JP2020157617A - 建材用エレメント及び建材並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表皮部分の特殊な処理を必要としない接着加工性の高い竹材由来の建材用エレメント及びそれを用いた建材を提供する。【解決手段】竹稈の稈壁の薄片10を含み、薄片10は、平面視において、稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ稈壁の繊維112Xの方向に沿って延在する形状である建材用エレメント及び薄片10を集積し圧縮成形した建材。【選択図】図3

Description

本発明は、竹稈の稈壁の薄片を含む建材用エレメントに関する。
本発明はまた、前記建材用エレメントを集積し圧縮形成した建材に関する。
本発明はまた、前記建材用エレメントの製造方法に関する。
本発明はまた、前記建材の製造方法に関する。
竹材のチップを用いて板材等の建材を製造する技術が従来から知られている。
例えば特許文献1には、竹材チップを主原料とする竹材チップを接着剤を介してボード状に成形すると共に、該ボードにアスファルトを含浸させたことを特徴とする竹製ボードが記載されている。特許文献2には、竹材チップを主原料とするチップを接着剤を介してボード状に成形すると共に、該ボードにアスファルトを含浸させた面材間に、芯材を一体にサンドイッチし、該芯材は合成樹脂系もしくは無機系の1種以上の断熱材から形成したことを特徴とする竹製複合ボードが記載されている。
一方、竹材の表皮表面は、細胞組織的に平滑で、油脂分や抽出成分等に薄く覆われ、液体を弾く疎水性を示し、接着加工性が極めて悪いという問題がある。この問題を解決するために、特許文献3では、竹材を油抜き処理した後、その表皮に紫外線を照射紫外線量100J/cm以上照射することを特徴とする竹材表皮の改質処理法が記載されている。
特開平10−113914号公報 特開平10−115026号公報 特開平6−262605号公報
石丸優、古田裕三、杉山真樹編、「木質科学講座3、木材の物理」、第176〜181頁、海青社発行
竹材のチップを用いて板材等の建材を製造する場合、竹材の表皮部分の接着加工性が低いという問題がある。一方で、特許文献3に記載のように、竹材の表面を改質する方法は、特殊な装置や薬品を必要とするため実用化は容易ではない。また、表皮を切削して取り除いた竹材を利用すれば接着加工性の問題は無いが、表皮の除去に手間がかかることに加え、竹材の表皮の特有の美観を活かすことができないという問題がある。
そこで本発明は、表皮部分の特殊な処理を必要としない接着加工性の高い竹材由来の建材用エレメント及びそれを用いた建材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を完成するに至った。
本発明は第一に、竹稈の稈壁の薄片を含む建材用エレメントであって、
前記薄片は、平面視において、前記稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状であることを特徴とする建材用エレメントに関する。
この建材用エレメントに含まれる薄片は、竹稈の稈壁の表皮部分を、長手方向に沿う一方の辺上のみに含み、表面の大部分は稈壁の断面であるため、表皮部分の接着加工性の低さの影響が小さく、特殊な処理を施さなくとも、接着加工が容易であり好ましい。また、竹の表皮や繊維に特有の外観を呈するため、建材に加工したときの意匠性が高い。
前記薄片は好ましくは、厚さが0.7mm以下であることが好ましい。
本発明は第二に、集積し圧縮成形された前記建材用エレメントを含む建材に関する。
この建材は、強度的に優れていることに加えて、竹の表皮や繊維に特有の外観を呈するため意匠性が高い。
前記建材は、好ましくは、前記建材用エレメントが、前記繊維の方向が所定の方向に向くように配向されている。この実施形態に係る前記建材は、繊維の配向方向の強度が特に高いため好ましい。
