JP2020160232A - トナー用定着液 - Google Patents

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【課題】定着性を向上させることができるトナー用定着液を提供する。【解決手段】トナー用定着液は、トナーをシートに定着させるために用いられる。トナー用定着液は、脂肪族カルボン酸エステルと、水と、リン酸エステル型の界面活性剤とを含有する。水は、脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されている。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー用定着液に関する。
従来、トナー用定着液を用いてトナーを定着させる画像形成装置が知られている。トナー用定着液は、トナーを軟化させることができる脂肪族カルボン酸エステルと、溶媒としての水とを含有する。脂肪族カルボン酸エステルは、水に可溶化されている(下記特許文献1参照)。
特開2007−17611号公報
しかし、上記した特許文献1に記載のトナー用定着液は、脂肪族カルボン酸エステルを水に可溶化しているので、水に可溶となる割合以上の脂肪族カルボン酸エステルを含有することが困難である。
そのため、トナーを軟化させるために十分な量の脂肪族カルボン酸エステルをトナー用定着液に配合することが困難であり、定着性が劣る場合がある。
そこで、本開示の目的は、定着性を向上させることができるトナー用定着液を提供することにある。
(1)トナー用定着液は、トナーをシートに定着させるために用いられる。トナー用定着液は、脂肪族カルボン酸エステルと、水と、リン酸エステル型の界面活性剤とを含有する。水は、脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されている。
(2)リン酸エステル型の界面活性剤は、下記一般式(1)で示されてもよい。
一般式(1):[R−O(−RO)−]PO(−OR(3−m)
(式中、Rは、炭素数12以上18以下の脂肪族炭化水素基である。Rは、炭素数2または3のアルキレン基である。Rは、水素原子またはアルカリ金属原子である。nは、2以上10以下であり、mは、1以上3以下である。)
(3)一般式(1)中のRの炭素数は、12以上15以下であってもよい。
(4)一般式(1)中のRの炭素数は、2であってもよい。
(5)一般式(1)中のnは、3以上6以下であってもよい。
(6)リン酸エステル型の界面活性剤は、一般式(1)中のmが1であるリン酸モノエステルを含んでもよい。
(7)リン酸エステル型の界面活性剤は、一般式(1)中のmが1であるリン酸モノエステルと、一般式(1)中のmが2であるリン酸ジエステルとの混合物であってもよい。
(8)リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの総量に対するリン酸モノエステルの割合は、40質量%以上、60質量%以下であってもよい。
(9)リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの総量に対するリン酸モノエステルの割合は、50質量%であってもよい。
(10)リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、5質量%以上、50質量%以下であってもよい。
(11)リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、5質量%以上、40質量%以下であってもよい。
(12)リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、10質量%以上、40質量%以下であってもよい。
(13)水の含有割合は、0.1質量%以上、7質量%以下であってもよい。
(14)水の含有割合は、0.1質量%以上、4質量%以下であってもよい。
(15)水の含有割合は、脂肪族カルボン酸エステル100質量部に対して、0.5質量部以上、25質量部以下であってもよい。
(16)水の含有割合は、脂肪族カルボン酸エステル100質量部に対して、0.5質量部以上、20質量部以下であってもよい。
(17)脂肪族カルボン酸エステルは、下記一般式(2)で示される脂肪族ジカルボン酸エステルであってもよい。
一般式(2):R(−COOR
(式中、Rは、炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数2以上10以下のアルキル基である。)
(18)脂肪族カルボン酸エステルの含有割合は、45質量%以上、90質量%以下であってもよい。
(19)脂肪族カルボン酸エステルの含有割合は、55質量%以上、90質量%以下であってもよい。
(20)トナー用定着剤は、さらに、トナー用定着液がイオン化することを促進するためのイオン化促進剤を含有してもよい。
(21)イオン化促進剤は、リン酸エステル型の界面活性剤を除くイオン性界面活性剤であってもよい。
(22)イオン化促進剤は、硫酸エステル塩であってもよい。
(23)イオン化促進剤の含有割合は、0.01質量%以上、1質量%以下であってもよい。
(24)イオン化促進剤の含有割合は、0.05質量%以上、0.75質量%以下であってもよい。
(25)イオン化促進剤の含有割合は、リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合よりも少なくてもよい。
