JP2003222201A5 - - Google Patents

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【発明の名称】遊星歯車減速機及びこの減速機を用いた駆動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】入力軸に一体的に結合された太陽ギヤと、太陽ギヤの周囲を自転しつつ公転する複数の遊星ギヤと、遊星ギヤと噛合する、ハウジングに固定されたリングギヤと、各遊星ギヤの回転軸を軸支し、遊星ギヤの公転により太陽ギヤの回転軸を中心として自転する出力軸とを具備し、前記各ギヤのモジュールが0.3〜1.0の範囲に設定され、且つ前記リングギヤが歯数72以下に形成されている遊星歯車機構を備えた遊星歯車減速機において、
前記各ギヤがはす歯に形成されているとともに、
前記太陽ギヤと前記遊星ギヤとの噛み合いについての正面噛み合い率と重なり噛み合い率との和が2.0〜3.5の範囲に設定されていることを特徴とする遊星歯車減速機。
【請求項2】前記太陽ギヤ及び前記遊星ギヤの歯のねじれ角は、10°〜20°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車減速機。
【請求項3】少なくとも前記遊星ギヤは、クラウニングが施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遊星歯車減速機。
【請求項4】少なくとも前記遊星ギアの刃先部の歯厚は、荷重を受けたときにほぼインボリュート曲線で規定される歯厚になるよう、無荷重時、インボリュート曲線で規定される歯厚よりも薄くしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遊星歯車減速機。
【請求項5】前記リングギヤは、正転位歯車であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の遊星歯車減速機。
【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載の遊星歯車減速機とモータとが組み合わせられ、そのモータの出力軸の回転を前記遊星歯車減速機を介して所定の減速比で減速して出力する駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用ロボットのアクチュエータ、印刷用輪転機の洗浄装置、自動包装機、工作機械など様々な用途に用いられる小型遊星歯車減速機付駆動装置及びその減速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の関節部を介して連結された複数のアームを有する産業用ロボットは、深夜にも操業されることがあるので高い静粛性が求められている。このような産業用ロボットの静粛性を向上する手段の一つとして、上記各関節部を回転駆動して上記各アームを所定の方向に駆動するアクチュエータから発生する作動音自体を低減することが考えられる。
【0003】
一般に、上記アクチュエータは、例えば小型のサーボモータと減速機等とで構成され、このモータの駆動軸出力を所定の減速比で減速してその出力を上記関節部に伝達するものである。産業用ロボット等に用いられるアクチュエータでは、小型で且つ大きな減速比を得る必要があるため、遊星歯車を用いた減速機が用いられている。特に、モジュール(歯車の歯形の大きさを表す単位)が0.3〜1.0程度で、且つリングギヤの歯数が72以下の小型の減速機が広く用いられている。
【0004】
この種の減速機においては、各ギヤ間の噛み合い率を増大させると、伝達する力を分担する歯数が増加することにより、相互に噛み合う1組の歯が負担する力が小さくなるため、噛み合い率の増大に応じて当該減速機の静粛性が向上することが知られている。したがって、同一の歯数で比較した場合、各ギヤがすぐ歯(直歯)のものよりはす歯のものの方が噛み合い率が増大するため、作動音が低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
はす歯のギヤにあっては、各ギヤのねじれ角(歯すじと当該ギヤの軸心となす角)の増大に伴って噛み合い率が大きくなるので、静粛性を向上させることが可能ではあるが、ねじれ角の増大に伴って、ギヤが動力を伝達する際に生じるアキシャル力(軸方向に作用する力)が大きくなるため、それに対応するべく軸受を大型化する必要がある。
【0006】
