図1および図2を参照して、起伏部材変形検出装置50(図2参照)を備えるクレーン1(図1参照)について説明する。
クレーン1は、図1に示すように、ブーム21(起伏部材D)を用いて作業を行う建設機械である。クレーン1は、クレーン本体10と、ブーム21と、ブームフットピン22(フットピン)と、ブームバックストップ23(バックストップ)と、ブーム起伏装置24と、を備える。また、クレーン1は、ジブ31(起伏部材D)などを備える。さらに詳しくは、クレーン1は、ジブ31と、ジブフットピン32(フットピン)と、ジブバックストップ33(バックストップ)と、ジブ起伏装置34と、を備える。図2に示すように、クレーン1は、操作部41と、駆動部43と、起伏部材変形検出装置50と、を備える。
クレーン本体10は、図1に示すように、クレーン1の本体部であり、下部走行体11と、上部旋回体13と、を備える。下部走行体11は、クレーン1を走行させる部分であり、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。上部旋回体13は、下部走行体11に対して旋回可能である。上部旋回体13は、クレーン1の前後方向Xのバランスをとるためのカウンタウエイト13aと、キャブ13cと、を備える。
(方向)
下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回の回転軸が延びる方向を、上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部走行体11から上部旋回体13に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。上部旋回体13の長手方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、カウンタウエイト13aが設けられる側を後側X2とし、その逆側を前側X1とする。上下方向Zおよび前後方向Xのそれぞれに直交する方向を横方向Y(左右方向)とする。以下の「左」および「右」は、前側X1を向いたときの「左」および「右」である。
ブーム21(起伏部材D)は、クレーン本体10に対して起伏可能であり、上部旋回体13に起伏可能に取り付けられる。ブーム21は、パイプが組み合わされたラチス構造を有するラチスブームでもよく、箱形構造でもよい。ブーム21がラチスブームである場合、ブーム21の長手方向(軸方向)から見たブーム21の断面は、四角形である。ブーム21の表面には、左右の側面21aと、背面21bと、腹面21cと、がある。側面21aは、横方向Yを向く面である。ブーム21が起こされた状態のときの、ブーム21の後側X2の面が背面21bであり、このときのブーム21の前側X1の面が腹面21cである。ブーム21が箱型構造の伸縮ブームの場合、ブーム21の長手方向(軸方向)から見たブーム21の断面は、四角形または略四角形である。この場合、例えば腹面21cの断面は略半円状などでもよい。以下では主に、ブーム21がラチスブームである場合について説明する。ブーム21を構成するパイプには、主柱21pと、縦材21qと、横材(図示なし)と、斜材21sと、がある。主柱21pは、ブーム21の四角形断面の4つの角の部分に配置され、ブーム21の長手方向に延びるパイプである。縦材21qは、側面21aを構成し、ブーム21の長手方向および横方向Yのそれぞれに直交する方向に延びる。図示しない横材は、背面21bおよび腹面21cを構成し、横方向Yに延びるパイプである。斜材21sは、ブーム21の表面を構成し、主柱21p、縦材21q、および横材のそれぞれに対して傾斜する方向に延びる。なお、ブーム21を構成する複数のパイプの一部にのみ符号を付した(ジブ31についても同様)。
ブームフットピン22(フットピン)は、上部旋回体13に対してブーム21を起伏(回転)可能に接続する。ブームフットピン22は、ブーム21の基端部と上部旋回体13とを接続する。ブームフットピン22は、左右に(2本)設けられ、ブーム21の基端部の左右部分(左側部分および右側部分)に取り付けられる。
ブームバックストップ23(バックストップ)は、ブーム21の回転を制限し、さらに詳しくは、上部旋回体13に対するブーム21の後側X2への回転を制限する。ブームバックストップ23の上側Z1端部は、ブーム21に接触可能でもよく、ブーム21に接続されてもよい。ブームバックストップ23の下側Z2端部は、上部旋回体13に接触可能でもよく、上部旋回体13に接続されてもよい。ブームバックストップ23の上側Z1および下側Z2の少なくともいずれかの端部は、この端部と隣り合う構造物(ブーム21または上部旋回体13)に接続される。ブームバックストップ23は、左右に(2本)設けられ、ブーム21の背面21bの左右部分に取り付けられる。ブームバックストップ23は、ばねにより伸縮可能でもよく、油圧により伸縮可能でもよく、ばねおよび油圧により伸縮可能でもよい(ジブバックストップ33も同様)。
ブーム起伏装置24は、上部旋回体13に対してブーム21を起伏させる。ブーム起伏装置24は、マスト25と、ブームガイライン26(ガイライン)と、上部スプレッダ27と、下部スプレッダ28と、ブーム起伏ロープ29と、を備える。
マスト25は、上部旋回体13に起伏可能に取り付けられ、ブーム21よりも後側X2に配置される。マスト25は、左右の(2本の)主柱と、左右の主柱どうしをつなぐ部材と、を備える。
