JP2020122935A - ポジ型平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アブレーション抑制性に優れるポジ型平版印刷版原版、及び、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法の提供。【解決手段】支持体と、上記支持体上に、画像記録層と、を有し、上記画像記録層が、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマーと、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物と、赤外線吸収剤と、を含むポジ型平版印刷版原版、並びに、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法。【選択図】なし
Description
本開示は、ポジ型平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法に関する。
一般に平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。
平版印刷は、水と油性インキとが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
現在、平版印刷版原版から平版印刷版を作製する製版工程においては、CTP(コンピュータトゥプレート)技術による画像露光が行われている。即ち、画像露光は、レーザーやレーザーダイオードを用いて、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版原版に走査露光などにより行われる。
従来の平版印刷版の作製方法としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
平版印刷は、水と油性インキとが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
現在、平版印刷版原版から平版印刷版を作製する製版工程においては、CTP(コンピュータトゥプレート)技術による画像露光が行われている。即ち、画像露光は、レーザーやレーザーダイオードを用いて、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版原版に走査露光などにより行われる。
従来の平版印刷版の作製方法としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、画像形成された要素を製造する方法であって、A)ポジ型画像形成性要素を300mJ/cm2未満のエネルギーを使用して像様露光して、露光領域及び非露光領域をもたらす工程、及びB)像様露光された上記要素を、炭酸塩を含むシリケートフリーのアルカリ性溶液により現像して主に露光領域のみを除去して、露光され現像された上記要素に画像をもたらす工程、を含み、上記画像形成性要素が、基材と輻射線吸収性化合物とを含み、かつ、現像性向上化合物とポリ(ビニルアセタール)とを含む画像形成性層を基材上に有し、ポリ(ビニルアセタール)の反復単位の少なくとも25モル%がペンダントニトロ置換フェノール基を含むことを特徴とする、画像形成された要素を製造する方法が記載されている。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、アブレーション抑制性に優れるポジ型平版印刷版原版を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体と、上記支持体上に、画像記録層と、を有し、上記画像記録層が、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマーと、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物と、赤外線吸収剤と、を含むポジ型平版印刷版原版。
<2> 上記バインダーポリマーが、上記酸基を有する構成単位として、下記式(1)又は下記式(2)で表される構成単位を有する<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<1> 支持体と、上記支持体上に、画像記録層と、を有し、上記画像記録層が、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマーと、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物と、赤外線吸収剤と、を含むポジ型平版印刷版原版。
<2> 上記バインダーポリマーが、上記酸基を有する構成単位として、下記式(1)又は下記式(2)で表される構成単位を有する<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
式(1)及び式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、X1は単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、Acidはカルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基又は硫酸基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、A1は三価の連結基を表す。
<3> 上記塩基基が、窒素原子を有する基である<1>又は<2>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<4> 上記塩基基が、第三級アミノ基、又は、ヒンダードアミン構造を有する基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<5> 上記塩基基が、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<6> 上記塩基性化合物が、ヒドロキシ基及び酸基を有しない塩基性化合物、又は、ヒドロキシ基及び酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を更に有し、かつ上記塩基基の数が上記ヒドロキシ基及び上記酸基の総数よりも多い塩基性化合物である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<7> 上記バインダーポリマーが有する上記酸基の数NAと上記塩基性化合物が有する上記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/0.5〜13である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<8> 上記バインダーポリマーが有する上記酸基の数NAと上記塩基性化合物が有する上記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/1.2〜6である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<9> 上記塩基性化合物の分子量が、300〜5,000である<1>〜<8>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<10> 上記塩基性化合物が、塩基基を3つ以上有する化合物を含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む平版印刷版の作製方法。
<4> 上記塩基基が、第三級アミノ基、又は、ヒンダードアミン構造を有する基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<5> 上記塩基基が、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<6> 上記塩基性化合物が、ヒドロキシ基及び酸基を有しない塩基性化合物、又は、ヒドロキシ基及び酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を更に有し、かつ上記塩基基の数が上記ヒドロキシ基及び上記酸基の総数よりも多い塩基性化合物である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<7> 上記バインダーポリマーが有する上記酸基の数NAと上記塩基性化合物が有する上記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/0.5〜13である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<8> 上記バインダーポリマーが有する上記酸基の数NAと上記塩基性化合物が有する上記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/1.2〜6である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<9> 上記塩基性化合物の分子量が、300〜5,000である<1>〜<8>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<10> 上記塩基性化合物が、塩基基を3つ以上有する化合物を含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む平版印刷版の作製方法。
本発明の実施形態によれば、アブレーション抑制性に優れるポジ型平版印刷版原版を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示において、式で表される化合物における基の表記に関して、置換又は無置換を記していない場合、その基がさらに置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、その基は、無置換の基のみならず、置換基を有する基も包含する。例えば、式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、全固形分量とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量をいう。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示において、式で表される化合物における基の表記に関して、置換又は無置換を記していない場合、その基がさらに置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、その基は、無置換の基のみならず、置換基を有する基も包含する。例えば、式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、全固形分量とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量をいう。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
本開示において、酸基を側鎖に有するとは、酸基が直接主鎖に結合した態様も含むものとする。すなわち、例えばカルボキシ基(−C(=O)OH)が主鎖に直接結合する場合など、酸基が側基(side group, pendant group)である場合も、酸基を側鎖に有する態様に含まれる。
以下、本開示を詳細に説明する。
本開示において、酸基を側鎖に有するとは、酸基が直接主鎖に結合した態様も含むものとする。すなわち、例えばカルボキシ基(−C(=O)OH)が主鎖に直接結合する場合など、酸基が側基(side group, pendant group)である場合も、酸基を側鎖に有する態様に含まれる。
以下、本開示を詳細に説明する。
(ポジ型平版印刷版原版)
本開示に係るポジ型平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」ともいう。)は、支持体と、上記支持体上に、画像記録層と、を有し、上記画像記録層が、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマー(以下、「特定バインダーポリマー」ともいう。)と、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)と、赤外線吸収剤と、を含む。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、サーマルポジ型平版印刷版原版であることが好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」ともいう。)は、支持体と、上記支持体上に、画像記録層と、を有し、上記画像記録層が、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマー(以下、「特定バインダーポリマー」ともいう。)と、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)と、赤外線吸収剤と、を含む。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、サーマルポジ型平版印刷版原版であることが好ましい。
ポジ型の画像記録層を有するポジ型平版印刷版原版においては、例えば、露光部が硬化するネガ型平版印刷版原版とは異なり、画像形成時に露光した際のアブレーションが発生する場合がある。
アブレーションとは、露光時に発生する熱により画像記録層が爆発的に膨張し、揮発又は分解して除去されてしまう現象をいう。上記アブレーションが発生した場合には、例えば、画像記録層の成分等の飛散物により光学系が汚染される等の問題が発生する場合がある。
そのため、ポジ型平版印刷版原版においては、露光時のアブレーションが抑制されることが求められていた。
本開示において、このようなアブレーションが抑制されやすいという性質を、アブレーション抑制性に優れる、ともいう。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、画像記録層において、上記バインダーポリマーにおける上記酸基と、上記塩基性化合物における上記塩基基とが、上記画像記録層中で塩を形成し、上記画像記録層がより強固になることにより、露光時における上記画像記録層中の成分の揮発を抑制し、アブレーション抑制性に優れると推定される。
アブレーションとは、露光時に発生する熱により画像記録層が爆発的に膨張し、揮発又は分解して除去されてしまう現象をいう。上記アブレーションが発生した場合には、例えば、画像記録層の成分等の飛散物により光学系が汚染される等の問題が発生する場合がある。
そのため、ポジ型平版印刷版原版においては、露光時のアブレーションが抑制されることが求められていた。
本開示において、このようなアブレーションが抑制されやすいという性質を、アブレーション抑制性に優れる、ともいう。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、画像記録層において、上記バインダーポリマーにおける上記酸基と、上記塩基性化合物における上記塩基基とが、上記画像記録層中で塩を形成し、上記画像記録層がより強固になることにより、露光時における上記画像記録層中の成分の揮発を抑制し、アブレーション抑制性に優れると推定される。
また、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記酸基と上記塩基基とが上記画像記録層中で塩を形成し、上記画像記録層がより強固になることにより、耐刷性にも優れると推定される。
また、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記酸基と上記塩基基とが上記画像記録層中で塩を形成し、上記画像記録層がより強固となり、また、非露光部では、現像液の浸透が抑制されることにより、画像部における現像液に対する耐久性(画像部保持性)にも優れると推定される。
更に、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記酸基と上記塩基基とが上記画像記録層中で塩を形成することにより、非露光部では、現像液の浸透が抑制され、露光部では、露光の熱により形成していた塩が熱分解し、酸基が現れて現像液への溶解性が向上し、現像性にも優れると推定される。
また、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記酸基と上記塩基基とが上記画像記録層中で塩を形成し、上記画像記録層がより強固となり、また、非露光部では、現像液の浸透が抑制されることにより、画像部における現像液に対する耐久性(画像部保持性)にも優れると推定される。
更に、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記酸基と上記塩基基とが上記画像記録層中で塩を形成することにより、非露光部では、現像液の浸透が抑制され、露光部では、露光の熱により形成していた塩が熱分解し、酸基が現れて現像液への溶解性が向上し、現像性にも優れると推定される。
以下、本開示に係る平版印刷版原版に含まれる各構成要件の詳細について説明する。
<画像記録層>
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層を有する。
本開示における画像記録層は、例えば、後述する本開示に係るポジ型感光性樹脂組成物を、支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、風乾、加熱による乾燥等が挙げられる。
上記画像記録層は、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマー(特定バインダーポリマー)と、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(特定化合物)と、赤外線吸収剤と、を含む。
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層を有する。
本開示における画像記録層は、例えば、後述する本開示に係るポジ型感光性樹脂組成物を、支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、風乾、加熱による乾燥等が挙げられる。
上記画像記録層は、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマー(特定バインダーポリマー)と、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(特定化合物)と、赤外線吸収剤と、を含む。
〔特定バインダーポリマー〕
上記画像記録層は、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位(単に「酸基を有する構成単位」ともいう。)を有するバインダーポリマー(特定バインダーポリマー)を含む。
特定バインダーポリマーは、付加重合型樹脂であっても、重縮合樹脂であってもよいが、耐刷性及び製造容易性の観点から、付加重合型樹脂であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物を重合してなる樹脂であることがより好ましく、アクリル樹脂であることが特に好ましい。
付加重合型樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル化合物により形成される構成単位の含有量が50質量%以上である樹脂が好ましい。
上記画像記録層は、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位(単に「酸基を有する構成単位」ともいう。)を有するバインダーポリマー(特定バインダーポリマー)を含む。
特定バインダーポリマーは、付加重合型樹脂であっても、重縮合樹脂であってもよいが、耐刷性及び製造容易性の観点から、付加重合型樹脂であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物を重合してなる樹脂であることがより好ましく、アクリル樹脂であることが特に好ましい。
付加重合型樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル化合物により形成される構成単位の含有量が50質量%以上である樹脂が好ましい。
また、特定バインダーポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、弱アルカリに可溶な弱アルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
本開示において、アルカリ可溶性とは、25℃の1mol/L水酸化ナトリウム溶液に可溶であることをいい、弱アルカリ可溶性とは、25℃の0.0001mol/L水酸化ナトリウム溶液(pH10)に可溶であることをいう。
また可溶であるとは、100mLの溶媒に0.1g以上溶解することをいう。
本開示において、アルカリ可溶性とは、25℃の1mol/L水酸化ナトリウム溶液に可溶であることをいい、弱アルカリ可溶性とは、25℃の0.0001mol/L水酸化ナトリウム溶液(pH10)に可溶であることをいう。
