JP2020159179A - 改良残土の有効利用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良残土を建設材料として有効に活用することが可能となる改良残土の有効利用方法を提供する。【解決手段】地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を構築する際に発生する改良残土を建設敷地内で建設材料として利用する改良残土の有効利用方法である。そして、建設敷地内の地盤を掘削する工程と、建設敷地内において改良体を構築する工程と、改良体を構築する際に発生した改良残土と地盤を掘削した際に発生した現地掘削土とを所定の配合で混合した混合土を製造する工程と、混合土を建設敷地内に敷き均して混合体を形成する工程とを備えている。ここで、所定の配合は、改良残土と現地掘削土との使用を想定した配合試験又は事前に得られた想定強度関係に基づいて決定される。【選択図】図1

Description

本発明は、地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を構築する際に発生する改良残土を建設敷地内で建設材料として利用する改良残土の有効利用方法に関するものである。
特許文献1,2に開示されているように、住宅などの小規模建築物用の地盤改良として、地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を、柱状や壁状に構築することが知られている。
また、特許文献1に記載されているように、セメント系固化材を使用して改良体を構築した際には、改良残土が発生することになるので、その処理をどのように行うかによって、処理費用や処理に要する手間が変わってくる。ここで、特許文献1では、建築物の敷地内に掘削して設けた埋設処理施設に、改良残土を敷き均すことで処理している。
特許第4859458号公報 特開2015−200173号公報
しかしながら、地盤改良のために造成された改良体と同じ成分の改良残土を、単に埋設処理施設に貯蔵するだけで他に利用しないのでは、処理コストがかかるだけで資源の無駄になる。
そこで、本発明は、改良残土を建設材料として有効に活用することが可能となる改良残土の有効利用方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の改良残土の有効利用方法は、地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を構築する際に発生する改良残土を建設敷地内で建設材料として利用する改良残土の有効利用方法であって、建設敷地内の地盤を掘削する工程と、前記建設敷地内において前記改良体を構築する工程と、前記改良体を構築する際に発生した改良残土と前記地盤を掘削した際に発生した現地掘削土とを所定の配合で混合した混合土を製造する工程と、前記混合土を前記建設敷地内に敷き均して混合体を形成する工程とを備え、前記所定の配合は、前記改良残土と前記現地掘削土との使用を想定した配合試験又は事前に得られた想定強度関係に基づいて決定されていることを特徴とする。
ここで、前記想定強度関係は、土の種類とセメント系固化材の添加量との関係から得られる強度関係であって、前記現地掘削土の土質と前記想定強度関係に基づいて前記所定の配合を決定することができる。
また、前記想定強度関係は、土の含水比とセメント系固化材の添加量との関係から得られる強度関係であって、前記現地掘削土の含水比と前記想定強度関係に基づいて前記所定の配合を決定することもできる。
さらに、前記混合体の含水比の測定を行うことで前記所定の配合となっているか否かを確認することが好ましい。また、前記地盤の掘削は、建物を建設する位置において地盤を掘り下げるようにして行われるものであって、前記改良体は前記掘り下げた底面よりも深部に構築されるものであるとともに、前記混合体は前記改良体と前記建物の基礎との間に形成される構成とすることができる。
また、前記混合体は、建物の基礎の下に部分的に形成される構成とすることができる。一方、前記混合体は、前記建設敷地内の建物を建設する位置とは異なる位置に形成されるものであってもよい。
このように構成された本発明の改良残土の有効利用方法は、建設敷地内の地盤を掘削することによって発生した現地掘削土を、改良体を構築する際に発生した改良残土と所定の配合で混合して混合土を製造する。この混合土は、配合試験又は事前に得られた想定強度関係に基づいて決定された配合に従って製造される。