(26)イオン化促進剤の含有割合は、リン酸エステル型の界面活性剤100質量部に対して、1質量部以上、10質量部以下であってもよい。
(27)イオン化促進剤の含有割合は、リン酸エステル型の界面活性剤100質量部に対して、2質量部以上、5質量部以下であってもよい。
(28)イオン化促進剤の含有割合は、水1質量部に対して、0.01質量部以上、1.0質量部以下であってもよい。
(29)イオン化促進剤の含有割合は、水1質量部に対して、0.05質量部以上、0.5質量部以下であってもよい。
本開示のトナー用定着液によれば、水が脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されているので、トナーを軟化させるために十分な量の脂肪族カルボン酸エステルをトナー用定着液に配合することができ、定着性を向上させることができる。
図1は、画像形成装置の概略構成図である。
1.画像形成装置の概略
まず、トナー用定着液が用いられる画像形成装置1の概略について説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体2と、シート供給部3と、トナー像形成部4と、定着部5とを備える。
1.1 筐体
筐体2は、シート供給部3、トナー像形成部4、および定着部5を収容する。
1.2 シート供給部
シート供給部3は、トナー像形成部4にシートSを供給する。詳しくは、シート供給部3は、シートSを、トナー像形成部4の感光ドラム6に向かって搬送する。感光ドラム6については、後で説明する。シート供給部3は、シートカセット13と、ピックアップローラ14と、搬送ローラ15とを備える。シートカセット13は、シートSを収容する。シートSは、例えば、印刷用紙である。ピックアップローラ14は、シートカセット13内のシートSを搬送ローラ15に向かって搬送する。搬送ローラ15は、ピックアップローラ14からのシートSを感光ドラム6に向かって搬送する。
1.3 トナー像形成部
トナー像形成部4は、トナーを用いて、シートSにトナー像を形成する。トナー像形成部4は、感光ドラム6と、帯電装置7と、露光装置8と、現像装置9と、転写装置10とを有する。
感光ドラム6は、軸Aについて回転可能である。感光ドラム6は、軸Aに沿って延びる円筒形状を有する。
帯電装置7は、感光ドラム6の表面を帯電させる。帯電装置7は、具体的には、帯電ローラである。なお、帯電装置7は、スコロトロン型帯電器であってもよい。帯電装置7が帯電ローラである場合、帯電装置7は、感光ドラム6の表面に接触する。帯電装置7がスコロトロン型帯電装置である場合、帯電装置7は、感光ドラム6の表面に対して間隔を隔てて位置する。
露光装置8は、感光ドラム6の表面を露光する。詳しくは、露光装置8は、帯電装置7によって帯電された感光ドラム6の表面を露光する。これにより、感光ドラム6の表面に静電潜像が形成される。露光装置8は、具体的には、レーザースキャンユニットである。なお、露光装置8は、LEDアレイであってもよい。
現像装置9は、感光ドラム6の表面にトナーを供給する。これにより、静電潜像が現像され、感光ドラム6の表面にトナー像が形成される。現像装置9は、トナー収容部11と、現像ローラ12とを有する。
トナー収容部11は、トナーを収容する。トナーは、トナー粒子と、必要により、外添剤とを含有する。トナー粒子は、結着樹脂と、必要により、着色剤、顔料分散剤、離型剤、磁性体および帯電制御剤を含有する。結着樹脂は、トナー粒子のベースである。結着樹脂は、トナー粒子に含まれる成分を結着する。結着樹脂は、トナー用定着液が付与されることによって軟化し、その後、硬化することにより、シートSに固着する。トナー用定着液については、後述する。着色剤は、トナー粒子に所望の色を付与する。着色剤は、結着樹脂中に分散する。顔料分散剤は、着色剤の分散性を向上させる。帯電制御剤は、トナー粒子に帯電性を付与する。帯電性は、正帯電性および負帯電性のいずれであってもよい。外添剤は、トナー粒子の帯電性、流動性、保存安定性を調整する。
現像ローラ12は、トナー収容部11内のトナーを感光ドラム6の表面に供給する。現像ローラ12は、感光ドラム6と接触する。なお、現像ローラ12は、感光ドラム6と接触しなくてもよい。
現像装置9は、感光ドラム6および帯電装置7とともに、1つのプロセスユニットとして構成されてもよい。プロセスユニットは、筐体2に対して装着可能であってもよい。
また、現像装置9は、感光ドラム6および帯電装置7を有するドラムユニットに対して装着可能な現像カートリッジであってもよい。ドラムユニットは、筐体2に対して装着可能であってもよい。
また、現像装置9は、現像ローラ12を備える現像器と、現像器に対して装着可能なトナーカートリッジとを備えてもよい。この場合、トナーカートリッジは、トナー収容部11を備える。また、現像器は、ドラムユニットに設けられてもよい。現像器は、ドラムユニットに対して装着可能であってもよい。
転写装置10は、トナー像を、感光ドラム6からシートSに転写する。これにより、シートSに、トナー像が、形成される。転写装置10は、感光ドラム6と接触する。なお、転写装置10は、感光ドラム6と接触しなくてもよい。転写装置10は、具体的には、転写ローラである。なお、転写装置10は、転写ベルトであってもよい。
1.4 定着部
定着部5は、トナー用定着液をトナー像に付与して、トナー像をシートSに定着させる。つまり、トナー用定着液は、定着部5においてトナー像に付与され、トナーをシートに定着させるために用いられる。詳しくは、定着部5は、イオン化されたトナー用定着液を静電噴霧によりシートS上のトナー像に向けて噴霧することで、トナー用定着液をトナー像に付与し、シートSにトナー像を定着させる。なお、定着部5は、トナー用定着液が塗布された定着ローラであってもよい。この場合、定着ローラは、トナー像と接触して、トナー用定着液をトナー像に付与する。トナー像が定着されたシートSは、筐体2の上面に排紙される。
