JP2020159478A - トルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボット - Google Patents

トルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボット Download PDF

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孝尚 北中
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Abstract

【課題】作動トルクの変動を防止又は抑制することができるトルクリミッタを提供する。【解決手段】トルクリミッタ1は、中心軸に沿って延びるシャフト2と、中心軸を中心とする円板状をなし、その中心軸方向の一方側の面に複数の第1歯部31Aを有し、シャフトとともに中心軸回りに回転可能な第1歯車3Aと、中心軸を中心とする円板状をなし、その中心軸方向の他方側の面に複数の第1歯部31Aと噛み合う複数の第2歯部31Bを有する第2歯車3Bと、第1歯車3Aおよび第2歯車3Bのうちの一方の歯車を他方の歯車に対して押し付ける弾性部材4と、を備え、第1歯部31Aと第2歯部31Bとは、中心軸方向と直交する方向から見たとき、互いに接する歯面が正弦波形状をなす正弦波形状部を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、トルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボットに関する。
従来のトルクリミッタとしては、入力ディスクと、出力ディスクと、入力ディスクを出力ディスクに押し付ける付勢部材とを備え、出力軸に加わる回転負荷により入力ディスクを付勢部材の付勢力に抗して出力ディスクから引き離すよう構成されたトルクリミッタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開2017/002464号
特許文献1に記載のトルクリミッタでは、入力ディスクの各歯部が出力ディスクの各歯部を乗り越える際、双方の歯部が点接触した状態となるため、各歯部に作用する圧力が過剰に高くなり、摩耗が生じ易い。この各歯部の摩耗は、トルクリミッタの作動トルク変動の原因となるという問題があった。
本発明の目的は、作動トルクの変動を防止または抑制することができるトルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボットを提供することにある。
本願の例示的な第1の発明は、中心軸に沿って延びるシャフトと、前記中心軸を中心とする円板状をなし、その前記中心軸方向の一方側の面に複数の第1歯部を有し、前記シャフトとともに前記中心軸回りに回転可能な第1歯車と、前記中心軸を中心とする円板状をなし、その前記中心軸方向の他方側の面に前記複数の第1歯部と噛み合う複数の第2歯部を有する第2歯車と、前記第1歯車および前記第2歯車のうちの一方の歯車を他方の歯車に対して押し付ける弾性部材と、を備え、前記第1歯部と前記第2歯部とは、前記中心軸方向と直交する方向から見たとき、互いに接する歯面が正弦波形状をなす正弦波形状部を有することを特徴とするトルクリミッタである。
本願の例示的な第2の発明は、本願の例示的な第1の発明のトルクリミッタと、前記トルクリミッタにトルクを伝達するモータとを備えることを特徴とするギヤードモータである。
本願の例示的な第3の発明は、本願の例示的な第2の発明のギヤードモータによって駆動されることを特徴とする駆動機構である。
本願の例示的な第4の発明は、本願の例示的な第2の発明のギヤードモータと、前記ギヤードモータによって駆動されるアームと、を備えることを特徴とするロボットである。
本発明によれば、作動トルクの変動を防止または抑制することができる。
図1は、本発明のギヤードモータの実施形態を示す図である。 図2は、図1に示すギヤードモータが備えるトルクリミッタを示す分解斜視図である。 図3は、図2に示すトルクリミッタが備える第1歯車の第1歯部と第2歯車の第2歯部とが噛み合った状態を示す側面図である。 図4は、図2に示すトルクリミッタが備えるシャフトと第1歯車との関係を示す横断面図である。 図5は、図2に示すトルクリミッタが備える第2歯車を示す斜視図である。 図6は、図5中の矢印A方向から見た図である。 図7は、図5中のB−B線断面図である。 図8は、本発明の駆動機構の一例を示す図である。 図9は、本発明のロボットの一例を示す図である。