また可溶であるとは、100mLの溶媒に0.1g以上溶解することをいう。
−酸基−
特定バインダーポリマーは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を含む。
酸基は、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として特定バインダーポリマーに導入されることが好ましい。
上記酸基としては、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、又は、リン酸基であることが好ましく、カルボキシ基、スルホ基、又は、リン酸基であることがより好ましく、カルボキシ基であることが特に好ましい。
特定バインダーポリマーは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を含む。
酸基は、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として特定バインダーポリマーに導入されることが好ましい。
上記酸基としては、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、又は、リン酸基であることが好ましく、カルボキシ基、スルホ基、又は、リン酸基であることがより好ましく、カルボキシ基であることが特に好ましい。
特定バインダーポリマーは、上記以外の酸基(スルホンアミド基、フェノール性ヒドロキシ基等)を更に有してもよいが、特定バインダーポリマーにおける上記以外の酸基の含有量は、現像性の観点から、0.1mol/g以下であることが好ましく、0.01mol/g以下であることがより好ましく、特定バインダーポリマーは上記以外の酸基を有しないことが特に好ましい。
<<酸基のpKa>>
酸基のpKaは、現像性の観点からは、9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましく、5.5以下であることが特に好ましい。
酸基のpKaの下限は、特に限定されないが、−5以上であることが好ましい。
本開示におけるpKaは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
酸基のpKaは、現像性の観点からは、9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましく、5.5以下であることが特に好ましい。
酸基のpKaの下限は、特に限定されないが、−5以上であることが好ましい。
本開示におけるpKaは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
<<酸基を有する構成単位のClogP値>>
酸基を有する構成単位のClogP値は、現像性、及び、耐刷性の観点から、0.3〜5であることが好ましく、1.0〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.8であることがより好ましい。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、特に断らない限り、本開示ではCambridge soft社のChemBioDraw Ultra 12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いることとする。
また、上記ClogP値の計算においては、酸基を有する構成単位(好ましくは、モノマー単位)の連結部位(すなわち、下記*)を水素原子に置換して計算する。
例えば、下記構成単位UA−1のClogP値を計算する場合、下記構造UA’−1へと変換した後にClogP値の計算を行う。
酸基を有する構成単位のClogP値は、現像性、及び、耐刷性の観点から、0.3〜5であることが好ましく、1.0〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.8であることがより好ましい。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法やソフトウェアについては公知の物を用いることができるが、特に断らない限り、本開示ではCambridge soft社のChemBioDraw Ultra 12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いることとする。
また、上記ClogP値の計算においては、酸基を有する構成単位(好ましくは、モノマー単位)の連結部位(すなわち、下記*)を水素原子に置換して計算する。
例えば、下記構成単位UA−1のClogP値を計算する場合、下記構造UA’−1へと変換した後にClogP値の計算を行う。
<<酸価>>
特定バインダーポリマーの酸価は、1.5meq/g〜1.9meq/gが好ましく、1.5meq/g〜1.8meq/gがより好ましい。
特定バインダーポリマーの酸価は、1gの特定バインダーポリマーを中和するのに必要な水酸化カリウムのモル数で表され、JIS規格(JIS K0070:1992)による測定法で求められる値を用いることができる。
特定バインダーポリマーの酸価は、1.5meq/g〜1.9meq/gが好ましく、1.5meq/g〜1.8meq/gがより好ましい。
特定バインダーポリマーの酸価は、1gの特定バインダーポリマーを中和するのに必要な水酸化カリウムのモル数で表され、JIS規格(JIS K0070:1992)による測定法で求められる値を用いることができる。
特定バインダーポリマーは、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、上記酸基を有する構成単位として、下記式(1)又は下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成単位を有することがより好ましい。
式(1)及び式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、X1は単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、Acidはカルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基又は硫酸基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、A1は三価の連結基を表す。
式(1)中、X1は単結合、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−C(=O)NH−を表し、エステル結合又はアミド結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
X1がエステル結合を表す場合、特定バインダーポリマーの主鎖側にエステル結合における炭素原子が結合することが好ましい。
また、X1がアミド結合を表す場合、特定バインダーポリマーの主鎖側にアミド結合における炭素原子が結合することが好ましい。
式(1)中、L1は単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L1が二価の炭化水素基を表す場合、L1の炭素数(「炭素原子数」ともいう。)は、2以上であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
式(1)中、Acidは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基又はリン酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
X1がエステル結合を表す場合、特定バインダーポリマーの主鎖側にエステル結合における炭素原子が結合することが好ましい。
また、X1がアミド結合を表す場合、特定バインダーポリマーの主鎖側にアミド結合における炭素原子が結合することが好ましい。
式(1)中、L1は単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましい。L1が二価の炭化水素基を表す場合、L1の炭素数(「炭素原子数」ともいう。)は、2以上であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
式(1)中、Acidは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基又はリン酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
式(2)中、Y1及びY2はそれぞれ独立に、−O−又は−NH−であることが好ましく、−O−であることがより好ましい。
式(2)中、A1は、三価の炭化水素基であることが好ましく、三価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
また、A1における三価の連結基の炭素数は、3〜40であることが好ましく、炭素数3〜20であることがより好ましく、4〜10であることが更に好ましく、4又は5であることが特に好ましい。
式(2)中、L2は、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましく、単結合であることが特に好ましい。L2が二価の炭化水素基を表す場合、L1の炭素数は、2以上であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
式(2)中、Acidは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基又はリン酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
式(2)中、A1は、三価の炭化水素基であることが好ましく、三価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
また、A1における三価の連結基の炭素数は、3〜40であることが好ましく、炭素数3〜20であることがより好ましく、4〜10であることが更に好ましく、4又は5であることが特に好ましい。
式(2)中、L2は、単結合又は内部にエステル結合若しくはエーテル結合を有していてもよい二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合又は二価の炭化水素基であることがより好ましく、単結合又は二価の脂肪族飽和炭化水素基であることが更に好ましく、単結合であることが特に好ましい。L2が二価の炭化水素基を表す場合、L1の炭素数は、2以上であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、3〜12であることがより好ましい。
式(2)中、Acidは、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基又はリン酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
特定バインダーポリマーにおいて、アブレーション抑制性及び現像性の観点からは、酸基と主鎖との間の鎖長が原子数3以上であることが好ましく、酸基と主鎖との間の鎖長が原子数5以上であることがより好ましい。
酸基と主鎖との間の鎖長とは、特定バインダーポリマーにおける主鎖と、酸基とを結ぶ側鎖の原子数を、最小となるように数えた値であり、主鎖に含まれる原子は鎖長の数には含まれない。
上記の鎖長を構成する鎖としては、アルキル鎖、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−C(=O)NH−、及びエステル結合(−C(=O)O−)よりなる群より選択される少なくとも1種を含む鎖であることが好ましい。
上記アルキル鎖は、特定バインダーポリマーに含まれる酸基と、特定化合物に含まれる塩基基が塩を形成しやすい観点から、分岐状又は線状の飽和アルキル鎖であることが好ましく、線状のアルキル鎖であることが好ましい。
例えば、下記構造である場合、上記鎖長は13である。
酸基と主鎖との間の鎖長とは、特定バインダーポリマーにおける主鎖と、酸基とを結ぶ側鎖の原子数を、最小となるように数えた値であり、主鎖に含まれる原子は鎖長の数には含まれない。
上記の鎖長を構成する鎖としては、アルキル鎖、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−C(=O)NH−、及びエステル結合(−C(=O)O−)よりなる群より選択される少なくとも1種を含む鎖であることが好ましい。
上記アルキル鎖は、特定バインダーポリマーに含まれる酸基と、特定化合物に含まれる塩基基が塩を形成しやすい観点から、分岐状又は線状の飽和アルキル鎖であることが好ましく、線状のアルキル鎖であることが好ましい。
例えば、下記構造である場合、上記鎖長は13である。
また、例えば、下記構造である場合、上記鎖長は4である。
酸基を有する構成単位の具体例を下記に示すが、酸基を有する構成単位はこれに限定されるものではない。
特定バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
酸基を有する構成単位(好ましくは、式(1)又は式(2)で表される構成単位)の含有量は、画像部保持性、及び、耐刷性の観点から、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
酸基を有する構成単位(好ましくは、式(1)又は式(2)で表される構成単位)の含有量は、画像部保持性、及び、耐刷性の観点から、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
酸基を有する構成単位の導入方法としては、特に制限はなく、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、酸基を有するジアミン化合物、酸基を有するジオール化合物等を用いて、重合、又は、重縮合する方法が好適に挙げられる。
<<その他の構成単位>>
特定バインダーポリマーは、その他の構成単位を更に含むことが好ましい。
付加重合性樹脂におけるその他の構成単位としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)クリレート、スチレン化合物等により形成される構成単位等が挙げられるが、(メタ)アクリルエステル化合物により形成される構成単位が好ましく、画像部保持性及び耐刷性の観点から、親水性基を有さない(メタ)アクリル酸エステル化合物により形成される構成単位であることがより好ましい。
特定バインダーポリマーは、その他の構成単位を更に含むことが好ましい。
付加重合性樹脂におけるその他の構成単位としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)クリレート、スチレン化合物等により形成される構成単位等が挙げられるが、(メタ)アクリルエステル化合物により形成される構成単位が好ましく、画像部保持性及び耐刷性の観点から、親水性基を有さない(メタ)アクリル酸エステル化合物により形成される構成単位であることがより好ましい。
特定バインダーポリマーは、その他の構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
特定バインダーポリマーの全質量に対し(メタ)アクリル酸エステル化合物により形成される構成単位の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1分子中に1個の(メタ)アクリロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物であってもよく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロキシ基を有する多官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物であってもよいが、現像性の観点からは、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
インキ着肉性及び耐傷性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、親水性基を有さず、かつ、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。
親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル等が挙げられる。これらは、親水性基以外の置換基を有していてもよい。
上記の中でも、画像部保持性及び耐刷性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
中でも、メタクリル酸メチルが好ましく挙げられる。
特定バインダーポリマーの全質量に対し(メタ)アクリル酸エステル化合物により形成される構成単位の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1分子中に1個の(メタ)アクリロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物であってもよく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロキシ基を有する多官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物であってもよいが、現像性の観点からは、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
インキ着肉性及び耐傷性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、親水性基を有さず、かつ、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。
親水性基を有さず、かつ、単官能のメタクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル等が挙げられる。これらは、親水性基以外の置換基を有していてもよい。
上記の中でも、画像部保持性及び耐刷性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
中でも、メタクリル酸メチルが好ましく挙げられる。
特定バインダーポリマーとして使用する重縮合樹脂としては、ウレア結合、ウレタン結合及びアミド結合のいずれか一つの結合を主鎖に有する樹脂が好ましく使用される。
中でも、耐刷性の観点から、ウレア結合、ウレタン結合のいずれか一つの結合を主鎖に有する樹脂であることがより好ましく、ウレア結合を主鎖に有する樹脂であることが更に好ましい。
また、上記重縮合樹脂は、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリウレア樹脂又はポリアミド樹脂であることが好ましく、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリウレタンポリウレア樹脂であることがより好ましい。
中でも、耐刷性の観点から、ウレア結合、ウレタン結合のいずれか一つの結合を主鎖に有する樹脂であることがより好ましく、ウレア結合を主鎖に有する樹脂であることが更に好ましい。
また、上記重縮合樹脂は、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリウレア樹脂又はポリアミド樹脂であることが好ましく、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリウレタンポリウレア樹脂であることがより好ましい。
本開示において、「ウレア結合」は、−NRU1C(=O)NRU2−で表される。本開示においては、RU1及びRU2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であることが好ましい。
ウレア結合は、いかなる手段を用いて形成されてもよいが、イソシアネート化合物とアミン化合物との反応で得ることができる。
また、1,3−ビス(2−アミノエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ウレア等のように、末端にヒドロキシ基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物を原料として合成してもよい。
また、1,3−ビス(2−アミノエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ウレア等のように、末端にヒドロキシ基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物を原料として合成してもよい。
原料として使用する上記イソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物であれば特に制限なく使用可能であるが、ジイソシアネート化合物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
原料として使用する上記アミン化合物としては、分子内にアミノ基を2つ以上有するポリアミン化合物であれば特に制限なく使用可能であるが、ジアミン化合物が好ましい。
