JP2020157663A - 水圧転写フィルムおよびそれを用いた水圧転写体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精細であり、かつその絵柄に追従した十分な高さの凸部を有する印刷面を構造体表面に転写することができる水圧転写フィルムを提供する。【解決手段】水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材上に、少なくとも印刷層を有し、該印刷層中に非水溶性領域と水溶性もしくは水膨潤性領域が存在する水圧転写フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、水圧転写フィルムおよびそれを用いた水圧転写体の製造方法に関する。
立体面や曲面を有する構造体に文字や絵柄を印刷する加飾方法として、水圧転写方法が知られている。水圧転写方法とは、水溶性もしくは水膨潤性フィルムを基材とし、その片面に印刷を施して得た水圧転写フィルムを、印刷面を上にして水面に浮かべ、その上方から被転写物である構造体を押しつけることにより、水圧を利用して印刷面を構造体表面に転写する方法である。
近年、印刷面が構造体表面に転写された水圧転写体に、立体意匠性が求められており、グラビア印刷により印刷層を設けた後、エンボス加工により凹凸を付与する水圧転写フィルム(例えば、特許文献1参照)や、スクリーン印刷もしくはグラビア印刷により水溶性の凹凸層を設けた後、その上にロールコート法で印刷層を形成した水圧転写フィルム(例えば、特許文献2参照)などが開示されている。
特開2017−136852号公報 特開2005−238674号公報
加飾分野では、万線模様、杢目模様、砂目模様、石目模様、布目模様、梨地模様、皮シボ模様、マット面模様、ヘアライン模様、幾何学模様などの絵柄において、より本物に近い質感の表現や高級感を出すために、高精細化(網点・細線の狭幅化)や、さらにその絵柄に追従した凹凸の付与が求められている。
従来のスクリーン印刷用インキやグラビア印刷用インキでは、インキ粘度が低く流動性が高いため、滲み広がり易く、原理的に高精細化が困難であった。一方、平版印刷用インキはインキ粘度が比較的高いため、高精細化は容易だが、十分な高さの凸部を形成するには不十分であった。
本発明は、高精細であり、かつその絵柄に追従した十分な高さの凸部を有する印刷面を構造体表面に転写することができる水圧転写フィルムを提供することを目的とする。
本発明の水圧転写フィルムは、以下の構成を有する。水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材上に、少なくとも印刷層を有し、該印刷層中の非水溶性領域と水溶性もしくは水膨潤性領域とが隣接するように配置された水圧転写フィルムである。
本発明によれば、高精細であり、かつその絵柄に追従した十分な高さの凸部を有する印刷面を構造体表面に転写することができる水圧転写フィルムを得ることが出来る。
本発明の水圧転写フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の水圧転写フィルムを用いて得られる水圧転写体の構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明において、水膨潤性とは、膨潤率が5質量%を超える性質を指す。水膨潤性の判断方法は、試料1gを20℃の水1000gに対し60分間浸漬し、その前後での質量変化を観測することで可能である。当該質量変化が5質量%を超える場合、その試料は水膨潤性であるとする。
(水圧転写フィルム)
以下、本発明の水圧転写フィルムを図面に基づいて説明する。
図1(A)に示すように、本発明の水圧転写フィルム1は、水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材2の上方に、水溶性もしくは水膨潤性領域3と非水溶性領域4を含む印刷層を少なくとも有している。また、図1(B)に示すように、さらに水溶性もしくは水膨潤性領域3と非水溶性領域4の上に非水溶性領域(図1(B)では非水溶性領域5)を任意で設けても良い。ここで、任意で設けられる非水溶性領域は、非水溶性領域4と同一であっても良く、また、一層に限らず必要に応じて多層にしても良い。図2に示すように、水圧転写フィルム1を構造体6に転写して得られる水圧転写体7では、この非水溶性領域4が凸部となる。本発明において、水溶性もしくは水膨潤性領域3と非水溶性領域4、さらに任意で設けられる非水溶性領域(図1(B)における非水溶性領域5)とを合わせて印刷層と称する。
