JP2020160348A - 平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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一郎 小山
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Abstract

【課題】得られる平版印刷版の画像形成性及び小点耐刷性に優れ、現像液の長期維持にも優れ、水洗廃液が生じない平版印刷版の作製方法の提供すること。【解決手段】支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型平版印刷版原版を、現像液を用いて現像し、画像部と非画像部とを形成する現像工程と、をこの順で含み、画像記録層が、赤外線吸収剤、並びに、酸基及び塩基基を有するポリマーAを含むか、又は、酸基を有するポリマーB及び塩基基を有するポリマーCの両方を含み、画像記録層中に含まれるポリマーの全質量に対する、ポリマーAの含有量、又は、ポリマーB及びポリマーCの合計含有量が10質量%以上であり、ポリマーA又はポリマーBが有する酸基のpKaが9以下であり、現像工程後に、現像された平版印刷版原版を水洗する水洗工程を含まない、平版印刷版の作製方法。【選択図】なし

Description

本開示は、平版印刷版の作製方法に関する。
一般に平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。
平版印刷は、水と油性インキとが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
現在、平版印刷版原版から平版印刷版を作製する製版工程においては、CTP(コンピュータトゥプレート)技術による画像露光が行われている。即ち、画像露光は、レーザーやレーザーダイオードを用いて、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版原版に走査露光などにより行われる。
従来の平版印刷版原版としては、例えば、特許文献2又は3に記載されたものが知られている。また、従来の平版印刷版の作製方法としては、例えば、特許文献1、4又は5に記載されたものが知られている。
特許文献1には、露光処理された多枚数の感光性平版印刷版を、電解質を含有する現像液で現像すると共に、現像液活性を一定に保つ感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法であって、上記現像液の電導度を測定し、この現像液電導度値を予め定めた電導度基準値と比較して、上記現像液電導度値が上記電導度基準値より低い場合に上記現像液に、電導度を高くする電導度調整剤を含有する現像補充液を補充することを特徴とする感光性平版印刷版自動現像機の現像補充液補充方法が記載されている。
特許文献2には、(A)側鎖に有機連結基を介して結合した酸基を有する構造単位と、側鎖にアミド基およびアミノ基の少なくとも一方を有する構造単位と、を有する高分子化合物、及び(B)赤外線吸収剤を含有することを特徴とする感光性組成物が記載されている。
特許文献3には、アミン結合又は第4級アンモニウム塩結合、並びに、ウレア結合、ウレタン結合、及び、カーボネート結合よりなる群から選ばれた少なくとも一つの結合を主鎖に有し、かつ、スルホンアミド基、又は、フェノール性水酸基を主鎖及び/又は側鎖に有する高分子化合物と赤外線吸収材料とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
特許文献4には、画像形成方法であって、(a)親水性支持体上に画像化可能層を有する画像化可能エレメントを画像化し、画像化可能層内に露光領域および非露光領域を含む画像化されたエレメントを形成するステップと、(b)画像化されたエレメントを水性アルカリ現像−ガム溶液と接触させ、画像化可能層の露光領域および非露光領域の一方を除去することにより、画像化されたエレメントの現像とガム液処理を同時に行うステップとを含み、水性アルカリ現像−ガム溶液が、以下の構造:R(CHOH)nR[式中、nは4〜7であり、(i)Rは水素、アリール基、またはCHOHであり、かつRは水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、CHOR(式中、Rは水素、もしくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)、CHN(R)(式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素、もしくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)、またはCOHであるか、あるいは(ii)RおよびRが一緒になって炭素−炭素単結合を形成する]を有する1種または複数の水溶性ポリヒドロキシ化合物を含み、水性アルカリ現像−ガム溶液が約10.0〜約14のpHを有し、1種または複数のポリヒドロキシ化合物が水性アルカリ現像−ガム溶液の約10重量%〜約30重量%を構成する方法が記載されている。
特許文献5には、画像を形成する方法であって:A)ポジ型平版印刷版前駆体に、赤外線を使用して像様露光を施すことにより、上記画像形成された前駆体内に露光された領域及び非露光領域の両方を提供する工程、上記ポジ型平版印刷版前駆体が、基板上に順番に: 第1高分子バインダーを含む内層、及び上記第1高分子バインダーとは異なる第2高分子バインダーを含むインク受容外層を有しており、上記ポジ型平版印刷版前駆体が、赤外線吸収化合物をさらに含み、そしてB)(1)主として上記露光された領域だけを除去して、そして(2)結果として生じる平版印刷版の露光された領域及び非露光領域の全ての上に保護塗膜を提供するために、上記画像形成された前駆体に、約6〜約11のpHを有する単一処理溶液を適用する工程を含んで成る画像を形成する方法が記載されている。
特開平11−258818号公報 特開2004−361483号公報 国際公開第2016/047392号 特表2005−507088号 特表2011−510355号公報
本開示の実施形態が解決しようとする課題は、得られる平版印刷版の画像形成性及び小点耐刷性に優れ、現像液の長期維持性にも優れ、水洗廃液が生じない平版印刷版の作製方法の提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と、
露光された上記ポジ型平版印刷版原版を、現像液を用いて現像し、画像部と非画像部とを形成する現像工程と、
をこの順で含み、
上記画像記録層が、
赤外線吸収剤、並びに、
酸基及び塩基基を有するポリマーAを含むか、又は、酸基を有するポリマーB及び塩基基を有するポリマーCの両方を含み、
上記画像記録層中に含まれるポリマーの全質量に対する、上記ポリマーAの含有量、又は、上記ポリマーB及び上記ポリマーCの合計含有量が10質量%以上であり、
上記ポリマーA又は上記ポリマーBが有する酸基のpKaが9以下であり、
上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版を水洗する水洗工程を含まない、
平版印刷版の作製方法。
<2> 上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面不感脂化処理する工程を含まない、<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<3> 上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面不感脂化処理する工程を少なくとも1回含む、<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<4> 上記不感脂化処理する工程を、2回以上含む、<3>に記載の平版印刷版の作製方法。
<5> 上記ポリマーCが有する塩基基のpKaHが、4以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版の作製方法。
<6> 上記画像記録層が、上層と下層とを有し、
上記上層が、上記ポリマーAを含むか、又は、上記ポリマーB及びポリマーCの両方を含み、
上記下層が、pKa10未満の酸基を有するポリマーDを含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版の作製方法。
<7> 上記下層に含まれるpKa10未満の酸基を有するポリマーDが、−SO−NH−構造を有する構成単位を有する、<6>に記載の平版印刷版の作製方法。
<8> 上記現像工程に使用される現像液のpHが11.0以下である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版の作製方法。
<9> 上記現像工程に使用される現像液が、炭酸イオン、及び、炭酸水素イオンを含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の平版印刷版の作製方法。
<10> 上記現像工程に使用される現像液が、両性界面活性剤、及び、ノニオン界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の平版印刷版の作製方法。
本開示の実施形態によれば、得られる平版印刷版の画像形成性及び小点耐刷性に優れ、現像液の長期維持性にも優れ、水洗廃液が生じない平版印刷版の作製方法を提供することができる。
本開示に用いられる平版印刷版作製用現像処理装置の一例を示す断面概略図である。 本開示に用いられる平版印刷版作製用現像処理装置の他の一例を示す断面概略図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示において、式で表される化合物における基の表記に関して、置換又は無置換を記していない場合、その基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、その基は、無置換の基のみならず、置換基を有する基も包含する。例えば、式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合がある。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、全固形分量とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量をいう。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
本開示において、酸基を側鎖に有するとは、酸基が直接主鎖に結合した態様も含むものとする。すなわち、例えばカルボキシ基(−C(=O)OH)が主鎖に直接結合する場合など、酸基が側基(side group, pendant group)である場合も、酸基を側鎖に有する態様に含まれる。
以下、本開示を詳細に説明する。
(平版印刷版の作製方法)
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と、露光された上記ポジ型平版印刷版原版を、現像液を用いて現像し、画像部と非画像部とを形成する現像工程と、をこの順で含み、上記画像記録層が、赤外線吸収剤、並びに、酸基及び塩基基を有するポリマーAを含むか、又は、酸基を有するポリマーB及び塩基基を有するポリマーCの両方を含み、上記画像記録層中に含まれるポリマーの全質量に対する、上記ポリマーAの含有量、又は、上記ポリマーB及び上記ポリマーCの合計含有量が10質量%以上であり、上記ポリマーA又は上記ポリマーBが有する酸基のpKaが9以下であり、上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版を水洗する水洗工程を含まない。
また、本開示に係る平版印刷版は、本開示に係る平版印刷版の製版方法により得られた平版印刷版である。
本発明者らは、特許文献1〜5に具体的に記載されている平版印刷版原版又は平版印刷版の作製方法について、検討を行ったところ特許文献1〜5では、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、又は、現像液の長期維持性に更なる向上が求められることを見出した。また、本発明者らが検討したところ、特許文献3に具体的に記載されている平版印刷版の作製方法においては、水洗廃液が生ずる場合があり、更なる改良が求められることを見出した。
本開示に係る平版印刷版の製造方法は、上記構成を採用することにより、得られる平版印刷版の画像形成性及び小点耐刷性に優れ、現像液の長期維持性にも優れ、水洗廃液が生じない。上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
本開示に係る平版印刷版の作製方法における画像記録層は、画像記録層においてポリマーに含まれる酸基及び塩基基が塩を形成することにより、ポリマー同士の相互作用が強くなるため、未露光部が現像によるダメージを受けにくいと考えられ、得られる平版印刷版において、特に小点(例えば、直径(即ち、円相当径)が数μm〜数十μm等の画像部)の耐刷性(以下、「小点耐刷性」ともいう。)に優れると推察する。
なお、平版印刷版において、小点耐刷性が優れることは、例えば、網点の印刷を行う場合等において重要な特性であると考えられ、本開示に係る平版印刷版の作製方法において、現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面ガム引きした場合、例えば、ローラーを介してガム液が現像液中に逆流し、現像液のpHが低下した場合であっても、画像記録層中のポリマーは、ポリマーA又はポリマーBが有する酸基のpKaが9以下であるので、現像液pHの低下に対して、溶解性が低下し難いため、現像ムラを抑制することができるので、得られる平版印刷版の網点再現性にも優れやすいと推定される。
さらに、本開示に係る平版印刷版の作製方法における画像記録層は、露光時には、上記ポリマーに含まれる酸基及び塩基基により形成された塩の少なくとも一部が熱分解するため、露光部に存在するポリマーに塩基基が発生して溶解が可能となる一方、未露光部に存在するポリマーは、現像液への溶解、分散等が抑制されるので、未露光部における現像液に対する溶解性は低くなり、かつ、非画像部においては現像液への溶解性に優れることから、画像形成性に優れると推定している。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において、現像工程後に水洗工程を含まないので、水洗廃液が生じず、ポジ型平版印刷版原版が画像記録層において上記特定のポリマーを有するので、現像液の長期維持性に優れると推察される。
更に、画像記録層中の上記ポリマーは、極性が高いため、得られる平版印刷版において、現像カスが発生しにくく現像カス抑制性(以下、「現像カス抑制性」ともいう。)に優れやすいと推定される。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法について、詳細に説明する。
また、本開示に用いられる平版印刷版原版については、後述する。
<露光工程>
本開示に係る平版印刷版の製版方法は、支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程を含む。
上記露光する工程に用いられる露光手段は、特に制限はなく、公知の露光手段を用いることができる。
露光に用いられる活性光線としては、平版印刷版原版の露光に用いられるものであれば、特に制限はなく、例えば、赤外線、可視光線、紫外線等が好ましく挙げられる。
露光に用いられる活性光線の光源は、特に制限はなく、平版印刷版原版における画像記録層の組成等に応じて公知の光源から使用できる。上記光源は、波長300nm〜450nm、又は、波長750nm〜1,400nmのレーザーであることが好ましい。また、上記光源は、固体レーザー又は半導体レーザーであることが好ましい。
中でも、上記画像記録層が、増感剤、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物、及び、上記特定のポリマーを含む場合、上記露光する工程において、350nm〜450nmの波長範囲内のレーザー光により露光することが好ましい。
露光工程における露光条件(例えば、光源の出力、照射エネルギー及び露光時間)は、特に制限はなく、画像記録層の組成等に応じて適宜設定すればよい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
上記露光する工程における平版印刷版原版の露光量は、耐刷性及びレーザーアブレーション抑制の観点から、光源が紫外線又は可視光線の場合は、10μJ/cm〜10,000μJ/cmであることが好ましく、20μJ/cm〜5,000μJ/cmであることがより好ましく、20μJ/cm〜2,000μJ/cmであることが更に好ましく、30μJ/cm〜1,500μJ/cmであることが特に好ましい。
光源が赤外線の場合は、上記露光する工程における平版印刷版原版の露光量は、耐刷性及びレーザーアブレーション抑制の観点から、30mJ/cm〜500mJ/cmであることが好ましく、35mJ/cm〜450mJ/cmであることがより好ましく、40mJ/cm〜400m/cmであることが更に好ましく、50mJ/cm〜300mJ/cmであることが特に好ましい。
また、露光は、光源の光ビームをオーバーラップさせて行うことができる。オーバーラップとは、副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。上記オーバーラップ係数は、0.1以上であることが好ましい。
上記露光装置の光源の走査方式は、特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
<現像工程>
本開示に係る平版印刷版の製版方法は、露光された上記ポジ型平版印刷版原版を、現像液を用いて現像し、画像部と非画像部とを形成する現像工程を含む。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版を水洗する水洗工程を含まない。
現像工程に使用される現像液は、特に限定はされないが、上記現像液は、水溶液であることが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法においては、例えば、pHが11.0を超える現像液を用いて現像を行ってもよい。例えば、特開2003−1956号公報の段落0270〜0292に記載の現像液など、公知の現像液を用いて現像することもできる。
現像液は、現像性の向上のため、界面活性剤を含んでもよい。
上記現像液に用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤を含有してもよい。
中でも、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、上記現像液に用いられる界面活性剤としは、ノニオン界面活性剤を含むことが好ましく、両性界面活性剤、及び、ノニオン界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含むことがより好ましい。
本開示に係る現像液に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルイミダゾールなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。
特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。これらの具体例としては、特開2008−203359号公報の段落0256の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号公報の段落0028の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号公報の段落0022〜0029に記載の化合物を挙げることができる。
処理液に用いられる両性界面活性剤としては、下記式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物が好ましい。
式(1)及び(2)中、R及びR11はそれぞれ独立に、炭素数8〜20のアルキル基又は総炭素数8〜20の連結基を有するアルキル基を表す。
、R、R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はエチレンオキサイド基を含有する基を表す。
及びR14はそれぞれ独立に、単結合又はアルキレン基を表す。
また、R、R、R及びRのうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよく、R11、R12、R13及びR14のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
上記式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の処理液への溶解性が低下する。この場合、溶解を助けるアルコール等の有機溶剤を、溶解助剤として水に混合することにより、溶解性は良化するが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、R〜R又はR11〜R14の炭素数の総和は好ましくは10〜40、より好ましくは12〜30である。
又はR11で表される連結基を有するアルキル基は、アルキル基の間に連結基を有する構造を表す。すなわち、連結基が1つの場合は、「−アルキレン基−連結基−アルキル基」で表すことができる。連結基としては、エステル結合、カルボニル結合、アミド結合が挙げられる。連結基は2以上あってもよいが、1つであることが好ましく、アミド結合が特に好ましい。連結基と結合するアルキレン基の総炭素数は1〜5であることが好ましい。このアルキレン基は直鎖であっても分岐であってもよいが、直鎖アルキレン基が好ましい。連結基と結合するアルキル基は炭素数が3〜19であることが好ましく、直鎖であっても分岐であってもよいが、直鎖アルキルであることが好ましい。
又はR12がアルキル基である場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでも構わないが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
又はR13がアルキル基である場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでも構わないが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
又はR13で表されるエチレンオキサイドを含有する基としては、−R(CHCHO)nRで表される基を挙げることができる。ここで、Rは単結合、酸素原子又は2価の有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、Rは水素原子又は有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、nは1〜10の整数を表す。
及びR14がアルキレン基である場合、炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることが特に好ましい。直鎖、分岐のいずれでも構わないが、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物は、アミド結合を有することが好ましく、R又はR11の連結基としてアミド結合を有することがより好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物の代表的な例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
式(1)又は式(2)で表される化合物は公知の方法に従って合成することができる。また、市販されているものを用いることも可能である。市販品として、式(1)で表される化合物は川研ファインケミカル(株)製のソフタゾリンLPB、ソフタゾリンLPB−R、ビスタMAP、竹本油脂(株)製のタケサーフC−157L等があげられる。式(2)で表される化合物は川研ファインケミカル(株)製のソフタゾリンLAO、第一工業製薬(株)製のアモーゲンAOL等があげられる。
両性イオン系界面活性剤は処理液中に、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンジグリセリン類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等が挙げられる。
また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系等の界面活性剤も同様に使用することができる。これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。
ノニオン界面活性剤として特に好ましくは、下記式(N1)で示されるノニオン性芳香族エーテル系界面活性剤が挙げられる。
−Y−O−(AnB−(AmB−H (N1)
式中、Xは置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、A及びAは互いに異なる基であって、−CHCHO−又は−CH2CH(CH3)O−のいずれかを表し、nB及びmBはそれぞれ独立に、0〜100の整数を表し、ただし、nBとmBとは同時に0ではなく、また、nB及びmBのいずれかが0である場合には、nB及びmBは1ではない。
式中、Xの芳香族基としてフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜100の有機基が挙げられる。なお、式中、A及びBがともに存在するとき、ランダムでもブロックの共重合体でもよい。
