JP2020158416A - 保存安定性に優れる歯科用水硬性仮封材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の歯科用水硬性仮封材は初期硬化性が高い場合でも経時的に硬化性が低下していくという欠点があるため、製造から長期間経過すると充分な硬化性を発現できず、患者の舌や対合歯が接触した際に仮封材が動いたり、変形したりすることで、仮封材と歯質の間に隙間を生じ、封鎖性を損なう恐れがあった。そこで、本発明は経時的な硬化性の低下を軽減した歯科用水硬性仮封材組成物を提供することを課題とする。【解決手段】成分(1)石英粉末を含む歯科用水硬性仮封材。さらに、成分(2)水硬性無機粉末、成分(3)有機溶媒、および成分(4)樹脂を含む歯科用水硬性仮封材組成物。【選択図】なし

Description

本発明は保存安定性に優れる歯科用水硬性仮封材組成物に関する。より詳細には、初期硬化性に優れ、且つ、経時的な硬化性の低下を軽減できる歯科用水硬性仮封材組成物に関する。
う蝕等により、口腔内の歯質を部分的に削除することを余儀なくされた場合、一般的に歯科充填用コンポジットレジン等の充填材料を用いて歯質の削除部分を修復する直接修復や、歯冠形態を再現した補綴装置を作製し、それを歯科用セメントを用いて歯質の削除部位に合着する間接修復などが行われる。また、う蝕が象牙質の奥深くまで進行し、歯髄や根管内に細菌感染が認められる場合などは、抜髄処置や感染歯質の除去等の根管治療が行われる。これらの治療において、補綴装置を作製するまでの間や、抜髄や感染歯質を除去した後の経過観察期間、薬剤の適用期間などに、窩洞や根管内への食物の混入や治療部位の細菌感染の防止、根管に填入した薬剤の封鎖などを目的として、窩洞や根管を歯科用仮封材と呼ばれる暫間的な充填材料を用いて一時的に封鎖する仮封が行われている。
このような背景から、歯科用仮封材には良好な封鎖性が求められる。また、治療後の咀嚼運動などによって、充填した仮封材が動いたり、変形してしまったりすると、封鎖性が損なわれる恐れがあることから、封鎖性を維持するためには、仮封材は口腔内で早期に、且つ十分に硬化する必要がある。一方で、歯科用仮封材は治療過程において取り除くことを前提とした材料であるため、適用部位周辺の歯質にダメージを与えることなく、容易に除去できなければならない。
歯科用仮封材としては、熱可塑性樹脂からなるテンポラリーストッピング、ユージノールセメント、非ユージノールセメント、リン酸亜鉛セメントなどの歯科用セメント、重合性単量体と重合開始剤を含む歯科用レジン系仮封材、硫酸カルシウムを主成分とする歯科用水硬性仮封材などが挙げられる。
テンポラリーストッピングは使用時に加熱することで材料を軟化させ、窩洞に充填して用いるものであり、充填・除去がし易い反面、使用時には毎回加熱・軟化操作を必要とするため、煩雑な作業工程を伴うだけでなく、冷却・硬化時の収縮が大きいため窩洞の封鎖性が悪いという問題点がある。
歯科用セメントは粉材と液材とを練和してペースト状にしてから充填して用いるものであり、テンポラリーストッピングと比較して硬化時の寸法変化が少ないため、窩洞の封鎖性は良いものの、粉材と液材との練和は煩雑であるだけでなく、熟練を必要とする。また、硬化体が硬いため、除去が困難であるという問題もある。
歯科用レジン系仮封材は重合性単量体の重合反応により硬化するものであり、粉材と液材を混和することで重合・硬化する化学重合タイプと、特定の波長光で励起する光重合開始剤を含む組成物に光照射することによって重合・硬化する光重合タイプがある。これらは重合反応が開始すると急速に硬化するため、処置後早期に機能させることができるといった利点があるものの、硬化時に重合収縮を伴うため、封鎖性が悪いという欠点がある。
一方、歯科用水硬性仮封材はパテ状のペーストを窩洞に充填することで、口腔内の唾液などの水分と反応して硬化するため、加熱や練和(混和)、光照射の必要性がなく、操作性に優れている。また、主成分である硫酸カルシウムが硬化に伴って膨張する性質を有するため、窩洞の封鎖性にも優れている。
特許文献1には酢酸ビニル、塩化ビニル、または両者の共重合体10〜35重量%、エチルアルコール1〜10重量%、酢酸グリコール1〜10重量%、硫酸亜鉛セメント5〜30重量%、焼石膏30〜65重量%の範囲よりなることを特徴とする水硬性仮封材が開示されている。この水硬性仮封材は窩洞に良く密着し、歯より取り除く際はエキスカベータなどで簡単に取り除くことができることが開示されている。
特許文献2にはA)硫酸カルシウム10〜90重量%、B)酢酸ビニル樹脂5〜40重量%、C)無機充填材1〜40重量%、D)沸点が110℃以上のアルコール類1〜30重量%、E)非イオン系界面活性剤0.001〜5重量%からなることを特徴とする水硬性仮封材が開示されている。この水硬性仮封材は適度な親水性を持った有機溶媒と非イオン系界面活性剤の親水作用により歯面の水分がペースト表面にはじかれることなく付着し、その効果によりペースト内部により早く安定して水分が浸透、拡散することで初期の硬化性を高めることができ、更にその親水性の効果は歯質との粘着性にも有効であることから口腔内における充填性が良好となり、それらの結果、封鎖性が向上することが開示されている。