2.トナー用定着液の詳細
トナー用定着液は、リン酸エステル型の界面活性剤と、脂肪族カルボン酸エステルと、イオン化促進剤と、水とを含有する。
2.1 界面活性剤
リン酸エステル型の界面活性剤は、脂肪族カルボン酸エステルに水を可溶化させる可溶化剤である。リン酸エステル型の界面活性剤は、ポリオキシアルキレン脂肪族炭化水素エーテルのリン酸エステルである。より具体的には、リン酸エステル型の界面活性剤は、下記一般式(1)で示される。
一般式(1):[R−O(−RO)−]PO(−OR(3−m)
一般式(1)中、Rは、例えば、炭素数12以上18以下の脂肪族炭化水素基である。具体的には、Rは、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などのアルキル基、例えば、オレイル基などのアルケニル基である。
の炭素数が12以上18以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を安定に可溶化させることができる。
の炭素数は、好ましくは、12以上15以下である。Rの炭素数が12以上15以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を、より安定に可溶化させることができる。
一般式(1)中、Rは、炭素数2または3のアルキレン基である。具体的には、Rは、エチレン基、プロピレン基である。好ましくは、Rの炭素数は、2である。すなわち、Rは、好ましくは、エチレン基である。
一般式(1)中、Rは、水素原子またはアルカリ金属原子である。アルカリ金属原子としては、具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウムが挙げられる。
一般式(1)中、nは、2以上10以下である。nが2以上10以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を安定に可溶化させることができる。
nは、好ましくは、3以上6以下である。nが3以上6以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を、より安定に可溶化させることができる。
一般式(1)中、mは、1以上3以下である。リン酸エステル型の界面活性剤は、好ましくは、一般式(1)中のmが1であるリン酸モノエステルを含む。より好ましくは、リン酸エステル型の界面活性剤は、一般式(1)中のmが1であるリン酸モノエステルと、一般式(1)中のmが2であるリン酸ジエステルとの混合物である。
リン酸エステル型の界面活性剤がリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である場合、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの総量に対するリン酸モノエステルの割合は、例えば、40質量%以上、60質量%以下であり、好ましくは、50質量%である。
リン酸エステル型の界面活性剤は、市販されている。リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物としては、例えば、フォスファノールRS−610、フォスファノールRD−510Y、フォスファノールRD−720N、フォスファノールRS−410、フォスファノールRS−710などのフォスファノールシリーズ(東邦化学社製)が挙げられる。リン酸ジエステルとしては、例えば、NIKKOL DDP−4(日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。リン酸トリエステルとしては、NIKKOL TDP−2(日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。
リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、トナー用定着液中に、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
2.2 脂肪族カルボン酸エステル
脂肪族カルボン酸エステルは、トナー用定着液がトナー像に付与されたときに、トナーを軟化させる。
脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルが挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルは、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸エステルである。
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、具体的には、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、ドデカン二酸ジエチルなどが挙げられる。
より好ましくは、脂肪族カルボン酸エステルは、下記一般式(2)で示される脂肪族ジカルボン酸エステルである。
一般式(2):R(−COOR
(式中、Rは、炭素数1から8のアルキレン基であり、Rは、炭素数2以上10以下のアルキル基である。)