上記炭素数1〜100の有機基の具体例としては、飽和でも不飽和でよく直鎖でも分岐鎖でもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基など、その他に、アルコキシ基、アリーロキシ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、ポリオキシアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖が結合している上記の有機基などが挙げられる。上記アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
また、ノニオン界面活性剤としては、特開2006−65321号公報の段落0030〜0040に記載された化合物も好適に用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、現像液の全質量に対し、1質量%〜25質量%が好ましく、2質量%〜20質量%がより好ましく、3質量%〜15質量%が更に好ましく、5質量%〜10質量%が特に好ましい。上記範囲であると、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性に優れる。
現像工程に使用される現像液は、現像可能であれば特に限定はないが、pH11.0以下の現像液であることが好ましく、pH10.0以下の現像液であることがより好ましく、pH8.0〜pH10.0の現像液であることが更に好ましく、pH9.0〜pH9.9の現像液であることが特に好ましい。
本開示において、pHはpHメーター(型番:HM−31、東亜ディーケーケー(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
現像工程に使用される上記現像液においては、従来用いられる、例えばpHが12前後の高pHの現像液と比較して、例えば大気中のCOの溶解等に由来するpHの低下が抑制されやすい。すなわち、現像液のpHを比較的低いpHとすることにより現像液の使用時又は保管時における安定性に優れるといえる。
pH11.0以下の現像液(以下、「低pH現像液」ともいう。)において、上記のように現像液におけるpHの低下が抑制されることにより、現像性低下、現像カス発生等が抑制される。
また、上記低pHの現像液におけるpHを初期値に保つために、現像液を緩衝液とすることも好ましい。緩衝液としては、特に炭酸塩緩衝系とすることが好ましい。
本開示において、炭酸塩緩衝系とは、緩衝剤として炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含有する緩衝液をいう。
現像工程に使用される現像液は、低pHの現像液におけるpHを初期値に保つ観点から、炭酸イオン、及び、炭酸水素イオンを含むことが好ましい。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸塩及び炭酸水素塩の総量は、現像液の全質量に対して、0.3質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。総量が0.3質量%以上であると現像性、処理能力が低下せず、20質量%以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、更に現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、非画像部画像記録層の溶解を補助する目的で、補足的に他のアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの他のアルカリ剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本開示に用いられる現像液は、必要に応じて、上記各成分を水に溶解又は分散することによって得られる。現像液の固形分濃度は、2質量%〜25質量%であることが好ましい。また、現像液としては、濃縮液を作製しておき、使用時に水で希釈して用いることもできる。希釈に用いる水は、水道水、井水、純水、イオン交換水を用いることができる。
また、処理によって現像液中に溶解・分散された感光層成分が蓄積することによって、現像液の活性が低下するため、現像処理の量に応じて、適宜新しい現像液を補充しても良い。補充する現像液の組成や濃度は、上記記載の範囲の成分であれば、仕込み時の現像液と同じであっても異なっていてもよい。
〔その他の添加剤〕
上記現像液には上記の他に、後述する水溶性高分子化合物、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
現像液は、液粘度上昇を避ける観点から、上記水溶性高分子化合物を含まないことが好ましい。
湿潤剤としては、特開2013−134341号公報の段落0141に記載の湿潤剤を好適に用いることができる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。湿潤剤は、現像剤の全質量に対し、0.1質量%〜5質量%の量で使用されることが好ましい。
防腐剤としては、特開2013−134341号公報の段落0142に記載の防腐剤を好適に用いることができる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜4質量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、特開2013−134341号公報の段落0143に記載のキレート化合物を好適に用いることができる。キレート剤は現像液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量は、現像液の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%が好適である。
消泡剤としては、特開2013−134341号公報の段落0144に記載の消泡剤を好適に用いることができる。消泡剤の含有量は、現像液の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%の範囲が好適である。
有機酸としては、特開2013−134341号公報の段落0145に記載の消泡剤を好適に用いることができる。有機酸の含有量は、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)、ガソリン、若しくは、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、又は、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤等が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、その他(トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が好ましい。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は、現像液の全質量に対し、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
現像の温度は、現像可能であれば特に制限はないが、60℃以下であることが好ましく、15℃〜40℃であることがより好ましい。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。現像及び現像後の処理の一例としては、アルカリ現像を行い、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が例示できる。また、他の例としては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、前水洗、現像及びガム引きを同時に行う方法が好ましく例示できる。よって、前水洗工程は特に行わなくともよく、一液を用いるだけで、更には一浴で前水洗、現像及びガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。現像の後は、スクイズローラ等を用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
現像工程は、擦り部材を備えた自動現像処理機により好適に実施することができる。自動現像処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号公報、特開昭60−59351号公報に記載の自動現像処理機、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号の各明細書に記載の自動現像処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動現像処理機が特に好ましい。
本開示において使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、更には、平版印刷版原版の支持体における腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報、特開平3−100554号公報に記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属、プラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20μm〜400μm、毛の長さは5mm〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30mm〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1m/sec〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が更に確実となる。更に、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において、上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程(以下、「不感脂化処理工程」ともいう。)を含まなくてもよいし、上記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程を含んでいてもよい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において不感脂化処理工程を含まない場合、現像された平版印刷版原版を水洗する工程、及び、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程の両方を含まないため、上記現像液により、1液処理が可能である。
1液処理を行う場合、現像及びガム液処理を同時に行うため、上記現像液中に、後述の水溶性高分子化合物を含有させることが好ましい。
<不感脂化処理工程>
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法において、不感脂化処理工程を含む場合、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程を少なくとも1回含むことが好ましく、2回以上含むことがより好ましい。
不感脂処理工程に用いられる不感脂化剤としては、水溶性高分子化合物を含有する液体(以下、「ガム液」ともいう。)であることが好ましい。
本開示において、水溶性とは、25℃において100gの蒸留水に0.1g以上溶解する性質をいう。また、本開示において、高分子化合物とは、重量平均分子量が5,000以上である化合物をいう。
本開示に好適に用いられるガム液の各成分の詳細を以下に説明する。
ガム液は、水を含有することが好ましい。
ガム液における水の含有量は、特に制限はないが、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。
ガム液は、水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。
水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、例えば、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルプロピルセルロース等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、マルトデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉酵素分解デキストリン、カルボキジメチル化澱粉、リン酸化澱粉、サイクロデキストリン)、プルラン及びプルラン誘導体等が挙げられる。
また、水溶性高分子化合物として使用することができるその他の澱粉誘導体としては、ブリティッシュガム等の焙焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変成デキストリン、可溶化澱粉に示される酸化澱粉、変成アルファー化澱粉及び無変成アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、燐酸澱粉、脂肪澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、スルフォアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、ジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、燐酸架橋澱粉、ジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリロアミド共重合体、澱粉ポリアクリル酸共重合体、澱粉ポリ酢酸ビニル共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カオチン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カオチン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉ポリスチレンマレイン酸共重合体、澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体、澱粉ポリプロピレン共重合体等の澱粉グラフト重合体等が挙げられる。
水溶性高分子化合物として使用することができる天然高分子化合物としては、水溶性大豆多糖類、澱粉、ゼラチン、大豆から抽出されるヘミセルロース、かんしょ澱粉、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の澱粉類、カラジーナン、ラミナラン、海ソウマンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、トロロアオイ、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、キャロブガム、ベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、レバン等のホモ多糖、並びに、サクシノグルカン及びサンタンガム等のヘトロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン及びコラーゲン等の蛋白質が好ましい。
中でも、水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、デキストリンやヒドロキシプロピル澱粉といった澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類などが好ましく使用することができる。
水溶性高分子化合物の含有量は、ガム液の全質量に対し、0.1質量%〜25.0質量%であることが好ましく、0.3質量%〜20.0質量%であることがより好ましい。
ガム液は、酸性又は中性であることが好ましく、酸性であることが好ましい。また、ガム液のpHとしては、pH7以下であることが好ましく、pH2〜6であることがより好ましい。
ガム液を上記pHにするため、ガム液中に、鉱酸、有機酸、又は、それらの塩等のpH調整剤を添加し調節することが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、鉱酸として、硝酸、硫酸、燐酸、メタ燐酸、ポリ燐酸などが挙げられる。有機酸としては、酢酸、蓚酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、乳酸、レプリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。好ましく使用できる塩として、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸二水素アンモニウム、ピロ燐酸カリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
pH調整剤の含有量は、ガム液の全質量に対し、0.01質量%〜3.0質量%であることが好ましい。
ガム液は、界面活性剤を更に含有することが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。
これらの中でも、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類又はアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
また、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル等が好ましく用いられる。
また、界面活性剤としては、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコーン系等のアニオン又はノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
これら界面活性剤は、2種以上併用することもできる。例えば、互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤の併用やアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の併用が好ましい。これらの化合物は環境面への影響を考慮して適宜選択して使用することが好ましい。 界面活性剤の使用量は、特に制限ないが、ガム液の全質量に対し、0.01質量%〜20質量%であることが好ましい。
また、ガム液は、平版印刷版における画像部の感脂性を保護する観点から、沸点130℃以上の有機溶剤を含有することが好ましい。この種の有機溶剤は一方で非画像部親水性層上に残留して付着している微量の画像記録層を除去し、非画像部の親水性を高める効果を発揮する働きをする。
沸点130℃以上の有機溶剤の具体例としては、アルコール類として、n−ヘキサノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
ケトン類としては、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸ベンジル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸−n−アミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル及び安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸−ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸ジエステル類、ジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、例えばエポキシ化大豆油などのエポキシ化トリグリセライド類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェートなどの燐酸エステル類等が挙げられる。
アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
多価アルコール類及びその誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシエタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−ブトキシエトキシプロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、グリセリンモノアセテート、グリセリントリアセテート類を挙げることができる。
炭化水素系有機溶剤としては、沸点160℃以上の石油留分の芳香族、脂肪族化合物、スクワランなどが挙げられる。
上記沸点130℃以上の有機溶剤を選択するときの条件としては、その環境安全性、特に臭気が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
沸点130℃以上の有機溶剤の含有量は、ガム液の全質量に対し、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.3質量%〜3.0質量%であることがより好ましい。
ガム液において、これらの有機溶剤は、界面活性剤によって可溶化させて溶液タイプとしてもよいし、あるいは油相として乳化分散させて乳化タイプとしてもよい。
上記現像処理は、手処理であっても、現像処理装置を用いた現像処理であってもよい。
現像において、手処理の場合、現像処理方法としては、例えば、スポンジ、脱脂綿等に水溶液を含ませ、版面全体を擦りながら処理し、処理終了後に乾燥する方法が好適に挙げられる。浸漬処理の場合は、例えば、平版印刷版原版を水溶液の入ったバット、深タンク等に約60秒浸して撹拌した後、脱脂綿、スポンジなどで擦りながら乾燥する方法が好適に挙げられる。
現像処理装置としては、現像液の供給手段及び擦り部材を備えた自動現像処理機を好適に用いることができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法の用いることができる自動現像処理機の一例としては、図1に示す現像処理装置、及び、図2に示す現像処理装置が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図1に示す現像処理装置2は、露光された平版印刷版原版(不図示)を現像液18によって処理するための現像部4と、現像された平版印刷版原版(不図示)に版面保護用のガム液56及び64を付与して不感脂化処理するガム処理部6及び第2ガム処理部8と、ガム処理された平版印刷版原版(平版印刷版、不図示)を乾燥させる乾燥部10と、が配設されている。すなわち、現像処理装置2には、平版印刷版原版の搬送方向(図1の左側から右側へ向かう方向)方向に沿って、現像部4、ガム処理部6、第2ガム処理部8及び乾燥部10が順に配置されている。
露光された平版印刷版原版(不図示)は、1対の2つのローラーからなる搬送ローラー12により、現像部4へと搬送される。
現像処理装置2は、壁材14に加え、現像部4、ガム処理部6、第2ガム処理部8、及び、乾燥部10等の少なくとも上部を覆う筐体(不図示)を有していてもよく、上記筐体を有することが好ましい。
壁材14及び筐体の形状は、特に制限はなく、必要に応じ、適宜選択すればよい。また、壁材14及び筐体の材質は、特に制限はなく、公知の材質を用いることができる。
現像部4は、1対の2つのローラーからなる搬送ローラー16、28及び38、現像液18、現像液排出口20を有する現像液排出手段22、搬送ベルト24、現像液供給手段26、ブラシローラー30、搬送ローラー32、搬送ガイド板34、搬送ガイド板保持部材36、並びに、カバー40を有する。
また、現像部4は、底部中央が下方へ向けて突出された略山形状となっており、露光された平版印刷版原版(不図示)の現像処理を行うための現像液18を貯留する。
例えば、搬送ローラー16が回転駆動することにより、露光された平版印刷版原版(不図示)を現像部4へ引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像液18中へ送り込む。
現像液18の温度は、特に制限はないが、好ましくは0℃〜60℃、より好ましくは15℃〜40℃の温度である。
本開示に好適に用いられる現像液18の詳細については、上述のとおりである。
露光された平版印刷版原版(不図示)は、搬送ローラー16により搬送され、現像液18へ浸漬され、搬送ベルト24上、搬送ローラー28、搬送ガイド板34上、及び、搬送ローラー38を順に通過し、ガム処理部6へ搬送される。
露光された平版印刷版原版(不図示)が、現像部4において、現像液18に浸漬し現像され、また、現像液18中において、ブラシローラー30により平版印刷版原版の版面がこすられて現像が促進される。更に、平版印刷版原版が、搬送ローラー38を通過することにより、現像された平版印刷版原版に付着した現像液18が一部絞られて除去される。
また、現像部4においては、現像液供給手段26より新しい現像液18が供給されており、例えば、図1の右側の現像液供給手段26に付記されている矢印の方向に、現像液18を吐出している。
現像液供給手段26による現像液18の供給は、連続的であっても、間欠的であってもよく、必要に応じ、供給することができる。また、現像液18の供給方向は、特に制限はなく、平版印刷版原版に当てるように吐出してもよいし、現像液18に意図的な流れが生じないように供給してもよい。
現像部4には、現像液18がある程度の高さ(現像液排出口20の高さ)まで満たされており、また、現像液排出口20の上部には、現像液18のない空間を有しており、現像液排出口20の高さを超える現像液18が、現像液排出口20を通り現像液排出手段22により排出される。
必要に応じて、不図示の循環用配管、及び、送液ポンプにより現像液を循環させ、現像液供給手段26より現像部4に戻すことができる。
現像液排出口20及び現像液排出手段22の形状は、特に制限はなく、例えば、図1に示すようなパイプ形状が好ましく挙げられる。
このように図1に本開示における現像部4の一例を示したが、現像部4はこれに限定されないことは言うまでもない。
ガム処理部6は、現像部4に連続して設けられている。
本開示における上記「連続」とは、現像部4による現像と、ガム処理部6によるガム処理との間に、他の処理(例えば、水洗処理等)を行わずに、上記現像と上記ガム処理とが行われる態様であればよく、現像部4及びガム処理部6の位置やこれらの距離については、特に制限はなく、適宜設定すればよい。
