JP2020169115A - 活性炭の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少量のアルカリ化合物を用い、高い歩留りを達成できる活性炭の製造方法および製造装置を提供する。【解決手段】炭素原料をアルカリ化合物により賦活して活性炭を製造する方法で、賦活が進行している反応場においてアルカリ化合物が炭素原料により還元されて生成する賦活能力を失った生成物を再生しつつ、賦活を行う活性炭の製造方法によって解決される。またアルカリ賦活の反応が進行している反応場を内包する反応炉10と、前記反応場にアルカリ化合物の再生剤を間歇的に供給する手段20と、前記反応場からのガス流れを基準として前記反応場の下流にアルカリ化合物を回収する手段30とを備える活性炭の製造装置1によって解決される。【選択図】図1
Description
本発明は歩留が高い活性炭の製造方法および製造装置に関する。
BET表面積が800〜1300m2/g程度、さらには2000m2/gを超える表面積を有する活性炭は炭化水素類の分別、工業用ガスの精製、有毒ガスの吸着除去、環境汚染物質の発生源対策、食品工業や化学工業における液相精製、水処理、液相の回収・分別、触媒または触媒担体、電気二重層コンデンサなどの種々の用途に有用である。
活性炭の製造方法は原理がまったく異なるガス賦活法と薬品賦活法とに大別される。賦活とは原料となる炭素原料の内部にnmオーダーの細孔を形成させる反応や操作をいい、細孔の形成により内部表面積が増大し、炭素原料に吸着能力を付与することができる。
後者の薬剤賦活法のうち、アルカリ賦活法、とりわけアルカリ賦活剤に水酸化カリウムを用いる賦活では表面積が2000m2/g程度とガス賦活法では得られないような大きな表面積の活性炭が得られることが有利なほか、製造コストに密接な関係がある、その出発物質となる炭素原料からの歩留(炭素原料に対する活性炭の収率)が高いことが非常に魅力的である(非特許文献1・非特許文献2)。
歩留は、表面積が800m2/g程度の活性炭で約96質量%、1000m2/g程度の活性炭で約95質量%、2000m2/g程度の活性炭で約80質量%と、非特許文献2の図から読取ることができる。水蒸気によって賦活した1000m2/g程度の活性炭の一般的な歩留が30〜50%程度であるのに比較すると、非常に高いことがわかる。
すなわち特許文献1には、炭素原料として石油コークスまたはこれと石炭との混合物を用い、この炭素原料と水酸化カリウム粒子とを混合した後に、予備假焼装置で約315.6℃(600°F)〜約482.2℃(900°F)に加熱し、ついで假焼装置で約704.4℃(1300°F)〜約982.2℃(1800°F)に加熱して活性化(賦活)することにより、BET表面積が2300m2/gを超える活性炭を製造する方法が示されている。
特許文献2には、炭素原料としてやしがらチャー、賦活剤として水酸化カリウムを用い、これらの混合物を賦活可能な温度で加熱処理することにより高品質の活性炭を製造する方法が示されている。実施例では、製造装置として撹拌機、加熱機構および窒素導入管を備えた縦型の反応炉が用いられている。やしがらチャーと水酸化カリウムとの混合比(質量比)は、1:2〜1:6、好ましくは1:3〜1:5であり、実施例においては1:4となっている。また歩留は55〜81質量%と開示されている。
科学と工業、64巻、28頁(1990年)、大阪工研協会
真田雄三・鈴木基之・藤元薫編、活性炭(基礎と応用)、68頁(1992年)、講談社
アルカリ賦活法は上述のように歩留は高いが、使用(配合)するアルカリ化合物(アルカリ賦活剤)の量が多いためコスト増に繋がるほか、賦活終了後に残存するアルカリ化合物を水洗などによって除去(処理)しなければ活性炭は得られない。配合するアルカリ化合物が多い場合は残存するアルカリ化合物が多くなり、その処理の手間が大変であるという問題があった。
すなわちアルカリ化合物の配合量の過少は賦活不足を招くことから、炭素原料に対して通常は少なくとも質量比で2倍以上のアルカリ化合物を用いなくてはならず、また賦活終了後には生成した活性炭から残存するアルカリ化合物を分離・処理する必要があり、経済的ではないという問題があった。これには発生した大量のアルカリ化合物を、例えば中和処理・放流するなどの煩雑な処理を含むし、またアルカリ化合物から通常の方法、例えば液相(水など)でアルカリ化合物を回収し、濃縮して再使用することも含む。
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、炭素原料に対して比較的少量のアルカリ化合物を配合し、そのアルカリ化合物が炭素原料によって還元されて賦活能力を失った生成物を、賦活が進行している反応場においてその場再生(in situ regeneration)しながら賦活を行うことをコンセプトする。これによって、上述のように大量のアルカリ化合物を用いることなく、少量のアルカリ化合物を用い、高い歩留を達成できる活性炭の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
[1]本発明の活性炭の製造方法は、炭素原料をアルカリ化合物で賦活することにより活性炭を製造する方法であって、賦活が進行している反応場においてアルカリ化合物が炭素原料により還元されて生成する賦活能力を失った生成物を再生しつつ、賦活を行うことを特徴とする活性炭の製造方法である。
