JP2020164888A - 電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、最近は回転炉床法(RHF法)により電炉ダストの還元処理を行う例が出てきた。RHF法は、鉄鋼ダストを造粒したブリケットにより処理するため、ウエルツ法よりは、若干回収率が高くなる。
また、ISP法については、溶鉱炉に加えて焼結機と熱風炉などの大型設備が必要であるだけでなく、高価な塊コークスを使わざるを得ないといった経済的な問題もある。
Zn:98.5%以上、
Pb:1.3%以下、
Cd:0.2%以下、
Fe:0.025%以下
に定めている。
金属亜鉛蒸気を含む還元処理ガスを冷却する過程で、還元処理ガス中にCO2が存在すると、金属亜鉛蒸気がCO2で酸化され、粗酸化亜鉛(ZnO)になり、金属亜鉛の回収ができないという問題がある。これは、CO/CO2比が低いほど、亜鉛が金属蒸気として存在できる平衡温度が高くなるからである。
さらに、CO2改質を進める方法として、外熱ロータリーキルン内に装入する炭材を微粉化するとよいことを見出した。特許文献1ではCO2改質用として粒径1mm以下の粉コークスを粉状炭材が装入されているが、さらに微粉化(例えば、粒径1μm以下)することにより、還元処理ガスとの接触面積が増加し、CO2改質が進むことが分かった。微粉炭材としては、例えばカーボンブラックを適用するとよい。カーボンブラックであれば、粒径500nm(0.5μm)程度であるからである。
次に、特許文献1に記載の方法を基に、電炉ダストからの鉄および亜鉛回収試験を実施したところ、亜鉛回収率は90%程度と高い値が得られたものの、回収した亜鉛を分析したところ、Zn:96.2%、Pb:3.7%、Cd:0.03%となり、JIS H 2107で規定する蒸留亜鉛地金1種の鉛(Pb):1.3%以下を満たしていない場合があることが分かった。これは、電炉に投入されるスクラップなどの品位により影響される場合が多く、投入原料としてのスクラップにおいてその成分を制御することは難しい。そのため、電炉ダストによらず、Pbを効率的に削除する方法が求められる。
一方、足元では、電気炉製鋼技術の進歩に伴って鉄スクラップ予熱装置を備えた電気炉が増えつつある。鉄スクラップ予熱装置を備えた電気炉で発生する電気炉ダストは、鉄スクラップ予熱装置内に充填された鉄スクラップとの接触により亜鉛が濃縮され、鉄分が低下することが判明した。この鉄分が低下した電炉ダストに炭材とバインダーを加えて含炭成型体としたものを還元処理しても還元鉄(DRI)の強度が出ず、場合によっては含炭成型体がDRIにならずバラバラになってしまい、含炭成型体中からの亜鉛蒸気として回収できず、亜鉛回収効率が低下することが判明した。
酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダスト、炭材、バインダーおよび水を混合し成型して含炭成型体を製造する含炭成型体製造ステップと、
前記含炭成型体を加熱し、乾燥させる予熱ステップと、
前記予熱ステップで乾燥し加熱した含炭成型体を、閉空間内でさらに加熱して酸化鉄を還元し還元鉄にする還元処理ステップと、
前記還元処理ステップにて発生した還元処理ガスから鉛を回収除去する鉛除去ステップと、
前記鉛除去ステップを経た還元処理ガスから亜鉛を回収する亜鉛回収ステップを有することを特徴とする電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(2)
前記鉛除去ステップが、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱した炭化珪素製セラミックス・ボールと前記還元処理ガスを接触させることを特徴とする(1)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(3)
前記鉛除去ステップと前記亜鉛回収ステップの間に、前記還元処理ガス中のCO2をCOに改質するCO2改質ステップを有することを特徴とする(1)または(2)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(4)
前記CO2改質処理ステップにおいて、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱したペレット状の炭材と前記還元処理ガスを接触させることを特徴とする(3)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(5)
前記還元処理ステップにおいて、平均粒径10μm以下の微粉状炭材を前記閉空間内に装入することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(6)