以下、本発明のトルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のギヤードモータの実施形態を示す図である。図2は、図1に示すギヤードモータが備えるトルクリミッタを示す分解斜視図である。図3は、図2に示すトルクリミッタが備える第1歯車の第1歯部と第2歯車の第2歯部とが噛み合った状態を示す側面図である。図4は、図2に示すトルクリミッタが備えるシャフトと第1歯車との関係を示す横断面図である。図5は、図2に示すトルクリミッタが備える第2歯車を示す斜視図である。図6は、図5中の矢印A方向から見た図である。図7は、図5中のB−B線断面図である。図8は、本発明の駆動機構の一例を示す図である。図9は、本発明のロボットの一例を示す図である。なお、以下では、説明の都合上、トルクリミッタ1の中心軸O1方向の一方側を単に「一方側」といい、その反対側、すなわち、他方側を単に「他方側」ということがある。また、中心軸O1と直交する方向を「径方向」ということがある。また、図3は、座標軸を重ねた状態で図示されている。
図1に示すギヤードモータ100は、トルクリミッタ1と、減速機101と、モータ102と、筐体103と、を備え、例えば、車載用駆動源として用いられる。この車載用駆動源としては、インホイールモータ、カーナビゲーションの画面の駆動源、ワイパー駆動源、ドアミラー駆動源等が挙げられる。
モータ102は、例えばDCモータであり、減速機101を介してトルクリミッタ1にトルク(動力)を伝達することができる。そして、トルクリミッタ1に伝達されたトルクは、開閉部材の開閉に供される。
減速機101は、互いに噛み合う複数の平歯車104を有する。これにより、モータ102からのトルクをトルクリミッタ1に迅速かつ円滑に伝達することができる。
筐体103は、減速機101およびモータ102を収納し、これらの位置関係を維持する。また、筐体103には、トルクリミッタ1の一部、すなわち、本実施形態では第1歯車3A、第2歯車3B、弾性部材4、伝達歯車5等も収納されている。
トルクリミッタ1は、過剰なトルクが作用した際、すなわち、過負荷状態のときに、空回りして、モータ102や減速機101の平歯車104等に負担がかかるのを防止する機構である。これにより、モータ102等を保護することができる。このトルクリミッタ1は、シャフト2と、第1歯車3Aと、第2歯車3Bと、弾性部材4と、伝達歯車5と、ワッシャー6と、ナット7と、を備える。以下、各部材の構成について説明する。
図2に示すように、シャフト2は、中心軸O1に沿って延びる柱状の部材である。
シャフト2は、中心軸O1方向の途中に、外周部の周方向に沿ってリング状に突出したフランジ部21を有する。フランジ部21は、中心軸O1方向の一方側を向く第1対向面(対向面)211と、他方側を向く第2対向面212と、を有する。
シャフト2は、フランジ部21を介して、一方側に設けられた小径部23と、他方側に設けられ、小径部23よりも外径が大きい大経部24と、を有する。
小径部23には、一方側から他方側に向かって順に、ワッシャー6と、伝達歯車5と、第2歯車3Bと、第1歯車3Aと、4つの弾性部材4とが配置される。また、小径部23は、これらの部材を一括して貫通する。
小径部23の端面には、雄ネジ25が一方側に向かって突出して設けられている。雄ネジ25には、ナット7が螺合することができる。このナット7は、ワッシャー6に当接する。これにより、伝達歯車5、第2歯車3B、第1歯車3A、各弾性部材4が小径部23から離脱するのが防止される。
シャフト2は、その外周部に、互いに反対方向を向く一対の平面を有する。小径部23は、その外周部に、互いに反対方向を向く一対の平面22を有する。一対の平面22の配置数は、本実施形態では1組であるが、これに限定されず、例えば、複数組であってもよい。
また、大経部24も、その外周部に、互いに反対方向を向く一対の平面26を有する。一対の平面26のうちの一方の平面26と、一対の平面22のうちの一方の平面22とは、同じ方向を向いており、他方の平面26と他方の平面22も同じ方向を向いている。一対の平面26の配置数は、本実施形態では1組であるが、これに限定されず、例えば、複数組であってもよい。
