JP2020165849A - 管路診断システムおよび管路診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管路診断システムは、管路Pを叩打する叩打具10と、システム本体20とを備えている。システム本体20は、叩打具10で管路Pを叩打した際に生じる打音の入力を受け付ける打音入力部21と、記憶部と、中央処理部とを有している。記憶部には、閉塞率の異なる基準管路を叩打した際に生じる打音の特徴的周波数が閉塞率に応じて記憶されている。中央処理部は、打音入力部21に入力された打音の周波数分布を算出するととともに、この周波数分布と記憶部に記憶された特徴的周波数に基づいて管路の閉塞率を推定する。
【選択図】図1
Description
この点、需要先に都市ガスを安定的に供給する観点から、「ガス埋設管」に「差し水」が侵入した場合、一刻も早く、その位置を特定して、「差し水」を「ガス埋設管」から排出することが必要といえる。
(a)配管を外部から叩打する工程と、
(b)叩打により生じた配管からの振動を検出する工程と、
(c)検出された振動のピーク値を検出する工程と、
(d)検出された振動波形の平均値を算出する工程と、
(e)ピーク値を平均値で除した値が所定の数値範囲内に入るかを判断する工程と、
を備えたものである。
かかる場合、やみくもに、「ガス埋設管」から「差し水」を排出する作業をおこなうのではなく、「差し水」による「ガス埋設管」の閉塞度合いの高い「滞留箇所」から順に、これをおこなうのが望ましい。
この点、特許文献1の技術は、未だ改善の余地があるものといえる。
しかしながら、このような手法では、カメラを「ガス埋設管」に挿入するために、穿孔等しなければならず、その結果、多大な時間と労力を割かなければならない等の問題が生じる。
ここで、管路診断システム1について説明する前に、本実施形態にかかる管路Pについて図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、管路Pは、金属部材(本実施形態では、いわゆる「普通鋳鉄」(「ねずみ鋳鉄」))からなり、例えば、基幹となるガス供給ラインから供給される可燃性ガスG(本実施形態では、「都市ガス」)をガスメータ等に導出するための導管(「ガス管」)である。なお、上記可燃性ガスGが特許請求の範囲に記載の「流体」および「気体」に該当する。
次に、本実施形態にかかる管路診断システム1について説明する。
管路診断システム1は、管路Pを叩打するための叩打具10と、システム本体20とを備えている。なお、上記叩打具10が特許請求の範囲に記載の「叩打手段」に該当する。
叩打具10は、いわゆる打診棒により構成され、作業者Wが把持する把持部11と、管路Pの外面を(実際に)叩打する球状部12とを有している。
次に、システム本体20について図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1および図2に示すように、システム本体20は、叩打具10で管路Pを叩打した打音に基づいて管路Pの閉塞状態を診断する装置であって、打音入力部21と、制御装置22と、報知部25と、操作部26とを有している。なお、打音入力部21が特許請求の範囲に記載の「入力手段」に該当する。
打音入力部21は、叩打具10で管路Pを叩打した打音の入力を受け付ける装置であって、公知のマイクロフォンにより構成することが可能なものである。
制御装置22は、中央処理部23(CPU:Central Processing Unit)と、記憶部24とを有し、打音入力部21、報知部25および操作部26と電気的に接続されている。なお、上記中央処理部23と、記憶部24とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「算出手段」および「推定手段」と、「記憶手段」とに該当する。
中央処理部23は、記憶部24に記憶された各種プログラムを読み込み、所定の演算処理をおこなって、報知部25に所定の画像を表示等させる制御をおこなう。
(a)打音入力部21から出力された打音信号に応じて時間波形を生成する(例えば、図3(a)の「時間波形T1」参照)、
(b)生成された時間波形を高速フーリエ変換処理することで、打音の周波数分布を算出する(例えば、図3(b)の「周波数分布F1」参照)、
(c)算出された周波数分布と、記憶部24に記憶された「閉塞率基準情報」(この点については後述する)とに基づいて管路Pの閉塞率を推定する、上記周波数分布が特許請求の範囲に記載の「周波数分布」に該当する。
等の制御をおこなうように構成されている。
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリからなり、
(a)本システムの基本動作を司る基本動作プログラムや、管路Pの閉塞率を推定するためのプログラムが記憶される記憶領域を有するほか、
(b)閉塞率基準情報記憶領域24A等を有している。
閉塞率基準情報記憶領域24Aは、管路Pの閉塞率を推定するための基準となる情報(以下、「閉塞率基準情報」と称す)を記憶する領域である。
図1に示すように、本実施形態では、管路Pと同一の金属部材(「普通鋳鉄」)からなる試験用管路(水平方向に延びる「露出」した管路、図示省略)に、液体L(例えば、水道水)を、
(a)「閉塞率:30%」となる位置まで流し込んだもの、
(b)「閉塞率:50%」となる位置まで流し込んだもの、および、