また、ガム処理部6の少なくとも一部、好ましくは現像部4から連続する部分においては、現像部4の現像液18の液面よりも高い位置に、現像された平版印刷版原版の搬送位置があることが好ましい。上記態様であると、現像液18のガム処理部6のガム液56への混入を少なくすることができる。
ガム処理部6は、1対の2つのローラーからなる搬送ローラー42及び44、ガム液供給スプレー46、洗浄液を滴下する手段48(手段A)、洗浄液拡散部材50、洗浄液供給手段固定部52、逆流防止部材54、ガム液56、並びに、ガム液排出口58を有するガム液排出手段59を有する。
現像された平版印刷版原版(不図示)が、現像部4から搬送され、搬送ローラー42と搬送ローラー44との間において、上下2つのガム液供給スプレー46により平版印刷版原版の上面及び下面の両方がガム処理され、第2ガム処理部8へと搬送される。
図1における上側のガム液供給スプレー46は、2つのローラーからなる搬送ローラー42における上側のローラーに向けてガム液56をスプレーしている。
また、図1における下側のガム液供給スプレー46は、平版印刷版原版の下面に向けてガム液56をスプレーしている。
本開示におけるガム液供給スプレー46によるガム液56の吐出方向は、特に制限はないが、それぞれ、図1に示す態様が好ましく挙げられる。
余剰のガム液56は、ガム処理部6の下部に貯留される。
図1における上側のガム液供給スプレー46により、ローラーに向けて吐出されたガム液56は、ローラーの回転に伴い、ローラーの上側へと移動するが、逆流防止部材54を有することにより、平版印刷版原版をつたってガム液56が現像部4の現像液18に混入することを抑制することができる。
逆流防止部材54の形状は、特に制限はないが、円柱状又はブレード状であることが好ましい。また、逆流防止部材54は、搬送ローラー42に接して設けられていることが好ましい。更に、逆流防止部材54は、接しているローラーの回転方向において、手段A(洗浄液を滴下する手段48)からローラー上への洗浄液の供給位置、及び、洗浄液拡散部材50よりも上流側に設けられていることが好ましい。
すなわち、搬送ローラー42において、回転方向下流側から、洗浄液拡散部材50、手段A(洗浄液を滴下する手段48)からローラー上への洗浄液の供給位置、逆流防止部材54の順で設けられていることが好ましい。
また、逆流防止部材54における上記ローラーの軸方向における幅は、ガム液の現像部への流入抑制の観点から、上記ローラーの幅以上であることが好ましい。
ガム処理部6は、搬送ローラー42と、上記搬送ローラー42に洗浄液を供給する手段A(洗浄液を滴下する手段48)とを有する。
手段Aは、ガム処理部6における搬送ローラー42の上方に設置され、かつ搬送ローラー42上に洗浄液を滴下する手段48であることが好ましい。
手段Aによる洗浄液の供給は、スプレー状に吐出してもよいが、滴下することが好ましい。
洗浄液を滴下する手段48は、洗浄液供給手段固定部52により固定されており、搬送ローラー42の上側のローラー上へ洗浄液を滴下する。また、洗浄液を滴下する手段48から搬送ローラー42の上側のローラー上へ洗浄液を滴下する位置よりも現像部4側(上側のローラーの回転方向下流側)に、かつ、上側のローラーの軸の中心よりも上部に上記上側のローラーの外周上に接して洗浄液拡散部材50が設けられている。
洗浄液拡散部材50は、上記ガム処理部6における上記搬送ローラー42上に設けられ、上記搬送ローラー42上に滴下された洗浄液を搬送ローラー42上に拡散させる部材である。
洗浄液拡散部材50は、上記洗浄水を供給する手段Aから、上記ガム処理部6内の上方のローラーに供給された洗浄水を、上方のローラーの周面に均一に拡散させて、搬送ローラー42の上下のローラーの周面からガム液56を洗い流す機能を有する。これによって、処理停止前に搬送ローラー42上に残存したガム液を均一に除去し、処理停止後に搬送ローラー42上でガム成分の濃度が高くなったり、固着したりしてしまうことを抑制するようにしている。
洗浄液拡散部材50と上方のローラーとの間に液溜まりが形成でき、洗浄水がバーやブレードからローラー以外の場所へ溢れないようにするため、洗浄液拡散部材50は、上方のローラーの回転軸よりも上の位置でローラーと接していることが好ましい。
洗浄液拡散部材50の形状は、円柱状のバー又は板状のブレードが好ましく、円柱状のバーがより好ましい。
洗浄液拡散部材50が円柱状の部材である場合、ステンレス等の金属製のバー、ゴムローラー、樹脂ローラーが好ましい。また、円柱状の洗浄水洗拡散バーは、接しているローラーの回転に伴って追従回転してもよく、固定されていてもよく、駆動軸によって回転していてもよい。
洗浄液拡散部材50が板状のブレード状の部材である場合、材質はゴム製や樹脂製、金属製が好適に挙げられ、柔軟性があり、接するローラーの表面に損傷を与えない材質であることが好ましく、柔軟性のあるゴム板、又は、柔軟性のある樹脂の板がより好ましい。
洗浄液供給手段固定部52の形状は、特に制限はないが、図1に示すように、断面形状が、洗浄液を滴下する手段48の3方を少なくとも覆う形状であることが好ましい。
洗浄液を滴下する手段48から上側のローラー上に滴下された洗浄液は、洗浄液拡散部材50により、上側のローラーの軸方向へと拡散され、上側のローラー及び下側のローラーへも洗浄液が供給され、搬送ローラー42上に存在すると考えられる固着したガム成分或いは高濃度のガム液を洗浄液により溶解又は希釈することができる。
また、搬送ローラー42の各ローラーが回転することにより、各ローラーの全面に洗浄液を供給することもできる。
搬送ローラー42から流れ落ちた洗浄液は、ガム液56と混合する。
洗浄液、及び、ガム液56の温度及びその使用量は、特に制限はなく、適宜選択すればよい。
本開示に好適に用いられる洗浄液、及び、ガム液56の詳細については、後述する。
洗浄液を供給する手段A(洗浄液を滴下する手段48)から、洗浄液を供給するタイミングとしては、特に制限はなく、必要に応じ、所望のタイミングで洗浄液を供給すればよい。
中でも、得られる平版印刷版の網点再現性及び網点の耐刷性ムラ抑制の観点から、手段Aは、現像処理装置の運転開始時、現像処理終了時から次の現像処理開始時までの間、及び、現像処理装置の運転終了時よりなる群から選ばれた少なくとも1つの時点において、上記洗浄液を供給する手段から上記搬送ローラー上に洗浄液を供給するように設定されていることが好ましい。
洗浄液を供給するタイミングを制御する方法としては、特に制限はなく、コンピューター等の公知の制御手段により制御すればよい。
また、ガム処理部6は、搬送ローラー44と、上記搬送ローラー44に洗浄液を供給する手段A(洗浄液を滴下する手段48)とを有する。
搬送ローラー44及びその近傍に設けられている洗浄液を滴下する手段48(手段A)、洗浄液拡散部材50、及び、洗浄液供給手段固定部52の態様は、搬送ローラー42における態様と同様である。
ガム処理部6は、2つ目の搬送ローラーである搬送ローラー44を有していても、有していなくともよいが、ガム処理の確実性、及び、余分なガム液56を搾り取る観点から、2つめの搬送ローラーである搬送ローラー44を有していることが好ましい。
また、ガム処理部6において、搬送ローラー42及び搬送ローラー44の間において、平版印刷版原版の上面が、ガム液供給スプレー46により供給されたガム液で覆われている態様も好ましく挙げられる。
2つのガム液供給スプレー46から供給されるガム液56はそれぞれ、ガム処理部6の底部60より採取されたガム液56であることが好ましい。ガム処理部6の底部60より採取されたガム液56を、配管(不図示)及びポンプ(不図示)により、ガム液供給スプレー46に供給し、スプレーする。
また、2つのガム液供給スプレー46から供給されるガム液56は、新しいガム液56であってもよいし、第2ガム処理部8のより採取されたガム液64であってもよい。
ガム処理部6の下部に貯留されるガム液56は、例えば、ガム液56がある程度の高さ(ガム液排出口58の高さ)まで満たされており、また、ガム液排出口58の高さを超えるガム液56が、ガム液排出口58を通りガム液排出口58に続くガム液排出手段59により排出される。
ガム液排出口58及びガム液排出手段59の形状は、特に制限はなく、例えば、図1に示すようなパイプ形状が好ましく挙げられる。
また、2つの洗浄液を滴下する手段48には、洗浄液タンク(不図示)、配管(不図示)及びポンプ(不図示)が接続されており、洗浄液タンクより供給される洗浄液を滴下する。
このように図1に本開示におけるガム処理部6の一例を示したが、ガム処理部6は、搬送ローラーと、上記搬送ローラーに洗浄液を供給する手段Aとを有する以外、これに限定されないことは言うまでもない。
第2ガム処理部8は、ガム処理部6に連続して設けられている。
本開示に係る現像処理装置は、第2ガム処理部8を有していても、有していなくともよいが、ガム処理性及び版面汚れ防止性の観点から、第2ガム処理部8を有していることが好ましい。
第2ガム処理部8は、1対の2つのローラーからなる搬送ローラー62、ガム液供給スプレー46、洗浄液を滴下する手段48(手段A2)、洗浄液拡散部材50、洗浄液供給手段固定部52、ガム液64、並びに、ガム液排出口66を有するガム処理部6へのガム液供給手段68を有する。
現像された平版印刷版原版(不図示)が、ガム処理部6から搬送され、搬送ローラー62の搬送方向手前において、上下2つのガム液供給スプレー46により平版印刷版原版の上面及び下面の両方がガム処理され、乾燥部10へと搬送される。
第2ガム処理部8における上下2つのガム液供給スプレー46により供給されるガム液64は、第2ガム処理部8の底部に接続された配管(不図示)及びポンプ(不図示)を通して、循環されている。ガム処理性及び版面汚れ防止性の観点から、処理された面積に応じて、新しいガム液(新鮮なガム液)が補充されることが好ましい。
例えば、第2ガム処理部8における上下2つのガム液供給スプレー46には、ガム液タンク(不図示)、配管(不図示)及びポンプ(不図示)が接続されており、ガム液タンクより新しいガム液が供給される。
また、ガム処理性及び版面汚れ防止性の観点から、処理された面積及び運転時間に応じて、水の蒸発量を補正するために、第2ガム処理部8は、水を補充する手段(不図示)を有することが好ましい。また、ガム処理部6に、水を補充する手段を有していてもよい。
第2ガム処理部8の下部に貯留されるガム液64は、例えば、ガム液64がある程度の高さ(ガム液排出口66の高さ)まで満たされており、また、ガム液排出口66の高さ(一定量)を超えるガム液64が、ガム液排出口66及びガム液供給手段68を通り、ガム処理部6の下部へと供給される。
また、ガム処理部6へのガム液64の供給における安定性の観点から、ガム処理部6のガム液56の液面よりも第2ガム処理部8のガム液64の液面が高いことが好ましく、その差dは、1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることがより好ましく、2cm以上10cm以下であることが特に好ましい。
また、第2ガム処理部8は、搬送ローラー62により、余分なガム液64が搾られ、乾燥部10へと搬送される。
搬送ローラー62及びその近傍に設けられている洗浄液を滴下する手段48(手段A)、洗浄液拡散部材50、及び、洗浄液供給手段固定部52の態様は、搬送ローラー42における態様と同様である。
また、第2ガム処理部8における洗浄液を滴下する手段48には、洗浄液タンク(不図示)、配管(不図示)及びポンプ(不図示)が接続されており、洗浄液タンクより供給される洗浄液を滴下する。
更に、第2ガム処理部8は、搬送ローラー62よりも搬送方向上流側に、1対の2つのローラーからなる搬送ローラーを更に有していてもよい。
このように図1に本開示における第2ガム処理部8の一例を示したが、第2ガム処理部8は、これに限定されないことは言うまでもない。
乾燥部10は、第2ガム処理部8に連続して設けられている。
本開示に係る現像処理装置は、乾燥部10を有していても、有していなくともよく、例えば、本開示に係る現像処理装置と乾燥装置とが別の装置であってもよい。
乾燥部10は、支持ローラー70、1対の2つのローラーからなる搬送ローラー74及び78、上下1対のダクトを有する乾燥手段72及び76、並びに、平版印刷版排出口80を有する。
ガム処理された平版印刷版原版(不図示)が、第2ガム処理部8から搬送され、更に、支持ローラー70、並びに、搬送ローラー74及び78により搬送される途中において、乾燥手段72及び76により、ガム処理された平版印刷版原版(不図示)の上面及び下面とも乾燥され、平版印刷版排出口80より乾燥された平版印刷版(不図示)が排出される。
乾燥手段72及び76はそれぞれ、図示しない乾燥風発生手段によって発生された乾燥風を、乾燥手段72及び76が有するダクトからガム処理された平版印刷版原版へ向けて送風する。これにより、ガム処理された平版印刷版原版の上面及び下面に塗布されているガム液が乾燥され、保護膜が形成される。
乾燥手段72及び76から送風される乾燥風の強さや温度等は、搬送速度にも関連するが、特に制限はなく、所望の強さ及び温度に設定することができる。
また、第2ガム処理部8と乾燥部10との間には、仕切り板(不図示)が設けられていてもよい。上記仕切り板は、ガム処理された平版印刷版原版の搬送路の上方に配置されており、これにより、乾燥部10内の空気が第2ガム処理部8内に入り込むことを抑制できる。
このように図1に本開示における乾燥部10の一例を示したが、乾燥部10は、これに限定されないことは言うまでもない。
図2に示す自動現像処理機100は、平版印刷版原版110の搬送方向(矢印A)に沿って連続して形成された現像部300及び乾燥部400を有している。
現像部300において、外板パネル310にはスリット状挿入口312が設けられている。
現像部300の内部には、現像液で満たされている現像槽308を有する処理タンク306と、平版印刷版原版を処理タンク306内部へ案内する挿入ローラー対304が設けられている。現像槽308の上部は遮蔽蓋324で覆われている。
現像槽308の内部には、搬送方向上流側から順に、ガイドローラー344及びガイド部材342、液中ローラー対316、ブラシローラー対322、ブラシローラー対326、搬出ローラー対318が並設されている。現像槽308内部に搬送された平版印刷版原版は、現像液中に浸漬され、回転するブラシローラー対322、326の間を通過することにより非画像部が除去される。
ブラシローラー対322、326の下部には、スプレーパイプ330が設けられている。スプレーパイプ330はポンプ(不図示)が接続されており、ポンプによって吸引された現像槽308内の現像液がスプレーパイプ330から現像槽308内へ噴出するようになっている。
現像槽308側壁には、第1の循環用配管C1の上端部に形成されたオーバーフロー口510が設けられており、超過分の現像液がオーバーフロー口510に流入し、第1の循環用配管C1を通って現像部300の外部に設けられた外部タンク500に排出される。
外部タンク500は第2の循環用配管C2が接続され、第2の循環用配管C2中には、フィルター部540及び現像液供給ポンプ550が設けられている。現像液供給ポンプ550によって、現像液が外部タンク500から現像槽308へ供給される。また、外部タンク50内には上限液レベル計520、下限液レベル計530が設けられている。
現像槽308は、第3の循環用配管C3を介して補充用水タンク710に接続されている。第3の循環用配管C3中には水補充ポンプ720が設けられており、この水補充ポンプ720によって補充用水タンク710中に貯留される水が現像槽308へ供給される。
循環用配管C1、C2及びC3は、実質的に外気に触れない構造となっている。
液中ローラー対316の上流側には液温センサ336が設置されており、搬出ローラー対318の上流側には液面レベル計338が設置されている。
現像300と乾燥部400との間に配置された仕切り板332にはスリット状挿通口334が設けられている。また、現像部300と乾燥部400との間の通路にはシャッター(不図示)が設けられ、平版印刷版原版110が通路を通過していないとき、通路はシャッターにより閉じられている。
乾燥部400は、支持ローラー402、ダクト410、412、搬送ローラー対406、ダクト410、412、搬送ローラー対408がこの順に設けられている。ダクト410、412の先端にはスリット孔414が設けられている。また、乾燥部400には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部400には排出口404が設けられ、乾燥手段により乾燥された平版印刷版は排出口404から排出される。
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる現像処理装置は、上述した以外の公知の構成を有していてもよい。
例えば、図1の現像部4の前に、露光された平版印刷版原版を加熱処理するための前加熱手段を備えていてもよい。
上記ガム処理部における上記搬送ローラー上への洗浄液の供給量は、特に制限はないが、得られる平版印刷版の網点再現性及び網点の耐刷性ムラ抑制の観点から、洗浄液の供給一回あたりにおいて、上記供給量が50mL/回以上であり、かつ上記ガム処理部におけるガム液の全質量に対して20質量%以下であることが好ましく、上記供給量が50mL/回以上200mL/回以下であり、かつ上記ガム処理部におけるガム液の全質量に対して1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
また、得られる平版印刷版の網点再現性及び小点耐刷性の観点から、上記ガム処理部における上記搬送ローラーのニップ部分に残存するガム液の固形分濃度に対して、洗浄液の供給後の上記ガム液の固形分濃度は、50質量%以下であることが好ましい。また、上記洗浄液の供給後の上記ガム液の固形分濃度の下限値は、0質量%である。
なお、上記ガム液の固形分濃度は、上記ガム処理部における上記搬送ローラーのニップ部分(例えば、2つのローラー間)に残存するガム液をスポイト等により採取し、水等の揮発性成分を揮発させ、揮発前後の質量を測定することにより、固形分濃度を算出する。
洗浄前のローラー上のガム液の固形分濃度は、次の手順で求めることができる。
ガム処理停止後、1分以内に、ガム処理部内の入口側搬送ローラー対のニップ部の幅方向の中央から、ガム液が形成しているメニスカスから、マイクロピペットを用いてガム液を0.5mL採取する。これを直ちに10cm×10cmのアルミニウム板上にのせ、電子天秤で重量を測定する。予め測定したアルミニウム板の重量を差し引いて、ガム液の重量を算出する。更に、ガム液を載せたアルミニウム板を80℃の乾燥オーブンに入れ、乾燥させた後、電子天秤で重量を測定し、ガム液固形分の重量、及び、洗浄前のローラー上のガム液の固形分濃度を算出する。
更に、ガム処理停止後、所定の時間経過後に、上述の条件でローラーの洗浄を行う。洗浄後終了後、洗浄前と同様にして、洗浄後のローラー上のガム液の固形分濃度を算出する。
以上から、洗浄水によるローラー上のガム成分の希釈率を算出できる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において、上記現像工程の後、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行うことができる。
また、耐刷性等の向上を目的として、現像後の印刷版を非常に強い条件で加熱することもできる。加熱温度は、200℃〜500℃の範囲である事が好ましい。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる恐れがある。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に好適に用いられる。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法における平版印刷版原版に含まれる各構成要件の詳細について説明する。
<画像記録層>
本開示に係る平版印刷版の作製方法における平版印刷版原版は、支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版であり、上記画像記録層は、赤外線吸収剤、並びに、酸基及び塩基基を有するポリマーAを含むか、又は、酸基を有するポリマーB及び塩基基を有するポリマーCの両方を含み、上記画像記録層中に含まれるポリマーの全質量に対する、上記ポリマーAの含有量、又は、上記ポリマーB及び上記ポリマーCの合計含有量が10質量%以上であり、上記ポリマーA又は上記ポリマーBが有する酸基のpKaが9以下である。
また、本開示に係る平版印刷版の製造方法に用いられる平版印刷版原版は、ポジ型平版印刷版原版であり、サーマルポジ型平版印刷版原版であることが好ましい。
本明細書において、ポリマーA、B、及び、C、並びに、後述するポリマーD、及び、他のポリマーは、バインダーポリマーとしての機能を有するポリマーを意味する、
〔酸基及び塩基基を有するポリマーA〕
ポリマーAは、酸基及び塩基基を有し、酸基のpKaが9以下である。
ポリマーAにおいて、酸基は、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位としてポリマーAに導入されることが好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版が、後述する支持体上に下層及び上層をこの順に配設した2層構造の平版印刷版原版である場合、画像形成性、小点耐刷性、現像液の長期維持性、及び、水洗廃液を生じない観点から、上記ポリマーAが、上層に含まれていることが好ましい。
<<酸基のpKa>>
ポリマーAにおける酸基のpKaは、9以下であり、経時現像性、経時画像部保持性、及び、経時耐刷性の観点から、7.0以下であることが好ましく、3.0以上7.0以下であることがより好ましく、3.5以上6.0以下であることが更に好ましく、4.0以上5.5以下であることが特に好ましい。
また、ポリマーAにおいて、pKaの最も小さい値を示す構造は、酸基を有する構成単位における酸基であることが好ましい。
−ポリマーAの含有量−
ポリマーAの含有量は、画像記録層に含まれるポリマーの全質量に対し、10質量%以上であり、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。また、同様の観点から、50質量%〜100質量%であることが好ましく、70質量%〜100質量%であることがより好ましく、85質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
ポリマーAは、付加重合型樹脂であっても、重縮合樹脂であってもよく、重付加樹脂であってもよい。得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、アクリル樹脂又はフェノール樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂又はノボラック樹脂であることがより好ましく、アクリル樹脂であることが特に好ましい。
フェノール樹脂としては、フェノール化合物及びホルムアルデヒドを少なくとも重縮合させた樹脂であればよく、ノボラック樹脂、及び、レゾール樹脂が好ましく挙げられ、ノボラック樹脂がより好ましく挙げられる。
また、ポリマーAは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、弱アルカリに可溶な弱アルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
本開示において、アルカリ可溶性とは、25℃の1mol/L水酸化ナトリウム溶液に可溶であることをいい、弱アルカリ可溶性とは、25℃の0.0001mol/L水酸化ナトリウム溶液(pH10)に可溶であることをいう。
また、“可溶である”とは、100mLの溶媒に0.1g以上溶解することをいう。
<<酸基の例>>
ポリマーAにおける酸基は、特に限定されないが、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基等が挙げられる。中でも、酸基としては、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点からは、カルボキシ基が好ましい。
また、フェノール性水酸基(フェノール性ヒドロキシ基)は、通常であればpKaが10以上であるため、ポリマーAにおける上記酸基には含まれない。
ポリマーAは、pKaが10以上の酸基を更に有してもよいが、pKaが10以上の酸基の含有量は、現像性の観点から、0.1moL/g以下であることが好ましく、0.01moL/g以下であることがより好ましい。
<<酸基を有する構成単位のClogP値>>
酸基を有する構成単位のClogP値は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、0.3〜5であることが好ましく、1.0〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.8であることがより好ましい。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、特に断らない限り、本開示ではCambridge soft社のChemBioDraw Ultra 12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いることとする。
また、上記ClogP値の計算においては、酸基を有する構成単位(好ましくは、モノマー単位)の連結部位(即ち、下記構成単位中の*)を水素原子に置換して計算する。
例えば、下記構成単位UA−1のClogP値を計算する場合、下記構造UA’−1へと変換した後にClogP値の計算を行う。
また、ポリマーAが重縮合樹脂又は重付加樹脂である場合、上記ClogP値の計算においては、酸基を有する構成単位における、ウレア結合、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エステル結合、及び、イミド結合等の主鎖を構成する結合に含まれる原子を水素原子に置換して計算する。