このため、混合土によって形成される混合体の強度を把握することが可能になり、主に圧縮力を負担させる構造体にするなど、改良残土を建設敷地内で建設材料として有効に活用することができる。
また、敷き均された混合体に対して含水比の測定を行うことで所定の配合となっているか否かを確認するようにすれば、混合体を信頼性の高い構造体にすることができる。
さらに、建物を建設する位置を掘り下げて改良体を構築した際に、改良体と建物の基礎との間に混合体が介在されるようにすることで、改良体の支持力だけでなく、原地盤の支持力も加わって基礎を支えることができるようになる。
また、建物の基礎の下に部分的に混合体を形成することで、無駄なく改良残土を利用したうえで地盤の地耐力の底上げに貢献させることができるようになる。さらに、建設敷地内の駐車場や舗装したい広場などに混合土をスラブ状に敷き均すことによっても、改良残土を建設材料として有効に活用することができるようになる。
本実施の形態の改良残土の有効利用方法を実施するために、混合土の配合を決定するための処理の流れを説明するフローチャートである。 改良体の配合を決定するための処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の建設敷地内における掘削作業の概要を示した説明図である。 実施例1の改良体の構築作業の概要を示した説明図である。 実施例1の混合土の製造作業の概要を示した説明図である。 実施例1の混合体の品質確認作業の概要を示した説明図である。 実施例1の改良体及びスラブ状の混合体の上に住宅を建てたときの支持力の作用を模式的に示した説明図である。 実施例2の混合土の敷き均し作業の概要を示した説明図である。 実施例3の住宅とは別の場所に混合土によって床版を設ける場合の作業の概要を示した説明図である。 実施例4の土の種類とセメント系固化材の添加量との関係から得られる想定強度関係を説明する図である。 実施例5のべた基礎の下に混合土によって集中補強部を設けた場合の説明図である。 実施例5の集中補強部と改良体の配置関係を模式的に説明する平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の改良残土の有効利用方法は、戸建て住宅や小規模集合住宅などのような建物を建設する際に、その建設敷地内で実施される。
ここで、「改良残土」は、地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を構築する際に発生する改良体になる材料と同等の材料のうち、建設敷地内で建設材料として利用するものをいう。改良体は、例えば深層混合処理工法やソイルセメント工法によって構築することができる。
これらの工法では、セメントミルクのようなスラリー状のセメント系固化材を、切削された原位置の地盤(原地盤)の中に混入させて、混合撹拌させることによって改良体(ソイルセメント)を構築する。このため、発生する改良残土は、高含水比であることが多い。なお、セメントなどの粉体のセメント系固化材を使用して改良体を構築していてもよい。
また、改良体は、建設敷地内の地盤の土(現地土)とセメント系固化材とを材料にして製造されるため、所望する性能(強度)が得られるように、現地土を使用した配合試験を行う必要がある。
図2は、改良体の配合を決定するための処理の流れを説明するフローチャートである。建設敷地内の現地土の性質を知るためには、まず地盤調査を行う必要がある。地盤調査としては、貫入試験や表面波探査試験などが行われる。
貫入試験には、例えば標準貫入試験のように、対象層までボーリングを行い、当該層に対して錘を落下させたときの貫入量でその土層の硬軟を評価する動的貫入試験がある。また、スウェーデン式サウンディング試験のように、ロッドに錘を載荷したときの沈下の有無や回転貫入させたときの抵抗度合いから、間接的に当該層の支持性能を評価する静的貫入試験などがある。
このような貫入試験やボーリングやサンプラーによるサンプリングなどを行うことで、改良体の構築を予定している深さの現地土を採取することができる。この採取された現地土の一部を、改良体の配合試験の試料として利用する(ステップS11)。
採取された試料に対しては、土質試験室などで土質試験が行われる(ステップS12)。土質試験によって、現地土の種類(例えば砂、シルトなど)、含水比、粒度分布、湿潤密度、乾燥密度などが測定される。
一方、ステップS13では、改良体の供試体を作成するために、採取された原地盤の試料の中から、供試体に混ぜる試料の調整を行う。そして、調整された試料は、セメント系固化材と混練される(ステップS14)。