ポリアミン化合物として、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、3,6−ジアミノアクリジン、アクリフラビン、アクリジンイエロー、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4−(フェニルジアゼニル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、上述した酸基を有するジアミン化合物も好適に使用することができる。
これらのポリアミンにホスゲン又はトリホスゲン等を反応させて、ポリイソシアネートを合成し、原料として用いてもよい。
ポリアミン化合物として、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、3,6−ジアミノアクリジン、アクリフラビン、アクリジンイエロー、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4−(フェニルジアゼニル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、上述した酸基を有するジアミン化合物も好適に使用することができる。
これらのポリアミンにホスゲン又はトリホスゲン等を反応させて、ポリイソシアネートを合成し、原料として用いてもよい。
本開示において、「ウレタン結合」は、−OC(=O)NRU3−で表される。ここで、RU3は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
ウレタン結合は、如何なる手段を用いて形成されてもよいが、イソシアネート化合物とヒドロキシ基を有する化合物との反応により得ることができる。
原料として用いるイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、ジイソシアネート化合物が更に好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
原料として用いるヒドロキシ基を有する化合物としては、ポリオール化合物、アミノアルコール化合物、アミノフェノール化合物、アルキルアミノフェノール化合物等を挙げることができるが、好ましくはポリオール化合物又はアミノアルコール化合物である。
ポリオール化合物は、分子内に少なくとも2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、好ましくはジオール化合物である。又、分子内にエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい。ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等を挙げることができる。
また、上述した酸基を有するジオール化合物も好適に用いることができる。
アミノアルコール化合物は、分子内にアミノ基とヒドロキシ基を有する化合物であり、更に分子内にエーテル結合を有していてもよい。アミノアルコールとして、例えば、アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を挙げることができる。
原料として用いるイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、ジイソシアネート化合物が更に好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
原料として用いるヒドロキシ基を有する化合物としては、ポリオール化合物、アミノアルコール化合物、アミノフェノール化合物、アルキルアミノフェノール化合物等を挙げることができるが、好ましくはポリオール化合物又はアミノアルコール化合物である。
ポリオール化合物は、分子内に少なくとも2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、好ましくはジオール化合物である。又、分子内にエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい。ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等を挙げることができる。
また、上述した酸基を有するジオール化合物も好適に用いることができる。
アミノアルコール化合物は、分子内にアミノ基とヒドロキシ基を有する化合物であり、更に分子内にエーテル結合を有していてもよい。アミノアルコールとして、例えば、アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を挙げることができる。
アミド結合は、いかなる手段を用いて形成されてもよいが、カルボン酸塩化物とアミン化合物との反応で得ることができる。
アミン化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリアミン化合物を挙げることができ、上述した酸基を有するジアミン化合物も好適に使用することができる。
カルボン酸塩化合物としては、カルボン酸ハライド化合物、又は、カルボン酸エステル化合物等が挙げられ、例えば、下記CL−1〜CL−10等が挙げられる。
アミン化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリアミン化合物を挙げることができ、上述した酸基を有するジアミン化合物も好適に使用することができる。
カルボン酸塩化合物としては、カルボン酸ハライド化合物、又は、カルボン酸エステル化合物等が挙げられ、例えば、下記CL−1〜CL−10等が挙げられる。
本開示に用いられる特定バインダーポリマーは、アルキレンオキシ基を有することが好ましく、アルキレンオキシ基を主鎖に有することがより好ましい。
上記態様によれば、得られる平版印刷版の画像形成性に優れ、得られる平版印刷版の耐刷性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記アルキレンオキシ基としては、炭素数2〜10のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数2〜8のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基が更に好ましく、エチレンオキシ基、又は、プロピレンオキシ基が特に好ましい。
また、特定バインダーポリマーは、ポリアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレンオキシ基を主鎖に有することがより好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、繰り返し数2〜50のポリアルキレンオキシ基が好ましく、繰り返し数2〜40のポリアルキレンオキシ基がより好ましく、繰り返し数2〜30のポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基の構成繰り返し単位の好ましい炭素数は、上記アルキレンオキシ基の好ましい炭素数と同様である。
アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基の導入方法としては、特に制限はないが、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基を有する、(メタ)アクリレート化合物、ジオール化合物、ジアミン化合物、ジイソシアネート化合物等により好適に導入することができる。
上記態様によれば、得られる平版印刷版の画像形成性に優れ、得られる平版印刷版の耐刷性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記アルキレンオキシ基としては、炭素数2〜10のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数2〜8のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基が更に好ましく、エチレンオキシ基、又は、プロピレンオキシ基が特に好ましい。
また、特定バインダーポリマーは、ポリアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレンオキシ基を主鎖に有することがより好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、繰り返し数2〜50のポリアルキレンオキシ基が好ましく、繰り返し数2〜40のポリアルキレンオキシ基がより好ましく、繰り返し数2〜30のポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基の構成繰り返し単位の好ましい炭素数は、上記アルキレンオキシ基の好ましい炭素数と同様である。
アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基の導入方法としては、特に制限はないが、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基を有する、(メタ)アクリレート化合物、ジオール化合物、ジアミン化合物、ジイソシアネート化合物等により好適に導入することができる。
特定バインダーポリマーの重量平均分子量は、得られる平版印刷版の耐刷性及び現像性を両立する観点から、5,000を超え200,000以下であることが好ましく、10,000を超え100,000以下であることがより好ましい。12,000〜50,000であることが特に好ましい。
上記画像記録層は、特定バインダーポリマーを、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記画像記録層における特定バインダーポリマーの含有量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、10質量%〜99質量%であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
上記画像記録層における特定バインダーポリマーの含有量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、10質量%〜99質量%であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
特定バインダーポリマーは、例えば、公知の方法により製造される。例えば、各構成単位の形成に用いられるモノマーと、公知の重合開始剤を含む組成物を用い、加熱又は露光等のエネルギー付与を行うことにより重合体として特定バインダーポリマーを得ることができる。上記組成物は公知の添加剤を更に含有してもよい。
上記エネルギー付与の詳細な条件としても、公知の文献を参照して決定すればよい。
上記エネルギー付与の詳細な条件としても、公知の文献を参照して決定すればよい。
本開示において使用される特定バインダーポリマーの具体例としては、後述する実施例において使用するものが好適に挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
〔特定化合物〕
上記画像記録層は、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(特定化合物)を含む。
上記画像記録層に含まれる特定化合物は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、塩基基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、塩基基を4つ以上有する化合物を含むことがより好ましく、塩基基を4個〜50個有する化合物を含むことがより好ましく、塩基基を4個〜20個有する化合物を含むことが特に好ましい。
特定化合物の分子量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、5,000以下であることが好ましく、300〜5,000であることがより好ましく、400〜4,000であることが更に好ましく、600〜3,000であることが特に好ましい。
上記画像記録層は、2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物(特定化合物)を含む。
上記画像記録層に含まれる特定化合物は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、塩基基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、塩基基を4つ以上有する化合物を含むことがより好ましく、塩基基を4個〜50個有する化合物を含むことがより好ましく、塩基基を4個〜20個有する化合物を含むことが特に好ましい。
特定化合物の分子量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、5,000以下であることが好ましく、300〜5,000であることがより好ましく、400〜4,000であることが更に好ましく、600〜3,000であることが特に好ましい。
また、特定化合物は、塩基基以外に、ヒドロキシ基又は酸基を更に有していてもよいが、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、ヒドロキシ基及び酸基を有しない塩基性化合物、又は、ヒドロキシ基及び酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を更に有し、かつ上記塩基基の数が上記ヒドロキシ基及び上記酸基の総数よりも多い塩基性化合物であることが好ましく、ヒドロキシ基及び酸基を有しない塩基性化合物であることがより好ましい。
特定化合物は、画像部保持性及び耐刷性の観点から、エステル結合及びエーテル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を有する化合物であることが好ましく、エステル結合を有する化合物であることがより好ましい。
特定化合物は、画像部保持性及び耐刷性の観点から、エステル結合及びエーテル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を有する化合物であることが好ましく、エステル結合を有する化合物であることがより好ましい。
−塩基基−
特定化合物は、2つ以上の塩基基を有する。
特定化合物は、塩基基を1種単独で有していても、2種以上の塩基基を有していてもよい。
特定化合物における塩基基は、特に限定されず、アミノ基、窒素原子を含む芳香環等が挙げられ、アブレーション抑制性、耐刷性、及び、現像性の観点から、窒素原子を有する基であることが好ましく、第三級アミノ基、又は、ヒンダードアミン構造を有する基であることがより好ましく、ヒンダードアミン構造を有する基であることが更に好ましく、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基であることが特に好ましい。
上記窒素原子を有する基としては、ヒンダードアミン構造等の脂肪族アミン構造を有する基であっても、ピリジン構造等の芳香族アミン構造を有する基であってもよいが、アブレーション抑制性、耐刷性、及び、現像性の観点から、脂肪族アミン構造を有する基であることが好ましい。
また、第三級アミノ基は、ジアルキルアミノ基であることが好ましい。
特定化合物は、2つ以上の塩基基を有する。
特定化合物は、塩基基を1種単独で有していても、2種以上の塩基基を有していてもよい。
特定化合物における塩基基は、特に限定されず、アミノ基、窒素原子を含む芳香環等が挙げられ、アブレーション抑制性、耐刷性、及び、現像性の観点から、窒素原子を有する基であることが好ましく、第三級アミノ基、又は、ヒンダードアミン構造を有する基であることがより好ましく、ヒンダードアミン構造を有する基であることが更に好ましく、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基であることが特に好ましい。
上記窒素原子を有する基としては、ヒンダードアミン構造等の脂肪族アミン構造を有する基であっても、ピリジン構造等の芳香族アミン構造を有する基であってもよいが、アブレーション抑制性、耐刷性、及び、現像性の観点から、脂肪族アミン構造を有する基であることが好ましい。
また、第三級アミノ基は、ジアルキルアミノ基であることが好ましい。
<<塩基基のpKaH>>
塩基基のpKaHは、現像性の観点からは、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。
塩基基のpKaHの上限は、特に限定されないが、12以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。
塩基基のpKaHは、塩基基に対して共役する酸のpKaを意味する。
本開示におけるpKaHは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
塩基基のpKaHは、現像性の観点からは、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。
塩基基のpKaHの上限は、特に限定されないが、12以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。
塩基基のpKaHは、塩基基に対して共役する酸のpKaを意味する。
本開示におけるpKaHは、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pKa DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
<<ClogP値>>
特定化合物のClogP値は、現像性、耐刷性及びインキ着肉性の観点から、−1.0〜10であることが好ましく、1.0〜5.0であることがより好ましい。
なお、特定化合物のClogP値は、既述の酸基を有する構成単位のClogP値と同様の方法により求められる。酸基を有する構成単位では、上述した構造UA’−1等に変換して計算を行ったが、特定化合物においては、特定化合物全体についてClogP値の計算を行う。
特定化合物のClogP値は、現像性、耐刷性及びインキ着肉性の観点から、−1.0〜10であることが好ましく、1.0〜5.0であることがより好ましい。
なお、特定化合物のClogP値は、既述の酸基を有する構成単位のClogP値と同様の方法により求められる。酸基を有する構成単位では、上述した構造UA’−1等に変換して計算を行ったが、特定化合物においては、特定化合物全体についてClogP値の計算を行う。
<<塩基価>>
特定バインダーポリマーの塩基価は、1.5meq/g〜1.9meq/gが好ましく、1.5meq/g〜1.75meq/gがより好ましい。
本明細書において、特定バインダーポリマーの塩基価は、JIS K 2501(2003)によって規定された過塩素酸法による塩基価を意味する。なお、塩基価とは、試料1g中に含まれる全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数として得られる。
特定バインダーポリマーの塩基価は、1.5meq/g〜1.9meq/gが好ましく、1.5meq/g〜1.75meq/gがより好ましい。
本明細書において、特定バインダーポリマーの塩基価は、JIS K 2501(2003)によって規定された過塩素酸法による塩基価を意味する。なお、塩基価とは、試料1g中に含まれる全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数として得られる。
特定化合物の具体例を下記に示すが、特定化合物はこれに限定されるものではない。
上記画像記録層は、特定化合物を、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記画像記録層における特定化合物の含有量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
上記画像記録層における特定化合物の含有量は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
上記画像記録層における特定バインダーポリマーの含有量MPと特定化合物の含有量MCとの質量比は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、MP/MC=0.1〜10であることが好ましく、MP/MC=0.2〜5であることがより好ましく、MP/MC=0.5〜2であることが更に好ましく、MP/MC=0.7〜1.5であることが特に好ましい。
上記画像記録層に含まれる特定バインダーポリマーが有する上記酸基の数NAと特定化合物が有する上記塩基基の数NBとの比(NA/NB)は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、NA/NB=1/0.5〜13であることが好ましく、NA/NB=1/1.1〜10であることがより好ましく、NA/NB=1/1.2〜6であることが更に好ましく、NA/NB=1/2.5〜4であることが特に好ましい。
また、上記画像記録層に含まれる特定バインダーポリマーが有する上記酸基の数は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、特定化合物が有する上記塩基基の数よりも少ないことが好ましい。