例えば、下記構成単位U−1のClogP値を計算する場合、下記構造UA’−2へと変換した後にClogP値の計算を行う。
構成単位UA−2中、構成単位の末端の2つの酸素原子は、いずれもウレタン結合(−O−C(=O)−NH−)における酸素原子であるものとする。

<<ポリマーAの酸価>>
ポリマーAの酸価は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、1.0meq/g〜3.5meq/gが好ましく、1.5meq/g〜1.9meq/gがより好ましく、1.5meq/g〜1.75meq/gが更に好ましい。
−塩基基−
ポリマーAは、塩基基を有する。塩基基は、主鎖に有していてもよいし、側鎖に有していてもよい。塩基基は、塩基基を形成しうるモノマーを用いて、塩基基を含む構成単位としてポリマーAに導入されることが好ましい。
<<塩基基のpKaH>>
塩基基のpKaHは、経時現像性の観点からは、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。
塩基基のpKaHの上限は、特に限定されないが、12以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。
塩基基のpKaHは、塩基基に対して共役する酸のpKaを意味する。
本開示におけるpKaHは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
<<塩基基の例>>
ポリマーAにおける塩基基は、特に限定されず、アミノ基、窒素原子を含む芳香環等が挙げられ、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点からは、第三級アミノ基又はピリジル基であることがより好ましく、第三級アミノ基であることが特に好ましい。
また、ポリマーAは、経時現像性、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点からは、上記酸基がカルボキシ基であり、上記塩基基が第三級アミノ基又はピリジル基であることが好ましく、上記酸基がカルボキシ基であり、上記塩基基が第三級アミノ基であることがより好ましい。
<<塩基基を有する構成単位のClogP値>>
塩基基を有する構成単位のClogP値は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、−1.0〜10であることが好ましく、1.0〜5.0であることがより好ましい。
なお、塩基基を有する構成単位のClogP値は、既述の酸基を有する構成単位のClogP値と同様の方法により求められる。例えば、下記構成単位UB−1のClogP値を計算する場合、下記構造UB’−1へと変換した後にClogP値の計算を行う。
<<ポリマーAの塩基価>>
ポリマーAの塩基価は、1.5meq/g〜1.9meq/gであることが好ましく、1.5meq/g〜1.75meq/gであることがより好ましい。
本明細書において、ポリマーAの塩基価は、JIS K 2501(2003)によって規定された過塩素酸法による塩基価を意味する。なお、塩基価とは、試料1g中に含まれる全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数として得られる。
また、ポリマーAにおける酸基のモル数/塩基基のモル数の比は、0.90/1.0〜1.0/0.90であることが好ましく、0.95/1.0〜1.0/0.95がより好ましい。
−酸基を有する構成単位、及び、塩基基を有する構成単位の具体的な構造−
ポリマーAにおいて、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点からは、酸基又は塩基基と主鎖との間の鎖長が原子数3以上であることが好ましく、酸基又は塩基基と主鎖との間の鎖長が原子数5以上であることがより好ましい。
酸基又は塩基基と主鎖との間の鎖長とは、ポリマーAにおける主鎖と、酸基又は塩基基とを結ぶ側鎖の原子数を、最小となるように数えた値であり、主鎖に含まれる原子は鎖長の数には含まれない。
上記の鎖長を構成する鎖としては、アルキル鎖、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−C(=O)NH−、及びエステル結合(−C(=O)O−)よりなる群より選択される少なくとも1種を含む鎖であることが好ましい。
上記アルキル鎖は、ポリマーAに含まれる酸基及び塩基基が塩を形成しやすい観点から、分岐状又は線状の飽和アルキル鎖であることが好ましく、線状のアルキル鎖であることが好ましい。
例えば、下記構造である場合、上記鎖長は5である。

また、例えば、下記構造である場合、上記鎖長は1である。
<<式A1及び式B1>>
酸基を有する構成単位は、下記式A1で表される構成単位であることが好ましい。
また、塩基基を有する構成単位は、下記式B1で表される構成単位であることが好ましい。
本開示において、式A1で表される構成単位を「構成単位A1」といい、式B1で表される構成単位を「構成単位B1」ともいう場合がある。
式A1中、R1Aは水素原子又はメチル基を表し、X1Aは単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、L1Aは単結合又は二価の連結基を表し、AcidはpKaが10未満の酸基を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式B1中、R2Bは水素原子又はメチル基を表し、X2Bは単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、L2Bは単結合又は二価の連結基を表し、Baseは塩基基を表し、LとBaseに含まれる原子とは環を形成してもよい。
<<式A1>>
式A1中、X1Aは、エステル結合又はアミド結合が好ましい。
1Aがエステル結合を表す場合、ポリマーAの主鎖側にエステル結合における炭素原子が結合することが好ましい。
また、X1Aがアミド結合を表す場合、ポリマーAの主鎖側にアミド結合における炭素原子が結合することが好ましい。
式A1中、L1Aは、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L1Aが二価の炭化水素基を表す場合、L1Aの炭素数は、2以上であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
式A1中、AcidはpKaが7以下の酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることが好ましい。
*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
<<式B1>>
式B1中、L2Bは、単結合又はウレア結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基が好ましく、単結合又は二価の炭化水素基がより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L2Bが二価の炭化水素基を表す場合、L2Bの炭素数は、1以上であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましい。
式B1中、Baseは、第三級アミノ基又はピリジル基であることが好ましい。
2BとBaseに含まれる原子とは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
<<式a及び式b>>
構成単位A1は、下記式aで表される構成単位であることが好ましい。
また、構成単位B1は、下記式bで表される構成単位であることが好ましい。
式a中、R3Aは、水素原子又はメチル基を表し、X3Aは、−O−又は−NR7A−を表し、R7Aは水素原子又はアルキル基を表し、L3Aは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、*は、それぞれ独立、他の構造との結合部位を表す。
式b中、R4Bは、水素原子又はメチル基を表し、X4Bは、−O−又は−NR8B−を表し、R8Bは水素原子又はアルキル基を表し、L4B、R5B及びR6Bのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、L4Bは、単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、R5B及びR6Bはそれぞれ独立に、炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、*は、それぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
<<式a>>
式a中、X3Aが−NR7Aを表す場合、R7Aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式a中、L3Aは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L3Aが二価の炭化水素基を表す場合、L3Aの炭素数は、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
酸基を有する構成単位の好ましい具体例を下記に示すが、酸基を有する構成単位はこれに限定されるものではない。
ポリマーAは、酸基を有する構成単位を、1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
酸基を有する構成単位(好ましくは、構成単位A1、より好ましくは構成単位a)の含有量は、ポリマーAの全質量に対し、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
<<式b>>
式b中、X4Bが−NR8Bを表す場合、R8Bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式b中、L4Bは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、単結合又はウレア結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基が好ましく、単結合又は二価の炭化水素基がより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L4Bの炭素数は2〜10であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましい。
式b中、L4B、R5B及びR6Bのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
5B及びR6Bはそれぞれ独立に、炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、炭素数1以上の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。R5B及びR6Bの炭素数は、1〜10であることが好ましい。
式b中、Nは第三級アミノ基に含まれる窒素原子である。
塩基基を有する構成単位の好ましい具体例を下記に示すが、塩基基を有する構成単位はこれに限定されるものではない。
塩基基を有する構成単位(好ましくは、構成単位B1、より好ましくは構成単位b)の含有量は、ポリマーAの全質量に対し、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
<<その他の構成単位>>
ポリマーAは、酸基を有する構成単位及び塩基基を有する構成単位以外のその他の構成単位を更に含むことが好ましい。
その他の構成単位としては、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、スチレン化合物等により形成される構成単位等が挙げられるが、(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく、インキ着肉性の観点から、親水性基を有さない(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位であることがより好ましい。
<<(メタ)アクリレート化合物>>
(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位の含有量は、ポリマーAの全質量に対し、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、1分子中に1個の(メタ)アクリロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレート化合物であってもよく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロキシ基を有する多官能の(メタ)アクリレート化合物であってもよいが、経時現像性の観点からは、単官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
インキ着肉性及び耐傷性の観点から、(メタ)アクリレート化合物としては、親水性基を有さず、かつ、単官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。
親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリレート化合物としては、アルキルメタクリレート化合物、シクロアルキルメタクリレート化合物等が挙げられる。これらは、親水性基以外の置換基を有していてもよい。
上記の中でも、インキ着肉性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリレート化合物の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ポリマーAとしては、上記の付加重合型樹脂の他に、上記の重縮合樹脂以外の重縮合樹脂(以下、単に(重縮合樹脂)ともいう。)、又は、重付加樹脂であってもよい。
本開示において、重縮合樹脂とは、重縮合反応により得られる樹脂をいい、重付加樹脂とは、重付加反応により得られる樹脂をいう。重縮合樹脂としては、例えばポリアミドやポリエステルが、重付加樹脂としては、例えばポリウレタンやポリウレアが挙げられる。
重縮合樹脂又は重付加樹脂としては、ウレア結合、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エステル結合、及び、イミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を主鎖に有する樹脂等が挙げられ、ウレア結合、ウレタン結合、アミド結合、及び、エステル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を主鎖に有する樹脂が好ましく、ウレア結合、及び、ウレタン結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を主鎖に有する樹脂が更に好ましい。
また、ポリマーAは、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド又はポリエステルであることが好ましく、ポリウレア又はポリウレタンであることがより好ましい。
本開示において、主鎖がウレア結合により形成されているポリマーをポリウレア、主鎖がウレタン結合により形成されているポリマーをポリウレタン、主鎖がアミド結合により形成されているポリマーをポリアミド、主鎖がエステル結合により形成されているポリマーをポリエステルという。
ポリマーAが重縮合樹脂又は重付加樹脂である場合、ポリマーAは、下記式A2により表される構成単位と、下記式B2により表される構成単位、及び、下記式B3により表される構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも一方の構成単位と、を有することが好ましい。
本開示において、式A2により表される構成単位を「構成単位A2」、式B2により表される構成単位を「構成単位B2」、式B3により表される構成単位を「構成単位B3」ともいう。
式A2中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Aは三価の連結基を表し、Lは単結合又は二価の連結基を表し、AcidはpKaが9以下の酸基を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式B2中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Aは三価の連結基を表し、Lは単結合又は二価の連結基を表し、Baseは塩基基を表し、A又はLとBaseに含まれる原子とは結合して環を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
式B3中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、L及びLはそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、Baseは塩基基を表し、LとLの少なくとも一方とBaseに含まれる原子とは結合して環を形成してもよく、LとLとは結合して環を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
<<式A2>>
式A2中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表すことが好ましい。また、上記Y及び/又はYが−NR−を表す場合、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式A2中、Aは三価の連結基を表し、三価の炭化水素基であることが好ましく、三価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましい。Aの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式A2中、Lは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は二価の炭化水素基が好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。Lが二価の炭化水素基を表す場合、Lの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式A2中、AcidはpKaが9以下の酸基を表し、カルボキシ基であることが好ましい。また、式A2中のAcidで表されるpKaが9以下の酸基が、ポリマーAの側鎖に含まれる上述の酸基であり、酸基の好ましい態様は上述の通りである。
*はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)−により表される結合と結合してY又はYを含むエステル結合又はアミド結合を構成するか、又は、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y若しくはYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することが好ましく、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することがより好ましい。
上記Aは主鎖に含まれる原子群を、上記Lは側鎖に含まれる原子群を表す。
また、式A2により表される構成単位中、Y、A及びYにより構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
構成単位A1は、例えば、式A2における2つの*の位置にそれぞれ水素原子が結合したジオール化合物又はジアミン化合物により形成される構成単位として得られる。
ポリマーAの全質量に対し、構成単位A2の含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
構成単位A2の具体例を下記に示すが、構成単位A2はこれらに限定されるものではない。
<<式B2>>
式B2中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表すことが好ましい。また、上記Y及び/又はYが−NR−を表す場合、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式B2中、Aは三価の連結基を表し、三価の炭化水素基であることが好ましく、三価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましい。Aの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式B2中、Lは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は二価の炭化水素基が好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。Lが二価の炭化水素基を表す場合、Lの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることが更に好ましい。
式B2中、Baseは塩基基を表し、第三級アミノ基又はピリジル基であることが好ましい。また、式B2中のBaseで表される塩基基が、ポリマーAの主鎖及び側鎖よりなる群から選ばれた少なくとも一方に含まれる上述の塩基基であり、塩基基の好ましい態様は上述の通りである。
又はLとBaseに含まれる原子とは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
*はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)−により表される結合と結合してY又はYを含むエステル結合又はアミド結合を構成するか、又は、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することが好ましく、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することがより好ましい。
上記Aは主鎖に含まれる原子群を、上記Lは側鎖に含まれる原子群を表す。
また、式B2により表される構成単位中、Y、A及びYにより構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
構成単位B2は、例えば、式B2における2つの*の位置にそれぞれ水素原子が結合したジオール化合物又はジアミン化合物により形成される構成単位として得られる。
ポリマーAの全質量に対し、構成単位B2の含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
構成単位B2の具体例を下記に示すが、構成単位B2はこれらに限定されるものではない。
<<式B3>>
式B3中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表すことが好ましい。また、上記Y及び/又はYが−NR−を表す場合、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式B3中、L及びLはそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は二価の炭化水素基が好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。L又はLが二価の炭化水素基を表す場合、L又はLの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、2〜10であることがより好ましい。
式B3中、Baseは塩基基を表し、第三級アミノ基又はピリジル基であることが好ましい。また、式B3中のBaseで表される塩基基が、ポリマーAの主鎖及び側鎖よりなる群から選ばれた少なくとも一方に含まれる上述の塩基基であり、塩基基の好ましい態様は上述の通りである。
とLの少なくとも一方とBaseに含まれる原子とは結合して環を形成してもよく、LとLとは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
*はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)−により表される結合と結合してY又はYを含むエステル結合又はアミド結合を構成するか、又は、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することが好ましく、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成することがより好ましい。
また、式B3により表される構成単位中、Y、L、Base、L及びYにより構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
構成単位B3は、例えば、式B3における2つの*の位置にそれぞれ水素原子が結合したジオール化合物又はジアミン化合物により形成される構成単位として得られる。
ポリマーAの全質量に対し、構成単位B2の含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
構成単位B3の具体例を下記に示すが、構成単位B3はこれらに限定されるものではない。
<<式a2、式b2、式b3>>
ポリマーAにおいて、構成単位A2が下記式a2により表される構成単位であることが好ましく、構成単位B2は下記式b2により表される構成単位であることが好ましく、構成単位B3は下記式b3により表される構成単位であることが好ましい。
また、ポリマーAにおいて、構成単位A2が下記式a2により表される構成単位であり、構成単位B2が下記式b2により表される構成単位であり、構成単位B3が下記式b3により表される構成単位であることが好ましい。