前記含炭成型体製造ステップにおいて、さらに酸化鉄を混合し、含炭成型体中のFe含有量が15重量%以上にすることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(7)
前記予熱ステップでの含炭成型体の加熱温度が770℃以上907℃以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(8)
前記還元処理ステップでの含炭成型体の加熱温度が980℃以上1150℃以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(9)
前記予熱ステップを内熱式ロータリーキルンで処理し、前記還元処理ステップを外熱式ロータリーキルンで処理することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(10)
前記亜鉛回収ステップにおいて、内部を冷却した炭化珪素製チューブと還元処理ガスを接触させた後、さらに炭化珪素製ペレットと還元処理ガスを接触させることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
(11)
酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダストから鉄および亜鉛を回収する装置において、
酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダスト、炭材、バインダーおよび水を混合し成型して含炭成型体を製造する含炭成型体製造手段と、
前記含炭成型体を加熱し乾燥させる予熱手段と、
前記予熱手段で乾燥し加熱した含炭成型体を、さらに加熱して還元鉄を製造する還元処理手段と、
前記還元処理手段にて発生した還元処理ガスから鉛を回収除去する鉛除去手段と、
前記鉛除去手段を通った還元処理ガスから亜鉛を回収する亜鉛回収手段を有することを特徴とする電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(12)
前記鉛除去手段が、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱した炭化珪素製セラミックス・ボールと前記還元処理ガスを接触させ、鉛を凝集させて分離回収する鉛除去装置を有することを特徴とする(11)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(13)
前記鉛除去手段と前記亜鉛回収手段の間に、前記還元処理ガス中のCO2をCOに改質するCO2改質手段を有することを特徴とする(11)または(12)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(14)
前記CO2改質処理手段が、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱したペレット状の炭材と前記還元処理ガスを接触させ、CO2をCOに改質するCO2改質装置を有することを特徴とする(13)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(15)
前記還元処理手段に、平均粒径10μm以下の微粉状炭材装入手段を有することを特徴とする(11)〜(14)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(16)
前記予熱手段が内熱式ロータリーキルンであり、前記還元処理手段が外熱式ロータリーキルンであることを特徴とする(11)〜(15)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(17)
前記亜鉛回収手段において亜鉛を回収した後の還元処理ガスを前記還元処理手段の加熱用燃料にするための還元処理ガス再利用手段を有することを特徴とする(11)〜(16)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(18)
前記亜鉛回収手段が、内部を冷却した炭化珪素製チューブにより還元処理ガスを冷却し、亜鉛を凝縮させて分離回収する亜鉛凝縮器を有することを特徴とする(11)〜(17)のいずれか1つに記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
(19)
前記亜鉛凝縮器において、炭化珪素製チューブの下流側に炭化珪素製ペレットを配置して、さらに亜鉛を凝縮させて分離回収することを特徴とする(18)に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
含炭成型体製造ステップにおいては、酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダスト10に、還元剤となる炭素材(炭材)、粒子間をつなぐ役目をもつバインダー材、そして水を混合し、成型して、含炭成型体を製造する(図2)。
