JP2020164381A - カーボンナノチューブ線材 - Google Patents

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【課題】高い導電性を有するカーボンナノチューブ線材を提供すること。【解決手段】複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数を有するカーボンナノチューブ線材であって、カーボンナノチューブ集合体の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、カーボンナノチューブ集合体内においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上である、カーボンナノチューブ線材【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ線材に関するものである。
カーボンナノチューブは、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。
例えば、カーボンナノチューブは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、または略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、熱伝導性、機械的強度等の諸特性に優れる。しかし、カーボンナノチューブを線材化することは容易ではなく、カーボンナノチューブを線材として利用している技術は少ない。
カーボンナノチューブは理論的には、銅などの金属と同等の導電性を発揮することが可能であり、その実現のために様々な試みが行われている。特許文献1は、ドーピングを行うことでカイラリティを制御し、導電性を向上させたカーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ線材を開示する。
また、特許文献2で示されるように、カーボンナノチューブの結晶性を制御することで導電性を向上させることが検討されている。例えば、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体を多数含む、カーボンナノチューブ線材を用意し、該カーボンナノチューブ線材のサンプルにレーザーを照射することで得られる共鳴ラマン散乱スペクトルにおいて、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度はGバンド、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度はDバンドと呼ばれている。このGバンドはカーボンナノチューブのグラファイト構造に由来するピークであり、Dバンドはアモルファスカーボンやカーボンナノチューブの格子欠陥に由来するピークとされている。つまり、G/D比は、高い結晶性を有するカーボンナノチューブ線材の指標であり、この指標が高くなるようにカーボンナノチューブを制御して、カーボンナノチューブの導電性を向上させることが検討されている。
特表2014−517797号公報 特開2018−133296号公報
特許文献1のカーボンナノチューブではカイラリティに着目しているが、カイラリティの制御だけでは導電性の向上に限界があった。また、特許文献2に代表されるG/D比を高くする方法で結晶性を向上させたとしても、カーボンナノチューブの結晶性の向上度合いに比例してカーボンナノチューブ線材の導電性が向上するわけではなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブ集合体を多数含むカーボンナノチューブ線材(バルク状のカーボンナノチューブ)としてのG/D比ではなく、各々のカーボンナノチューブ集合体のレベルでG/D比が高い領域が長くなるように制御することで該カーボンナノチューブ集合体の導電性を高くできること、および、該カーボンナノチューブ集合体を有するカーボンナノチューブ線材全体の導電性も向上でき
ることを発見したことに基づく。すなわち、本発明は、高い導電性を有するカーボンナノチューブ線材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の各実施態様を有する。
[1]複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数を有するカーボンナノチューブ線材であって、
前記カーボンナノチューブ集合体の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、前記カーボンナノチューブ集合体内においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上である、カーボンナノチューブ線材。
[2]前記カーボンナノチューブ線材は、複数の前記カーボンナノチューブ集合体を有し、
各々の前記カーボンナノチューブ集合体の長さは、前記カーボンナノチューブ集合体の平均長さの0.65〜1.35倍である、上記[1]に記載のカーボンナノチューブ線材。
[3]前記カーボンナノチューブ線材は、複数の前記カーボンナノチューブ集合体を有し、
前記カーボンナノチューブ集合体の平均長さは1.5μm以上である、上記[1]または[2]に記載のカーボンナノチューブ線材。
[4]前記G/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが1.0μm以上である、上記[1]から[3]までの何れか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
高い導電性を有するカーボンナノチューブ線材を提供することができる。
一実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の説明図である。 一実施形態に係るカーボンナノチューブ被覆電線の説明図である。
1.カーボンナノチューブ線材
以下に、一実施形態に係るカーボンナノチューブ線材について説明する。