式a2中、Y及びYはそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表し、Aは炭素数1以上の三価の炭化水素基を表し、Lは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、#はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はYを含むウレタン結合又はウレア結合を構成する。
式b2中、Y及びY10はそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表し、Aは炭素数1以上の三価の炭化水素基を表し、Lは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、L、R及びRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、#はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y又はY10を含むウレタン結合又はウレア結合を構成する。
式b3中、Y11及びY12はそれぞれ独立に、−O−又は−NH−を表し、L及びLはそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、Rは炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、L、L及びRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、#はそれぞれ独立に、他の構成単位の−C(=O)NH−により表される結合と結合して、Y11又はY12を含むウレタン結合又はウレア結合を構成する。
<<式a2>>
式a2中、Aは炭素数1以上の三価の炭化水素基を表し、三価の炭化水素基であることが好ましく、三価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましい。Aの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式a2中、Lは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、単結合又は炭素数1以上の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。Lが二価の炭化水素基を表す場合、Lの炭素数は、1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式a2中、COOH(カルボキシ基)はpKaが9以下の酸基を表し、上記COOHがポリマーAの側鎖に含まれる上述の酸基である。
上記Aは主鎖に含まれる原子群を、上記Lは側鎖に含まれる原子群を表す。
また、式a2により表される構成単位中、Y、A及びYにより構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
<<式b2>>
式b2中、Aは炭素数1以上の三価の炭化水素基を表し、炭素数1以上の三価の脂肪族飽和炭化水素基であることがより好ましい。Aの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることがより好ましい。
式b2中、Lは単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、単結合又は炭素数1以上の二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。Lの炭素数は1〜10であることがより好ましく、3〜10であることが更に好ましい。
式b2中、L、R及びRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
及びRはそれぞれ独立に、炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、炭素数1以上の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。R及びRの炭素数は、1〜10であることが好ましい。
式b2中、Nは第三級アミノ基に含まれる窒素原子であり、上記第三級アミノ基がポリマーAの主鎖及び側鎖よりなる群から選ばれた少なくとも一方に含まれる上述の塩基基である。
上記Aは主鎖に含まれる原子群を、上記Lは側鎖に含まれる原子群を表す。
また、式b2により表される構成単位中、Y、A及びY10により構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
<<式b3>>
式b3中、L及びLはそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1以上の二価の炭化水素基を表し、単結合又は炭素数1以上の二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。L又はLが二価の炭化水素基を表す場合、L又はLの炭素数は、1以上であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、2〜10であることがより好ましい。
式b3中、Rは炭素数1以上の一価の炭化水素基を表し、炭素数1以上の一価の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。Rの炭素数は、1〜10であることが好ましい。
式b3中、L、L及びRのうち少なくとも2つは結合して環を形成してもよく、形成される環としては、テトラメチルピペリジン環等が好ましく挙げられる。
式b3中、Nは第三級アミノ基に含まれる窒素原子であり、上記第三級アミノ基がポリマーAの主鎖及び側鎖よりなる群から選ばれた少なくとも一方に含まれる上述の塩基基である。
式b3により表される構成単位中、Y11、L、L及びY12により構成される分子鎖が、ポリマーAにおける主鎖に含まれることが好ましい。
<<酸基及び塩基基を有する構成単位>>
ポリマーAは、上述の構成単位A2、及び、構成単位B2又は構成単位B3に代えて、酸基及び塩基基を有する構成単位を有していてもよい
また、ポリマーAは、上述の構成単位A2、及び、構成単位B2又は構成単位B3に加えて、酸基及び塩基基を有する構成単位を有していてもよい。
酸基及び塩基基を有する構成単位における酸基及び塩基基の好ましい態様は、上述の本開示に係るポリマーAの酸基及び塩基基の好ましい態様と同様である。
酸基及び塩基基を有する構成単位としては、例えば下記構成単位が挙げられる。
<<ポリマーAが重縮合樹脂又は重付加樹脂である場合のその他の構成単位>>
ポリマーAが重縮合樹脂又は重付加樹脂である場合、その他の構成単位を更に含むことが好ましい。
その他の構成単位としては、多価イソシアネート化合物により形成される構成単位、多価カルボン酸塩化合物(例えば、多価カルボン酸ハライド化合物、又は、多価カルボン酸エステル化合物)により形成される構成単位等が挙げられる。
また、その他の構成単位として、上記酸基を有する多価アルコール化合物又は上記塩基基を有する多価アルコール化合物以外の他の多価アルコール化合物、及び、上記酸基を有する多価アミン化合物又は上記塩基基を有する多価アミン化合物以外の他の多価アミン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物により形成される構成単位をさらに有してもよい。
上記多価イソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましい。
上記多価カルボン酸塩化合物としては、ジカルボン酸塩化合物が好ましい。
上記他の多価アルコール化合物としては、ジオール化合物が好ましい。
上記他の多価アミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましい。
例えば、上記酸基を有する多価アミン化合物(例えば、構成単位A2を形成するためのジアミン化合物)と、上記塩基基を有する多価アミン化合物(例えば、構成単位B2又は構成単位B3を形成するためのジアミン化合物)と、上記多価イソシアネート化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、必要に応じて上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にウレア結合を有するポリマーA(ポリウレア)が得られる。
また、例えば、上記酸基を有する多価アルコール化合物(例えば、構成単位A2を形成するためのジオール化合物)と、上記塩基基を有する多価アルコール化合物(例えば、構成単位B2又は構成単位B3を形成するためのジオール化合物)と、上記多価イソシアネート化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、必要に応じて上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にウレタン結合を有するポリマーA(ポリウレタン)が得られる。
更に、例えば、上記酸基を有する多価アルコール化合物(例えば、構成単位A2を形成するためのジオール化合物)と、上記塩基基を有する多価アルコール化合物(例えば、構成単位B2又は構成単位B3を形成するためのジオール化合物)と、上記多価カルボン酸塩化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、必要に応じて上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にエステル結合を有するポリマーA(ポリエステル)が得られる。
加えて、例えば、上記酸基を有する多価アルコール化合物(例えば、構成単位A1を形成するためのジアミン化合物)と、構成単位B2又は構成単位B3を形成するためのジアミン化合物と、上記多価カルボン酸塩化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、必要に応じて上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にアミド結合を有するポリマーA(ポリアミド)が得られる。
これらの反応は、公知の条件により行うことができる。
<<多価イソシアネート化合物>>
ポリマーAの全質量に対し、多価イソシアネート化合物により形成される構成単位の含有量は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
多価イソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
<<多価カルボン酸塩化合物>>
ポリマーAの全質量に対し、多価カルボン酸塩化合物により形成される構成単位の含有量は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
多価カルボン酸塩化合物としては、多価カルボン酸ハライド化合物(例えば、多価カルボン酸クロライド化合物)、又は、多価カルボン酸エステル化合物等が挙げられ、例えば、下記CL−1〜CL−10等が挙げられる。
<<他の多価アルコール化合物>>
ポリマーAの全質量に対し、他の多価アルコール化合物により形成される構成単位の含有量は、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
他の多価アルコール化合物としては、後述するアルキレンオキシ基を有する構成単位の形成に用いられる多価アルコール化合物等が挙げられ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。
<<他の多価アミン化合物>>
ポリマーAの全質量に対し、他の多価アミン化合物により形成される構成単位の含有量は、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
他の多価アミン化合物としては、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
<<アルキレンオキシ基を有する構成単位>>
本開示に用いられるポリマーAは、耐刷性をより向上する観点からは、アルキレンオキシ基を有する構成単位を更に主鎖に有することが好ましい。
上記アルキレンオキシ基としては、炭素数2〜10のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数2〜8のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基が更に好ましく、エチレンオキシ基、又は、プロピレンオキシ基が特に好ましい。
また、上記アルキレンオキシ基は、ポリアルキレンオキシ基であってもよい。
ポリアルキレンオキシ基としては、繰り返し数2〜50のポリアルキレンオキシ基が好ましく、繰り返し数2〜40のポリアルキレンオキシ基がより好ましく、繰り返し数2〜30のポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基の構成単位の好ましい炭素数は、上記アルキレンオキシ基の好ましい炭素数と同様である。
上記アルキレンオキシ基を有する構成単位は、例えば、上記他の多価アルコール化合物としてポリアルキレングリコール化合物(例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール等)を用いることにより導入される。
全ポリマーの全質量に対し、アルキレンオキシ基を有する構成単位の含有量は、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
−ポリマーAの分子量−
ポリマーAの重量平均分子量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、5,000〜200,000であることが好ましく、8,000〜100,000であることがより好ましい。
−ポリマーAの含有量−
画像記録層においては、ポリマーAを1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
ポリマーAの含有量は、画像記録層の全質量に対し、10質量%〜99質量%であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
ポリマーAは、例えば、公知の方法により製造される。例えば、各構成単位の形成に用いられるモノマーと、公知の重合開始剤を含む組成物を用い、加熱又は露光等のエネルギー付与を行うことにより重合体としてポリマーAを得ることができる。上記組成物は公知の添加剤を更に含有してもよい。
上記エネルギー付与の詳細な条件としても、公知の文献を参照して決定すればよい。
<ポリマーB>
画像記録層におけるポリマーBは、酸基を有し、上記酸基のpKaが9以下である。pKa9以下の酸基としては、上述のポリマーAにおけるpKaが9以下の酸基と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、ポリマーBはその他の構成単位を更に有することが好ましい。ポリマーBにおけるその他の構成単位としては、上述のポリマーAにおけるその他の構成単位と同義であり、好ましい態様も同様である。
ポリマーBは、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
<ポリマーC>
画像記録層におけるポリマーCは、塩基基を有する。塩基基としては、上述のポリマーAにおける塩基基と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、ポリマーCはその他の構成単位を更に有することが好ましい。ポリマーCにおけるその他の構成単位としては、上述のポリマーAにおけるその他の構成単位と同義であり、好ましい態様も同様である。
ポリマーCは、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版が、支持体上に下層及び上層をこの順に配設した画像記録層2層構造の平版印刷版原版である場合、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、上記ポリマーB及びポリマーCの両方が、上層に含まれることが好ましい。
〔分子量比〕
ポリマーBの重量平均分子量Mwに対する、ポリマーCの重量平均分子量Mwの質量比Mw/Mwは、アブレーション抑制性の観点から、1/3〜3/1であることが好ましく、1/2〜2/1であることがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましく、1/1.2〜1.2/1であることが最も好ましい。
〔塩基基/酸基〕
ポリマーBにおけるpKaが9以下の酸基の物質量Nに対する、ポリマーCにおける塩基基の物質量Nの比N/N(すなわち、モル比)は、現像性、画像部保持性、耐刷性、及びアブレーション抑制性の観点から、1/6〜6/1であることが好ましく、1/3〜3/1であることがより好ましく、1/2〜2/1であることがさらに好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましく、1/1.2〜1.2/1であることが最も好ましい。
〔塩基価/酸価〕
ポリマーBの酸価Vに対する、ポリマーCの塩基価Vの質量比V/Vは、アブレーション抑制性の観点から、1/6〜6/1であることが好ましく、1/3〜3/1であることがより好ましく、1/2〜2/1であることがさらに好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましく、1/1.2〜1.2/1であることが最も好ましい。
〔ポリマーB、及びポリマーCの含有量〕
ポリマーB、及びポリマーCの合計含有量は、画像記録層中の全ポリマーの合計質量に対して、10質量%以上である。
本開示において、「全ポリマー」との用語は、ポリマーA、ポリマーB、及びポリマーCに限らず、ポリマーA、ポリマーB、及び、ポリマーCを含むすべてのポリマーを意味する。例えば、画像記録層が、ポリマーA、ポリマーB、ポリマーCに加えて、後述する他のポリマーをさらに含有する場合、「全ポリマー」との用語は、ポリマーA、ポリマーB、ポリマーC、及び他のポリマーを包含する。
また、後述する界面活性剤は、全ポリマーに含まれないものとする。
ポリマーB、及び、ポリマーCの合計含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層中の全ポリマーの合計質量に対して、20質量%以上であることが好ましい。さらに、ポリマーB、及び、ポリマーCの合計含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層中の全ポリマーの合計質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、ポリマーB、及び、ポリマーCの合計含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層の全質量に対して、10質量%〜99質量%であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが特に好ましい。
ポリマーB、及び、ポリマーCの各含有量は、ポリマーB、及び、ポリマーCの合計含有量が上記範囲を満たす範囲において、適宜設定すればよい。
ポリマーBの含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層の全質量に対して、5質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
ポリマーCの含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層の全質量に対して、5質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
ポリマーBの含有量Mに対する、ポリマーCの含有量Mの質量比M/Mは、アブレーション抑制性の観点から、1/6〜6/1であることが好ましく、1/3〜3/1であることがより好ましく、1/2〜2/1であることがさらに好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましく、1/1.2〜1.2/1であることが最も好ましい。
また、上記画像記録層は、単層であってもよく、支持体上に下層及び上層をこの順に配設した画像記録層(2層構造の平版印刷版原版)であってもよい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版において、上記画像記録層が、上層と下層とを有し、上記上層が、上記ポリマーAを含むか、又は、上記ポリマーB及びポリマーCの両方を含み、上記下層が、pKa10未満の酸基を有するポリマーDを含むことが好ましい。
<ポリマーD>
画像記録層下層は、pKa10未満の酸基を有するポリマーDを含むことが好ましい。
ポリマーDは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、pKaが10未満の−SO−NH−構造を有する構成単位を有するポリマーAを含有することが好ましい。
<<−SO−NH−構造のpKa>>
−SO−NH−構造のpKaは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、3.5以上8.5以下であることが好ましく、4.0以上7.5以下であることがより好ましく、4.5以上7.0以下であることが更に好ましく、4.0以上7.0以下であることが特に好ましい。
本開示におけるpKaは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
−SO−NH−構造のpKaは、−SO−NH−構造における水素原子のpKaであることが好ましい。また、ポリマーDにおいて、pKaの最も小さい値を示す構造は、−SO−NH−構造であることが好ましい。
ポリマーDは、付加重合型樹脂であっても、重縮合樹脂であってもよいが、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、アクリル樹脂、ポリウレア樹脂又はポリウレタン樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂又はポリウレタン樹脂であることがより好ましく、アクリル樹脂であることが特に好ましい。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル化合物により形成される構成単位((メタ)アクリル化合物由来の構成単位)の含有量が50質量%以上である樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、及び、(メタ)アクリルアミド化合物が好適に挙げられる。
ポリマーDにおける−SO−NH−構造は、−SO−NH−構造を有する化合物(モノマー)を用いて、−SO−NH−構造を含む構成単位としてポリマーDに導入される。
<<−SO−NH−構造の例>>
ポリマーDにおける上記−SO−NH−構造は、経時画像部保持性、及び、経時耐刷性の観点から、−SO−NH−構造におけるスルホニル基(−SO−)は、芳香環に直接結合していることが好ましい。
また、ポリマーDにおける上記−SO−NH−構造は、経時画像部保持性、及び、経時耐刷性の観点から、−SO−NH−構造における窒素原子は、芳香環又は複素芳香環に直接結合していることが好ましく、複素芳香環に直接結合していることがより好ましい。
また、上記−SO−NH−構造における窒素原子には、水素原子は1つのみ結合していることが好ましい。すなわち、−SO−NH−構造における−NH−側には水素原子が結合していないことが好ましい。
また、ポリマーDにおける上記−SO−NH−構造は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、下記式1〜式3のいずれかで表される構造であることが好ましく、下記式1で表される構造であることがより好ましい。
式1〜式3中、Arは、アリーレン基を表し、Arは、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rは、1価の有機基を表し、*は、他の構造との結合部分を表す。
式1〜式3におけるArは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、フェニレン構造を有する基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましく、1,4−フェニレン基であることが特に好ましい。
式1におけるArは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、ヘテロアリール基であることが好ましく、フラン環、イソチアゾリン環、イソキサゾリン環、オキサジアゾリン環、オキサトリアジン環、オキサゾリン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリジン環、ピリミジン環、テトラジン環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、チアゾール環、チオフェン環及びトリアジン環よりなる群から選択される少なくとも1種の複素芳香環構造を有するヘテロアリール基であることがより好ましく、イソキサゾリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、チアジアゾール環及びチアゾール環よりなる群から選択される少なくとも1種の複素芳香環構造を有するヘテロアリール基であることが更に好ましく、チアジアゾール環を有するヘテロアリール基であることが特に好ましい。
また、上記ヘテロアリール基における各複素芳香環構造は、−SO−NH−構造における窒素原子に直接結合することが好ましい。また、上記各複素芳香環構造は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基及びアルコキシ基が好ましく挙げられる。
式2及び式3におけるRは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