前記建材は、好ましくは、木質板材を更に含み、前記木質板材の少なくとも一方の面の側に、集積し圧縮成形された前記建材用エレメントが積層されているものである。この実施形態に係る前記建材は、木質板材単体と比較して強度が高く、且つ、竹の表皮や繊維に特有の外観を呈するため意匠性が高い。
本発明は第三に、
竹稈の稈壁の薄片を含む建材用エレメントの製造方法であって、
前記稈壁を、前記稈壁の外周面及び内周面と交差し且つ前記稈壁の繊維の方向に沿う面に沿って切削して薄片を形成することを含む方法に関する。
この方法によれば、特殊な処理を必要とせずに、接着剤による接着性が良好な建材用エレメントを容易に製造することができる。
本発明は第四に、
建材の製造方法であって、
平面視において竹稈の稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状を有する竹稈の稈壁の薄片を、接着剤とともに集積してマットを作製すること、及び、
前記マットを圧縮成形すること
を含む方法に関する。
この方法によれば、強度及び意匠性が良好な建材を容易に製造することができる。
前記方法では、好ましくは、前記マットの作製において、前記薄片を、前記繊維の方向が所定の方向に向くように集積することを含む。この実施形態によれば、繊維の配向方向の強度が特に高い建材を容易に製造することができる。
本発明は第五に、
建材の製造方法であって、
木質板材の少なくとも一方の面の側に、平面視において竹稈の稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状を有する竹稈の稈壁の薄片を、接着剤とともに集積してマットを作製し、前記木質板材と、前記マットとの積層体を形成すること、及び、
前記積層体を圧縮して、前記マットを圧縮成形するとともに前記木質板材と一体化すること
を含む方法に関する。
この方法によれば、木質板材単体と比較して強度及び意匠性が向上した建材を容易に製造することができる。
前記方法では、好ましくは、前記積層体の形成において、木質板材の少なくとも一方の面の側に、前記薄片を、前記繊維の方向が所定の方向に向くように集積してマットを作製することを含む。この実施形態によれば、繊維の配向方向の強度が特に高い建材を容易に製造することができる。
本発明の建材用エレメントの1以上の実施形態は、表皮部分の特殊な処理を行わなくとも接着加工性が高い。
本発明の建材の1以上の実施形態は、強度及び意匠性が良好である。
本発明の建材用エレメントの製造方法の1以上の実施形態は、接着加工性が高い建材用エレメントを容易に製造することができる。
本発明の建材の製造方法の1以上の実施形態は、強度及び意匠性が良好な建材を容易に製造することができる。
図1は、竹の竹稈(ちくかん)の構造を説明するための模式図である。 図2は、竹稈の稈壁から切り出した稈壁材から、刃を用いて薄片を製造する方法を説明するための模式図である。 図3は、竹稈の稈壁の薄片の模式図である。 図4は、竹稈の稈壁の薄片を繊維の方向を特定の方向に配向させずに集積し圧縮成形して作製される板材の平面視での外観を示す。 図5は、竹稈の稈壁の薄片を繊維の方向を特定の方向に配向させて集積し圧縮成形して作製される板材の平面視での外観を示す。 図6は、実験1において、接着剤を塗布した薄片を集積させて作製した、圧縮成形する前のマットの写真である。 図7(A)は、実験1で竹稈の稈壁の薄片から製造した板材の平面視での写真である。図7(B)は、実験1で竹稈の稈壁の薄片から製造した、設計密度0.6g/cmの板材と設計密度0.8g/cmの板材の各板材の断面の写真である。 図8は、実験1で竹稈の稈壁の薄片から製造した、設計密度0.6g/cmの板材、設計密度0.8g/cmの板材及び市販の配向性ストランドボード(OSB)の厚さ方向での密度分布を示す。 図9(A)は従来のパーティクルボード91の断面の模式図である。図9(B)は、パーティクルボード91の両面に竹薄片層92を積層した複合板材90の断面の模式図である。 図10(A)は、比較例1の稈壁の薄片の模式図である。図10(B)は、比較例2の稈壁の薄片の模式図である。
