JP2020159121A - コンクリート部材の継手及びコンクリート部材の継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
当該継手は、隣り合う各床版の端部側にそれぞれ設置された受部材と、互いに隣り合う各受部材を繋ぐ繋ぎ部材と、繋ぐ繋ぎ部材を受部材に固定するボルトとを備えた構成である。受部材は、繋ぎ部材に設けられた係合部が係合する係合受部を備えた係合受部と、床版のコンクリートに定着される例えば定着筋等の鋼材により形成された定着部とを備える。繋ぎ部材は、互いに隣り合う各床版の各端部にそれぞれ設置された受部材の各係合受部に係合する一対の係合部と、一対の係合部を繋ぐ連結部とを備える。
当該継手によれば、橋軸方向に沿って隣り合う各床版の端部にそれぞれ埋設された各係合受部の各係合受部内に繋ぎ部材の各係合部を挿入した後、係合受部内に嵌め込まれた係合部の固定部に形成されたボルト挿入孔にボルトを挿入し、各係合受部の底版に形成されたねじ孔にボルトを締結することによって、繋ぎ部材と係合受部とが固定され、当該継手により、互いに隣り合う各床版が接続される。
本発明は、隣り合う各コンクリート部材の端部に埋設された各受部材同士の左右方向や上下方向のずれが生じた場合であっても、受部材と繋ぎ部材とを結合できるコンクリート部材の継手等を提供する。
また、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部との面接触により、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部とが係合されたことを特徴とするので、上述した効果に加え、受部材と繋ぎ部材との良好な固定状態を維持できるようになる。
また、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部との間に楔部材が嵌入されたことにより、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部とが係合されたことを特徴とするので、上述した効果が得られる。
また、受部材の凹部の内壁面と楔部材とが互いに面接触する面を備えたことを特徴とするので、上述した効果が得られる。
また、楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部の内壁面が垂直であるとともに、当該内壁面と対向する挿入部の対向面が、凹部の開口側から凹部の底側に近付くほど内壁面に近付くように傾斜していることを特徴とするので、上述した効果が得られる。
また、楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部の内壁面が傾斜しているとともに、当該内壁面と対向する挿入部の対向面が、凹部の開口側から凹部の底側に近付くほど内壁面に近付くように形成されていることを特徴とするので、上述した効果が得られる。
また、楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部を有した受部材は、凹部の内壁面が傾斜面となるよう傾けられてコンクリート部材の端部側に設置されたことを特徴とするので、上述した効果に加え、受部材の製造が簡単となり、受部材の製造コストを低減できるようになるとともに、繋ぎ部材の製造が簡単となり、繋ぎ部材の製造コストを低減できるようになる。
また、楔部材が、繋ぎ部材の挿入部において連結部を挟んで隣り合う一対の内面にそれぞれ対応するように設けられたので、上述した効果に加え、受部材と繋ぎ部材との結合において、左右のバランスが良好な固定状態を維持できるようになる。
また、コンクリート部材が、橋梁用の床版、又は、橋梁用の壁高欄であるので、橋軸方向Xに沿って隣り合う床版同士を接合したり、橋軸方向Xに沿って隣り合う壁高欄同士を接合することが可能となる。
本発明に係るコンクリート部材の継手の製造方法は、それぞれ受部材の一部となる複数の部材を、切断加工によって製作し、これら複数の部材を積層することによって、受部材を製造したので、受部材を安価に製作できる。
例えば図1に示すように、橋軸直角方向(橋幅方向)Yに並設された図外の複数の主桁上に架け渡されて橋軸方向Xに沿って隣り合うコンクリート部材としての橋梁用コンクリートプレキャスト製の床版10,10同士を連結する実施形態1に係る継手1は、橋軸方向Xに沿って隣り合う各床版10,10のうちの一方の床版10の端部11側に設置された受部材2Aと、橋軸方向Xに沿って隣り合う各床版10,10のうちの他方の床版10の端部11側に設置された受部材2Bと、橋軸方向Xに沿って隣り合う一方の床版10の端部11に設置された受部材2Aと他方の床版10の端部11に設置された2Bとを繋ぐ繋ぎ部材3と、互いに隣り合う各受部材2A,2Bと繋ぎ部材3とを結合させる楔部材4とを備えて構成される。
