JP2020158859A - 遮熱コーティング、タービン部材、ガスタービン及び遮熱コーティングの製造方法 - Google Patents
遮熱コーティング、タービン部材、ガスタービン及び遮熱コーティングの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
そこで、例えば、遮熱コーティングのセラミックス層の気孔率を低減することで腐食性物質がセラミックス層に浸透することを抑制することが考えられる。しかし、セラミックス層の気孔率を低減させると、セラミックス層の熱伝導率が上昇してしまうため、遮熱コーティングの遮熱性が低下してしまう。
基材を熱から保護するための遮熱コーティングであって、
前記基材側に設けられ、セラミックスを含む第1層と、
前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に設けられ、セラミックスを含む第2層とを備え、
前記第1層は、前記第2層よりも気孔率が高く、
前記第2層は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下である。
すなわち、腐食性物質の浸透を抑制する観点から、第2層における気孔率は小さい方が望ましく、5.0%以下であるとよいことが分かった。また、腐食性物質の浸透を抑制するためには、最大気孔径が小さい方が望ましく、最大気孔径が20μm以下であるとよいことが分かった。したがって、上記(1)の構成によれば、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であっても遮熱コーティングの耐久性を向上できる。
その点、上記(2)の構成によれば、第2層の厚さが第1層の厚さと第2層の厚さとの厚さの合計値に対して0.1以上0.3以下の比率となる値を有するので、遮熱性を確保しつつ、腐食性物質の浸透を抑制できる。
したがって、上記(5)の構成によれば、第2層によって腐食性物質の浸透を抑制できる。
基材を熱から保護するための遮熱コーティングの製造方法であって、
前記基材側にセラミックスを含む第1層を積層させる工程と、
前記第1層を挟んで前記基材とは反対側にセラミックスを含む第2層を積層させる工程と、
を備え、
前記第1層を積層させる工程は、前記第2層よりも気孔率が高くなるように前記第1層を積層させ、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる。
このように、上記(8)の方法によれば、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であっても遮熱コーティングの耐久性を向上できる。
したがって、上記(9)の方法によれば、第2層によって腐食性物質の浸透を抑制できる。
基材を熱から保護するための遮熱コーティングの製造方法であって、
セラミックスを含み前記基材側に設けられた第1層を挟んで前記基材とは反対側にセラミックスを含む第2層を積層させる工程、
を備え、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる。
セラミックスを含み基材側に設けられた第1層と、前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に設けられ、セラミックスを含む第2層とを備える既設遮熱コーティング層に対し、前記第2層を除去する工程と、
前記第2層を除去した後の前記既設遮熱コーティング層に対し、前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に前記セラミックスを含む第2層を積層させる工程と、
を備え、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、実施形態に係る遮熱コーティングを備えるタービン部材の断面の模式図である。幾つかの実施形態では、タービンの動翼、静翼などの耐熱性の母材(基材)11上に、遮熱コーティングとして金属結合層(ボンドコート層)12及びセラミックス層13が順に形成される。即ち、図1に示すように、幾つかの実施形態では、遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating : TBC)層10は、ボンドコート層12及びセラミックス層13を含んでいる。
ボンドコート層12は、MCrAlY合金(Mは、Ni,Co,Fe等の金属元素またはこれらのうち2種類以上の組合せを示す)などで構成される。
イットリア安定化ジルコニアやイッテルビア安定化ジルコニアは、セラミックス材料の中では比較的低い熱伝導率と比較的高い熱膨張率を有している。そのため、イットリア安定化ジルコニアやイッテルビア安定化ジルコニアを遮熱コーティングの材料として用いた場合、高い遮熱性を確保できるとともに、基材11が金属製であっても基材11との熱膨張率の差を小さくすることができる。したがって、遮熱コーティング層10が金属製の基材11の遮熱用途に適したものとなる。
