ところで,ソーシャルゲームにおける抽選は,アイテムごとに設定された出現確率を予めユーザに提示した上で,その抽選確率に基づいて公正かつ厳正に実施される。しかしながら,抽選処理がゲームサーバの内部で行われることから,抽選結果によっては,出現するアイテムの納得性がユーザにとって低くなる場合がある。すなわち,希少価値の高いアイテムほど出現確率が低く設定されているため,ユーザの所望するアイテムが少ない抽選回数で出現する場合もあれば,抽選を何度繰り返しても出現しない場合もあり得る。前者の場合はユーザの納得性は高くなるが,後者の場合はユーザの納得性が低くなる。
この点,特許文献1に記載の抽選機能は,カプセルトイマシンの回転レバーをユーザの操作によって回転させたり,カプセルトイマシンからカプセルが払い出される画面演出を行っている。このような演出は,抽選処理の一部にユーザの操作を介入させて,現実のカプセルトイマシンを模した画面演出を行うことで,ユーザの納得性の低下を抑えることを目的とした施策の一つであると考えられる。しかしながら,このような演出を行っても,抽選処理がゲームサーバの内部処理に依存していることに変わりはなく,アイテムの出現確率以外にサーバで実施されている内部処理の具体的な内容をユーザが知ることは不可能であることから,ユーザの納得性の低下抑制効果は限定的なものとなっていた。
そこで,本発明は,ユーザの納得性を高めることのできる抽選ゲームを提供することを目的とする。
本発明の発明者は,従来発明が抱える課題を解決する手段について鋭意検討した結果,払出し装置の中に収納された複数の景品の位置をユーザのアクション操作によって変化させて,その景品の位置をユーザに提示することで,抽選結果に対するユーザの納得性を高めることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば従来発明の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
本発明の第1の側面は,抽選ゲームシステムに関する。本発明に係る抽選ゲームシステムは,互いに通信回線を通じて接続されたユーザ端末とゲームサーバを備える。抽選ゲームシステムは,描画部,表示部,入力部,及び演算部を備える。描画部は,2次元又は3次元のゲーム空間内に,払出し装置のモデルと,当該払出し装置の中に収納された複数の景品のモデルとを描画する。景品の種類は特に限定されず,カプセルに格納されたアイテムであってもよいし,アイテム単体であってもよい。景品の形状も特に限定されず,球体状や,アイテムそのものの形状,あるいはカード形状であってもよい。表示部は,払出し装置モデルと景品モデルを表示する。入力部は,ユーザによるアクション操作が入力される。演算部は,ユーザのアクション操作に応じて,払出し装置内における景品モデルの位置を少なくとも部分的に変化させる演算を行う。ユーザ端末のアクション操作には,例えば,払出し装置モデルをタップする操作や,ユーザ端末をシェイクする操作,ゲーム内のオブジェクトを利用して払出し装置モデルに衝撃を与える操作,あるいは払出し装置内の景品モデルの位置を直接変化させる操作(例えば装置内の景品モデルを摘んで位置を替える操作や,装置内に風や水などの媒体を送り込む操作)など,種々の操作が含まれる。アクション操作は,自由に何度も行えるものであってもよいし,回数制限が設けられていてもよい。なお,表示部と入力部は,その性質上,ユーザ端末に備わった機能となる。他方で,描画部と演算部は,ユーザ端末に備わった機能であってもよいし,ゲームサーバに備わった機能であってもよい。例えば,ゲームサーバからユーザ端末に各モデルのデータのみを提供し,ユーザ端末において,各モデルの描画処理や表示処理や,アクション操作の入力受付処理,さらには景品モデルの位置を変化させる演算処理が行われることとしてもよい。あるいは,ユーザ端末で各モデルの表示処理やアクション操作の入力受付処理が行われ,ゲームサーバにおいて各モデルの描画処理や景品モデルの位置を変化させる演算処理が行われることとしてもよい。
一般的な払出し装置モデルでは,排出口から近い順に景品モデルが払い出されることになるが,上記構成のように,払出し装置の収納空間内における景品モデルの位置をユーザがある程度自由に変化させることができるようにすることで,その払出し装置による抽選結果について,ユーザの納得性を高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,演算部は,景品のモデルの物理特性に基づいた物理演算(物理シミュレーション)を行うことが好ましい。物理演算に基づいて払出し装置内における景品モデルの位置を変化させることで,現実世界で起こる物理現象に近似した景品モデルの運動をユーザに提示することができる。このように,従来はユーザが認識することのできなかったゲームサーバ内あるいはゲーム端末内の内部処理を,ユーザにも理解可能な物理演算に置き換えることで,抽選結果に対するユーザの納得性をさらに高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,景品はカプセル内に収納されたアイテムであってもよい。この場合,アイテムのモデル少なくとも一部がカプセルのモデルを透過して表示部に表示されることが好ましい。このように,カプセル越しにアイテムが部分的に視認できるようにすることで,払出し装置から払い出される景品の順番を推測しやすくなる。また,アイテム全体をユーザに視認させるのではなく,あえてアイテムの一部のみを視認させることで,アイテム入手の期待感や,抽選処理のゲーム性を高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,景品のモデルは,カプセルのモデルとアイテムのモデルを含むこととしてもよい。