ZnO + C + ΔH(2) → Zn + CO ・・・(式2)
上記式1、式2の化学反応はいずれも吸熱反応であり、吸熱量は、それぞれ
ΔH(1)=966×103kcal/t(Fe)、
ΔH(2)=882×103kcal/t(Zn) である。
これらの反応を起こすためには、上記吸熱量に相当する熱量を、外部から加える必要がある。
前述したように、電炉ダスト10を始めとして、炭材、バインダー、水の各原料を混合機に投入し、原料を混合し成型する(図2)。各原料の切り出しから、混合、成型し、成形処理された含炭成型体20を払い出す一連の装置が含炭成型体製造手段(含炭成型単製造装置)11である。
本発明における予熱ステップとは、含炭成型体製造ステップ11で製造された含炭成型体20を加熱することにより、含炭成型体中に含まれる水分を蒸発させ、塩素(Cl)などの揮発性不純物を除去した含炭成型体を排出するまでの一連の工程を指す。含炭成型体は、電炉ダストを原料としているため、塩素などのいろいろな不純物が混入している。特に塩素などの揮発性不純物は、還元処理後の還元処理ガス中に混入し、設備腐食などの原因となるため、還元処理前に取り除く。また、水分も還元処理ガス中に混入すると、気化した亜鉛の再酸化を助長するため、これを取り除く。
こうして、揮発性不純物除去し、加熱され、乾燥された含炭成型体30は、次の還元処理ステップへ移送される。
予熱ステップでは、揮発性不純物や水分除去のための含炭成型体20の予熱・乾燥が目的であるため、特に雰囲気は問わない。したがって、含炭成型体20を加熱できる手段であれば、その態様は問わない。しかし、揮発した塩化亜鉛を冷却し凝集させて回収し、再度原料として使用するため、発生するガスを大気放散させない構造が望ましい。さらに、次工程の還元処理工程へ移送に際し、酸素(大気)の混入を避ける必要があることから、閉空間での処理が好ましい。この観点から、予熱手段22としては内熱式ロータリーキルンを適用することが好ましい。内熱式ロータリーキルンは、ウエルツ法でも適用されているため、含炭成型体のようなペレット状の電炉ダストを加熱することについて実績がある。本発明においては、内熱式ロータリーキルンを用いて含炭成型体を予熱することを例として説明する。
Fe2O3・CaO:溶融点1206℃
FeO・SiO2 :溶融点1180℃
FeO・CaO :溶融点1105℃
また、内熱式ロータリーキルンは、その上流側からキルン内のガスを吸引排出するので、揮発性不純物や水分を含む排ガスを速やかにキルン外に排出することができる。
本発明における還元処理ステップとは、予熱ステップで予熱・乾燥された含炭成型体30を、閉空間内に装入し、加熱することにより含炭成型体中の酸化鉄および酸化亜鉛を還元し、鉄および亜鉛(蒸気)にする一連の工程である。還元処理中に大気(特に酸素)が混入すると、せっかく還元した鉄や亜鉛が再酸化するため、大気の混入を遮断した密閉された閉空間で処理することが重要である。
ZnO + C → Zn(gas) + CO ・・・(式3)
さらに、亜鉛回収ステップのセラミックス・ボール充填層への目詰まり防止のために、アルカリ金属塩もできるだけ除去することが望まれる。
還元処理ステップでは、大気(特に酸素)を遮断した閉空間で加熱し、還元処理を行わなければならない。この制約を具現化できる手段であれば、その態様は特に限定しない。現在、この制約を具現化できる手段として外熱式ロータリーキルン32を適用することができる。
外熱式ロータリーキルン32内の還元処理ガス50は、キルンに接続された配管を経由して、大気に触れることなく次工程の亜鉛回収装置57に導かれる。こうすることにより、気化した亜鉛を再酸化させることなく、亜鉛回収することが可能となる。
本発明におけるCO2改質とは、還元処理ステップで発生した還元処理ガス中のCO2をCOに改質することである。
金属亜鉛蒸気を含む還元処理ガスを冷却する過程で、還元処理ガス中にCO2が存在すると、金属亜鉛蒸気がCO2で酸化され粗酸化亜鉛(ZnO)になり、金属亜鉛の回収ができない。これは、CO/CO2比が低いほど(CO2濃度が高いほど)、亜鉛が金属蒸気として存在できる平衡温度が高くなるからである。
特許文献1には、外熱式ロータリーキルン32に粉状炭材装入装置(粉状炭材を装入する装置)36を設置し、外熱式ロータリーキルン32内に粉状炭材を装入し、それを還元処理ガスに接触させる方法が提案されている。