これにより、第2層15が第1層14と同じ材質で構成されるので、同じ組成の材料で第1層14と第2層15との成膜条件の急変をなくすことができ、第1層14と第2層15との界面の密着性が高い。また、第1層14と第2層15とで、高温環境下における線膨張係数や相安定性等が同じになるので、高温環境下における遮熱コーティング層10の品質劣化を抑制できる。
第1層14の気孔率を算出する場合、上述のようにして求めた第1層14における気孔16の面積を第1層14の断面の面積で除すことで第1層14の気孔率を求める。すなわち、観察された3箇所の領域における気孔率の平均値を第1層14全体の気孔率と見なす。同様に、第2層15の気孔率を算出する場合、上述のようにして求めた第2層15における気孔16の面積を第2層15の断面の面積で除すことで第2層15の気孔率を求める。すなわち、観察された3箇所の領域における気孔率の平均値を第2層15全体の気孔率と見なす。
なお、図12は、遮熱コーティング層の気孔率を算出するにあたっての皮膜断面の光学顕微鏡写真の一例である。また、図13は、遮熱コーティング層の気孔率を算出するにあたっての皮膜断面の光学顕微鏡写真を2値化した画像の一例である。
後述するように、第2層15の最大気孔径を算出する場合、遮熱コーティング層10を複数箇所で切断し、複数の切断面のそれぞれに対して複数の領域で気孔径を求めることで最大気孔径を算出することが望ましい。
なお、第2層15の全ての領域の気孔を観察することは困難である。また、第2層15における大多数の気孔の分布から外れた大きな気孔が僅かに含まれることも考えられる。そこで、例えば、上述のようにして複数領域で観察した気孔についての気孔径の累積頻度が気孔の個数を基準として99%となる気孔径を第2層15における最大気孔径としてもよい。
第2層15の気孔率、最大気孔径及び厚さは、腐食性物質の浸透を抑制する効果(以下、浸透抑制効果と呼ぶ)、及びセラミックス層13としたときに要求される熱伝導性などを考慮して適宜設定される。幾つかの実施形態では、後述するように、第2層15の気孔率は、0.1%以上5.0%以下とされ、最大気孔径は20μm以下とされる。
なお、セラミックス層13の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上1mm以下などとされる。
なお、幾つかの実施形態に係る第2層15は、第1層14上に直接、すなわち他の層を介さずに形成されていてもよく、第1層14上に形成された他の層の上に形成されていてもよい。ここで、他の層とは、例えば、第1層14又は第2層15の少なくとも一方とは気孔率や材質、厚さ等が異なる層であってもよい。
また、幾つかの実施形態に係る第2層15は、遮熱コーティング層10の最外層であるり、第2層15の表面には他の層は形成されていない。しかし、第2層15の表面に他の層が形成されていてもよい。
幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングによれば、第2層15よりも気孔率が高い第1層14と、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下である第2層15とを備え、該第2層15が第1層14を挟んで基材11とは反対側に設けられているので、第1層14によって遮熱コーティングの熱伝導率の上昇を抑制しつつ、第2層15によって腐食性物質の浸透を抑制できる。
すなわち、腐食性物質の浸透を抑制する観点から、第2層15における気孔率は小さい方が望ましく、5.0%以下であるとよいことが分かった。また、腐食性物質の浸透を抑制するためには、最大気孔径が小さい方が望ましく、最大気孔径が20μm以下であるとよいことが分かった。したがって、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングによれば、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であっても遮熱コーティング層10の耐久性を向上できる。
すなわち、第1層14の気孔率が小さくなると第1層14における熱伝導率が上昇するので、第1層14の気孔率が10%未満になると、遮熱性能が不十分になるおそれがある。また、第1層14の気孔率が大きくなるとボンドコート層12との密着性が低下する傾向にあるので、第1層14の気孔率が15%を超えると、ボンドコート層12との密着性が不十分になるおそれがある。
そこで、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティング層10では、第1層14の気孔率が10%以上15%以下とすることで、第1層14の耐久性を確保しつつ、第1層14の熱伝導率の上昇を抑制できる。
第1層14及び第2層15の厚さは、例えば大気プラズマ溶射によって生成する場合、安定した被膜を得るために30μm以上とすることが望ましい。
なお、第2層15の厚さが50μm未満になる場合、局所的に層の厚さが薄い場所が存在すると、気孔が第2層15を貫通するおそれがあるため、腐食性物質の浸透抑制の観点からは、第2層15の厚さは50μm以上とすることが望ましい。