また[2]前記生成物を再生する方法が水蒸気および/または二酸化炭素を間歇的に供給するものであることを特徴とする[1]に記載の活性炭の製造方法である。
また[3]前記生成物を再生する方法が水蒸気および/または二酸化炭素を含有する不活性ガスを連続供給するものであり、前記水蒸気および/または二酸化炭素の合計が0.1〜10容量%であることを特徴とする[1]に記載の活性炭の製造方法である。
さらに[4]炭素原料をアルカリ化合物で賦活することにより活性炭を製造する装置であって、賦活反応が進行する反応場を内包する反応炉と、前記反応場に水蒸気および/または二酸化炭素を間歇的に供給する手段と、前記反応場からのガス流れを基準とし、前記反応場の下流にアルカリ化合物を回収するアルカリ回収手段と、を備えることを特徴とする活性炭の製造装置である。
また[5]アルカリ回収手段が炭素原料を用いた吸着によるものであり、前記炭素原料によってアルカリ化合物を賦活反応が進行する反応場へ循環することを特徴とする[4]に記載の活性炭の製造装置である。
さらに[6]相対圧P/P0が0.02〜0.15の領域で測定された窒素の吸脱着等温線からBET法で算出された平均細孔直径が1.6〜1.8nmであることを特徴とする活性炭である。
本発明によれば、活性炭を高い歩留で生産することが可能な製造方法、および製造装置を提供できるという効果があり、経済的であるほか、また高温プロセスである活性炭の生産においては地球環境に優しい。
以下、本発明に係る活性炭の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
[第一実施の形態]
まず本発明に係る活性炭の製造方法について第一実施の形態を詳述する。
[第一実施の形態]
まず本発明に係る活性炭の製造方法について第一実施の形態を詳述する。
炭素原料としては、例えばやしがら、木粉、石炭、ピッチ、石油(減圧残油)、合成樹脂、およびこれらの炭素化物、すなわちチャーやコークスなど、あるいはこれらの混合物などが用いられる。炭素原料は10メッシュ篩上(>1.70mm)の粗粒のものや100メッシュ篩下(<0.15mm)の微粉のものを用いることも可能であるが、実質的に10〜100メッシュ(1.70〜0.15mm)のものを用いると、良好に活性炭を取得することができる。
アルカリ化合物としては、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、ルビジウム化合物、セシウム化合物などを用いることができる。ただ好ましくは水酸化アルカリや炭酸アルカリ、すなわち水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど、あるいはこれらの混合物が用いられる。例えば水酸化カリウムを用いる場合は、水分含有率2〜25質量%程度のものを用いることが望ましいが、さらに水分含有率の大きいものを用いることもできる。
炭素原料とアルカリ化合物との配合に際しての量的割合は、この順に質量比で100:50〜100:2、好ましくは100:25〜100:5の範囲から選択することが望ましい。原理的にはアルカリ化合物がわずかでも存在すればよいが、反応効率を向上させて短い時間で均一な賦活を行うという観点から100質量部の炭素原料に対して2質量部以上のアルカリ化合物を配合が好ましく、さらに好ましくは5〜25質量部の配合であり、賦活時間の短縮化を図ることができる。一方でアルカリ化合物の配合量を多くすることは生成する活性炭に付着する残存アルカリの増加を招いて、その処理が大変になるため、50質量部以下の配合が望ましい。
炭素原料とアルカリ化合物との混合は特段限定されない。例えば乳鉢、粉砕機などの粉砕手段を用いて炭素原料と水酸化アルカリを粉砕して接触面積を大きくしながら物理的に混合できる。また水酸化アルカリを水溶液とし、これに炭素原料を投入して混ぜた後、水分を除去することも有効である。
さらに回分式で、水酸化アルカリを用いる場合、反応炉(賦活炉)などにまず水酸化アルカリを仕込み、その溶融温度以上に加熱して溶融し、その溶融液に炭素原料を投入して混合することもできる。これにより両者の接触が効率的になされる。加えて連続式の場合は炭素原料と水酸化アルカリを別個に粉砕しておき、それぞれ反応炉へ供給して混合することもできる。
なお、やしがらや木粉などの植物由来の炭素原料で、生育段階で肥料成分としてカリウム化合物を含有させておいてもよい。
なお、やしがらや木粉などの植物由来の炭素原料で、生育段階で肥料成分としてカリウム化合物を含有させておいてもよい。
炭素原料とアルカリ化合物は炭素原料の賦活が可能な温度で加熱処理する。このとき、とくに限定されないが、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを通気しておき、外気、とりわけ酸素の侵入を防ぐとよい。賦活が可能な温度とは通常は480℃以上で、経済的な観点からは上限が950℃であり、とくに600〜800℃が好ましい。加熱は一定温度で行ってもよく、当初は比較的低い温度で、引続き昇温して比較的高い温度で加熱するようにしてもよい。