一般式(2)で示される脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、具体的には、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどが挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルが、一般式(2)で示される脂肪族ジカルボン酸エステルであると、水を安定に可溶化できる。
脂肪族カルボン酸エステルの含有割合は、トナー用定着液中に、例えば、45質量%以上、好ましくは、55質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、85質量%以下である。
脂肪族カルボン酸エステルの含有割合がトナー用定着液中に45質量%以上であると、トナーを確実に軟化させることができ、シートSに対するトナー像の定着性能を確保できる。脂肪族カルボン酸エステルの含有割合がトナー用定着液中に55質量%以上であると、トナーをより確実に軟化させることができ、シートSに対するトナー像の定着性能を、より確保できる。脂肪族カルボン酸エステルの含有割合がトナー用定着液中に90質量%以下であると、界面活性剤、水、イオン化促進剤の配合量を確保することができ、トナーを確実に軟化させることができ、シートSに対するトナー像の定着性能を確保できる。また、脂肪族カルボン酸エステルに水を可溶化することができ、シートSに対するトナー用定着液の噴霧性能を確保できる。
2.3 イオン化促進剤
イオン化促進剤は、リン酸エステル型の界面活性剤とともに、脂肪族カルボン酸エステルに水を可溶化させる。また、イオン化促進剤は、トナー用定着液がイオン化することを促進する。詳しくは、イオン化促進剤は、トナー用定着液中において水に溶解することによりイオン化する。これにより、イオン化促進剤は、トナー用定着液全体がイオン化することを促進する。
イオン化促進剤は、上記したリン酸エステル型の界面活性剤を除くイオン性界面活性剤である。具体的には、イオン化促進剤としては、例えば、カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩などのアニオン性界面活性剤、例えば、第四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、例えば、ベタイン型両性界面活性剤などの両性界面活性剤などのイオン性界面活性剤が挙げられる。イオン化促進剤は、好ましくは、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩である。
イオン化促進剤の含有割合は、トナー用定着液中に、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上であり、例えば、1質量%以下、好ましくは、0.75質量%以下である。
また、イオン化促進剤の含有割合は、リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合よりも少ない。イオン化促進剤の含有割合は、リン酸エステル型の界面活性剤100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、イオン化促進剤の含有割合は、水1質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、1.0質量部以下、好ましくは、0.5質量部以下である。
2.5 水
水は、イオン化促進剤とともに、トナー用定着液をイオン化させるために配合される。水は、界面活性剤およびイオン化促進剤によって脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されている。
水の含有割合は、脂肪族カルボン酸エステルの含有割合よりも少ない。
水の含有割合は、トナー用定着液中に、例えば、0.1質量%以上であり、例えば、7質量%以下であり、好ましくは、4質量%以下である。
水の含有割合がトナー用定着液中に0.1質量%以上であると、イオン化促進剤とともに、トナー用定着液を確実にイオン化させることができ、シートに対するトナー用定着液の噴霧性能を確保できる。水の含有割合がトナー用定着液中に7質量%以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を可溶化することができる。水の含有割合がトナー用定着液中に4質量%以下であると、脂肪族カルボン酸エステルに水を、より可溶化することができる。
また、水の含有割合は、脂肪族カルボン酸エステル100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上であり、例えば、25質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
3.作用効果
このトナー用定着液によれば、水が脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されているので、トナーを軟化させるために十分な量の脂肪族カルボン酸エステルをトナー用定着液に配合することができ、定着性を向上させることができる。
4.変形例
上記実施形態の現像方式は、トナーのみを用いた一成分現像方式であったが、本発明は、上記実施形態に限定されない。
現像方式は、例えば、トナーとキャリアが混合される二成分現像方式であってもよい。二成分現像剤である場合、キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属と、アルミニウム、鉛などの金属と、の合金が挙げられる。