また、第2層15の厚さが100μmを超えると、セラミックス層13全体の熱サイクル耐久性が低下するおそれがあるため、第2層15の厚さは100μm以下とすることが望ましい。
したがって、第2層15の厚さは、第1層14の厚さと第2層15の厚さとの厚さの合計値(セラミックス層13の厚さ)に対して0.1以上0.3以下の比率となる値を有することが望ましい。
これにより、遮熱性を確保しつつ、腐食性物質の浸透を抑制できる。
一方、第1層14の厚さは、セラミックス層13に要求される遮熱性能を満たすように設定されることが望ましい。すなわち、上述したように第2層15の熱伝導率が第1層14の熱伝導率よりも高いが、第2層15を有するセラミックス層13が要求される遮熱性能を満たすように、第1層14の厚さを設定する。具体的には、例えば、第2層15の熱伝導率と厚さ、及び、第1層14の熱伝導率に基づいて、必要とされる遮熱性能から第1層14の厚さを求めるとよい。なお、第1層14の厚さは、例えば400μm以上500μm以下の厚さに設定することができる。
幾つかの実施形態に係る遮熱コーティング層10では、第1層14及び第2層15は、大気プラズマ溶射によって生成された溶射層であるとよい。
その点、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティング層10では、第1層14及び第2層15を大気プラズマ溶射によって生成することで、例えば化学蒸着法や物理蒸着法、減圧プラズマ溶射等によって第1層14及び第2層15を生成する場合と比べて、装置構成が簡素であるので、装置の費用を安価にできる他、段取り等の準備等を含めた工数を削減でき、タクトタイムを短縮できる。
従来は、平均粒径10μmから150μmの範囲、一般には10μmから100μmで正規分布に近い粒度分布を有する溶射粒子を用いてセラミックス層を形成することが一般的であった。
発明者らが鋭意検討した結果、従来のセラミックス層の形成に用いた溶射粒子よりも、大径粒子の割合を低減し、比較的小さい粒子を主とする溶射粒子を用いて第2層15を形成することで、第2層15の気孔率を低下させて腐食性物質の浸透を抑制できることが判明した。すなわち、積算粒度10%粒径が1μm以上10μm以下とされ、積算粒度50%粒径が5μm以上15μm以下とされ、積算粒度90%粒径が10μm以上30μm以下とされる粒度分布を有する第2セラミックスの溶射粒子を用いることで、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下である第2層15を形成できることができることが判明した。
その点、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティング層10では、上述した粒度分布を有する第2セラミックスの溶射粒子を用いることで、溶射によって第2層15の気孔率を0.1%にまで低減できる。
したがって、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティング層10では、上記粒度分布を有する第2セラミックスの溶射粒子を溶射して第2層15を形成することで、第2層15によって腐食性物質の浸透を抑制できる。
発明者らが鋭意検討した結果、従来のセラミックス層の形成に用いた溶射粒子よりも、小径粒子の割合を低減し、比較的大きい粒子を主とする溶射粒子を用いて第1層14を形成することで、気孔率が上昇して遮熱コーティング層10の遮熱性が向上するとともに、層状欠陥の発生が抑制されて遮熱コーティング層10の熱サイクル耐久性が向上することを見出した。
すなわち、発明者らが鋭意検討した結果、第1層14を溶射によって形成するにあたり、例えば積算粒度10%粒径が30μm以上150μm以下とされる粒度分布を有する溶射粒子を用いることで、第1層14の熱サイクル耐久性が向上することを見出した。すなわち、該溶射粒子を用いることで、第1層14における気孔率を10%以上15%以下とすることができ、第1層14の耐久性を確保しつつ、第1層14の遮熱性を向上できる。
以下、遮熱コーティング層10の実施例1について説明する。
実施例1に係る遮熱コーティング層10のサンプルでは、ガスタービン高温部品の代表的基材であるNi基超合金基材に、MCrAlY合金によるボンドコート層12を約0.1mmの厚さで形成した。
実施例1に係るサンプルでは、第1層14は、積算粒度10%粒径が30μm以上150μm以下とされる粒度分布を有するイッテルビア安定化ジルコニアの溶射粒子を用いて、大気プラズマ溶射によって生成した。実施例1に係るサンプルでは、第1層14の厚さは、約400μmである。
実施例1に係るサンプルでは、第2層15における気孔径の範囲は、0.4μm〜14.8μmであり、気孔率は1.0%である。
その後、タービンの実機を模して湿分を付与した後、基材とボンドコート層12との界面の温度が900℃となり、第2層15の表面温度が1600℃となるようにレーザ加熱による熱サイクル試験(加速試験)を実施した。この熱サイクル試験における加熱と冷却の繰り返し回数は、1000回とした。