加熱中(賦活中)には、賦活が進行している反応場においてアルカリ化合物が炭素原料により還元されて賦活能力を失った生成物を再生するための再生剤として、反応場に間歇的に水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスなどを供給する。ここで反応場とは炭素原料とアルカリ化合物が炭素原料の賦活が進む温度領域にあるところを指す。反応場に間歇的に再生剤を供給する方法は、供給時に水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスの濃度が11〜98容量%、好ましくは20〜80容量%程度となるような供給量とすればよく、とくに限定されない。
例えば水を加熱し予め気化して供給できるし、水を反応場の周辺に直接供給してもよい。また二酸化炭素は常温常圧付近でガス状であるので、そのまま供給できる。間歇的な供給のため、再生剤の供給停止時には再生剤の濃度は時間が経過するにつれ減少して行き、再生剤の濃度がゼロ、すなわち不活性ガスのみが供給される状態となる。
加熱処理(賦活処理)の時間、すなわち水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスを供給していないときと水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスを間歇的に供給しているときを合算した時間は0.5〜20時間が好ましい。0.5時間より短いと賦活が充分に進まない。また20時間を超えると、高温プロセスであるため経済的でなくなるほか、地球環境に悪影響を及ぼす程度が大きくなる。
また再生剤の水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスを供給している時間と水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスの供給を停止している時間は、とくに限定されないものの、それぞれ0.1〜5分間および0.5〜50分間程度でよいが、供給時間と供給停止時間の比は1/2〜1/50が好ましい。
これは、水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスにより金属アルカリが水酸化カリウムおよび/または炭酸カリウムに変換される反応は瞬時に進行するが、水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスの供給を停止してから水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスの濃度が充分低下するのに時間を要するからである。ガス濃度が充分低下せずに、つぎの供給がはじまると、濃度変動はあるものの、これらのガスを連続的に供給することと同等になる。
加熱処理は回分式、連続式のいずれの方式で行ってもよく、賦活炉の形式は特段限定されないが、大型化する際は炭素原料とアルカリ化合物が混合し、水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスと良好に接触するという観点から炭素原料とアルカリ化合物がよく撹拌される回転炉や多段炉等が望ましい。
これは、例えばアルカリ化合物として水酸化カリウムを用い、再生剤として水蒸気を供給した場合、賦活処理中の主反応メカニズムは水酸化カリウムの酸素(O)が炭素原料の炭素(C)と反応し一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)となって細孔を形成する賦活がカリウムにより活性化されるとともに、炭素原料による還元でカリウム化合物が金属カリウム(沸点は758.8℃)となり賦活能力を失が、水蒸気を供給すると、金属カリウムが瞬時に賦活能力のある水酸化カリウム(沸点は1320℃)となって反応場に留まり、炭素原料を賦活するという循環が均一に起こることによるためである。
また水蒸気は短時間で供給を停止するため、供給された水蒸気は金属カリウムと反応して消費されるので、炭素原料と水蒸気の直接的な反応は皆無であると想像され、炭素原料は過度の損失を免れて活性炭が得られる。
二酸化炭素を供給した場合、金属カリウムが賦活能力のある炭酸カリウム(融点は891℃で、より高温で分解)となって反応場に留まり、炭素原料を賦活するという循環が起こる。また水蒸気と二酸化炭素の混合ガスを供給した場合、金属カリウムは賦活能力のある水酸化カリウムおよび炭酸カリウムに変化する、すなわち再生される。
一方で高濃度の水蒸気、二酸化炭素、あるいはこれらの混合ガスを間歇的ではなく連続的に供給しながら賦活処理を続けていくと、炭素原料により還元され金属カリウムになっても、沸点や分解温度などが賦活処理温度より大幅に高い水酸化カリウム、あるいは炭酸カリウムとなるため反応場に留まるので、水酸化カリウムや炭酸カリウムと金属カリウムの循環が起こって活性のある酸素が大量に供給され続け、炭素原料のほとんどがなくなり活性炭が得られないと推量される。
加熱処理、すなわち賦活処理の終了後は、冷却した生成物を反応炉から取りだし、必要に応じて洗浄・乾燥して活性炭が得られる。この冷却方法は、不活性ガス雰囲気で行うという以外、とくに限定されない。また適宜造粒や粉砕などを行い、使用する。
[第二実施の形態]