キャリア粒径としては、例えば、4μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
トナーの配合割合は、キャリア100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部であり、例えば、200質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
また、キャリアは、樹脂コートキャリアや、結着樹脂に磁性粉を分散させた分散型キャリアなどであってもよい。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって限定されない。
1.使用する原料の説明
トナー用定着液の原料について説明する。
1.1 脂肪族カルボン酸エステル
セバシン酸ジエチルは、上記一般式(2)において、炭素数が8であるRと、炭素数が2であるRとを有する。
セバシン酸ジブチルは、上記一般式(2)において、炭素数が8であるRと、炭素数が4であるRとを有する。
セバシン酸ジオクチルは、上記一般式(2)において、炭素数が8であるRと、炭素数が8であるRとを有する。
アジピン酸ジエチルは、上記一般式(2)において、炭素数が4であるRと、炭素数が2であるRとを有する。
アジピン酸ジイソブチルは、上記一般式(2)において、炭素数が4であるRと、炭素数が4であるRとを有する。
コハク酸ジエチルは、上記一般式(2)において、炭素数が2であるRと、炭素数が2であるRとを有する。
1.2 リン酸エステル型の界面活性剤
フォスファノールRS−610(東邦化学工業社製)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸である。フォスファノールRS−610は、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である。アルキル基の炭素数は、12〜15であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、6である。
フォスファノールRD−510Y(東邦化学工業社製)は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸である。フォスファノールRD−510Yは、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である。アルキル基の炭素数は、12であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、4である。
フォスファノールRD−720N(東邦化学工業社製)は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウムである。フォスファノールRD−720Nは、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である。アルキル基の炭素数は、18であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、7である。
フォスファノールRS−410(東邦化学工業社製)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸である。フォスファノールRS−410は、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である。アルキル基の炭素数は、12〜15であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、3である。
フォスファノールRS−710(東邦化学工業社製)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸である。フォスファノールRS−710は、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物である。アルキル基の炭素数は、12〜15であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、9である。
NIKKOL DDP−4(日光ケミカルズ社製)は、ジ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)リン酸である。NIKKOL DDP−4は、リン酸ジエステルである。アルキル基の炭素数は、12〜15であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、4である。
NIKKOL TDP−2(日光ケミカルズ社製)は、トリ(ポリオキシエチレンセチルエーテル)リン酸である。NIKKOL TDP−2は、トリエステルである。アルキル基の炭素数は、12〜15であり、エチレンオキサイドの付加モル数は、2である。
1.3 比較例に用いる界面活性剤
アルスコープTH−370N(東邦化学工業社製)は、ラウリルエーテル硫酸エステル塩の72質量%水溶液である。
ネオハイテノールS70(第一工業製薬社製)は、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)スルホコハク酸二ナトリウムである。
ノイゲンTDS−50(第一工業製薬社製)は、ポリオキシエチレントリデシルエーテルである。