一実施形態のカーボンナノチューブ線材は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数を有する。また、カーボンナノチューブ集合体の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、カーボンナノチューブ集合体内においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上である。本実施形態では、GおよびDは、複数のカーボンナノチューブ集合体からなるバルク状のカーボンナノチューブではなく、カーボンナノチューブ集合体単体の共鳴ラマン散乱測定によるスペクトルにおいて特定される。すなわち、Gはカーボンナノチューブ集合体単体のスペクトルにおける1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度を表し、Dは1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度を表す。共鳴ラマン散乱によるスペクトル測定は、従来のバルク状のカーボンナノチューブの測定とは異なり、カーボンナノチューブ集合体が凝集していない状態でカーボンナノチューブ集合体単独のG/D比の測定を行う。例えば、カーボンナノチューブ集合体の分散液を調製し、該分散液を測定用の基板上に滴下
した後、カーボンナノチューブ集合体が分散状態を保った状態で測定を行う。この測定では、AFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)測定とラマン分光測定を同時に行うことでカーボンナノチューブ集合体のマッピングを行う。この測定法では、20本のカーボンナノチューブ集合体のそれぞれについて200nmごとにG/D比を測定、算出する。より具体的には、単一のカーボンナノチューブ集合体について200nmごとにG/D比をそれぞれ測定し、G/D比を算出する。そして、20本のカーボンナノチューブ集合体について得られたG/D比の中で最大値を示すものを特定する。次いで、20本のカーボンナノチューブ集合体について200nmごとに測定されたG/D比の中で最大値の20〜100%の範囲内の値を連続的に示す領域の長さを算出する。本実施形態では、このようにして算出されたG/D比の最大値の20〜100%の範囲内の値を連続的に示す領域の長さが、20本の全てのカーボンナノチューブ集合体について0.8μm以上となっている。
本実施形態では、バルク状のカーボンナノチューブではなく、カーボンナノチューブ集合体単独において、G/D比の最大値の20〜100%の範囲内の値を連続的に示す領域の長さが、0.8μm以上となっている。従って、各々のカーボンナノチューブ集合体において結晶欠陥が少なく結晶性が高い領域が0.8μm以上と長くなっているため、高い導電性を示す導電パスをカーボンナノチューブ集合体内に設けることができる。その結果、カーボンナノチューブ線材全体の導電性も高くすることができる。
カーボンナノチューブ集合体におけるG/D比の最大値は特に限定はないが、20以上が好ましい。カーボンナノチューブ集合体におけるG/D比の最小値は、1以上が好ましい。G/D比の最小値が上記範囲の場合、各々のカーボンナノチューブ集合体は高い結晶性を有する領域を有することができる。また、G/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上であることにより、カーボンナノチューブ集合体、および該カーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ線材の導電性を向上させることができる。各々のカーボンナノチューブ集合体において、G/D比の最大値の30〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上であることが好ましくい。さらに、各々のカーボンナノチューブ集合体においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが1.0μm以上であることが好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、1.4μm以上であることがさらに好ましい。G/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さがこれらの範囲内であることによって、カーボンナノチューブ線材はより優れた導電性を有することができる。
カーボンナノチューブ線材は複数のカーボンナノチューブ集合体を有し、各々のカーボンナノチューブ集合体の長さは、カーボンナノチューブ集合体の平均長さの0.65〜1.35倍であることが好ましく、0.70〜1.3倍であることがより好ましい。各々のカーボンナノチューブ集合体の長さは、カーボンナノチューブ集合体の平均長さに対して上記範囲内であることにより、各々のカーボンナノチューブ集合体内の導電パスの長さが所定範囲内となるため、カーボンナノチューブ線材は安定して高い導電性を達成することができる。また、カーボンナノチューブ線材は複数のカーボンナノチューブ集合体を有し、カーボンナノチューブ集合体の平均長さは、1.5μm以上であることが好ましい。カーボンナノチューブ集合体の平均長さが上記範囲内であることにより、カーボンナノチューブ集合体内の導電パスが長くなり、カーボンナノチューブ線材はより優れた導電性を有することができる。
図1は一実施形態のカーボンナノチューブ線材を表す説明図である。図1に示すように、カーボンナノチューブ線材10は、1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブ11a,11a,・・・で構成されるカーボンナノチューブ集合体11の単数から、
または複数が束ねられて形成されている。図1では、カーボンナノチューブ線材10は、カーボンナノチューブ集合体11が、複数、束ねられた構成となっている。カーボンナノチューブ集合体11の長手方向が、カーボンナノチューブ線材10の長手方向を形成している。従って、カーボンナノチューブ集合体11は、線状となっている。カーボンナノチューブ線材10における複数のカーボンナノチューブ集合体11,11,・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、カーボンナノチューブ線材10における複数のカーボンナノチューブ集合体11,11,・・・は、配向している。素線であるカーボンナノチューブ線材10の円相当直径は、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上4.0mm以下である。また、撚り線としたカーボンナノチューブ線材10の円相当直径は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上15mm以下である。