水溶性もしくは水膨潤性領域3が存在することで、非水溶性領域4が印刷直後あるいは経時で濡れ広がることを抑制できる。そのため、非水溶性領域4で形成される凸部の最小幅4Wをより小さくすることができ、最大高さ4Hをより高く維持することができる。凸部の最小幅4Wは、25μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。25μm以下であれば、万線模様、杢目模様、砂目模様、石目模様、布目模様、梨地模様、皮シボ模様、マット面模様、ヘアライン模様などにおいて、本物に近い高精細な加飾模様を再現できる。また、凸部の最大高さ4Hは3.0μm以上が好ましく、より好ましくは3.5μm以上である。3.0μm以上であれば、水圧転写体にしたときに2.0μm以上の凸部を転写することができ、本物に近い質感・手触り感を表現することができる。非水溶性領域4で形成される凸部は、任意の1つの5mm四方において少なくとも1箇所存在すれば良い。
(水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材)
本発明に用いることができるフィルム基材は、水溶性もしくは水膨潤性を有する。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、レゾール型フェノール樹脂、メチロール化ユリア(尿素)樹脂およびメチロール化メラミン樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含有するフィルム基材が挙げられる。これらの中でも、インキの転移性が良好なことから、ポリビニルアルコールを含有するフィルム基材が特に好ましい。また、水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材表面に、後述する水溶性もしくは水膨潤性樹脂を含む水溶性もしくは水膨潤性の層を設けてもよい。
(水溶性もしくは水膨潤性領域)
水溶性もしくは水膨潤性領域は、本発明に係る水圧転写フィルムにおいて、印刷直後あるいは経時で非水溶性領域が濡れ広がることを抑制する壁の役割を有し、また水圧転写する際には除去されるものである。
水溶性もしくは水膨潤性領域としては、水圧転写フィルムの耐傷性や、非水溶性領域の濡れ広がりを抑制する壁の役割を有利にする点で、水圧転写フィルム中では硬化物、もしくは半硬化物(高粘度物)であることが好ましい。一方で、水圧転写時には、20〜40℃の水に対して、速やかに溶解もしくは膨潤し、除去されるものが好ましい。このような水溶性もしくは水膨潤性領域を形成する水溶性もしくは水膨潤性領域組成物には、少なくとも水溶性もしくは水膨潤性樹脂が含まれており、さらに架橋構造を含んでも良い。
水溶性もしくは水膨潤性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、水溶性ウレタン樹脂、親水性アクリル樹脂、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、デンプン、タンパク質、セルロース誘導体、キチン・キトサン誘導体などが挙げられるが、この限りでは無い。硬化性と水に対する溶解・膨潤性を両立しやすい点で、親水性アクリル樹脂が好ましい。親水性アクリル樹脂の酸価は90以上が好ましく、100以上がより好ましく、150以上がさらに好ましい。酸価が90以上であれば、水に対する溶解・膨潤性に優れるため、水圧転写体への水溶性もしくは水膨潤性領域の残渣が少なくなり、図2に示すような、水圧転写体の凸部の最大高さ4Htを高く維持できる。また、親水性アクリル樹脂の酸価は、中和滴定による化学製品の酸価試験方法(JIS 0070−1992準拠)により求めることができ、樹脂1g中に含有する樹脂酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)で表される。
水溶性もしくは水膨潤性領域の形成は、水溶性もしくは水膨潤性領域組成物を平版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、ロールコート、バーコート、スリットダイコート、ギャップアプリケーターなどの既知の印刷・コーティング方法で基材に転写することで実施される。非水溶性領域の形成と同時に実施できる点で、平版印刷で形成することが好ましい。水溶性もしくは水膨潤性領域組成物の硬化方法は、特に限定されないが、自然乾燥・加熱乾燥による固化、紫外線照射による硬化などが好ましく用いられる。
(非水溶性領域)
非水溶性領域は、本発明に係る水圧転写フィルムにおいて、図1(A)に示す最小幅4Wはより小さく、かつ、最大高さ4Hはより高くすることが好ましく、また水圧転写する際に構造体(被転写物)に転写され、立体意匠性を付与するものである。
非水溶性領域としては、20℃の水に対して5質量%以下の膨潤率であり、かつ、硬化性に優れることが好ましい。非水溶性領域がこのような性質を有することで、耐擦過性が優れた水圧転写体を得ることができるため、好ましい。このような非水溶性領域を形成する非水溶性領域組成物として、例えば平版印刷用インキを好ましく用いることができる。インキの種類は、酸化重合型の油性インキ、紫外線硬化型のUVインキのいずれも用いることができるが、硬化速度の点でUVインキがより好ましい。