<竹材の構造>
図1に竹の竹稈(ちくかん)の構造を説明するための模式図を示す。
竹稈100は中空円筒の構造を有しており、中空部101の周囲を取り囲む部分が稈壁110である。竹稈100の軸方向の異なる複数の位置に節120が配置されている。
稈壁110は、外周面110Aの表皮(皮膚部)111、内周面110Bの髄層113、並びに、表皮(皮膚部)111と髄層113との間の中心柱112からなる。表皮111は、表皮細胞及び表皮下細胞により構成される。中心柱112は、柔細胞から構成される基本組織と、道管細胞及び師管細胞から構成される維管束と、維管束を取り囲む靭皮繊維細胞から構成される維管束鞘とからなる。中心柱112において、維管束及びそれを取り囲む維管束鞘(繊維112Xとする)は表皮111の側ほど密に存在する。髄層113は、髄冠細胞から構成される。
稈壁110に含まれる、柔細胞、維管束及び維管束鞘からなる繊維112Xといった組織や細胞は、竹稈100の軸方向に略平行に配向しており、稈壁110に割裂性を与える。
表皮(皮膚部)111に含まれる表皮細胞は、木化した厚壁を有しシリカを含む細胞であるため、表皮111の部分は接着剤による接着性が低い。
以上の説明は非特許文献1を参照した。
本発明では、稈壁110を、図1に破線で示すように径方向の面130に沿って切り出して小割りして形成する、図2に示すような、稈壁110の周方向の一部からなる稈壁材110Xから以下で説明する薄片を形成する。
<建材用エレメント及びその製造方法>
本発明の建材用エレメントは、竹稈の稈壁の薄片を含むことを特徴とする。
この薄片の具体的な実施形態について図3を参照して説明する。
図3に示す薄片10は、平面視において、稈壁110の厚さの方向の全体を含み且つ繊維112Xの方向に沿って延在する形状を有する。薄片10では、その長手方向が繊維112Xの方向と一致しており、長手方向に沿った一対の辺のうち、一方が稈壁110の外周面111A側の表皮111の組織により構成され、他方が稈壁110の内周面111B側の髄層113の組織により構成されている。そして、表皮111と髄層113との間に中心柱112の組織を含む。このように、薄片10は稈壁110の厚さ方向の全体を含む。この構成により、薄片10は、主面上の位置による繊維112Xの粗密の差が大きく特有の外観を呈する。また、薄片10は、竹稈の稈壁110の厚さの方向の全体、すなわち繊維112Xが粗の部分と密の部分の全てを含んでいるため、複数の薄片10間で強度が均質化され易い。
一方、図10(A)に比較例1の薄片201を示す。この比較例1の薄片201は、稈壁110の厚さの方向の全体を含まず、表皮111及び中心柱112のうち表皮111の近傍の部分のみを含む。比較例1の薄片201では、薄片201の表面積に示す表皮111の割合が高く、接着剤による接着性が低い。また、比較例1の薄片201は、図3に示す薄片10と異なり、表皮111から髄層113に至る稈壁110の断面の全体を含まず一部のみを含むため、主面上の位置による繊維112Xの粗密の差が小さく、竹材に特有の外観を呈さない。このため比較例1の薄片201は建材に加工した時の意匠性が低い。また、比較例1の薄片201を集積し圧縮成形して形成される建材では、個々の薄片201が、竹稈の稈壁110の厚さの方向の一部しか含まないため、個々の薄片201の強度が不均一となり易く、建材としての強度が不均一となる。
更に、図10(B)に比較例2の薄片202を示す。この比較例2の薄片202は、稈壁110の厚さの方向の全体を含まず、髄層113及び中心柱112のうち髄層113の近傍の部分のみを含む。比較例2の薄片202もまた、図3に示す薄片10と異なり、表皮111から髄層113に至る稈壁110の断面の全体を含まず一部のみを含むため、主面上の位置による繊維112Xの粗密の差が小さく、竹材に特有の外観を呈さない。このため比較例2の薄片202もまた建材に加工した時の意匠性が低い。また、比較例2の薄片202を集積し圧縮成形して形成される建材では、個々の薄片202が、竹稈の稈壁110の厚さの方向の一部しか含まないため、個々の薄片202の強度が不均一となり易く、建材としての強度が不均一となる。