つぎに本発明に係る活性炭の製造方法の第二実施の形態を詳述する。
使用する炭素原料の種類および粒径など、アルカリ化合物の種類や配合する量、およびその形態・方法などは第一実施の形態と同様である。また賦活炉の形式も上述のものを利用することができる。
つぎに本発明に係る活性炭の製造方法の第二実施の形態を詳述する。
使用する炭素原料の種類および粒径など、アルカリ化合物の種類や配合する量、およびその形態・方法などは第一実施の形態と同様である。また賦活炉の形式も上述のものを利用することができる。
加熱中(賦活中)には、賦活が進行している反応場においてアルカリ化合物が炭素原料により還元されて賦活能力を失った生成物を再生するための再生剤として、反応場に0.1〜10容量%の低濃度の酸化剤、すなわち水蒸気、二酸化炭素など、あるいはこれらの混合ガスを含有する窒素などの不活性ガスを供給する。ここで反応場とは炭素原料とアルカリ化合物が炭素原料の賦活が進む温度領域にあるところを指す。
さらに好ましい再生剤の濃度は2〜5容量%である。賦活を進行させるアルカリ化合物の再生は再生剤の供給律速であるため、再生剤の濃度が低いと、賦活時間が長くなるので、望ましくない。一方で再生剤が高濃度となると、金属アルカリが再生剤と反応する限界を超えるため、炭素原料と再生剤との直接的な反応が起こり、歩留の低下を惹き起こすので、望ましくない。
また反応場に再生剤を供給する方法はとくに限定されなく、例えば水であれば、加熱し予め気化して供給できるし、水を反応場の周辺に直接供給してもよい。また二酸化炭素は常温常圧付近でガス状であるので、そのまま供給できる。
賦活温度は600〜750℃が好ましい。賦活温度が600℃未満であると、賦活時間が長くなり、また750℃を超えて800℃に近づくと、炭素原料と再生剤との直接的な反応が顕著になり、歩留の低下を惹き起こす。
加熱処理、すなわち賦活処理の終了後は、第一実施の形態のときと同様に生成物を冷却し反応炉から取りだし、必要に応じて洗浄・乾燥して活性炭が得られる。この冷却方法が特段限定されないことも同様である。また適宜造粒や粉砕などを行い、使用する。
最後に図面に基づき本発明に係る製造装置の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る活性炭の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。ただし本発明は図1に示す構成に限定されるものではない。
図1は本発明に係る活性炭の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。ただし本発明は図1に示す構成に限定されるものではない。
活性炭製造装置1は、賦活が進行する反応場を内包する反応炉(賦活炉)10、および反応炉10内にある反応場に再生剤を間歇的に供給するための再生剤供給手段20、および反応場においてアルカリ化合物が炭素原料によって還元されて生成し、反応場から揮発する金属アルカリを主に回収するためのアルカリ回収手段30から構成される。
回分式の場合、炭素原料はアルカリ化合物、例えば水酸化アルカリと混合され、この混合物が反応炉10に装入される。連続式の場合も炭素原料とアルカリ化合物が混合されてから装入されてもよいし、あるいは別々に供給されてもよく、この場合は反応炉10で混合される。
このとき、後述するが、アルカリ回収手段30に炭素原料を充填した場合は供給した炭素原料にアルカリ化合物が付着しているので、不足分のアルカリ化合物を供給、すなわちメークアップすればよい。炭素原料とアルカリ化合物との配合の量的割合は、この順に質量比で100:50〜100:2、好ましくは100:25〜100:5の範囲から選択することが望ましい。上記反応炉10内では炭素原料がアルカリ賦活処理されて活性炭が生成する。
本発明においては、前記反応炉10の炉形式としてはとくに限定されるものではなく、上記賦活処理が行い得るどのような形式の炉であっても用いることができる。ただし上記アルカリ賦活処理を効率的に行うという観点からは、例えば回分式回転炉を用いることが好ましい。
賦活処理中に炭素原料を回転炉内で回転させることで、炭素原料とアルカリ化合物との混合が充分に行われたり、炭素原料による還元で生成する金属アルカリと再生剤の接触がよくなるために、賦活処理が均一に進み、得られる活性炭の品質のばらつきが少なくなるからである。また同様に連続式回転炉や多段炉も利用でき、不活性ガス(再生剤を含む場合もある)の流れと炭素原料(途中から活性炭になっている)の流れは向流である。
図1において、反応炉10内にある上記炭素原料とアルカリ化合物との混合物は、図示していないが、例えば反応炉10の周囲に設けられたヒーターにより昇温されて所定の温度に保持され賦活が進行する。このとき、上記反応炉10内の雰囲気としては不活性ガス雰囲気とする。上記不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどを用いることができるが、経済的な観点からは窒素を用いることが好ましい。
賦活処理の温度としては、低過ぎると賦活反応が充分に進行しないため、好ましくは480℃以上とすることが必要で、950℃を超えても顕著な反応促進効果が認められないので、480〜950℃とする。さらに好ましくは600〜800℃である。
