圧棒106の先端が前後方向に動く。それにより、押圧棒106が板状部材148を前方へ押したり板状部材148から離れたりする。押圧棒106が板状部材148を前方へ押すと、不凍液袋52が板状部材148により前方へ押されることとなる。
このような構造のため、使用者は、凍結装置140に収納物42を収納した後、スライドバー103を操作して不凍液袋52を前方へ押し、不凍液袋52を収納物42に密着させることができる。
なお、第2部材145内には、上記実施形態における容器内空間87のような不凍液19の逃げ場が設けられていても良い。例えば、板状部材148の一部が変形し、上記実施形態における空間形成部84と同様の形状になっていても良い。
また、押圧棒106が板状部材148を介さず不凍液袋52を直接押す構造になっていても良い。
(6)変更例6
押圧機構が設けられた凍結装置の別の例について図27及び図28に基づき説明する。
この変更例の凍結装置240では、上記実施形態と同様に前方の第1部材244に蓄冷剤50及び金属板251が保持され、後方の第2部材245に不凍液袋52が収納されているものとする。ただし、第1部材244には、蓄冷剤50及び金属板251ではなく、不凍液袋52が収納されていても良い。
第2部材245は前後方向に厚みがあり、第2部材245内の前方領域に不凍液袋52が収納されている。そして、不凍液袋52の後方の面に、前後方向に可動な板状部材248が密着している。そして、第2部材245内の後方領域に、板状部材248を前方へ押すことにより不凍液袋52を前方へ押す押圧機構が収納されている。
押圧機構は、その一部として、左右方向の回転軸の周りで回転する歯車205と、歯車205の回転を止める歯止め201とからなるラチェットを有している。このラチェットにおいては、歯車205が一方向(順方向)へのみ回転でき、逆方向への回転は歯車205に噛み合う歯止め201によって阻害されている。しかし、後述する解除ボタン203が押されると歯止め201が歯車205から外れ、歯車205が逆方向へ回転できる。
歯車205には、歯車205の周方向(より具体的な例としては図示するように下方)へ延びる押圧部材206が固定されている。そして、押圧部材206の先端が、板状部材248に接触している。第2部材245の後部には外部へ通じる窓204が形成されており、この窓204を通じて使用者が押圧部材206を前方へ押すことができるようになっている。押圧部材206が前方へ押されるとき、ラチェットの歯車205が順方向へ回転する。また、押圧部材206が後方へ移動するとき、ラチェットの歯車205が逆方向へ回転する。
また、歯止め201には上記の解除ボタン203が取り付けられている。第2部材245の上部には外部へ通じる窓202が形成されており、この窓202を通じて凍結装置240の外部から解除ボタン203を押すことができるようになっている。解除ボタン203が押されている間は歯車205が逆方向へ回転でき、押圧部材206が押された方向と逆方向へ移動できる。
使用者が窓204の外側から押圧部材206を前方へ押すと、ラチェットの歯車205が順方向へ回転しながら押圧部材206の先端が前方へ動き、押圧部材206が板状部材248を押す。押圧部材206が板状部材248を前方へ押すと、不凍液袋52が板状部材248により前方へ押されることとなる。使用者が押圧部材206を押すのを止めると、押圧部材206がその位置で停止する。
また、使用者が解除ボタン203を押すと、不凍液袋52の圧力によって板状部材248が後方へ移動し、押圧部材206が元の位置に戻る。
このような構造のため、使用者は、凍結装置240に収納物42を収納した後、押圧部材206を押すことによって不凍液袋52を前方へ押し、不凍液袋52を収納物42に密着させることができる。
なお、第2部材245内には、上記実施形態における容器内空間87のような不凍液19の逃げ場が設けられていても良い。例えば、板状部材248の一部が変形し、上記実施形態における空間形成部84と同様の形状になっていても良い。
また、押圧部材206が板状部材248を介さず不凍液袋52を直接押す構造になっていても良い。
(7)変更例7