他方の受部材2Bは、繋ぎ部材3に設けられた他方の挿入部31Bが挿入される凹部21Bが形成された受部22Bと、床版10のコンクリートに定着される定着筋等の定着部23とを備える。
受部材2A,2Bは、水平面に設置された場合に、当該水平面と面接触する平行な面(平坦面)に形成された下面2u(図4(a)参照)を備える。
繋ぎ部材3は、一方の受部材2Aの凹部22Aに挿入される一方の挿入部31Aと、他方の受部材2Bの凹部21Bに挿入される他方の挿入部31Bと、挿入部31Aと挿入部31Bとを繋ぐ連結部32とを備える。連結部32は、一方の挿入部31Aの左右間の中央部と他方の挿入部31Bの左右間の中央部と連結する平板により形成される。当該連結部32は、連結部挿入溝60の溝幅よりも若干狭い寸法の板厚の平板により形成される。
繋ぎ部材3は、水平面に設置された場合に、当該水平面と面接触する平行な面(平坦面)に形成された下面3u(図4(a)参照)を備える。
そして、一方の受部材2Aの凹部21Aの内壁面と一方の挿入部31Aの係合面とを係合させた状態で、他方の受部材2Bの凹部21Bの内壁面と他方の挿入部31Bの対向面との間に楔部材4が嵌入されて、互いに隣り合う各受部材2A,2Bと繋ぎ部材3とが結合されることにより、互いに隣り合う床版10,10が連結されることになる(図4(c)参照)。
底版25は、対向壁28が立ち上がる側の端縁以外の端縁が円形縁や多角形縁等に形成された形状であってもよい。即ち、凹部21A,21Bは、底版25の円形縁側や多角形縁側等から立ち上がるような左右の側壁27,27と妻壁26とが一体となった湾曲壁や多角形壁等と対向壁28とで囲まれるように形成された構成であってもよい。
尚、受部材2A,2Bは、下面2uが床版10の平坦な板面である下面10u(図4(a)参照)と平行になるように床版10の端部11側に設置され、従って、下面10uが水平面と接触するように床版10を設置した場合、受部材2A,2Bの下面2uが水平面となる。従って、以下、複数の主桁上に架け渡された床版10の下面10uと直交する方向を上下と定義するとともに、橋軸方向Xに沿って隣り合う各床版10,10の端面11s,11s(図1参照)に沿った水平方向(橋軸直角方向(橋幅方向)Y)を左右と定義して説明する。
また、左右の側壁27,27の外面には、せん断抵抗を大きくするとともに床版10のコンクリートとの付着力を大きくするために、凹凸部61が形成されている。
また、例えば、凹部21Bの底板25の内底面25aは下面2uと平行な平面に形成されており、妻壁26の内壁面、側壁27,27の内壁面、及び、対向壁28の内壁面28bは、底板25の内底面25aに対して垂直面に形成されている(図4(a)参照)。
即ち、開口29及び連結部挿入溝60が外部に露出して他の部分が床版10のコンクリートに埋設されるように受部材2A又は受部材2Bを図外の型枠に取付けた後に当該型枠内にコンクリートを流し込んでコンクリートを硬化させた後、受部材2A又は受部材2Bを型枠から取り外して脱型することにより、端部11側に受部材2A又は受部材2Bが埋め込まれて固定された橋梁用コンクリートプレキャスト製の床版10が形成される。
そして、図4(a)に示すように、一方の挿入部31Aの内面31aは、上面3tから下面3uに向けて傾斜する傾斜面に形成される。この傾斜面は、下面3uに近付くほど、挿入部31Aの外面3fに近付くように傾斜する傾斜面に形成されており、この傾斜面と凹部21Aの対向壁28の内壁面28aを形成する傾斜面とが互いに面接触する傾斜面に形成されている。
また、他方の挿入部31Bの内面31bは、上面3tから下面3uに向けて傾斜する傾斜面に形成される。この傾斜面は、下面3uに近付くほど、挿入部31Bの外面3fから離れるように傾斜する傾斜面に形成されており、この傾斜面と、この傾斜面と間隔を隔てて対向する凹部21Bの対向壁28の内壁面28bとが、楔部材4と面接触する楔部材嵌入面として機能する。即ち、図4(b)に示すように、他方の挿入部31Bの内面31bと凹部21Bの対向壁28の内壁面28bとの間で楔部材嵌入空間4uが形成される。当該楔部材嵌入空間4uは、凹部21Bの開口29側から底側に近付くほど間隔が狭くなるような断面逆三角形状の空間により形成される。
また、図2,図3に示すように、楔部材4は、繋ぎ部材3の挿入部31Bにおいて連結部32を挟んで隣り合う一対の内面31b,31bにそれぞれ対応するように設けられる。