非水溶性領域組成物が油性インキである場合、水圧転写体になった後の耐擦過性の点で、アルキド樹脂、フェノール樹脂を含むものが好ましく、さらにそれらの樹脂がロジン変性されていることが好ましい。
非水溶性領域組成物がUVインキである場合、水圧転写体になった後の耐擦過性の点で、親油性アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂を含むものが好ましい。さらに炭素数10〜20のアルキル鎖を持つアクリルモノマーを含有することが好ましい。そのようなアクリルモノマーは疎水性であり、水圧転写体を製造するときに水と接触しても、耐水性が高い。したがってインキが膨潤することを抑制できるため、図2に示す、水圧転写体の凸部の最小幅4Wtを小さくし、最大高さ4Htを高く維持でき、高い立体意匠性が得られる。
炭素数10〜20のアルキル鎖を持つアクリルモノマーの具体例としては、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレートなどが挙げられるが、この限りではない。耐水性の向上効果と、他のインキ組成物との相溶性の点で、ラウリルアクリレートが特に好ましい。
炭素数10〜20のアルキル鎖を持つアクリルモノマーは、非水溶性領域中に1.0質量%以上含まれていることが好ましく、3.0質量%以上含まれていることがより好ましい。1.0質量%以上であれば、水圧転写体を製造するときに水と接触しても非水溶性領域の膨潤を抑制でき、高い立体意匠性が得られる。一方で、炭素数10〜20のアルキル鎖を持つアクリルモノマーは、10.0質量%以下含まれていることが好ましく、8.0質量%以下含まれていることがより好ましい。10.0質量%以下であれば、非水溶性領域の硬化を阻害し、耐擦過性を著しく低下させることがない。
非水溶性領域は平版印刷で形成することができ、水なし平版印刷を用いることがより好ましい。水なし平版印刷は湿し水を使用しないため、非水溶性領域組成物に湿し水が混ざることがなく、非水溶性領域組成物の粘度低下など、品質低下を招く恐れがない。非水溶性領域組成物の硬化方法は、特に限定されないが、自然乾燥・加熱乾燥による固化、紫外線照射による硬化などが好ましく用いられる。
(活性剤もしくは定着剤)
活性剤もしくは定着剤は、水圧転写体の製造に用いられる市販品を使用することができる。水圧転写フィルムの非水溶性領域を荒らすことができ、かつ被転写物である構造体の表面を溶解させる機能を有するものが好ましい。また、構造体の表面に非水溶性領域を転写させるまで蒸発しないような性状を有することが好ましい。このような活性剤もしくは定着剤としては、例えばエステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、および樹脂を含む組成物が好ましく挙げられる。
(水圧転写フィルムの製造方法)
本発明の実施の形態に係る水圧転写フィルムは、平版印刷機によって製造される。印刷機は枚葉機、輪転機のどちらでも良く、平版印刷版を装着できれば特に限定されないが、平版印刷版が直接水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材と接することがなく、基材を傷つける可能性が低くなるため、ブランケットを使用するオフセット印刷機が好ましい。
一般に平版印刷で用いられる湿し水は、水溶性もしくは水膨潤性領域や、水溶性もしくは水膨潤性フィルムを膨潤させ、性能低下を引き起こす可能性があるため、水なし平版印刷が好ましい。
本発明に好ましく用いられる水なし平版印刷方法は、例えば、以下のような方法である。少なくとも感熱層とシリコーンゴム層とを有する水なし平版印刷版にて、画線部に対応する部分のシリコーンゴム層を除去する。水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物が供給されたインキローラーを、その水なし平版印刷版の表面に接触させ、水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物を画線部では付着させ、非画線部では反発させる。その後、画像様に水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物が付着した水なし平版印刷版を、直接被転写基材と接触させる、あるいは、一度ブランケットに接触させた後、ブランケットを被転写基材と接触させることで、画像様の水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物を被転写基材に転写させる。
本発明では、被転写基材が水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材であることで、水圧転写フィルムが得られる。