ステップS14で混練された材料を使用して、ステップS15では、強度試験用の供試体を作製する。改良体を構築する際に締固めを行わない場合は、円柱状の供試体が作製されて、所定の強度が発現するまで養生される。
これに対して、改良体を構築する際に締固めを行う場合は、所定の強度が発現するまで養生したのちに、一旦解きほぐして、円柱状の供試体に形成される。そして、それぞれの場合で作製された円柱状の供試体を使用して、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験などの強度試験が行われる(ステップS16)。
改良体の配合は、所望する強度が発現するか否かによって決定するため、その途中の段階では、セメント系固化材の添加量や水分量などの調整が繰り返されることになる。ここで、添加材としてセメント系固化材で改良体を構築する場合の添加量の考え方の一例について説明する。
なお、ここまで説明してきたように、一般の地盤改良の場合は、その強度が充分か否かを確認するために、現地土での配合試験及び一軸圧縮試験を行い、最低限必要な固化材配合量を決めることになる。しかしながら、既存資料(「小規模建築物基礎設計指針」(日本建築学会)など)から、必要な圧縮強度を確保するための最低限必要な固化材配合量を決めることもできる。
そして、このとき設定される最低限必要な一軸圧縮強さquに対して、剛性も考慮して最終的な添加量を決める。そのためには剛性の推定が必要となるが、一軸圧縮強さと剛性には一定の関係性があり、例えば「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」(日本建築センター)で示されている設計資料の実験データを参照することで設定できる。
以上のようにして最終的な改良体の配合が決定される(ステップS17)。ここで決定された配合に従って改良体を構築することで改良残土が発生することになるが、改良体を構築する前に、混合土の配合も決めておくことができる。こうすることによって養生期間の短縮が可能になって、工期を短くすることができるようになる。
図1は、混合土の配合を決定するための処理の流れを説明するフローチャートである。混合土は、建設敷地内で掘削された土(現地掘削土)と改良残土とを材料にして製造されるため、ステップS17で決定された配合に相当するものを改良体試料として調整する(ステップS1)。
ここで、上述した「改良体に配合される現地土」は、地盤の改良体が構築される深度の土である。一方、「現地掘削土」は、住宅を建設するための根切りなどの掘削によって発生する土であるため、地盤の比較的浅い位置(表層)の土となる可能性が高い。要するに、「改良体に配合される現地土」と「現地掘削土」とは、異なる土質である可能性がある。
続いてステップS2では、改良体試料と現地掘削土とを混練する。例えば、含水比が20%−30%程度となるように改良体試料と現地掘削土とを混合する。ここで、20%−30%程度の含水比とは、一般的な表層改良体の含水比に相当する。改良体試料が高含水比であったとしても、現地掘削土と混合することによって、20%−30%程度の含水比に調整することができる。なお、現地掘削土の量が足りなかったり、性質が混合体にするには適していなっかたりした場合は、建設敷地外から運び込まれた土を利用することもできる。
このようにして混練された材料を使用して、ステップS3では、強度試験用の供試体を作製する。ここで、混合体を構築する際に締固めを行わない場合は、円柱状の供試体が作製されて、所定の強度が発現するまで養生される。
これに対して、混合体を構築する際に締固めを行う場合は、所定の強度が発現するまで養生したのちに、一旦解きほぐして、円柱状の供試体に形成される。そして、それぞれの場合で作製された円柱状の供試体を使用して、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験などの強度試験が行われる(ステップS4)。
続いて、主に圧縮力を負担する構造体として利用される箇所に適した強度が発現するか否かを確認し、最終的な混合土の配合を決定する(ステップS5)。ここで、発現した強度によっては、セメント系固化材を追加で添加したり、構造体として利用する箇所を変えたりという選択もできる。