そこで、さらにCO2改質を進める方策を検討した結果、還元処理ガスと炭材の接触面積を増やせばよいことに着目し、還元処理ステップ(例えば外熱式ロータリーキルン)に装入する粉状炭材を微粉化するとよいことが分かった。特許文献1ではCO2改質用として粒径1mm以下の粉コークスを粉状炭材が装入されているが、さらに微粉化(例えば、粒径100μm以下)することにより、同じ重量の炭材でも、還元処理ガスとの接触面積が増加し、CO2改質が進むことが分かった。微粉化した粉状炭材(微粉状炭材)の平均粒径は100μm以下が好ましく、50μm以下ではさらに好ましく、10μm以下であればなお好ましい。微粉状炭材の種類は特に限定しない。例えばカーボンブラックを適用することができる。カーボンブラックであれば、平均粒径500nm(0.5μm)程度であるからである。この微粉状炭材の装入により、CO2濃度を0.5%から1.0%程度低減し、還元処理ステップ出側での還元処理ガス中のCO2濃度を2.5%以下にすることができる。
しかし、外熱式ロータリーキルンなどの還元処理装置内に粉状炭材や微粉状炭材を装入して還元処理ガスと接触する方法では、接触するガスの量は限定的であるため、還元処理ガス中のCO2濃度をさらに低減させることは難しい。
そこで、CO2改質ステップは、外熱式ロータリーキルンなどによる還元処理ステップではなく、還元処理ガスと炭材をより効率よく接触させて、CO2の改質を進める独立した工程である。還元処理ガスと炭材を効率よく接触させるには、空間における炭材密度を高めるとよい。つまり、ガス流路断面における炭材面積を増やすようにするとよい。
本発明における鉛除去ステップとは、還元処理ステップで発生した還元処理ガス中の鉛(Pb)を回収除去する一連の工程である。鉛除去ステップにおいては、以下に説明するがアルカリ金属塩(特にNaCl、KCl)も除去することができる。
還元処理ステップで発生した還元処理ガスは、980℃〜1150℃であるから、Pb、NaCl、KClは、沸点がそれよりも高いため蒸気ではなく微粒の液滴の形で存在している。そこで、セラミックス・ボールの充填層を通過させることで、セラミックス・ボールの表面に、Pb、NaCl、KClの微粒の液滴を凝集させ、充填層の下部に大粒の液滴として滴下させ回収することで還元処理ガスから分離除去できることを見出した。
本発明における亜鉛回収ステップとは、還元処理ステップで発生した還元処理ガス50から亜鉛を回収する一連の工程である。ガス中の亜鉛の再酸化を抑止するため、還元処理ガスは大気が混入しないように導くことが必要である。
亜鉛回収手段(亜鉛回収装置)は、還元処理ガス中に含まれる亜鉛を分離・回収できる手段であれば、その態様は特に限定されない。例えば、前述したように亜鉛スプラッシュ・コンデンサーを適用してもよい。
亜鉛回収後の還元処理ガスは、亜鉛が分離されているので、主にCO(一部CO2)で構成されている。もちろん、大気放散しても構わないが、燃料としてのCOを有効活用するとよい。例えば、還元処理手段の加熱手段(例えば、外熱式ロータリーキルン32の燃焼バーナー34)の燃料として利用してもよい。また、例えば、予熱装置22の加熱手段の燃料(例えば、内熱式ロータリーキルンの燃焼ガス)として再利用してもよい。もちろん、他の設備での再利用をしてもよい。
予熱ステップにおいて、含炭成型体を加熱・乾燥したのちに発生する排気ガス80中には、前述したように塩化亜鉛や酸化鉄・酸化亜鉛を含んだダストが含まれている。したがって、予熱ステップで発生した排ガス中からこれら成分を分離回収することが望ましい。そのため、例えば、予熱装置(例えば内熱式ロータリーキルン)22から発生した排ガス80を集塵機(バグフィルター)81に通し、塩化亜鉛やダスト84を回収したのち、大気放散するとよい。もちろん排ガスを吸引する送風機82は集塵機の下流に設置するとよい。予熱ステップでの排ガスの用途に応じて、ガス処理方法・設備を適宜選択すればよい。
以下、本発明について試験プラントでの実施例を説明する。
表1に、試験操業で使用した電炉ダストAおよび炭材としての粉コークスの化学成分を示した。数値は質量%を示す。この電炉ダストの粒度分布は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック)にて測定し、D50=1.5μm、同じく粉コークスのD50=36.2μmであった。D50とは、累積粒度分布において細粒からの累積頻度が50%に相当する粒径である。
試験プラント全体概念図を図3(a)に示した。処理能力は含炭成型体50dkg(ドライ状態での重量(Kg)を示す。以下同じ。)/hである。基本的構成は図1の実機設備に近いが、外熱式ロータリーキルンの外熱炉は簡便のため電気加熱式としている。内熱式ロータリーキルンの加熱には熱風発生装置(予熱装置用バーナー)を使用した。また、外熱式ロータリーキルンの排ガスは亜鉛回収装置で冷却した後、排ガス燃焼装置でCOガスを燃焼し無害化してから屋外放出する構造とした。
[内熱式ロータリーキルン]
・ステンレス鋼製:内径500mm×長さ4m
・加熱方式:熱風発生装置
[外熱式ロータリーキルン]
・耐熱鋳鋼製:内径300mm×長さ4m、最高使用温度1150℃
・外熱炉:電気加熱式、全長2m