図4(a)に示すように、一方の床版10の端部11側に埋設された受部材2Aの対向壁28と他方の床版10の端部11側に埋設された受部材2Bの対向壁28とが橋軸方向Xに沿って隣り合うように、当該一方の床版10と他方の床版10とを設置する。
そして、図4(b)に示すように、繋ぎ部材3の一方の挿入部31Aを一方の受部材2Aの凹部21Aに挿入するとともに、繋ぎ部材3の他方の挿入部31Bを他方の受部材2Bの凹部21Bに挿入して、一方の挿入部31Aの係合面となる内面31aと一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28の内壁面28aとが面接触するように係合させた状態とすることにより、他方の挿入部31Bの対向面となる内面31bと他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28の内壁面28bとの間に楔部材4を嵌入するための楔部材嵌入空間4uを形成する。
そして、図4(c),図3に示すように、楔部材4を楔部材嵌入空間4uに嵌入する。即ち、楔部材4の傾斜面4aの全面が他方の挿入部31Bの内面31bに接触した状態で当該内面31bを摺動しながら当該内面31bを押圧するとともに、楔部材4の面(垂直面)4bの全面が凹部21Bの対向壁28の内壁面28bに接触した状態で当該内壁面28bを摺動しながら当該内壁面28bを押圧することによる、楔部材4の圧入動作によって、楔部材4の傾斜面4aの全面と他方の挿入部31Bの内面31bとが密着するとともに、楔部材4の面(垂直面)4bの全面と凹部21Bの対向壁28の内壁面28bとが密着し、これにより、他方の挿入部31Bと他方の受部材2Bとが固定状態に結合されるとともに、一方の挿入部31Aと一方の受部材2Aとが互いに密着して固定状態に結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
即ち、実施形態1では、一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28における傾斜面に形成された内壁面28aと一方の挿入部31Aの傾斜面に形成された内面31aとの面接触により、一方の受部材2Aの凹部21Aの内壁面28aと一方の挿入部31Aとが係合されるとともに、他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28の垂直面となる内壁面28bと他方の挿入部31Bの傾斜面(凹部21Bの開口29側から凹部21Bの底側に近付くほど内壁面28bに近付くように傾斜する傾斜面)となる内面31bとの間に楔部材4が嵌入されたことによって、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
また、繋ぎ部材3の挿入部31Bにおいて連結部32を挟んで隣り合う一対の内面31b,31bにそれぞれ対応するように楔部材4,4が圧入されるので、各受部材2A,2Bと繋ぎ部材3との結合において、左右のバランスが良好な固定状態を維持できるようになる。
上述した実施形態1、及び、後述する各実施形態の継手1は、成型型に鋳鉄を流し込んで製作したり、例えばレーザーやプレス等の切断手段を用いた切断加工によって製作した複数の部材を積層して製造してもよい。成型型に鋳鉄を流し込んで製造する場合、コストが嵩むが、このように複数の部材を積層して製造する場合、継手1を安価に製造できる。
即ち、それぞれ受部材(2Aや2B)の一部となる複数の部材を、切断加工によって製作し、これら複数の部材を積層することによって、受部材を製造するようにしても良い。
言い換えれば、受部材を一方方向に沿った複数の位置で分断したような複数の部材を、それぞれ切断加工によって製造し、これら複数の部材を積層して接着や溶接等の接合手段で接合することによって、受部材を製造するようにしても良い。
例えば、図5に示すように、受部材を凹部の内底面25a(図4(a)参照)と直交する方向(上下方向)Xに沿った複数の位置で分断したような複数の部材a,a…(即ち、受部材を凹部の内底面25aと平行な分断面で複数に分断したような複数の部材a,a…)を、それぞれレーザー切断加工によって製造し、これら複数の部材a,a…を積層して接着や溶接等の接合手段で接合することによって、受部材(2Aや2B)を製造するようにしても良い。レーザー切断加工によれば、切断面の加工精度が良くなり、品質精度の高い受部材(2Aや2B)を安価に製造できる。
尚、この部材aの上下方向の厚さ寸法は、例えば凹凸部61の凸部の上下方向の厚さ寸法を基準として決めればよい。