これに対して本発明の薄片10は、竹稈100の表皮111を長手方向に沿う一方の辺上のみに含み、表面の大部分は稈壁110の断面であるため、表皮111の部分の接着加工性の低さの影響が小さく、特殊な処理を施さなくとも、接着加工が容易である。また、薄片10は、一辺に竹稈100の表皮111が含まれ主面上に繊維112Xが現れた、竹材に特有の外観を呈するため、建材に加工したときの意匠性が高い。更に、上記の通り、薄片10の強度は均質化され易く、薄片10を集積し圧縮成形して形成される建材の強度が均質化され易い。
また、薄片10は、その長手方向が繊維112Xの方向と一致していることにより、長手方向の寸法変化が少なく、且つ、引っ張りに対する強度が高い。
薄片10の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.7mm以下であり、より好ましくは0.6mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.4mm以下であり、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。薄片10の厚さは、例えは10枚の薄片をサンプリングし、それぞれの最も厚い部分を測定しその平均値を求めることで算出できる。
薄片10の長手方向の長さは特に限定されないが、例えば40mm以上、50mm以上又は60mm以上とすることができ、例えば200mm以下、150mm以下又は100mm以下とすることができる。本発明で用いる薄片は竹稈の節間部分のみからなる部分の薄片であってもよいし、竹稈の節間部分と節部分とを含む部分の薄片であってもよい。
薄片10の製造方法について図2に基づいて説明する。
図2は、稈壁110から切り出した稈壁材110Xを、稈壁110の外周面110A及び内周面110Bと交差し、且つ、稈壁110の繊維112Xの方向(竹稈の軸方向)に沿う面に沿って、刃20により切削して、薄片10を作製する工程を説明するための模式図である。この工程により、稈壁110の厚さ方向の全体を含み、且つ、稈壁110の繊維112Xの方向に沿って延在する形状の薄片10を作製することが容易である。
例えば、刃20を回転体に固定された回転刃とし、稈壁材110Xを回転体に向けて押し当てつつ回転刃を回転させることで、連続的に稈壁材110Xを切削して薄片10を生成することができる。
竹は含水率の高い生竹の状態であると軟らかく刃物による切削が容易であるのに対して、乾燥した状態では切削が困難になる。そこで、稈壁材110Xを含水率の高い状態、例えば含水率30%以上、40%以上又は50%以上の状態で切削し、薄片10を作製することが好ましい。その後に、稈壁材110Xから切削された薄片10を乾燥して含水量を低減させることが好ましい。乾燥後の薄片10の含水量としては5%程度が例示できる。
竹稈の稈壁の柔組織はデンプンや糖を多く含むため、稈壁を切削して得た薄片10をそのまま建材に使用するとカビの発生が問題になる場合がある。そこで稈壁材110Xから切削された薄片10を、熱水中に浸してデンプンや糖分を熱水中に抽出した後に、薄片10を熱水から取り出し乾燥することが更に好ましい。
<建材及びその製造方法>
上記の薄片10を含む建材用エレメントを必要に応じて接着剤とともに集積し圧縮成形することで、板材等の建材を製造することができる。
建材が板材である場合の一例を図4及び図5に基づいて説明する。