(c)「閉塞率:75%」となる位置まで流し込んだもの、
を用意し、各試験用管路ごとに「閉塞率基準情報」を得るようにした。なお、上記試験用管路が特許請求の範囲に記載の「基準管路」に該当する。
具体的に、「閉塞率:30%」の試験用管路の場合を例にとって説明すると、この場合の「閉塞率基準情報」は、図1〜図3に示すように、
(a)「閉塞率:30%」の試験用管路を叩打具10で叩打する、
(b)叩打具10で叩打した打音を打音入力部21で採音する、
(c)中央処理部23において、
・打音入力部21から出力された打音情報に応じて時間波形T1を生成するとともに(図3(a)参照)、
・生成された時間波形T1を高速フーリエ変換処理することで、打音の周波数分布F1を算出する(図3(b)参照)、
(d)算出された周波数分布F1から特徴的周波数H1(周波数の特徴的な部分)を抽出する(図3(b)参照)、
といった手順を踏むことで得るようにした。
・「閉塞率:50%」の「閉塞率基準情報」として、「周波数:4,300Hz」(図4(b)の「周波数分布F2」における「特徴的周波数H2」(「ピーク値P2」の周波数)参照)を、また、
・「閉塞率:75%」の「閉塞率基準情報」として、「周波数:7,800Hz」(図5(b)の「周波数分布F3」における「特徴的周波数H3」(「ピーク値P3」の周波数)参照)を、
それぞれ、記憶させるようにした。なお、上記特徴的周波数H2,H3が特許請求の範囲に記載の「特徴的周波数」に該当する。
図1および図2に示すように、報知部25は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やスピーカ等からなり、診断結果としての管路Pの閉塞率を報知(例えば、液晶ディスプレイにあっては閉塞率を表示、また、スピーカにあっては閉塞率を示す音声を出力)するものである。
操作部26は、作業者Wが、管路Pの閉塞率を推定する際に操作入力する装置であって、公知のボタンやタッチパネル等により構成することが可能なものである。
次に、本実施形態にかかる管路診断システム1を用いた管路診断方法について図1、図2および図6を参照しつつ説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、
(a)管路Pの周囲に存在する土砂等が掘り起こされて管路Pが露出している状態となっていること、
(b)管路Pの内部に所定量の液体L(例えば、地下水)が滞留していること、
(c)システム本体20の電源が「ON」となっていること、
を前提として説明する。
図1、図2および図6に示すように、本実施形態にかかる管路診断方法は、打音入力工程S100をおこなうことから始まる。
具体的に、打音入力工程S100では、システム本体20の打音入力部21を叩打具10の球状部12に近づけた状態で、管路Pを叩打具10で叩打する作業をおこなう。
これにより、管路Pを叩打具10で叩打した打音が周囲に伝播される一方、この打音の示す打音情報が打音入力部21を介して中央処理部23に入力されることとなる。なお、上記管路Pを叩打具10で叩打する作業が特許請求の範囲に記載の「叩打工程」に該当する。
周波数分布算出工程S200は、主として、中央処理部23で実行され、中央処理部23は、打音入力工程S100がおこなわれると(打音情報が入力されると)、
(a)打音信号に応じた時間波形を生成する(例えば、図3(a)の「時間波形T1」参照)、
(b)生成された時間波形を高速フーリエ変換処理することで、打音の周波数分布を算出する(例えば、図3(b)の「周波数分布F1」参照)、
処理をおこなう。
閉塞率推定工程S300は、周波数分布算出工程S200と同様に、主として、中央処理部23で実行され、中央処理部23は、周波数分布算出工程S200をおこなうと(周波数分布を算出すると)、液体L(例えば、地下水)による管路Pの閉塞率を推定する処理をおこなう。なお、上記液体Lが特許請求の範囲に記載の「閉塞媒体」および「液体」に該当する。
(a)周波数分布算出工程S200で算出した周波数分布から音圧レベルが最大となるピーク値(特徴的周波数)を抽出し、このピーク値の周波数を求める、
(b)求めたピーク値の周波数と、閉塞率基準情報記憶領域24Aに記憶された「閉塞率基準情報」(「閉塞率:30%」の「周波数:1,600Hz」、「閉塞率:50%」の「周波数:4,300Hz」および「閉塞率:75%」の「周波数:7,800Hz」)とに基づいて、管路Pの閉塞率を推定する、
処理をおこなう。なお、上記特徴的周波数が特許請求の「特徴的周波数」に該当する。
(a)「閉塞率:30%」の周波数と「閉塞率:50%」の周波数との間における「1%」あたりの「変動周波数:135Hz」(「4,300Hz」−「1,600Hz」)/(「50(%)」−「30(%)」)=「135Hz」)を求めたうえで、
(b)管路Pの「閉塞率:40%」((「3,000Hz」−「1,600Hz」)/「135Hz」+「30(%)」=「40.37・・・(%)」)を導きだす、
処理をおこなう。
報知工程S400は、主として、周波数分布算出工程S200および閉塞率推定工程S300と同様に、中央処理部23で実行され、中央処理部23は、閉塞率推定工程S300において推定した閉塞率を報知部25に出力する処理をおこなう。
これにより、管路Pの閉塞率が報知部25を介して作業者Wに報知、例えば、閉塞率の表示や、音声による閉塞率の出力がおこなわれることとなる。