また、受部材の定着部23は、部材aと一体となるように切断されて形成されたものであっても良いし、部材aと別体の定着部23が部材aに接続された構成としてもよい。例えば、定着部23として定着筋を用いる場合には、当該定着筋の一端を部材aに接続すればよい(図8参照)。
また、受部材を凹部の内底面25aと平行な方向(横方向)に沿った複数の位置で分断したような複数の部材(即ち、受部材を凹部の内底面25aと直交する分断面で複数に分断したような複数の部材)を、それぞれレーザー切断加工によって製造し、これら複数の部材を積層して接着や溶接等の接合手段によって接合することによって、受部材を製造するようにしても良い。
また、楔部材を切断加工によって製造してもよい。
尚、受部材、繋ぎ部材、楔部材のすべてをレーザー切断加工によって製造すれば、受部材と繋ぎ部材との接触面同士の面接触精度、受部材と楔部材との接触面同士の面接触精度、繋ぎ部材と楔部材との接触面同士の面接触精度が向上するので、好ましい。
図6に示すように、実施形態1で説明した凹部21Bの対向壁28の内壁面28bを、凹部21Bの内底面25aから開口29に向けて傾斜して立ち上がる傾斜面に形成する。この内壁面28bを形成する傾斜面は、開口29に近付くほど、妻壁26の内壁面から離れるように傾斜する傾斜面に形成する。また、実施形態1で説明した他方の挿入部31Bの内面31bを、繋ぎ部材3の下面3uから垂直に立ち上がる垂直面に形成する。
そして、他方の挿入部31Bの対向面となる内面31bと他方の受部材2Bの凹部21Bにおける対向壁28の内壁面28bとの間に楔部材4を嵌入することにより、実施形態1と同様に、楔部材4の圧入動作によって他方の挿入部31Bと他方の受部材2Bとが固定状態に結合されるとともに、一方の挿入部31Aと一方の受部材2Aとが互いに密着して固定状態に結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
即ち、実施形態3では、一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28における傾斜面に形成された内壁面28aと一方の挿入部31Aの傾斜面に形成された内面31bとの面接触により、一方の受部材2Aの凹部21Aの内壁面28aと一方の挿入部31Aとが係合されるとともに、他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28の傾斜面となる内壁面28bと他方の挿入部31Bの垂直面となる内面31bとの間に楔部材4が嵌入されたことによって、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
図7に示すように、凹部21A,21Bの対向壁28,28の内壁面28a,28bを、凹部21A,21Bの内底面25aから開口29に向けて垂直に立ち上がる垂直面に形成するとともに、挿入部31A,31Bの内面31a,31bを、繋ぎ部材3の下面3uから上面3tに向けて傾斜する傾斜面に形成する。この傾斜面は、上面3tから下面3uに近付くほど、挿入部31A,31Bの外面3fから離れるように傾斜する傾斜面に形成する。
そして、一方の挿入部31Aの対向面となる内面31aと一方の受部材2Aの凹部21Aにおける対向壁28の内壁面28aとの間に楔部材4を嵌入するとともに、他方の挿入部31Bの対向面となる内面31bと他方の受部材2Bの凹部21Bにおける対向壁28の内壁面28bとの間に楔部材4を嵌入することにより、楔部材4,4の圧入動作によって、一方の挿入部31Aと一方の受部材2Aとが固定状態に結合されるとともに、他方の挿入部31Bと他方の受部材2Bとが固定状態に結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
即ち、実施形態4では、一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28の垂直面となる内壁面28aと一方の挿入部31Aの傾斜面となる内面31aの間に楔部材4が嵌入されるとともに、他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28の垂直面となる内壁面28bと他方の挿入部31Bの傾斜面となる内面31bとの間に楔部材4が嵌入されたことによって、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結される。
図8に示すように、凹部21A,21Bの対向壁28,28の内壁面28a,28bを、凹部21A,21Bの内底面25aから開口29に向けて傾斜して立ち上がる傾斜面に形成する。この内壁面28bを形成する傾斜面は、開口29に近付くほど、妻壁26の内壁面から離れるように傾斜する傾斜面に形成する。また、一方の挿入部31Aの内面31a、他方の挿入部31Bの内面31bは、下面3uから上面3tに向けて垂直に立ち上がる垂直面に形成する。