また、上記画像記録層に含まれる特定バインダーポリマーが有する上記酸基の数は、アブレーション抑制性、画像部保持性及び耐刷性の観点から、特定化合物が有する上記塩基基の数よりも少ないことが好ましい。
〔赤外線吸収剤〕
上記画像記録層は、赤外線吸収剤を含有する。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本開示において用いることができる赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本開示において、これらの染料のうち、赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
上記画像記録層は、赤外線吸収剤を含有する。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本開示において用いることができる赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本開示において、これらの染料のうち、赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
そのような赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)又は式(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)又は式(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、下記式(a)で表されるシアニン色素は、本開示における画像記録層に使用した場合に、安定性、及び、経済性に優れるため特に好ましい。
式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、ジアリールアミノ基、X2−L1又は以下に示す基を表し、X2は、酸素原子又は硫黄原子を表し、L1は、炭素数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、又は、ヘテロ原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基を表す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、及び、Seを表す。
上記式中、Xa−は後述するZa−と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、及び、ハロゲン原子よりなる群から選択される置換基を表す。
R21及びR22はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。ポジ型平版印刷版原版の保存安定性から、R21及びR22は、炭素数2以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R21とR22とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1及びAr2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、又は、炭素数12以下のアルコキシ基が挙げられる。
Y11及びY12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R23及びR24は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、カルボキシ基、又は、スルホ基が挙げられる。
R25、R26、R27及びR28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za−は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Za−は必要ない。好ましいZa−は、ポジ型平版印刷版原版の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、スルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、アリールスルホン酸イオンである。
Y11及びY12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R23及びR24は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、カルボキシ基、又は、スルホ基が挙げられる。
R25、R26、R27及びR28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za−は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Za−は必要ない。好ましいZa−は、ポジ型平版印刷版原版の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、スルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、アリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる式(a)で表されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019、特開2002−40638号公報の段落0012〜0038、特開2002−23360号公報の段落0012〜0023に記載されたものを挙げることができる。
画像記録層が含有する赤外線吸収剤として特に好ましくは、以下に示すシアニン染料Aである。
画像記録層が含有する赤外線吸収剤として特に好ましくは、以下に示すシアニン染料Aである。
上記画像記録層は、赤外線吸収剤を、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であると、高感度となり、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であると、高感度となり、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
〔その他のバインダーポリマー〕
本開示における画像記録層は、その他のバインダーポリマーを更に含んでいてもよい。
その他のバインダーポリマーは、上述の特定バインダーポリマーには該当しない樹脂である。
上記画像記録層は、その他のバインダーポリマーとして、フェノール樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、アセタール樹脂、及び、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
その他のバインダーポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、弱アルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
本開示における画像記録層は、その他のバインダーポリマーを更に含んでいてもよい。
その他のバインダーポリマーは、上述の特定バインダーポリマーには該当しない樹脂である。
上記画像記録層は、その他のバインダーポリマーとして、フェノール樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリル樹脂、アセタール樹脂、及び、ウレア結合、ウレタン結合又はアミド結合を主鎖に有する樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
その他のバインダーポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、弱アルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
−フェノール樹脂−
本開示において用いられるその他のバインダーポリマーとして用いられるフェノール樹脂としては、重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂は、構成単位としてフェノール、あるいは置換フェノール類を含むフェノール樹脂であり、好ましくはノボラック樹脂である。ノボラック樹脂は、平版印刷版原版において、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から好ましく用いられる。
このノボラック樹脂は、分子内に構成単位としてフェノール類を含むものであれば特に制限はない。
本開示におけるノボラック樹脂は、フェノール、以下に示される置換フェノール類と、アルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、具体的には、フェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールである。また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、又は、アセトアルデヒドである。
より具体的には、本開示におけるノボラック樹脂しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、フェノールとクレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂)等が挙げられる。
また、ノボラック樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これらノボラック樹脂の中でも、特に好ましいものとして、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
本開示において用いられるその他のバインダーポリマーとして用いられるフェノール樹脂としては、重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂は、構成単位としてフェノール、あるいは置換フェノール類を含むフェノール樹脂であり、好ましくはノボラック樹脂である。ノボラック樹脂は、平版印刷版原版において、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から好ましく用いられる。
このノボラック樹脂は、分子内に構成単位としてフェノール類を含むものであれば特に制限はない。
本開示におけるノボラック樹脂は、フェノール、以下に示される置換フェノール類と、アルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、具体的には、フェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールである。また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、又は、アセトアルデヒドである。
より具体的には、本開示におけるノボラック樹脂しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、フェノールとクレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂)等が挙げられる。
また、ノボラック樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これらノボラック樹脂の中でも、特に好ましいものとして、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
上記フェノール樹脂の重量平均分子量は、2,000を超え50,000以下であることが好ましく、2,500〜20,000であることがより好ましく、3,000〜10,000であることが特に好ましい。また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
上記数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
このようなフェノール樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
このようなフェノール樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
−アセタール樹脂−
また、アセタール樹脂としては、下記式EV−1及び下記式EV−2により表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
また、アセタール樹脂としては、下記式EV−1及び下記式EV−2により表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
式EV−1又は式EV−2中、Lは二価の連結基を表し、xは0又は1であり、R1は少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環基又はヘテロ芳香環基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
式EV−1中、R1は少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環又はヘテロ芳香環を表し、ヒドロキシ基はLとの結合部位に対し、オルト、メタ、パラ位のいずれに有していてもよい。
芳香環の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基が挙げられる。
ヘテロ芳香環の好ましい例としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基が挙げられる。
これらの芳香環又はヘテロ芳香環は、水酸基以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、−SH、アゾアルキル基やアゾフェニル基等のアゾ基、チオアルキル基、アミノ基、エテニル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は、複素脂環式基が挙げられる。
R1はヒドロキシ基を有するヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基であることが好ましく、ヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
ヒドロキシフェニル基としては、2−、3−、又は、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
ヒドロキシナフチル基としては、2,3−、2,4−、又は、2,5−ジヒドロキシナフチル基、1,2,3−トリヒドロキシナフチル基、及び、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。
ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
芳香環の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基が挙げられる。
ヘテロ芳香環の好ましい例としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基が挙げられる。
これらの芳香環又はヘテロ芳香環は、水酸基以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、−SH、アゾアルキル基やアゾフェニル基等のアゾ基、チオアルキル基、アミノ基、エテニル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は、複素脂環式基が挙げられる。
R1はヒドロキシ基を有するヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基であることが好ましく、ヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
ヒドロキシフェニル基としては、2−、3−、又は、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
ヒドロキシナフチル基としては、2,3−、2,4−、又は、2,5−ジヒドロキシナフチル基、1,2,3−トリヒドロキシナフチル基、及び、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。
ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
式EV−1中、Lは二価の連結基を表し、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−NH−、−NH−C(=S)−NH−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−CH=N−、−NH−NH−、又は、これらの結合により表される基を表すことが好ましい。
上記アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、及び、ホスホン酸基又はその塩が挙げられる。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基であることがより好ましく、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、又は、フェニレン基であることが更に好ましい。
上記アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、及び、ホスホン酸基又はその塩が挙げられる。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基であることがより好ましく、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、又は、フェニレン基であることが更に好ましい。
式EV−2中、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メトキシブチル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、エテニル基、n−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、ネオペンテニル基、1−メチルブテニル基、イソヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、メチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
芳香環としては、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
ヘテロ芳香環としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又はメチル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メトキシブチル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、エテニル基、n−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、ネオペンテニル基、1−メチルブテニル基、イソヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、メチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
芳香環としては、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
ヘテロ芳香環としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又はメチル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、芳香環又はヘテロ芳香環における置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、チオアルキル基、及び、メルカプト基が挙げられる。
芳香環又はヘテロ芳香環は、置換基として、アリーロキシ基、チオアリール基、アゾアルキル基及びアゾアリール基等のアゾ基、又は、アミノ基、を有していてもよい。
芳香環又はヘテロ芳香環は、置換基として、アリーロキシ基、チオアリール基、アゾアルキル基及びアゾアリール基等のアゾ基、又は、アミノ基、を有していてもよい。
式EV−1により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、10モル%以上が好ましく、10モル%〜55モル%がより好ましく、15モル%〜45モル%が更に好ましく、20モル%〜35モル%が特に好ましい。