(a)管路Pを叩打具10で叩打した打音に基づいて時間波形を生成する、
(b)生成された時間波形に基づいて周波数分布を算出する、
(c)周波数分布から特徴的周波数(音圧レベルのピーク値の周波数)を抽出する、
(d)抽出した特徴的周波数と、閉塞率基準情報記憶領域24Aに記憶された「閉塞率基準情報」とに基づいて、管路Pの閉塞率を推定する、
ように構成されている。
この点について、上記「閉塞率:40%(40.37・・・%)」を導き出した場合(周波数分布から抽出したピーク値の周波数が「3,000Hz」である場合)を例にとって説明すると、この場合の管路Pの閉塞率としては、「30%〜50%」といった範囲のある数値で示せばよい。
・「閉塞率:30%〜50%」の周波数「1,600〜4,300Hz」、および、
・「閉塞率:50%〜75%」の周波数「4,300〜7,800Hz」、
といったような範囲のある数値を記憶させておくことも可能である。
・地中に半分(「50%」)埋まっている状態の試験用管路、および、
・地中に「25%」埋まっている状態の試験用管路、
等を用いて、露出状態の異なる試験用管路ごとに、複数の「閉塞率基準情報」を得ることもできる。
このようにすれば、埋設されている管路Pを完全に露出するまで掘り起こさなくても、管路Pの閉塞状態を診断することが可能となる。
しかしながら、音圧レベルのピーク値の周波数は、例えば、「ダグタイル鋳鉄」であれば、
・「閉塞率:30%」の場合、約「1,600Hz」(上記「普通鋳鉄」では「1,600Hz」)、
・「閉塞率:50%」の場合、約「4,300Hz」(上記「普通鋳鉄」では「4,300Hz」)
・「閉塞率:75%」の場合、約「8,100Hz」(上記「普通鋳鉄」では「7,800Hz」)、
といったように、閉塞率が同じであれば、その値に大きな差が生じない傾向にあることから、種類の異なる管路において共通するピーク値の周波数を、閉塞率ごとに、閉塞率基準情報記憶領域24Aに記憶(例えば、「閉塞率:75%」であれば、「周波数:7,950Hz」(平均値)を記憶)させることも可能である。
このようにすれば、本管路診断システム1を汎用性に富んだものとすることができる。
例えば、管路Pの閉塞率が報知部25に表示等された後、管路Pの切断作業等をおこなうことで、推定された閉塞率と、実際の閉塞率とが(多少)異なっていることが判明した場合、実際の閉塞率を入力することで、閉塞率基準情報記憶領域24Aに記憶された情報を更新させる(いわゆる「学習機能」をもたせる)ことも可能である。
すなわち、「閉塞率基準情報」は、上述したような「1%」あたりの変動周波数等を導き出すために必要な情報であることから、閉塞率の異なる「閉塞率基準情報」を、閉塞率基準情報記憶領域24Aに、少なくとも「2つ」記憶させておけばよい。
もちろん、閉塞率の異なる「閉塞率基準情報」を「4つ」以上記憶させておいてよいことはいうまでもない。
10 叩打具
11 把持部
12 球状部
20 システム本体
21 打音入力部
22 制御装置
23 中央処理部
24 記憶部
24A 閉塞率基準情報記憶領域
25 報知部
26 操作部
P 管路
G 可燃性ガス
L 液体
T1〜T3 時間波形
F1〜F3 周波数分布
H1〜H3 特徴的周波数
P1〜P3 ピーク値
W 作業者
Claims (5)
- 流体が流通可能な管路の閉塞状態を診断する管路診断システムであって、
前記管路診断システムは、
前記管路を叩打する叩打手段と、
前記叩打手段で前記管路を叩打した打音の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段に入力された前記打音の周波数分布を算出する算出手段と、
閉塞率の異なる基準管路を叩打したときの前記打音の特徴的周波数を前記閉塞率に応じて記憶する記憶手段と、
前記算出手段によって前記周波数分布と前記記憶手段に記憶された前記特徴的周波数とに基づいて前記管路の閉塞率を推定する推定手段と、
を備える、
ことを特徴とする管路診断システム。 - 前記特徴的周波数は、
前記打音の音圧レベルが最大となる周波数を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の管路診断システム。 - 前記流体は、
気体であり、
前記管路を閉塞する閉塞媒体は、
液体または固体である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管路診断システム。 - 前記特徴的周波数は、
前記周波数分布における周波数の波形または周波数の平均値を含む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の管路診断システム。 - 流体が流通可能な管路の閉塞状態を診断する管路診断方法であって、
前記管路診断方法は、
前記管路を叩打手段で叩打する叩打工程と、
前記叩打工程をおこなうことで生じた打音を入力手段に入力する入力工程と、
前記入力工程をおこなうことにより入力された前記打音の周波数分布を算出手段で算出する算出工程と、
前記算出工程をおこなうことによって前記周波数分布が算出されると、閉塞率の異なる基準管路を叩打したときの前記打音の特徴的周波数を前記閉塞率に応じて記憶する記憶手段を参照して前記管路の閉塞率を推定する推定工程と、
を含む、
ことを特徴とする管路診断方法。
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