そして、一方の挿入部31Aの対向面となる内面31aと一方の受部材2Aの凹部21Aにおける対向壁28の内壁面28aとの間に楔部材4を嵌入するとともに、他方の挿入部31Bの対向面となる内面31bと他方の受部材2Bの凹部21Bにおける対向壁28の内壁面28bとの間に楔部材4を嵌入することにより、実施形態4(図7)と同様に、楔部材4,4の圧入動作によって、一方の挿入部31Aと一方の受部材2Aとが固定状態に結合されるとともに、他方の挿入部31Bと他方の受部材2Bとが固定状態に結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結される。
即ち、実施形態5では、一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28の傾斜面となる内壁面28aと一方の挿入部31Aの垂直面となる内面31aの間に楔部材4が嵌入されるとともに、他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28の傾斜面となる内壁面28bと他方の挿入部31Bの垂直面となる内面31bとの間に楔部材4が嵌入されたことによって、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結される。
図9に示すように、凹部21A,21Bの対向壁28,28の内壁面28a,28bを、凹部21A,21Bの内底面25aから垂直に立ち上がる垂直面に形成するとともに、挿入部31A,31Bの内面31a,31bのうちの一方の内面(例えば内面31a)を、上面3tから下面3uに向けて傾斜する傾斜面に形成するとともに、他方の内面(例えば内面31b)を、上面3tから下面3uに向けて垂直に延長する垂直面に形成する。一方の内面を形成する傾斜面は、下面3uに近付くほど、挿入部31Aの外面3fから離れるように傾斜する傾斜面に形成する。
そして、他方の挿入部31Bの内面31bと他方の受部材2Bの凹部21Bにおける対向壁28の内壁面28bとが面接触するように係合させた状態とし、かつ、一方の挿入部31Aの内面31aと一方の受部材2Aの凹部21Aにおける対向壁28の内壁面28aとの間に楔部材4を嵌入することにより、楔部材4の圧入動作によって、一方の挿入部31Aと一方の受部材2Aとが固定状態に結合されるとともに、他方の挿入部31Bと他方の受部材2Bとが固定状態に結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
即ち、実施形態6では、実施形態1とは逆に、一方の受部材2Aの凹部21Aの対向壁28における内壁面28aと一方の挿入部31Aの内面31bとの間に楔部材4が嵌入されるとともに、他方の受部材2Bの凹部21Bの対向壁28における垂直面となる内壁面28bと他方の挿入部31Bの垂直面となる内面31bとの面接触により、他方の受部材2Bの凹部21Bの内壁面28bと他方の挿入部31Bとが係合されたことによって、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う床版10,10同士が連結されることになる。
受部材2A;2Bとして、例えば下面2uが水平面に接触するように設置された場合に、凹部21A;21Bの内底面25aが水平面と平行な面となるように形成されるとともに、凹部21A;21Bの対向壁28の内壁面28a;28bが内底面25aと直交する面となるように形成された構成の受部材2A;2Bを使用する。
また、繋ぎ部材3として、一対の挿入部31A;31Bの下面3uが水平面に接触するように設置された場合に、各凹部21A;21Bに挿入されて凹部21A;21Bの対向壁28の内壁面28a;28bと対向することになる一対の挿入部31A;31Bの互いに対向する内面31a;31bが水平面と直交する面となるように形成された構成の繋ぎ部材3を使用する。
図10に示すように、凹部21A;21Bの内底面25a;25aが床版10の下面10uに対して傾斜する傾斜面となり、かつ、凹部21A;21Bの対向壁28の内壁面28a;28bが床版10の端面11sに対して傾斜する傾斜面となるように、受部材2Aが傾けられて端部11側に埋め込まれた床版10と、受部材2Bが傾けられて端部11側に埋め込まれた床版10とを製作する。