1.4 イオン化促進剤
サンノールNL−1430(ライオン社製)は、アルキル硫酸エステル塩の30質量%水溶液である。
ペレックスSS−H(花王社製)は、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの70%水溶液である。
2.トナー用定着液の調製
表1から表4に示す配合割合で、脂肪族カルボン酸エステル、界面活性剤、イオン化促進剤および水を混合し、各実施例および各比較例のトナー用定着液を得た。
3.トナー用定着液の評価
3.1 可溶化
得られたトナー用定着液を目視で観察し、下記の基準により評価した。なお、可溶化の評価が×であるトナー用定着液は、画像形成装置に用いることができないものと判断し、定着性等の評価を行っていない。結果を表1から表4に示す。
◎:0℃の恒温槽内に1週間入れた後において、トナー用定着液が均一(分離、沈殿、白濁などの変化が見られない。)である。
○:常温(25℃)の恒温槽内に1週間入れた後において、トナー用定着液が均一である。
×:トナー用定着液が不均一(分離、沈殿が見られる。)である。
3.2 定着性
加熱定着部を取り外した画像形成装置を用いて、用紙の一方面にトナー像を形成した。なお、加熱定着部が取り外されているため、トナー像は、用紙に定着していない。
次いで、用紙上のトナー像に、スプレーを用いてトナー用定着液を噴霧した。
トナー用定着液を噴霧してから1日後に、トナー像の表面を綿棒で擦り、綿棒に対するトナーの付着度合いを、下記の基準により評価した。結果を表1から表4に示す。
◎:顕微鏡で綿棒の表面を観察してもトナーの付着が見られない。
○:目視で綿棒の表面を観察したところ、トナーの付着は見られない。
×:目視で綿棒の表面を観察したところ、トナーの付着が見られる。
3.3 紙カール
定着性の評価と同様にして、用紙上のトナー像にトナー用定着液を噴霧した。1日後に、用紙を水平な台の上に載せ、用紙がカールする度合いを、下記の基準により評価した。結果を表1から表4に示す。
○:最も台から離れた用紙の端部と、台の表面との距離が10mm未満である。
×:最も台から離れた用紙の端部と、台の表面との距離が10mm以上である。
3.4 蒸発保存安定性
得られたトナー用定着液を容器に入れ、容器を開けた状態で、50℃の恒温槽に入れた。1日後に、トナー用定着液の状態を観察し、下記の基準により評価した。結果を表1から表4に示す。
○:トナー用定着液が均一である。
×:トナー用定着液が不均一であるか、または、乾燥により固化している。
3.5 臭気
常温(25℃)で臭気があるか否か、官能評価した。結果を表1から表4に示す。
○:臭気なし
×:臭気あり
3.6 総合判定
トナー用定着液として画像形成装置に用いることができるか否か、下記の基準により評価した。結果を表1から表4に示す。
○:可溶化、定着性、紙カール、蒸発保存安定性および臭気のすべての評価が◎または○である。
×:可溶化、定着性、紙カール、蒸発保存安定性および臭気の少なくとも1つの評価が×である。
Figure 2020160232
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Claims (29)

  1. トナーをシートに定着させるために用いられるトナー用定着液であって、
    脂肪族カルボン酸エステルと、水と、リン酸エステル型の界面活性剤とを含有し、
    前記水は、前記脂肪族カルボン酸エステルに可溶化されていることを特徴とする、トナー用定着液。
  2. 前記リン酸エステル型の界面活性剤は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする、請求項1に記載のトナー用定着液。
    一般式(1):[R−O(−RO)−]PO(−OR(3−m)
    (式中、Rは、炭素数12以上18以下の脂肪族炭化水素基である。Rは、炭素数2または3のアルキレン基である。Rは、水素原子またはアルカリ金属原子である。nは、2以上10以下であり、mは、1以上3以下である。)
  3. 前記一般式(1)中の前記Rの炭素数は、12以上15以下であることを特徴とする、請求項2に記載のトナー用定着液。
  4. 前記一般式(1)中の前記Rの炭素数は、2であることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のトナー用定着液。
  5. 前記一般式(1)中の前記nは、3以上6以下であることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  6. 前記リン酸エステル型の界面活性剤は、前記一般式(1)中の前記mが1であるリン酸モノエステルを含むことを特徴とする、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  7. 前記リン酸エステル型の界面活性剤は、前記一般式(1)中の前記mが1であるリン酸モノエステルと、前記一般式(1)中の前記mが2であるリン酸ジエステルとの混合物であることを特徴とする、請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  8. 前記リン酸モノエステルと前記リン酸ジエステルとの総量に対する前記リン酸モノエステルの割合は、40質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする、請求項7に記載のトナー用定着液。