水溶性もしくは水膨潤性領域組成物は、非水溶性領域組成物より先に基材に転写されることが好ましく、非水溶性領域組成物が基材に転写される前に、硬化もしくは半硬化させることがより好ましい。硬化物もしくは半硬化物の水溶性もしくは水膨潤性領域に、隣接するよう非水溶性領域組成物を転写することで、水溶性もしくは水膨潤性領域の壁の役割がより有効に働く。
本発明では、図1に示す水圧転写フィルムの凸部の最大高さ4Hを高くするために、画像様にインキが付着した水なし平版印刷版あるいはブランケットを、フィルム基材の同じ箇所に2回以上接触させることで、同じ画像を2回以上重ねて転写させることができる。
(水圧転写体の製造方法)
上記の水圧転写フィルムを用いて、公知の水圧転写法により図2に示されるような水圧転写体を製造することができる。例えば、本発明の水圧転写フィルムを、20〜40℃の水を張った水槽に印刷面を上にして浮かべ、印刷面側に被転写物である構造体と接着させるための活性剤あるいは定着剤を塗布する。その後、上方から水圧転写フィルムに構造体を押しつけることにより、水圧を利用して印刷面を構造体表面に転写することができる。
水圧転写体の凸部の最小幅4Wtは、35μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。35μm以下であれば、万線模様、杢目模様、砂目模様、石目模様、布目模様、梨地模様、皮シボ模様、マット面模様、ヘアライン模様などにおいて、本物に近い高精細な加飾模様を再現できる。また、凸部の最大高さ4Htは2.0μm以上が好ましく、2.5μm以上がより好ましく、3.0μm以上がさらに好ましい。2.0μm以上であれば、本物に近い質感・手触り感を表現することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
(1)非水溶性領域組成物の調製
非水溶性領域を形成するための非水溶性領域組成物(インキ)は、以下の方法により調製した。
[油性インキ]
樹脂(A)45質量部、重合アマニ油7号30質量部、および石油系炭化水素溶剤“ダイヤレン168”(三菱化成(株)製)25質量部を混合溶解してワニス1を得た。これらのワニス1を用いて、次の配合割合で3本ロールにより混練してインキとした。
(a)ワニス1:70質量部
(b)カーボンブラック“MOGUL E”(CABOT製):20質量部
(c)石油系炭化水素溶剤“ダイヤレン168”(三菱化成(株)製):9質量部
(e)ドライヤー(ハリマ化成(株)製、6%ナフテン酸マンガン溶液):1質量部
ここで、樹脂(A)は以下のものを使用した。
(A−1) ポリアミド樹脂“ニューマイド850”(ハリマ化成(株)製)
(A−2) アルキド樹脂“アラキード3145−80”(荒川化学工業(株)製)
(A−3) フェノール樹脂“YDPN−638”(新日鉄住金化学(株)製)
(A−4) ロジン変性アルキド樹脂“アルキディアDE−1339−X”(DIC(株)製)
(A−5) ロジン変性フェノール樹脂“タマノル350”(荒川化学工業(株)製)。
樹脂A−1〜A−5を用いて作製したインキを、それぞれ油性インキ−1〜油性インキ−5とした。
[UVインキ]
樹脂(B)30質量部、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート70質量部、ハイドロキノン0.1質量部を混合溶解してワニス2を得た。これらのワニス2を用いて、次の配合割合で3本ロールにより混練してインキとした。
(a)ワニス2:40質量部
(b)プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート:30質量部
(c)カーボンブラック“MOGUL E”(CABOT製):20質量部
(d)4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:5質量部
(e)ベンゾフェノン:5質量部
ここで、樹脂(B)は以下のものを使用した。
(B−1) 親油性アクリル樹脂“ビームセット700”(荒川化学工業(株)製
(B−2) ジアリルフタレート樹脂“ダイソーダップ”((株)大阪ソーダ製)
樹脂B−1およびB−2を用いて作製したインキを、それぞれUVインキ−1およびUVインキ−2とした。
(UVインキ−3) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてイソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)が0.5質量%の含有量になるよう添加・混練したもの
(UVインキ−4) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてイソステアリルアクリレートが1.0質量%の含有量になるよう添加・混練したもの
(UVインキ−5) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてイソステアリルアクリレートが3.0質量%の含有量になるよう添加・混練したもの