このように,カプセルとアイテムを別々にモデリングすることで,アイテムがカプセルの中で向きを変えたり移動したりすることとなる。その場合,カプセル越しに見えるアイテムの部位が変化するようになるため,抽選処理のゲーム性をさらに高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,アクション操作は,払出し装置のモデルに衝撃を与えるものであってもよい。この場合,演算部は,衝撃によって景品のモデルに与えられた運動量(運動ベクトル)に基づいて,景品のモデルの位置を少なくとも部分的に変化させる演算を行うことが好ましい。このように,払出し装置のモデルに衝撃を与えるアクション操作を採用することで,現実の払出し装置を実際に叩いているかのようなリアリティさをユーザに提供することができる。そのような行為は現実では禁じられているが,ゲーム空間内の払出し装置モデルに対してであれば許容される。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,入力部は,表示部の表示画面上におけるユーザのタッチ位置を特定するタッチパネルを含むものであってもよい。この場合,演算部は,タッチ位置が払出し装置のモデルと重なったときに,当該払出し装置のモデルに衝撃を与えられたと判断することとしてもよい。このように,タッチパネルを利用してユーザの指と払出し装置モデルとの当たり判定を行うことで,あたかもユーザが払出し装置モデルに直接触っているかのような演出を行うことができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,入力部は,ユーザ端末の向き及び加速度の少なくともいずれか一方の変化量を検知するセンサを含むものであってもよい。この場合,演算部は,上記の変化量に基づいて景品のモデルに与えられた運動量を算出することとしてもよい。これにより,ユーザがユーザ端末を振ったときに,それにつられてユーザ端末に表示されている景品モデルが離散されるような演出を行うことができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムは,アクション操作に応じて所定のゲームを実行するゲーム制御部をさらに含むこととしてもよい。この場合,演算部は,ゲーム内で払出し装置のモデルに与えられた衝撃に基づいて景品のモデルに与えられる運動量を算出することとしてもよい。ゲーム空間内のオブジェクトが払出し装置モデルに当たったり攻撃したりするようなゲーム,例えば,ボール当てゲーム,ピンボールゲーム,射撃ゲーム,ゴルフゲーム,格闘ゲームなどの種々のゲームを実行できる。これにより,景品抽選処理のゲーム性を高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,複数の景品のモデルには,アクション操作に応じて払出し装置内の位置が変化しないものが存在していてもよい。例えば,次に払い出される所定個数(例えば1〜5個程度)の景品モデルについては,アクション操作が入力されてもその払出し順序が変更されないこととしてもよい。次に払い出される景品モデルについてまで払出し装置モデル内の位置を変更できるようにしてしまうと,ユーザが自身の希望する景品モデルが次に払い出される位置に到達するまでアクション操作を繰り返し入力するようになり,抽選機能の意義が失われてしまう恐れがある。これでは,ユーザによる課金回数の減少を招く可能性がある。そこで,次に払い出される所定個数については払出し装置モデル内の位置を変更できないこととし,それ以外の景品モデルの位置を変更可能とすることで,ユーザの課金回数の減少を抑えつつ,当該ユーザに対して納得性を与えることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,描画部は,払出し装置のモデル中に,景品のモデルの運動に影響を与える障害物のモデルをさらに描画することとしてもよい。障害物の例としては,仕切り板や凹凸,板バネ,スプリング,ピストン,扇風機,粘着物,磁石など種々のものが考えられるが,これらに限定されない。このような障害物を払出し装置の内部に配置することで,景品抽選処理のゲーム性を高めることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,払出し装置のモデルは,その中に収納された景品のモデルが透過して表示部に表示される部分と,景品のモデルが表示されない部分とを含むことしてもよい。このように,払出し装置の内部の景品を全て公開するのではなく,部分的に非公開とすることで,ユーザの興味を惹きつけることができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,景品は,カプセル内に収納されたアイテムであり,カプセルのモデルには,物理特性の異なるものが含まれることとしてもよい。例えば,カプセルによって重量や空気抵抗,弾力,摩擦係数などが異なっていてもよいし,障害物による影響(例えば磁石に吸着するか否かなど)が異なっていてもよい。これにより,例えばレアアイテムは空気抵抗の高いカプセルに収納して払出し装置モデルの下方に落ちにくくするなど,アイテムごとに入手の難易度を調整することができる。
本発明に係る抽選ゲームシステムにおいて,景品は,カプセル内に収納されたアイテムであり,アイテムのモデルは,アイテムの種類ごとに物理特性が異なっていてもよい。この場合でも,アイテムごとに入手の難易度を調整することができる。