特許文献3には成分(1)水硬性無機粉末65.0〜85.0質量%、成分(2)有機溶媒10.0〜25.0質量%、成分(3)樹脂3.0〜15.0質量%、および成分(4)イオン徐放性ガラス0.01〜10.0質量%を含むことを特徴とする歯科用水硬性仮封材組成物が開示されている。この歯科用水硬性仮封材は高い初期硬化性を有しつつ、フッ化物イオンを含む各種イオンの徐放により、歯質強化や二次う蝕の抑制などの歯質の保護が期待できることが開示されている。
しかしながら、これらの歯科用水硬性仮封材は経時的に硬化性が低下していくという欠点があるため、製造直後には高い硬化性を発現したとしても、製造から長期間経過すると充分な硬化性を発現できず、患者が舌で触ったり、噛んだりした際に仮封材が移動したり、変形したりしていまい、封鎖性を損なう恐れがあった。そのため、従来の歯科用水硬性仮封材は保存安定性に改善の余地があった。
特許公報昭38−2628号公報 特開2011−213608号公報 特開2018−95573号公報
従来の歯科用水硬性仮封材は初期硬化性が高い場合でも経時的に硬化性が低下していくという欠点があるため、製造から長期間経過すると充分な硬化性を発現できず、患者の舌や対合歯が接触した際に仮封材が動いたり、変形したりすることで、仮封材と歯質の間に隙間を生じ、封鎖性を損なう恐れがあった。そこで、本発明は経時的な硬化性の低下を軽減した歯科用水硬性仮封材組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために発明者らは鋭意検討の結果、歯科用水硬性仮封材組成物に石英粉末を配合することで、経時的な硬化性の低下を軽減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は成分(1)石英粉末を含む歯科用水硬性仮封材であり、成分(1)石英粉末の50%粒子径が3〜500μmの範囲内であることが好ましく、成分(1)石英粉末の含有量が歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して2.0〜65.0wt%の範囲内で含むことが更に好ましい。
また、前記歯科用水硬性仮封材組成物が
成分(2)水硬性無機粉末、
成分(3)有機溶媒、および
成分(4)樹脂
を含むことが好ましく、これら成分(2)〜(4)の含有量が歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して
成分(2)水硬性無機粉末 20.0〜85.0wt%、
成分(3)有機溶媒 10.0〜25.0wt%、および
成分(4)樹脂 3.0〜15.0wt%
の範囲内で含むことが更に好ましい。
また、成分(2)水硬性無機粉末が硫酸カルシウムを含むことが好ましい。更に、硫酸カルシウムであることが好ましい。
また、成分(3)有機溶媒がグリセリン、若しくはその誘導体を含むことが好ましい。更に、グリセリン、若しくはその誘導体であることが好ましい。
また、成分(4)樹脂が酢酸ビニル、又は塩化ビニルの単独重合体、又は共重合体のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。更に、酢酸ビニル、又は塩化ビニルの単独重合体、又は共重合体のうち少なくとも一種からなることが好ましい。
本発明の歯科用水硬性仮封材組成物は経時的な硬化性の低下を軽減できるため、製造から長期間経過後も安定して高い硬化性を示す。そのため、口腔内に適用した仮封材に患者の舌や対合歯が接触した場合においても、仮封材の変形などによる封鎖性低下のリスクを低減でき、仮封期間中における感染防止に寄与できる。
本発明は石英粉末を含む歯科用水硬性仮封材組成物に関する。
成分(1)石英粉末は本発明の歯科用水硬性仮封材組成物の経時的な硬化性の低下を軽減する成分である。
成分(1)石英粉末は二酸化ケイ素の結晶を主体とする粉末であり、特に制限なく公知の石英粉末を用いることができる。
石英は低温型のα−石英と高温型のβ−石英の2種の結晶構造をとる。本発明の成分(1)石英粉末においては、何れの結晶構造を有するものでも何ら制限なく用いることができ、混合して用いることもできる。石英の製造の観点からα−石英の粉末を用いることが好ましい。
成分(1)石英粉末の製造方法においては特に制限はなく、天然から採掘される鉱物を粉砕・精製する方法や、溶融法や合成法によって人工的に製造された非晶質シリカを様々な手法で結晶化させて製造することが出来る。その中でも天然から採掘される鉱物を粉砕・精製する方法が製造の容易さやコストの面から好ましい。
成分(1)石英粉末の純度に特に制限はないものの、不純物の少ない、高純度のものを用いることが好ましい。即ち、二酸化ケイ素としての純度が99.0%以上であることが好ましく、99.5%以上であることが更に好ましい。尚、成分(1)石英粉末は鉄やチタン、マンガンなどの地殻中に存在する元素由来の成分や、合成過程における溶媒由来の成分、その他製造設備由来の成分などを不可避の不純物として含むことがある。