次に、本実施の形態の改良残土の有効利用方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の改良残土の有効利用方法は、建設敷地内の地盤を掘削することによって発生した現地掘削土を、改良体を構築する際に発生した改良残土と所定の配合で混合して混合土を製造する。
こうして製造される混合土は、上述したように改良残土と現地掘削土との使用を想定した配合試験によって決定された配合に従って製造される。すなわち、発生した改良残土が高含水比であったとしても、所定の量の現地掘削土を混合することによって、決定された配合の混合土に製造される。
このため、混合土によって形成される混合体の強度を把握することが可能になり、主に圧縮力を負担させる構造体にするなど、高含水比で利用しにくかった改良残土を建設材料として有効に活用することができる。
以下、実施例1の改良残土の有効利用方法について、図3−図7の模式図を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
図3は、住宅Jを建設するための建設敷地Rを示している。この建設敷地Rの地盤Gについては、前記実施の形態で説明した各種土質試験、並びに改良体及び混合土の配合試験が実施されている。
まず、住宅Jを建てる真下となる位置の地盤Gを、根切りのために掘削して凹状の根切掘削部11を形成する。掘削は、バックホウMなどの掘削機を使って行われる。この掘削によって現地掘削土1が発生することになる。
このような掘削によって露出した根切掘削部11の底面111では、改良体2の構築が行われる。図4は、改良体2の構築作業の概略工程を示した説明図である。改良体2は、地盤Gとセメント系固化材とを混合撹拌させることによって構築される。
具体的には、油圧モータによって回転駆動するオーガWの先端に取り付けられた撹拌翼W1によって地盤Gを原位置で切削し、オーガWの先端から吐出されるセメントミルク(セメント系固化材)と切削された現地土とを撹拌翼W1によって混合撹拌させる。
この混合撹拌によってソイルセメントとなった部分がセメント系固化材の化学的な固化反応によって固結し、原地盤よりも圧縮強度の高い改良体2に形成される。そして、根切掘削部11の底面111となる改良体2の周囲には、円柱部分には収まり切れずに排出された改良残土21が堆積することになる。
すなわち図5に示すように、改良体2の上端周囲の底面111上には、改良残土21,・・・が積み上がった状態になる。一方、根切掘削部11の周囲の地表には、現地掘削土1が堆積している。
そこで、まず改良残土21の容量を計測する。このような計測は、容積が既知の容器に改良残土21を投入したり、重量計を利用することで、簡易的かつ迅速に行うことができる。
そして、上述したステップS5で決定された混合土の配合に基づいて、底面111にある改良残土21の容量に見合った量の現地掘削土1を、バックホウMによって根切掘削部11に向けて投入する。
根切掘削部11に投入された現地掘削土1と改良残土21とは、バックホウMによって混合されて底面111に沿って敷き均される。図6は、根切掘削部11の底面111上に混合体3がスラブ状に形成された状態を示している。ここで、改良残土21の発生量が多くて混合体3として使用しきれない場合は、地表に排出されることになる。
このようにして敷き均された混合体3は、計測器Eによって含水比などが測定される。この計測器Eには、例えば土壌の水分量を計測する公知の携帯用土壌水分計などが使用できる。
この含水比などの測定は、混合体3が決定された配合で製造されているか否かを簡易的に確認するために行われる。含水比を測定して、所定の配合にした場合と同程度の含水比(例えば20%−30%程度)が計測されれば、期待する強度が発現する状態で施工されているものとする。
混合体3が所定の強度を発現するまで養生したのちに、図7に示すように、住宅Jの布基礎などの基礎部J1を構築する。そして、基礎部J1の周囲を埋め戻すなどして埋戻部J2を設け、基礎部J1に支持されるように住宅Jを建設する。
このようにして建設された住宅Jの荷重は、基礎部J1を介して混合体3に伝達され、さらに改良体2に作用することになる。改良体2の支持力は、図に矢印で示したように、改良体2の周面と地盤との間の摩擦抵抗と、先端抵抗との合計で表わされる。
一方、混合体3の下面31には、改良体2が設けられていない位置では、原地盤の地耐力が直接、作用する(矢印参照)。すなわち、混合体3の下面31のほぼ全域に作用する地耐力が、混合体3の支持力となる。
このため、基礎部J1を改良体2の上に設けるだけでは得られなかった混合体3の支持力が、住宅Jを支える支持力として加わることになる。すなわち、主に圧縮力を負担させる構造体として、有効に活用できていると言える。