カーボンナノチューブ集合体11は、1層以上の層構造を有するカーボンナノチューブ11aの束である。カーボンナノチューブ11aの長手方向が、カーボンナノチューブ集合体11の長手方向を形成している。カーボンナノチューブ集合体11における複数のカーボンナノチューブ11a,11a、・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、カーボンナノチューブ集合体11における複数のカーボンナノチューブ11a,11a、・・・は、配向している。カーボンナノチューブ集合体11の円相当直径は、例えば、20nm以上1000nm以下であり、より典型的には、20nm以上80nm以下である。カーボンナノチューブ11aの最外層の幅寸法は、例えば、1.0nm以上5.0nm以下である。
カーボンナノチューブ集合体11を構成するカーボンナノチューブ11aは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれ、SWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。図1では、便宜上、2層構造を有する
カーボンナノチューブ11aのみを記載しているが、カーボンナノチューブ集合体11には、3層構造以上の層構造を有するカーボンナノチューブや単層構造の層構造を有するカーボンナノチューブも含まれていてもよく、3層構造以上の層構造を有するCNTまたは単層構造の層構造を有するカーボンナノチューブから形成されていてもよい。
2層構造を有するカーボンナノチューブ11aでは、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体T1、T2が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。
また、他の実施形態では、複数のカーボンナノチューブ線材(素線)を撚りあわせて撚り線の形態としてもよい。カーボンナノチューブの作製法は特に限定されないが、浮遊触媒法(特許第5819888号公報)や、基板法(特許第5590603号公報)などの公知の手法で作製することができる。
上記のように、一実施形態のカーボンナノチューブ線材は素線であっても撚り線であってもよく、素線または撚り線の外周面上にさらに絶縁被覆層を有していてもよい。図2は、カーボンナノチューブ線材の撚り線の外周面上にさらに絶縁被覆層を有する、カーボンナノチューブ被覆電線12の例を表す図である。図2に示すように、複数のカーボンナノチューブ線材10から撚り線14が構成されている。また、カーボンナノチューブ線材10の長手方向に沿って撚り線14の外周面全体が、絶縁被覆層21で被覆されている。絶縁被覆層21の材料としては絶縁特性を有するものであれば特に限定されないが例えば、熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂等
を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。
2.カーボンナノチューブ線材の製造方法
カーボンナノチューブ線材(素線)の製造方法は特に限定されないが、適宜、所望の製造方法を選択することができる。例えば、乾式紡糸法(特許第5819888号公報、特許第5990202号公報、特許第5350635号公報)、湿式紡糸法(特許第5135620号公報、特許第5131571号公報、特許第5288359号公報)、液晶紡糸法等の公知の方法により、カーボンナノチューブ線材(素線)を作製することができる。例えば、湿式紡糸法では特定の溶媒中にカーボンナノチューブを添加して分散液を得た後、押出成形器などにより該分散液を凝固液中に押し出すことによって、カーボンナノチューブ線材(素線)を得ることができる。また、撚り線の形態のカーボンナノチューブ線材を得る場合は、撚り器によってカーボンナノチューブ線材(素線)を撚ることによって得ることができる。
(実施例1)
まず、炭素源をトルエンとし、チオフェンとフェロセンをトルエンに対してモル比で3%含む混合液を調製し、該混合液を用いて炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブの合成を行なった。この際、炉内の反応温度は850℃、炉長は800mmとした。回収したカーボンナノチューブを500℃の大気下で20分熱処理を行ない、カーボンナノチューブ集合体を得た。このカーボンナノチューブ集合体10mgを、0.1質量%
コール酸ナトリウム水溶液中に超音波処理で分散させることで分散液を調製し、該分散液を測定用の基板である金基板上に滴下した後、カーボンナノチューブ集合体が分散状体を保った状態で測定を行った。ここでは、走査周波数1.0Hzの条件に設定したAFM(原子間力顕微鏡)ラマン測定を行い、繊維状の構造が見られたものをカーボンナノチューブ集合体として特定し、20本のカーボンナノチューブ集合体のそれぞれについて共鳴ラマン散乱によるスペクトル測定を得た。測定装置としては、AFM−Raman XploRA nano(株式会社堀場製作所製)を使用した。この測定法では、20本のカーボンナノチューブ集合体のそれぞれについて200nmごとにG/D比の測定を行った。そして、20本のカーボンナノチューブ集合体の中で最も大きいG/D比および最も小さいG/D比を示すものをそれぞれ、G/D比の最大値および最小値として特定した。G/D比の最大値および最小値はそれぞれ、1.2および20であった。次に、該G/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を連続的に示す領域の長さを特定した結果、1.6μmであった。また、AFM像よりカーボンナノチューブ集合体の長さを測定することにより、カーボンナノチューブ集合体の平均長さ、および各々のカーボンナノチューブ集合体の長さを測定し平均長さの何倍であるか、を算出した。この結果、カーボンナノチューブ集合体の平均長さは3.2μmであり、各々のカーボンナノチューブ集合体の長さはカーボンナノチューブ集合体の平均長さの0.69〜1.31倍であった。