[含炭成型体供給・排出装置]
・内熱式ロータリーキルンへの供給装置:常温型2重ダンパー
・内熱式ロータリーキルンから外熱式ロータリーキルンへの移送装置:高温型水冷
ロータリーバルブ直列2台
・外熱式ロータリーキルンからの排出装置:常温型2重ダンパー
・外熱式ロータリーキルン33に粉状炭材(微粉状炭材も含む)を装入することができる粉状炭材装入装置36を設置した。さらに、外熱式ロータリーキルンの内面に突起を設置し、キルンの回転により微粉状炭材が内面突起によって上部へ持ち上げられ、そしてキルン内に落下する構造にした。
・鉛除去装置は、耐熱鋳鋼製で180mm×350mmの長方形の断面を持つ縦長の筒状容器の中に、直径5〜10mmのSiCセラミックス・ボールを厚さ400mmとなるよう充填し、耐熱鋳鋼製筒状容器の外部に設置した電気ヒーターにより、充填層中心部の温度が1050℃を維持できるようにした。
・SiCセラミックス・ボールはアルミニウムに近い200W/mkの高熱伝導率を持つものを採用し、長方形の断面の長辺側を加熱することで充填層中心部の温度維持がしやすい構造とした。なお、鉛回収装置とCO2改質装置は、外熱式ロータリーキルン後の還元処理ガスライン中に取り外し可能になるよう設置した。
・CO2改質装置は、耐熱鋳鋼製で180mm×350mmの長方形の断面を持つ縦長の筒状容器と、その中に直径5〜10mmの人造黒鉛ペレットを厚さ600mmとなるように充填した。耐熱鋳鋼製筒状容器の外部に設置した電気ヒーターにより、充填層中心部の温度を1050℃〜1150℃の間で制御できる構造とした。人造黒鉛ペレットはアルミニウム以上の250W/mkの高熱伝導率を持つものを採用し、長方形の断面の長辺側を加熱することで充填層中心部の温度維持がしやすい構造にした。
・亜鉛回収装置は、正方形断面をもつ縦長の筒状容器であって、鋼板製の外壁と内壁の2重構造になっている。内壁の内側には、20mm厚の断熱材と80mm厚のキャスタブルがこの順に配置されている。また、外壁と内壁とは50mm離れており、それらの間には窒素を流し、還元処理ガス中に空気が混入しないようにした。還元処理ガスが流れる部分は、一辺250mmの正方形断面にした。
・亜鉛回収装置の上部に、冷却チューブとして、内部を水冷した外径30mm、内径20mmのSiCパイプ(SiC:99%)を千鳥状に25本配置した。パイプ上部にパイプと密着するように底辺を切削したSiCの三角柱(長さ25cm)を乗せることで、パイプ上への金属亜鉛の堆積を防止した。
・SiCパイプの加熱冷却に伴う膨張収縮を吸収し、外気を遮断するため、SiCパイプの取り付け部にOリングを設置した。
・図5に示すように、亜鉛回収装置57の冷却チューブ65の下流側(下部)に、SiCセラミックス・ボールを充填した。SiCセラミックス・ボールは直径5〜10mmであり、亜鉛回収装置の断面(250mm四方の断面)に厚さ400mmとなるよう、SiCセラミックス・ボールを充填した。
・さらに、外熱式ロータリーキルンから亜鉛回収装置までの配管の内面には、カーボン・デポジション対策として、耐熱塗料を塗布した。また、亜鉛回収装置の内壁の内側面はキャスタブルでライニングしているが、念のため、内壁の内側面にも耐熱塗料を塗布した。
以下の手順により試験を行った。
(1)内熱式ロータリーキルン22の熱風発生装置24を作動させたのち、内熱式ロータリーキルン22内に装入装置(2重ダンパー)21を経由して、前述した方法により製造した含炭成型体20を50dkg/hの速度で装入した。含炭成型体が予熱・乾燥されて内熱式ロータリーキルン22から排出されるときの温度が900℃となるように熱風発生装置24の燃料燃焼量と内熱式ロータリーキルンの回転数を制御した。
COガスとCO2ガスおよび鉛・アルカリ金属塩微粒液滴が発生する。この排ガス50を
排気ブロア62で吸引し、SiC製水冷パイプとSiCペレット充填層66からなる蒸気亜鉛回収装置57に通した。まずSiC製水冷パイプによって蒸気亜鉛を凝縮させ亜鉛液滴微粒子とし、次いでSiCペレット充填層を通すことによって微粒子を凝集させて雨粒大の亜鉛液滴として滴下させ、亜鉛回収装置下に設置した溶融亜鉛溜59に貯留した。亜鉛液滴の温度が500℃以上を維持するようSiC水冷パイプ中の水量を調節した。貯留した溶融亜鉛は定期的に鋳型に流し込んで回収した。
GROSS金属化率=(還元後のM・Fe(重量%))/(還元後のT・Fe(重量%)) ・・・(式5)
NET金属化率 ={[(還元後のM・Fe(重量%)×還元後の含炭成形体の全重量)−(還元前のM・Fe(重量%)×還元前の含炭成形体の全重量)]/(還元後の全重量)}/(還元後のT・Fe(重量%)) ・・・(式6)