ブームガイライン26(ガイライン)は、マスト25の先端部(上部旋回体13に取り付けられる側とは反対側)とブーム21の先端部とに接続される。ブームガイライン26は、リンク部材(ガイリンク)およびロープ(ガイロープ)の少なくともいずれかを有する部材である(後述するジブガイライン36およびストラットガイライン37も同様)。ブームガイライン26は、左右に(2本)設けられ、ブーム21およびマスト25のそれぞれの左右部分に取り付けられる。
上部スプレッダ27は、複数のシーブを有する装置であり、マスト25の先端部に配置される。下部スプレッダ28は、複数のシーブを有する装置であり、上部旋回体13の後側X2端部に配置される。ブーム起伏ロープ29は、下部スプレッダ28および上部スプレッダ27に掛けられる。ブーム起伏ロープ29が、図示しないウインチにより巻き取りおよび繰り出しされる。すると、下部スプレッダ28と上部スプレッダ27との間隔が変わる。すると、マスト25は、上部旋回体13に対して起伏する。マスト25とブーム21とがブームガイライン26で接続されているので、上部旋回体13に対してマスト25が起伏すると、上部旋回体13に対してブーム21が起伏する。
ジブ31(起伏部材D)は、ブーム21に起伏可能に取り付けられる。ジブ31は、ブーム21を介して、クレーン本体10に対して起伏可能である。ジブ31は、ラチス構造を有するラチスジブでもよく、箱形構造を有してもよい。ブーム21と同様に、ジブ31の表面には、左右の側面31aと、背面31bと、腹面31cと、がある。以下では主に、ジブ31がラチスジブである場合について説明する。ブーム21と同様に、ジブ31を構成するパイプには、主柱31pと、縦材31qと、横材(図示なし)と、斜材31sと、がある。
ジブフットピン32(フットピン)は、ブーム21に対してジブ31を回転可能に接続する。ジブフットピン32は、ジブ31の基端部とブーム21の先端部とを接続する。ジブフットピン32は、左右に(2本)設けられ、ジブ31の基端部の左右部分に取り付けられる。
ジブバックストップ33(バックストップ)は、ジブ31の回転を制限し、さらに詳しくは、ブーム21に対するジブ31の後側X2への回転を制限する。ジブバックストップ33の長手方向の一端は、ジブ31に接続されてもよく、ジブ31に接触可能でもよい。ジブバックストップ33の長手方向の他端(ジブ31に接続される側とは反対側の端)は、ブーム21の先端部に接触可能でもよく、ブーム21の先端部に接続されてもよい。ジブバックストップ33の一端および他端の少なくともいずれかの端部は、この端部と隣り合う構造物(ジブ31またはブーム21)に接続される。ジブバックストップ33は、左右に(2本)設けられ、ジブ31の背面31bの左右部分に取り付けられる。
ジブ起伏装置34は、ブーム21に対してジブ31を起伏させる。ジブ起伏装置34は、ストラット35と、ジブガイライン36(ガイライン)と、ストラットガイライン37(ガイライン)と、ジブ起伏ロープ39と、を備える。ストラット35は、ブーム21の先端部に対して起伏可能であり、ジブ31よりも後側X2に配置される。ストラット35は、1本のみ設けられてもよく、2本以上設けられてもよい。例えば、ストラット35は、フロントストラット35fと、リアストラット35rと、を備える。フロントストラット35fは、ブーム21の先端部に起伏可能に取り付けられてもよく、ジブ31の基端部に起伏可能に取り付けられてもよい。フロントストラット35fは、ラチス構造を有してもよく、箱形構造を有してもよい(リアストラット35rも同様)。フロントストラット35fの先端部には、複数のシーブが設けられる(リアストラット35rも同様)。リアストラット35rは、ブーム21の先端部に起伏可能に取り付けられる。リアストラット35rは、フロントストラット35fよりも、下側Z2および後側X2の少なくともいずれかの側に配置される。
ジブガイライン36(ガイライン)は、フロントストラット35fの先端部とジブ31の先端部とに接続される。ジブガイライン36は、左右に(2本)設けられ、ジブ31およびフロントストラット35fのそれぞれの左右部分に取り付けられる。
ストラットガイライン37(ガイライン)は、リアストラット35rの先端部とブーム21とに接続される。ストラットガイライン37は、左右に(2本)設けられ、リアストラット35rおよびブーム21のそれぞれの左右部分に取り付けられる。
ジブ起伏ロープ39は、フロントストラット35fおよびリアストラット35rのそれぞれの先端部のシーブに掛けられる。ジブ起伏ロープ39が、図示しないウインチにより巻き取りおよび繰り出しされる。すると、リアストラット35rの先端部とフロントストラット35fの先端部との間隔が変わる。すると、フロントストラット35fが、ブーム21に対して起伏する。フロントストラット35fとジブ31とがジブガイライン36で接続されているので、ブーム21に対してフロントストラット35fが起伏すると、ブーム21に対してジブ31が起伏する。
操作部41(図2参照)は、クレーン1を操作する部分である。操作部41は、キャブ13c内に配置されてもよく、クレーン1の外部に配置されてもよい。駆動部43(図2参照)は、クレーン1を駆動する部分である。具体的には、駆動部43は、油圧回路であり、例えば、油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、およびコントロールバルブなどを備える(それぞれ図示なし)。