  9. 前記リン酸モノエステルと前記リン酸ジエステルとの総量に対する前記リン酸モノエステルの割合は、50質量%であることを特徴とする、請求項7に記載のトナー用定着液。
  10. 前記リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、5質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  11. 前記リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、5質量%以上、40質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  12. 前記リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合は、10質量%以上、40質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  13. 前記水の含有割合は、0.1質量%以上、7質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  14. 前記水の含有割合は、0.1質量%以上、4質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  15. 前記水の含有割合は、前記脂肪族カルボン酸エステル100質量部に対して、0.5質量部以上、25質量部以下であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  16. 前記水の含有割合は、前記脂肪族カルボン酸エステル100質量部に対して、0.5質量部以上、20質量部以下であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  17. 前記脂肪族カルボン酸エステルは、下記一般式(2)で示される脂肪族ジカルボン酸エステルであることを特徴とする、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
    一般式(2):R(−COOR
    (式中、Rは、炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Rは、炭素数2以上10以下のアルキル基である。)
  18. 前記脂肪族カルボン酸エステルの含有割合は、45質量%以上、90質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  19. 前記脂肪族カルボン酸エステルの含有割合は、55質量%以上、90質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  20. 前記トナー用定着液は、さらに、前記トナー用定着液がイオン化することを促進するためのイオン化促進剤を含有することを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  21. 前記イオン化促進剤は、前記リン酸エステル型の界面活性剤を除くイオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項20に記載のトナー用定着液。
  22. 前記イオン化促進剤は、硫酸エステル塩であることを特徴とする、請求項20または請求項21に記載のトナー用定着液。
  23. 前記イオン化促進剤の含有割合は、0.01質量%以上、1質量%以下であることを特徴とする、請求項20から請求項22のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  24. 前記イオン化促進剤の含有割合は、0.05質量%以上、0.75質量%以下であることを特徴とする、請求項20から請求項22のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  25. 前記イオン化促進剤の含有割合は、前記リン酸エステル型の界面活性剤の含有割合よりも少ないことを特徴とする、請求項20から請求項24のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  26. 前記イオン化促進剤の含有割合は、前記リン酸エステル型の界面活性剤100質量部に対して、1質量部以上、10質量部以下であることを特徴とする、請求項20から請求項25のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  27. 前記イオン化促進剤の含有割合は、前記リン酸エステル型の界面活性剤100質量部に対して、2質量部以上、5質量部以下であることを特徴とする、請求項20から請求項25のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  28. 前記イオン化促進剤の含有割合は、前記水1質量部に対して、0.01質量部以上、1.0質量部以下であることを特徴とする、請求項20から請求項27のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
  29. 前記イオン化促進剤の含有割合は、前記水1質量部に対して、0.05質量部以上、0.5質量部以下であることを特徴とする、請求項20から請求項27のいずれか一項に記載のトナー用定着液。
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