そして、図10(a)に示すように、互いに隣り合う一方の床版10の端面11sと他方の床版10の端面11sとが互いに平行に対向し、かつ、凹部21A;21Bの内壁面28a;28b同士が対向するように、一方の床版10の下面10uと他方の床版10の下面10uとが主桁上に設置された場合に、一方の受部材2Aの凹部21Aの内壁面28aと他方の受部材2Bの凹部21Bの内壁面28bとが、床板10の上面10t側から床板10の下面10u側に向けて互いに離れるように傾斜する傾斜面となるように構成される。即ち、互いに対向する凹部21Aの内壁面28aと凹部21Bの内壁面28bとが、上方から下方に向けて互いに離れるように傾斜する傾斜面となるように構成される。
その後、図10(b)に示すように、一対の挿入部31A;31Bの下面3uが床版10の下面10uと平行な面となるように一対の挿入部31A;31Bが各凹部21A;21Bに挿入され、図10(c)に示すように、傾斜面である凹部21Aの内壁面28aと当該内壁面28aと対向する面となる挿入部31Aの内面31aとの間に凹部21Aの上方から楔部材4が嵌入されるとともに、傾斜面である凹部21Bの内壁面28bと当該内壁面28bと対向する面となる挿入部31Bの内面31bとの間に凹部21Bの上方から楔部材4が嵌入されることにより、互いに隣り合う各受部材2A;2Bと繋ぎ部材3とが結合されて、互いに隣り合う一方の床版10と他方の床版10とが連結される。
即ち、実施形態7では、楔部材4が嵌入される隙間を形成する凹部21A;21Bを有した受部材2A;2Bは、凹部21A;21Bの内壁面28a;28bが傾斜面となるよう傾けられて床版10の端部11側に設置される。
尚、一方の床版10の下面10uと他方の床版10の下面10uとが例えば同一水平面上に位置される複数の主桁上に設置される場合、一対の挿入部31A;31Bの下面3uが水平面となるように一対の挿入部31A;31Bが各凹部21A;21Bに挿入され、挿入部31Aの内面31a;31bが垂直面となる。
そして、橋軸方向Xに沿って隣り合う床版10,10同士が継手1で連結された後、図10(d)に示すように、凹部21A,21B内、及び、凹部21A,21Bと繋ぎ部材3の上方に充填材16を充填することにより、繋ぎ部材3の凹部21A,21Bからの抜け防止が図れるとともに、図1に示すように、隣り合う床版10,10の端面11s,11s間の隙間である目地15に充填材16を充填することにより、互いに隣り合う床版10,10同士の接合が完了する。
また、繋ぎ部材3として、一対の挿入部31A;31Bの下面3u及び一対の挿入部31A;31Bを繋ぐ連結部32の下面3uが連続する平面に形成されるとともに、一対の挿入部31A;31Bの上面3t及び一対の挿入部31A;31Bを繋ぐ連結部32の上面3tが連続する平面に形成され、かつ、挿入部31A;31Bの上面3tと下面3uとを繋ぐ壁面及び連結部32の上面3tと下面3uとを繋ぐ壁面が、上面3t及び下面3uと直交する面となるように形成された構成のものを使用することによって、繋ぎ部材3の製造が簡単となり、繋ぎ部材3の製造コストを低減できるようになる。
また、図6に示した実施形態3、図8に示した実施形態5、図10に示した実施形態7の継手1は、楔部材4が嵌入される隙間を形成する凹部2A;2Bの内壁面28a;28bが傾斜している傾斜面となるとともに、当該内壁面28a;28bと対向する挿入部31A;31Bの対向面31a;31bが、凹部21A;21Bの開口29側から凹部21A;21Bの底側に近付くほど内壁面28a;28bに近付くように形成されている垂直面となるように構成される。尚、この場合、内壁面28a;28bと対向する挿入部31A;31Bの対向面31a;31bが、凹部21A;21Bの開口29側から凹部21A;21Bの底側に近付くほど内壁面28a;28bに近付くように形成されている傾斜面となるように構成されていてもよい。
即ち、内壁面28a;28bと対向面31a;31bとの間で形成される楔部材4が嵌入される隙間の間隔が、凹部21A;21Bの開口29側から凹部21A;21Bの底側に向けて徐々に狭くなるように形成されればよい。
そして、図10に示した実施形態7の継手1の場合、楔部材4が嵌入される隙間を形成する凹部2A;2Bを有した受部材2A;2Bは、凹部2A;2Bの内壁面28a;28bが傾斜面となるように傾けられて床版10の端部側に設置された構成である。
尚、互いに隣り合う受部材2A;2Bのうち、片方の受部材だけが、内壁面が傾斜面となるように傾けられて床版10の端部11側に設置された構成としてもよい。
即ち、単に部材と部材とを固定状態に結合するために部材と部材との間に楔部材を嵌入することは周知の技術であるが、隣り合う各床版10,10の端部に埋設された各受部材2A,2B同士の左右方向や上下方向のずれが生じた場合に、一方の受部材2Aと他方の受部材2Bとをフレキシブルに結合できるようにするために、楔部材4を用いるという本願発明は、新規で独創的な発明であるといえる。