本発明の第2の側面は,抽選ゲーム装置に関する。本発明に係る抽選ゲーム装置は,払出し装置と当該払出し装置の中に収納された複数の景品のモデルを描画する描画部と,各モデルを表示する表示部と,ユーザによるアクション操作が入力される入力部と,アクション操作に応じて払出し装置内における景品のモデルの位置を少なくとも部分的に変化させる演算を行う演算部を備える。
本発明の第3の側面は,抽選ゲーム方法に関する。本発明に係る抽選ゲーム方法は,払出し装置と当該払出し装置の中に収納された複数の景品のモデルを描画する工程と,各モデルを表示する工程と,ユーザによるアクション操作の入力を受け付ける工程と,アクション操作に応じて払出し装置内における景品のモデルの位置を少なくとも部分的に変化させる演算を行う工程を含む。
本発明の第4の側面は,コンピュータプログラムに関する。本発明に係るコンピュータプログラムは,携帯情報端末を,第1の側面に係るゲームシステムにおけるユーザ端末として機能させる。あるいは,本発明に係るコンピュータプログラムは,携帯情報端末を,第2の側面に係る抽選ゲーム装置として機能させる。
本発明によれば,ユーザの納得性が高い抽選ゲームを提供することができる。
図1は,本発明の一実施形態に係る抽選ゲームシステム1の機能ブロックを示している。抽選ゲームとは,一般的に,ソーシャルゲームや,RPGや,シミュレーションゲーム,格闘ゲームなどのメインとなるゲーム内で使用可能なアイテム(景品)をユーザに付与するためのミニゲームである。ただし,抽選ゲーム自体がメインとなるゲームであってもよい。また,抽選ゲームで入手できるアイテムに対応する実物の景品を用意しておき,抽選ゲームで当選したアイテムに応じて,実物の景品をユーザに配送するといったことも可能である。
図1に示されるように,抽選ゲームシステム1は,インターネット等の通信回線を介して接続されたゲームサーバ10と複数のユーザ端末20を備える。ゲームサーバ10は,本システムの運営者によって管理されているウェブサーバであり,ユーザ端末20に対して抽選ゲームを提供する。ゲームサーバ10は,一台のウェブサーバによって構成されたものであってもよいし,複数のウェブサーバにその機能を分散させることで構築されたものであってもよい。また,ウェブサーバはデータセンタ内に物理的に構築されていてもよいし,クラウド上に仮想的に存在していてもよい。ユーザ端末20は,ゲームのユーザのそれぞれが所持する端末装置であり,ゲームサーバ10の制御に従って所定のゲームを実行する。ユーザ端末20の例は,スマートフォンやタブレット端末などの携帯情報端末であるが,ラップトップ型PCやデスクトップ型PCなどであってもよい。
本実施形態において,ゲームサーバ10は,ゲーム制御部11,記憶部12,データベース13,演算部14,描画部15,及び通信部16を有する。ゲーム制御部11は,このゲームサーバ10が備える他の要素12〜16の全体制御を行うとともに,ユーザ端末20に提供するゲームの進行処理を行う。ゲーム制御部11としては,CPUなどの公知のプロセッサを利用することができる。ゲーム制御部11は,記憶部12に記憶されているゲームプログラムを読み出し,このゲームプログラムに従って他の要素を制御することによりゲームを進行する。具体的には,ゲーム制御部11は,通信部16を通じてユーザ端末20からユーザによるゲーム操作情報を受け取るとともに,データベース13に記憶されている各種データに基づいて,演算部14に物理演算等を実行させて,その演算結果を利用して描画部15にゲーム映像を描画させる。描画されたゲーム映像は通信部16を介してユーザ端末20に送信される。このように,ゲーム制御部11は,ゲーム端末20を制御する機能をも担っている。なお,本願明細書では,主に抽選ゲームの実行処理について説明を行うが,ゲーム制御部11は,抽選ゲームで獲得したアイテム等を利用したメインゲームの進行制御も行う。
記憶部12は,ゲーム実行処理等に用いられる情報を記憶するための要素である。具体的に,記憶部12は,抽選ゲームを含むゲームを実行するためのゲームプログラムを記憶している。記憶部12のストレージ機能は,例えばHDD及びSDDといった不揮発性メモリによって実現できる。また,記憶部12は,ゲーム制御部11による演算処理の途中経過などを書き込む又は読み出すためのメモリとしての機能を有していてもよい。記憶部12のメモリ機能は,RAMやDRAMといった揮発性メモリにより実現できる。
データベース13は,主に抽選ゲームで使用するゲームデータを記憶している。データベース13には,例えば,ユーザデータや,モデリングデータ,アイテムデータ,及びカプセルデータが記憶されている。その他,データベース13には,メインとなるゲームを実行するための様々なデータを記憶しておくことができる。
ユーザデータには,例えば,ゲームのユーザに関する個人情報(ユーザID,氏名,ユーザ名,パスワード,連絡先情報等)や,各ユーザが抽選ゲームによって入手したアイテムに関する情報(アイテムID等)が含まれる。また,ユーザデータには,メインとなるゲームの進行状況を記録したセーブデータなどが含まれていてもよい。
モデリングデータには,抽選ゲームで使用する払出し装置モデル30と景品モデル40を描画するためのデータが含まれる。図2は,これら払出し装置モデル30と景品モデル40の一例を示している。モデリングデータは,2次元又は3次元のモデル座標系(ローカル座標系)で表現されたモデルを構成するデータである。図2では,3次元で表現されたモデルを例として示している。このため,各モデルの構造は3次元のモデル座標系で定義される。この3次元モデルは,3次元のワールド座標系で表現されたゲーム空間内に配置される。ゲーム空間の中で,各モデル30,40の移動,回転,拡大,縮小等を行うことができる。なお,ゲーム空間は2次元であってもよく,この場合には払出し装置モデル30と景品モデル40を2次元のモデルとして表現することとしてもよい。