次に、上記のようにして得られたカーボンナノチューブ集合体を含む分散液を調製した後、該分散液を押出成形器に投入し、次いで凝固液中に押し出すことにより、円相当径が0.05mmのカーボンナノチューブ線材を作製した。このようにして作製したカーボンナノチューブ線材を10本、撚り器により撚りあわせて、撚り数500T/m、撚り線密度0.5g/cmの撚り線とした。
(実施例2)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度は1000℃、炉長は600mmとした。回収したカーボンナノチューブを500℃の大気下で20分、熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
(実施例3)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度は900℃、炉長は800mmとした。回収したカーボンナノチューブを400℃の大気下で20分、熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
(実施例4)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度は1350℃、炉長は600mmとした。回収したカーボンナノチューブを600℃の大気下で40分、熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
(実施例5)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度は1000℃、炉長は600mmとした。回収したカーボンナノチューブを600℃の大気下で30分、熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
(実施例6)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度は1100℃、炉長は900mmとした。回収したカーボンナノチューブを500℃の大気下で20分、熱処理を行なった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
(比較例1)
炉内で浮遊触媒CVD法によりカーボンナノチューブを作成する際の反応温度を1400℃、炉長を600mmとしてカーボンナノチューブを合成し、熱処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして撚り線を作製した。
<評価>
上記のようにして作製した各例のカーボンナノチューブ線材について体積抵抗率を測定した。ソースメータ(ケースレー2400(Keithley社製))を用いて、電流0.1mAを流したときの抵抗値を計測した。この値を用いてカーボンナノチューブ線材の体積抵抗率を算出した。この際、サンプルはカーボンナノチューブ線材1mを切り出し、10cm間隔ずつ、10カ所計測しその平均値を用いた。体積抵抗率を算出するための断面積は測定に用いた1mの線材を10等分してそれぞれの断面積をマイクロスコープ(VHX−7000、キーエンス社製)で計測し、その平均値を用いた。
各例で作製したカーボンナノチューブ集合体のG/D比に関する特性、および体積抵抗率を下記表1に示す。なお、下記表1の体積抵抗率欄では体積抵抗率が5×10−5Ω・cm以下の場合を「○」、体積抵抗率が5×10−5Ω・cm超1×10−4Ω・cm以下の場合を「△」、体積抵抗率が1×10−4Ω・cm超えの場合を「×」として評価した。
表1の結果より、カーボンナノチューブ集合体の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、カーボンナノチューブ集合体内においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上である、カーボンナノチューブ線材の体積抵抗率を小さくできることが分かる。
10 カーボンナノチューブ線材
11 カーボンナノチューブ集合体
11a カーボンナノチューブ
12 カーボンナノチューブ被覆電線
14 撚り線
21 絶縁被覆層

Claims (4)

  1. 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数を有するカーボンナノチューブ線材であって、
    前記カーボンナノチューブ集合体の共鳴ラマン散乱測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、前記カーボンナノチューブ集合体内においてG/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが0.8μm以上である、カーボンナノチューブ線材。
  2. 前記カーボンナノチューブ線材は、複数の前記カーボンナノチューブ集合体を有し、
    各々の前記カーボンナノチューブ集合体の長さは、前記カーボンナノチューブ集合体の平均長さの0.65〜1.35倍である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ線材。
  3. 前記カーボンナノチューブ線材は、複数の前記カーボンナノチューブ集合体を有し、
    前記カーボンナノチューブ集合体の平均長さは1.5μm以上である、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ線材。
  4. 前記G/D比の最大値の20〜100%の値のG/D比を示す領域の長さが1.0μm以上である、請求項1から3までの何れか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
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