再生剤を間歇的に供給する手段は、とくに限定されるわけではない。再生剤が水蒸気の場合、上記不活性ガスのガス流れを基準として、反応炉10の上流側一端の近傍に水を間歇的に供給して再生剤供給手段20としてもよい。しかしながら供給した位置ですべて水が気化せず局所的に賦活処理の温度が低下することが懸念されるので、図1に例示するように再生剤供給手段20を別に設けて上記不活性ガスを供給するとともに100℃程度以上に加熱しておき、水を予め再生剤供給手段20に間歇的に供給して気化し、水蒸気にしてから反応炉10へ供給することが好ましい。
ここで再生剤は供給時に再生剤濃度が20〜80容量%程度となるように供給量すればよく、間歇的な供給のため、再生剤の供給停止時には再生剤濃度は時間が経過するにつれ減少して行き、再生剤濃度がゼロ、すなわち不活性ガスのみが供給される状態となる。
賦活処理の時間、すなわち再生剤を供給していないときと再生剤を間歇的に供給しているときを合算した時間は0.5〜20時間が好ましい。0.5時間より短いと賦活が充分に進まない。また20時間を超えると、高温プロセスのため経済的でなくなるほか、地球環境に悪影響を及ぼす程度が大きくなる。
また再生剤を供給している時間と再生剤の供給を停止している時間は、とくに限定されないものの、それぞれ0.1〜5分間および0.5〜50分間程度でよいが、供給時間と停止時間の比は1/2〜1/50が好ましい。
加えて反応炉10の不活性ガス流れを基準に下流にはアルカリ回収手段30を設ける。これは、賦活処理において、とくに再生剤濃度がゼロのとき、炭素原料によりアルカリ化合物、例えば水酸化カリウムが還元され生成した金属カリウム(沸点:758.8℃)が不活性ガスに同伴して活性炭製造装置1の外に散逸するのを防止するためである。そこでアルカリ回収手段30の操作温度は金属カリウムの沸点未満、あるいは賦活処理の温度がこれを下回るときは賦活処理の温度未満であればよいが、回収率を高めるためには400℃以下が好ましく、金属カリウムの沸点を勘案すると、かなりの量を回収できることが容易に理解できる。
アルカリ回収手段30の形式は特段限定されるわけではないが、炭素原料を充填しておくほうが好ましい。これによりアルカリ化合物の捕集効率、すなわち回収率が高まるほか、アルカリ化合物を容易にハンドリング・循環できて、その利用効率が向上する。したがって新たに加えるアルカリ化合物を減少させることができ、また例えば製造装置の外に排出するアルカリ化合物を中和処理・放流するなどの手間がかかる処理を減らすことができる。なお炭素原料をアルカリ回収手段30に充填した場合は、例えばホッパー形式にしておき、反応炉10へ炭素原料を直接供給してもよい。
この場合、アルカリ化合物が吸着した炭素原料をフィーダーなどにより反応炉10に供給すればよく、アルカリ回収手段30の操作温度によってはアルカリ化合物の損失が想定されるので、必要量をメークアップすればよい。なお反応炉10として、例えば連続式回転炉を賦活処理に用いる場合は別途アルカリ回収手段を設けるのではなく、反応炉10の排気ガス側、すなわち炭素原料を装入する側の操作温度を賦活処理の温度より低く保持することで代用できる。この低温領域がアルカリ回収手段30に相当する。
なお例えば回分式回転炉の場合、賦活を終えた炭素原料(活性炭)はヒーターの通電を停止された後、冷却される。ここで冷却時の反応炉10内の雰囲気としては、上述の賦活処理時と同様に不活性雰囲気とすることが好ましい。なお冷却時の速度にはとくに制限はなく、通常は装置外部からの自然空冷、若しくは強制空冷などで冷却される。あるいは例えば連続式回転炉の場合は冷却帯を設けるか、連続式回転炉の出口にクーラー(図示していない)を設けてもよい。また活性炭の用途で要求される仕様に応じ、残存しているアルカリ化合物の量が多い場合は活性炭の水洗設備等を設けてもよい。これにより活性炭の高純度化が期待される。
本発明に係る活性炭の製造装置によると、配合するアルカリ化合物の量が少なくて済み、加えて再利用できる形態でのアルカリ回収ができるため、活性炭の製造装置の外に排出されるアルカリ化合物の量が少なくなり、その処理装置等の付帯設備が不要あるいはコンパクトになる、そして得られる活性炭の歩留が高いため、高温プロセスで二酸化炭素の排出を免れない宿命の活性炭の製造装置をコンパクトにできるので、地球環境に優しいという側面もある。
以下に本発明の具体的実施例を記載する。やしがらチャー(三菱化学カルゴン(株)製)5.0gを約500μmの粒度に粉砕して炭素原料(炭素粉)を得た。これに300〜500μm程度の粒度に調整した水酸化カリウム1.0gを配合し、混合物を得た。
上記混合物を20mm幅×20mm深さ×80mm長さのステンレス製ボートに入れて50mm径の環状炉(賦活炉)に装入した。窒素200ml/minを流通させて10℃/minの昇温速度で800℃まで昇温し、2時間保持して賦活処理を行った。
この昇温過程および賦活処理過程において、反応場(ステンレス製ボート)の温度が400℃となったところで、水を事前に気化しておき水蒸気の供給を開始した。水の供給時の水蒸気濃度は50容量%とし、水は10分間隔で1分間供給した。すなわち水を1分間供給し、その後9分間供給を停止する(窒素ガスのみ通気する)という操作を繰返した。賦活終了後に環状炉を自然放冷した。