すなわち、図7に示すように、はす歯ギヤの各歯のねじれ角をβとすると、各歯には、噛み合う相手側のギヤの歯からの回転力Fによって軸方向にアキシャル力Ftanβが発生するため、このアキシャル力Ftanβに耐え得る軸受を用いなければならない。そして、ねじれ角βが大きくなると、上記アキシャル力Ftanβが増大するため、この増大に伴って減速機全体が大型化するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、減速機の大型化を回避しつつ、より高い静粛性を確保した小型の遊星歯車減速機及びこの減速機を用いた駆動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、入力軸に一体的に結合された太陽ギヤと、太陽ギヤの周囲を自転しつつ公転する複数の遊星ギヤと、遊星ギヤと噛合する、ハウジングに固定されたリングギヤと、各遊星ギヤの回転軸を軸支し、遊星ギヤの公転により太陽ギヤの回転軸を中心として自転する出力軸とを具備し、前記各ギヤのモジュールが0.3〜1.0の範囲に設定され、且つ前記リングギヤが歯数72以下に形成されている遊星歯車機構を備えた遊星歯車減速機において、前記各ギヤがはす歯に形成されているとともに、前記太陽ギヤと前記遊星ギヤとの噛み合いについての正面噛み合い率と重なり噛み合い率との和が2.0〜3.5の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊星歯車減速機において、前記太陽ギヤ及び前記遊星ギヤの歯のねじれ角は、10°〜20°の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の遊星歯車減速機において、少なくとも前記遊星ギヤは、クラウニングが施されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の遊星歯車減速機において、少なくとも前記遊星ギアの刃先部の歯厚は、荷重を受けたときにほぼインボリュート曲線で規定される歯厚になるよう、無荷重時、インボリュート曲線で規定される歯厚よりも薄くしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の遊星歯車減速機において、前記リングギヤは、正転位歯車であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の遊星歯車減速機とモータとが組み合わせられ、そのモータの出力軸の回転を前記遊星歯車減速機を介して所定の減速比で減速して出力する駆動装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る遊星歯車減速機及びこの減速機を用いた駆動装置の実施形態について説明する。まず、遊星歯車減速機の基本構成について説明した後、本発明の特徴部分の構成について説明することとする。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る遊星歯車減速機付き駆動装置の断面図である。
【0016】
図1に示すように、遊星歯車減速機1は、ハウジング2、入力軸3、遊星歯車機構4及び出力軸5が回転軸O上に配設されてなり、これらの部材2〜5を介して、モータMの出力を所定の減速比で減速して図略の被駆動部材に伝達するように構成されている。
【0017】
ハウジング2は、段付き円筒形状を有し、入力軸側の第1のハウジング6と出力軸側の第2のハウジング7とがボルト8で一体化されたものである。モータMは、第1のハウジング6の入力軸3側の端部に形成された第1フランジ61にボルト9で取り付けられている。
【0018】
入力軸3は、径の異なる複数の円柱状周面を有する部材であり、軸方向の中央部分31においてボールベアリング10により第1のハウジング6に対して回転自在に支持されている。ボールベアリング10は、第1のハウジング6の凹溝62に嵌め込まれた規制部材11と、第1のハウジング6の左端側に形成された内方に膨出する第2フランジ63とにより軸方向に固定されている。
【0019】
入力軸3のモータ軸Mb側に位置する連結部32は、回転軸Oに直交する方向において略C字型の断面を有し、入力軸3とモータMの駆動軸Mbとを連結する部位である。連結部32の略C字型の周方向の両端部には、該端部間の間隙321を介して一方向に延びる雌ネジ部322が形成されている。この連結部32の略C字型の中央孔323にモータMのモータ軸Mbを内嵌した状態で雌ネジ部322にボルト12を螺合することにより、モータ軸Mbが連結部32にクランプされ、入力軸3とモータ軸Mbとが連結されている。
【0020】
入力軸3の出力軸5側に位置する嵌合部33は、太陽ギヤ14の嵌合部142が圧入される筒状の部位である。嵌合部33と第2フランジ63との間にはオイルシール部13が介在されている。このオイルシール部13は、第2のハウジング7内に充填されている潤滑油が第1のハウジング6内に漏出するのを防止するためのものであり、例えば、公知のごとく、ゴム製の薄膜体13aを、コイルバネを輪状にした付勢バネ13bで取り囲んで、嵌合部33の表面に押し付けることにより構成されている。なお、潤滑油として、例えば、鉱油または混成油に石鹸類が混和されたグリースを用いる。
【0021】