起伏部材変形検出装置50(図2参照)は、起伏部材Dの変形の検出などを行う装置である。起伏部材Dは、ブーム21およびジブ31の少なくともいずれかである。図2に示すように、起伏部材変形検出装置50は、検出部60と、作動制限部71と、警告部73と、コントローラ80と、を備える。以下では、図1に示すクレーン1の構成要素のうち、操作部41、駆動部43、および起伏部材変形検出装置50については図2を参照して説明する。操作部41、駆動部43、および起伏部材変形検出装置50以外の構成要素については、図1を参照して説明する。
(起伏部材Dの変形)
起伏部材Dには、横方向Yのたわみが生じる場合がある。また、起伏部材Dには、起伏部材Dの中心軸(長手方向に延びる中心軸)を中心とするねじれが生じる場合がある。以下では、これらの、たわみおよびねじれを、起伏部材Dの「横方向Yの変形」ともいう。起伏部材Dに横方向Yの変形が生じる原因には、例えば、横方向Yからの風、地盤の傾斜、上部旋回体13の旋回(加減速)などがある。例えば、クレーン1の操作者の操作の経験不足により、上部旋回体13の旋回が急加速や急加速し、起伏部材Dの横方向Yの変形が大きく生じる場合がある。起伏部材Dの横方向Yの変形により、起伏部材Dから吊り下げられた吊荷が、操作者の意図しない位置に移動する(流れる)場合がある。特に、ブーム21にジブ31が取り付けられている場合は、ブーム21にジブ31が取り付けられていない場合に比べ、ブーム21の横方向Yの変形が大きくなる。
検出部60(図2参照)は、起伏部材Dの横方向Yの変形を検出する。さらに詳しくは、検出部60は、起伏部材Dの横方向Yのたわみ、および起伏部材Dのねじれ、の少なくともいずれかを検出する。検出部60は、起伏部材Dの横方向Yの変形を、直接的に検出してもよく、間接的に検出してもよい。検出部60は、起伏部材Dに設けられてもよく、起伏部材Dに接続される左右の部材に設けられてもよい。図2に示すように、検出部60は、張力検出部61と、バックストップ荷重検出部63と、フットピン荷重検出部65と、表面荷重検出部67と、クラック検出部69と、を備える。
張力検出部61は、左右のガイライン(例えばブームガイライン26など)のそれぞれの張力を検出する。従来のクレーンは、通常、吊荷の荷重を検出するために、ガイラインの張力を検出するセンサを備えている。そのため、従来のクレーンの左右のガイラインにセンサが設けられている場合は、このセンサを張力検出部61として利用できる。また、従来のクレーンの左右のガイラインの一方にのみセンサが設けられている場合は、他方のガイラインにセンサを設けることで、これらの左右のセンサを張力検出部61として利用できる。張力検出部61は、ブームガイライン張力検出部61bと、ストラットガイライン張力検出部61sと、ジブガイライン張力検出部61jと、を備える。
ブームガイライン張力検出部61bは、左右のブームガイライン26のそれぞれの張力を検出する。[例A1]例えば、ブームガイライン張力検出部61bは、ブームガイライン26の長手方向の端部に作用する荷重を検出する、ロードセル(例えばひずみゲージなど)である。[例A2]例えば、ブームガイライン張力検出部61bは、ブームガイライン26の内部に埋め込まれた光ファイバの屈折率や透過率の変化を検出することで、ブームガイライン26の張力を検出するものなどでもよい。上記[例A1]および[例A2]については、ストラットガイライン張力検出部61sについても同様である(ただし、ブームガイライン26を、ストラットガイライン37に読み替える)。また、上記[例A1]および[例A2]については、ジブガイライン張力検出部61jについても同様である(ただし、ブームガイライン26を、ジブガイライン36に読み替える)。
このブームガイライン張力検出部61bは、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。具体的には、ブーム21が横方向Yに(例えば右側に)たわんだ場合、たわんでいる側(右側)のブームガイライン26の張力が、他方側(左側)のブームガイライン26の張力に比べて、小さくなる。よって、左右のブームガイライン張力検出部61bの検出値の差から(左右のブームガイライン26の張力差から)、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。一方、ブーム21のねじれが生じた場合、左右のブームガイライン張力検出部61bの検出値の差が小さいため、ブームガイライン張力検出部61bでブーム21のねじれを検出することは困難または不可能である。
ストラットガイライン張力検出部61sは、左右のストラットガイライン37のそれぞれの張力を検出する。ブームガイライン張力検出部61bと同様に、ストラットガイライン張力検出部61sは、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。さらに詳しくは、左右のストラットガイライン張力検出部61sの検出値の差から(左右のストラットガイライン37の張力差から)、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。
ジブガイライン張力検出部61jは、左右のジブガイライン36のそれぞれの張力を検出する。ブームガイライン張力検出部61bがブーム21の横方向Yのたわみを検出できるのと同様に、ジブガイライン張力検出部61jは、ジブ31の横方向Yのたわみを検出できる。具体的には、左右のジブガイライン張力検出部61jの検出値の差から(左右のジブガイライン36の張力差から)、ジブ31の横方向Yのたわみを検出できる。一方、ジブガイライン張力検出部61jでジブ31のねじれを検出することは困難または不可能である。