図2(a)は,払出し装置モデル30の一例を示している。払出し装置モデル30は,実社会において製造販売されている一般的なカプセルトイの払出し装置,例えばガシャポン(登録商標)を参考としてモデリングすればよい。例えば,払出し装置モデル30は,カプセルトイなどの景品モデル40を複数個収納するための収納部31と,この収納部31に収納された景品モデル40を一つずつ排出するための払出し機構32を有する。収納部31は,外部からその内容物が視認できるように透明又は半透明とされている。収納部31に収納可能な景品モデル40の数は特に制限されないが,30〜150個程度を収納できる大きさとすればよい。払出し機構32は,例えば,回転レバー32a,回転軸32b,回転板32c,排出口32d,攪拌棒32e,及び取出口32fを有する。回転レバー32aを一定方向に一回転させると,収納部31内に配置された回転軸32bも一回転する。収納部31の底部には,回転軸32bに固定された回転板32cが設けられている。この回転板32cには,景品モデル40が嵌まり込む程度の大きさの穴が複数箇所(図2に示した例では5箇所)に形成されている。回転軸32bと連動して回転板32cが一回転すると,回転板32cに嵌まっている景品モデル40が一つだけ排出口32dへと落下する。この排出口32dは取出口32fへと連通しており,排出口32dに落下した景品モデル40は取出口32fから取り出される。また,回転軸32bには一又は複数の攪拌棒32eが取り付けられている。回転軸32bが回転すると,攪拌棒32eによって収納部31の内部に収納されている複数の景品モデル40が撹拌されることとなる。
図2(b)は,景品モデル40の一例を示している。景品モデル40は,一般的なカプセルトイを模してモデリングされたものである。図2(b)に示した例では,アイテムを収納したカプセルが一つの景品モデル40として構成されている。この景品モデル40の例では,球形状のカプセルの半球部分が透明であり,その透明部分からカプセル内のアイテムが見えるようになっている。
図2(c)は,景品モデル40の別例を示している。図2(c)に示した例において,景品モデル40は,カプセルモデル41とアイテムモデル42からなる。つまり,カプセルとアイテムとが別々のモデルとして構築されており,それぞれが別のモデル座標系により定義されている。カプセルモデル41は,半球形の透明部41aと不透明部41bとを組み合わせて球形となるものであり,その内部にアイテムモデル42を収容可能な収容空間を持つ。カプセルモデル41の中には,様々なアイテムモデル42を収容できるが,払出し装置モデル30の中に収納される複数のカプセルモデル41は,それぞれ形状やサイズが統一されたものであることが好ましい。カプセルモデル41は形状等が統一されたものであれは,例えば不透明部41bの色などはそれぞれ異なっていてもよい。ただし,形状やサイズの異なるカプセルモデル41を払出し装置モデル30内に収納することも可能である。アイテムモデル42は,メインゲームで使用されるアイテムに対応した形状やサイズを持つものであり,様々なデザインとなっている。アイテムモデル42の形状等は,メインゲームで使用されるアイテムの種類ごとに異なる。アイテムモデル42は,通常,カプセルモデル41内に収納可能なサイズに調整されてモデリングされている。このように,カプセルモデル41とアイテムモデル42を別々にモデリングすることで,アイテムモデル42のカプセルモデル41内で動くこととなるため,例えば透明部41aを通じて視認されるアイテムモデル42の部位が状況に応じて適宜変化する。
ゲームサーバ10のデータベース13には,さらにアイテムデータとカプセルデータが記憶されている。これらのアイテムデータとカプセルデータは,主にアイテムモデル42とカプセルモデル41の物理特性を特定するものである。まず,アイテムモデル42の物理特性の例は,重量や磁性の有無である。前述のとおり,アイテムモデル42には様々な種類が存在するが,種類ごとに物理特性が異なる。例えば,鉄製という設定のアイテムモデル42の場合,アイテムデータにより,比較的重量が重く,磁性を有するものであると定義される。なお,磁性を持つアイテムモデル42は,後述する磁石の障害物モデル33に吸着するという性質を持つ。また,アイテムデータには,アイテムの出現確率に関する情報が含まれる。また,カプセルモデル41の物理特性の例は,重量や,弾力,空気抵抗,摩擦係数,磁性の有無である。通常,払出し装置モデル30内に収納される複数のカプセルモデル41は,すべて物理特性が同じものとなる。ただし,物理特性の異なるカプセルモデル41を払出し装置モデル30内に収納することとしてもよい。例えばカプセルモデル41ごとに重量や弾力を変えて,重く弾みにくいカプセルモデル41と,軽く弾みやすいカプセルモデル41を同じ払出し装置モデル30内に収納することとしてもよい。また,磁性を持つカプセルモデル41は,後述する磁石の障害物モデル33に吸着することとなる。