図1に示すように、伝達歯車5は、減速機101が有する複数の平歯車104のうちの1つの平歯車104と噛み合う平歯車である。伝達歯車5は、モータ102(駆動源)からの動力を、第2歯車3Bに伝達する。モータ102(駆動源)からの動力は、減速機101に伝達され、さらに、伝達歯車5、第2歯車3B、第1歯車3A、シャフト2の順に伝達される。これにより、シャフト2が中心軸O1回りに回転して、トルクが得られる。前述したように、このトルクは、開閉部材の開閉に供される。
図2に示すように、第1歯車3Aおよび第2歯車3Bを介して伝達歯車5と反対側には、リング状の弾性部材4が配置される。なお、本実施形態では、4つの弾性部材4が配置されているが、弾性部材4の配置数は、これに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
弾性部材4は、第1歯車3Aおよび第2歯車3Bのうちの一方の歯車を、他方の歯車に対して押し付ける。本実施形態では、弾性部材4は、中心軸O1方向に重なり合って、シャフト2の第1対向面211と第1歯車3Aとの間に圧縮状態で配置される。これにより、第1歯車3Aを第2歯車3Bに対して押し付けることができる。そして、この押付状態により、第1歯車3Aと第2歯車3Bとが確実に噛み合うことができ、よって、トルク(動力)の伝達が可能となる。
後述するように、第1歯車3Aは、シャフト2に対し、中心軸O1回りの回転が規制されている。これにより、トルクリミッタ1(シャフト2)の回転時に、第1歯車3Aと、第1歯車3Aに隣り合う弾性部材4との間の摺動が防止され、よって、これら部材の摩耗を防止することができる。これと同様に、隣り合う弾性部材4同士間の摺動も防止され、よって、これら弾性部材4の摩耗を防止することができる。
また、各弾性部材4は、皿ばねで構成される。これに対し、例えば弾性部材4がコイルバネで構成されている場合、弾性部材4が摩耗しても弾性力は大きく低下しない。しかしながら、各弾性部材4が皿ばねで構成される場合、弾性部材4の摩耗によって弾性力が低下するおそれがあるため、前述した弾性部材4の摺動防止は、弾性部材4の摩耗を防止する効果を奏する。
弾性部材4の構成材料としては、弾性を有する材料であれば、金属材料であってもよいし、樹脂材料であってもよいが、例えばギヤードモータ100の使用環境によっては、金属材料を用いるのが好ましい。
なお、トルクリミッタ1は、本実施形態では一方側から伝達歯車5、第2歯車3B、第1歯車3Aの順に配置された構成となっているが、これに限定されず、例えば、一方側から第1歯車3A、第2歯車3B、伝達歯車5の順に配置された構成とすることもできる。この場合、各弾性部材4は、伝達歯車5を介して、第2歯車3Bを第1歯車3Aに対して押し付けることとなる。
第1歯車3Aは、中心軸O1を中心とする円板状をなし、その中心軸O1方向の一方側の面に複数の第1歯部31Aを有する冠歯車(クラウンギヤ)である。第1歯車3Aは、シャフト2とともに中心軸O1回りに回転可能である。この第1歯車3Aは、弾性部材4の弾性力によって第2歯車3Bに接近した接近状態と、弾性部材4の弾性力の付勢力に抗して、接近状態よりも第2歯車3Bから離間した離間状態とを取り得るクラッチ板として機能する。接近状態では、第1歯車3Aと第2歯車3Bとが噛み合い(図3参照)、第2歯車3Bから第1歯部31Aへのトルク伝達が行われる。離間状態では、第2歯車3Bが第1歯部31Aに対して空回りして、前述した過負荷状態でのモータ102等に負担がかかるのを防止する。
図4に示すように、第1歯車3Aは、シャフト2の小径部23が貫通する貫通孔35を有する。貫通孔35は、その内周部に設けられ、シャフト2の各平面22が当接する当接面351を備える。これにより、第1歯車3Aは、シャフト2に対して中心軸O1回りの回転が好適に規制される。
また、貫通孔35の内周部には、当接面351同士の間の部分を繋ぐ円弧状の連結面352と、当接面351と連結面351との境界部が中心軸O1側から遠ざかる方向に円弧状に窪んだ凹面353とが設けられる。これにより、貫通孔35にシャフト2を貫通させる際、例えば貫通孔35の加工精度の程度にかかわらず、シャフト2と第1歯車3Aとの干渉を防止することができ、よって、貫通孔35へのシャフト2の貫通を容易かつ円滑に行うことができる。