バックストップ荷重検出部63は、左右のバックストップ(例えばブームバックストップ23など)のそれぞれに作用する力の大きさを検出する。バックストップ荷重検出部63は、ブームバックストップ荷重検出部63bと、ジブバックストップ荷重検出部63jと、を備える。
ブームバックストップ荷重検出部63bは、ブームバックストップ23に作用する力(ブームバックストップ23の長手方向の力)の大きさを、左右のブームバックストップ23のそれぞれで検出する。[例B1]ブームバックストップ23のストローク(伸縮量)と、ブームバックストップ23に作用する力とは、比例する。この場合、ブームバックストップ荷重検出部63bは、ブームバックストップ23のストローク(伸縮量)を検出することで、ブームバックストップ23に作用する力を検出する。[例B2]例えば、ブームバックストップ23が油圧式の場合、ブームバックストップ23内に作用する油圧を検出することで、ブームバックストップ23に作用する力を検出してもよい。上記[例B1]および[例B2]については、ジブバックストップ荷重検出部63jについても同様である(ただし、ブームバックストップ23をジブバックストップ33に読み替える)。
このブームバックストップ荷重検出部63bは、ブーム21のねじれを検出できる。具体的には、ブーム21の長手方向の先端側から基端側に見たとき、一方側回り(例えば右回り)にブーム21がねじれるとする。この場合、一方側(右側)のブームバックストップ23に作用する力が、他方側(左側)のブームバックストップ23に作用する力に比べて、大きくなる。よって、左右のブームバックストップ荷重検出部63bの検出値の差から(左右のブームバックストップ23に作用する力の差から)、ブーム21のねじれを検出できる。一方、ブーム21に横方向Yのたわみが生じた場合、左右のブームバックストップ荷重検出部63bの検出値の差が小さいため、ブームバックストップ荷重検出部63bで、ブーム21の横方向Yのたわみを検出することは困難または不可能である。
ジブバックストップ荷重検出部63jは、ジブバックストップ33に作用する力(ジブバックストップ33の長手方向の力)の大きさを、左右のジブバックストップ33のそれぞれで検出する。ブームバックストップ荷重検出部63bがブーム21のねじれを検出できるのと同様に、ジブバックストップ荷重検出部63jは、ジブ31のねじれを検出できる。具体的には、左右のジブバックストップ荷重検出部63jの検出値の差から(左右のジブバックストップ33に作用する力の差から)、ジブ31のねじれを検出できる。一方、左右のジブバックストップ荷重検出部63jでジブ31の横方向Yのたわみを検出することは困難または不可能である。
フットピン荷重検出部65は、左右のフットピン(例えばブームフットピン22など)のそれぞれに作用する力の大きさを検出する。フットピン荷重検出部65は、ブームフットピン荷重検出部65bと、ジブフットピン荷重検出部65jと、を備える。
ブームフットピン荷重検出部65bは、ブームフットピン22に作用する力の大きさを、左右のブームフットピン22のそれぞれで検出する。[例C]例えば、ブームフットピン荷重検出部65bは、中空のブームフットピン22の内部に取り付けたセンサ(ひずみゲージなど)などである。この[例C]については、ジブフットピン荷重検出部65jについても同様である(ただし、ブームフットピン22をジブフットピン32に読み替える)。
ブームフットピン荷重検出部65bは、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。具体的には、ブーム21が横方向Yに(例えば右側に)たわんだ場合、たわんでいる側(右側)のブームフットピン22に作用する力が、他方側(左側)のブームフットピン22に作用する力に比べて、大きくなる。よって、左右のブームフットピン荷重検出部65bの検出値の差から(左右のブームフットピン22に作用する力の差から)、ブーム21のたわみを検出できる。ブームフットピン荷重検出部65bによる検出は、ブームガイライン張力検出部61bなどによる検出よりも、ブーム21が横方向Yにたわんだときのブーム21の圧縮力を直接的に検出できるので、たわみ検出の精度が高い。一方、ブーム21のねじれが生じた場合、左右のブームフットピン荷重検出部65bの検出値の差が小さいため、左右のブームフットピン荷重検出部65bでブーム21のねじれを検出することは困難または不可能である。
ジブフットピン荷重検出部65jは、ジブフットピン32に作用する力の大きさを、左右のジブフットピン32のそれぞれで検出する。ブームフットピン荷重検出部65bがブーム21の横方向Yのたわみを検出できるのと同様に、ジブフットピン荷重検出部65jは、ジブ31の横方向Yのたわみを検出できる。一方、ジブフットピン荷重検出部65jでジブ31の横方向Yのねじれを検出することは困難または不可能である。
表面荷重検出部67は、起伏部材Dの表面に作用する力の大きさを検出する。表面荷重検出部67は、ブーム表面荷重検出部67bと、ジブ表面荷重検出部67jと、を備える。
ブーム表面荷重検出部67bは、ブーム21の表面に作用する力の大きさを検出する。[例D1]例えば、ブーム表面荷重検出部67bは、ブーム21の表面(側面21a、背面21b、および腹面21cの少なくともいずれか)に取り付けられた、ひずみゲージなどである。ブーム表面荷重検出部67bは、例えばブーム21を構成するパイプ(主柱21p、縦材21q、横材(図示なし)、および斜材21sの少なくともいずれか)に取り付けられる。この[例D1]については、ジブ表面荷重検出部67jについても同様である(ただし、ブーム21をジブ31に読み替え、ブーム21の構成要素(主柱21pなど)をジブ31の構成要素(主柱31pなど)に読み替える)。