押圧機構が設けられた凍結装置のさらに別の例について図29及び図30に基づき説明する。
この変更例の凍結装置340では、上記実施形態と同様に前方の第1部材344に蓄冷剤50及び金属板351が保持され、後方の第2部材345に不凍液袋52が収納されているものとする。ただし、第1部材344には、蓄冷剤50及び金属板351ではなく、不凍液袋52が収納されていても良い。
第2部材345は前後方向に厚みがあり、第2部材345内の前方領域に不凍液袋52が収納されている。そして、不凍液袋52の後方の面に、前後方向に可動な板状部材348が密着している。そして、第2部材345内の後方領域に、板状部材348を前方へ押すことにより不凍液袋52を前方へ押す押圧機構が収納されている。
押圧機構の一部として、第2部材345の後部に四角形の窓が設けられている。この窓は後方へ突出した4つの窓枠304から形成されている。対向する2つの窓枠304の内側には複数の歯301が前後方向に並んでいる。
この窓枠304の内側にはつまみ部材302が設けられている。つまみ部材302は、中央のつまみ305と、つまみ305の両側の係合部306とが一体化された部材である。係合部306は、窓枠304の歯301と歯301との間に入り込む部分である。詳細には、つまみ部材302は弾性を有する1枚の板が折り曲げられて形成されている。そして、中央のつまみ305は、板がV字形に折り曲げられて形成されている。
使用者がつまみ305をつまむと、つまみ305が幅の狭いV字形になるよう変形し、それに伴って係合部306がつまみ305側に引き寄せられて窓枠304の歯301と歯301との間から抜ける。係合部306が歯301と歯301との間から抜けると、つまみ部材302は前後に移動可能となる。一方、使用者がつまみ305を離すと、つまみ305が幅の広いV字形になるよう変形し、それに伴って係合部306が窓枠304の歯301と歯301との間に入る。係合部306が歯301と歯301との間に入ると、つまみ部材302は前後に移動できなくなる。
つまみ部材302の前方には押圧部材307が設けられている。この押圧部材307は板状部材348に接触している。押圧部材307は、つまみ部材302と一体となって前後へ移動し、板状部材348を前方へ押したり板状部材348から離れたりする。
このような構造のため、使用者は、凍結装置340に収納物42を収納した後、つまみ部材302のつまみ305をつまんでつまみ部材302及び押圧部材307を前方へ移動させ、板状部材348を介して不凍液袋52を前方へ押すことができる。そして、不凍液袋52を前方へ押すことにより、不凍液袋52を収納物42に密着させることができる。
なお、第2部材345内には、上記実施形態における容器内空間87のような不凍液19の逃げ場が設けられていても良い。例えば図31に示すように、板状部材349の上部が変形し、上記実施形態における空間形成部84と同様の空間形成部384が形成されていても良い。
また、押圧部材307が板状部材348を介さず不凍液袋52を直接押す構造になっていても良い。
(8)変更例8
収納具は、不凍液19を使用しない容器であっても良い。
例えば、第1部材44と第2部材45とがヒンジ46で連結された上記実施形態の外殻容器の内部に、不凍液袋52、蓄冷剤50及び金属板51が収納されておらず、空の外殻容器が収納具として使用されても良い。
また図32に示すように、収納具は、上方に開口部を有する箱状の容器440であっても良い。容器440の厚み(すなわち前後方向の長さ)は、限定されないが、一例としては容器440の上下及び左右の長さのうち短い方の1/3以下の厚みである。容器440には開閉可能な蓋が付いていても良い。
このような容器440には、一例としては、比較的平たい収納物42(袋入りの冷凍食品や、ファスナー付きプラスチックバッグ入りの肉等)が、縦方向に収納される。
(9)変更例9
凍結装置40等の収納具は、冷凍空間における別の場所に配置されていても良い。例えば収納具は小冷凍室26の内部に配置されていても良い。
また、冷蔵空間の例えば野菜室22に上記実施形態の収納容器18と同様の収納容器が収納され、その収納容器の前壁に沿って収納具が設けられていても良い。