実施例1に係るサンプルにおける遮熱性は、実施例1に係るサンプルと同様の第1層14を厚さ500μmで生成し、第2層15を有さない比較例と略同等であった。具体的には、該比較例の熱伝導率に対して、実施例1に係るサンプルの熱伝導率の増分は10%以下であった。
実施例1に係るサンプルにおける溶融塩の浸透量は、該比較例における溶融塩の浸透量の10%以下であった。
以下、遮熱コーティング層10の実施例2について説明する。
実施例2に係る遮熱コーティング層10のサンプルでは、上述した実施例1に係る遮熱コーティング層10のサンプルとは、第2層15だけが異なっている。すなわち、実施例2に係る遮熱コーティング層10のサンプルでは、ガスタービン高温部品の代表的基材であるNi基超合金基材に、MCrAlY合金によるボンドコート層12を約0.1mmの厚さで形成した。
実施例2に係るサンプルでは、第1層14は、積算粒度10%粒径が30μm以上150μm以下とされる粒度分布を有するイッテルビア安定化ジルコニアの溶射粒子を用いて、大気プラズマ溶射によって生成した。実施例2に係るサンプルでは、第1層14の厚さは、約400μmである。
実施例2に係るサンプルでは、第2層15における気孔径の範囲は、0.51μm〜7.3μmであり、気孔率は1.2%である。
その後、タービンの実機を模して湿分を付与した後、基材とボンドコート層12との界面の温度が900℃となり、第2層15の表面温度が1600℃となるようにレーザ加熱による熱サイクル試験(加速試験)を実施した。この熱サイクル試験における加熱と冷却の繰り返し回数は、1000回とした。
実施例2に係るサンプルにおける遮熱性は、上述した比較例と略同等であった。具体的には、該比較例の熱伝導率に対して、実施例2に係るサンプルの熱伝導率の増分は10%以下であった。
実施例2に係るサンプルにおける溶融塩の浸透量は、該比較例における溶融塩の浸透量の50%以下であった。
図2を参照して、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法について説明する。図2は、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造工程についてのフローチャートである。
幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法は、ボンドコート層積層工程S10と、第1層積層工程S20と、第2層積層工程S30とを含む。
また、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法では、第1層14を挟んで基材11とは反対側に0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となる第2層15を形成できる。これにより、第2層15によって腐食性物質の浸透を抑制できる。
このように、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法では、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であっても遮熱コーティング層10の耐久性を向上できる。
また、幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法では、上記粒度分布を有する第2セラミックスの溶射粒子を溶射して第2層15を形成することで、第2層15の気孔率を低下させて腐食性物質の浸透を抑制できる。すなわち、上記粒度分布を有する第2セラミックスの溶射粒子を用いることで、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下である第2層15を形成できる。
上述した幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングは、産業用ガスタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒、分割環などの高温部品に適用して有用である。また、産業用ガスタービンに限らず、自動車やジェット機などのエンジンの高温部品の遮熱コーティング膜にも適用することができる。これらの部材に上述した幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングを設けることで、耐食性及び熱サイクル耐久性に優れるガスタービン翼や高温部品を構成することができる。
このように、幾つかの実施形態に係るタービン部材であるタービン翼4,5は、上述した幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングを有するので、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であってもタービン部材の耐久性を向上できる。
また、幾つかの実施形態に係るガスタービン6は、上記タービン部材であるタービン翼4,5を有するので、燃焼ガスに腐食性物質が含まれる環境下であってもガスタービン6におけるタービン部材の耐久性を向上できる。