ブーム表面荷重検出部67bは、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。具体的には、ブーム21が横方向Y(例えば右側)にたわんだ場合、たわんでいる側(右側)の側面21aの圧縮力が、他方側(左側)の側面21aの圧縮力に比べて、大きくなる。さらに詳しくは、たわんでいる側(右側)の側面21aの主柱21pの圧縮力が、他方側(左側)の側面21aの主柱21pの圧縮力に比べて、大きくなる。また、たわんでいる側(右側)の側面21aの斜材21sの圧縮力が、他方側(左側)の側面21aの斜材21sの圧縮力に比べて大きくなる。そこで、ブーム表面荷重検出部67bが、左右の側面21aの互いに対応する部分(例えば互いに左右対称となる位置など)に設けられる。そして、左右のブーム表面荷重検出部67bの検出値の差から、ブーム21の横方向Yのたわみを検出できる。
このブーム表面荷重検出部67bは、ブーム21のねじれを検出できてもよい。具体的には、ブーム21の長手方向の先端側から基端側に見たとき、一方側回り(例えば右回り)にブーム21がねじれた場合、ブーム21が横方向Y一方側(右側)に若干たわむ。そこで、ブーム21の横方向Yのたわみを検出することで、ブーム21のねじれを検出できる。
このブーム表面荷重検出部67bは、次のように用いられてもよい。[例D2]ブーム21の横方向Yのたわみやねじれが生じたときに、ブーム21の表面やパイプにどのような力がかかるかの情報を、解析や実験により取得する。そして、ブーム21の横方向Yのたわみやねじれが生じたときに力がかかると想定される部位に、ブーム表面荷重検出部67bが配置される。[例D2a]例えば、ブーム21の横方向Yのたわみが生じたときに、一対のブーム表面荷重検出部67bの検出値に差が出ると想定される部位に、ブーム表面荷重検出部67bが配置される。[例D2b]また、例えば、ブーム21のねじれが生じたときに、一対のブーム表面荷重検出部67bの検出値に差が出ると想定される部位に、ブーム表面荷重検出部67bが配置されてもよい。[例D2c]また、例えば、ブーム21の横方向Yのたわみが生じたときと、ねじれが生じたときとで、ブーム表面荷重検出部67bの検出値が相違すると想定される部位に、ブーム表面荷重検出部67bが配置されてもよい。この場合は、ブーム21に横方向Yのたわみが生じているか、ねじれが生じているかを判別できる。[例D2d]一対のブーム表面荷重検出部67bは、例えば左右の側面21aに設けられてもよく、例えば背面21bと腹面21cとに設けられてもよい。また、ブーム表面荷重検出部67bは、2つ(一対)設けられてもよく、3つ以上設けられてもよい。この[例D2]については、ジブ表面荷重検出部67jについても同様である(ただし、ブーム21をジブ31に読み替える)。
ジブ表面荷重検出部67jは、ジブ31の表面に作用する力の大きさを検出する。ブーム表面荷重検出部67bと同様に、ジブ表面荷重検出部67jは、ジブ31の横方向Yのたわみを検出でき、ジブ31のねじれを検出できてもよい。
クラック検出部69は、起伏部材Dのクラック(ひび)を検出することで、起伏部材Dの横方向Yの変形を検出する。クラック検出部69は、ブーム21のクラックを検出するブームクラック検出部69bと、ジブ31のクラックを検出するジブクラック検出部69jと、を備える。
ブームクラック検出部69bは、次のように配置(取り付け)される。ブーム21の横方向Yのたわみやねじれによりクラックが生じ得ると想定される位置の情報が、解析や実験により取得される。[例E1]そして、クラック検出部69は、ブーム21の横方向Yのたわみによるクラックが生じ得ると想定される位置に取り付けられてもよい。[例E2]また、ブームクラック検出部69bは、ブーム21のねじれによるクラックが生じ得ると想定される位置に取り付けられてもよい。[例E3]また、ブーム21の横方向Yのたわみによってクラックが生じ得ると想定され、かつ、ブーム21のねじれによるクラックが生じ得ないと想定される位置に、ブームクラック検出部69bが取り付けられてもよい。ブーム21の横方向Yのたわみによってクラックが生じ得ないと想定され、かつ、ブーム21のねじれによるクラックが生じ得ると想定される位置に、ブームクラック検出部69bが取り付けられてもよい。これらの場合、横方向Yのたわみによりブーム21にクラックが発生したか、ねじれによりブーム21にクラックが発生したかを判別できる。上記の[例E1]〜[例E3]については、ジブクラック検出部69jについても同様である(ただしブーム21をジブ31に読み替える)。
作動制限部71は、クレーン1の作動を制限する。作動制限部71は、例えば、駆動部43の油圧アクチュエータの作動を制限する。作動制限部71は、例えば、操作部41による操作の指令を制限することで、駆動部43による駆動を制限する(具体例は後述)。
警告部73は、クレーン1の操作者に警告を出力する。警告部73は、操作部41の近傍に配置され、例えばキャブ13c内に配置される。警告部73は、コントローラ80の出力(指令)に基づいて作動する(具体例は後述)。
コントローラ80は、信号の入出力、演算(判定を含む)、および記憶などを行う。コントローラ80は、情報を記憶する記憶部80mを備える。
(作動)