演算部14は,ユーザによるアクション操作に応じて,払出し装置モデル30内における景品モデル40の位置を少なくとも部分的に変化させるための演算を行う。具体的には,演算部14は,ゲーム空間内で実世界の物理法則に従った物理演算を行うための物理エンジン(物理演算部)であることが好ましい。物理エンジンとしては公知のものを採用できる。演算部14は,カプセルモデル41やアイテムモデル42の物理特性(カプセルデータ,アイテムデータ)に基づいて,景品モデル40が払出し装置モデル30の収納部31内でどのような挙動を示すのかを物理演算する。例えば,払出し装置モデル30の回転レバー32aが回転すると,それに伴って景品モデル40が排出されたり収納部31内で撹拌されたりすることとなるが,このような景品モデル40の挙動を物理演算により求める。また,詳しくは後述するように,ユーザのアクション操作により払出し装置モデル30に対して衝撃が与えられる。演算部14は,払出し装置モデル30に衝撃が与えられた位置や衝撃エネルギー,衝撃の方向を求め,カプセルモデル41やアイテムモデル42の物理特性に基づいて,払出し装置モデル30の収納部31内で景品モデル40がどのように挙動するのかを物理演算する。なお,ゲーム空間内の重力は,標準重力(9.80665m/s2)とすればよいが,これに限らず重力を大きくしてもよいし小さくしてもよい。なお,ゲーム空間内の重力を他の惑星や衛生の重力に設定することもできる。また,払出し装置モデル30の収納部31が水などの液体で満たされている設定とし,水中での景品モデル40の挙動を物理演算することもできる。
描画部15は,演算部14による演算結果に基づいて,ゲーム空間内の払出し装置モデル30及び複数の景品モデル40を2次元映像として描画する。描画部15としては,公知のGPUなどの描画装置を用いればよい。描画部15は,コンピュータ内部においてワールド座標系(2次元座標系又は3次元座標系)で表現された各モデル30,40をディスプレイ上のスクリーン座標系(2次元座標系)に変換して描画する。3次元モデルの描画処理を例に挙げて説明すると,まず,モデル座標系で定義された各モデル30,40をワールド座標系で定義されたゲーム空間内に構築する(モデリング変換)。モデリング変換では,ワールド座標系の中で3次元図形の移動,回転,拡大,縮小等を行い,ゲーム空間内に各モデル30,40を生成する。次に,ワールド座標系の中に設定されたカメラ位置(視線位置)から見た映像を得るための座標変換を行う(ビューイング変換)。すなわち,ビューイング変換では,ワールド座標系で定義された各モデル30,40を3次元のカメラ座標系へと変換する。次に,カメラ座標系で表現された3次元の各モデル30,40を2次元のスクリーン座標系に投影するための座標変換を行う(投影変換)。一般的には,投影線が1点に集まる透視投影変換が行われる。最後に,2次元の投影面に投影された2次元映像を,スクリーン座標系で表されたディスプレイ上の指定領域であるビューポート内に表示するための変換処理を行う(ビューポート変換)。このようにして,払出し装置モデル30及び複数の景品モデル40が2次元映像として描画される。
通信部16は,インターネット等の通信回線を通じてユーザ端末20と通信するための要素である。具体的には,通信部16は,描画部15で作成したゲーム映像(2次元映像)をユーザ端末20に対して送信する。また,通信部16は,アクション操作を含む操作情報をユーザ端末20から受信してゲーム制御部11へと伝達する。
本実施形態において,ユーザ端末20は,端末制御部21,記憶部22,表示部23,操作部24,センサ25,通信部26,及びスピーカ27を有する。なお,操作部24とセンサ25は,共に操作情報の入力部として機能する。端末制御部21は,このユーザ端末20が備える他の要素22〜27の全体制御を行う。端末制御部21としては,CPUなどの公知のプロセッサを利用することができる。端末制御部21は,記憶部22に記憶されているアプリケーションを読み出し,このアプリケーションプログラムに従って他の要素を制御することによりゲームを進行する。具体的には,端末制御部21は,通信部26を通じてゲームサーバ10から受信したゲーム映像を表示部23に表示し,所定のゲームをユーザに提供する。また,端末制御部21は,操作部24や各種センサ25を介してユーザにより入力された操作情報を,通信部26を通じてゲームサーバ10に送信する。端末制御部21から送信された操作情報はゲームサーバ10において処理されてゲームに反映される。また,端末制御部21は,表示部23にゲーム映像を表示するともに,スピーカ27から所定のBGMや効果音などのゲーム音を出力する。
記憶部22は,ゲーム実行処理等に用いられる情報を記憶するための要素である。具体的に,記憶部22は,一般的なスマートフォン等の携帯情報端末を抽選ゲームシステム1におけるユーザ端末20として機能させるためのアプリケーションプログラムを記憶している。記憶部22に記憶されているアプリケーションプログラムは,抽選ゲームを含むゲームの実行時に端末制御部21により読み出されて,当該プログラムに従った処理が実行される。なお,記憶部22には,他のアプリケーションプログラムが複数記憶されていてもよい。ユーザ端末20の記憶部22は,ゲームサーバ10の記憶部12と同様に,HDD又はSDDといった不揮発性メモリや,RAM又はDRAMといった揮発性メモリにより実現できる。
表示部23は,ゲーム映像等を表示するための要素である。表示部23は,液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった公知のディスプレイ装置により構成されている。ゲームサーバ10の描画部15により描画されたゲーム映像(2次元映像)は,インターネットを介してユーザ装置20へと送信され表示部23に表示される。