活性炭を含む生成物について、残存しているアルカリ化合物を除去するため、水によりスラリー化して洗浄した。洗浄はイオン交換水を用いて数回行い、洗浄液が中性(pH=7)となるのを確認した。乾燥後、活性炭を得た。その歩留は72質量%、表面積は1060m2/gであった。
ここで表面積は、得られた活性炭がミクロポアを有するため、相対圧P/P0が0.02〜0.15の領域で測定された窒素の吸脱着等温線からBrunauer‐Emmett‐Taller(BET)法によって算出した。
やしがらチャーの代わりにメソフェーズ系ピッチを600℃で炭素化して得られた炭素原料を用いた以外は実施例1と同一の操作を行い、活性炭を得た。歩留は82質量%、表面積は980m2/gであった。
水酸化カリウム2.5gを配合し、水は400℃から5分間隔で1分間供給して800℃での保持時間を1時間とした以外は実施例2と同一の操作を行い、活性炭を得た。歩留は78質量%、表面積は1080m2/gであった。
実施例1で用いたものと同じやしがらチャー5.0gを約200μmの粒度に粉砕して炭素原料(炭素粉)を得た。この炭素粉を、炭酸カリウム0.5gを溶解させた純水100mLに投入後、撹拌して一晩静置した。その後110℃に保ったオーブンで水分を蒸発させ炭酸カリウムを含浸したやしがらチャーを得た。
この炭酸カリウム含浸やしがらチャーを実施例1で用いた環状炉(賦活炉)に装入した。窒素200ml/minを流通させて10℃/minの昇温速度で750℃まで昇温し、3時間保持して賦活処理を行った。
この昇温過程および賦活処理過程において、反応場(ステンレス製ボート)の温度が400℃となったところで、二酸化炭素の供給を開始した。二酸化炭素の供給時の二酸化炭素濃度は50容量%とし、二酸化炭素を20分間隔で1分間供給した。すなわち二酸化炭素を1分間供給し、その後19分間供給を停止する(窒素のみ通気する)という操作を繰返した。賦活終了後に環状炉を自然放冷した。
活性炭を含む生成物について、実施例1のときと同様に洗浄・乾燥し、活性炭を得た。その歩留は68質量%、表面積は1080m2/gであった。
また、この活性炭の平均細孔直径をスリット形状のポアを前提として計算した結果、1.78nmとなった。
また、この活性炭の平均細孔直径をスリット形状のポアを前提として計算した結果、1.78nmとなった。
炭酸カリウムに代えて賦活剤に水酸化カリウム0.25gを用い、実施例4と同様の方法により水酸化カリウム含浸やしがらチャーを調製した。この水酸化カリウム含浸やしがらチャーを実施例1で用いた環状炉(賦活炉)に装入した。窒素200ml/minを流通させて10℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、5時間保持して賦活処理を行った。
この昇温過程および賦活処理過程において、実施例1と同様に反応場(ステンレス製ボート)の温度が400℃となったところで、水蒸気の供給を開始した。水蒸気の供給時の水蒸気濃度は50容量%とし、20分間隔で1分間供給した。
賦活終了後に環状炉を自然放冷し、活性炭を含む生成物について、実施例1のときと同様に洗浄・乾燥し、活性炭を得た。その歩留は62質量%、表面積は1120m2/gであった。
また活性炭の平均細孔直径を実施例4と同様に求めた結果、1.68nmとなった。
また活性炭の平均細孔直径を実施例4と同様に求めた結果、1.68nmとなった。
水酸化カリウムを0.5gに増やした以外は実施例5と同様に調製し、水酸化カリウムを含浸したやしがらチャーを得た。この水酸化カリウム含浸やしがらチャーを実施例1で用いた環状炉(賦活炉)に装入した。窒素100ml/minを流通させて10℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、4時間保持して賦活処理を行った。
この昇温過程および賦活処理過程において、反応場(ステンレス製ボート)の温度が400℃となったところで、水蒸気濃度が4容量%となるように水蒸気を連続的に供給した。4時間の賦活終了後に環状炉を自然放冷した。
活性炭を含む生成物について、実施例1のときと同様に洗浄・乾燥し、活性炭を得た。その歩留は68質量%、表面積は960m2/gであった。
また、この活性炭の平均細孔直径を実施例4と同様に求めたところ、1.63nmとなった。
また、この活性炭の平均細孔直径を実施例4と同様に求めたところ、1.63nmとなった。
賦活の温度と時間をそれぞれ700℃、4時間とし、また二酸化炭素濃度が10容量%となるように調整した窒素が主成分のガスを200ml/minで流通させた以外は、実施例4と同じ炭素原料に同一の賦活、および洗浄を行った。
得られた活性炭の歩留と表面積は、それぞれ67質量%、980m2/gであった。また、この活性炭の平均細孔直径は1.66nmであった。
得られた活性炭の歩留と表面積は、それぞれ67質量%、980m2/gであった。また、この活性炭の平均細孔直径は1.66nmであった。
賦活剤の水酸化カリウムを0.5gに増やし、賦活温度を650℃、賦活時間を6時間とした以外は実施例5と同じ条件で賦活を行った。
得られた活性炭の歩留と表面積は、それぞれ63質量%、1150m2/gであった。また、この活性炭の平均細孔直径は1.60nmと算出された。