なお、連結面352は、中心軸O1方向から見た形状が円弧状に湾曲しているのに限定されず、例えば、直線状の部分を有する形状となっていてもよい。また、凹面353も、中心軸O1方向から見た形状が円弧状に湾曲しているのに限定されず、例えば、直線状の部分を有する形状となっていてもよい。
図2に示すように、第1歯車3Aに対して弾性部材4と反対側には、第2歯車3Bが配置される。このような配置態様は、例えば第2歯車3Bを介して第1歯車3Aと伝達歯車5とを配置したい場合に有効な配置態様となる。これにより、トルクリミッタ1の作動時に、第2歯車3Bと弾性部材4とが摺動しないため、第2歯車3Bおよび弾性部材4の摩耗が抑制される。
第2歯車3Bは、中心軸O1を中心とする円板状をなし、その中心軸O1方向の他方側の面に複数の第2歯部31Bを有する冠歯車(クラウンギヤ)である。図3に示すように、第2歯車3Bの各第2歯部31Bは、第1歯車3Aの各第1歯部31Aと噛み合う。すなわち、複数の第2歯部31Bは、複数の第1歯部31Aと噛み合う。
また、第2歯車3Bは、シャフト2の小径部23が貫通する貫通孔36を有する。貫通孔36は、円形状であり、小径部23とのはめあい状態が「すきまばめ」となっている。これにより、第2歯車3Bは、シャフト2に対して中心軸O1回りに回転可能に支持される。
第2歯車3Bは、その中心軸O1方向の一方側の面に、一方側に突出した複数(本実施形態では4つ)の凸部37を有する。これらの凸部37は、中心軸O1回りに等角度間隔に配置される。凸部37の配置数は、4つであるが、これに限定されず、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
また、伝達歯車5は、凸部37が挿入される凹部51を有する。これにより、第2歯車3Bは、伝達歯車5と連結され、よって、伝達歯車5が回転した際、伝達歯車5ともに回転することができる。
第2歯車3Bと伝達歯車5とは、本実施形態では互いに別体(別部材)であり、これら別体同士を連結した構成となっているが、これに限定されず、例えば、一体成形により1部材で構成されていてもよい、すなわち、第2歯車3Bが伝達歯車5としての機能を有していてもよい。
第1歯車3Aおよび第2歯車3Bの構成材料としては、特に限定されず、例えば、機械構造用合金鋼、一般構造用圧延鋼材、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いるのが好ましい。
図3に示すように、第1歯部31Aと第2歯部31Bとは、互いに接する歯面32を備える。そして、各歯面32は、中心軸O1方向と直交する方向から見たとき、すなわち、側面視で、正弦波形状をなす正弦波形状部33を有する。
トルクリミッタ1は、モータ102からのトルクがシャフト2まで伝達されるときには、弾性部材4の弾性力により、第1歯車3Aの各第1歯部31Aが第2歯車3Bの各第2歯部31Bに噛み合った状態(前記接近状態)となっている。
そして、この状態から、前述した過負荷状態のときには、第1歯車3Aの各第1歯部31Aと第2歯車3Bの各第2歯部31とが噛み合う力よりも、第2歯車3Bが回転する力が上回り、第2歯車3Bの各第2歯部31が第1歯車3Aの各第1歯部31Aを乗り越えて前記離間状態となる。これにより、第2歯車3Bが第1歯車3Aに対して空回りすることとなる。
トルクリミッタ1では、各第2歯部31が各第1歯部31Aを乗り越える際、双方の歯部の歯面32がそれぞれ正弦波形状部33を有することにより、径方向に線接触しつつ、その乗り越えが行われる。これにより、例えば点接触しつつ乗り越える場合に比べて接触面積が増大して、第1歯部31Aの歯面32および第2歯部31の歯面32にかかる力(圧力)を分散させることができる。このような構成により、第1歯部31Aの歯面32や第2歯部31の歯面32が摩耗するのが防止される(以下「摩耗防止作用」という)。そして、各歯面32の摩耗は、トルクリミッタ1の作動トルク変動の原因となるおそれがあるが、摩耗防止作用により、この原因を解消することができ、よって、作動トルクの変動を防止または抑制することができる。これにより、トルクを安定して伝達することができる。
また、摩耗防止作用により、例えば各歯面32に低摩擦処理等を施すのを省略することができ、よって、製造コストの削減を図ることができる。