式EV−2により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、15モル%以上が好ましく、15モル%〜60モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が更に好ましく、25モル%〜45モル%が特に好ましい。
式EV−2により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、15モル%以上が好ましく、15モル%〜60モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が更に好ましく、25モル%〜45モル%が特に好ましい。
また、式EV−1により表される構成単位、及び、式EV−2により表される構成単位の合計含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、50モル%〜90モル%が好ましく、60モル%〜80モル%がより好ましく、65モル%〜75モル%が更に好ましい。
上記アセタール樹脂の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、10,000〜500,000がより好ましく、10,000〜300,000が更に好ましい。
上記画像記録層は、その他のバインダーポリマーを、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
その他のバインダーポリマーの含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
その他のバインダーポリマーの含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
〔酸発生剤〕
本開示における画像記録層は、得られる平版印刷版原版における感度向上の観点から、酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において酸発生剤とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。この酸発生剤から発生した酸によって、ポジ型平版印刷版原版における露光部への現像液の浸透性が高くなり、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性がより向上するものである。
本開示における画像記録層において好適に用いられる酸発生剤としては、国際公開第2016/047392号の段落0116〜段落0130に記載の酸発生剤が挙げられる。
中でも、感度と安定性の観点から、酸発生剤としてオニウム塩化合物を用いることが好ましい。以下、オニウム塩化合物について説明する。
本開示において好適に用い得るオニウム塩化合物としては、赤外線露光、及び、露光により赤外線吸収剤から発生する熱エネルギーにより分解して酸を発生する化合物として知られる化合物を挙げることができる。本開示に好適なオニウム塩化合物としては、感度の観点から、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する、以下に述べるオニウム塩構造を有するものを挙げることができる。
本開示において好適に用いられるオニウム塩としては、公知のジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジニウム塩等が挙げられ、中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムのスルホン酸塩、カルボン酸塩、BF4 −、PF6 −、ClO4 −などが好ましい。
本開示において酸発生剤として用い得るオニウム塩としては、下記式III〜Vで表されるオニウム塩が挙げられる。
本開示における画像記録層は、得られる平版印刷版原版における感度向上の観点から、酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において酸発生剤とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。この酸発生剤から発生した酸によって、ポジ型平版印刷版原版における露光部への現像液の浸透性が高くなり、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性がより向上するものである。
本開示における画像記録層において好適に用いられる酸発生剤としては、国際公開第2016/047392号の段落0116〜段落0130に記載の酸発生剤が挙げられる。
中でも、感度と安定性の観点から、酸発生剤としてオニウム塩化合物を用いることが好ましい。以下、オニウム塩化合物について説明する。
本開示において好適に用い得るオニウム塩化合物としては、赤外線露光、及び、露光により赤外線吸収剤から発生する熱エネルギーにより分解して酸を発生する化合物として知られる化合物を挙げることができる。本開示に好適なオニウム塩化合物としては、感度の観点から、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する、以下に述べるオニウム塩構造を有するものを挙げることができる。
本開示において好適に用いられるオニウム塩としては、公知のジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジニウム塩等が挙げられ、中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムのスルホン酸塩、カルボン酸塩、BF4 −、PF6 −、ClO4 −などが好ましい。
本開示において酸発生剤として用い得るオニウム塩としては、下記式III〜Vで表されるオニウム塩が挙げられる。
上記式III中、Ar11とAr12はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルコキシ基、又は炭素数12以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−はハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオン、及び、ペルフルオロアルキルスルホン酸イオン等フッ素原子を有するスルホン酸イオンよりなる群から選択される対イオンを表し、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アリールスルホン酸イオン、及びペルフルオロアルキルスルホン酸であることが好ましい。
上記式IV中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール基を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基又は、ジアリールアミノ基(2つのアリール基の炭素数が、それぞれ独立に、6〜12)が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式V中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数1〜12のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式IV中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール基を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基又は、ジアリールアミノ基(2つのアリール基の炭素数が、それぞれ独立に、6〜12)が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式V中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数1〜12のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
本開示における画像記録層において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例は、国際公開第2016/047392号の段落0121〜段落0124に記載された化合物と同様である。
また、上記式III〜式Vで表される化合物の別の例としては、特開2008−195018号公報の段落0036〜段落0045において、ラジカル重合開始剤の例として記載の化合物を、本開示に係る酸発生剤として好適に用いることができる。
本開示に用いうる酸発生剤のより好ましい例として、下記化合物(PAG−1)〜(PAG−5)が挙げられる。
これらの酸発生剤を本開示における画像記録層に含有させる場合、これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸発生剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜30質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲において、酸発生剤添加の効果である感度の向上が見られると共に、非画像部における残膜の発生が抑制される。
酸発生剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜30質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲において、酸発生剤添加の効果である感度の向上が見られると共に、非画像部における残膜の発生が抑制される。
〔酸増殖剤〕
本開示における画像記録層は、酸増殖剤を含有してもよい。本開示における酸増殖剤とは、比較的に強い酸の残基で置換された化合物であって、酸触媒の存在下で容易に脱離して新たに酸を発生する化合物である。すなわち、酸触媒反応によって分解し、再び酸を発生する。1反応で1つ以上の酸が増えており、反応の進行に伴って加速的に酸濃度が増加することにより、飛躍的に感度が向上する。この発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。酸解離定数として3以下であれば、酸触媒による脱離反応を引き起こしやすい。
このような酸触媒に使用される酸としては、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェニルスルホン酸等が挙げられる。
本開示における画像記録層は、酸増殖剤を含有してもよい。本開示における酸増殖剤とは、比較的に強い酸の残基で置換された化合物であって、酸触媒の存在下で容易に脱離して新たに酸を発生する化合物である。すなわち、酸触媒反応によって分解し、再び酸を発生する。1反応で1つ以上の酸が増えており、反応の進行に伴って加速的に酸濃度が増加することにより、飛躍的に感度が向上する。この発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。酸解離定数として3以下であれば、酸触媒による脱離反応を引き起こしやすい。
このような酸触媒に使用される酸としては、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェニルスルホン酸等が挙げられる。
使用可能な酸増殖剤は、国際公開第2016/047392号の段落0133〜段落0135に記載されたものと同様である。
酸増殖剤は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
酸増殖剤の含有量としては、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましい。酸増殖剤の含有量が上記範囲において、酸増殖剤を添加する効果が充分に得られ、感度向上が達成されるともに、画像部の膜強度低下が抑制される。
酸増殖剤の含有量としては、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましい。酸増殖剤の含有量が上記範囲において、酸増殖剤を添加する効果が充分に得られ、感度向上が達成されるともに、画像部の膜強度低下が抑制される。
〔その他の添加剤〕
本開示における画像記録層は、その他の添加剤として、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
本開示における画像記録層は、その他の添加剤として、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
−現像促進剤−
本開示における画像記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
本開示における画像記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
−界面活性剤−
本開示における画像記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の画像記録層の全質量に占める割合は、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
本開示における画像記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の画像記録層の全質量に占める割合は、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
−焼出し剤/着色剤−
本開示における画像記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤及び着色剤としては、例えば、特開2009−229917号公報の段落0122〜段落0123に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本開示においても適用しうる。
焼出し剤及び着色剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
本開示における画像記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤及び着色剤としては、例えば、特開2009−229917号公報の段落0122〜段落0123に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本開示においても適用しうる。
焼出し剤及び着色剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
−可塑剤−
本開示における画像記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、1.0質量%〜5質量%であることがより好ましい。
本開示における画像記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、1.0質量%〜5質量%であることがより好ましい。
−ワックス剤−
本開示における画像記録層には、傷に対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特開2003−149799号公報、特開2003−302750号公報、又は、特開2004−12770号公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
ワックス剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
本開示における画像記録層には、傷に対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特開2003−149799号公報、特開2003−302750号公報、又は、特開2004−12770号公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
ワックス剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
<2層構造の平版印刷版原版>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記支持体上に、下層及び上層をこの順に有する画像記録層を有し、上記下層及び上記上層の少なくとも一方が特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層であることが好ましい。
上記特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層は、上記下層と上記上層のいずれであってもよいし、両方であってもよいが、アブレーション抑制性の効果により優れる点からは、上層であることが好ましい。
本開示において、このような下層及び上層を有するポジ型平版印刷版原版を、「2層構造の平版印刷版原版」ともいう。
下層及び上層は、2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去する方法等が挙げられる。後者の方法を併用することにより、層間の分離が一層良好に行われることになるため好ましい。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記支持体上に、下層及び上層をこの順に有する画像記録層を有し、上記下層及び上記上層の少なくとも一方が特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層であることが好ましい。
上記特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層は、上記下層と上記上層のいずれであってもよいし、両方であってもよいが、アブレーション抑制性の効果により優れる点からは、上層であることが好ましい。
本開示において、このような下層及び上層を有するポジ型平版印刷版原版を、「2層構造の平版印刷版原版」ともいう。
下層及び上層は、2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去する方法等が挙げられる。後者の方法を併用することにより、層間の分離が一層良好に行われることになるため好ましい。
以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる成分のいずれもが不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。例えば、下層成分として、上層成分である特定バインダーポリマーを溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、上記下層成分を溶解する溶剤系を用いて下層を塗布、乾燥し、その後、特定バインダーポリマーを含む上層をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解し、塗布、乾燥することにより二層化が可能になる。
次に、2層目(上層)を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつけることや、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与えること、あるいはそれらを組み合わせることにより達成できる。
本開示に係る平版印刷版原版の支持体上に塗布される下層成分の乾燥後の塗布量は、0.5g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.6g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.5g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05g/m2〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.08g/m2〜0.7g/m2の範囲であることがより好ましい。0.05g/m2以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m2以下であると、感度に優れる。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.7g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.6g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05g/m2〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.08g/m2〜0.7g/m2の範囲であることがより好ましい。0.05g/m2以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m2以下であると、感度に優れる。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.7g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.6g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
〔下層〕
本開示における2層構造の平版印刷版原版の下層は、上記特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層であってもよいが、特定バインダーポリマー、及び、特定化合物を含まない層であることが好ましい。