起伏部材変形検出装置50は、以下のように作動するように構成される。検出部60は、ブーム21の、横方向Yのたわみ、および、ねじれ、の少なくともいずれかを検出する(詳細は上記の通り)。そして、コントローラ80は、検出部60の検出値を判定する。この判定に基づいて、コントローラ80は、クレーン1の作動を制限する制限制御と、クレーン1の操作者に警告を発する警告制御と、の少なくともいずれかの制御を行う。コントローラ80の作動の詳細は次の通りである。
コントローラ80は、一対の(例えば左右の)検出部60の検出値の差が、差に関する閾値tを超えたか否かを判定する。閾値tは、コントローラ80に設定された値であり、例えば起伏部材Dの横方向Yの変形の許容範囲に基づいて設定される。
[例F1]例えば、コントローラ80は、左右の張力検出部61(例えばブームガイライン張力検出部61b)の検出値の差を算出し、この差が閾値t1を超えたか否かを判定する。この例では、閾値t1は、起伏部材D(例えばブーム21)の横方向Yのたわみの許容範囲に基づいて設定される。この差が閾値t1を超えた場合、起伏部材Dが、例えば許容範囲を超えてたわんでいると判定できる。[例F2]例えば、コントローラ80は、左右のバックストップ荷重検出部63(例えばブームバックストップ荷重検出部63b)の検出値の差を算出し、この差が閾値t2を超えたか否かを判定する。この例では、閾値t2は、起伏部材D(例えばブーム21)のねじれの許容範囲に基づいて設定される。この差が閾値t2を超えた場合、起伏部材Dが、例えば許容範囲を超えてねじれていると判定できる。上記[例F1]については、起伏部材Dの横方向Yのたわみを検出可能な他の検出部60(例えば表面荷重検出部67など)についても同様である(クラック検出部69を除く)。上記[例F2]については、起伏部材Dのねじれを検出可能な他の検出部60についても同様である(クラック検出部69を除く)。
コントローラ80は、起伏部材Dに生じている大きな変形(例えば許容範囲を超えるような変形)(「起伏部材Dの大きな変形」ともいう)が、たわみであるか、ねじれであるかを判別できてもよい。例えば、起伏部材Dの横方向Yのたわみを検出可能な一対の検出部60の検出値の差が閾値t1を超え、起伏部材Dのねじれを検出可能な一対の検出部60の検出値の差が閾値t2を超えない場合、起伏部材Dの大きな変形が、横方向Yのたわみであると判定できる。また、起伏部材Dの横方向Yのたわみを検出可能な一対の検出部60の検出値の差が閾値t1を超えず、起伏部材Dのねじれを検出可能な一対の検出部60の検出値の差が閾値t2を超える場合は、起伏部材Dの大きな変形が、ねじれであると判定できる。
コントローラ80は、一対の検出部60の検出値の差が、閾値tを超えた場合、制限制御および警告制御の少なくともいずれかを行う。また、コントローラ80は、クラック検出部69がクラックを検出した場合、制限制御および警告制御の少なくともいずれかを行う。
制限制御は、クレーン1の作動を制限する制御である。具体的には、制限制御では、コントローラ80は、駆動部43の作動を、作動制限部71に制限させる。コントローラ80は、クレーン1の様々な種類の作動を制限してもよい。具体的には、コントローラ80は、上部旋回体13の旋回を制限してもよく、吊荷の巻上げや巻下げを制限してもよく、ブーム21やジブ31の起伏を制限してもよく、下部走行体11の走行を制限してもよい。コントローラ80は、クレーン1の各種作動の作動速度を様々に制限してもよい。具体的には、コントローラ80は、作動速度を減速させてもよく、作動を停止させてもよく、作動速度を所定速度以下に制限してもよく、作動速度を現在の速度以下に制限してもよい。コントローラ80は、作動の種類(旋回、走行など)ごとに、作動速度の制限の仕方(減速、停止など)を変えてもよい。
制限制御では、コントローラ80は、条件に応じて、制限の内容(作動の種類、作動速度)を変えてもよい。具体的には例えば、コントローラ80は、起伏部材Dで生じた大きい変形が、ねじれであるか、たわみであるか、に応じて制限の内容を変えてもよい。コントローラ80は、起伏部材Dで生じた変形の大きさ(一対の検出部60の検出値の差)に応じて、制限の内容を変えてもよい。コントローラ80は、クラック検出部69でクラックが検出されたか否かに応じて、制限の内容を変えてもよい。例えば、クラック検出部69以外の一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた場合よりも、クラック検出部69でクラックが検出された場合に、より厳しく作動が制限されてもよく、例えば作動がより低速になるように作動が制限されてもよい。
警告制御は、クレーン1の操作者に警告を発する制御である。具体的には、警告制御では、コントローラ80は、警告部73に警告させる。警告部73が発する警告は、例えば、音、光、またはこれらの組み合わせなどである。コントローラ80は、条件に応じて、警告の内容を変えてもよい(制限制御と同様)。コントローラ80は、制限制御と警告制御の両方を行ってもよく、いずれか一方のみを行ってもよい。
コントローラ80は、一対の(例えば左右の)検出部60の検出値の差が閾値tを超えた回数を計数する。この回数は、記憶部80mに記憶される。この回数は、例えば起伏部材Dが新品の状態から計数されてもよく、何らかのタイミング(例えば起伏部材Dの点検が行われたタイミングなど)から計数されてもよい。コントローラ80は、単位時間(例えば1日、1か月など)当たりの、上記の回数(頻度)を算出してもよい。