得られた活性炭の歩留と表面積は、それぞれ63質量%、1150m2/gであった。また、この活性炭の平均細孔直径は1.60nmと算出された。
実施例1で用いたやしがらチャー5gのみ(カリウム化合物は含有していない)をステンレス製ボートに入れて環状炉(賦活炉)に装入した。通常のガス賦活法(水蒸気賦活法)と同様に、窒素200ml/minを流通させながら水を連続供給して10℃/minの昇温速度で800℃まで昇温し、2時間保持して賦活処理を行った。ここでも水はステンレス製ボートの温度が400℃以上で供給を開始し、水蒸気濃度が50容量%となるような水量とした。
賦活終了直後に水の供給のみを停止し、冷却した。室温になったところで、窒素も停止し、活性炭を取りだした。歩留は45質量%で、表面積は1020m2/gであった。実施例1と比較すると、表面積が同程度であるのに対して歩留が大幅に低下していることがわかる。また活性炭の平均細孔直径は2.06nmであった。
水を供給しない以外は実施例2と同一の操作を行った。歩留は96質量%、表面積は280m2/gであり、通常の活性炭とはならなかった。つまり炭素原料中の炭素(C)と反応し、多孔質化して活性炭の生成に寄与するための酸素は水酸化カリウムを構成している酸素(O)のみであり、これだけでは多孔質化には充分でなかった。
炭素原料(メソフェーズ系ピッチを600℃で炭素化して得られたもの)5.0gに対して水酸化カリウムを2.5g配合した以外は比較例2と同一の操作を行った。歩留は92質量%、表面積は460m2/gであり、活性炭とはならなかった。炭素原料中の炭素(C)と反応して多孔質化し、活性炭となるための酸素は水酸化カリウムを構成している酸素(O)のみであり、比較例2に比べると多いが、これだけでは活性炭のように多孔質化するには不充分であることが理解できる。
水蒸気濃度が50容量%となるように連続的に水を供給した以外は実施例2と同一の操作を行った。炭素原料は消失していた(活性炭は得られなかった)。
水酸化カリウムの酸素(O)により炭素原料は一酸化炭素(CO)、あるいは二酸化炭素(CO2)となる一方で、生成した金属カリウムは水蒸気のOH基と反応して水酸化カリウムに戻るとともに、その高い沸点のため反応場に留まり、その水酸化カリウムの酸素により炭素原料は一酸化炭素(CO)、あるいは二酸化炭素(CO2)となるという循環が起きていると推量される。
水酸化カリウムの酸素(O)により炭素原料は一酸化炭素(CO)、あるいは二酸化炭素(CO2)となる一方で、生成した金属カリウムは水蒸気のOH基と反応して水酸化カリウムに戻るとともに、その高い沸点のため反応場に留まり、その水酸化カリウムの酸素により炭素原料は一酸化炭素(CO)、あるいは二酸化炭素(CO2)となるという循環が起きていると推量される。
このことは、水蒸気を構成している酸素(O)とカリウムの効果によって、炭素原料中の炭素(C)が一酸化炭素(CO)、あるいは二酸化炭素(CO2)に変換されてガス化し、消失してしまったものと考えられる。
水蒸気濃度が50容量%となるように水を400℃から連続供給して800℃に到達してから12分後に供給停止した以外は実施例1と同一の操作を行った。得られた活性炭の表面積は1120m2/gであったが、歩留は43質量%で、水蒸気賦活法並みの値であった。
炭素原料として水酸化カリウムを含浸しなかったやしがらチャーを用いた以外は、実施例6と同一の操作を行った。得られた生成物の歩留は88質量%で、表面積も500m2/gで、活性炭になっていなかった。
二酸化炭素濃度が20容量%となるように調整した窒素が主成分のガスを200ml/minで流通させた以外は、実施例7と同一の賦活と洗浄を行った。得られた活性炭の歩留と表面積は、それぞれ53質量%、920m2/gであった。活性炭は得られているものの、実施例6や実施例7と比べると、歩留が低いので、炭素原料と二酸化炭素の直接反応が起こったものと想像される。
水酸化カリウム10.0gに増量した以外は実施例1と同様に混合物(賦活原料)を得た。この混合物を実施例1と同じステンレス製ボートおよび環状炉(賦活炉)に装入した。窒素200ml/minを流通させて10℃/minの昇温速度で800℃まで昇温し、2時間保持して賦活処理を行った。これは従来のアルカリ賦活に相当する。
賦活処理の生成物を実施例1と同様の処理を行い、活性炭を得た。活性炭の歩留と表面積は、それぞれ63質量%、1180m2/gであった。また、この活性炭の平均細孔直径は1.96nmであった。
炭素原料として水酸化カリウムを含浸しなかったやしがらチャーを用い、それぞれ参考例1、参考例2、参考例3として、水蒸気をまったく供給しない窒素、ならびに水蒸気に代えて10容量%の二酸化炭素および20容量%の二酸化炭素を含む窒素を主体とするガスを供給した以外は、実施例6と同一の操作を行った。参考例1の歩留と表面積はそれぞれ87質量%および500m2/g、参考例2のそれらは88質量%および500m2/g、参考例3のそれらは85質量%および550m2/gであった。
ここで窒素のみを供給したときの歩留はやしがらチャーが700℃に保持されたときに一部が熱分解したことを示しており、また再生剤の濃度が10容量%では、やしがらチャーと再生剤の反応が起きていることは必ずしも明確ではない。この反応が顕著となるのは再生剤の濃度が10容量%を超え20容量%近くとなってからと推察される。