本開示における2層構造の平版印刷版原版の下層は、熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する赤外線感応性のポジ型記録層であることが好ましい。
下層における熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する機構には特に制限はなく、バインダー樹脂を含み、加熱された領域の溶解性が向上するものであれば、いずれも用いることができる。画像形成に利用される熱としては、赤外線吸収剤を含む下層が露光された場合に発生する熱が挙げられる。
熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する下層としては、例えば、ノボラック、ウレタン等の水素結合能を有するアルカリ可溶性樹脂を含む層、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層などが好ましく挙げられる。
本開示における2層構造の平版印刷版原版の下層は、上記特定バインダーポリマー、特定化合物及び赤外線吸収剤を含む層であってもよいが、特定バインダーポリマー、及び、特定化合物を含まない層であることが好ましい。
本開示における2層構造の平版印刷版原版の下層は、熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する赤外線感応性のポジ型記録層であることが好ましい。
下層における熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する機構には特に制限はなく、バインダー樹脂を含み、加熱された領域の溶解性が向上するものであれば、いずれも用いることができる。画像形成に利用される熱としては、赤外線吸収剤を含む下層が露光された場合に発生する熱が挙げられる。
熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する下層としては、例えば、ノボラック、ウレタン等の水素結合能を有するアルカリ可溶性樹脂を含む層、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層などが好ましく挙げられる。
また、下層に、更に赤外線吸収剤を添加することにより、下層で発生する熱も画像形成に利用することができる。赤外線吸収剤を含む下層の構成としては、例えば、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と酸発生剤とを含む層などが好ましく挙げられる。
−水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂−
本開示における下層には、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することで、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が有する極性基との間に相互作用が形成され、ポジ型の感光性を有する層が形成される。
一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
本開示において用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、又は、これらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有する水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有することが好ましい。したがって、このような樹脂は、上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を共重合することによって好適に生成することができる。上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が好ましく例示できる。なお、下式中、R40は水素原子又はメチル基を表す。
本開示における下層には、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することで、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が有する極性基との間に相互作用が形成され、ポジ型の感光性を有する層が形成される。
一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
本開示において用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、又は、これらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有する水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有することが好ましい。したがって、このような樹脂は、上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を共重合することによって好適に生成することができる。上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が好ましく例示できる。なお、下式中、R40は水素原子又はメチル基を表す。
本開示において用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、上記重合性モノマーの他に、他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物であることが好ましい。この場合の共重合比としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有するモノマーのようなアルカリ可溶性を付与するモノマーを10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。アルカリ可溶性を付与するモノマーの共重合成分が10モル%以上であると、アルカリ可溶性が十分得られ、また、現像性に優れる。
使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記に挙げる化合物を例示することができる。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、等のアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のその他の窒素原子含有モノマー。N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2,6−ジエチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、等のマレイミド類。
これらの他のエチレン性不飽和モノマーのうち、好適に使用されるのは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルである。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、等のアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のその他の窒素原子含有モノマー。N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2,6−ジエチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、等のマレイミド類。
これらの他のエチレン性不飽和モノマーのうち、好適に使用されるのは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルである。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、本開示に係る画像記録層の任意成分としてあげたその他のバインダーポリマーとして挙げたノボラック樹脂も好ましく挙げられる。
また、上記の水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を本開示における画像記録層に用いることも可能である。
また、上記の水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を本開示における画像記録層に用いることも可能である。
更に、本開示における下層中には、本開示に係る効果を損なわない範囲で他の樹脂を併用することができる。下層自体は、特に非画像部領域において、アルカリ可溶性を発現することを要するため、この特性を損なわない樹脂を選択する必要がある。この観点から、併用可能な樹脂としては、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
また、混合する量としては、上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂に対して50質量%以下であることが好ましい。
また、混合する量としては、上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂に対して50質量%以下であることが好ましい。
上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が2,000以上、かつ数平均分子量が500以上のものが好ましく、重量平均分子量が5,000〜300,000で、かつ数平均分子量が800〜250,000であることがより好ましい。また、上記アルカリ可溶性樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
本開示に係る下層におけるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本開示における下層の全固形分中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全質量に対し、2.0質量%〜99.5質量%であることが好ましく、10.0質量%〜99.0質量%であることがより好ましく、20.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の添加量が2.0質量%以上であると画像記録層(感光層)の耐久性に優れ、また、99.5質量%以下であると、感度、及び、耐久性の両方に優れる。
本開示に係る下層におけるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本開示における下層の全固形分中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全質量に対し、2.0質量%〜99.5質量%であることが好ましく、10.0質量%〜99.0質量%であることがより好ましく、20.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の添加量が2.0質量%以上であると画像記録層(感光層)の耐久性に優れ、また、99.5質量%以下であると、感度、及び、耐久性の両方に優れる。
−赤外線吸収剤−
下層には、赤外線吸収剤を含んでもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、前述した、本開示における画像記録層において用いられる赤外線吸収剤を同様に用いることができる。
特に好ましい染料は、上記式(a)で表されるシアニン色素である。
下層には、赤外線吸収剤を含んでもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、前述した、本開示における画像記録層において用いられる赤外線吸収剤を同様に用いることができる。
特に好ましい染料は、上記式(a)で表されるシアニン色素である。
下層に赤外線吸収剤を含有することで、露光感度が向上する。
下層における赤外線吸収剤の添加量としては、下層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10質量%であることが特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であることで感度が改良され、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
下層における赤外線吸収剤の添加量としては、下層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10質量%であることが特に好ましい。添加量が0.01質量%以上であることで感度が改良され、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
−その他の成分−
その他、2層構造の平版印刷版原版における下層は、酸発生剤、酸増殖剤、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤/着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
これらの成分は、前述した、本開示における画像記録層において用いられるそれぞれの成分を同様に用いることができ、好ましい態様も同様である。
その他、2層構造の平版印刷版原版における下層は、酸発生剤、酸増殖剤、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤/着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
これらの成分は、前述した、本開示における画像記録層において用いられるそれぞれの成分を同様に用いることができ、好ましい態様も同様である。
〔上層〕
本開示に係るポジ型平版印刷版原版において、2層構造の画像記録層における上層は、アブレーション抑制性、及び、耐刷性の観点から、特定バインダーポリマーと、特定化合物と、赤外線吸収剤と、を含むことが好ましい。
本開示における画像記録層を上層に用いることにより、アブレーション抑制性に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版において、2層構造の画像記録層における上層は、アブレーション抑制性、及び、耐刷性の観点から、特定バインダーポリマーと、特定化合物と、赤外線吸収剤と、を含むことが好ましい。
本開示における画像記録層を上層に用いることにより、アブレーション抑制性に優れた平版印刷版原版を得ることができる。
本開示における画像記録層を下層に用いる場合、上層も本開示における画像記録層とすることが好ましいが、上層を本開示における画像記録層以外の層として形成してもよい。その場合の上層の好ましい態様は、上記で説明した下層の好ましい態様と同様である。
<支持体>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、支持体を有する。
本開示における支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、支持体を有する。
本開示における支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
なお、本開示における支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であることが好ましい。
本開示において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本開示に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本開示において用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1mm〜0.6mmであることが好ましく、0.15mm〜0.4mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであることが特に好ましい。
このように本開示に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本開示において用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1mm〜0.6mmであることが好ましく、0.15mm〜0.4mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであることが特に好ましい。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行ってもよい。アルミニウム支持体の表面処理については、例えば、特開2009−175195号公報の段落0167〜0169に詳細に記載されるような、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理、表面の粗面化処理、陽極酸化処理などが適宜、施される。
陽極酸化処理を施されたアルミニウム表面は、必要により親水化処理が施される。
親水化処理としては、特開2009−175195号公報の段落0169に開示されているような、アルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法、フッ化ジルコン酸カリウムあるいは、ポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、特開2011−245844号公報に記載された支持体も好ましく用いられる。
陽極酸化処理を施されたアルミニウム表面は、必要により親水化処理が施される。
親水化処理としては、特開2009−175195号公報の段落0169に開示されているような、アルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法、フッ化ジルコン酸カリウムあるいは、ポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、特開2011−245844号公報に記載された支持体も好ましく用いられる。
<下塗層>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と画像記録層(又は、画像記録層における下層)との間に下塗層を有することができる。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。下塗層に使用される化合物の詳細、下塗層の形成方法は、特開2009−175195号公報の段落0171〜0172に記載され、これらの記載は本開示にも適用される。
下塗層の被覆量は、2mg/m2〜200mg/m2であることが好ましく、5mg/m2〜100mg/m2であることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と画像記録層(又は、画像記録層における下層)との間に下塗層を有することができる。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。下塗層に使用される化合物の詳細、下塗層の形成方法は、特開2009−175195号公報の段落0171〜0172に記載され、これらの記載は本開示にも適用される。
下塗層の被覆量は、2mg/m2〜200mg/m2であることが好ましく、5mg/m2〜100mg/m2であることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。
<バックコート層>
本開示に係る平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
(平版印刷版の作製方法)
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を用いる方法であれば、特に制限はないが、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含むことが好ましい。
以下、本開示に係る作製方法の各工程について詳細に説明する。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を用いる方法であれば、特に制限はないが、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含むことが好ましい。
以下、本開示に係る作製方法の各工程について詳細に説明する。
<露光工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程を含む。
本開示に係る平版印刷版原版の画像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーがより好ましい。中でも、本開示においては、波長750nm〜1,400nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されることが特に好ましい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10mJ/cm2〜300mJ/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性が十分に向上し、また、レーザーアブレーションを抑制し、画像の損傷を防ぐことができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程を含む。