コントローラ80は、計数した回数が、回数に関する閾値uを超えた場合に、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行う。計数した回数が閾値uを超えた場合の制限制御および警告制御は、一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた場合の制限制御や警告制御の内容と異ならせてもよい。計数した回数が閾値uを超えた場合の制限制御および警告制御は、一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた場合の制限制御や警告制御よりも、厳しい(例えばより減速させる、例えばより強い警告を発するなど)ものとしてもよい。例えば、コントローラ80は、計数した回数に応じて、制限や警告の内容を変えてもよい。コントローラ80は、計数した回数に関する条件に応じて、制限や警告の内容を変えてもよい。例えば、コントローラ80は、起伏部材Dの横方向Yのたわみに関する回数が閾値u1を超えた場合と、起伏部材Dのねじれに関する回数が閾値u2を超えた場合と、で制限や警告の内容を変えてもよい。
コントローラ80は、クラック検出部69がクラックを検出した回数を計数してもよい。クラック検出部69がクラックを検出した回数が、この回数に関する閾値vを超えた場合に、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行ってもよい。
上記の各閾値(閾値tなど)の少なくともいずれかは、段階的に設定されてもよい。具体的には例えば、閾値tの値の80%の値の閾値、90%の値の閾値、および100%の値の閾値のそれぞれが、閾値として設定されてもよい。そして、コントローラ80は、値(検出値の差や回数)が、段階的に設定した閾値を超えたときに、警告や作動の制限を段階的に行ってもよい。この場合、操作者は、値(検出値の差や回数)が上記「100%の値の閾値」を超えるよりも前に(早い段階で)、起伏部材Dの状況を把握できる。また、閾値tの値の80%の値や90%の値など、100%の値に近い値を閾値として設定すれば、例えば起伏部材Dが酷使されていることなどを作業者が把握できる。
(効果)
図1に示すクレーン1に設けられる、図2に示す起伏部材変形検出装置50による効果は次の通りである。上記の通り、操作部41、駆動部43、および起伏部材変形検出装置50については図2を参照して説明し、それ以外のクレーン1の構成要素については、図1を参照して説明する。
(第1の発明の効果)
クレーン1は、クレーン本体10と、クレーン本体10に対して起伏可能である起伏部材Dと、を備える。起伏部材変形検出装置50は、検出部60と、コントローラ80と、を備える。
[構成1]検出部60は、起伏部材Dの横方向Yのたわみ、および起伏部材Dのねじれ、の少なくともいずれかの変形を検出する。コントローラ80は、クレーン1の作動を制限する制限制御、および、クレーン1の操作者に警告を発する警告制御、の少なくともいずれかの制御を、検出部60の検出値に基づいて行う。
起伏部材変形検出装置50は、上記[構成1]を備える。よって、横方向Yのたわみ、および起伏部材Dのねじれ、の少なくともいずれかの変形(横方向Yの変形)が起伏部材Dに生じた場合に、クレーン1の作動の制限、および操作者への警告、の少なくともいずれかが、検出部60の検出値に基づいて行われる。クレーン1の作動が制限される場合は、起伏部材Dの横方向Yの変形を抑制できる。また、操作者への警告が行われる場合は、起伏部材Dの横方向Yの変形を抑制可能な操作をするように、操作者に促すことができる。その結果、起伏部材Dの横方向Yの変形を抑制できる。よって、起伏部材Dの横方向Yの変形による、起伏部材Dの破損、および破損の進行(拡大)を抑制できる。
(第2の発明の効果)
[構成2]検出部60は、起伏部材Dに接続される左右の部材、および起伏部材Dの、少なくともいずれかに一対に設けられる。コントローラ80は、一対の検出部60の検出値の差が、差に関する閾値tを超えた場合に、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行う。
起伏部材Dに横方向Yの変形が生じた場合、起伏部材Dに接続される左右の部材に作用する力に差異が生じる場合がある。また、起伏部材Dの横方向Yの変形が生じた場合、起伏部材Dの2か所に生じる力に差異が生じる場合がある。そこで、上記[構成2]では、起伏部材Dに接続される左右の部材、および起伏部材Dの、少なくともいずれかに一対に検出部60が設けられ、一対の検出部60の検出値の差が算出される。そして、この差に基づいて、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行うか否かが判定される。よって、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行うか否かを、起伏部材Dの横方向Yの変形の大きさに基づいて判定できる。
(第3の発明の効果)
[構成3]起伏部材Dに接続される左右の部材は、リンク部材およびロープの少なくともいずれかを有するガイライン(例えばブームガイライン26)である。検出部60は、ガイラインの張力を検出する張力検出部61を備える。
起伏部材Dが横方向Yにたわむと、左右のガイライン(例えばブームガイライン26)の張力に差が生じる。そこで、上記[構成3]では、左右のガイラインの張力が検出される。そして、左右のガイラインの張力の差が算出される(上記[構成2])。よって、起伏部材Dの横方向Yのたわみの大きさを確実に検出できる。