遊星歯車機構4は、回転軸O上に配設された太陽ギヤ14と、この太陽ギヤ14の周囲に等間隔で配設され、該太陽ギヤ14に噛合する複数(例えば3つ)の遊星ギヤ15(図面上では1つの遊星ギヤのみ図示する)と、この遊星ギヤ15に噛合するリングギヤ16等で構成されている。各ギヤ14〜16の歯は、はす歯に形成されており、この歯に関する部分については後述する。
【0022】
太陽ギヤ14は、外周面にはす歯が形成された略円柱状のギヤ部141と、ギヤ部141より小径で、該ギヤ部141から軸方向モータM側に延びる円柱状の嵌合部142とを有する。ギヤ部141は、遊星ギヤ15と噛み合う一方、嵌合部142は、入力軸3の嵌合部33に圧入されており、これにより、入力軸3と一体となってギヤ部141が回転するようになっている。
【0023】
各遊星ギヤ15は、中央部分に、軸方向に貫通する貫通孔151が形成されており、出力軸5に植設されたピン部材17が、軸受18を介して貫通孔151に嵌合されている。
【0024】
リングギヤ16は、連結ピン19により第2のハウジング7に周方向に固定されているとともに、ハウジング2に形成された凹部23内に、ボールベアリング20とともに軸方向に並設されて軸方向に固定されている。
【0025】
これにより、各遊星ギヤ15は、太陽ギヤ14の回転に伴ってピン部材17の位置を中心として回転(以下、この回転を自転という)しつつ、太陽ギヤ14の位置を中心として回転(以下、この回転を公転という)する。
【0026】
出力軸5は、異なる複数の外径を有してなる円柱部51と、この円柱部51から各遊星ギヤ15間の間隙及びその背後に遊星ギヤ15を囲い込むように延設された延設部52とを有する部材であり、遊星ギヤ15の公転により回転軸Oを中心にして回転するものである。当該出力軸5と遊星ギヤ15とを連結する上記ピン部材17は、出力軸5の延設部52に植設されている。
【0027】
出力軸5は、第2のハウジング7に対して、ボールベアリング20により軸方向入力軸側の端部が、ボールベアリング21により軸方向中央部分がそれぞれ回転自在に支持されている。
【0028】
出力軸5の適所と第2のハウジング7の出力軸側端部との間には、オイルシール部13と略同様の構成を有するオイルシール部22(ゴム製の薄膜体22a,付勢バネ22b)が介在されており、このオイルシール部22により、第2のハウジング7内に充填されている潤滑油が外部に漏出するのを防止するように構成されている。
【0029】
以上の構成により、モータMから入力軸3に伝達された動力が、遊星歯車機構4の太陽ギヤ14に伝達されるとともに、この太陽ギヤ14の回転により、遊星ギヤ15が自転しつつ該太陽ギヤ14の周囲を公転し、この公転により出力軸5が回転する。その結果、モータMの出力が所定の減速比で減速されて出力される。なお、減速比は、太陽ギヤ14及びリングギヤ16の歯数をそれぞれZ1,Z2とすると、Z1/(Z1+Z2)となる。
【0030】
次に、本実施形態に係る遊星歯車減速機1及びそれを用いた駆動装置の特徴部分について具体的に説明する。
【0031】
本実施形態に係る遊星歯車減速機1を用いた駆動装置は、前述のように産業用ロボットのアクチュエータ等に使用されるものであり、例えば、軸方向寸法L=110mm、径方向寸法D=50mm程度の小型のものである。各ギヤ14〜16のモジュールは0.3〜1.0程度であり、リングギヤ16の歯数は72以下である。
【0032】
本実施形態の遊星歯車減速機1では、太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の歯のねじれ角を例えば15°に形成している。太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の全噛み合い率を表1に示す。表1は、本実施形態に係る遊星歯車減速機1の噛み合い率と、各ギヤの歯がすぐ歯に形成された従来の遊星歯車減速機における噛み合い率とを比較したものである。なお、この表1では、減速比を1/3、1/5及び1/9に設定し、上記噛み合い率を各減速比ごとに分けて示している。なお、正面噛み合い率ε1及び重なり噛み合い率ε2の算出方法は周知であり、正面噛み合い率ε1は、全接触弧の長さをピッチ円で除することにより算出され、重なり噛み合い率ε2は、演算式ε2=bsinβ/πm(ねじれ角β、歯幅b、直角モジュールm)から算出される。
【0033】
【表1】
Figure 2003222201
【0034】
表1に示すように、本実施形態においては、減速比が1/3に設定された減速機の場合、ねじれ角を15°にすると、正面噛み合い率が1.5、重なり噛み合い率が1.2(全噛み合い率を2.7)となる。また、減速比が1/5に設定された減速機の場合、正面噛み合い率が1.5、重なり噛み合い率が1.3(全噛み合い率を2.8)となり、減速比が1/9に設定された減速機の場合、正面噛み合い率が1.1、重なり噛み合い率が1.2(全噛み合い率を2.3)となる。
【0035】
これに対し、従来のものにおいては、減速比が1/3に設定された減速機の場合、噛み合い率が1.6となり、減速比1/5に設定された減速機の場合、噛み合い率が1.5となり、減速比が1/9に設定された減速機の場合、噛み合い率が1.2となる。