また、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、上記式1における上記Arが、フェニレン構造を有する基であり、上記Arが、ヘテロアリール基であることが好ましく、上記Arが、フェニレン構造を有する基であり、上記Arが、フラン環、イソチアゾリン環、イソキサゾリン環、オキサジアゾリン環、オキサトリアジン環、オキサゾリン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリジン環、ピリミジン環、テトラジン環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、チアゾール環、チオフェン環及びトリアジン環よりなる群から選択される少なくとも1種の複素芳香環構造を有するヘテロアリール基であることがより好ましく、上記Arが、フェニレン構造を有する基であり、イソキサゾリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、チアジアゾール環及びチアゾール環よりなる群から選択される少なくとも1種の複素芳香環構造を有するヘテロアリール基であることが更に好ましく、上記Arが、フェニレン基であり、上記Arが、チアジアゾリル基又は5−メチルチアゾリル基であることが特に好ましい。
上記−SO−NH−構造を有する構成単位としては、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、下記式(SA1)〜式(SA3)のいずれかで表される構成単位であることが好ましく、下記式(SA1)で表される構成単位であることがより好ましい。
式(SA1)〜式(SA3)中、Arは、アリーレン基を表し、Arは、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rは、1価の有機基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Xは、−NR−又は−O−を表し、Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
式(SA1)〜式(SA3)におけるAr、Ar及びRは、式1〜式3におけるAr、Ar及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(SA1)〜式(SA3)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(SA1)〜式(SA3)におけるXは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、−NR−であることが好ましく、−NH−であることがより好ましい。
式(SA1)〜式(SA3)におけるRは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記−SO−NH−構造を有する構成単位の具体例としては、後述する実施例で示す構成単位を好適に挙げることができる。
ポリマーDは、−SO−NH−構造を有する構成単位を、1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
ポリマーDにおける−SO−NH−構造を有する構成単位の含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、ポリマーDの全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、65質量%以上98質量%以下であることが特に好ましく、75質量%以上95質量%以下であることが最も好ましい。
<<その他の構成単位>>
ポリマーDは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、−SO−NH−構造を有する構成単位以外のその他の構成単位を有することが好ましい。
その他の構成単位としては、特に制限はないが、(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位であることが好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位であることがより好ましく、アルキルメタクリレート化合物由来の構成単位であることが特に好ましい。
また、ポリマーDにおける上記その他の構成単位としては、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、下記式(M1)で表される構成単位を有することが好ましい。
式(M1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、アルキル基又はアリール基を表す。
式(M1)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(M1)のRにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、アルキル基、フェニル基及びヒドロキシ基が好ましく挙げられる。
式(M1)におけるRの炭素数(炭素原子数)は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
式(M1)におけるRは、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は、アラルキル基であることが好ましく、アルキル基、ヒドロキシエチル基、又は、ベンジル基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
−ポリマーDの含有量−
ポリマーDは、その他の構成単位を、1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
ポリマーDにおけるその他の構成単位の含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、ポリマーDの全質量に対し、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、2質量%以上35質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以上25質量%以下であることが最も好ましい。
<<ポリマーDの酸価>>
ポリマーDの酸価は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、1.0meq/g〜3.5meq/gが好ましく、1.3meq/g〜3.0meq/gがより好ましく、1.5meq/g〜2.0meq/gが更に好ましく、2.2meq/g〜2.8meq/gが特に好ましい。
本開示におけるポリマーDの酸価は、1gのポリマーDを中和するのに必要な水酸化カリウムのモル数で表され、JIS規格(JIS K0070:1992)による測定法で求められる値を用いることができる。
−ポリマーDの重量平均分子量−
ポリマーDの重量平均分子量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、5,000〜30,000であることが好ましく、8,000〜22,000であることがより好ましく、8,500〜20,000であることが更に好ましい。
画像記録層下層は、ポリマーDを、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
画像記録層下層におけるポリマーDの含有量は、得られる平版印刷版の画像形成性、小点耐刷性、及び、現像液の長期維持性の観点から、画像記録層下層の全質量に対し、10質量%〜99質量%であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
ポリマーDは、例えば、公知の方法により製造される。例えば、各構成単位の形成に用いられるモノマーと、公知の重合開始剤を含む組成物を用い、加熱又は露光等のエネルギー付与を行うことにより重合体としてポリマーDを得ることができる。上記組成物は公知の添加剤を更に含有してもよい。
上記エネルギー付与の詳細な条件としても、公知の文献を参照して決定すればよい。
ポリマーDにおける上記−SO−NH−構造を有する構成単位の具体例としては、後述する構成単位を好適に挙げることができるが、これらに限定されないことはいうまでもない。
〔赤外線吸収剤〕
本開示に係る平版印刷版に用いられる平版印刷版原版において、画像記録層が赤外線吸収剤を含有することが好ましい。また、本開示に係る平版印刷版に用いられる平版印刷版原版が2層構造である場合には、画像記録層上層が赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本開示において用いることができる赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本開示において、これらの染料のうち、赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
そのような赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、及び、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、下記式(a)で表されるシアニン色素は、安定性及び経済性に優れるため特に好ましい。
式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ジアリールアミノ基(−NPh)、−X−L又は以下に示す基を表し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族基又はヘテロ原子を有する炭素数1〜12の炭化水素基を表す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを表す。また、Phはフェニル基を表す。
上記式中、Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、及び、ハロゲン原子よりなる群から選択される置換基を表す。
21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。平版印刷版原版の保存安定性から、R21及びR22は、炭素数2以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R21とR22とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar及びArは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルコキシ基が挙げられる。
11及びY12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R23及びR24は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。
25、R26、R27及びR28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Zaは必要ない。好ましいZaは、平版印刷版原版の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はアリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる式(a)で表されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019、特開2002−40638号公報の段落0012〜0038、特開2002−23360号公報の段落0012〜0023に記載されたものを挙げることができる。
画像記録層が含有する赤外線吸収剤として特に好ましくは、以下に示すシアニン染料Aである。
画像記録層は、赤外線吸収剤を、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
赤外線吸収剤の含有量としては、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であると、高感度となり、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
〔その他のポリマー〕
本開示における画像記録層は、ポリマーA、B、及び、C以外のその他のポリマーを更に含んでいてもよい。
画像記録層は、その他のポリマーとして、フェノール樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、アセタール樹脂、及び、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
その他のポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、弱アルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
−フェノール樹脂−
本開示において用いられるその他のポリマーとして用いられるフェノール樹脂としては、重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂は、構成単位としてフェノール、あるいは置換フェノール類を含むフェノール樹脂であり、好ましくはノボラック樹脂である。ノボラック樹脂は、平版印刷版原版において、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から好ましく用いられる。
このノボラック樹脂は、分子内に構成単位としてフェノール類を含むものであれば特に制限はない。
本開示におけるノボラック樹脂は、フェノール、以下に示される置換フェノール類と、アルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、具体的には、フェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールである。また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドである。
より具体的には、本開示におけるノボラック樹脂しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、フェノールとクレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂)等が挙げられる。
また、ノボラック樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これらノボラック樹脂の中でも、特に好ましいものとして、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
上記フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000を超え50,000以下であり、2,500〜20,000であることが更に好ましく、3,000〜10,000であることが特に好ましい。また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
上記数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
このようなフェノール樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本開示における画像記録層中のフェノール樹脂の含有量は、画像形成性に優れた平版印刷版原版を得る観点から、ポリマーBの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
−側鎖に酸性基を含有する樹脂−
その他のポリマーとしては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、アセタール樹脂、及び、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂が挙げられる。
これらの樹脂としては、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の側鎖中に有する樹脂を好適に用いることができる。
(1)フェノール性水酸基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SONH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SONHCOR、−SONHSOR、−CONHSOR〕
(4)カルボン酸基(−COH)
(5)スルホン酸基(−SOH)
(6)リン酸基(−OPO
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい二価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する樹脂の中でも、pKaが9以下の酸基を側鎖に有する樹脂が好ましく、カルボキシ基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
<<スチレン−アクリロニトリル共重合体>>
スチレン−アクリロニトリル共重合体は、スチレン由来の構成単位と、アクリロニトリル由来の構成単位を少なくとも含む樹脂であれば、特に制限はないが、上記酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
また、スチレン−アクリロニトリル共重合体としては、平版印刷版原版の画像記録層に用いるものとして公知のものを特に制限なく使用することができる。
アクリロニトリル由来の共重合成分としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルが挙げられるが、このうち好ましいのは、アクリロニトリルである。
また、スチレン由来の共重合成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−カルボキシスチレン等が挙げられ、いずれも好適に使用することができる。
アクリロニトリル由来の共重合成分とスチレン由来の共重合成分との比率であるが、その総量に対しアクリロニトリル由来の共重合成分が5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜45質量%であることがより好ましい。
また、アクリロニトリル由来の構成単位、スチレン由来の構成単位以外に、他の構成単位を更に含んでもよい。他の構成単位としては、共重合可能なC=C結合を有する化合物に由来する構成単位であれば特に指定はないが、アクリル系の化合物が好ましく、炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数1〜6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、酸性基を有する構成単位を更に含んでもよい。
酸性基を有する構成単位としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等の重合性化合物に由来する構成単位等が挙げられる。また、後述するアクリル樹脂における酸性基を有する構成単位を含んでもよい。
これらの他の構成単位は、樹脂の全質量に対し、1質量%〜30質量%の間で含有することができる。
スチレン−アクリロニトリル共重合体は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合といった公知のラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法などにより合成することができる。また共重合体の形として、線状のランダム共重合体に限らず、ブロック共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
本開示において、好ましいスチレン−アクリロニトリル共重合体の重量平均分子量は1,000〜1,000,000であり、より好ましくは3,000〜300,000である。
画像記録層におけるスチレン−アクリロニトリル共重合体の含有量は、画像記録層の全質量に対し、5質量%〜80質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜70質量%の範囲であることがより好ましい。
−アクリル樹脂−
アクリル樹脂は、アクリル化合物由来の構成単位を少なくとも含む樹脂であれば、特に制限はないが、上記酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
また、アクリル樹脂としては、平版印刷版原版の画像記録層に用いるものとして公知のものを特に制限なく使用することができる。
アクリル樹脂としては、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー又はその混合物を重合することによって生成した高分子が好適に用いられる。
酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、又は、下記式により表されるモノマーが好ましく挙げられる。これらのモノマーの中でも(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。

現像性に優れることから、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーの含有量は、アクリル樹脂の全質量に対し、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましく、10質量%〜20質量%が更に好ましい。
酸性基を有するエチレン性不飽和モノマー以外の他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートや、脂肪族水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル類、スチレン類、N−ビニルピロリドン等の窒素原子含有モノマー、マレイミド類が挙げられる。これらの他のモノマーのうち、好適に使用されるものは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルであり、より好適には(メタ)アクリルアミド、マレイミド類である。
マレイミド類としては、N−置換マレイミドが好ましく、N−置換マレイミドとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等を挙げることができる。中でも、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドがより好ましい。N−置換マレイミドは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
N−置換マレイミドに由来する構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全質量に対し、50質量%以下が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましく、10質量%〜40質量%が更に好ましい。
また、(メタ)アクリルアミドに由来する構成単位を含む場合、上記構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全質量に対し、40質量%以下が好ましく、1質量%〜40質量%がより好ましく、2質量%〜30質量%が更に好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、10,000〜100,000がより好ましく、30,000〜60,000が更に好ましい。
画像記録層中におけるアクリル樹脂の含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。
−アセタール樹脂−
また、アセタール樹脂としては、下記式EV−1及び下記式EV−2により表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
式EV−1又は式EV−2中、Lは二価の連結基を表し、xは0又は1であり、Rは少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環基又はヘテロ芳香環基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
式EV−1中、Rは少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環又はヘテロ芳香環を表し、ヒドロキシ基はLとの結合部位に対し、オルト、メタ、パラ位のいずれに有していてもよい。
芳香環の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基が挙げられる。
ヘテロ芳香環の好ましい例としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基が挙げられる。
これらの芳香環又はヘテロ芳香環は、ヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、−SH、アゾアルキル基やアゾフェニル基等のアゾ基、チオアルキル基、アミノ基、エテニル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は、複素脂環式基が挙げられる。
はヒドロキシ基を有するヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基であることが好ましく、ヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
ヒドロキシフェニル基としては、2−、3−、又は、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
ヒドロキシナフチル基としては、2,3−、2,4−、又は、2,5−ジヒドロキシナフチル基、1,2,3−トリヒドロキシナフチル基、及び、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。
ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
式EV−1中、Lは二価の連結基を表し、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−NH−、−NH−C(=S)−NH−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−CH=N−、−NH−NH−、又は、これらの結合により表される基を表すことが好ましい。
上記アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、及び、ホスホン酸基又はその塩が挙げられる。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基であることがより好ましく、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、又は、フェニレン基であることが更に好ましい。
式EV−2中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メトキシブチル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、エテニル基、n−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、ネオペンテニル基、1−メチルブテニル基、イソヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、メチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
芳香環としては、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
ヘテロ芳香環としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又はメチル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、芳香環又はヘテロ芳香環における置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、チオアルキル基、及び、−SHが挙げられる。
芳香環又はヘテロ芳香環は、置換基として、アリーロキシ基、チオアリール基、アゾアルキル基及びアゾアリール基等のアゾ基、又は、アミノ基、を有していてもよい。
式EV−1により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、10モル%以上が好ましく、10モル%〜55モル%がより好ましく、15モル%〜45モル%が更に好ましく、20モル%〜35モル%が特に好ましい。
式EV−2により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、15モル%以上が好ましく、15モル%〜60モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が更に好ましく、25モル%〜45モル%が特に好ましい。
また、式EV−1により表される構成単位、及び、式EV−2により表される構成単位の合計含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、50モル%〜90モル%が好ましく、60モル%〜80モル%がより好ましく、65モル%〜75モル%が更に好ましい。
上記アセタール樹脂の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、10,000〜500,000がより好ましく、10,000〜300,000が更に好ましい。
画像記録層中における上記アセタール樹脂の含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。
−ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂−
ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂とは、主鎖がウレア結合により形成されているポリマーをポリウレア、主鎖がウレタン結合により形成されているポリマーをポリウレタン、主鎖がアミド結合により形成されているポリマーをポリアミドという。ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂は、ウレア結合、ウレタン結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を主鎖に有していればよく、これらの結合の2種以上を主鎖に有していてもよい。
ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂に含まれる構成単位としては、多価イソシアネート化合物により形成される構成単位、多価カルボン酸塩化合物(例えば、多価カルボン酸ハライド化合物、又は、多価カルボン酸エステル化合物)により形成される構成単位等が挙げられる。
これらの樹脂は、酸基を側鎖に有することが好ましい。
上記酸基は、例えば、酸基を有する多価アルコール化合物、又は、酸基を有する多価アミン化合物により形成される構成単位としてこれらの樹脂に導入される。上記多価アルコール化合物は、ジオール化合物であることが好ましい。また、上記多価アミン化合物は、ジアミン化合物であることが好ましい。
上記酸基のpKaは、現像性の観点からは、9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
酸基のpKaの下限は、特に限定されないが、−5以上であることが好ましく、1以上がより好ましい。これらのpKaは既述のpKaと同様にして計算することができる。
pKaが9以下の酸基は、特に限定されないが、スルホンアミド基(−SO−NH−又は−SO−NRsH、Rsは水素原子又は公知の置換基)、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、等が挙げられ、耐刷性、アブレーション抑制性及び現像性の観点からは、カルボキシ基が好ましい。
また、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂に含まれるその他の構成単位として、酸基を有する多価アルコール化合物又は塩基基を有する多価アルコール化合物以外の多価アルコール化合物、及び、上記酸基を有する多価アミン化合物又は塩基基を有する多価アミン化合物以外の多価アミン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物により形成される構成単位をさらに有してもよい。
上記多価イソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましい。
上記多価カルボン酸塩化合物としては、ジカルボン酸塩化合物が好ましい。
上記多価アルコール化合物としては、ジオール化合物が好ましい。
上記多価アミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましい。
例えば、上記多価イソシアネート化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にウレア結合を有する樹脂(ポリウレア)が得られる。
また、例えば、上記多価イソシアネート化合物と、上記多価アルコール化合物と、必要に応じて上記多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にウレタン結合を有する樹脂(ポリウレタン)が得られる。
加えて、例えば、上記多価カルボン酸塩化合物と、必要に応じて上記他の多価アルコール化合物と、上記他の多価アミン化合物と、を反応させることにより、主鎖にアミド結合を有する樹脂(ポリアミド)が得られる。
これらの反応は、公知の条件により行うことができる。
多価イソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
多価イソシアネート化合物により形成される構成単位の含有量は、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
多価カルボン酸塩化合物としては、多価カルボン酸ハライド化合物(例えば、多価カルボン酸クロライド化合物)、又は、多価カルボン酸エステル化合物等が挙げられ、例えば、下記CL−1〜CL−10等が挙げられる。
多価カルボン酸塩化合物により形成される構成単位の含有量は、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
多価アルコール化合物としては、後述するアルキレンオキシ基を有する構成単位の形成に用いられる多価アルコール化合物等が挙げられ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。
多価アルコール化合物により形成される構成単位の含有量は、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の全質量に対し、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
多価アミン化合物としては、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
多価アミン化合物により形成される構成単位の含有量は、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の全質量に対し、0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂は、耐刷性をより向上する観点からは、アルキレンオキシ基を有する構成単位を更に主鎖に有することが好ましい。
上記アルキレンオキシ基としては、炭素数2〜10のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数2〜8のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基が更に好ましく、エチレンオキシ基、又は、プロピレンオキシ基が特に好ましい。
また、上記アルキレンオキシ基は、ポリアルキレンオキシ基であってもよい。
ポリアルキレンオキシ基としては、繰り返し数2〜50のポリアルキレンオキシ基が好ましく、繰り返し数2〜40のポリアルキレンオキシ基がより好ましく、繰り返し数2〜30のポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基の構成単位の好ましい炭素数は、上記アルキレンオキシ基の好ましい炭素数と同様である。
上記アルキレンオキシ基を有する構成単位は、例えば、上記多価アルコール化合物としてポリアルキレングリコール化合物(例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール等)を用いることにより導入される。
アルキレンオキシ基を有する構成単位の含有量は、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の全質量に対し、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、10,000〜100,000がより好ましく、10,000〜60,000が更に好ましい。
画像記録層中におけるウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂の含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、5質量%〜50質量%がより好ましい。
〔酸発生剤〕
本開示における画像記録層は、得られる平版印刷版原版における感度向上の観点から、酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において酸発生剤とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。この酸発生剤から発生した酸によって、平版印刷版原版における露光部への現像液の浸透性が高くなり、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性がより向上するものである。
本開示における画像記録層において好適に用いられる酸発生剤としては、国際公開第2016/047392号の段落0116から段落0130に記載の酸発生剤が挙げられる。
中でも、感度と安定性の観点から、酸発生剤としてオニウム塩化合物を用いることが好ましい。以下、オニウム塩化合物について説明する。
本開示において好適に用い得るオニウム塩化合物としては、赤外線露光、及び、露光により赤外線吸収剤から発生する熱エネルギーにより分解して酸を発生する化合物として知られる化合物を挙げることができる。本開示に好適なオニウム塩化合物としては、感度の観点から、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する、以下に述べるオニウム塩構造を有するものを挙げることができる。
本開示において好適に用いられるオニウム塩としては、公知のジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジニウム塩等が挙げられ、中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムのスルホン酸塩、カルボン酸塩、BF 、PF 、ClO などが好ましい。
本開示において酸発生剤として用い得るオニウム塩としては、下記式III〜式Vのいずれかで表されるオニウム塩が挙げられる。
上記式III中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルコキシ基、又は炭素数12以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−はハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオン、及び、ペルフルオロアルキルスルホン酸イオン等フッ素原子を有するスルホン酸イオンよりなる群から選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アリールスルホン酸イオン、及びペルフルオロアルキルスルホン酸である。
上記式IV中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基又は、ジアリールアミノ基(2つのアリール基の炭素数が、それぞれ独立に、6〜12)が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式V中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数1〜12のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
本開示における画像記録層において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例は、国際公開第2016/047392号の段落0121〜段落0124に記載された化合物と同様である。
また、上記式III〜式Vで表される化合物の別の例としては、特開2008−195018号公報の段落0036〜0045において、ラジカル重合開始剤の例として記載の化合物を、本開示に係る酸発生剤として好適に用いることができる。
本開示に用いうる酸発生剤のより好ましい例として、下記化合物(PAG−1)〜(PAG−5)が挙げられる。
これらの酸発生剤を本開示における画像記録層に含有させる場合、これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸発生剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜30質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲において、酸発生剤添加の効果である感度の向上が見られると共に、非画像部における残膜の発生が抑制される。
〔酸増殖剤〕
本開示における画像記録層は、酸増殖剤を含有してもよい。本開示における酸増殖剤とは、比較的に強い酸の残基で置換された化合物であって、酸触媒の存在下で容易に脱離して新たに酸を発生する化合物である。すなわち、酸触媒反応によって分解し、再び酸を発生する。1反応で1つ以上の酸が増えており、反応の進行に伴って加速的に酸濃度が増加することにより、飛躍的に感度が向上する。この発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。酸解離定数として3以下であれば、酸触媒による脱離反応を引き起こしやすい。
このような酸触媒に使用される酸としては、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェニルスルホン酸等が挙げられる。
使用可能な酸増殖剤は、国際公開第2016/047392号の段落0133から段落0135に記載されたものと同様である。
これらの酸増殖剤を画像記録層中に添加する場合の含有量としては、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましい。酸増殖剤の含有量が上記範囲において、酸増殖剤を添加する効果が充分に得られ、感度向上が達成されるともに、画像部の膜強度低下が抑制される。
〔その他の添加剤〕
本開示における画像記録層は、その他の添加剤として、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
−現像促進剤−
本開示における画像記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像記録層の全質量に占める割合は、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
−界面活性剤−
本開示における画像記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の画像記録層の全質量に占める割合は、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
−焼出し剤/着色剤−
本開示における画像記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤及び着色剤としては、例えば、特開2009−229917号公報の段落0122〜0123に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本開示においても適用しうる。
焼出し剤又は着色剤の含有量は、それぞれ独立に、画像記録層の全質量に対し、0.01〜10質量%の割合で添加することが好ましく、0.1質量%〜3質量%の割合で添加することがより好ましい。
−可塑剤−
本開示における画像記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%の割合で添加することが好ましく、1.0質量%〜5質量%の割合で添加することがより好ましい。
−ワックス剤−
本開示における画像記録層には、傷に対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特開2003−149799号公報、特開2003−302750号公報、又は、特開2004−12770号公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
添加量として好ましいのは、画像記録層の全質量に対する割合が0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版において、画像記録層が含有するポリマーDのpKaから画像記録層上層が含有するポリマーA又はポリマーBのpKaを引いた差の値((ポリマーAにおける−SO−NH−構造のpKa)−(ポリマーA又はポリマーBにおける酸基のpKa))は、経時画像部保持性、及び、経時耐刷性の観点から、0を超えることが好ましく、0.5以上5.0以下であることがより好ましく、1.5以上4.5以下であることが更に好ましく、2.0以上4.0以下であることが特に好ましい。
〔画像記録層の作製方法〕
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版は、単層であっても、画像記録層を複数有していてもよい。
なお、本開示における画像記録層が複数の画像記録層を有する場合、その全ての層が、例えば、赤外線感応性を有する必要はなく、画像記録層全体として、現像により画像様の版を形成可能な層であればよい。
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版は、画像記録層として、画像記録層下層、及び、画像記録層上層以外の1層以上の層(以下、「他の層」ともいう。)を更に有していてもよい。他の層としては、公知の画像記録層における層が挙げられる。また、他の層の位置は、特に制限はなく、支持体と画像記録層下層との間であっても、画像記録層下層と画像記録層上層との間であっても、画像記録層上層上であってもよい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版は、例えば、上記ポリマーと、赤外線吸収剤と、を、支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、風乾、加熱による乾燥等が挙げられる。
また、画像記録層が上層及び下層より形成される2層構造の平版印刷版原版である場合、下層及び上層は、2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去する方法等が挙げられる。後者の方法を併用することにより、層間の分離が一層良好に行われることになるため好ましい。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる成分のいずれもが不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。例えば、下層成分として、上層成分であるポリマーBを溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、上記下層成分を溶解する溶剤系を用いて下層を塗布、乾燥し、その後、ポリマーBを含む上層をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解し、塗布、乾燥することにより二層化が可能になる。
次に、2層目(上層)を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつけることや、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与えること、あるいはそれらを組み合わせることにより達成できる。
画像記録層下層は、経時現像性、及び、経時耐刷性の観点から、画像記録層上層よりも厚いことが好ましい。すなわち、画像記録層下層の単位面積当たりの量は、経時現像性、及び、経時耐刷性の観点から、画像記録層上層の単位面積当たりの量よりも多いことが好ましい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版において、画像記録層下層の単位面積当たりの量は、特に制限はないが、0.5g/m〜4.0g/mの範囲にあることが好ましく、0.6g/m〜2.5g/mの範囲にあることがより好ましい。0.5g/m以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、画像記録層上層の単位面積当たりの量は、特に制限はないが、0.05g/m〜1.0g/mの範囲にあることが好ましく、0.08g/m〜0.7g/mの範囲であることがより好ましい。0.05g/m以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m以下であると、感度に優れる。
画像記録層全体の単位面積当たりの塗布量としては、特に制限はないが、0.6g/m〜4.0g/mの範囲にあることが好ましく、0.7g/m〜2.5g/mの範囲にあることがより好ましい。0.6g/m以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
<支持体>
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版は、支持体を有する。
本開示における支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
なお、本開示における支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であることが好ましい。
本開示において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本開示に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本開示において用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1mm〜0.6mmであることが好ましく、0.15mm〜0.4mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであることが特に好ましい。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行ってもよい。アルミニウム支持体の表面処理については、例えば、特開2009−175195号公報の段落0167〜0169に詳細に記載されるような、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理、表面の粗面化処理、陽極酸化処理などが適宜、施される。
陽極酸化処理を施されたアルミニウム表面は、必要により親水化処理が施される。