成分(1)石英粉末の粒子径に特に制限はないものの、50%粒子径が3〜500μmの範囲であることが好ましく、30〜300μmの範囲であれば更に好ましい。また、成分(1)石英粉末の粒子径の分布範囲は0.2〜1000μmであることが好ましい。
成分(1)石英粉末の粒子形状に特に制限はなく、球状、針状、板状、破砕状、鱗片状などの任意の形状のものを用いることができるが、好ましくは球状、あるいは破砕状である。
成分(1)石英粉末の含有量に特に制限はないものの、歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して2.0〜65.0wt%であることが好ましく、2.0〜30.0wt%であることが更に好ましい。成分(1)石英粉末の含有量が2.0wt%未満になると経時的な硬化性の低下を軽減する効果を発現しにくくなることがある。また、成分(1)石英粉末の含有量が65.0wt%を超えると硬化前のペーストが非常に硬質となり、窩洞や根管へ充填する際の操作性が悪くなるだけでなく、本発明の歯科用水硬性仮封材組成物をペースト状にできなくなることがある。
成分(2)水硬性無機粉末は水の存在下で反応・硬化する無機粉末であって、本発明の歯科用水硬性仮封材組成物に硬化性を与える成分である。
成分(2)水硬性無機粉末は水の存在下で反応・硬化する無機粉末であれば特に制限はなく、公知の無機粉末を用いることができる。
成分(2)水硬性無機粉末を具体的に例示すると、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、水硬性アルミナ、ポルトランドセメントなどが挙げられ、その中でも硫酸カルシウムを用いることが好ましい。硫酸カルシウムとしてはα型半水石膏、β型半水石膏などが挙げられる。また、これらは2種類以上を組合せて使用しても良い。
成分(2)水硬性無機粉末の粒子径に特に制限はないものの、50%粒子径が0.01〜100μmの範囲であることが好ましく、0.1〜50μmの範囲であれば更に好ましい。また、成分(2)水硬性無機粉末の形状に特に制限はなく、球状、針状、板状、破砕状、鱗片状などの任意の形状でものを用いることができる。
成分(2)水硬性無機粉末の含有量に特に制限はないものの、歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して20.0〜85.0wt%であることが好ましく、20.0〜75.0wt%であることが更に好ましい。成分(2)水硬性無機粉末の含有量が20.0wt%未満になると初期硬化性が低下することがある。また、成分(2)水硬性無機粉末の含有量が85.0wt%を超えると硬化前のペーストが非常に硬質となり、窩洞や根管へ充填する際の操作性が悪くなるだけでなく、本発明の歯科用水硬性仮封材組成物をペースト状にできなくなることがある。
成分(3)有機溶媒は本発明の歯科用水硬性仮封材組成物をペースト化させるための成分である。
成分(3)有機溶媒は常温で液体であり、成分(2)水硬性無機粉末と反応しないものであれば特に制限はなく、公知の有機溶剤を用いることができる。但し、保存安定性の観点から、揮発性の低い有機溶媒を用いることが好ましい。
成分(3)有機溶媒を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリンモノメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンモノステアラートなどの脂肪酸エステル、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン、ジエチルエーテルなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化アルキル、ジメチルポリシロキサン、ジビニルジメチルポリシロキサンなどのオルガノポリシロキサン、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられるが、グリセリン、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリンモノメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンモノステアラートなどのグリセリン、若しくはその誘導体を用いることが好ましい。また、これらは2種類以上を組合せて使用しても良い。
成分(3)有機溶媒の含有量に特に制限はないものの、歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して10.0〜25.0wt%であることが好ましく、10.0〜20.0wt%であることが更に好ましい。成分(3)有機溶媒の含有量が10.0wt%未満になると、硬化前のペーストが非常に硬質となり、窩洞や根管へ充填する際の操作性が悪くなるだけでなく、本発明の歯科用水硬性仮封材組成物をペースト状にできなくなることがある。また、成分(3)有機溶媒の含有量が25.0wt%を超えると、硬化前のペーストが柔くなってべたつきが増し、窩洞や根管へ充填する際の操作性が悪くなるだけでなく、初期硬化性が悪くなることがある。