本開示に係る平版印刷版原版の画像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーがより好ましい。中でも、本開示においては、波長750nm〜1,400nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されることが特に好ましい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10mJ/cm2〜300mJ/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性が十分に向上し、また、レーザーアブレーションを抑制し、画像の損傷を防ぐことができる。
本開示における露光は、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは、副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本開示ではこのオーバーラップ係数が、0.1以上であることが好ましい。
本開示において使用することができる露光装置の光源の走査方式は、特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
<現像工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程を含む。
現像工程に使用される現像液は、pH10.0以下の現像液であれば特に限定されない。
上記現像液は、水溶液であることが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法においては、pHが10.0を超える現像液を用いて現像を行ってもよい。例えば、特開2003−1956号公報の段落0270〜0292に記載の現像液など、公知の現像液を用いて現像することもできる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程を含む。
現像工程に使用される現像液は、pH10.0以下の現像液であれば特に限定されない。
上記現像液は、水溶液であることが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版の作製方法においては、pHが10.0を超える現像液を用いて現像を行ってもよい。例えば、特開2003−1956号公報の段落0270〜0292に記載の現像液など、公知の現像液を用いて現像することもできる。
また、現像性の向上のため、現像液は界面活性剤を含んでもよい。
上記現像液に用いられる界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性の界面活性剤のいずれも用いることができるが、既述のように、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
本開示において現像液に用いられるアニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性界面活性剤としては、特開2013−134341号公報の段落0128〜0131に記載の物を使用することができる。
上記現像液に用いられる界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性の界面活性剤のいずれも用いることができるが、既述のように、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
本開示において現像液に用いられるアニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性界面活性剤としては、特開2013−134341号公報の段落0128〜0131に記載の物を使用することができる。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、HLB値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
上記現像液に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく、スルホン酸又はスルホン酸塩を含有するアニオン性界面活性剤及び、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するノニオン界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の現像液中における含有量は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
上記現像液に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく、スルホン酸又はスルホン酸塩を含有するアニオン性界面活性剤及び、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するノニオン界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の現像液中における含有量は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
現像工程に使用される現像液は、pH10.0以下の現像液であれば特に限定されないが、pH8.0〜pH10.0の現像液であることが好ましく、pH9.0〜pH9.9の現像液であることがより好ましい。
このような比較的低pHの現像液においては、従来用いられる、例えばpHが12前後の高pHの現像液と比較して、例えば大気中のCO2の溶解等に由来するpHの低下が抑制されやすい。すなわち、低pHであることにより現像液の使用時又は保管時における安定性に優れるといえる。
低pHの現像液において、上記の様に現像液におけるpHの低下が抑制されることにより、現像性低下、現像カス発生等が抑制される。
また、上記低pHの現像液におけるpHを初期値に保つために、現像液を緩衝液とすることも好ましい。緩衝液としては、特に炭酸塩緩衝系とすることが好ましい。
本開示において、炭酸塩緩衝系とは、緩衝剤として炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含有する緩衝液をいう。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような比較的低pHの現像液においては、従来用いられる、例えばpHが12前後の高pHの現像液と比較して、例えば大気中のCO2の溶解等に由来するpHの低下が抑制されやすい。すなわち、低pHであることにより現像液の使用時又は保管時における安定性に優れるといえる。
低pHの現像液において、上記の様に現像液におけるpHの低下が抑制されることにより、現像性低下、現像カス発生等が抑制される。
また、上記低pHの現像液におけるpHを初期値に保つために、現像液を緩衝液とすることも好ましい。緩衝液としては、特に炭酸塩緩衝系とすることが好ましい。
本開示において、炭酸塩緩衝系とは、緩衝剤として炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含有する緩衝液をいう。
炭酸イオン及び炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸塩及び炭酸水素塩の総量は、現像液の全質量に対して、0.3質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。総量が0.3質量%以上であると現像性、処理能力が低下せず、20質量%以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、更に現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、非画像部画像記録層の溶解を補助する目的で、補足的に他のアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの他のアルカリ剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記現像液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。ただし、水溶性高分子化合物を添加すると、特に現像液が疲労した際に版面がベトツキやすくなるため、添加しないことが好ましい。
上記現像液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。ただし、水溶性高分子化合物を添加すると、特に現像液が疲労した際に版面がベトツキやすくなるため、添加しないことが好ましい。
湿潤剤としては、特開2013−134341号公報の段落0141に記載の湿潤剤を好適に用いることができる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。湿潤剤は、現像剤の全質量に対し、0.1質量%〜5質量%の量で使用されることが好ましい。
防腐剤としては、特開2013−134341号公報の段落0142に記載の防腐剤を好適に用いることができる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜4質量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、特開2013−134341号公報の段落0143に記載のキレート化合物を好適に用いることができる。キレート剤は現像液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量は、現像液の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%が好適である。
消泡剤としては、特開2013−134341号公報の段落0144に記載の消泡剤を好適に用いることができる。消泡剤の含有量は、現像液の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%の範囲が好適である。
有機酸としては、特開2013−134341号公報の段落0145に記載の消泡剤を好適に用いることができる。有機酸の含有量は、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)、ガソリン、若しくは、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、又は、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、その他(トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が好ましい。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。無機塩の含有量は、現像液の全質量に対し、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
現像の温度は、現像可能であれば特に制限はないが、60℃以下であることが好ましく、15℃〜40℃であることがより好ましい。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。現像及び現像後の処理の一例としては、アルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が例示できる。また、他の例としては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、前水洗、現像及びガム引きを同時に行う方法が好ましく例示できる。よって、前水洗工程は特に行わなくともよく、一液を用いるだけで、更には一浴で前水洗、現像及びガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。現像の後は、スクイズローラ等を用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
現像工程は、擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号公報、特開昭60−59351号公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号の各明細書に記載の自動処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本開示において使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、更には、平版印刷版原版の支持体における腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報、特開平3−100554号公報に記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20μm〜400μm、毛の長さは5mm〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30mm〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1m/sec〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20μm〜400μm、毛の長さは5mm〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30mm〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1m/sec〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が更に確実となる。更に、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
現像工程の後、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行う。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において好適に用いられる自動処理機としては、現像部と乾燥部とを有する装置が用いられ、平版印刷版原版に対して、現像槽で、現像とガム引きとが行われ、その後、乾燥部で乾燥されて平版印刷版が得られる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法において好適に用いられる自動処理機としては、現像部と乾燥部とを有する装置が用いられ、平版印刷版原版に対して、現像槽で、現像とガム引きとが行われ、その後、乾燥部で乾燥されて平版印刷版が得られる。
また、耐刷性等の向上を目的として、現像後の印刷版を非常に強い条件で加熱することもできる。加熱温度は、200℃〜500℃の範囲である事が好ましい。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる恐れがある。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に好適に用いられる。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に好適に用いられる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成単位の比率はモル百分率である。また、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
本実施例において使用する特定バインダーポリマーにおけるA1−1〜A1−11により形成される構成単位はそれぞれ、上述したA1−1〜A1−11である。
また、本実施例において使用する特定化合物であるB1〜B8はそれぞれ、上述したB1〜B8と同じ化合物である。
本実施例において使用する特定バインダーポリマーにおけるA1−1〜A1−11により形成される構成単位はそれぞれ、上述したA1−1〜A1−11である。
また、本実施例において使用する特定化合物であるB1〜B8はそれぞれ、上述したB1〜B8と同じ化合物である。
<特定バインダーポリマーの合成>
下記方法により、特定バインダーポリマーであるP−1〜P−18を合成した。
下記方法により、特定バインダーポリマーであるP−1〜P−18を合成した。
〔P−1の合成〕
三口フラスコ中に1−メトキシ−2−プロパノール:48.0部、及び、酢酸:1.58部を入れ窒素気流下、75℃で30分撹拌した。そこにモノマーA1−1:12.5部、MMA(メチルメタクリレート):12.5部、V−601(商品名、Dimethyl 2,2'-azobis(2-methylpropionate)、富士フイルム和光純薬(株)製):0.34部、及び、メタノール:12.0部の混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に75℃で2時間反応させた後、よく撹拌した水500部に注ぐと固体が析出した。析出した固体をろ過し、水洗後減圧下にて乾燥して、ポリマーP−1を得た。
三口フラスコ中に1−メトキシ−2−プロパノール:48.0部、及び、酢酸:1.58部を入れ窒素気流下、75℃で30分撹拌した。そこにモノマーA1−1:12.5部、MMA(メチルメタクリレート):12.5部、V−601(商品名、Dimethyl 2,2'-azobis(2-methylpropionate)、富士フイルム和光純薬(株)製):0.34部、及び、メタノール:12.0部の混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に75℃で2時間反応させた後、よく撹拌した水500部に注ぐと固体が析出した。析出した固体をろ過し、水洗後減圧下にて乾燥して、ポリマーP−1を得た。
〔P−2〜P−18の合成〕
使用するモノマーを適宜変更した以外は、ポリマーP−1と同様の方法により合成を行った。
使用するモノマーを適宜変更した以外は、ポリマーP−1と同様の方法により合成を行った。
各構成単位を形成するためのモノマーとしては、下記化合物を使用した。合成品は、以下の方法により合成し、各構成単位を形成するためのモノマーとして使用した。
A1−1:11−アクリルアミドウンデカン酸(合成品)
A1−2:6−アクリルアミドヘキサン酸(シグマアルドリッチ社製)
A1−3:2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製)
A1−4:2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製)
A1−5:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(東亞合成(株)製)
A1−6:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
A1−7:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
A1−8:4−ビニル安息香酸(東京化成工業(株)製)
A1−9:2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学(株)製)
A1−10:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成工業(株)製)
A1−11:ジメチルプロピオン酸(東京化成工業(株)製)
A1−2:6−アクリルアミドヘキサン酸(シグマアルドリッチ社製)
A1−3:2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製)
A1−4:2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社化学(株)製)
A1−5:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(東亞合成(株)製)
A1−6:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
A1−7:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
A1−8:4−ビニル安息香酸(東京化成工業(株)製)
A1−9:2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(共栄化学(株)製)
A1−10:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成工業(株)製)
A1−11:ジメチルプロピオン酸(東京化成工業(株)製)
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