次に、本実施例1の改良残土の有効利用方法の作用について説明する。
このように構成された本実施例1の改良残土の有効利用方法では、スラブ状に敷き均された混合体3の含水比などを計測器Eで測定し、所定の配合の含水比となっているか否かを確認する。
このため、混合体3を、信頼性の高い構造体にすることができる。要するに、通常の地盤改良工事ではあまり行われない改良後の品質管理を、造成された混合体3に対して行うことで、安定した品質の混合体3にすることができる。
さらに、住宅Jを建設する位置を掘り下げた根切掘削部11の底面111からそれよりも深部に向けて改良体2を構築した際に、底面111に排出された改良残土21と現地掘削土1とを混合して混合体3を形成する。
このようにして形成された混合体3は、改良体2と住宅Jの基礎部J1との間に介在されることになるので、改良体2の支持力だけでなく、原地盤の支持力も混合体3を介して加わって、基礎部J1を充分に支えることができるようになる。
また、混合体3を介在させたことによって支持力が増加する分、改良体2のサイズを小さくすることも可能になる。このようにすることで、改良体2の工事費及び工期を削減することができるようになる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施例1とは別の形態の実施例2について、図8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
本実施例2では、上記実施例1で説明したように改良残土21が発生した場所で混合土32を製造するのではなく、別の場所に設けられた設備で改良残土21と現地掘削土1とを混練して混合土32を製造する場合について説明する。
改良残土21と現地掘削土1とを混練するための設備には、容積が既知の貯泥タンクなどを設置しておくことで、改良残土21及び現地掘削土1の量を、簡易に計測することができるようになる。
混練は、例えば建設敷地R内に乗り入れさせたミキサー車で行うことができる。すなわち、建設敷地R内で改良体2を構築した際に発生した改良残土21と現地掘削土1とをミキサー車に投入して、ミキサー車のミキシング機能によってそれらを混練させる。
また、小型のコンクリートミキサーを建設敷地R内に設置し、投入された改良残土21と現地掘削土1とを、コンクリートミキサーのミキシング機能によって混練させることもできる。ミキサー車やコンクリートミキサーで混練する場合は、ムラのない均質な混合土32を製造することが容易にできる。
さらに、ボックス型の貯泥タンクを建設敷地R内に設置しておき、その中に建設敷地R内で発生した改良残土21と現地掘削土1とを投入し、バックホウMなどで混合させることで混合土32を製造することもできる。
そして、このようにして製造された混合土32は、図8に示すように、圧送ポンプなどに接続されたホース33などから根切掘削部11の底面111に向けて吐出させることで、底面111にスラブ状に敷き均すことができる。
このように、改良残土21が発生した場所だけでなく、建設敷地R内のあらゆる場所で発生した改良残土21と現地掘削土1とを、建設材料として有効に活用することができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施例1,2とは別の形態の実施例3について、図9を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1,2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
本実施例3の改良残土の有効利用方法で製造された混合土32は、改良体2と基礎部J1との間に介在される混合体3として利用されるだけでなく、建設敷地R内の住宅Jを建設する位置とは異なる位置にも形成される。
例えば、小型のコンクリートミキサーなどの小型ミキサー34によって改良残土21と現地掘削土1とを混練し、建設敷地R内の住宅Jに隣接した駐車場とする場所に、小型ミキサー34で製造された混合土32を敷き均すことで、混合体となる床版3Aを形成することができる。
駐車場の床版3Aは、車両からの荷重が繰り返し作用するため、強度のある材料によって形成されるのが好ましい。このため、改良残土21が混合された混合土32であればセメント系固化材を含有しているため、主に圧縮力を負担させる構造体にでき、床版3Aに適した材料といえる。なお、図9では、混合土32を住宅Jの下の混合体3にも利用しているが、これに限定されるものではなく、混合土32で床版3Aだけを設けることもできる。