また、正弦波形状部33により、各第2歯部31が各第1歯部31Aを乗り越える途中で停止するのを防止することができる。これにより、円滑な乗り越えが可能となる。
第1歯部31Aと第2歯部31Bとは、同じ形状であるため、以下では、第2歯部31Bについて代表的に説明する。
図3に示すように、第2歯部31Bの正弦波形状部33における正弦波形状は、正弦波の変曲点を原点、歯車(第2歯車3B)の周方向をx軸、中心軸O1方向をy軸としたとき、下記数式(1)で表現される。
Figure 2020159478
なお、数式(1)中、Aは、第2歯部31Bの全歯たけである。Zは、第2歯部31Bの総数、すなわち、歯数である。rは、中心軸O1から第2歯部31B上の任意の点までの距離である(図7参照)。ただし、(d/2)<r<(D/2)を満足する(dは、第2歯部31Bの内径であり、Dは、第2歯部31Bの外径である)。
また、図3に示すように、波長λは、(2πr)/Zであり、振幅は、A/2である。
図6に示すように、第2歯部31Bの歯厚t3は、中心軸O1側に向かって減少する。「歯厚(tooth thickness)」とは、歯車(第2歯車3B)のピッチ円上で測った歯(第2歯部31B)の厚さのことである。そして、歯厚t3が減少することにより、各第2歯部31Bの頂部311の延長線EL311は、中心軸O1と交差する。また、各第2歯部31Bの底部312の延長線EL312も、中心軸O1と交差する。第2歯部31Bがこのような形成状態にあることにより、摩耗防止作用がより確実に発揮され、よって、作動トルクの変動をより確実に防止または抑制することができる。
図7に示すように、第2歯部31Bの全歯たけH3は、中心軸O1側に向かう方向に沿って一定である。「全歯たけ(whole depth)」とは、歯(第2歯部31B)の全体の高さで、歯末のたけと歯元のたけとの和のことである。そして、全歯たけH3が一定であることにより、例えば前記歯厚t3の減少と相まって、作動トルクの変動をさらに確実に防止または抑制することができる。
図3に示すように、第1歯車3Aは、隣り合う第1歯部31A同士の間に、中心軸O1方向の他方側に窪む第1凹部34Aを有する。これと同様に、第2歯車3Bは、隣り合う第2歯部31B同士の間に、中心軸O1方向の一方側に窪む第2凹部34Bを有する。第1歯車3Aと第2歯車3Bとが噛み合っているとき、第1歯部31Aの頂部311は、第2歯部31Bと非接触状態となり、第2歯部31Bの頂部311は、第1歯部31Aと非接触状態となる。これにより、第1歯部3Aと第2歯部3Bとの間にバックラッシを設けることができ、第1歯部3Aと第2歯部3Bとの円滑な噛み合いがなされる、すなわち、第1歯部3Aと第2歯部3Bとの噛み合いムラ(ガタ発生)を抑制することができる。また、トルクリミッタ1の作動後に、第1歯車3Aと第2歯車3Bとの噛み合いが外れるとき、弾性部材4の弾性力で第1歯車3Aに衝撃力が加わるおそれがあるが、該衝撃力が各歯車の歯先に伝わることを防ぐことができる。なお、第1凹部34Aおよび第2凹部34Bは、それぞれ、幅が径方向に一定でもよいし、径方向内側、すなわち、中心軸O1に向かって漸減していてもよい。
次に、ギヤードモータ100の他の適用例について、図8、図9を参照して説明する。
図8に示すスマートフォン500は、カメラが出没自在となる駆動機構200を備える。そして、駆動機構200は、ギヤードモータ100によって駆動されるカメラ機構である。これにより、前述したように作動トルクの変動を防止または抑制することができ、よって、カメラの出没が安定して行われる。
図9に示すように、ロボット400は、ギヤードモータ100と、ギヤードモータ100によって駆動されるアーム300と、を備える。ギヤードモータ100は、アーム300の関節に組み込まれている。これにより、前述したように作動トルクの変動を防止または抑制することができ、よって、アーム300が安定して動作を行うことができる。
以上、本発明のトルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、トルクリミッタ、ギヤードモータ、駆動機構およびロボットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