(UVインキ−6) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてイソステアリルアクリレートが8.0質量%の含有量になるよう添加・混練したもの
(UVインキ−7) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてイソステアリルアクリレートが10.0質量%の含有量になるよう添加・混練したもの
(UVインキ−8) UVインキ−2に対し、3本ローラーを用いてラウリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)が8.0質量%の含有量になるよう添加・混練したもの。
(2)水溶性もしくは水膨潤性組成物の調製
水溶性もしくは水膨潤性領域を形成するための水溶性もしくは水膨潤性組成物は、以下の方法により調製した。
樹脂(C)25質量部、ペンタエリスリトールEO変性テトラアクリレート“MiramerM4004”70質量部、ベンゾフェノン5質量部を混合溶解して、水溶性もしくは水膨潤性組成物を得た。
ここで、樹脂(C)は以下のものを使用した。
(C−1) 水性ウレタン樹脂“ユリアーノKL−593”(荒川化学工業(株)製)
(C−2) 親水性アクリル樹脂“VS−1028”(星光PMC(株)製、酸価80)
(C−3) 親水性アクリル樹脂“TS−1315”(星光PMC(株)製、酸価105)
(C−4) 親水性アクリル樹脂“RS−1190”(星光PMC(株)製、酸価150)。
樹脂C−1〜C−4を用いて作製した水溶性もしくは水膨潤性組成物を、それぞれ水溶性もしくは水膨潤性組成物−1〜水溶性もしくは水膨潤性組成物−4とした。
(3)水なし平版印刷版原版の製造 水なし平版印刷版原版を以下の方法で作製した。厚み0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に下記の有機層組成物溶液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、厚み10.0μmの有機層を設けた。なお、有機層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<有機層組成物溶液>
(a)エポキシ樹脂:“エピコート”(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):35質量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20質量%):375質量部
(c)アルミキレートALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):10質量部
(d) “ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10質量%):1質量部
(e) “タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50質量%):60質量部
(f)N,N−ジメチルホルムアミド:730質量部
(g)メチルエチルケトン:250質量部。
次いで、感熱層組成物溶液を上記有機層上に塗布し、140℃で90秒間加熱乾燥し、厚み1.5μmの感熱層を設けた。なお、感熱層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<感熱層組成物溶液>
(a)赤外線吸収染料(シアニン色素):NK5559(株式会社林原製、最大吸収波長:774nm):16.0質量部
(b)有機錯化合物:チタニウム−n−ブトキシドビス(アセチルアセトネート):“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、濃度:73質量%、溶剤としてn−ブタノール:27質量%を含む):15.0質量部
(c)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR53195(住友ベークライト(株)製):60質量部
(d)ポリウレタン:“ニッポラン”(登録商標)5196(日本ポリウレタン(株)製、濃度:30質量%、溶剤としてメチルエチルケトン:35質量%、シクロヘキサノン:35質量%を含む):25質量部
(e)テトラヒドロフラン:1044質量部。
次いで、塗布直前に調製したシリコーンゴム層組成物溶液を上記感熱層上に塗布し、140℃で90秒間加熱し、平均膜厚5.0μmのシリコーンゴム層を設けることで水なし平版印刷版原版を得た。なお、シリコーンゴム層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