操作部24は,アクション操作を含むユーザによるゲームの操作情報をユーザ端末20に入力するための要素である。操作部24としては,タッチパネル,マウス,キーボード,スタイラスペンなどの公知の入力装置を利用すればよい。なお,操作部24は,ユーザ端末20から物理的に分離可能なものであってもよく,その場合には操作部24はBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格でユーザ端末20と接続される。また,タッチパネル(操作部)をディスプレイ(表示部)の前面に配置することで,タッチパネルディスプレイが構成されていてもよい。
センサ25は,ユーザ端末20にセンシング情報を入力するための要素である。センサ25の例としては,加速度センサ,ジャイロセンサ,マイクロフォン,GPSセンサなどが挙げられ,ユーザ端末20は一種類又は複数種類のセンサを備える。センサ25によって取得されたセンシング情報のうちの特定のものは,アクション操作として抽選ゲームの進行制御に利用される。
通信部26は,インターネット等の通信回線を通じてゲームサーバ10と通信するための要素である。具体的には,通信部26は,ゲームサーバ10の描画部15で作成されたゲーム映像(2次元映像)をゲームサーバ10から受信して端末制御部21へと伝達する。また,通信部26は,アクション操作を含む操作情報をゲームサーバ10へと送信する。
スピーカ27は,音を出力するための要素である。スピーカ27からは,例えば抽選ゲームで使用されるBGMや効果音が出力される。
続いて,図3を参照して,払出し装置モデル30内に収納されている景品モデル40の位置や向きを変化させる処理の一例を説明する。図3に示した例において,払出し装置モデル30及び景品モデル40は3次元モデルであり,また,景品モデル40は,カプセルモデル41とアイテムモデル42とが別々にモデリングされたものである。図3(a)に示されるように,ゲーム空間内において,複数の景品モデル40は,払出し装置モデル30の収納部31内に収納されている。ゲーム制御部11は,各アイテムの出現確率に基づいて,払出し装置モデル30内に収納する景品モデル40(アイテム)の数を決定する。つまり,出現確率の高いアイテムほど払出し装置モデル30内に多く存在し,出現確率の低いアイテムほど払出し装置モデル30内に存在する数が少なくなる。なお,収納部31内の景品モデル40には同種のもの(いわゆるダフリ)があってもよい。また,景品モデル40の初期位置はランダムに設定すればよい。払出し装置モデル30の収納部31は,透明又は半透明に形成されているため,その内部に収納された景品モデル40はユーザがディスプレイ上で視認可能なように描画されることとなる。また,カプセルモデル41の半球部分は透明又は半透明に形成されているため,その内部に収容されたアイテムモデル42が部分的に視認可能に描画される。このため,抽選ゲームのユーザは,自分が所望するアイテムが払出し装置内のどの辺りに現在位置しているのかを確認又は推定することができる。なお,図3では,作画の都合上,収納部31の手前側に存在する景品モデル40のみが描かれているが,収納部31の奥側にはさらに複数の景品モデル40(不図示)が存在している。
次に,図3(b)に示されるように,ユーザは,ユーザ端末20にアクション操作を入力する。アクション操作は,基本的に,払出し装置モデル30(特に収納部31)に対して一定の衝撃を与えるものである。なお,アクション操作の具体例については図4を参照して後述する。アクション操作は,操作部24及び/又はセンサ25の入力部を介してユーザ装置20に入力される。ユーザ装置20の端末制御部21は,入力されたアクション操作に関する情報を通信部26を介してゲームサーバ10へ送信する。アクション操作に関する情報には,例えば,アクション操作が入力されたゲーム画面上の位置情報(座標情報)や,アクション操作の向き(ベクトル情報),アクション操作の入力強度(入力速度,タッチパネルの押圧強度,加速度)などが含まれる。
ゲームサーバ10のゲーム制御部11は,ユーザ装置20からアクション操作に関する情報を受信すると,これを演算部14に伝達して物理演算を実行させる。具体的には,演算部14は,アクション操作が入力されたゲーム画面上の位置情報や,アクション操作の向き,アクション操作の入力強度などの物理情報に基づいて,ゲーム空間内の払出し装置モデル30に衝撃が与えられた位置や,衝撃の方向,衝撃エネルギーを求める。そして,演算部14は,このアクション操作の衝撃によって払出し装置モデル30内に収納されている景品モデル40のそれぞれに与えられる運動量(運動ベクトル)を算出し,この運動量に基づいて景品モデル40の位置を少なくとも部分的に変化させる演算を行う。特に,本実施形態において,景品モデル40はカプセルモデル41とアイテムモデル42からなるものであるため,アクション操作によって与えられる運動量はカプセルモデル41とアイテムモデル42で別々に計算される。運動量の算出の際には,各モデル41,42の重量や,カプセルモデル41弾力,空気抵抗,摩擦係数などの物理特性が参照される。
ゲームサーバ10の描画部15は,演算部14の物理演算結果に基づいて,各景品モデル40が運動する映像を描画する。例えば,図3(b)に示されるように,アクション操作が入力された位置を中心として,そこから離散するように,アイテムモデル42を収容したカプセルモデル41の位置が払出し装置モデル30の収納部31内で変化する。また,カプセルモデル41とアイテムモデル42は別々の3次元モデルであるため,カプセルモデル41内でのアイテムモデル42の向きや位置が変化していることも判る。このように,ユーザは,ユーザ端末20にアクション操作を入力することで,払出し装置モデル30内の景品モデル40の位置を変化させることができる。また,そのアクション操作による景品モデル40の位置の変化は,物理法則に基づくものであるため,ユーザにとっても理解しやすいものとなる。