以上の実施例および比較例を総括すると、通常のアルカリ賦活において、アルカリ化合物の配合量が少ないところでは、すなわち水蒸気または二酸化炭素などの再生剤がまったく存在しない不活性ガス雰囲気でアルカリ化合物が少ない配合量のアルカリ賦活を行うと、炭素原料に対してアルカリ化合物の配合量が不充分で足りないため、賦活が進行せず活性炭にならない。
一方で高濃度の水蒸気などの再生剤が常時存在する雰囲気で長時間のアルカリ賦活を行うと、炭素原料が消失し活性炭が得られない。また高濃度の水蒸気などの再生剤がある程度の短時間でも連続に存在すると、アルカリ化合物による賦活のほか炭素原料と再生剤の直接的な反応(賦活)も起こると推測され、活性炭の歩留が低下する。
しかしながら間歇的に高濃度でも水蒸気や二酸化炭素などの再生剤を供給すると、まずはアルカリ化合物によって炭素原料が賦活されるとともに、アルカリ化合物は金属アルカリとなる。引続き水蒸気供給時には水酸化アルカリとなる結果、反応場に留まって賦活に寄与するという循環で、賦活がほどよく高い歩留で活性炭が得られると想像・理解される。再生剤として二酸化炭素を使用したときも同様であろうと理解される。
また再生剤の供給が連続的でも、その濃度が10容量%以下の低濃度である場合、反応性の高い金属アルカリと再生剤の反応が優先的に起こり、まずアルカリ化合物が再生されるとともに再生剤が消費する。したがって再生されたアルカリ化合物により炭素原料の賦活が起こるが、再生剤の濃度は低下しているため、炭素原料の賦活を直接進める力はほとんどないので、高い歩留で活性炭が得られたことがわかる(図2)。一方、再生剤の濃度が20容量%の場合はアルカリ化合物の再生にともない再生剤は消費するが、それは一部のため、炭素原料の賦活を直接進める力が残っており、歩留が低下したと理解される。
加えて従来のアルカリ賦活は、どちらも固体の炭素原料とアルカリ賦活剤(水酸化アルカリ、炭酸アルカリなど)が多量に存在する副生物のアルカリ化合物に影響を受けながら複雑な反応をする。しかしながら本発明に係る賦活においては、配合しているアルカリ化合物(アルカリ賦活剤)がきわめて少量で、応答性の良好なガス状の再生剤によって再生を制御しているため、賦活に関連する素反応がシンプル・温和に進行するので、比較的余計な反応、例えば活性炭の細孔壁を崩すような反応が起こらず図3に示すように1.6〜1.8nmの平均細孔直径を有する活性炭となったものと推察される。
本発明による活性炭は、上述のように、炭化水素類の分別、工業用ガスの精製、有毒ガスの吸着除去、環境汚染物質の発生源対策、食品工業や化学工業における液相精製、水処理、液相の回収・分別、触媒または触媒担体として利用されるほか、平均細孔直径が小さい、すなわちポアサイズが小さいため活性炭の容量あたりの表面積が大きくなるので、とりわけ電気二重層コンデンサ用途に有用である。
1...活性炭製造装置
10...反応炉(賦活炉)
20...再生剤供給手段(水蒸気、二酸化炭素など)
30...アルカリ回収手段
10...反応炉(賦活炉)
20...再生剤供給手段(水蒸気、二酸化炭素など)
30...アルカリ回収手段
Claims (6)
- 炭素原料をアルカリ化合物で賦活することにより活性炭を製造する方法であって、賦活が進行している反応場においてアルカリ化合物が炭素原料により還元されて生成する賦活能力を失った生成物を再生しつつ、賦活を行うことを特徴とする活性炭の製造方法。
- 前記生成物を再生する方法が水蒸気および/または二酸化炭素を間歇的に供給するものであることを特徴とする請求項1に記載の活性炭の製造方法。
- 前記生成物を再生する方法が水蒸気および/または二酸化炭素を含有する不活性ガスを連続供給するものであり、前記水蒸気および/または二酸化炭素の合計が0.1〜10容量%であることを特徴とする請求項1に記載の活性炭の製造方法。
- 炭素原料をアルカリ化合物で賦活することにより活性炭を製造する装置であって、賦活反応が進行する反応場を内包する反応炉と、前記反応場に水蒸気および/または二酸化炭素を間歇的に供給する手段と、前記反応場からのガス流れを基準とし、前記反応場の下流にアルカリ化合物を回収するアルカリ回収手段と、を備えることを特徴とする活性炭の製造装置。
- アルカリ回収手段が炭素原料を用いた吸着によるものであり、前記炭素原料によってアルカリ化合物を賦活反応が進行する反応場へ循環することを特徴とする請求項4に記載の活性炭の製造装置。
- 相対圧P/P0が0.02〜0.15の領域で測定された窒素の吸脱着等温線からBET法で算出された平均細孔直径が1.6〜1.8nmであることを特徴とする活性炭。
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Cited By (1)
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CN114804104A (zh) * | 2022-02-21 | 2022-07-29 | 江苏联兴成套设备制造有限公司 | 一种有机发酵强化co2活化造孔使废活性炭再生的方法 |
-
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