EHMA:エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
MAm:メタクリルアミド(東京化成工業(株)製)
MDI:ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業(株)製)
PPG1200:ユニオールD−1200(日油(株)製)
EHMA:エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
MAm:メタクリルアミド(東京化成工業(株)製)
MDI:ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業(株)製)
PPG1200:ユニオールD−1200(日油(株)製)
〔A1−1の合成〕
三口フラスコ中にアセトニトリル100gと11−アミノウンデカン酸10gとを入れ、5℃で撹拌した。そこに、メタクリル酸クロリド5gを滴下し、更に、トリエチルアミン1gを滴下した。室温で1時間反応させたのち、純水100gを加え、酢酸エチル300gで油相を抽出したのち、溶媒を120mmHg減圧下40℃で溜去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルにて再結晶し、モノマーA1−1を得た。
三口フラスコ中にアセトニトリル100gと11−アミノウンデカン酸10gとを入れ、5℃で撹拌した。そこに、メタクリル酸クロリド5gを滴下し、更に、トリエチルアミン1gを滴下した。室温で1時間反応させたのち、純水100gを加え、酢酸エチル300gで油相を抽出したのち、溶媒を120mmHg減圧下40℃で溜去した。得られた固体をジイソプロピルエーテルにて再結晶し、モノマーA1−1を得た。
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
EHMA:エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
EHMA:エチルヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
また、以下に実施例比較例で使用した特定化合物及び比較化合物の詳細を示す。
B1:アデカスタブLA−52((株)ADEKA製)
B2:アデカスタブLA−57((株)ADEKA製)
B3:アデカスタブLA−63P((株)ADEKA製)
B4:アデカスタブLA−68((株)ADEKA製)
B5:アデカスタブLA−72((株)ADEKA製)
B6:アデカスタブLA−77Y((株)ADEKA製)
B7:N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業(株)製)
B8:1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(東京化成工業(株)製)
C1:4−メタクリロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン((株)ADEKA製)
C2:4−ジメチルアミノ安息香酸(東京化成工業(株)製)
C3:トリエタノールアミン(東京化成工業(株)製)
B1:アデカスタブLA−52((株)ADEKA製)
B2:アデカスタブLA−57((株)ADEKA製)
B3:アデカスタブLA−63P((株)ADEKA製)
B4:アデカスタブLA−68((株)ADEKA製)
B5:アデカスタブLA−72((株)ADEKA製)
B6:アデカスタブLA−77Y((株)ADEKA製)
B7:N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業(株)製)
B8:1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(東京化成工業(株)製)
C1:4−メタクリロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン((株)ADEKA製)
C2:4−ジメチルアミノ安息香酸(東京化成工業(株)製)
C3:トリエタノールアミン(東京化成工業(株)製)
以下にC1〜C3の化学構造式を示す。
(実施例1−1〜1−38及び比較例1−1〜1−4)
<支持体の作製>
国際公開第2015/152209号の段落0224〜0297と同様の方法により支持体を製造した。全ての実施例と比較例にてこの支持体を使用した。
<支持体の作製>
国際公開第2015/152209号の段落0224〜0297と同様の方法により支持体を製造した。全ての実施例と比較例にてこの支持体を使用した。
<下塗層の形成>
上記支持体上に、以下に示す下塗層塗布液1を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、下塗層を設けた。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
上記支持体上に、以下に示す下塗層塗布液1を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、下塗層を設けた。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
〔下塗層塗布液1〕
・重量平均分子量2.8万の下記共重合体:0.3部
・メタノール:100部
・水:1部
・重量平均分子量2.8万の下記共重合体:0.3部
・メタノール:100部
・水:1部
上記化学式中、括弧の添字は各構成単位の含有量(質量%)を表す。また、Etはエチル基を表す。
<感光性樹脂組成物の調製>
下記組成に記載した各成分を混合し、感光性樹脂組成物(I)を調製した。感光性樹脂組成物(I)はポジ型の感光性樹脂組成物である。
下記組成に記載した各成分を混合し、感光性樹脂組成物(I)を調製した。感光性樹脂組成物(I)はポジ型の感光性樹脂組成物である。
〔感光性樹脂組成物(I)〕
・表1に記載の特定バインダーポリマー:表1に記載の量
・表1に記載の特定化合物:表1に記載の量
・表1に記載の赤外線吸収剤:0.045部
・メガファックF−780(フッ素系界面活性剤、DIC(株)製):0.03部
・酢酸:12.0部
・メチルエチルケトン:13.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
・表1に記載の特定バインダーポリマー:表1に記載の量
・表1に記載の特定化合物:表1に記載の量
・表1に記載の赤外線吸収剤:0.045部
・メガファックF−780(フッ素系界面活性剤、DIC(株)製):0.03部
・酢酸:12.0部
・メチルエチルケトン:13.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
<画像記録層の形成>
各実施例又は比較例において、得られた下塗り層付きの支持体に、上記感光性樹脂組成物(I)を、ワイヤーバーで塗布した後、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して特定バインダーポリマーの塗布量を1.0g/m2となるようにし、画像記録層を設け、平版印刷版原版を得た。
各実施例又は比較例において、得られた下塗り層付きの支持体に、上記感光性樹脂組成物(I)を、ワイヤーバーで塗布した後、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して特定バインダーポリマーの塗布量を1.0g/m2となるようにし、画像記録層を設け、平版印刷版原版を得た。
得られた平版印刷版原版を用いて、以下の評価を行った。評価結果は表1に記載した。
<現像性>
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、下記組成の現像液1を仕込んだ現像浴に浸漬させ、現像温度30℃で非画像部の現像に要する時間を測定した。マクベス濃度計により測定した画像記録層の画像濃度が、支持体の画像濃度と同等となった浸漬時間を非画像部現像時間とし、測定値を表に記載した。浸漬させてから30秒の時点で、画像記録層の上記画像濃度が支持体の上記画像濃度と同等とならなかった場合、「現像不可」と記載した。非画像部現像時間が短いほど、現像性が良好である。
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter VXにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、下記組成の現像液1を仕込んだ現像浴に浸漬させ、現像温度30℃で非画像部の現像に要する時間を測定した。マクベス濃度計により測定した画像記録層の画像濃度が、支持体の画像濃度と同等となった浸漬時間を非画像部現像時間とし、測定値を表に記載した。浸漬させてから30秒の時点で、画像記録層の上記画像濃度が支持体の上記画像濃度と同等とならなかった場合、「現像不可」と記載した。非画像部現像時間が短いほど、現像性が良好である。
〔現像液1〕
・水:8,964質量部
・炭酸ナトリウム:200質量部
・炭酸水素ナトリウム:100質量部
・ニューコールB4SN(商品名、ポリオキシエチレンナフチルエーテル硫酸塩、日本乳化剤(株)製):300質量部
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩:80質量部
・水:8,964質量部
・炭酸ナトリウム:200質量部
・炭酸水素ナトリウム:100質量部
・ニューコールB4SN(商品名、ポリオキシエチレンナフチルエーテル硫酸塩、日本乳化剤(株)製):300質量部
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩:80質量部
<画像部保持性>
得られた平版印刷版原版を、露光せずに、現像液1を仕込んだ現像浴に浸漬させ、現像温度30℃で、マクベス濃度計により測定した画像記録層の画像濃度が、浸漬前の画像記録層の画像濃度より3%低下した浸漬時間を画像部保持時間とした。画像部現像時間が長いほど、画像部保持性が良好である。
得られた平版印刷版原版を、露光せずに、現像液1を仕込んだ現像浴に浸漬させ、現像温度30℃で、マクベス濃度計により測定した画像記録層の画像濃度が、浸漬前の画像記録層の画像濃度より3%低下した浸漬時間を画像部保持時間とした。画像部現像時間が長いほど、画像部保持性が良好である。
<耐刷性>
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みを行った。
その後、上記現像液1を仕込んだ富士フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、現像時間は上記非画像部現像時間+2秒で現像を行った。これを、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。インキとしては、低品位資材のモデルとして、炭酸カルシウムを含有させた東洋インキ(株)製特練墨インキを使用した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。なお、比較例1−2における枚数を100とし、枚数による相対評価を行った。
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム回転速度150rpm(revolutions per minute)で、テストパターンを画像状に描き込みを行った。
その後、上記現像液1を仕込んだ富士フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、現像時間は上記非画像部現像時間+2秒で現像を行った。これを、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。インキとしては、低品位資材のモデルとして、炭酸カルシウムを含有させた東洋インキ(株)製特練墨インキを使用した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。なお、比較例1−2における枚数を100とし、枚数による相対評価を行った。
<アブレーション抑制性>
平版印刷版原版の表面に、透明な0.1mm厚さのポリエチレンテレフタレートフイルム(富士フイルム(株)製)を密着させた状態にし、現像性の評価と同様の条件下において全面露光した。
露光後に上記ポリエチレンテレフタレートフイルムを外して目視し、表面の汚れ具合を観察した。汚れが認められなかったものをA、汚れが若干認められたものをB、フイルムを通して向こう側を透かして見えない程度まで汚れたものをCとして、それぞれ判定した。
汚れが少ないほどアブレーション抑制性に優れているといえ、評価はA又はBが好ましく、Aがより好ましい。
平版印刷版原版の表面に、透明な0.1mm厚さのポリエチレンテレフタレートフイルム(富士フイルム(株)製)を密着させた状態にし、現像性の評価と同様の条件下において全面露光した。
露光後に上記ポリエチレンテレフタレートフイルムを外して目視し、表面の汚れ具合を観察した。汚れが認められなかったものをA、汚れが若干認められたものをB、フイルムを通して向こう側を透かして見えない程度まで汚れたものをCとして、それぞれ判定した。
汚れが少ないほどアブレーション抑制性に優れているといえ、評価はA又はBが好ましく、Aがより好ましい。
表1及び表2において特定バインダーポリマーの酸基のpKa、酸基を有する構成単位のClogP、酸価及びMw(重量平均分子量)、特定化合物の塩基基のpKaH、ClogP及び塩基価、並びに、NA/NBの欄の記載は、それぞれ上述の方法により測定した特定バインダーポリマーの酸基のpKa、酸基を有する構成単位のClogP、酸価、Mw(重量平均分子量)、特定化合物の塩基基のpKaH、ClogP及び塩基価、並びに、NA/NBを示している。
なお、NA/NBは、特定バインダーポリマーが有する酸基の数NAと特定塩基性化合物が有する塩基基の数NBとの比である。
これらの内容は、後述する表3においても同様である。
なお、NA/NBは、特定バインダーポリマーが有する酸基の数NAと特定塩基性化合物が有する塩基基の数NBとの比である。
これらの内容は、後述する表3においても同様である。
また、表1又は表2に記載のIR−1〜IR−3は、以下の化合物である。
(実施例2−1〜2−3及び比較例2−1〜2−4)
<二層構造の平版印刷版の作製>
各実施例又は比較例において、上記実施例1−1と同様の支持体上に、下記下層形成用組成物(II)を、ワイヤーバーで塗布したのち、133℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥してバインダーポリマーの塗布量を0.7g/m2となるようにし、下層を設けた後、上記実施例1−1と同様に作製した感光性樹脂組成物(I)(特定バインダーポリマー及び特定化合物の詳細は下記表3の通り、赤外線吸収剤はIR−1)をワイヤーバーで塗布し、上層を設けた。塗布後130℃、50秒間の乾燥を行い、下層と上層とを合わせた塗布量が1.0g/m2となる平版印刷版原版を得た。
<二層構造の平版印刷版の作製>
各実施例又は比較例において、上記実施例1−1と同様の支持体上に、下記下層形成用組成物(II)を、ワイヤーバーで塗布したのち、133℃の乾燥オーブンで60秒間乾燥してバインダーポリマーの塗布量を0.7g/m2となるようにし、下層を設けた後、上記実施例1−1と同様に作製した感光性樹脂組成物(I)(特定バインダーポリマー及び特定化合物の詳細は下記表3の通り、赤外線吸収剤はIR−1)をワイヤーバーで塗布し、上層を設けた。塗布後130℃、50秒間の乾燥を行い、下層と上層とを合わせた塗布量が1.0g/m2となる平版印刷版原版を得た。
〔下層形成用塗布液組成物(II)〕
・Polymer UP−1、下記構造式の化合物、重量平均分子量40,000:3.5部
・メガファックF−780:0.07部
・メチルエチルケトン:30.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15.0部
・γ−ブチロラクトン:15.0部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
・Polymer UP−1、下記構造式の化合物、重量平均分子量40,000:3.5部
・メガファックF−780:0.07部
・メチルエチルケトン:30.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15.0部
・γ−ブチロラクトン:15.0部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
上記構造中、括弧の添え字は各構成単位の含有量(モル%)を表す。
得られた2層構造の平版印刷版原版を用い、上述の方法と同様の方法により、現像性、画像部保持性、耐刷性、及び、アブレーション抑制性の評価を行い、評価結果を表2に記載した。
表1〜表3に記載の結果から、本開示に係るポジ型平版印刷版原版である実施例1−1〜1−38及び2−1〜2−3におけるポジ型平版印刷版原版は、比較例1−1〜1−4及び2−1〜2−4のポジ型平版印刷版原版と比べ、アブレーション抑制性に優れることがわかる。
また、実施例1−1〜1−38及び2−1〜2−3におけるポジ型平版印刷版原版は、現像性、画像部保持性、及び、耐刷性にも優れることがわかる。
また、実施例1−1〜1−38及び2−1〜2−3におけるポジ型平版印刷版原版は、現像性、画像部保持性、及び、耐刷性にも優れることがわかる。
Claims (11)
- 支持体と、
前記支持体上に、画像記録層と、を有し、
前記画像記録層が、
カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基及び硫酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する構成単位を有するバインダーポリマーと、
2つ以上の塩基基を有し、かつ分子量10,000以下の塩基性化合物と、
赤外線吸収剤と、を含む
ポジ型平版印刷版原版。 - 前記バインダーポリマーが、前記酸基を有する構成単位として、下記式(1)又は下記式(2)で表される構成単位を有する請求項1に記載のポジ型平版印刷版原版。
式(1)及び式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、X1は単結合、エステル結合又はアミド結合を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、Acidはカルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基又は硫酸基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、A1は三価の連結基を表す。 - 前記塩基基が、窒素原子を有する基である請求項1又は請求項2に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記塩基基が、第三級アミノ基、又は、ヒンダードアミン構造を有する基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記塩基基が、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記塩基性化合物が、ヒドロキシ基及び酸基を有しない塩基性化合物、又は、ヒドロキシ基及び酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を更に有し、かつ前記塩基基の数が前記ヒドロキシ基及び前記酸基の総数よりも多い塩基性化合物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記バインダーポリマーが有する前記酸基の数NAと前記塩基性化合物が有する前記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/0.5〜13である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記バインダーポリマーが有する前記酸基の数NAと前記塩基性化合物が有する前記塩基基の数NBとの比が、NA/NB=1/1.2〜6である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記塩基性化合物の分子量が、300〜5,000である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記塩基性化合物が、塩基基を3つ以上有する化合物を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、
露光された前記ポジ平版印刷版原版をpH10.0以下の現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む
平版印刷版の作製方法。
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JP2019016100A JP2020122935A (ja) | 2019-01-31 | 2019-01-31 | ポジ型平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法 |
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