<シリコーンゴム層組成物溶液>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:DMS−V52(重量平均分子量15,500、GELEST Inc.製):51.28質量部
(b)α,ω−両末端シラノールポリジメチルシロキサン:TF13(重量平均分子量400,000、東レ・ダウコーニング(株)製):34.19質量部
(c)メチルハイドロジェンシロキサンHMS−151(分子量:1950、GELEST Inc.製):5.98質量部
(d)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:2.57質量部
(e)白金触媒SRX212(東レ・ダウコーニング(株)製):5.98質量部
(f)“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):900質量部。
(4)水なし平版印刷版の製造
上記(3)の水なし平版印刷版原版に対し、CTP用露光機“PlateRite”8900N−E((株)SCREEN製)を用いて、照射エネルギー:125mJ/cm(ドラム回転数:210rpm)の条件で露光を行った。縦550mm×横650mmの平版印刷版原版の中央に、縦100mm×線幅20μmの細線を、幅方向に20μm間隔でライン&スペース状に2500本設けた。印刷版は水溶性もしくは水膨潤性領域用と非水溶性領域用を用意し、水圧転写フィルムを製造するときに細線箇所が交互になるように、水溶性もしくは水膨潤性領域用と非水溶性領域用とでは、細線位置を幅方向に20μmずらして露光している。露光した原版を自動現像機TWL−1160F(東レ(株)製)に速度40cm/分で通し、DP−1(東レ(株)製)で版面を前処理した後に、水道水をシャワーしながら回転ブラシで版面を擦ることで水なし平版印刷版を製造した。
(5)グラビアシリンダーの製造
銅メッキを施したシリンダーに対し、グラビアシリンダー用電子彫刻機Vision3(OHIO社製)を用いて、線幅300、200、100、50、20μmの5本の細線を彫刻した。細線を100倍のルーペで観察し、断線せず再現している最小線幅は200μmであることを確認した後、改めて縦100mm×線幅200μmの細線を、幅方向に200μm間隔でライン&スペース状に250本設けた。その後、表面の強度を出すためにクロムメッキすることでグラビアシリンダーを製造した。グラビアシリンダーは水溶性もしくは水膨潤性領域用と非水溶性領域用を用意し、水圧転写フィルムを製造するときに細線箇所が交互になるように、水溶性もしくは水膨潤性領域用と非水溶性領域用とでは、細線位置を幅方向に200μmずらして彫刻している。
(6)水圧転写フィルムの製造
枚葉印刷機“オリバー266EPZ”(桜井グラフィックシステムズ(株)製、2色機)の排紙部に速度可変式コンベアを内蔵した紫外線照射装置を連結し、所定のブランケットをブランケット胴に備え付けた印刷試験機を準備した。その印刷試験機の版胴に、上記(4)で製造した水なし平版印刷版を装着し、所定の油性およびUVインキを用いて、5000sphの速度で印刷試験を行った。なお、油性インキは12時間の自然乾燥で硬化させ、UVインキを用いるときのみ、出力120W/cmのメタルハライドランプを使用し、焦点距離150mm、流れ方向のランプハウスの幅100mmの条件で紫外線照射により硬化した。
インキローラーにより水なし平版印刷版に水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物を供給し、水なし平版印刷版とブランケットとを接触させ、水なし平版印刷版からブランケットに水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物を転写した。続いてブランケット上の水溶性もしくは水膨潤性領域組成物、あるいは非水溶性領域組成物を印刷方向に500mm(幅630mm、厚み0.1mm)の長さを有するポリビニルアルコール(PVA)“エバール”EF−XL(クラレ製)に転写するオフセット印刷を行い、水圧転写フィルムを製造した。
水溶性もしくは水膨潤性領域組成物は、非水溶性領域組成物よりも先に基材に転写し、上記紫外線照射装置で紫外線照射を行い硬化させた。
(7)水圧転写体の製造
上記(6)の水圧転写フィルムを、約35℃の水を張った水槽に印刷面を上にして浮かべ、印刷面側に市販の定着剤を塗布した。その後、上方から水圧転写フィルムに200×200×0.5mmのPETフィルムを押しつけることにより、水圧を利用して印刷面をPETフィルムに転写した。
(8)凸部の最小幅と最大高さの測定
上記(6)の水圧転写フィルムの凸部の最小幅4Wと最大高さ4H、上記(7)の水圧転写体の凸部の最小幅4Wtと最大高さ4Htは、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)観察により、加速電圧:3.0kV、倍率:5,000倍の条件で測定した。水圧転写フィルムもしくは水圧転写体の切片を樹脂包埋後、クロスセクションポリッシャ法(CP法)により断面を作製し、FE−SEM観察を行った。測定はそれぞれ10箇所で行い、その平均値を4W、4H、4Wtおよび4Htとした。