親水化処理としては、特開2009−175195号公報の段落0169に開示されているような、アルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法、フッ化ジルコン酸カリウムあるいは、ポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、特開2011−245844号公報に記載された支持体も好ましく用いられる。
<下塗層>
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と画像記録層との間に下塗層を有することができる。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。下塗層に使用される化合物の詳細、下塗層の形成方法は、特開2009−175195号公報の段落0171〜0172に記載され、これらの記載は本開示にも適用される。
下塗層の被覆量は、2mg/m〜200mg/mであることが好ましく、5mg/m〜100mg/mであることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。
<バックコート層>
本開示に係る平版印刷版の作製方法に用いられる平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OCなどのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成単位の比率はモル百分率である。また、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
<ポリマーAの合成>
下記方法により、ポリマーAであるPA−1を合成した。
〔PA−1の合成〕
三つ口フラスコ中に1−メトキシ−2−プロパノール:48.0g、酢酸:1.58gを入れ窒素気流下、75℃で30分撹拌した。そこにモノマーA1−1:7.44g、MMA(メチルメタクリレート):1.28g、モノマーB1−16.28g、V−601(商品名、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、富士フイルム和光純薬(株)製):0.34gとメタノール:12.0gとの混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に75℃で2時間反応させた後、よく撹拌した水:500gに注ぐと固体が析出した。析出した固体をろ過し、水洗後、減圧下にて乾燥して、ポリマーPA−1を得た。PA−1のpKaは4.7であり、pKaHは9.4であった。
<ポリマーBの合成>
下記方法により、ポリマーBであるPB−1を合成した。
〔PB−1の合成〕
使用するモノマーを適宜変更した以外は、PA−1と同様の方法により合成を行った。PB−1のpKaは4.7であった。
<ポリマーCの合成>
下記方法により、ポリマーCであるPC−1を合成した。
〔PC−1の合成〕
使用するモノマーを適宜変更した以外は、PA−1と同様の方法により合成を行った。pKaHは9.4であった。
<その他のポリマーの合成>
下記方法により、その他のポリマーであるPO−1を合成した。
〔PO−1の合成〕
使用するモノマーを適宜変更した以外は、PA−1と同様の方法により合成を行った。
<ポリマーDの合成>
下記方法により、SA−1を合成した。
〔構成単位S−1を形成するモノマーの合成〕
200mL三つ口フラスコに、サルファメチゾール:15g(東京化成工業(株)製)、水酸化ナトリウム:2.22g、アセトン:100g、純水:100gを入れ、氷浴しながら撹拌した。ここに、メタクリル酸クロリド:6.09g(東京化成工業(株)製)を滴下し、滴下終了後、室温で2時間撹拌した。内容物を1L純水に注ぎ、1N(1mol/L)濃塩酸でpH2に調製した。得られた固体をろ取し、水洗してモノマーS−1を得た。
〔構成単位UP−1を形成するモノマーS−11の合成〕
モノマーS−1の合成において、上記サルファメチゾールを対応するアミンに変更した以外は、同様の方法により、それぞれ合成した。
〔SA−1の合成〕
三つ口フラスコ中にジメチルスルホキシド:16.7gを入れ窒素気流下、85℃で30分撹拌した。そこに上記モノマーS−1:8.46g、SPM(N−(4−サルファモイルフェニル)メタクリルアミド):1.54g、V−601(商品名、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、富士フイルム和光純薬(株)製):0.094g及びジメチルスルホキシド:18.0gの混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に85℃で1時間反応させた後、よく撹拌した水:500gに注ぐと固体が析出した。析出した固体をろ過し、水洗後減圧下にて乾燥して、SA−1を得た。
〔UP−1の合成〕
使用するモノマー及びその使用量を適宜変更した以外は、SA−1と同様の方法により合成を行った。
(実施例1〜24及び比較例1〜11)
<支持体の作製>
国際公開第2015/152209号の段落0224〜0297と同様の方法により支持体を製造した。全ての実施例と比較例にてこの支持体を使用した。
<下塗層の形成>
上記支持体上に、以下に示す下塗層塗布液1を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、下塗層を設けた。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
〔下塗層塗布液1〕
・重量平均分子量2.8万の下記共重合体:0.3部
・メタノール:100部
・水:1部
上記化学式中、括弧の添字は各構成単位の含有量(質量%)を表す。また、Etはエチル基を表す。
<画像記録層下層及び画像記録層上層の形成>
得られた下塗層を設けた支持体に、下記組成の画像記録層下層形成用感光性樹脂組成物を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して塗布量を0.7g/mとなるようにし、画像記録層下層を設けた。画像記録層下層を設けた後、下記組成の画像記録層上層形成用感光性樹脂組成物をワイヤーバーで塗布し画像記録層上層を設けた。塗布後150℃、40秒間の乾燥を行い、画像記録層上層の塗布量が0.3g/mとなる平版印刷版原版を得た。
画像記録層上層形成用感光性樹脂組成物、及び、画像記録層下層形成用感光性樹脂組成物は、ポジ型の感光性樹脂組成物である。
−画像記録層上層形成用感光性樹脂組成物−
表1又は表2に記載のポリマー:0.58部
赤外線吸収剤(IR色素(1):下記構造):0.045部
メガファック(登録商標)F−780(フッ素系界面活性剤、DIC(株)製):0.03部
酢酸:12.0部
メチルエチルケトン:13.0部
1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
−画像記録層下層形成用感光性樹脂組成物−
・表1又は表2に記載のポリマー:3.5部
・メガファックF−780:0.07部
・メチルエチルケトン:30.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15.0部
・γ−ブチロラクトン:15.0部
・4,4'−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
(実施例25〜35及び比較例12〜23)
<感光性樹脂組成物の調製>
下記組成に記載した各成分を混合し、感光性樹脂組成物(I)を調製した。感光性樹脂組成物(I)はポジ型の感光性樹脂組成物である。
〔感光性樹脂組成物(I)〕
・表3に記載のポリマー:0.58部
・赤外線吸収剤(IR色素(1):上記構造):0.045部
・メガファックF−780:0.03部
・酢酸:12.0部
・メチルエチルケトン:13.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4−ヒ
ドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
<画像記録層(単層)の形成>
得られた下塗り層付きの支持体に、上記感光性樹脂組成物(I)を、ワイヤーバーで塗布した後、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して、塗布量を1.0g/mとなるようにし、画像記録層を設け、平版印刷版原版を得た。
上記で得られた平版印刷版原版を用いて、以下の評価を行った。結果は表1〜3に記載した。
<画像形成性>
上記で得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、表1〜表3に記載の現像液を仕込んだ現像浴に浸漬させ、現像温度0℃で非画像部の現像に要する時間を測定した。マクベス濃度計により、露光部、及び、未露光部の画像記録層の画像濃度を測定し、以下の評価基準に従って画像形成性の評価を行った。
露光部(非画像部)の現像時間が短いほど、現像性が良好である。
−評価基準−
A:露光部の画像記録層の支持体の画像濃度が支持体の濃度と同等になってから、未露光部の画像濃度が初期の濃度に対して3%以上濃度低下するまでの時間が30秒以上である。
B:露光部の画像記録層の支持体の画像濃度が支持体の濃度と同等になってから、未露光部の画像濃度が初期の濃度に対して3%以上濃度低下するまでの時間が10秒以上30秒未満である。
C:露光部の画像記録層の支持体の画像濃度が支持体の濃度と同等になってから、未露光部の画像濃度が初期の濃度に対して3%以上濃度低下するまでの時間が0秒以上10秒未満である。
D:露光部の画像記録層の支持体の画像濃度が支持体の濃度と同等になるまでに、未露光部の画像濃度が初期の濃度に対して3%以上濃度低下している。
E:浸漬させてから30秒の時点で、露光部の画像記録層の上記画像濃度が支持体の上記画像濃度と同等とならなかった、又は、未露光部の画像記録層の上記画像濃度が露光部の画像濃度とほとんど変わらず、画像形成できていない。
<現像液長期維持性>
表1〜表3に記載の現像液、及び、不感脂化処理液を表1〜表3に記載の自動現像処理機に仕込み、循環ポンプを稼働した。上記で得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みし、表1〜表3に記載の自動現像処理機で通版した。
さらに得られた平版印刷版の版上のFM20μmの50%網点の網点面積を、IC−plateII(Gretag Macbeth社製)を用いて測定した。
24時間以内の循環によって、FM50%網点面積が4%以上増加し、現像液の活性低下が認められたものは、経時補充の必要「あり」とし、FM50%網点面積が4%未満だったものは、経時補充の必要「なし」とした。経時補充の必要が無いことが良好とした。
<水洗廃液>
上記で得られた平版印刷版原版を表1〜表3に記載の現像処理条件に従って、現像処理を行い、水洗廃液の発生の有無を表1〜表3に記載した。
<網点再現性>
上記で得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、FM20μmの50%網点の平網画像を画像状に描き込みし、表1〜表3に記載の自動現像処理機で通版した。
図1の自動現像処理機にて、通版時に処理中の平版印刷版が1浴出口のニップローラーと2浴入口の搬送ローラーを通過する際、2浴目ローラー側から1浴目に向って、版上を2浴目の処理液がスジ状に流れる現象が見られ、2浴目の処理液がスジ状に流れた部分とそれ以外の部分とを特定し、自動現像処理機1から排出された平版印刷版について、版上の網点を目視し、スジ状のムラの有無を観察し、下記の評価基準に従い網点再現性の評価を行った。
上記スジ状のムラは、自動現像処理機1にて、通版時に処理中の平版印刷版が1浴出口のニップローラーと2浴入口の搬送ローラーを通過する際、2浴目ローラー側から1浴目に向って、平版印刷版原版上を2浴目の処理液がスジ状に流れる現象に起因するものである。
−評価基準−
A:得られた平版印刷版において、スジ状のムラは全く観察されない。
B:得られた平版印刷版において、2浴目の処理液が流れた部分に、スジ状ではないが、僅かに網点濃度が高く見える部分が観察される。
C:得られた平版印刷版において、2浴目の処理液が流れた部分の網点濃度が極わずかに高く見えるスジ状のムラが1本観察される。
D:得られた平版印刷版において、2浴目の処理液が流れた部分の網点濃度が高く見えるスジ状のムラが2本以上観察される。
E:得られた平版印刷版において、2浴目の処理液が流れた部分の網点濃度が高く見える明確なスジ状のムラが観察される。
<現像カス抑制性>
得られた平版印刷版原版を1003mm×800mmに裁断、多数枚用意した。平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、全面ベタ露光した後、表1及び表2に記載の自動現像処理機および必要量の現像液、ガム液を用いて処理した。上記処理は一日あたり150版であり、これを1ヶ月間連続して行い、下記の評価基準に従い現像カス抑制性の評価を行った。
現像液に現像液1を用いる場合、現像浴へは水の蒸発による液面低下に伴い、液面を保つために水道水の補充のみ行った。
現像液にXP−Dを用いる場合、富士フイルム(株)製現像補充液XP−DRを1:6.5の割合で水で希釈したものを、1m当たり30mL現像浴へ補充した。また、2浴目と3浴目にガム液を用いる場合、3浴目に富士フイルム(株)製ガム液XP−Gを1:1の割合で水で希釈したものを1mあたり15mL補充した。2浴目には、3浴目のオーバーフローが2浴目に流入する接続パイプを介して、3浴目のオーバーフローを補充した。
2浴目で水洗し、3浴目でガム液を用いる場合は、3浴目に富士フイルム(株)製ガム液XP−Gを1:1の割合で水で希釈したものを1mあたり15mL補充し、3浴目のオーバーフローが2浴目に流入する接続パイプを閉じた。
2浴目のみガム液を用いる場合は、2浴目に富士フイルム(株)製ガム液XP−Gを1:1の割合で水で希釈したものを1mあたり15mL補充した。
−評価基準−
A:処理を1ヶ月間続けたが、処理後の版上には付着物等は認められず、又、印刷も問題なく行うことができた。現像処理終了後、自動現像機内部を観察した結果、第1の不感脂化処理浴(1浴)及び第2の不感脂化処理浴(2浴)とも沈殿は見られず、又、スプレーパイプの詰まりも認められない。
B:現像処理後の版上に2個以下の付着物等は認められたが、印刷は問題なく行うことができた。
C:現像処理後の版上に5個以下の付着物等は認められたが、印刷は問題なく行うことができた。
D:現像処理後の版上に付着物が認められ、印刷においても2個以下の点状の汚れが生じた。また、自動現像機内部を観察した結果、第1の不感脂化処理浴にヘドロ状のカスが僅かに沈殿していた。
E:処理開始後1週間以内に、処理した版にはカスが付着し、印刷においても5個以上の点状の汚れが生じた。また、自動現像機内部を観察した結果、第1の不感脂化処理浴にヘドロ状のカスが沈殿しており、又、スプレーパイプも目詰まりしていた。
<小点耐刷性>
上記で得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、画像状に描き込みし、表1及び表2の自動現像処理機で通版した。露光画像には、ベタ画像及び富士フイルム(株)製のTAFFETA20(FMスクリーン)の50%網点及び3%網点を含むようにした。
上記露光及び現像条件によって得られた平版印刷版を、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRNE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して、印刷を開始し、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(連量:76.5kg)紙に印刷を行った。
印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン3%網点の画像を25倍ルーペで確認し、1視野中で消失した網点が5個以上確認されたときの印刷部数を刷了枚数として評価した。数値が大きい程、耐刷性が優れている。
−評価基準−
A:1視野に消失した網点の数が2個以下である。
B:1視野に消失した網点の数が3個〜4個である。
C:1視野に消失した網点の数が5個〜6個である。
D:1視野に消失した網点の数が7個〜8個である。
E:網点が完全に消失している。
表1〜表3中、「−」は該当する成分を含まないことを意味する。
表1〜表3中、自動現像処理機2を用いた場合は、現像廃液のみ生じた。
表2及び表3中、比較例8、12、13、及び、19における「水洗廃液」の評価において「あり」とは、自動現像処理機1の現像浴(1浴)の後、2浴目で水洗をする場合、3浴目のオーバーフローが2浴目に流入するように設けた接続パイプのコックを閉じたところ、1浴目の現像廃液及び3浴目のガム廃液とは別に、2浴目で水洗廃液が生じたことを意味する。
また、表1〜表3中、「水洗廃液」の評価において「なし」とは、2浴目で水洗をしない場合は、水洗廃液は生じなかったこと、又は、自動現像処理機1で2浴目及び3浴目でガム処理液を使用する場合、1浴目の現像廃液及び3浴目のガム廃液のみ生じたことを意味する。
また、上述した以外の表1〜表3に記載の略称の詳細を以下に示す。
<<ポリマーA>>
・PA−2:下記構造を有する化合物。a/b/c=49.6/41.9/8.5(質量比)、重量平均分子量15,000、pKa=4.7、pKaH=5.1。
・PA−3:下記構造を有する化合物。a/b/c=47.3/41.9/10.8(質量比)、重量平均分子量15,000、pKa=4.2、pKaH=9.4。
・PA−4:下記構造を有する化合物。a/b/c/d=21/32/37/10(質量比)、重量平均分子量15,000、pKa=4.8、pKaH=10。
<<ポリマーB>>
・polymer1:スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸=6/1/2(モル比
)、重量平均分子量20,000
・polymer2:メタクリル酸メチル/メタクリル酸=8/2(モル比)、重量平均
分子量40,000
・polymer3:下記構造を有する化合物、a/b/c/d=3/3/3/1(モル比)重
量平均分子量120,000
・polymer4:下記構造を有する化合物、a/b/c=4/1/5(モル比)、重量平均
分子量28,000
・コポリマー1:国際公報第2016/047392号明細書の段落[0314]に記載のスチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマー(組成比(mol%):69/25/6、重量平均分子量:45,000)
・ポリウレタン1
国際公報第2016/047392号明細書の段落[0315]及び[0316]に記載の下記構造のジイソシアネート化合物とジオール化合物とを1:1となるように重合したもの。
<<ポリマーC>>
・PC−2:下記構造を有する化合物。a/b=27/73(質量比)、重量平均分子量15,000、pKaH=9。
・PC−3:下記構造を有する化合物。a/b=18/82(質量比)、重量平均分子量15,000、pKaH=5。
<<その他のポリマー>>
・ノボラック樹脂:住友ベークライト(株)製、PR54046、m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比))
<<ポリマーD>>
・PT−1:下記構造のモノマーの重縮合物。
・CP−1:N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/メタクリル酸メチル/アクリロニトリル=35/35/30(モル比)の共重合体(重量平均分子量6.5万)
<<処理液(現像液)>>
・現像液1:pH:9.9、下記成分からなる現像液。
I−k(N−ラウリン酸アミドプロピルジメチルベタイン):200重量部
II−f(N−ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド):200重量部
Y−1(ポリオキシエチレンナフチルエーテル):400重量部
炭酸ナトリウム:88重量部
炭酸水素ナトリウム:37重量部
グルコン酸ナトリウム:50重量部
2,5,8,11−TETRAMETHYL−DODECYNE−5,8−DIOL:3重量部
エチレンジアミンジサクシネート:20重量部
防腐剤(ACTICIDE LA):3重量部
消泡剤(東芝シリコーン製、TSA739):2重量部
水:8597重量部
・XP−D:ガム液、富士フイルム(株)製、pH=13
・XP−G:ガム液、富士フイルム(株)製、pH=4.5
<<自動現像装置>>
・自動現像装置1:図1に示す自動現像装置。
・自動現像装置2:図2に示す自動現像装置。
表1〜表3に記載の結果から、本開示に係る平版印刷版方法により得られた実施例の平版印刷版は、比較例の平版印刷版原版に比べ、画像形成性及び小点耐刷性に優れ、また、現像液の長期維持にも優れ、水洗廃液が生じないことが分かる。
本開示に係る平版印刷版方法により得られた実施例の平版印刷版は、現像カス抑制性、及び、網点再現性にも優れることがわかる。
2:平版印刷版作製用現像処理装置(現像処理装置)、4:現像部、6:ガム処理部、8:第2ガム処理部、10:乾燥部、12:搬送ローラー、14:壁材、16:搬送ローラー、18:現像液、20:現像液排出口、22:現像液排出手段、24:搬送ベルト、26:現像液供給手段、28:搬送ローラー、30:ブラシローラー、32:搬送ローラー、34:搬送ガイド板、36:搬送ガイド板保持部材、38:搬送ローラー、40:カバー、42:搬送ローラー、44:搬送ローラー、46:ガム液供給スプレー、48:洗浄液を滴下する手段、50:洗浄液拡散部材、52:洗浄液供給手段固定部、54:逆流防止部材、56:ガム液、58:ガム液排出口、59:ガム液排出手段、60:ガム処理部底部、62:搬送ローラー、64:ガム液、66:ガム液排出口、68:ガム液供給手段、70:支持ローラー、72:乾燥手段、74:搬送ローラー、76:乾燥手段、78:搬送ローラー、80:平版印刷版排出口、d:ガム処理部6のガム液56の液面と第2ガム処理部8のガム液64の液面との差
100:自動現像処理機、110:平版印刷版原版の搬送路、300:現像部、400:乾燥部、304:挿入ローラー対、306:処理タンク、308:現像槽、310:外板パネル、312:スリット状挿入口、316:液中ローラー対、318:搬出ローラー、322:ブラシローラー対、324:遮蔽蓋、326:ブラシローラー対、330:スプレーパイプ、332:仕切り板、334:スリット状挿通口、336:液温センサー、338:液面レベル計、332:仕切り板、342:ガイド部材、344:ガイドローラー、402:支持ローラー、404:排出口、406:搬送ローラー対、408:搬送ローラー対、410:ダクト、412:ダクト、414:スリット孔、500:外部タンク、510:オーバーフロー口、520:上限液レベル計、530:下限液レベル計、540:フィルター部、550:現像液供給ポンプ、C1:第1の循環用配管、C2:第2の循環用配管、710:補充用水タンク、720:水補充ポンプ、C3:第3の循環用配管

Claims (10)

  1. 支持体上に画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版を、画像様に露光する露光工程と、
    露光された前記ポジ型平版印刷版原版を、現像液を用いて現像し、画像部と非画像部とを形成する現像工程と、
    をこの順で含み、
    前記画像記録層が、
    赤外線吸収剤、並びに、
    酸基及び塩基基を有するポリマーAを含むか、又は、酸基を有するポリマーB及び塩基基を有するポリマーCの両方を含み、
    前記画像記録層中に含まれるポリマーの全質量に対する、前記ポリマーAの含有量、又は、前記ポリマーB及び前記ポリマーCの合計含有量が10質量%以上であり、
    前記ポリマーA又は前記ポリマーBが有する酸基のpKaが9以下であり、
    前記現像工程後に、現像された平版印刷版原版を水洗する水洗工程を含まない、
    平版印刷版の作製方法。
  2. 前記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程を含まない、請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  3. 前記現像工程後に、現像された平版印刷版原版の版面を不感脂化処理する工程を少なくとも1回含む、請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  4. 前記不感脂化処理する工程を、2回以上含む、請求項3に記載の平版印刷版の作製方法。
  5. 前記ポリマーCが有する塩基基のpKaHが、4以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  6. 前記画像記録層が、上層と下層とを有し、
    前記上層が、前記ポリマーAを含むか、又は、前記ポリマーB及びポリマーCの両方を含み、
    前記下層が、pKa10未満の酸基を有するポリマーDを含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  7. 前記下層に含まれるpKa10未満の酸基を有するポリマーDが、−SO−NH−構造を有する構成単位を有する、請求項6に記載の平版印刷版の作製方法。
  8. 前記現像工程に使用される現像液のpHが11.0以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  9. 前記現像工程に使用される現像液が、炭酸イオン、及び、炭酸水素イオンを含む、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  10. 前記現像工程に使用される現像液が、両性界面活性剤、及び、ノニオン界面活性剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
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