【0036】
本実施形態の遊星歯車減速機1においては、上記のように太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の全噛み合い率を2.0〜3.5の範囲に設定することにより、従来の遊星歯車減速機に比して高い静粛性が得られる。
【0037】
表2は、本実施形態及び従来の遊星歯車減速機について、作動音の音量の計測結果を示したものである。
【0038】
【表2】
Figure 2003222201
【0039】
表2に示すように、減速比1/3の遊星歯車減速機については音量が8dB、減速比1/5の遊星歯車減速機については音量が13dB、減速比1/9の遊星歯車減速機については音量が16dB低減した。
【0040】
このように、各ギヤの歯の形状をはす歯に形成し、その全噛み合い率を2.0〜3.5の範囲に設定することにより、遊星歯車減速機1の静粛性を向上することができる。また、はす歯のねじれ角を15°としたことにより、遊星ギヤ15が太陽ギヤ14から受ける回転力をFとすると、アキシャル力は、Ftan15°となり、回転力Fの約27%であって比較的小さな値となる。したがって、遊星歯車減速機1の静粛性を向上するにあたり、アキシャル力の増大に伴う当該遊星歯車減速機1の大型化を回避することができる。
【0041】
なお、太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の歯のねじれ角は、上記の値に限らず、10°〜20°の範囲で設定すれば、アキシャル力が比較的小さい範囲で全噛み合い率が2.0〜3.5の範囲に設定されることになり、遊星歯車減速機1の静粛性を向上させることができる。
【0042】
本実施形態においては、上記噛み合い率の設定に加えて、図2の矢印Aに示すように、太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の歯は、各歯に負荷が作用したときの噛み合いの当たりを良好にするべく、ギヤの歯すじに沿って膨らみを付けるクラウニングが施されている。また、図3に示すように、クラウニング量aは、本実施形態では歯幅(W)25mmあたり0.016〜0.034mmに設定すればよい。これにより、噛み合うギヤの各軸が平行とならないことに起因して、両ギヤの歯が歯幅の端部で過大な接触圧力で接触するのを防止することができる。よって、この接触による騒音を低減することができ、遊星歯車減速機の静粛性を向上することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、太陽ギヤ14及び遊星ギヤ15の両方にクラウニングを施しているが、少なくとも遊星ギヤ15にすればよい。
【0044】
また、各ギヤの歯に荷重が作用すると、該歯が変形し、歯あたりが理想的な状態から変化する。これに起因して騒音が発生するので、この騒音を低減するべく、本実施形態においては、各ギヤ14〜16の歯先のすみ肉部近傍の位置において歯先修正を施している。
【0045】
即ち、駆動歯車が被駆動歯車を回転する場合まず駆動歯車の歯元と被駆動歯車の歯先が接触する。このときに歯車にピッチ誤差があったりトルクを伝達することによる歯車の弾性変形があれば駆動歯車と被駆動歯車のあたりが強くなり騒音を発生する。この騒音を低減するために荷重を受けたときにほぼインボリュート曲線で規定される歯厚になるよう、無荷重時、インボリュート曲線で規定される歯厚よりも薄くして騒音を低減している。
【0046】
本実施形態では、図4の実線で示すように、歯の厚み方向において、歯の先端をb=0.006〜0.012mm削り落とすとともに、歯の高さ方向において、歯の先端から距離c=0.25〜0.48mmの位置に向かって切削量を漸次減少させて切削を行っている。このように、歯あたりを修正することによりこの歯あたりの変化に起因して発生する騒音を低減することができ、遊星歯車減速機の静粛性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、図5に示すように、リングギヤ16を所定の歯切り用工具24により歯切りを行う際に、工具24の基準ピッチ線L2をリングギヤ16の基準ピッチ線L1に対し正転位γ(転位係数+0.5)して歯切りされている。なお、L3は、リングギヤ16の基準ピッチ円を示す。
【0048】
これにより、リングギヤ16と遊星ギヤ15との干渉を防止できるので、この干渉に起因して発生する騒音を低減することができ、遊星歯車減速機1の静粛性を向上することができる。なお、転位係数は、上記の値に限らず、+0.3〜+1.5の範囲で設定するとよい。
【0049】
なお、本発明は、複数段の遊星歯車機構を備えた遊星歯車減速機にも適用することが可能である。
【0050】