即ち、受部材2A,2Bの凹部21A,21Bの内壁面28a,28bと楔部材4とが互いに面接触する面を備えた構成とした。
尚、挿入部31A,31Bの内面31a,31b又は凹部21A,21Bの内壁面28a,28bである傾斜面の傾斜角度と楔部材4の傾斜面4aの傾斜角度とが同一傾斜角度でなくても、楔部材4による楔の機能が発揮されればよい。
3u 繋ぎ部材の下面、4 楔部材、4a 楔部材の傾斜面、
21A,21B 凹部、28a,28b 凹部の内壁面、23 定着部、
31A,31B 挿入部、31a,31b 挿入部の内面、32 連結部、
10 床版(コンクリート部材)、11 床版の端部、11s 床版の端面、
a,a… 複数の部材。
Claims (10)
- コンクリート部材同士を連結するためのコンクリート部材の継手であって、
隣り合う各コンクリート部材の端部側にそれぞれ設置された受部材と、互いに隣り合う各受部材を繋ぐ繋ぎ部材と、楔部材とを備え、
受部材は、繋ぎ部材に設けられた挿入部が挿入される凹部と、コンクリート部材のコンクリートに定着される定着部とを備え、
繋ぎ部材は、互いに隣り合う各受部材の各凹部に挿入される一対の挿入部と、一対の挿入部を繋ぐ連結部とを備え、
一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部とが係合されるとともに、他方の受部材の凹部の内壁面と他方の挿入部との間に楔部材が嵌入されたことによって、互いに隣り合う各受部材と繋ぎ部材とが結合されて、隣り合う各コンクリート部材が連結されるように構成されたことを特徴とするコンクリート部材の継手。 - 一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部との面接触により、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部とが係合されたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の継手。
- 一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部との間に楔部材が嵌入されたことにより、一方の受部材の凹部の内壁面と一方の挿入部とが係合されたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の継手。
- 受部材の凹部の内壁面と楔部材とが互いに面接触する面を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手。
- 楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部の内壁面が垂直であるとともに、当該内壁面と対向する挿入部の対向面が、凹部の開口側から凹部の底側に近付くほど内壁面に近付くように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手。
- 楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部の内壁面が傾斜しているとともに、当該内壁面と対向する挿入部の対向面が、凹部の開口側から凹部の底側に近付くほど内壁面に近付くように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手。
- 楔部材が嵌入される隙間を形成する凹部を有した受部材は、凹部の内壁面が傾斜面となるよう傾けられてコンクリート部材の端部側に設置されたことを特徴とする請求項6に記載のコンクリート部材の継手。
- 楔部材が、繋ぎ部材の挿入部において連結部を挟んで隣り合う一対の内面にそれぞれ対応するように設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手。
- コンクリート部材が、橋梁用の床版、又は、橋梁用の壁高欄であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手。
- 請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のコンクリート部材の継手の製造方法であって、
それぞれ受部材の一部となる複数の部材を、切断加工によって製作し、これら複数の部材を積層することによって、受部材を製造したことを特徴とするコンクリート部材の継手の製造方法。
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