(第4の発明の効果)
[構成4]起伏部材Dに接続される左右の部材は、起伏部材Dの回転を制限するバックストップ(例えばブームバックストップ23など)である。検出部60は、バックストップに作用する力の大きさを検出するバックストップ荷重検出部63を備える。
起伏部材Dがねじれると、左右のバックストップ(例えばブームバックストップ23など)に作用する力の大きさに差が生じる。そこで、上記[構成4]では、左右のバックストップに作用する力の大きさが検出される。そして、左右のバックストップに作用する力の大きさの差が算出される(上記[構成2])。よって、起伏部材Dのねじれの大きさを確実に検出できる。
(第5の発明の効果)
[構成5]起伏部材Dに接続される左右の部材は、起伏部材Dの基端部に接続されるフットピン(例えばブームフットピン22)である。検出部60は、フットピンに作用する力の大きさを検出するフットピン荷重検出部65を備える。
起伏部材Dが横方向Yにたわむと、左右のフットピン(例えばブームフットピン22)に作用する力の大きさに差が生じる。そこで、上記[構成5]では、左右のフットピンに作用する力の大きさが検出される。そして、左右のフットピンに作用する力の大きさの差が算出される(上記[構成2])。よって、起伏部材Dの横方向Yのたわみの大きさを確実に検出できる。また、上記[構成5]では、フットピンに作用する力を検出するので、例えばガイライン(例えばブームガイライン26など)の張力を検出する場合に比べ、ブーム21の横方向Yのたわみを、より直接的に、精度良く検出できる。
(第6の発明の効果)
[構成6]検出部60は、起伏部材Dの表面に作用する力の大きさを検出する表面荷重検出部67を備える。
上記[構成6]により、起伏部材Dの表面に作用する力の大きさに基づいて、起伏部材Dの横方向Yの変形が検出される。よって、例えばガイライン(例えばブームガイライン26など)の張力を検出する場合のように起伏部材Dの横方向Yの変形を間接的に検出する場合に比べ、起伏部材Dの横方向Yの変形を、より直接的に、精度良く検出できる。
(第7の発明の効果)
[構成7]コントローラ80は、一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた回数を計数する。
上記[構成7]により、一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた回数を、様々に利用できる。
(第8の発明の効果)
[構成8]コントローラ80は、計数した回数が、回数に関する閾値uを超えた場合に、制限制御および警告制御の少なくともいずれかの制御を行う。
上記[構成8]により、クレーン1の作動の制限、および操作者への警告、の少なくともいずれかを、一対の検出部60の検出値の差が閾値tを超えた回数に基づいて行える。よって、起伏部材Dの横方向Yの変形による、起伏部材Dの破損や破損の進行(拡大)を抑制できる。
(第9の発明の効果)
[構成9]検出部60は、起伏部材Dの横方向Yのたわみ、および、起伏部材Dのねじれ、の少なくともいずれかによる起伏部材Dのクラックが生じると想定される位置に取り付けられるクラック検出部69を備える。
上記[構成9]により、クラック検出部69によりクラックが検出された場合に、クレーン1の作動の制限、および操作者への警告、の少なくともいずれかを行える。よって、起伏部材Dの横方向Yの変形による、起伏部材Dの破損や破損の進行(拡大)を抑制できる。
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、図2に示す回路の接続は変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の構成要素として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
例えば、図1に示すマスト25に代えて、クレーン1の作業時に上部旋回体13に対して起伏しないガントリが設けられてもよい。また、マスト25とブーム21との間に、マスト25とは異なるマスト(第2マスト)が設けられてもよい。また、ジブ31、ジブバックストップ33、およびジブ起伏装置34は、設けられなくてもよい。上記の検出部60の一部のみが設けられてもよい。
例えば、変形の検出対象である起伏部材Dは、ストラット35でもよい。起伏部材Dは、フロントストラット35fおよびリアストラット35rの少なくともいずれかでもよい。リアストラット35rにバックストップ(リアストラットバックストップ38)が取り付けられてもよく、フロントストラット35fにバックストップが取り付けられてもよい。また、例えば、変形の検出対象である起伏部材Dは、マスト25でもよい。マスト25は、箱型構造を有してもよく、ラチス構造を有してもよい。マスト25にバックストップが取り付けられてもよい。なお、ストラット35およびマスト25の少なくともいずれかにバックストップが設けられる場合、バックストップは、ブームバックストップ23と同様に、ばねにより伸縮可能でもよく、油圧により伸縮可能でもよく、ばねおよび油圧により伸縮可能でもよい。
ブームガイライン26は、中間部(下側Z2端部と上側Z1端部との間の部分)で分岐してもよい(ジブガイライン36も同様)。この場合、ブームガイライン26の分岐部分(上記「中間部」とブーム21とにつながれる部分)の張力を、検出部60(図2参照)が検出してもよい(ジブガイライン36の分岐部分の張力も同様)。