このように、建設敷地R内の駐車場や舗装したい広場などに混合土32をスラブ状に敷き均すことによっても、改良残土21及び現地掘削土1を建設材料として有効に活用することができるようになる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施例1−3とは別の形態の実施例4について、図10を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1−3で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
前記実施の形態では、配合試験によって混合土の配合を決定する場合について説明したが、本実施例4では、現地掘削土を使用した配合試験を行わずに混合土の配合を決定する方法について説明する。
図10は、土の種類とセメント系固化材の添加量と一軸圧縮強さquとの関係を示したグラフである。このようなグラフは、砂質土、粘土・シルト、ローム、有機質土、高有機質土などの様々な種類の土を使って、セメント系固化材の添加量を変えた供試体を作製して、一軸圧縮試験を行うことで、事前に作成しておくことができる。
そして、混合土の配合を決定するにあたって、掘削された現地掘削土の土質を判定し、目標強度を発現させるためのセメント系固化材の添加量を算出する。一方において、改良体の配合から改良残土に添加されているセメント系固化材の量を求めることができる。すなわち、混合土に使用される改良残土の量から既に含有されているセメント系固化材の量を算出し、目標強度とするのに足りない量のセメント系固化材の量を混合土に加える配合とすればよい。
このような現地掘削土を使用した配合試験を行わずに混合土の配合を決定する方法については、別の方法も適用できる。例えば、土の含水比とセメント系固化材の添加量と一軸圧縮強さquとの関係を利用することができる。
例えば、「セメント改良土の湿潤密度と含水比が一軸圧縮強度に及ぼす影響」(梅本学外3名、地盤改良シンポジウム論文集 第8回、日本材料学会、2008.11)に記載されているように、セメント系固化材の添加量を変えた改良土を使って、含水比を変えた供試体を作製して一軸圧縮試験を行うことで、含水比ごとの添加量と一軸圧縮強さとの関係を事前に求めておくことができる。
そして、混合土の配合を決定するにあたって、掘削された現地掘削土の含水比を測定する。一方において、改良体の配合から改良残土の含水比を求めることができる。さらに、現地掘削土と改良残土とを混合した混合土の含水比から、目標強度を発現させるためのセメント系固化材の添加量を算出する。すなわち、混合土に使用される改良残土の量から既に含有されているセメント系固化材の量を算出し、目標強度とするのに足りない量のセメント系固化材の量を混合土に加える配合とすればよい。
このように現地掘削土が発生してから配合試験を行わなくても、予め配合試験を実施しておいたり公知の文献などに記載された実験結果等を利用したりすることで、土質や含水比に基づく想定強度関係を求めて用意しておくことで、混合土の配合を短時間で決定することができる。
さらには、土質に基づく想定強度関係と、含水比に基づく想定強度関係との両方を総合して利用することで、予測精度を上げて品質を向上させることもできる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施例1−4とは別の形態の実施例5について、図11,12を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1−4で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
本実施例5では、前記実施例1及び実施例2で説明したように根切掘削部11の底面111の全体にスラブ状に混合体3を敷き均すのではなく、部分的に混合体となる集中補強部3Bを設ける場合について説明する。
通常、住宅Jを建設するために設けられる改良体2の数量から発生する改良残土と現地掘削土の量では、住宅Jの下にスラブ状に敷き均すと10cm程度の厚さにしかならず、例えば小規模建築物の地耐力換算で重要となる地表面から2mほどの厚みを形成することができない。
一方において、ある程度の厚みのある混合体が必要とされる場合に、新たに大量のセメント系固化材を投入することで製造すると、設計が煩雑になったり、新たな改良残土が発生したりするなどの課題が生じることになる。