例えば、上述した幾つかの実施形態に係る遮熱コーティングの製造方法は、ボンドコート層積層工程S10と、第1層積層工程S20と、第2層積層工程S30とを含む。しかし、既にボンドコート層12及び第1層14が形成された基材11に対して、上述した第2層積層工程S30によって第1層14の表面側に第2層15を形成するようにしてもよい。
これにより、例えば、第1層14と同様の層を有する従来のタービン部材に対して、第2層15を形成できる。
具体的には、例えば図9に示すように、基材11上に積層されたボンドコート12層と、ボンドコート層12上に積層された第1層14と、第1層14上に積層された第2層15Bとを有する既設遮熱コーティング層10Bに対し、図10に示す遮熱コーティングの製造工程において、古い第2層15Bを除去して新たな第2層15を形成できる。なお、図9は、既設遮熱コーティング層10Bを備えるタービン部材の断面の模式図である。図10は、既設遮熱コーティング層10Bの古い第2層15Bを除去して新たな第2層15を形成する遮熱コーティングの製造工程についてのフローチャートである。
5 ガスタービン静翼
6 ガスタービン
7 分割環
8 燃焼器
10 遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating : TBC)層
11 母材(基材)
12 金属結合層(ボンドコート層)
13 セラミックス層
14 第1層
15 第2層
Claims (11)
- 基材を熱から保護するための遮熱コーティングであって、
前記基材側に設けられ、セラミックスを含む第1層と、
前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に設けられ、セラミックスを含む第2層とを備え、
前記第1層は、前記第2層よりも気孔率が高く、
前記第2層は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下である
遮熱コーティング。 - 前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さと前記第2層の厚さとの厚さの合計値に対して0.1以上0.3以下の比率となる値を有する
請求項1に記載の遮熱コーティング。 - 前記第2層のセラミックスの材質は、前記第1層のセラミックスの材質と同じである
請求項1又は2に記載の遮熱コーティング。 - 前記第2層のセラミックスの材質は、イットリア安定化ジルコニア、又は、イッテルビア安定化ジルコニアである
請求項1乃至3の何れか一項に記載の遮熱コーティング。 - 前記第2層は、積算粒度10%粒径が1μm以上10μm以下とされ、積算粒度50%粒径が5μm以上15μm以下とされ、積算粒度90%粒径が10μm以上30μm以下とされる粒度分布を有するセラミックスの溶射粒子を溶射して形成されている
請求項1乃至4の何れか一項に記載の遮熱コーティング。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の前記遮熱コーティングを有するタービン部材。
- 請求項6に記載の前記タービン部材を有するガスタービン。
- 基材を熱から保護するための遮熱コーティングの製造方法であって、
前記基材側にセラミックスを含む第1層を積層させる工程と、
前記第1層を挟んで前記基材とは反対側にセラミックスを含む第2層を積層させる工程と、
を備え、
前記第1層を積層させる工程は、前記第2層よりも気孔率が高くなるように前記第1層を積層させ、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる
遮熱コーティングの製造方法。 - 前記第2層を積層させる工程は、積算粒度10%粒径が1μm以上10μm以下とされ、積算粒度50%粒径が5μm以上15μm以下とされ、積算粒度90%粒径が10μm以上30μm以下とされる粒度分布を有するセラミックスの溶射粒子を溶射して前記第2層を積層させる
請求項8に記載の遮熱コーティングの製造方法。 - 基材を熱から保護するための遮熱コーティングの製造方法であって、
セラミックスを含み前記基材側に設けられた第1層を挟んで前記基材とは反対側にセラミックスを含む第2層を積層させる工程、
を備え、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる
遮熱コーティングの製造方法。 - セラミックスを含み基材側に設けられた第1層と、前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に設けられ、セラミックスを含む第2層とを備える既設遮熱コーティング層に対し、前記第2層を除去する工程と、
前記第2層を除去した後の前記既設遮熱コーティング層に対し、前記第1層を挟んで前記基材とは反対側に前記セラミックスを含む第2層を積層させる工程と、
を備え、
前記第2層を積層させる工程は、0.1%以上5.0%以下の気孔率を有し、かつ、最大気孔径が20μm以下となるように前記第2層を積層させる
遮熱コーティングの製造方法。
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