成分(4)樹脂は本発明の歯科用水硬性仮封材組成物に可塑性を与え、ペーストの操作性を調整するための成分である。
成分(4)樹脂は成分(3)有機溶媒に可溶であれば特に制限はなく、公知の樹脂を用いることができる。
成分(4)樹脂を具体的に例示すると、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの単独重合体、及び共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられるが、酢酸ビニル、又は塩化ビニルの単独重合体、又はそれらの共重合体を用いることが好ましい。また、これらは2種類以上を組合せて使用しても良い。
成分(4)樹脂の含有量に特に制限はないものの、歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して3.0〜15.0wt%であることが好ましく、5.0〜10.0wt%であることが更に好ましい。成分(4)樹脂の含有量が3.0wt%未満になると、硬化前のペーストの可塑性が低下し、窩洞や根管へ充填する際の操作性が悪くなることがある。また、成分(4)樹脂の含有量が15.0wt%を超えると初期硬化性に悪影響を与えることがある。
更に、本発明の歯科用水硬性仮封材組成物は本発明の効果を阻害しない範囲において、顔料、染料、反応調整剤、充填材、賦形材、界面活性剤、抗菌剤、イオン放出剤などを添加することができる。
以下に本発明の実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(歯科用水硬性仮封材組成物の調製に用いた成分の詳細)
実施例、及び比較例の歯科用水硬性仮封材組成物の調製に用いた成分を表1に示した。
石英粉末1〜3、及びその他のフィラー2種について50%粒子径、及びX線回折パターンを測定した。50%粒子径の測定結果を表2に、X線回折パターンの測定結果を図1〜5に示した。尚、50%粒子径、及びX線回折パターンは以下の方法にて測定した。
(石英粉末1〜3、及びその他のフィラー2種の50%粒子径)
日機装社製マイクロトラックMT3300を用いて測定した。
(石英粉末1〜3、及びその他のフィラー2種のX線回折パターン)
Rigaku社製マルチフレックスを用いて測定した。測定結果を表1に示す。
(歯科用水硬性仮封材組成物の調製)
表1に示した配合に従い、各成分を計量し、混練機にて混練して各実施例、及び比較例の歯科用水硬性仮封材組成物を調製した。実施例、及び比較例に示す歯科用水硬性仮封材組成物の評価方法は次の通りである。
(歯科用水硬性仮封材組成物の初期硬化性)
実施例、及び比較例に示す歯科用水硬性仮封材組成物を内径15mm、高さ3mmの金属リングに満たし、試験片を作製した。これを37℃の恒温水槽に試験片の底面だけが水に接するように浸漬させ30分間静置後、恒温水槽から試験片を取り出して水分を除去した。試験片天面から重さ100gf、直径1mmのビカー針を静かに下ろし、試験片底面からの硬化層の厚みを測定した。
(歯科用水硬性仮封材組成物の加速試験後の硬化性)
実施例、及び比較例に示す歯科用水硬性仮封材組成物をプラスチック製容器に充填し、70℃の環境下に1ヶ月間静置することで加速試験を実施した。加速試験後の各歯科用水硬性仮封材について、初期硬化性と同様の方法にて硬化性を評価した。
(減衰率)
加速試験による硬化性の減衰率を式(1)により算出した。
(式1)
減衰率=100×(初期硬化性−加速試験後の硬化性)/(初期硬化性)
(歯科用水硬性仮封材組成物の硬さ)
実施例、及び比較例に示す歯科用水硬性仮封材組成物を金属製のインスツルメントを用いて、顎模型に形成された模擬窩洞に充填し、仮封処置のシミュレーションを行った。このとき、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していたものを「適」、やや硬かったものを「硬」、やや軟らかかったものを「軟」とした。
(実施例1〜7、及び比較例1〜3の評価結果)
表1に実施例1〜7、及び比較例1〜3に示す歯科用水硬性仮封材組成物の評価結果を示した。
実施例1では初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.6mm程度で、減衰率は40%未満であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
実施例2は実施例1における成分(1)石英粉末の種類を石英粉末2として調製した組成物である。
実施例2では実施例1と同様に初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.6mm程度で、減衰率は40%未満であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
実施例3は実施例1における成分(1)石英粉末の種類を石英粉末3として調製した組成物である。