図6は、軸方向に2つの遊星歯車機構が並設された遊星歯車減速機の断面図である。なお、本実施形態に係る遊星歯車減速機は、第1の実施形態に係る遊星歯車減速機1と、主に遊星歯車減速機構の部分が相違するので、この相違点について説明することとし、その他の部分については説明を省略する。なお、第1の実施形態の遊星歯車減速機1における部材と同様の機能を有する部材については、第1の実施形態の部材の番号に「'」を付して表している。
【0051】
本実施形態に係る遊星歯車減速機1'においては、モータ軸Mbに連結された入力軸3'が、第1の遊星歯車減速機構41の太陽ギヤ411に連結されている。この太陽ギヤ411は、等間隔に配設された複数の遊星ギヤ412と噛み合い、各遊星ギヤ412は、第1のハウジング6'に連結ピン23で固定されたリングギヤ413と噛み合っている。
【0052】
第2の遊星歯車減速機構42は、第1の遊星歯車減速機構41と同一軸心O上であって、第1の遊星歯車減速機構41より出力軸5'側に配設されている。
【0053】
太陽ギヤ421は、外周面にはす歯が形成された略円筒状のギヤ部4211と、径の異なる複数の円柱状周面を有し、最小径の部位がギヤ部4211の中央孔4212に圧入により内嵌される嵌合部4213とを有する。ギヤ部4211は、等間隔に配設された複数の遊星ギヤ422と噛み合う一方、嵌合部4213は、最大径の部位において第1の遊星歯車減速機構41の遊星ギヤ412とピン部材24により連結されている。これにより、第1の遊星歯車減速機構41の遊星ギヤ412が太陽ギヤ411の位置を中心として回転(公転)することにより、嵌合部4213と一体的にギヤ部4211が回転(自転)する。
【0054】
遊星ギヤ422は、ピン部材17'により軸受18'を介して出力軸5'に回転自在に支持されており、遊星ギヤ422が太陽ギヤ421の位置を中心として回転(公転)することにより出力軸5'が回転(自転)する。
【0055】
以上の構成により、モータMの出力が遊星歯車減速機構41,42によって所定の減速比で減速されて出力される。
【0056】
このように構成された遊星歯車減速機1'の各ギヤ411〜413,421〜423に対して、第1の実施形態のように噛み合い率の設定等を行うことにより、減速機1'の静粛性を向上することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、入力軸に一体的に結合された太陽ギヤと、太陽ギヤの周囲を自転しつつ公転する複数の遊星ギヤと、遊星ギヤと噛合する、ハウジングに固定されたリングギヤと、各遊星ギヤの回転軸を軸支し、遊星ギヤの公転により太陽ギヤの回転軸を中心として自転する出力軸とを具備し、前記各ギヤのモジュールが0.3〜1.0の範囲に設定され、且つ前記リングギヤが歯数72以下に形成されている遊星歯車機構を備えた遊星歯車減速機において、各ギヤをはす歯に形成するとともに、前記太陽ギヤと前記遊星ギヤとの噛み合いについての正面噛み合い率と重なり噛み合い率との和を2.0〜3.5の範囲に設定することにより、噛み合い率がすぐ歯のものより大きくなるので、減速機の大型化を回避しつつ、より高い静粛性を確保することができる。
【0058】
また、本発明によれば、少なくとも前記遊星ギヤに、歯幅25mmあたり0.016〜0.034mmのクラウニングを施すことにより、遊星歯車減速機の静粛性をより一層向上することができる。
【0059】
また、本発明によれば、歯の先端から歯の高さ方向に所定の距離だけ離間した所定の位置に向かって切削量を漸次減少させ、且つ、前記距離は0.25〜0.48mm、前記歯の先端における切削量を0.006〜0.012mmの範囲にそれぞれ設定して歯先修正を行うことにより、遊星歯車減速機の静粛性をより一層向上することができる。
【0060】
また、本発明によれば、前記リングギヤを、転位係数+0.3〜+1.5で歯切りした正転位歯車とすることにより、遊星ギヤとリングギヤとの噛み合い遊星歯車減速機の静粛性をより一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊星歯車減速機及びそれを用いた駆動装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】クラウニングについての説明図である。
【図3】クラウニング量を説明するための説明図である。
【図4】歯先修正についての説明図である。
【図5】転位についての説明図である。
【図6】軸方向に2つの遊星歯車機構を並設した本発明に係る遊星歯車減速機の変形例の構成を示す図である。
【図7】はす歯ギヤに発生するアキシャル力の説明図である。
【符号の説明】
1 遊星歯車減速機
2 ハウジング
3 入力軸
32 連結部
33 嵌合部
4 遊星歯車機構
5 出力軸
51 円柱部
52 延設部
14 太陽ギヤ
141 ギヤ部
142 嵌合部
15 遊星ギヤ
151 貫通孔
16 リングギヤ
17 ピン部材
M モータ
Mb モータ軸
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