(9)水圧転写体の耐擦過性試験
上記(7)の水圧転写体表面の耐擦過性を、摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製)を用いて、染色堅牢度試験方法(JIS L−0849:2013準拠)で評価した。摩擦子の先端に摩擦用白綿布を取り付け、9Nの荷重で水圧転写体の表面100mmの間を10秒間に平均10回往復摩擦した。
反射分光光度計“SpectroEye”(X−rite(株)製)を用いて、カラーフィルター:ブラックの条件で、試験前の水圧転写体表面と試験後の白綿布の反射濃度を測定し、([試験後の白綿布の反射濃度]/[試験前の水圧転写体表面の反射濃度])×100(%)の値が、2.0%以下であれば実用上問題無く、1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
[実施例1ないし16]
上記(1)の非水溶性領域組成物、上記(2)の水溶性もしくは水膨潤性領域組成物を用いて、上記(6)の方法で水圧転写フィルムを製造し、上記(7)の方法で水圧転写フィルムを製造した。
上記(8)の方法で、水圧転写フィルムの凸部の最小幅4Wと最大高さ4H、水圧転写体の凸部の最小幅4Wtと最大高さ4Htを測定し、上記(9)の方法で、水圧転写体の耐擦過性を評価した。その結果を表1にまとめた。
[比較例1]
上記(5)で製造したグラビアシリンダーをFB型グラビア印刷機(富士機械工業株式会社製)に取り付け、油性インキ“エコカラー HG”(東洋インキ株式会社製)を用いて、ポリビニルアルコール(PVA)“エバール”EF−XL(クラレ製)に対し、転写回数1回で連続印刷を行い、水圧転写フィルムを製造した。水圧転写体の製造と各種評価は実施例1―16と同様であり、その結果を表1にまとめた。
[比較例2]
水溶性もしくは水膨潤性領域組成物を転写しないこと以外は、実施例1と同様に水圧転写フィルムを製造した。水圧転写体の製造と各種評価は実施例1ないし16と同様であり、その結果を表1にまとめた。
Figure 2020157663
1 水圧転写フィルム
2 水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材
3 水溶性もしくは水膨潤性領域
4 非水溶性領域
4W 水圧転写フィルムの凸部の最小幅
4H 水圧転写フィルムの凸部の最大高さ
4Wt 水圧転写体の凸部の最小幅
4Ht 水圧転写体の凸部の最大高さ
5 非水溶性領域
6 構造体(被転写物)
7 水圧転写体

Claims (12)

  1. 水溶性もしくは水膨潤性フィルム基材上に、少なくとも印刷層を有し、該印刷層中に非水溶性領域と水溶性もしくは水膨潤性領域が存在する水圧転写フィルム。
  2. 前記非水溶性領域が、アルキド樹脂を含有する請求項1に記載の水圧転写フィルム。
  3. 前記非水溶性領域が、フェノール樹脂を含有する請求項1または2のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  4. 前記アルキド樹脂もしくはフェノール樹脂が、ロジン変性されている請求項2または3のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  5. 前記非水溶性領域が、親油性アクリル樹脂を含有する請求項1に記載の水圧転写フィルム。
  6. 前記非水溶性領域が、ジアリルフタレート樹脂を含有する請求項1に記載の水圧転写フィルム。
  7. 前記非水溶性領域が、さらに炭素数10〜20のアルキル鎖を持つアクリルモノマーを含有する請求項5または6のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  8. 前記非水溶性領域中に、前記アクリルモノマーを1.0質量%以上10.0質量%以下含有する請求項7に記載の水圧転写フィルム。
  9. 前記アクリルモノマーがラウリルアクリレートである請求項7または8に記載の水圧転写フィルム。
  10. 前記印刷層中の水溶性もしくは水膨潤性領域が、親水性アクリル樹脂を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の水圧転写フィルム。
  11. 前記親水性アクリル樹脂の酸価が90以上である請求項10に記載の水圧転写フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の水圧転写フィルムを、前記印刷層面を上方にして水面に浮かべ、被転写体を前記印刷層面に押しつけ沈めることで、非水溶性領域を転写する水圧転写体の製造方法。
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