1…トルクリミッタ、2…シャフト、21…フランジ部、211…第1対向面、212…第2対向面、22…平面、23…小径部、24…大経部、25…雄ネジ、26…平面、3A…第1歯車、3B…第2歯車、31A…第1歯部、31B…第2歯部、311…頂部、312…底部、32…歯面、33…正弦波形状部、34A…第1凹部、34B…第2凹部、35…貫通孔、351…当接面、352…湾曲面、353…凹面、36…貫通孔、37…凸部、4…弾性部材、5…伝達歯車、51…凹部、6…ワッシャー、7…ナット、100…ギヤードモータ、101…減速機、102…モータ、103…筐体、104…歯車、200…駆動機構、500…スマートフォン、EL311…延長線、EL312…延長線、H3…全歯たけ、O1…中心軸、t3…歯厚

Claims (13)

  1. 中心軸に沿って延びるシャフトと、
    前記中心軸を中心とする円板状をなし、その前記中心軸方向の一方側の面に複数の第1歯部を有し、前記シャフトとともに前記中心軸回りに回転可能な第1歯車と、
    前記中心軸を中心とする円板状をなし、その前記中心軸方向の他方側の面に前記複数の第1歯部と噛み合う複数の第2歯部を有する第2歯車と、
    前記第1歯車および前記第2歯車のうちの一方の歯車を他方の歯車に対して押し付ける弾性部材と、を備え、
    前記第1歯部と前記第2歯部とは、前記中心軸方向と直交する方向から見たとき、互いに接する歯面が正弦波形状をなす正弦波形状部を有することを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 前記第1歯部と前記第2歯部の歯厚が前記中心軸側に向かって減少する請求項1に記載のトルクリミッタ。
  3. 前記第1歯部と前記第2歯部の全歯たけが前記中心軸側に向かう方向に沿って一定である請求項1または2に記載のトルクリミッタ。
  4. 前記第1歯車は、隣り合う前記第1歯部同士の間に、前記中心軸方向の他方側に窪む第1凹部を有し、
    前記第2歯車は、隣り合う前記第2歯部同士の間に、前記中心軸方向の一方側に窪む第2凹部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトルクリミッタ。
  5. 前記シャフトは、前記中心軸方向を向く対向面を有するフランジ部を有し、
    前記弾性部材は、前記対向面と前記第1歯車との間に配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載のトルクリミッタ。
  6. 前記弾性部材は、皿ばねで構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載のトルクリミッタ。
  7. 前記第2歯車は、前記第1歯車に対して前記弾性部材と反対側に配置される請求項5または6に記載のトルクリミッタ。
  8. 駆動源からの動力を前記第2歯車に伝達する伝達歯車を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載のトルクリミッタ。
  9. 前記シャフトは、その外周部に、互いに反対方向を向く少なくとも一対の平面を有し、
    前記第1歯車は、前記シャフトが貫通する貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、前記各平面が当接する当接面を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載のトルクリミッタ。
  10. 前記貫通孔の内周部には、前記当接面同士の間の部分を繋ぐ連結面と、前記当接面と前記連結面との境界部が前記中心軸側から遠ざかる方向に窪んだ凹面と、が設けられる請求項8に記載のトルクリミッタ。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のトルクリミッタと、
    前記トルクリミッタにトルクを伝達するモータと、を備えることを特徴とするギヤードモータ。
  12. 請求項10に記載のギヤードモータによって駆動されることを特徴とする駆動機構。
  13. 請求項10に記載のギヤードモータと、
    前記ギヤードモータによって駆動されるアームと、を備えることを特徴とするロボット。

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