図4に示す板材40は、上記の薄片10を、繊維の方向は無作為に接着剤とともに集積してマットを作製し、次いで、マットを厚さ方向に圧縮して成形したものである。板材40の外表面には繊維と表皮を含む薄片10が現れ、竹に特有の美観を呈する。また、繊維の方向が無作為である板材40は、どの方向にも寸法安定性に優れ曲げ強度が高い。
図5に示す板材50は、上記の薄片10を、繊維の方向を一方向に配向させた状態で接着剤とともに集積してマットを作製し、次いで、マットを厚さ方向に圧縮して成形したものである。板材50は、繊維の方向に特に寸法安定性に優れ曲げ強度が高い。
接着剤としてはメラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤等の木質成形板の製造等の用途に用いられている一般的な接着剤を使用することができる。薄片10に接着剤を塗布した後に集積してマットを調整すればよい。
本発明の建材の別の実施形態は、木質板材の少なくとも一方の面の側に、集積し圧縮成形された上記の薄片10の層が形成された複合建材である。この実施形態では、木質板材に竹に特有の外観を付与することができるとともに、強度を付与することができる。この場合も、薄片10の層において、薄片10の繊維の方向が所定の方向に向くように配向させると、複合建材の、薄片10の繊維の方向での強度を特に高めることができる。
木質板材としては、配向性ストランドボード、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の板材を使用することができる。
図9(B)に、パーティクルボード91の両面に薄片10の層(竹薄片層)92を積層した複合板材90の断面を示す。
複合板材90は、パーティクルボード91の両面の側に、上記の薄片10を接着剤とともに集積してマットを作製して、積層体を形成すること、及び、
前記積層体を圧縮して、前記マットを圧縮成形するとともにパーティクルボード91と一体化すること
により製造することができる。
<実験1>
1.1.建材用エレメント(薄片)の作製
モウソウチクの生材(含水率約50%)から周方向の幅約30mm、軸方向の長さ70mmの寸法の稈壁材110Xを切り出した。
この稈壁材110Xから、上記の手順で回転刃により目標厚さ0.3mmの薄片(ストランド)10を作製した。
薄片10は、平面視において、図3に示すように、長手方向が繊維112Xの方向と一致しており、長手方向に沿った辺のうち、一方の辺が稈壁110の外周面111A上の表皮111の組織、他方の辺が稈壁110の内周面111B上の髄層113の組織により構成され、表皮111と髄層113との間に中心柱112の組織を含む。このように薄片10は稈壁110の厚さ方向の全体を含む。
薄片10の作製までは含水率の高い生材の状態であった。薄片10作製後に60℃で乾燥して含水率を約5%まで低減させたものをエレメントとして板材の作製に用いた。
薄片10の、厚さを測定したところ、平均値が0.36mm、中央値が0.36mm、標準偏差0.10mm、最大値0.63mm、最小値0.19mmであった。厚さの範囲が0.25mm以上0.45mm以下の範囲の薄片10の頻度は70%以上と高く、一定の範囲で厚さが制御できていたことを確認した。
1.2.板材の作製
上記の薄片10にドライスを使用してフェノール樹脂接着剤を塗布した(添加率12%)。
接着剤を塗布した薄片10を集積させて図6に示すマットを形成した。熱圧成形後の板材の密度が0.6g/cm及び0.8g/cmとなるようにマットに含まれる薄片の量を調整した。この実験では、薄片10の配向はランダムな配向とした。
上記のマットを熱盤温度180℃、プレス圧力30kg/cm、プレス時間4分間の条件で熱圧成形して設計密度が0.6g/cm及び0.8g/cmの二種類の板材を製造した。設計密度0.6g/cmの板材を「竹ボード(ρ0.6)」とし、設計密度0.8g/cmの板材を「竹ボード(ρ0.8)」とした。
図7(A)が、サンダー研磨後の板材の平面視での写真であり、図7(B)が各板材の断面の写真である。研磨後の板材の厚さは約7.5mmである。
1.3.板材の評価試験の方法