実施例3では初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.5mm程度で、減衰率は50%未満であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
実施例4、及び5は実施例1における成分(1)石英粉末1の含有量を多くし、その他の成分の含有量を少なくして調製した組成物である。
実施例4では実施例1と同様に初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.6mm程度で、減衰率は40%未満であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
実施例5では初期から非常に高い硬化性を示し、加速試験による硬化性の低下もほとんど認められなかったものの、模擬窩洞への充填に際してはやや硬いことが認められた。
実施例6は実施例1における成分(2)水硬製無機粉末の含有量を多くし、成分(3)有機溶媒、及び成分(4)樹脂の含有量を少なくして調製した組成物である。
実施例6では初期から非常に高い硬化性を示し、加速試験による硬化性の低下もほとんど認められなかったものの、模擬窩洞への充填に際してはやや硬いことが認められた。
実施例7は実施例1における成分(2)水硬製無機粉末の含有量を少なくし、成分(3)有機溶媒、及び成分(4)樹脂の含有量を多くして調製した組成物である。
実施例7では初期硬化性が0.8mm程度、加速試験後の硬化性は0.5mm程度で、減衰率は40%未満であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
比較例1は実施例1における成分(1)石英粉末を含まない組成物である。
比較例1では初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.4mm程度で、減衰率は60%以上であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
比較例2は実施例1における成分(1)石英粉末を成分(5)その他のフィラー クリストバライト粉末に変更して調製した組成物である。
比較例3は実施例1における成分(1)石英粉末を成分(5)その他のフィラー 非晶質シリカ粉末に変更して調製した組成物である。
比較例2、及び3では初期硬化性が1mm程度、加速試験後の硬化性は0.4mm程度で、減衰率は60%以上であった。また、模擬窩洞に充填しやすい適度な硬さを有していた。
本発明によれば、初期硬化性に優れ、且つ、経時的な硬化性の低下を軽減できる歯科用水硬性仮封材組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 成分(1)石英粉末を含むことを特徴とする歯科用水硬性仮封材組成物。
  2. 前記成分(1)石英粉末の50%粒子径が3〜500μmの範囲内にある請求項1に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。
  3. 前記成分(1)石英粉末の含有量が歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して2.0〜65.0wt%の範囲内で含む請求項1、または2に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用水硬性仮封材組成物が
    成分(2)水硬性無機粉末、
    成分(3)有機溶媒、および
    成分(4)樹脂
    を含む歯科用水硬性仮封材組成物。
  5. 前記成分(2)〜(4)の含有量が歯科用水硬性仮封材組成物全体に対して
    成分(2)水硬性無機粉末 20.0〜85.0wt%、
    成分(3)有機溶媒 10.0〜25.0wt%、および
    成分(4)樹脂 3.0〜15.0wt%
    を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。
  6. 前記成分(2)水硬性無機粉末が硫酸カルシウムを含む請求項4、または5に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。
  7. 前記成分(3)有機溶媒がグリセリン、若しくはその誘導体を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。
  8. 前記成分(4)樹脂が酢酸ビニル、又は塩化ビニルの単独重合体、又はそれらの共重合体から選ばれる少なくとも一種を含む請求項4〜7のいずれか1項に記載の歯科用水硬性仮封材組成物。


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JPH0665020A (ja) * 1992-08-19 1994-03-08 Tokuyama Soda Co Ltd 歯科用仮封材組成物

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