なお,払出し装置モデル30に収納されている複数の景品モデル40の中には,アクション操作によっても位置が変化しないものが存在していてもよい。すなわち,図3(b)に示されるように,複数の景品モデル40には,アクション操作によって位置が変化する景品モデル40aと,位置が変化しない景品モデル40bが含まれる。例えば,少なくとも,次に払い出される予定の景品モデル40bは,アクション操作による影響を受けない。また,例えば,払い出しの順番が1番目の景品モデル40bの他に,2番目,3番目,あるいは所定の順番までの景品モデル40もアクション操作による影響を受けないこととしてもよい。具体的には,前述したとおり,払出し装置モデル30の回転板32cには景品モデル40が嵌まり込む穴が複数設けられているが,この穴に嵌っている一又は複数の景品モデル40についてはアクション操作によってその位置が変化しないこととすればよい。なお,この位置が変化しない景品モデル40bは,収納部31ではなく払出し機構32内に位置しており,ユーザ端末20のディスプレイ上には表示されない。このため,ユーザは次に払い出される景品モデル40bを確認できないようになっている。
また,ユーザがアクション操作を入力可能なタイミングは,払出し装置モデル30の回転レバー32aを一回転させて景品モデル40を払い出す前であってもよいし,景品モデル40を一度払い出した後であってもよい。また,アクション操作の入力は無料で行うことができるようにしてもよいし,ユーザによる追加の課金を条件としてアクション操作の入力が可能となるもであってもよい。例えば,ゲームサーバ10は,まずユーザに対して,払出し装置モデル30から景品モデル40を払い出すための処理を一回又は複数回行うための通常の課金を求める。通常の課金処理が終わると,ゲームサーバ10は,ユーザに対して,アクション操作を一回又は複数回入力するための追加の課金を行うか否かを問い合わせる。追加の課金を行うかどうかはユーザの任意で決めることができ,アクション操作なしで景品モデル40の払い出し処理を実行してもよい。追加の課金処理が行われると,ユーザは,景品モデル40の払出し処理の前又は払出し処理の後などゲームサーバ10が定める所定のタイミングでアクション操作を入力できるようになる。このように,アクション操作の入力には回数制限や入力タイミングの制限を設けると良い。ただし,アクション操作を自由に何度でも入力できるようにしてもよい。なお,抽選ゲームの課金は,ゲーム内通貨やポイントの消費,あるいは現金又はクレジットカードによる料金の支払い等,通常の方法で行えばよい。
図4は,アクション操作の入力方法の例を示している。図4(a)に示した例では,タッチパネルディスプレイをアクション操作の入力装置として利用する。ユーザ端末20のタッチパネルディスプレイには3次元の払出し装置モデル30が表示されている。ユーザは,まず,ディスプレイをスクロールしたりスワイプしたりすることで,ディスプレイ上に表示される払出し装置モデル30の向きや拡大倍率を調節する。その後,ユーザは,タッチパネルディスプレイに表示されている払出し装置モデル30の任意部位をタップする。このタップ操作が,前述したアクション操作に相当する。ユーザ端末20は,ユーザのタップ位置やタップ強度(押圧力やタップ時間の長さから算出される)を求めて,これらのタップ情報をゲームサーバ10に送信する。ゲームサーバ10は,ユーザ端末20から受信したタップ情報に基づいて,払出し装置モデル30に衝撃が与えられたか否かの当たり判定や,衝撃が与えられた位置や方向,あるいはその衝撃エネルギーなどを演算し,その演算結果に基づいて,払出し装置モデル30内に収納されている景品モデル40それぞれの運動量を算出する。そして,算出された運動量に基づいて払出し装置モデル30内で景品モデル40の位置を変化させる。このようなアクション操作の入力方法では,あたかもユーザが払出し装置を叩くことで景品モデルの位置が変化するかのような,現実に近い演出を行うことができる。
図4(b)に示した例では,加速度センサやジャイロセンサなどのセンサ25をアクション操作の入力装置として利用する。例えば,ユーザがユーザ端末20を上下左右に振ると,その振動の加速度や端末の向きの変化をセンサ25で検出する。このようなユーザ端末20のシェイク操作が,前述したアクション操作に相当する。ユーザ端末20は,センサ25によるセンシング情報をゲームサーバ10に送信する。ゲームサーバ10は,ユーザ端末20からセンシング情報を受け取ると,ユーザ端末20が検出した加速度や向きの変化に応じて,ゲーム空間内で払出し装置モデル30を揺さぶる計算を行う。払出し装置モデル30は,ゲーム空間においてユーザ端末20のディスプレイと同じ大きさのフレーム内に配置されているが,払出し装置モデル30が揺れ動くとこのフレームに衝突して,払出し装置モデル30に衝撃が加えられる。ゲームサーバ10は,払出し装置モデル30に衝撃が加えられた位置や,衝撃の方向,衝撃エネルギーなどを演算し,その演算結果に基づいて,払出し装置モデル30内に収納されている景品モデル40それぞれの運動量を算出する。そして,算出された運動量に基づいて払出し装置モデル30内で景品モデル40の位置を変化させる。このように,ユーザ端末20をシェイクする操作によって,払出し装置モデル30内の景品モデル40の位置を変化させることとしてもよい。