実施例1と同様の試験装置において、外熱式ロータリーキルン32で発生した還元処理ガス中の鉛やアルカリ金属塩の微粒液滴を除去するため、図3(b)に示すように亜鉛回収装置57の前に鉛除去装置51を設置した。この鉛除去装置に還元処理ガスを通すことにより、SiCセラミックス・ボール充填層で凝集され滴下した溶融鉛と溶融アルカリ金属塩は装置下に設置された回収装置58に貯留し、定期的に鋳型に流し込んで回収した。
実施例2と同様の試験装置において、還元処理ガス中のCO2をCOに改質するため、鉛除去装置51と亜鉛回収装置57の間に図3(C)に示すようにCO2改質装置54を設置した。充填した人造黒鉛ペレットは32.620kgで、還元試験前後で重量を測定し、還元試験でCO2との反応によって消費された人造黒鉛ペレットの量を把握した。
還元試験は2水準ともに処理時間を6時間としたが、試験前後での人造黒鉛ペレットのCO2との反応による重量減少量は、それぞれ305g、610gであった。
鉄スクラップ予熱装置を備えた電気炉で発生する、高濃度の亜鉛を含有するものの鉄分濃度の低い電炉ダストを対象に、含炭成型体のFe濃度が還元処理後のDRI強度に及ぼす影響を知るための試験を実施した。まず、目標Fe濃度を10〜25%の間で変化させて製造した含炭成型体を製造し、次いで、実施例2の図3(b)で示した試験装置を用いて還元試験を実施した。試験に用いた電炉ダストB、鉄分供給用の転炉ダストおよび粉コークスの分析値を表9に示した。電炉ダストBのD50平均粒径は4.4μm、転炉ダストのD50平均粒径は6.9μm、粉コークスのD50平均粒径は44.9μmであった。
ISP法では主原料の亜鉛精鉱とウエルツキルン法で回収した粗酸化亜鉛(ZnO)を溶剤とともに所定割合で混合・造粒し、焼結機で脱硫・焼結して焼結鉱とした上で溶鉱炉に装入して、最終的に金属亜鉛として回収している。粗酸化亜鉛と亜鉛精鉱を酸化焙焼した亜鉛精鉱焙焼品の分析値を表11に示す。いずれも高濃度の亜鉛を含有するものの鉄分濃度が10%程度以下と低く、実施例4で示した鉄スクラップ予熱装置を備えた電気炉で発生する電炉ダストBに類似した性状である。そこで、実施例4と同様、目標Fe濃度を15〜25%に増加させた含炭成型体を製造し、次いで、実施例2の図3(b)で示した試験装置を用いて還元試験を実施した。粗酸化亜鉛のD50平均粒径は5.5μm、亜鉛精鉱焙焼品のD50平均粒径は9.4μmであった。鉄分供給用の転炉ダストおよび粉コークスは実施例4と同じものである。
いずれもFe含有量が15重量%以上、望ましくは20%以上となるように酸化鉄を含有させることで、図3(b)で示した試験装置による還元試験で健全なDRIが得られることが判明した。
11 含炭成型体製造装置(手段)
20 含炭成型体
21 装入装置
22 予熱装置(内熱式ロータリーキルン)
23 排出装置
24 予熱装置用バーナー(熱風発生装置)
30 予熱・乾燥した含炭成型体
31 装入装置
32 還元処理装置(外熱式ロータリーキルン)
33 還元処理装置の加熱装置
34 燃焼バーナー
35 排出装置
36 粉状炭材装入装置
40 還元鉄
50 還元処理ガス
51 鉛除去装置
53 炭材ペレット(供給側)
54 CO2改質装置
55 炭材ペレット(排出側)
57 亜鉛回収装置
58 鉛およびアルカリ金属塩の回収品
59 亜鉛回収品
60 熱交換器
61 集塵機
62 送風機
63 ガスホルダー
64 排ガス燃焼装置
65 冷却チューブ
66 セラミックス・ペレット充填層
70 加熱装置排ガス
80 予熱装置排ガス
81 集塵機
82 送風機
83 煙突
84 ダスト(リサイクル)
Claims (19)
- 酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダスト、炭材、バインダーおよび水を混合し成型して含炭成型体を製造する含炭成型体製造ステップと、
前記含炭成型体を加熱し、乾燥させる予熱ステップと、
前記予熱ステップで乾燥し加熱した含炭成型体を、閉空間内でさらに加熱して酸化鉄を還元し還元鉄にする還元処理ステップと、
前記還元処理ステップにて発生した還元処理ガスから鉛を回収除去する鉛除去ステップと、
前記鉛除去ステップを経た還元処理ガスから亜鉛を回収する亜鉛回収ステップを有することを特徴とする電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。 - 前記鉛除去ステップが、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱した炭化珪素製セラミックス・ボールと前記還元処理ガスを接触させることを特徴とする請求項1に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記鉛除去ステップと前記亜鉛回収ステップの間に、前記還元処理ガス中のCO2をCOに改質するCO2改質ステップを有することを特徴とする請求項1または2に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記CO2改質処理ステップにおいて、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱したペレット状の炭材と前記還元処理ガスを接触させることを特徴とする請求項3に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記還元処理ステップにおいて、平均粒径10μm以下の微粉状炭材を前記閉空間内に装入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記含炭成型体製造ステップにおいて、さらに酸化鉄を混合し、含炭成型体中のFe含有量が15重量%以上にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記予熱ステップでの含炭成型体の加熱温度が770℃以上907℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記還元処理ステップでの含炭成型体の加熱温度が980℃以上1150℃以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記予熱ステップを内熱式ロータリーキルンで処理し、前記還元処理ステップを外熱式ロータリーキルンで処理することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 前記亜鉛回収ステップにおいて、内部を冷却した炭化珪素製チューブと還元処理ガスを接触させた後、さらに炭化珪素製ペレットと還元処理ガスを接触させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収方法。
- 酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダストから鉄および亜鉛を回収する装置において、
酸化鉄と酸化亜鉛を含む電炉ダスト、炭材、バインダーおよび水を混合し成型して含炭成型体を製造する含炭成型体製造手段と、
前記含炭成型体を加熱し乾燥させる予熱手段と、
前記予熱手段で乾燥し加熱した含炭成型体を、さらに加熱して還元鉄を製造する還元処理手段と、
前記還元処理手段にて発生した還元処理ガスから鉛を回収除去する鉛除去手段と、
前記鉛除去手段を通った還元処理ガスから亜鉛を回収する亜鉛回収手段を有することを特徴とする電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。 - 前記鉛除去手段が、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱した炭化珪素製セラミックス・ボールと前記還元処理ガスを接触させ、鉛を凝集させて分離回収する鉛除去装置を有することを特徴とする請求項11に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記鉛除去手段と前記亜鉛回収手段の間に、前記還元処理ガス中のCO2をCOに改質するCO2改質手段を有することを特徴とする請求項12に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記CO2改質処理手段が、前記還元処理ガスの温度以上の温度に加熱したペレット状の炭材と前記還元処理ガスを接触させ、CO2をCOに改質するCO2改質装置を有することを特徴とする請求項13に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記還元処理手段に、平均粒径10μm以下の微粉状炭材装入手段を有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記予熱手段が内熱式ロータリーキルンであり、前記還元処理手段が外熱式ロータリーキルンであることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記亜鉛回収手段において亜鉛を回収した後の還元処理ガスを前記還元処理手段の加熱用燃料にするための還元処理ガス再利用手段を有することを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記亜鉛回収手段が、内部を冷却した炭化珪素製チューブにより還元処理ガスを冷却し、亜鉛を凝縮させて分離回収する亜鉛凝縮器を有することを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
- 前記亜鉛凝縮器において、炭化珪素製チューブの下流側に炭化珪素製ペレットを配置して、さらに亜鉛を凝縮させて分離回収することを特徴とする請求項18に記載の電炉ダストからの鉄および亜鉛の回収装置。
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