サンダー研磨後の竹ボード(ρ0.6)及び竹ボード(ρ0.8)、並びに、対照としての市販の木質の配向性ストランドボード(OSB)を用いて、密度分布、曲げ性能、吸水厚さ膨張率の評価を行った。
(板材の密度の評価)
試験体として、寸法縦50×幅50×厚さ7.5〜7.6mm、気乾状態(含水率7〜8%)の試験体を5体用いた。
試験体の密度分布をX線照射により測定した。
(曲げ性能の評価)
試験体として、寸法幅50×厚さ7.5〜7.6×長さ310mm、気乾状態(含水率7〜8%)の試験体を5体用いた。
曲げ試験は、中央集中荷重試験(3点曲げ)、スパン250mm、負荷速度10mm/minにより行った。
(吸水厚さ膨張率の評価)
試験体として、寸法縦50×幅50×厚さ7.5〜7.6mm、気乾状態(含水率7〜8%)の試験体を5体用いた。
吸水試験では、試験体を25℃水中に24時間浸漬し、試験前後の厚み膨張率を測定した。
1.4.板材の評価試験の結果
(板材の密度の評価)
各板材の測定密度の平均値及び標準偏差を下記の表に示す。
板材の厚さ方向での密度分布を図8に示す。
本発明の竹ボード(ρ0.6)の密度分布と、密度が同程度の市販のOSBの密度分布は類似していた。
(曲げ性能の評価)
各板材の曲げ強さ、曲げヤング率、使用した試験体の密度を下記の表に示す。
板材の密度がほぼ等しい竹ボード(ρ0.6)と市販OSBを比較した場合、曲げ強さは同等で、曲げヤング率は市販OSBの方が優れていることを確認した。市販OSBは繊維配向方向の曲げ試験を実施した。竹ボードは薄片の繊維の配向無し。
竹ボード(ρ0.6)と比較して密度の高い竹ボード(ρ0.8)では曲げ強さは約2.9倍と大きく向上した。密度を高めることで、竹稈の繊維の強度がボードの曲げ強度に反映され易くなった結果と考えられる。
(吸水厚さ膨張率の評価)
各板材の吸水率、吸水厚さ膨張率、使用した試験体の密度を下記の表に示す。
吸水時にエレメント(薄片)の剥離は見られず、今回試作した竹ボードのエレメントの接着は良好なことを確認した。
竹ボードは市販OSBと比較して吸水率が高くて厚さ膨張率は低い。これは、竹エレメント自体の密度が高いためボード密度0.6〜0.8g/cmでは熱圧成型時の圧縮率が低く、ボード内空隙が多いことが要因と考えられる。
<実験2>
実験1で作製した、モウソウチクの生材から切り出し乾燥して含水率を約5%まで低減させた竹薄片(熱水抽出処理なし)と、この竹薄片を更に2時間煮沸して熱水抽出物を除去した後に乾燥させて含水率を同程度まで低減させた竹薄片(熱水抽出処理あり)とを用意した。
竹薄片(熱水抽出処理なし)と竹薄片(熱水抽出処理あり)をそれぞれ40℃、相対湿度90%の環境下に2週間静置し、表面のカビの発生状況を観察した。
竹薄片(熱水抽出処理なし)では6日間経過後に表面にカビの発生が確認された。竹薄片(熱水抽出処理あり)では2週間経過後も表面にカビの発生は認められなかった。このことから、竹薄片を煮沸処理(熱水抽出処理)することで、高温高湿環境下でもカビの発生は抑制されることが示された。
<実験3>
3.1.パーティクルボードの両面への竹薄片層の積層
市販のパーティクルボード(厚さ9mm)の両面に、実験1で作製した竹薄片の層を形成し、物性を確認した。図9(A)にパーティクルボード91の断面を示す。図9(B)に、パーティクルボード91の両面に竹薄片層92を積層した複合板材90の断面を示す。
複合板材90は以下の手順で作製した。
実験1で作製した竹の薄片10に、メラミン樹脂接着剤を塗布した。
パーティクルボード91の両面に、メラミン樹脂接着剤を塗布した竹の薄片10を集積させてマットを形成し、マット−パーティクルボード91−マットが積層した積層体を作製した。
この積層体における竹の薄片10のマットとして、図4に示すように薄片の繊維の方向がランダムなマットと、図5に示すように薄片の繊維の方向が一方向に配向したマットとを用意した。また、配向有りと配向無しのそれぞれについて、熱圧成形後の竹薄片層92の密度が0.8g/cm及び1.0g/cmとなるようにマットに含まれる薄片の量を調整した。