図4(c)に示した例では,ゲーム空間内に払出し装置モデル30の他に,払出し装置モデル30に対して影響を与えるオブジェクト50が存在している。ゲームサーバ10のゲーム制御部11は,払出し装置モデル30及びオブジェクト50を利用した所定のゲームを実行する。ユーザは,ゲームサーバ10が提供するゲームをプレイすることができ,ユーザ端末20の操作部24にアクション操作を入力することで,ゲーム内のオブジェクト50を操作することができる。例えば,図4(c)に示した例では,ボールとその発射台がオブジェクト50としてゲーム内に存在している。ユーザはユーザ端末20の操作部24を介して発射台を操作することができ,この発射台から発射されたボールが払出し装置モデル30に当たると,払出し装置モデル30に衝撃が加えられることとなる。また,ユーザは,発射台から発射されるボールの速度や威力を調整することができる。このようなゲーム内のオブジェクト50を操作することが,前述したアクション操作に相当する。ユーザ端末20は,オブジェクト50の操作情報(つまりアクション操作)をゲームサーバ10に送信する。ゲームサーバ10は,ユーザ端末20から受信した操作情報に基づいてオブジェクト50を制御する。また,ゲーム内でオブジェクト50が払出し装置モデル30に衝突すると,この払出し装置モデル30に衝撃が加えられる。ゲームサーバ10は,払出し装置モデル30に衝撃が加えられた位置や,その衝撃エネルギーなどを演算し,その演算結果に基づいて,払出し装置モデル30内に収納されている景品モデル40それぞれの運動量を算出する。そして,算出された運動量に基づいて払出し装置モデル30内で景品モデル40の位置を変化させる。このように,ユーザよるゲーム内のオブジェクト50の操作によって,払出し装置モデル30内の景品モデル40の位置を変化させることとしてもよい。なお,払出し装置モデル30に衝撃を与えるゲームの種類は図示したものに限られず,例えばボール当てゲームの他に,ピンボールゲーム,射撃ゲーム,ゴルフゲーム,格闘ゲームなどの種々のゲームを実行することができる。
図5は,払出し装置モデル30の変形例を示している。図5(a)に示した例において,ゲームサーバ10の描画部15は,払出し装置モデル30の収納部31中に,障害物モデル33を描画する。この障害物モデル33は,収納部31に収納された景品モデル40に対して影響を及ぼすものである。図5(a)の例では,収納部31の中に仕切り板,スプリング,磁石,粘着物といった障害物モデル33が存在する。仕切り板は,それに接触した景品モデル40の移動方向を変化させたり,あるいは仕切り板に上に景品モデル40が載ったりする。また,スプリングは,景品モデル40が接触すると,そのスプリングの伸縮方向に景品モデル40を付勢する。磁石は,磁性を持つカプセルモデル41やアイテムモデル42を吸着する性質を持つ。粘着物は,景品モデル40が一時的に粘着する性質がある。景品モデル40は,その重量に応じて徐々に粘着物から剥がれていくが,剥がれるスピードは重量の主に景品モデル40ほど早くなる。なお,景品モデル40の重量とは,カプセルモデル41とアイテムモデル42の重量を合計したものである。なお,障害物モデル33は図示したものに限られず,景品モデル40を一定方向に押し出すピストンや,収納部31内に風を発生させる扇風機など,様々なタイプのものを障害物モデル33として配置することが可能である。このような障害物を払出し装置の内部に配置することで,景品抽選処理のゲーム性を高めることができる。
図5(b)の変形例では,払出し装置モデル30の収納部31に表示部分31aと非表示部分31bとが含まれる。収納部31の表示部分31aは,収納部31内の景品モデル40がディスプレイに表示されるように描画部15により描画された部分であるのに対して,収納部31の非表示部分31bは,収納部31内の景品モデル40がディスプレイに表示されないように描画部15により描画された部分である。つまり,収納部31の非表示部分31bにも景品モデル40は収納されているが,ディスプレイ上には表示されないため,ユーザは非表示部分31bに存在する景品モデル40の中身を確認することができない。図示した例において,収納部31の下半分が表示部分31aとなり,上半分は非表示部分31bとなっている。ただし,表示部分31aと非表示部分31bの位置は自由に設計することができる。このように,払出し装置の内部の景品を部分的に非公開とすることで,ユーザの興味を惹きつけることができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
例えば,上述した実施形態では,ゲームサーバ10にデータベース13や,演算部14,描画部15の機能が備わっており,ゲームサーバ10で描画したゲーム映像をユーザ端末20に送信することとしている。ただし,これらの機能をユーザ端末20に集約して,ユーザ端末20でゲーム映像を描画することとしてもよい。
また,本願明細書では,主にクライアント・サーバ型の抽選ゲームシステム1により抽選ゲームを実行する実施形態について説明を行ったが,この抽選ゲームは,スタンドアローン型のゲーム装置(抽選ゲーム装置)によって実行されるものであってもよい。例えば,抽選ゲームを実行するためのコンピュータプログラムを,インターネットを介してユーザ端末にダウンロード及びインストールさせたり,あるいは当該プログラムを格納した記録媒体をユーザ端末に読み込ませたりすることで,ユーザ端末がウェブサーバと通信することなく抽選ゲームを実行できるようにしてもよい。また,アーケード型のゲーム装置に抽選ゲームを実行させることとしてもよい。この場合,図1に示した機能ブロックは,一つのゲーム装置に集約されることとなる。