そこで、発生した改良残土の体積に応じて、地耐力の増加に効果が見込める厚さの集中補強部3Bを部分的に設けることとする。すなわち図11に示すように、混合体となる集中補強部3Bは、住宅Jの基礎であるべた基礎J3の下の改良体2が設けられていない箇所に部分的に形成される。
図12は、集中補強部3Bと改良体2の配置関係を模式的に例示する平面図である。この住宅Jには、隅角部や柱の配置箇所などの荷重が集中する箇所に改良体2が設けられている。
そこで、平面視略長方形の住宅Jの隅角部の改良体2に隣接する内角側に、地耐力の補強に効果が見込める厚さの直方体状の集中補強部3Bをそれぞれ設ける。例えば、厚さ2mの集中補強部3Bを設けることで地盤ばねを向上させることができる。この集中補強部3Bを設ける数や面積は、発生した改良残土や現地掘削土の量に応じて決めることができる。
このように構成された実施例5の改良残土の有効利用方法であれば、無駄なく改良残土を利用したうえで地盤Gの地耐力の底上げに貢献させることができる。また、集中補強部3Bによる地耐力の向上によって、改良体2の総延長を削減することも可能になる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施例1−3,5では、柱状の改良体2を例に説明したが、これに限定されるものではなく、壁状体や表層改良体などの改良体を構築した際に発生する改良残土を利用することもできる。
1 :現地掘削土
11 :根切掘削部
111 :底面
2 :改良体
21 :改良残土
3 :混合体
3A :床版(混合体)
32 :混合土
3B :集中補強部(混合体)
G :地盤
R :建設敷地
J :住宅(建物)
J1 :基礎部(建物の基礎)
J3 :べた基礎(建物の基礎)
E :計測器

Claims (7)

  1. 地盤とセメント系固化材とを混合撹拌させた改良体を構築する際に発生する改良残土を建設敷地内で建設材料として利用する改良残土の有効利用方法であって、
    前記建設敷地内の地盤を掘削する工程と、
    前記建設敷地内において前記改良体を構築する工程と、
    前記改良体を構築する際に発生した改良残土と前記地盤を掘削した際に発生した現地掘削土とを所定の配合で混合した混合土を製造する工程と、
    前記混合土を前記建設敷地内に敷き均して混合体を形成する工程とを備え、
    前記所定の配合は、前記改良残土と前記現地掘削土との使用を想定した配合試験又は事前に得られた想定強度関係に基づいて決定されていることを特徴とする改良残土の有効利用方法。
  2. 前記想定強度関係は、土の種類とセメント系固化材の添加量との関係から得られる強度関係であって、前記現地掘削土の土質と前記想定強度関係に基づいて前記所定の配合を決定することを特徴とする請求項1に記載の改良残土の有効利用方法。
  3. 前記想定強度関係は、土の含水比とセメント系固化材の添加量との関係から得られる強度関係であって、前記現地掘削土の含水比と前記想定強度関係に基づいて前記所定の配合を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の改良残土の有効利用方法。
  4. 前記混合体の含水比の測定を行うことで前記所定の配合となっているか否かを確認することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の改良残土の有効利用方法。
  5. 前記地盤の掘削は、建物を建設する位置において地盤を掘り下げるようにして行われるものであって、前記改良体は前記掘り下げた底面よりも深部に構築されるものであるとともに、
    前記混合体は前記改良体と前記建物の基礎との間に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の改良残土の有効利用方法。
  6. 前記混合体は、建物の基礎の下に部分的に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の改良残土の有効利用方法。
  7. 前記混合体は、前記建設敷地内の建物を建設する位置とは異なる位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の改良残土の有効利用方法。
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