上記の積層体を熱圧成形して、図9(B)に示す三層構造の複合板材90を作製した。熱圧成形後の複合板材90における2つの竹薄片層92の厚さはそれぞれ1mmであり、複合板材90全体の厚さは11mmである。
作製した4種類の複合板材及びパーティクルボード(対照)は下記の表のとおりである。
3.2.曲げ試験
上記の試験体1〜5について、JIS A 5908の「曲げ試験」に従い、曲げ試験を行った。オートグラフ(AG−IS、SHIMADZU)を用い3点曲げ試験を行った(n=4)。測定する試験体の寸法は試験体1については幅50mm、長さ200mm、試験体2〜5については幅50mm、長さ250mmとした。それぞれスパンは150mm、180mmに設定し、10mm/分の速度で荷重をかけ曲げ性能(曲げ強さ、曲げヤング率)を確認した。
竹薄片の繊維の方向を一方向に配向させた試験体3及び試験体5については、繊維の配向方向での曲げ強さ、曲げヤング率を測定した。
3.3.曲げ試験の結果
各試験体についての曲げ試験の結果を下記の表に示す。
複合板材である試験体2〜5は、竹薄片層の密度、配向状態に関係なく、通常のパーティクルボードである試験体1よりも曲げ強度、曲げヤング率が高い数値を示した。
また、竹薄片層の密度を高めることで曲げ強度の数値が上昇した。
竹薄片層の繊維を配向させることで、さらに曲げ強度と曲げヤング率の値が上昇した。

Claims (10)

  1. 竹稈の稈壁の薄片を含む建材用エレメントであって、
    前記薄片は、平面視において、前記稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状であることを特徴とする建材用エレメント。
  2. 前記薄片の厚さが0.7mm以下である、請求項1に記載の建材用エレメント。
  3. 集積し圧縮成形された請求項1又は2に記載の建材用エレメントを含む建材。
  4. 前記建材用エレメントが、前記繊維の方向が所定の方向に向くように配向されている、請求項3に記載の建材。
  5. 木質板材を更に含み、
    前記木質板材の少なくとも一方の面の側に、集積し圧縮成形された前記建材用エレメントが積層されている、
    請求項3又は4に記載の建材。
  6. 竹稈の稈壁の薄片を含む建材用エレメントの製造方法であって、
    前記稈壁を、前記稈壁の外周面及び内周面と交差し且つ前記稈壁の繊維の方向に沿う面に沿って切削して薄片を形成することを含む方法。
  7. 建材の製造方法であって、
    平面視において竹稈の稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状を有する竹稈の稈壁の薄片を、接着剤とともに集積してマットを作製すること、及び、
    前記マットを圧縮成形すること
    を含む方法。
  8. 前記マットの作製において、前記薄片を、前記繊維の方向が所定の方向に向くように集積することを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 建材の製造方法であって、
    木質板材の少なくとも一方の面の側に、平面視において竹稈の稈壁の厚さの方向の全体を含み且つ前記稈壁の繊維の方向に沿って延在する形状を有する竹稈の稈壁の薄片を、接着剤とともに集積してマットを作製し、前記木質板材と、前記マットとの積層体を形成すること、及び、
    前記積層体を圧縮して、前記マットを圧縮成形するとともに前記木質板材と一体化すること
    を含む方法。
  10. 前記積層体の形成において、木質板材の少なくとも一方の面の側に、前記薄片を、前記繊維の方向が所定の方向に向くように集積してマットを作製することを含む、請求項9に記載の方法。
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